平成17年4月6日
金融庁

企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令案に対するパブリックコメントの結果について

金融庁では、企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令案について、平成17年3月8日(火)から16日(水)にかけて公表し、広く意見の募集を行いました。その結果、12の個人及び団体から36件のコメントをいただきました。ご意見をご提出いただいた皆様には、改正案の検討にご協力いただきありがとうございました。

本件に関してお寄せいただいた主なコメントの概要及びそれに対する金融庁の考え方は以下のとおりです。

また、本件とは直接関係しないご意見も多くお寄せいただきましたが、これらにつきましては、今後のディスクロージャー制度の整備にあたっての参考とさせていただきます。

【内容についての照会先】

金融庁 Tel:03-3506-6000(代表)
総務企画局企業開示参事官室 芳賀(内線3652)、大谷(内線3669)


コメントの概要とコメントに対する金融庁の考え方

1.有価証券届出書等の記載上の注意の明確化

コメントの概要 コメントに対する考え方
 「(株式等の)所有者別状況」及び「役員の状況」について、「他人名義で所有している株式等を含む」場合の実際の運用に当たって、(1)役員が役員持株会で決算期末で保有する単位株、(2)本人名義保有分での単位未満株と役員持株会での単位未満株を合算した場合に単位株となるような場合、実務的には合算できませんが(議決権を保有できない)、有価証券報告書等では単位株としてカウントする必要性の有無、(3)従業員持株会は実質保有の概念を適用せず一株主として考えてよいか。
 質問の趣旨は、上記(1)のケースにおいては、「役員持株会名義であるが実質保有している」と考えるが、(2)のケースにおいては実務上合算できない(議決権を保有できない)のでカウントしなくてもよいと考えるが、そのように理解していいか。
 また、(3)のケースの従業員持株会で実質保有の概念をあてはめると、「所有者別状況の個人名義が拡大し、持株会名義分が大幅に減り、大株主10位に持株会が入っているところに影響を与えるため、従業員持株会は持株会を一株主としてカウントし、役員持株会のみ実質保有の概念を適用すると解釈してよいか。
 (1)の「役員持株会で保有する単位株」については、役員持株会の実態によって取扱いが変わるものと考えます。
 例えば、株主名簿に「持株会」名義で登録されていること、議決権行使は「持株会」が行うこと、配当金を「持株会」でプールし運用するシステムとなっていることなど、事実上「持株会」が株主となっている場合は、役員個々の所有株式に含める必要はないと考えますが、これらの要件を満たさなければ、役員個々の所有としてカウントする必要があると考えます。
 (2)について、仮に、役員持株会の所有が役員個々の所有とみなされるとした場合、単位未満株を集めて、一単位株以上として議決権のある株式に変更できるのであれば、合算する必要があると考えます。
 (3)の「従業員持株会」についても(1)の「役員持株会」と同様です。
 第二号様式記載上の注意(41)e「大株主の状況」について、大量保有報告者が大量保有報告書の写しの送付を怠ったときに、会社が他の手段において大量保有報告書の提出を知りえた場合、あえて確認を行わなくても法令違反を問われないものと考えてよいか。  大量保有者が、発行者である会社に対し大量保有報告書の写しを送付しない場合は、法令違反となり罰則の対象となります。
 一方、発行者たる提出会社が、大量保有者からではなく、他の手段で大量保有報告書を入手した場合の確認について、特に規定はありませんが、実質の保有者を確認する方法の1つとなるものであれば、当該報告書により確認することが望ましいと考えます。

