「金融庁の1年(平成15事務年度版)」について
平成16年9月16日
金融庁
I .趣旨
金融庁は、我が国の金融の安定を確保し、預金者、保険契約者、有価証券の投資者等の保護を図るとともに金融の円滑を図ることを任務として、透明かつ公正な行政を行っている。「金融庁の1年(平成15事務年度版)」は、こうした金融庁の平成15事務年度(15年7月~16年6月)における様々な取組みを、制度の企画立案・検査・監督の各般にわたって取りまとめたものである。
平成15事務年度は、構造改革の4本柱の一つである金融改革にとって、節目ともいえる年であった。
金融システム安定・強化の観点からは、平成14年10月に策定した「金融再生プログラム」を着実に推進し、平成16年度末までに主要行の不良債権比率を平成14年3月期の半分程度に低下させるとの目標に向けて、不良債権問題の解決に努力するとともに、中小・地域金融機関について、リレーションシップバンキング(間柄重視の地域密着型金融)の機能強化等を進め、中小企業の再生と地域経済の活性化を図った。
また、証券市場の構造改革と活性化を進める観点からは、誰もが投資しやすく、投資家からの信頼が得られ、効率的で競争力のある市場が構築されるよう、証券取引法等の改正をはじめとした様々な証券市場の基盤整備に努めた。
こうした取組みにより、主要行の不良債権比率は、平成14年度3月期の8.4%から平成16年3月期には5.2%まで低下し、「金融再生プログラム」の目標達成が目前となるなど、金融分野における構造改革の成果が確実に出てきたところである。
今後の金融行政においては、不良債権処理などリアクティブ(受け身)な問題から脱却し、よりプロアクティブ(前向き)な取組みとして、顧客ニーズに応じた最高水準の金融機能を提供できるようにしていくことが必要である。金融庁では、そのために、新たな金融行政のあり方について検討を行っていくことにしている。
「金融庁の1年(平成15事務年度版)」が、国民の皆さんにとって、金融庁並びに金融行政に対する理解を深める一助となるとともに、今後の金融行政、金融システムのあり方について前向きな議論を共に進めるきっかけとなることを期待している。
II .全体の構成
「金融庁の1年(平成15事務年度版)」は、本編及び資料編から成り立っている。本編は、
- 第1部 金融庁の組織及び行政運営
- 第2部 金融に関する制度の企画及び立案
- 第3部 金融監督等
- 第4部 金融検査
- 第5部 国際関係の動き
から構成されており、本編に関連する資料(報道発表資料等)を資料編としてまとめている。
III .概要
第1部 金融庁の組織及び行政運営
第1部は、金融庁の組織とこの1年間の行政運営について記載している。主なポイントとしては、
- (1) 金融庁の組織に関しては、所掌事務や組織編成の特徴、16年度の体制整備について記載している。
- (2) 金融庁の行政運営に関しては、この1年間の行政運営として、職員の任用、研究、研修、広報、情報公開・政策評価への取組み等について記載している。
第2部 金融に関する制度の企画及び立案
第2部は、預金取扱金融機関、保険、証券市場等に関する制度の企画・立案の概要、審議会等の活動状況、政府全体の施策における金融庁の取組み等について記載している。主なポイントとしては、
- (1) 金融に関する制度の企画・立案に関しては、以下の事項等について記載している。
- ○ 金融機能の強化のための特別措置に関する法律の策定
- ○ 保険におけるセーフティネット等のあり方についての検討
- ○ 証券取引法等の改正
- ○ 株式等決済合理化法の策定
- ○ ディスクロージャー制度の整備
- ○ 信託業法案の策定
- (2) 審議会等の活動状況に関しては、金融庁に置かれた金融審議会、企業会計審議会、金融トラブル連絡調整協議会等の開催状況や審議内容について記載している。
- (3) 政府全体の施策における金融庁の取組みに関しては、金融システムの強化、及び、証券市場の構造改革と活性化といった政府全体の経済政策において重要な政策として位置づけられている施策の概要や金融庁の具体的施策について記載している。
第3部 金融監督等
第3部は、預金取扱金融機関、保険会社、証券会社等に関する監督をめぐる動きのほか、法令適用事前確認手続、疑わしい取引の届出制度等について記載している。主なポイントとしては、
- (1) 預金取扱金融機関に関しては、15年度決算の概要や金融機関の再編の状況、不良債権処理の促進、リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム、金融危機への対応、資本増強制度への対応、早期警戒制度、いわゆる貸し渋り問題への対応等について記載している。
- (2) 保険会社に関しては、15年度決算の概要や保険会社の再編の状況等について記載している。
- (3) 証券会社等に関しては、15年度決算の概要や証券会社の数の推移、金融庁が行った証券会社へのオフサイト・モニタリング等について記載している。
- (4) 法令適用事前確認手続に関しては、導入の経緯、利用手続き等について記載している。
- (5) 疑わしい取引の届出制度に関しては、疑わしい取引の届出制度、届出と提供の状況、タリバーン関係者等と関連する疑いのある取引の届出要請等の施策等について記載している。
第4部 金融検査
第4部は、15事務年度の金融検査の実施状況や金融検査の充実・強化のための方策について記載している。主なポイントとしては、
- (1) 15事務年度の金融検査の実施状況に関しては、15事務年度のトピックスとして、主要行グループに対する深度ある検査の一層の推進(自己査定と検査結果の格差公表や特別検査の実施等)や、中小企業等の経営実態等に即した検査の実施について記載したほか、預金取扱金融機関、保険会社、証券会社等に対する検査の実施状況と検査結果の概要について記載している。
- (2) 金融検査の充実・強化のための方策に関しては、金融持株会社に係る検査マニュアルや金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕等の整備状況の他、検査監理機能の充実、政策金融機関・郵政公社に対する検査等について記載している。
第5部 国際関係の動き
第5部は、金融監督に関する国際機構や金融に関するその他の国際的なフォーラムの活動状況や、金融庁と各国の金融検査監督当局との連携強化に向けた取組み、米国企業会計改革法(サーベーンズ=オクスリー法)について記載している。主なポイントとしては、
- (1) 金融監督に関する国際機構に関しては、バーゼル銀行監督委員会、証券監督者国際機構、保険監督者国際機構等の活動の現状と、それに対する金融庁の対応状況について記載している。
- (2) 金融に関するその他の国際的なフォーラムに関しては、国際通貨基金、世界貿易機関、金融活動作業部会等での金融庁に関連する議論の現況について記載している。
- (3) 海外の金融検査監督当局との連携強化に関しては、途上国向けセミナー開催等の技術支援、各国の金融監督当局との協議状況等について記載している。
- (4) 米国企業会計改革法に関しては、その概要や取り巻く状況、金融庁の対応等について記載している。
連絡・問い合わせ先
金融庁総務企画局政策課政策評価企画係
TEL 03-3506-6000(内線3193、3160)