英語版はこちら新しいウィンドウで開きます

平成17年4月8日
金融庁

クレディ・スイス信託銀行株式会社に対する行政処分について

  • 1.  クレディ・スイス信託銀行株式会社(以下、「当行」という。)では、前回の当庁の立入検査結果(平成11年7月13日通知)により、業務の一部停止命令と業務改善命令を受け(平成11年7月29日発出)、当庁に提出した業務の改善計画(平成11年9月28日)及びその後の定期報告等において、信託銀行として責任のある経営体制の確立と組織・運営面の抜本的な改善を実施したと報告してきたところである。

    今回の当庁の立入検査結果(平成17年1月14日通知)、並びに、銀行法第24条第1項及び金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第4条において準用する信託業法第42条第1項の規定に基づく当行からの報告によると、下記の通り、信託業務の法令等遵守(コンプライアンス)にかかる事務管理及び顧客情報管理の態勢などについて、基本的な改善を要する問題が認められた。

    • (1)当行の経営陣は、内部監査による指摘及び取締役会への業務運営状況の報告等により、信託財産の基本的な管理・決済業務にかかる長期・多数の管理失当(外国税額還付・請求の未処理、信託受益者に対する不通知・長期未回金・記帳遅延等)が発生している問題を認識していたにもかかわらず、適切な措置や対応を講じることなく何年間もこれを放置し、信託法第20条(いわゆる善管注意義務)違反、並びに、銀行法第53条及び平成16年内閣府令第108号による改正前の金融機関の信託業務の兼営等に関する法律施行規則第12条の2(改正後は第31条第4項)に規定する届出義務違反が認められること。

    • (2)上記(1)の管理失当が継続して発生していた背景には、当行において、信託財産の管理・決済業務の的確かつ適切な運営に要する事務管理体制が整備されていなかった問題が認められること。

    • (3)また、前回の当庁の立入検査では、当行と在日クレディ・スイス・グループ関連会社等との業態間の弊害の防止措置等に問題が認められていたが、その後、この問題について当行が当庁に報告した所要の改善が十分に図られておらず、また、入力した情報の閲覧を制限することができない情報管理システムの特性を踏まえた運用や対策が不十分であるなど、顧客の同意を得ずに顧客情報が不適切に共有されている事例が認められること。

  • 2.  以上を理由として、当庁は、本日、当行に対して、銀行法第26条第1項及び金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第8条の2の規定に基づき、下記の行政処分を行った。

    銀行法第26条第1項及び金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第8条の2の規定に基づく命令

    • (1)信託財産の管理・決済業務及び関連する代理事務の新規受託業務(既存顧客との業務を除く業務)を平成17年4月18日から平成17年5月17日までの間は行わないこと。

    • (2)信託銀行として、公正かつ適切な業務運営を実現するため、以下の観点から、法令等遵守態勢(人的構成と体制の構築を含む。)を確立すること。

      • 法令等遵守(コンプライアンス)に取り組む経営責任の明確化

      • 法務・コンプライアンス部門等による業務監視機能の強化、及び、業務運営の実態を当庁に適時・適切に報告する責任体制の明確化

      • 業務の事務管理態勢の再整備、及び、業務運営上の管理失当等が発生した場合の信託委託者等への適切な対応や説明のための態勢整備

      • 役職員の法令・諸規則に対する理解と遵守の徹底

      • 顧客情報の管理体制の整備と遵守の徹底

      • 内部監査実施後のフォローアップの徹底

    • (3)法令違反を含む、上記1.、並びに、検査結果通知及び報告命令に記載された事項にかかる問題等の原因となった役職員の責任の所在の明確化

    • (4)上記(2)及び(3)、並びに、検査結果通知及び報告命令に記載された事項にかかる業務の改善計画(改善計画を着実に実施するための社内の管理態勢の整備及び実効性確保にかかる責任の分担の明確化を含む。)を平成17年5月9日までに提出し、直ちに実行すること。

    • (5)上記(4)の実施後、当該業務の改善計画の実施完了までの間、平成17年6月末を第一回目とし、以後3ヵ月毎に計画等の進捗・実施及び改善状況をとりまとめ、翌月15日までに報告すること。

本件に関する問い合わせ先

金融庁 TEL 03-3506-6000(代表)
監督局銀行第一課(内線3751、3398)

サイトマップ

ページの先頭に戻る