2.コーポレート・ガバナンスに係る開示の充実

コメントの概要 コメントに対する考え方
 第二号様式記載上の注意(52-2)a「コーポレート・ガバナンスの状況」の記載について、従来、監査報酬の内容は、監査契約に基づく監査証明に係る報酬とそれ以外の報酬に区分して記載することが示されていたが、この記述では監査報酬の内容が不明確であり、開示に際して判断に迷うことがあったものと思われる。そのため、改正案のように公認会計士法第2条に基づいて区分し、監査人の報酬を開示することに賛成する。
 監査報酬の開示を行う趣旨は、監査人の独立性の保持に関する投資者への情報提供にあり、監査報酬に対して、非監査業務に係る報酬が著しく多額の場合に、監査人の独立性に疑念がもたれないようにすることと解される。
 監査報酬については、商法計算書類の営業報告書でも会計監査人へ支払う金銭その他の財産上の利益の金額(商法施行規則第105条第1項)として開示されるので、有価証券報告書と営業報告書の情報が相違すると、利用者に混乱を与えるおそれがあると思われる。
 そこで、監査報酬の開示の趣旨を考えて、営業報告書の監査報酬の開示と同様の開示を有価証券報告書において行ったとしても、問題ないものと考えるが、よろしいか。
 監査報酬の内容は、その明確化の観点から、「公認会計士法第2条第1項に規定する業務に基づく報酬とそれ以外の業務に基づく報酬に区分する」こととし、当該公認会計士法第2条第1項に規定する業務として記載すべき業務をガイドラインにおいて明確化する予定です。
 なお、監査報酬等を含む企業統治に関する事項の記載項目は、例示として規定されていますので、提出者が、投資者にとって有用な情報を工夫して作成することは可能であると考えます。
 第二号様式記載上の注意(52-2)a「コーポレート・ガバナンスの状況」の業務を執行した公認会計士の継続監査年数の算定の仕方(計算の開始初年度等)又は考え方を明確にする必要があるのではないか。
 例えば、監査補助者から業務執行社員になった場合の算定の仕方、海外事務所への駐在などにより一時的に提出会社に関わっていない時期の取扱い、商法特例法の監査だけを受けていた会社が株式の公開により有価証券報告書の提出会社になった場合の計算の開始初年度の取り扱いなどが考えられる。
 監査補助者の構成を記載することが要求されているが、その内容も例示して頂きたい。
 ただし、有価証券報告書を提出するまで監査人の業務は継続しているので、従事日数や時間の集計はできないので、記載もできないものと考える。
 業務を執行した公認会計士の継続監査年数は、提出会社の財務書類について連続して公認会計士法第24条の3に規定する監査関連業務を行っている場合の監査年数であることを内閣府令において明確にします。
 監査補助者の構成は、公認会計士、会計士補、事務職員、アルバイト職員等に区分した人数を記載することが考えられます。
 第二号様式記載上の注意(52-2)a「コーポレート・ガバナンスの状況」の監査報酬の内容について、公認会計士法第2条第1項業務以外の報酬を得ている場合は、投資者が知りたい内容であるので、報酬の区分だけではなくその業務の内容も記載させるものとしていただきたい。  監査報酬等を含む企業統治に関する事項の記載項目は、例示として規定されていますので、提出者が、投資者にとって有用な情報を工夫して作成することは可能であると考えます。
 従来から第二号様式記載上の注意(52-2)a「コーポレート・ガバナンスの状況」においては、「提出会社の企業統治に関する事項」の例示として「内部統制システムの整備の状況」が挙げられているが、内部統制の整備・充実は、会社情報の信頼性を確保するための基盤となるものであり、最重要事項であることから、これを例示ではなく強制開示事項とすることを要望する。  コーポレート・ガバナンスに関しては、平成16年12月28日に金融庁の対応として、「ディスクロージャー制度の信頼性確保に向けた対応(第二弾)について」を公表しており、その中に盛り込まれた「コーポレート・ガバナンスに係る開示の充実」として列挙されたものの改正を行ったものです。
 ご指摘のような改正については、今後の開示内容についての検討の際の参考とさせていただきます。
 第二号様式記載上の注意(52-2)c「コーポレート・ガバナンスの状況」の社外取締役及び社外監査役について、提出会社との人的関係、資本的関係その他を記載することが要求されているが、抽象的な表現にとどまっているので、具体的な内容を例示して頂きたい。  社外取締役及び社外監査役と提出会社との人的関係、資本的関係等には、社外取締役又は社外監査役(その近親者を含む。)が就任する会社との人事、資金、技術及び取引等の関係を記載することが考えられます。
 第二号様式記載上の注意(52-2)d「コーポレート・ガバナンスの状況」の「業務を執行した公認会計士の氏名」等の記載は、有価証券報告書等に記載するのではなく、監査概要書に監査法人が記載すべき事項であると思う。被監査会社に記載させることは両者間の責任の問題等があり、困難である。  監査法人に関する記載は、監査法人の監査業務の内容を記載するものではありませんので、ご指摘のような懸念はないと考えます。
 外国会社の有価証券届出書及び有価証券報告書においては、第二号様式記載上の注意(52-2)「コーポレート・ガバナンスの状況」のうちdについては記載する必要がないことを明確にすべき。
 外国会社は、証取法第193条の2に定める公認会計士等の監査証明を受けないのが通常であるから「業務を執行した公認会計士」に該当する者は存在しない。公認会計士等の監査証明に相当する海外会計事務所の監査証明については、海外では監査意見書は事務所名で発行することが通例であり、また、海外において個々の監査担当者の氏名が開示される実例は皆無又は稀有であると思われるので、かかる開示を外国会社に対して強制すべきではない。更に、日本の公認会計士の監督官庁は貴庁であるが、海外の会計事務所に対する監督権限があるわけではない。海外監督官庁の判断において特段個々の会計士の氏名の開示が求められていないのであれば、有価証券届出書等において個々の会計士の氏名を明らかにする必要性は乏しい。
 同様に、監査の審査体制や補助者の構成に対する記載も不要と解するべきである。
 外国会社の有価証券届出書及び有価証券報告書は、それぞれ第七号様式及び第八号様式により作成されますが、これらの様式にも「提出会社の親会社の情報」欄を設け、内国会社の有価証券届出書(第二号様式)の記載に準じて記載することとします。
 ご指摘のように、海外の公認会計士等による監査制度はわが国の制度と異なり、必ずしも内国会社と同様の記載を行うことができない場合もあり得ると考えますが、提出会社において可能な限りの開示を行っていくことが適切であると考えます。

