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平成17年10月28日
金融庁

公的資金(優先株式等)の処分の考え方について

公的資金による資本増強については、当初の資本増強以来6年以上が経過し、この間、資本増強を受けた金融機関(以下、「公的資本増強行」)において、健全性が向上し、また、民間からの資本調達も概ね可能になる等、経営健全化計画のフォローアップは引き続き求められるものの、総じて見れば所期の目的を達しつつある状況となってきている。

こうした公的資本増強行を巡る局面の変化に応じ、国の役割に関しても、公的資本増強行の経営の健全性の維持や市場への悪影響の回避を前提としつつ、従来以上に、「納税者の利益」の立場により重きを置いた公的資金(優先株式等)の管理が求められるようになってきている。

以上の認識に立ち、今後の公的資金(優先株式等)の処分について、以下の通り考え方の整理を行った。

  • (1)公的資本増強により取得した優先株式等の処分については、これまでも、公的資本増強行の申出により、優先株式の商品性や株価の状況等を踏まえ、資本増強額以上の額で、即ち、国に利益が得られる形で処分が行われてきている。また、公的資本増強行の財務や市場の状況等に応じ、当該行による剰余金をもってする返済(買入)のほか、第三者への売却や市場での売却など多様な手法が見られるようになってきている。

    公的資本増強行においては、今後とも、より一層企業価値を向上させ、自らの資本政策を固めた上で、預金保険機構の定めるいわゆる「3原則」(○経営の健全性の維持、○国民負担の回避、○市場への悪影響の回避)を満たす形での公的資金の返済等に、引き続き主体的に取り組んでいくことが望ましいと考えられる。

  • (2)あわせて、公的資本増強行を巡る局面の変化に応じた国の役割として、「納税者の利益」の立場により重きを置いた財産管理という観点を踏まえると、民間株主の投資行動に準じ、優先株式の商品性や株価の状況等に着目して、公的資本増強行の経営の健全性の維持及び市場への悪影響の回避を前提としつつ、金融システム安定化の果実として公的資金から生じる利益を確実に回収することを基本とすることが適当と考えられる。このことは金融システム安定化のために用いられた公的負担の最小化にも資することとなる。

    なお、公的資本増強により取得した優先株式等の処分は、従来と同様、市場実勢等を反映した公正な価値を拠り所として行われるべきである。

  • (3)以上を踏まえ、優先株式等の処分を所管する預金保険機構においては、今後とも、公的資本増強行自らの資本政策に基づく申出による処分を基本としつつ、あわせて、優先株式の商品性やその時点での株価の状況等を踏まえ、適切かつ柔軟な対応を行いうるようにしておくことが求められる。

    このため、転換権などの優先株式の商品性を裏付けとした対応について、市場等における予測可能性の確保のためにも、預金保険機構において予め具体的な方針を明らかにしておくことが有意義である。

    なお、預金保険機構において、今後の優先株式等の処分にあたり、従来と同様、公的資本増強行の経営の健全性の維持及び市場への悪影響の回避に十分留意すべきことは当然である。また、処分を円滑に進めるためにも、引き続き公的資本増強行の資本政策等をできる限り尊重するとともに、具体的な対応の検討に際しては当該行と十分協議を行うことが必要である。


(参考)

◎既存の諸原則

  • ○早期健全化法の目的

    • 不良債権処理の促進、(民間からの自己調達が困難な状況において)公的資本増強による金融機能の早期健全化を図ることにより、金融システムの再構築と経済の活性化に資すること(第1条)
  • ○早期健全化法の原則

    • 早期処分の原則(第10条第2項第6号)
    • 社会経済的費用の最小化の原則(第3条第1項第4号)
  • ○『資本増強のために引受等を行った優先株式等の第三者への売却処分又は公的資金の返済等の申出に対する当面の対応について』(平成16年7月8日:預金保険機構)に定める3つの判断基準(いわゆる「3原則」)

    • 銀行経営の健全性を損なわないこと
      • 返済等の後においても十分な自己資本比率を確保できるか

      • 経営健全化計画の履行状況、市場の評価等に問題がないか

    • 国民負担を回避すること
      • 取得価格以上の適正な価格で返済等が可能か

    • 金融システムの安定性を損なわないこと
      • 当該返済等が方法、規模等から見て市場に悪影響を与えるものではないか

◎『転換権付優先株の転換権行使について(抄)』

(平成11年6月29日:金融再生委員会)

経営健全化計画が的確に履行されている場合については、基本的には議決権の行使を目的とする転換権の行使は行わない。優先株式を処分する際の転換権の行使については、金融システムの安定化等、早期健全化法の趣旨や財産管理上の観点を踏まえ、具体的な処分方針について預金保険機構において検討を行う。

問い合わせ先

TEL 03-3506-6000
監督局総務課信用機構対応室(内線3222)


なお、「公的資金(優先株式等)の処分の考え方について」を受け、本日(10月28日)、預金保険機構において、以下が公表されております。

『資本増強のために引受け等を行った優先株式等の処分に係る当面の対応について』新しいウィンドウで開きます
(平成17年10月28日:預金保険機構)

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