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平成16年5月20日
金融庁

ドイチェ信託銀行株式会社に対する行政処分について

  • 1.  ドイチェ信託銀行株式会社(以下、「当行」という。)に対する当庁の検査(平成16年2月通知)、並びに、銀行法第24条第1項及び金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第4条において準用する信託業法第17条の規定に基づく当行からの報告によると、以下のとおり、信託業務の運営・管理にかかる基本的な法令違反等が確認され、法令等遵守(コンプライアンス)に関する経営姿勢及び内部管理態勢等に重大な問題が認められた。

    • (1)当行は、前回の当庁の立入検査結果(平成12年2月)を受け、業務改善に取り組んできたが、今般の立入検査により、依然として、業務を適正に運営・管理するための基本的な改善が図られていない現況が確認され、信託委託者等の信任に反し、法令等遵守、事務管理、顧客情報管理、並びに、信託委託者等の顧客に対する説明態勢等に重大な問題が認められたこと。

    • (2)特に、平成15年5月、他の信託銀行に信託財産の管理・決済等の業務を全部移管しているが、共同受託及び再信託契約等に基づく当該業務の外部移管に際し、信託委託者の同意を得ないまま(所要の契約等を締結せずに)移管を実施し、信託法第26条第1項(いわゆる自己執行義務)に違反していること。

    • (3)上記(2)の移管の際に、他の信託銀行との業務委託契約の内容・範囲、事務管理の方法、及び、事務処理状況の管理・監督等について、当行が信託委託者等に対して負っている監督・管理責任が適正に履行できない体制のまま、当該業務の外部移管を実施していること。

    • (4)また、多額の未照合金の指摘を受けた前回の当庁の立入検査後以降も、信託取引口座等の照合が十分に行われず、信託勘定の記帳に正確性を欠き、信託報酬料率・源泉徴収誤りなど、信託事務の管理失当が長期間継続して発生している業務運営の現況は、信託法第20条(いわゆる善管注意義務)に違反していること。

    • (5)信託財産の管理・決済等の業務が経年適正に行われなかった結果として、信託委託者等の過払いや信託不明金などが発生し、当行が最終的に償却を余儀なくされる事態となり、信託委託者等のみならず、当行の経営にも実際の損失と影響を及ぼすものとなっていること。

    • (6)在日ドイツ銀行グループ各社との間の業務運営等にも、不適正な顧客情報の共有等の問題が認められたこと。

    • (7)前回の当庁の立入検査で判明した信託財産の管理及び決済業務にかかる未照合の資金等のうち、信託委託者等に帰属する配当金等の回金処理が長期間遅延していたにもかかわらず、回金に際して、当該信託委託者等に対する説明を適切に行っていなかったこと。

      また、ソフト・ダラーの取扱いや信託報酬等の徴収等に関して、顧客への説明が適切に行われていない事例や信託委託者間の公平性を欠いた業務運営等が確認されたこと。

  • 2.  以上を理由として、当庁は、本日、当行に対して、銀行法第26条第1項、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第4条において準用する信託業法第18条の規定に基づき、下記の行政処分を行った。

    銀行法第26条第1項及び金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第4条において準用する信託業法第18条に基づく命令

    • (1)信託財産の管理・決済業務及び関連する代理事務の新規受託業務(既存顧客との業務を除く業務)を平成16年5月27日から平成16年8月27日までの間は行わないこと。

    • (2)信託銀行として、公正かつ適切な業務運営を実現するため、以下の観点から、法令等遵守態勢(人的構成と体制の構築を含む。)を確立すること。

      • 法令等遵守(コンプライアンス)に取り組む経営姿勢及び経営責任の明確化

      • 法務・コンプライアンス部門の機能強化

      • 役職員の法令・諸規則に対する理解と遵守の徹底

      • 在日ドイツ銀行グループ各社との間のファイアーウォールの確立と顧客情報の管理の徹底

    • (3)信託委託者等の信任に対して、信託財産の管理・決済業務及び関連する代理事務の適正な業務運営・事務管理(業務の外部委託先等を含む。)を確保するため、以下の観点から、内部管理態勢(人的構成と体制の構築を含む。)を確立すること。

      • 当行と他の信託銀行との共同受託及び再信託契約等に基づく信託財産の管理・決済等の業務移管に関連して、当該業務にかかるシステムの導入状況及び人的構成等を踏まえた、現行の事務管理・監督態勢の基本的な見直し・改善の実施と関係する役職員の責任の所在の明確化

      • 上記以外の業務における事務管理態勢の再整備と責任の所在の明確化

      • 信託業務運営上の管理失当等が発生した場合等の信託委託者等への適切な対応や説明のための態勢整備

      • 役職員の業務に対する習熟度の向上

      • 内部牽制機能の整備・強化

      • 内部監査体制の整備・強化、及び、内部監査のフォローアップの実施

    • (4)上記(2)及び(3)、その他、検査結果通知及び報告命令に記載された事項にかかる業務の改善計画(改善計画を着実に実施するための経営管理態勢の整備・確立及び実効性確保にかかる責任の所在の明確化を含む)を平成16年6月21日までに提出し、直ちに実行すること。

    • (5)以後、当該業務の改善計画の実施完了までの間、計画等の進捗・実施状況を3ヶ月ごとに報告すること。

本件に関する問い合わせ先

金融庁 TEL 03-3506-6000(代表)
監督局銀行第一課(内線3751、3398)

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