平成17年10月28日
金融庁
保険金等支払管理態勢の再点検及び不払事案に係る再検証の結果について
1.報告徴求の概要
全ての生命保険会社(39社)より、以下の事項について、9月30日までに、報告が提出された。
(1)平成12年度から平成16年度までの間の保険金・給付金(以下「保険金等」)の不払事案について、各年度毎に、法令、当時の募集状況、約款及び事業方法書等に照らし、真に適正であったか否かの再検証の結果
(2)保険金等支払に関する重要な事項の決定等についての経営陣の関与の状況等、支払管理態勢の再点検の結果
2.不払事案に係る再検証の結果
(1) 各社よりの報告
明治安田生命以外の38社(以下「38社」)のうち、31社より、再検証の結果、不適切な不払と認められる事案の報告があった。
それらの事案の件数及び内容を、38社と明治安田生命に区分して整理すると、概要は以下のとおり。
○ 不適切な不払の件数
【グラフ1:不適切な不払件数】
(資料1)
【グラフ2:不払件数に占める不適切な不払の比率】
(資料1)
○ 不適切な不払の内容
【グラフ3 :不適切な不払の事由別構成 (保険金)】
(資料1)
【グラフ4 :不適切な不払の事由別構成 (給付金)】
(資料1)
○ 不適切な不払の年度別推移
【グラフ5:不適切な不払の発生の推移について】
(資料2)
(2) 不適切な不払の発生原因
不適切な不払の発生原因について、不払事由区分を組み合わせて分析したところ、明治安田生命と38社では、内容面でも以下のような相違があることが認められた(資料3参照)。
・明治安田生命 | : | 詐欺無効の不適切な適用や約款等に基づく不払事由を拡大解釈して適用するなど、意図性に基づくもの |
・38社合計 | : | 事実関係の調査確認不十分、事務的な確認不十分によるものが中心 |
3.支払管理態勢の再点検の結果
明治安田生命以外の38社から報告された再点検の結果を見ると、不適切な不払事案の発生に直ちにつながるような共通の問題点は認められなかったが、以下のような要改善点が認められた。
(1)支払査定基準等の改定等に関する経営陣の関与
- 支払査定基準の改定等に関して、相当数の社において、例えば支払担当役員や部長限りで決定がなされるなど、取締役会等や他部門による検証が十分に行われていない。
(2)支払査定の過程における外部チェック機能
- 社外の法的専門家や学識経験者等もメンバーに加え、外部による支払査定の適切性をチェックする仕組みを設けている社はない。
(3)不払状況の経営陣への報告
- 経営陣に当然報告されているべき不払状況について、取締役会等に全く報告がなされていない社が全体の四分の一を超えている。
(4)不払に関する苦情への適切な対応
- 支払担当部門への牽制機能に関して重要な役割を果たすべき不払や苦情への対応について、支払担当部門内部で処理している社が全体の三分の一を超えている。
【連絡・問合せ先】
電話(代表)03-3506-6000
金融庁監督局保険課(内線3335、3487)
<資料1> | 不適切な保険金・給付金の不払いの状況(PDF:43KB) |
<資料2> | 不適切な保険金・給付金の不払いの状況(不払区分別年度別表)(PDF:46KB) |
<資料3> | 不適切な不払の区分別発生原因(PDF:71KB) |