英語版はこちら新しいウィンドウで開きます

平成18年3月3日
金融庁

韓国外換銀行在日支店に対する行政処分について

I .命令の内容

銀行法第47条第2項、第3項及び第26条第1項に基づく命令

  • 1.  平成18年3月10日から平成18年6月9日の間、外国為替送金を伴う法人顧客との新規取引業務(既存法人顧客との取引を除く業務)を停止すること。

  • 2.  在日外国人等による送金依頼をとりまとめ、正規の銀行を介して、外貨への交換及び予め依頼人から指定された国外の受取人への海外送金を手配する代理送金業者(銀行法違反の無免許営業を行ういわゆる地下銀行)との取引を排除すること、並びに、不正送金等に関与する状況を防止する態勢(人的構成と体制の構築を含む。)を構築すること。

  • 3.  法令等遵守(コンプライアンス)にかかる内部管理態勢(人的構成と体制の構築を含む。)を以下の観点から構築すること。

    • (1)法令等遵守(コンプライアンス)に取り組む経営姿勢及び責任体制の明確化

    • (2)役職員の法令諸規則に対する理解と遵守の徹底、並びに、法令遵守意識の醸成・向上

    • (3)法務・コンプライアンス機能の整備・強化

    • (4)組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律第54条に基づく疑わしい取引の届出義務を的確に履行する態勢の整備・強化、並びに、届出対象となった取引等の管理・監視・解消等にかかる態勢の構築

    • (5)韓国外換銀行(以下、「当行」という。)本店による当行東京支店及び大阪支店(以下、当該2支店を総称して「在日支店」という。)の業務運営の統括管理・監視機能の見直し・強化を含んだ内部管理態勢、並びに、システム管理及びバックアップのための態勢の整備

    • (6)法令諸規則に則った適正な業務運営・管理を確保するために行う監査方法・頻度等の見直し、並びに、実効性ある監査及び監査後のフォローアップの実施

  • 4.  法令違反を含む、下記 II .処分の理由、並びに、検査結果通知及び報告命令に記載された事項にかかる問題等の原因となった役職員の責任の所在の明確化。

  • 5.  上記2.3.及び4.並びに、検査結果通知及び報告命令に記載された事項にかかる業務の改善計画(改善計画を着実に実施するための行内の管理態勢の整備及び実効性確保にかかる責任の分担の明確化を含む。)を平成18年4月3日(月)までに提出し、直ちに実行すること。

  • 6.  上記5.の実行後、当該業務の改善計画の実施完了までの間、平成18年6月末を第一回目とし、以後、3ヶ月毎に計画等の進捗・実施及び改善状況をとりまとめ、翌月15日までに報告すること。

II .処分の理由

当庁の立入検査(平成17年12月19日通知)、並びに、銀行法第24条第1項及び第48条の規定に基づく在日支店からの報告によると、在日支店では法令等遵守(コンプライアンス)のための監視・牽制等が適正に機能せず、以下の法令違反や支店業務の運営・管理にかかる基本的な問題等が認められたこと。

  • 1.  当庁の今般の立入検査によって、当行東京支店では、平成13年5月から平成17年3月までの間、捜査当局に検挙された代理送金業者(銀行法違反の無免許営業を行ういわゆる地下銀行)が持ち込む多額の不正送金を反復・継続して受け付けていたことが判明した。当該業者は、本邦において当行東京支店にある当該業者名義の取引口座に小口資金を取りまとめ、日本と韓国との法人間の対外直接投資(貸付契約に基づく資金為替)を偽装し、韓国国内の当行の支店に一括して仕向け送金する指図・取引を繰り返し行っていた。

    しかし、当該業者によるこの一連の資金移動・決済は、当初から海外仕向け送金の根拠となる当該貸付契約が定める貸出額、実行日、条件・期間等とまったく合致せず、資金洗浄に利用され得る典型的な取引であるにもかかわらず、当行東京支店は、疑わしい取引の届出義務をまったく履行せずに、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律第54条に違反していること。

  • 2.  また、当行東京支店では、平成14年10月、当行及び支店業務の案内(情報提供・申込書類等の配布)や取引相談等を受け付ける相談所を都内に設置すると当庁に届け出ているが、当該相談所の立入検査を実施したところ、届出内容とは異なり、預金取引口座の開設、外国為替送金取引の受付、預金・為替取引の代り金(現金)の振込・当行受入れにかかる指図、当行本支店等への連絡と確認、手数料等の計算・収受にかかる業務など、銀行の支店の窓口事務に相当する業務が実際に行われており、銀行法第47条の2(従たる外国銀行支店の設置等)の規定に違反するおそれのある営業が認められていること。

  • 3.  在日支店では、各業務の適切な運営・管理に欠かせない具体的な事務手順や管理の方法等を定めた規程の策定や更新が行われていないため、実効性ある内部管理態勢が整備されていないこと。

    また、行員の事務・管理能力の育成や事務負担の軽減と業務の迅速化・効率化を図るシステム及びサポート体制の整備も経年適切に行われてこなかったため、業務システムのバックアップ、顧客データや重要文書等の情報管理、不祥事件等の届出と管理にかかる態勢などにおいて、基本的な問題や改善を要する状況が認められ、支店の預金者や利用者等に不都合や影響等が発生するリスクを有していること。

  • 4.  在日支店の自店検査の実施状況が形骸化しており、当行本店の内部監査部門においても、適正な周期と適切かつ十分な深度ある手法等による在日支店の監査が実施されていないため、上記の業務運営上の法令違反や問題等を指摘・牽制できていない現状が認められていること。

本件に関する問い合わせ先

金融庁 TEL 03-3506-6000(代表)
監督局銀行第一課(内線3751、3398)

サイトマップ

ページの先頭に戻る