3.親会社が継続開示会社でない場合の親会社情報の開示の充実

コメントの概要 コメントに対する考え方
 第二号様式記載上の注意(70)a「提出会社の親会社の情報」は、「企業内容等に関する書類について本邦において閲覧することができる状態」について、(1)通常の環境でインターネットにより証券取引所又は監督官庁のホームページにアクセスし、EDINETと同様なシステムを通じてこれらの電磁的情報を閲覧することができれば、本邦での閲覧とみなすこと、(2)英語による文書であっても差し支えないこととすべき。なお、この場合、英語以外の言語による開示でも差し支えないと考えるが、そういう理解でよいか。  貴見のとおりです。
 第二号様式記載上の注意(70)a「提出会社の親会社の情報」の本文で除外されない外国会社は正式な監査証明(日本の商法監査が付されているもの)が付されず、本国において公表されていないため、当該外国会社に関しては、計算書類及び監査証明の添付を省略することを認めるべき。なお、かかる情報がdにいう「記載できない理由」として認められるのであれば、その点を明確にしていただきたい。
 また、第二号様式記載上の注意(70)a「提出会社の親会社の情報」の本文で除外されない外国会社はかかる株主情報を確定することが本国の規制上要求されていないのであるから、かかる情報の記載を免除すべき。
 親会社が外国会社の場合には、親会社が内国会社の場合の記載事項に準ずるものを記載することとします。
 ご指摘のように、外国会社である親会社の記載事項について、必ずしも内国会社と同様の記載を行うことができない場合もあり得ると考えますが、提出会社において可能な限りの開示を行っていくことが適切であると考えます。
 第二号様式記載上の注意(70)a「提出会社の親会社の情報」について、証取法の改正によって親会社報告書の提出が必要となるまでは記載は任意と考えてよいのか。また、非上場会社において親会社の情報を記載することには意義が薄いと思われるが、非上場であることを理由に親会社情報を記載しないことは可能か。  任意の記載ではなく、記載することを義務とします(親会社の情報の全部又は一部について記載できない場合には、その理由を記載することとなります。)。
 なお、今回の親会社の情報の開示対象者は法律案と同様、提出会社の有価証券が上場又は店頭登録されている場合に限ることとし、その旨を内閣府令において明確にします。
 第二号様式記載上の注意(70)a(a)「提出会社の親会社の情報」の記載時点は提出会社の決算日とする必要があるのか。把握可能時点でよいのか。
 同記載上の注意a(b)の監査報告書は原本を添付する必要があるのか。EDINETではPDFファイルとする必要があるのか。
 届出書における他の記載項目と同様に、親会社の情報としての「株式の所有者別状況」「大株主の状況」については届出書提出日の最近日現在の状況を、「役員の状況」については届出書提出日現在の状況を記載することとなります。
 監査報告書は原本ではなく、その副本、写し等の添付で構いません。
 第二号様式記載上の注意(70)a(b)「提出会社の親会社の情報」の開示水準が、提出会社の有価証券報告書における開示水準を超えることのないよう、規定されるべきものと考える。
 具体的には、附属明細書は、商法第282条においてその閲覧が「株主」、「債権者」及び「裁判所の許可を得た親会社の株主」に限定されており、有価証券報告書の記載項目に比べてより詳細な情報が記載されている(子会社出資の取得原価や、取締役等の報酬「限度額」、経費のより詳細な内訳など)。
 有価証券報告書にて記載すべきとされている項目・内容以外については省略も可能としていただきたい。
 提出会社の有価証券報告書には、証券取引法に基づいて作成された財務諸表(附属明細書を含む。)を記載することとされております。その提出会社を支配する親会社のコスト負担を軽減する観点から親会社に係る財務情報については証券取引法に基づく財務諸表と同等の情報として、商法に基づく計算書類等及び附属明細書の記載を求めるものであり、その一部について記載を省略することはできないと考えます(親会社の情報の全部又は一部について記載できない場合には、その理由を記載することとなります。)。
 第二号様式記載上の注意(70)e「提出会社の親会社の情報」の定義について、同一の書類(有価証券届出書)で、親会社の定義が異なるのは投資者の誤解を招く(つまり、原則として親会社の定義は、財務報告の観点から財務諸表等規則第8条第3項の実質支配力基準によるのであり、連結の観点(又は、「関係会社の状況」における「親会社」)からは親会社であるのに、上記の親会社情報では親会社とならない会社が存在することになる。)。本件では例えば、「過半数議決権保有者」等の用語によるべきである。この点は、提出会社となる外国会社が理解に苦しむ点であるから、用語は区別すべきである。  情報の開示を求める親会社の範囲は、ご指摘のとおり、財務諸表等規則第8条第3項の親会社とは異なるため、それを明確にするため、記載上の注意にその範囲を明記するとともに、「親会社等」として財務諸表等規則第8条第3項の「親会社」とは区別することとします。
 第二号様式記載上の注意(70)e「提出会社の親会社の情報」の親会社の定義によると、提出会社が実質的な意思決定会社(グループ会社の頂点となる会社)のひ孫会社である場合など、親会社に更に親会社が存在する企業グループである場合には、すべての親会社に係る情報を開示するとしている。しかしながら、先般、取引所において導入された親会社等の会社情報の適時開示においては、複数の親会社等を有する場合には最も影響を与えると認められる1社のみを開示対象としていることから、開示府令においても同様に最も上位に当たる親会社のみを開示するとしていただきたい。
 さらに、原案では、「【提出会社の親会社の情報】」を項目立てした上で、提出会社の親会社が継続開示会社である場合及び親会社がない場合にもその旨を記載することとされているが、継続開示会社でない親会社を有する会社は数十社に過ぎないことから、本項目は該当会社のみ記載する方法についても検討いただきたい。
 提出会社を直接又は間接に支配をしている会社が複数ある場合、それぞれの会社が提出会社に影響力を及ぼす可能性があることから、直接又は間接に過半数を支配している会社であれば、親会社としてその情報を求めるものです。
 なお、親会社に当たる場合のみ記載するとの意見もありますが、親会社がない、若しくは親会社が継続会社である等を明確にすることは、投資者にとって有用な情報であると考えます。
 第二号様式記載上の注意(70)e「提出会社の親会社の情報」は規定が分かりにくいので、もう少しわかりやすい表現にして頂きたい。  提出会社の親会社は、関係会社間での株式保有について様々な形態をとることが想定される中で、提出会社の株式の過半数を直接又は間接に保有している会社をいいます。
 第二号様式記載上の注意(70)e「提出会社の親会社の情報」における「所有の態様に応じて総株主の議決権に類するもの」とは何か。ガイドライン等で具体的に示していただきたい。  「所有の態様に応じて」とは、例えば、総出資者の議決権、総組合員の議決権等が考えられます。
 第三号様式記載上の注意(49)a(b)「提出会社の親会社の情報」の「提出会社の当事業年度末以前の当該親会社の最近事業年度末」とは、提出会社と親会社の決算日が同じである場合、同一年度のことであるという理解でよいか。  貴見のとおりです。

