政策評価に関する有識者会議議事要旨

1.日時

平成16年6月18日(金)14時00分~15時15分

2.場所

中央合同庁舎第4号館9階 金融庁特別会議室

3.出席者

片田哲也 (株)小松製作所相談役特別顧問、

関哲夫 新日本製鐵(株)常任顧問、

翁百合 (株)日本総合研究所主席研究員、

田辺国昭 東京大学大学院法学政治学研究科教授、

富田俊基 (株)野村総合研究所研究理事、

吉野直行 慶応義塾大学経済学部教授

(金融庁側出席者)

高木長官、増井総務企画局長、鈴木総務企画局審議官、木下総務企画局参事官、大藤総務企画局総務課長、寺田総務企画局総務課管理室長、桑原総務企画局政策課長、中村総務企画局政策課企画官、居戸総務企画局企画課長、佐藤検査局長、厚木検査局総務課長、五味監督局長、河野監督局総務課長、新原証券取引等監視委員会事務局長、林証券取引等監視委員会事務局総務検査課長

4.議事

  • (1)平成16年度金融庁政策評価実施計画(案)について(事務局説明)

  • (2)意見交換

5.会議においてメンバーから出された主な意見等

  • 評価の類型については良いと思うが、成果が上がったか上がらなかったという評価をどういう軸でやるのか。例えば、ただ政令・府令を整備したとか税制改正要望したということでは成果として評価されないと思う。

  • 重点施策の中には、例えば、検査マニュアル・事務ガイドライン等の公表といったいわゆる日常業務的なものがあるが、整理が必要ではないか。

  • 政策の目標一覧表というのは、非常に体系的で充実してきたように思う。また、7段階に分けて評価するというのも、事前に提示することは、政策評価としてみてはかなり、進展してきたものと思う。ただ、どのような状態になったらどう評価するのかということが事前に明確になれば、政策評価としてみれば、完成度の高いものになると思う。

  • 金融規制に関するRIA(規制影響分析)は、なかなか難しいところがあると思う。経済規制や社会規制とも違い、おそらくプルデンスを確保するための規制になると思うが、それに関する費用と便益と代替案といった情報をどう出していくのかが難しいことに留意する必要があると思う。

  • RIAは、むしろ、プロセスとしての役割が重要で、オープンな場でコンサルテーションを行い、情報と規制の質を上げていく仕掛けとして考えてはどうかと思う。

  • 政策と重点施策と参考指標について工夫が必要。施策と指標の対応関係をみると、何に着目して評価するのかというのが分かりにくいものがあり、もう少し工夫して、具体的なことが書かれるといいのではないかと思う。

  • 16年度は集中処理期間の最終年度であるが、経済の実態の流れからいうと、特にメガバンクについては、早くグローバル水準の金融サービスが実施できるような状況にする必要があり、集中調整期間からの政策転換というのは、早く行うべきではないかと思う。

  • 地銀等については、金融機関の再編・統合は今後も継続し得ることを想定して、引き続き金融システムの安定化対策を実施することが必要だと思う。

  • ペイオフ解禁は全面解禁を来年4月に控えているが、このところ経済状況が非常に改善され、ペイオフ全面解禁に対する世論、注目が少なくなっている。しかし、この問題の重要度は少しも減っておらず、解禁拡大に係る周知徹底は、時期を見て強化する必要があると思う。

  • 破綻処理のための態勢の整備について、特に地方金融機関等における名寄せの問題について、準備体制が万全であるのなら、何らかの時期に確認的なアナウンスメントが必要ではないかと思う。

  • アジア諸国との国際的な金融システムについての連携のようなものをどう考えていくのか。例えば国際間の証券決済など今後検討される分野で、いち早くアジアを巻き込んだ議論を進めるなど、戦略的な取組みが織り込めないか。

  • 不良債権処理と同様に重要なことは、日本の金融業がもっと収益を上げられることであると思う。この観点から、日本の金融業が今後収益を上げるためには、国際競争力の向上について対応する必要があると思う。

  • 銀行と証券、あるいは銀行と保険との垣根がとれ、非常に多品種多項目な商品が出回っていることを考えると、総合的な金融サービス法の取組みに向けて中期的なロードマップのようなものを示してはどうか。

  • 銀行に関しては、検査等当局の努力や会計制度の進展により、透明性が増し、リスク管理等を向上させるような試みがかなり進んできていると思うが、保険についてはこの点についての考えが見えないという印象がある。

  • 金融の知識の普及については、投資教育や貸金業に関する多重債務の問題も含め、是非、小中学校の教科書に入れるところまで進めてはどうか。

  • 昨今、いろいろデータの守秘義務の問題が出てきている。金融庁においても、今後、ペイオフや名寄せが始まるなかで、個人情報が漏洩された場合の対応や罰則などについて、もう少し気をつけてはどうか。

  • 国際会計基準の国際的な対応の整備の問題について、日本企業の国際基準への適応時期に関する明確な見通しを示せないか。また、適応までの猶予の間は気を緩めることなく、国際会計基準審議会(IASB)との交渉に当たり、日本の会計基準が受け入れられるようリーダーシップを発揮していく必要があると思う。

  • 金融業の内部組織の変革のなかでは、そこで働いている職員のインセンティブメカニズムを、望ましい方向にもっていくようなやり方が必要だと思う。例えば、職員にとっては手数料の設定が高い金融商品を売ることになるが、一方で、それが消費者によっては合わない商品の場合もあり、行員に対するインセンティブメカニズムと利用者の本来の利益を合わせることが必要ではないか。

  • 公的金融のあり方(郵貯の問題)に関して、金融業界を所管する立場から、どう考えるのか。市場の安定性や公正性を考慮した上で、今後の方向性に触れる必要があるのではないか。

  • いわゆる持合の解消で、結局、金融機関の株式の3割近くが外国法人が所有することになった。金融を監督する立場で、例えば主要銀行の外国人による持ち株比率が50%を超えることについて、どう考えるか。

  • 金融機関が証券業務を行う場合における留意事項としては、利益相反の問題なり、チャイニーズウォールをどういうふうにするかについて、金融審等での検討状況を踏まえながら、具体化が必要になってくると思う。

  • 審議会とか研究会といった場ではなかなか言えない情報について、何らかの形でうまく民間との間で情報交流・意思疎通の場を作ってはどうか。

  • 業務支援基盤に係る政策のところで、「行政事務の効率化のための情報化」が挙げられているが、金融機関側のシステム負担や時代に応じた見直しも踏まえて、進めていく必要があると思う。

  • 研究については、簡略なものでもいいので、報告書の英訳を作り、ホームページに出してはどうか。

(以上)

【連絡・問い合わせ先】

金融庁 Tel:03-3506-6000(代表)
総務企画局政策課(内線3193、3160)

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