平成14年11月26日
金融庁

証券会社の行為規制等に関する内閣府令及び金融機関の証券業務に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)等に対するパブリック・コメントの結果について

金融庁では、証券会社の行為規制等に関する内閣府令及び金融機関の証券業務に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)等について、平成14年9月26日(木)から10月10日(木)にかけて公表し、広く意見の募集を行いました。ご意見をご提出いただいた皆様には、改正案の検討にご協力いただきありがとうございました。

本件に関してお寄せいただいた主なコメントの概要及びそれに対する金融庁の考え方は以下のとおりです。

【内容についての照会先】

金融庁 Tel:03-3506-6000(代表)
総務企画局 市場課 証券業係(内線3543)【内閣府令について】
監督局 証券課 法務係(内線3722)【事務ガイドラインについて】


コメントの概要とコメントに対する金融庁の考え方

コメントの概要 コメントに対する考え方
 今回、取引一任勘定取引の適用除外となった注文が、営業員の相場判断の誤り等から、顧客の期待どおりに執行されなかった場合、顧客から苦情がでる可能性があり問題ではないか。  顧客からの受注に際し、約定価格を約束する行為は、損失補償や利益保証等につながるおそれがあります。このため、約定価格を約するものでないことにつき、十分な説明により顧客の納得を得る必要があり、理解が得られない顧客からの注文は受注すべきでないと思われます。
 適用除外の対象となる取引形態については、「委託取引」に限定し、「自己取引」は除外されるべき。  法第42条第1項第5号では、「委託取引」に限らず「自己取引」も対象となる規定振りとされており、証券会社の自己が相手方となる取引(OTC取引)も含まれると考えられます。しかし、OTC取引の場合、VWAP注文等を除き、原則、受注と同時に約定となるため、価格について証券会社の裁量に任せる余地はないものと思われます。
 なお、このようなOTC取引で合理性が認められない一任勘定取引の受託は、他の法令(特別の利益提供等)に抵触する可能性が高いと考えられます。
 ガイドライン改正案3-4-1の注文について、一般顧客からの受託を認めると、営業員はディーラーと同様、常時相場を注視する必要があり、立会い時間中は離席できなくほか、相場を見ていない場合に発注を失念する恐れがあり問題ではないか。  このような注文の受託にあたっては、当該注文を誠実に執行できる体制を整備する必要があり、相場の状況を常時監視できる従業員により発注されるべきであると考えられます。このような従業員がいない場合は、営業員が責任をもって注文を執行するべきであり、当該営業員は、顧客に対して注文を誠実に執行した旨を説明できなくてはなりません。
 今回、新たに適用除外として認める注文は、ガイドライン改正案3-4-1マル1からマル4に限定すべき。  ガイドライン改正案3-4-1マル1からマル4に加えて、適切な幅を持たせたものであれば○○円以上○○円以下という値幅について顧客と証券会社が同意する注文が含まれます。
 適用除外取引については、証券会社の一定の管理体制が構築されると予想しうる時期まで施行を見送るべき。  今回の改正は、一律に取り扱いを義務付けるものでなく、各証券会社が十分な社内管理体制の整備を行った上で、当該適用除外取引の注文の受託を開始すべきと考えます。
 なお、改正府令の公布から施行の間に一週間の周知期間を設けます。
 取引一任勘定取引が、損失補てんや過当取引の温床と見られていることに鑑み、ガイドライン改正案3-4-1については、一定の値幅要件を付すべきではないか。また、証券会社の法令遵守体制の徹底及び管理検査体制の強化、並びに当局による検査・監視体制の整備充実が必須。  特定同意に基づき証券会社が定める価格については、当該同意時点の相場の状況から適切な幅を持たせたものであるとする合理的説明が可能であることが必要です。また、府令第1条第4項において、第1項各号に掲げる契約を締結しようとする証券会社の社内管理体制の整備が求められており、上記の必要性を踏まえ、各証券会社においては、実際に受託し得る注文の具体的な類型、顧客への説明体制、注文執行体制、モニタリング体制等に関して社内基準を設けるなど、十分な体制整備が必要となります。なお、このような社内管理体制が整備されておらず、投資者保護上問題が認められた場合には、検査等を通じた厳正な措置が講じられることとなります。