4.その他

コメントの概要 コメントに対する考え方
 今回の内閣府令改正案については、開示の充実(例えば、親会社が継続開示会社でない場合の親会社情報の開示の充実)を図るものであり、賛成する。
 今回の改正は前進であるが、もう一歩進むべきであろう。
 アメリカであったように財務報告にかかる内部統制の有効性を評価した内部統制報告書の作成を経営者に義務づけ、公認会計士による検証を受けることとすべきであろう。さらに内容に関しても、特に内部統制に関し、アメリカ型フレームワークを導入すべきと思われる。これらの導入には、コストの増大が不可避である。しかし公開企業においては、よりよい企業統治の確立のためには外部の会計士等による内部統制監査は不可避である。
 平成16年12月28日に金融庁の対応として、「ディスクロージャー制度の信頼性確保に向けた対応(第二弾)について」を公表しており、その中で「財務報告に係る内部統制の有効性に関する経営者による評価と公認会計士等による監査」に関する具体的な検討を企業会計審議会に要請しました。本年1月28日より企業会計審議会において審議中です。
 証券取引法に規定する交付書類(目論見書等)の電磁的方法による提供が認められるための要件である(1)当該ホームページアドレス等の顧客ファイルへの記録、(2)顧客が閲覧していたことの確認、については、「ホームページアドレスの記録をした旨、及び目論見書の閲覧を口頭で確認し、その会話については録音する等の手段は可能であると考えられるが、どうか。  貴見のとおりです。

サイトマップ

ページの先頭に戻る