平成17年4月22日
金融庁

事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)の一部改正案に対するパブリックコメントの結果について

金融庁では、貸金業関係の事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)の一部改正(案)について、平成17年3月4日(月)から25日(金)にかけて公表し、広く意見の募集を行いました。その結果、19の個人及び団体から69件のコメントをいただきました。ご意見をご提出いただいた皆様には、改正案の検討にご協力いただきありがとうございました。

本件に関してお寄せいただいた主なコメントの概要及びそれに対する金融庁の考え方は以下のとおりです。

また、本件と直接関係しないご意見も多くお寄せいただきましたが、これらにつきましては、今後の金融行政の参考とさせていただきます。

【内容についての照会先】

金融庁 電話:03-3506-6000(代表)
監督局銀行第二課金融会社室(内線3676)


コメントの概要とコメントに対する金融庁の考え方

番号 箇所(条文) 意見の概要 回答
3-2-2(2) 3-2-7に規定された事項を行っていないことが直ちに、法第13条第2項の「偽りその他不正又は著しく不当な手段」を用いたことになるわけではないと理解してよいか。 貸金業者が、貸金業の業務を行うに当たり、説明責任を十分に果たすことは、資金需要者等の保護の観点から重要と考えられるところであり、個々の事例において説明責任が果たされていないこと自体についても法第13条第2項に該当することがありうると考えられます。貸金業者が、こうした説明責任を十分に果たすことを確保するために必要かつ適切な措置を講じていない場合には、高い悪質性が認められる可能性が高いと考えられ、個別の事実関係に即して判断する必要があるものの、このような措置が講じられていない場合には、法第13条第2項に該当するおそれが大きいものと考えられます。
3-2-2(2) 貸金業規制法第13条第2項の規定に該当するおそれが大きい事項を列挙した3-2-2には、説明責任についての態勢整備に関する事項のみが掲げられ、説明責任それ自体は3-2-7として新規設定とされているが、3-2-7に定める説明責任が実行されない場合それ自体についても3-2-2の例示列挙に加え、行政処分の対象となることを明らかにすべきである。
3-2-2(2) 従業員に周知徹底を図るための措置が講じられていないことをもって、「債権管理・・・の業務を行うにあたり」「著しく不当な手段」を講じたことに「該当するおそれが大きい」とは言えないのではないかと思われるため、「該当するおそれが大きい」の字句を「該当するおそれが残る」に変更することを要望する。
3-2-2(2) 賛成する。但し、以下の事項を付加すべきである。
かかる周知徹底を図っているか否かを確認するためには、「社内規則」「業務マニュアル」「従業員研修の日時・内容」「違反が存した従業員・管理者に対する貸金業者の対処(懲戒処分の有無等)」を財務局又は都道府県知事に届け出させ、これをホームページ等で公表させる必要がある。
貸金業者が説明責任を十分に果たすことを確保するために必要かつ適切な措置を講じないことは、ガイドラインにおいて法第13条第2項に該当するおそれが大きいことを明示することとしたところであり、貸金業者はこうした措置の重要性を十分認識することになると考えますが、ご指摘の点は、今後の金融行政の参考にさせていただきます。
3-2-2(2) 説明責任を十分に果たすことを確保するために必要かつ適切な措置を講じるのは、貸付契約・保証契約を締結する場合と「強制執行認諾文言付き公正証書作成委任状を取得する場合」に事実上限定されて適用があると理解してよいか。 貸金業者は、資金需要者等の保護の観点から貸金業規制法及び事務ガイドライン等で規定されている説明責任を十分に果たすことを確保するために必要かつ適切な措置を講じることが求められます。