 適用除外行為を行おうとする場合の十分な社内管理体制に関して、顧客の利便性を考慮した場合、「社内運用基準」は弾力的なものとすべきと考える。  十分な社内管理体制とは、顧客とのトラブル防止措置や誠実な注文執行体制の整備を想定しており、取引一任勘定取引が禁止された経緯を踏まえつつ、適切な体制の整備と徹底が必要です。
 ガイドライン改正案3-4-1マル1マル2
 平成11年に証券取引等監視委員会が示した「一定の値幅を明示した指値注文は、一任取引に該当しない」という法令解釈を変更したうえで、適用除外とするのか。
 過去の法令解釈については、必ずしも業界内の認識が一致していない状況にあり、また、解釈により認められるとする注文形態の定義も不明確であったことから、今回の改正で、定義の明確化を図るとともに、一任勘定取引の適用除外として認めることとするものです。
 事務ガイドライン改正案3-4-1マル1
 「あらかじめ定める方式により決定される価格」とは、どのようなものを想定しているのか。
 あらかじめ定める方式とは、注文時点では特定されないものの、市場への発注までに価格が確定するものを想定しております。例えば、
(1) 前場VWAP価格が確定したら、後場、その価格以上で発注
(2) 前場の引け値以上で後場発注 等
 ガイドライン改正案3-4-1マル1マル2
 「特定の価格」には、前日の終値等、特定可能である価格も含まれると解してよいか。
 特定の価格とは、同意の時点において特定できる価格全てを含むものと考えております。このため、前日の終値は勿論、過去のVWAP価格や新株予約権の行使価格など、既に確定している価格全てを含みます。
 ガイドライン改正案3-4-1マル3
 当該注文は、価格及びその幅が一切ない合意形態となり、「当該同意の時点における相場を考慮して適切な幅を持たせた同意の範囲内」と定めた府令案の規定とは相違するのではないか。
 証券会社において既に受注が見られる法人等大口顧客からのCD注文について、個人からの注文も適用除外として認めることを明確にしたものです。府令案では、「同意の時点における相場を考慮して適切な幅を持たせた同意(特定同意)の範囲内」と規定しており、CD注文であっても価格について、当該同意時点の相場の状況から適切な幅を持たせたものであるとする合理的説明が可能である必要があります。
 ガイドライン改正案3-4-1マル3
 「最良執行」という言葉の使用は投資家にとって馴染みが薄く、結果の最良を示す言葉として誤解を受ける可能性があるため避けるべき。また、注文形態は、より具体的な定義をすべき。
 最良執行は、注文の執行者が最良と判断した価格で誠実に発注することで、結果の最良という意味ではありません(最良執行とは、英語の「best execution」から由来したもの)。このような注文の受託にあたっては、投資家に誤解を与えないよう十分な説明を要すると考えられ、証券会社には、このための社員教育を含む社内管理体制の整備が義務付けられることとなります。
 また、注文形態は個々の注文により様々と考えられ、受託すべきか否かを含め、各証券会社で取り扱いを判断する必要があります。
 ガイドライン改正案3-4-1マル3マル4
 「成行」又は「指値」の同意を必要としないと解してよいか。また、発注にあたって「成行」又は「指値」のいずれで発注してもよいと考えるが如何か。
 適用除外の注文形態は価格について一任するものであり、「成行」又は「指値」で受託する必要はありません。また、顧客との同意は、発注価格を適切な幅の範囲内で証券会社の裁量に任せるものであり、「成行」又は「指値」のいずれで発注しても問題ありません。
 ガイドライン改正案3-4-1マル4
 「いわゆるVWAPターゲット注文」につき、店頭銘柄の受注にあたって、上限(又は下限)価格を確認せず、発注のみ「指値」で発注してもよいと考えるが如何か。
 VWAPターゲット注文について、受注時に、上限(又は下限)価格について顧客の同意を得ず「指値」で発注することは可能ですが、いずれにせよ、VWAP注文受注時点の相場の状況から適切な幅を持たせたものであるとする合理的説明が可能であることが必要です。
 ガイドライン改正案3-4-1マル4
 「あらかじめ定める方式」には、VWAPを除いてどのようなものを想定しているのか。
 「あらかじめ定める方式」には、VWAP価格のほかに、当日の高値と安値の単純平均価格などが考えられます。

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