政策評価に関する有識者会議議事要旨
1.日時
平成15年8月5日(火)15時30分~17時00分
2.場所
中央合同庁舎第4号館2階 共用第3特別会議室
3.出席者
片田哲也 (株)小松製作所相談役特別顧問、神作裕之 学習院大学法学部教授、関哲夫 (株)新日本製鐵常任顧問、田辺国昭 東京大学大学院法学政治学研究科教授、富田俊基 (株)野村総合研究所研究理事、吉野直行 慶応義塾大学経済学部教授
(金融庁側出席者)
高木長官、増井総務企画局長、鈴木総務企画局審議官、木下総務企画局参事官、大藤総務企画局総務課長、寺田総務企画局総務課管理室長、桑原総務企画局政策課長、中村総務企画局政策課企画官、居戸総務企画局企画課長、佐藤検査局長、厚木検査局総務課長、五味監督局長、河野監督局総務課長、橋本監督局銀行第二課金融会社室長、新原証券取引等監視委員会事務局長、林証券取引等監視委員会事務局総務検査課長
4.議事
(1)平成14年度実績評価書(案)及び平成15年度事業評価書(案)について(事務局説明)
(2)意見交換
5.会議においてメンバーから出された主な意見等
▼金融再生プログラムの実施状況や今後の取組みについてしっかりと取り上げてほしい。
▼RCCの活用実績は、RCCの役割に照らして評価する必要がある。
▼企業再生については、政府全体として現在様々な取組みが行われており、将来的にはそれらに対する評価も行っていく必要がある。
▼早期是正措置、早期警戒措置の実効性について、個別のケースについても評価する必要がある。
▼合併によりどれだけ収益性、健全性が強化されたのかについて分析することも重要である。
▼今後の金融行政に当たっては、日本の金融業の収益力や国際競争力をいかに向上させるかという観点も含めて検討してもらいたい。
▼ペイオフを半分解禁して、半分は延期するということになったが、その背景は何かということをきちんと説明する必要がある。
▼保険会社が株式会社化できるようになった点についての記述があった方が良い。
▼市場ルール・インフラの整備等は着実に進展しているという評価であるが、個人金融資産に占める株式・投信の比率や絶対値も非常に低いため、今後、市場の効率性、流動性に留意し、インフラ整備をもっと積極的に推進していくという視点が必要である。
▼株式にかかる税制だけでどうこうできる問題ではないが、個人投資家の市場参加を促す観点から、世代間の資産移転を促進するような税制が、高齢化社会において求められると考えられる。
▼東証のガバナンスの向上とか組織形態が変わったことをどう考えるか。取引所の業者に対する監督機能のあり方についての評価が必要である。
▼市場ルール・インフラの整備において、最も重要なのは投資家の信頼が得られる市場の確立である。そのためには市場における情報開示がポイントであり、これが証券市場の活性化のため何よりも重要であるという点を打ち出してもらいたい。
▼市場取引やマネー・ローンダリングに係る外からの情報に対してどう対応しているのかという点はもう少し、具体的に説明してもらいたい。
▼監督の役割は、違反行為を事前に抑制するということが重要である。違反行為が繰り返されるような状況が何故起こるのかを分析し、どのような対策を講じるのかを検討してもらいたい。
▼金融庁の行う行政処分については、事前防止、再発防止といった観点から活かされるべきである。
▼金融機関に求められるコンプライアンスを考えていく場合、コーポレートガバナンスの問題もあわせて考えていく必要がある。
▼投資家についての教育は、中学や高校からでは遅く、小学校から自己責任や会社とは何か等の背景を含めた投資知識を教えるべきである。
▼一つ一つの政策と「中期ビジョン」(「中期的に展望した我が国金融システムの将来ビジョン」)との関連性についての記述を加える必要がある。
▼「中期ビジョン」について金融関係者自身の取組みもあわせて評価してもらいたい。
▼個人投資家との関わりが密接な株券、その他の証券についての無券面化がこれからさらに進んでいくことから、その点をもう少し記載する必要がある。
▼統一的な証券決済システムの構築は、決済リスクを削減(決済期間を短縮)するというのが大きな目標であり、その点について記載すべきである。それとともに現行のシステムから新しいシステムへの移行を、大きな目標の中に書き加え、その上で評価してもらいたい。
▼開示書類の電子化を評価するに当たっては、その使い勝手についてユーザーの評価が必要であり、そのためには利用者側の意見を勘案すると良い。
▼有価証券報告書等を電子的に開示することが、どう具体的に金融市場の効率化につながるのかについて説明を加えてもらいたい。
▼政策目標として「利用者保護」が挙げられているが、ここでいう保護は自己責任を損ねるものではない。その点について理解を求めていくべきである。
▼金融行政に関わる最近の事例のなかには、簡単には国民が理解しにくい問題もあるように思われる。金融庁の果たす説明責任は益々重要であり、しっかり取り組んでもらいたい。
▼金融取引あるいは金融市場は、グローバル化が最も進む分野であり、それらについての研究をさらに質的にも量的にも発展させてもらいたい。
(以上)