3-2-7 3-2-7は、その内容全てを、従前どおりの規定場所(取引の正常化)に規定した方がわかりやすいのではないかと思われることから、従前どおりに戻していただきたい。 貸金業者が、貸金業の業務を行うに当たり説明責任を十分に果たすことの重要性が高まってきていることを踏まえ、説明責任に係る規定を一部拡充した上で、説明責任に係る規定を整理した章を新設することとしました。
3-2-7 基本的には賛成であるが、説明責任の確保のためには、説明書面の交付(大きなポイントの活字を用いることを指定したもの)、受領書面の徴求の義務づけを行わないと実効性の確保は難しいのではないか。 貸金業者は、保証人となろうとするものに対しては、保証の種類(連帯保証、根保証等)及びその効力(根保証の場合における極度額の説明を含む)等をわかりやすく記載した書面を交付することが求められ(法第17条第2項、施行規則第14条第1号イ、3-2-7(5))、また、当該書面を交付するときは、その内容を十分に理解するよう説明を尽くすことが求められております(3-2-7(4))。
3-2-7 保証の説明につき、特に根保証について、「既存債務額、それも保証の対象に入ること。今後の追加貸付の可能性、それも保証対象に入ること」等を具体的に例示すること。 貸金業者は、保証人となろうとするものに対しては、保証の種類(連帯保証、根保証等)及びその効力(根保証の場合における極度額の説明を含む)等をわかりやすく記載した書面を交付することが求められ(法第17条第2項、施行規則第14条第1号イ、3-2-7(5))、また、当該書面を交付するときは、その内容を十分に理解するよう説明を尽くすことが求められております(3-2-7(4))。
3-2-7 根抵当権設定仮登記についても、公正証書作成委任状と同様に、説明責任を尽くす対象に加えること。 貸金業者は、契約を締結するに際して、契約内容を文書又は口頭で十分説明することが求められております(3-2-7(1))。
10 3-2-7(3) 形式的な説明にとどまらないように、最悪のシナリオを具体的例示をもって規定すべきである。 ご指摘の点を踏まえて、「最悪のシナリオ即ち実際に保証債務を履行せざるを得ない事態を想定した説明」について例示しました。
11 3-2-7(3) 「保証人の法的効果とリスクについて」の「最悪のシナリオ」とは、どの程度・範囲で説明しなければならないのでしょうか。
12 3-2-7(3) 賛成する。但し、以下の事項を付加すべきである。
貸金業者が説明を尽くすべき「最悪のシナリオ」の内容を具体的に例示しておかないと、なお形式的説明に止まるおそれがあることから、「最悪のシナリオ」の具体的内容として、
○連帯保証人には、催告の抗弁権、検索の抗弁権がないこと。
○主債務者から「迷惑を絶対にかけない」「自分が払う」「名目だけである」などど説明されていても、主債務者が支払を怠った場合は、貸付残金に遅延延滞金を付した金額を一括で支払わなければならないこと。
○保証債務を履行するために財産を処分しなければならなくなったり、保証債務を履行できない場合には、強制執行等により、給料や売掛金を差押えられたり、破産等の手続きを申し立てざるを得なくなる場合もあること(保証人予定者の職業・財産状況等に即して具体的に説明すること)。
を列挙すべきである。
13 3-2-7(3) 「最悪のシナリオ即ち実際に保証債務を履行せざるを得ない事態を制定した説明を行う」とは、わかりにくいと言わざるを得ない。にもかかわらず、最終的には行政処分の可能性が生じるのは、禁止される構成要件が明確ではないということにもなりかねないことから、「例えば、保証債務の形式的な内容にとどまらず、保証人の法的効果とリスクについて、最良のシナリオだけでなく、最悪のシナリオ即ち実際に保証債務を履行せざるを得ない事態を想定した説明を行う」の字句の削除を要望します。
削除されないのであれば、「最悪の場合、保証人として主債務者の債務を負担することになること」以上のことの説明をすることまでは含まないものと理解してよいか。
貸金業者が、貸金業の業務を行うに当たり、説明責任を十分に果たすことは、資金需要者等の保護の観点から重要と考えられるところであり、個々の事例において説明責任が果たされていないこと自体についても法第13条第2項に該当することがありうると考えられます。貸金業者が、こうした説明責任を十分に果たすことを確保するために必要かつ適切な措置を講じていない場合には、高い悪質性が認められる可能性が高いと考えられ、個別の事実関係に即して判断する必要があるものの、このような措置が講じられていない場合には、法第13条第2項に該当するおそれが大きいものと考えられます。
