平成15年6月6日
金融庁

大和証券SMBCに対する行政処分について

  • 1.  平成15年2月7日及び平成15年5月8日付けをもって、大和証券SMBCに対し、証券取引法第59条第1項に基づく報告の提出を求めたところ、同社から提出された報告書において、以下の法令に違反する状況が認められた。

    • 法人関係情報の管理の状況が法人関係情報に係る不公正な取引の防止上十分でないと認められる状況
    • (1)法人関係情報を悪用した幹部職員の地場出しを長期にわたり看過していたこと

      元事業法人部長(以下「A」という。)は、平成12年5月頃より平成14年3月頃まで約2年にわたり、他証券会社の実姉名義の口座を利用して株式取引を行っていたが、その中には、本来入手すべきでない社内の同僚の会話で耳にした材料を元に行ったものも2件認められており、このような状況が看過されていた。

    • (2)法人関係情報取得部署内において安易に情報の共有が行われていたこと

      元企業提携部次長(以下「B」という。)が所属する企業提携部内における情報管理については、他の部門への情報漏洩を防止する措置は講じられていたものの、部内の者であれば当該情報に直接関係しない者であっても情報を入手できるシステムが使用されており、Bの行為も当該システムの情報などを元に行われたと思慮され、安易な情報共有であったと認められる。

    • (3)法令遵守に関する研修が十分なものではなかったこと

      Aの入社(平成11年4月)以降平成14年3月まで、当社は、コンプライアンス関係の研修を、事業法人部門を対象として14回実施しており、Bについても、入社時(平成13年4月)にコンプライアンスに関する研修を実施している。しかしながら、これらの研修は、主として知識習得の徹底という観点から実施されたもので、さらに踏み込んだ、違法行為の抑止という観点が欠けていた。

    • (4)ライン部長への選任についての検討状況

      Aのライン部長選任に当たっては、当社からは、「ライン部長への登用を強く希望する」旨の所属部門からの強い推薦と、その仕事振り及び人物評価についての社内外並びに同僚及び配下職員からの高い評価を踏まえて選任したとの報告を受けている。しかしながら、ライン部長昇進(平成14年2月1日)以前より継続的にいわゆる地場出し行為を行っており、またライン部長昇進直後に本件インサイダー取引を行っていることからすれば、Aのライン部長への選任については過失があったものと認められる。

      上記の体制は、証券取引法第43条第2項に基づく、証券会社の行為規制等に関する内閣府令第10条第4号に該当すると認められる。

  • 2.  以上のことから、本日、大和証券SMBCに対し、以下の行政処分を行った。

    • (1)業務停止命令

      • 平成15年6月11日の事業法人部(第1部~第7部)及び企業提携部の業務の停止。
    • (2)業務改善命令

      • 法人関係情報の厳重な管理の徹底。

      • 十分な研修の実施等による役職員の法令遵守の徹底。

      • 再発防止策の策定

      • 厳格な社内処分の実施による責任の所在の明確化。

問い合わせ先

金融庁 Tel:03-3506-6000(代表)
監督局証券課 課長補佐 水野(内線3351)、証券業第1係長 横尾(内線3355)

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