14 3-2-7(3) 保証人自身の正しい判断ができるよう、説明の内容につき、「書面及び口頭で、主債務者とは別に、十分な時間をかけ、拒絶・留保できることも含め、十分な理解・承諾が得られるまで、説明をつくさなければならない」とすること。 貸金業者は、保証人となろうとするものに対しては、保証の種類(連帯保証、根保証等)及びその効力(根保証の場合における極度額の説明を含む)等をわかりやすく記載した書面を交付することが求められ(法第17条第2項、施行規則第14条第1号イ、3-2-7(5))、また、当該書面を交付するときは、その内容を十分に理解するよう説明を尽くすことが求められております(3-2-7(4))。
15 3-2-7(3) 貸金業者に、保証について説明責任を果たすことは当然と考えますが、その説明義務の範囲・程度は、貸金業者が一律に説明を尽くしたとしても、保証人により理解力や判断能力は違うと考えます。貸金業者としては、説明を十分に尽くした場合、保証人が保証内容を理解したと判断する基準はどの様なものでしょうか。 ご指摘のように、「その説明義務の範囲・程度は、貸金業者が一律に説明を尽くしたとしても、保証人により理解力や判断能力は違うと考え」られるところであり、一律にその理解度等を判断する基準を示すことは困難と考えられますが、貸金業者は、個々の顧客等の理解力に応じた説明が行えるよう、必要かつ適切な措置を講じる必要があると考えられます。
16 3-2-7(3) 保証契約の説明義務を果たしたことを証する為、貸金業規制法第17条第2項書面に「保証契約について説明を受けました」との承認欄を設け、当該保証人に署名をさせたいと考えますが適当でしょうか。 貸金業者が顧客に対し十分な説明を行い、顧客がその説明を十分に理解したことの確認の方法については、各貸金業者の判断に委ねられることになると考えられます。
17 3-2-7(5) 賛成する。但し、以下の事項を付加すべきである。
貸金業者が説明を尽くすべきの内容を具体的に例示しておかないと、なお形式的説明にとどまる危惧がある。実質的な内容の例示として、例えば、
○公正証書が作成されると、貸金業者は、あなたの給料・売掛金・動産・不動産への強制執行を申し立てることができます。
○公正証書は利息制限法所定の制限の範囲内でしか作成することができませんが、借換等をする公正証書を作成する場合には、利息制限法上有効に存在する債務残高と異なる貸付金額に基づいて公正証書が作成されてしまう恐れがあります。
○仮に利息制限法上有効に存在する債務残高と異なる公正証書が作成されたり、あなたの弁済内容が正しく反映されずに過大な債権額に基づき強制執行がなされたとしても、あなたが、自ら請求異議訴訟等を提起して、強制執行の取消等の申し立てをする負担を負うことになります。
を列挙すべきである。
ご指摘の点を踏まえて、「実質的な内容を十分に理解しうる」ような説明について例示しました。
18 3-2-7 保証業者への保証委託を貸付にあたって求める場合には、保証業者と貸金業者との関係、保証業者が代位弁済する条件、保証料を年利で引き直した場合の利率等を説明する責任を課すべきである。 今回の改正においては、貸金業者が保証人契約を締結しようとする場合及び公正証書作成委任状を取得する場合についての説明責任についての規定の整備等を行ったところです。
19 3-2-7 さらに利用者保護の観点から、以下の点を貸金業者の説明責任として追加すべきである。
利息制限法を超える約定利息を定める貸付について
 ・ 利息制限法を超える約定部分が無効であること
 ・ 超過部分の支払いを強制されないこと
20 3-2-8(1) 取引履歴の開示について、一切の限定なく、取引当初からの取引履歴を直ちに開示する責任を明確にすべきである。

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