英語版はこちら新しいウィンドウで開きます

平成17年11月25日
金融庁

損害保険会社26社に対する行政処分について

  • 1.  付随的な保険金の支払漏れ(注)が判明した損害保険会社26社(以下「各社」という。別紙参照。)については、保険業法第128条等に基づく報告によると、各社共通して以下の点のような問題が認められた。

    • (注)  「付随的な保険金の支払漏れ」とは、保険事故が発生し、主たる保険金の支払いは行われているにもかかわらず、臨時費用保険金等の付随的な保険金(見舞金、香典、代車費用等)について、契約者から請求が無かったため、本来支払われていなければならないものを支払っていなかったことを指す。

    • (1)支払漏れ件数が計18万件を超える等、契約者への被害が広範に生じていた。また、保険業法第4条第2項第2号に掲げる事業方法書、同項第3号に掲げる普通保険約款に定めた事項に基づいた保険金支払が行われていなかった。

    • (2)経営陣は付随的な保険金の支払いに係る特性に応じた態勢整備の必要性に対する認識を十分に有しておらず、その整備を率先して行ってこなかった。また、経営陣は、適切な保険金支払いの重要性の認識が不十分であり、支払漏れを一部の項目の保険金で発見した場合においても他の保険金の支払漏れの有無を点検していない等、支払管理態勢の整備に向けた取組みが不十分であった。

    • (3)事務工程やシステム対応等を含めた支払事務に係る手続き等の適切な整備、正しい商品知識の徹底が不十分であり、適切に業務運営を行う態勢が十分に整備されていなかった。管理部門等は、付随的な保険金の支払いの適切性の認識が不十分であり、主たる保険金とは別に、付随的な保険金の支払いが適切に行われているかに至るまで点検する態勢が整備されていなかった。

    • (4)商品開発時において、損害賠償責任に係る典型的な損害保険とは異なる性質を持つ付随的な保険金を支払う商品が開発されているにもかかわらず、付随的な保険金の支払漏れを防止する為の関連部門の連携体制が、十分に構築されていなかった。

  • 2.  これらの発生原因は、個別事案の処理に関するものに留まらず、付随的な保険金にかかる商品開発から支払管理に至る態勢の不備に基づくものであり、経営管理(ガバナンス)態勢や内部管理態勢の欠陥といった構造的な問題に起因するものと認められる。

    このため、本日、各社に対し、保険業法第132条第1項等の規定に基づき、以下の内容の行政処分を行った。

    • (1)経営管理(ガバナンス)態勢の改善・強化

      • 付随的な保険金の支払漏れが生じないような適正な業務運営態勢の整備に経営陣が関与する体制の整備

      • 付随的な保険金の支払状況についても、適切に点検・内部監査等が実施されるとともに、その結果が経営陣に報告され、問題を認識した場合に、速やかに業務運営全般を是正する態勢の構築

    • (2)顧客に対する説明態勢の見直し・整備

      • パンフレット等の資料について、顧客に対して、どのような保険金が付随しているのかをわかりやすく解説したものとなっているか、検証を行い、問題があるものについては直ちに見直しを行うこと。

      • 顧客に案内する保険金請求書等の書面について、保険金を請求する事案が発生した際に、顧客に対して、どのような保険金が付随しているのかを案内できるものとなっているか、検証を行い、問題があるものについては直ちに見直しを行うこと。

    • (3)商品開発態勢の見直し・整備

      商品発売及び改定前に、商品開発担当部門、支払事務担当部門、システム担当部門その他関連部門相互における、保険金の支払漏れが生じないための連携体制の構築(例えば、上記(2)及び下記(4)において掲げた点等、商品発売前に検討すべき具体的な項目の整理を含む)

    • (4)支払管理態勢の検証・見直し

      • 支払事務工程の検証を行った上、必要な見直しを行うこと

      • システム、帳票類、規定・マニュアル類等の支払事務に係る手続き・書式等の検証を行った上、必要な見直しを行うこと

      • 支払事務関係者に対する教育・研修の徹底

      • 契約者から過去の保険金の支払漏れに係る照会が行われた場合、速やかに対応を行うことができる体制の整備、並びに、保険会社として過去の保険金の支払漏れの遺漏がないように検証できる体制の整備

    • (5)上記(1)から(4)について、具体策及び実施時期を明記した業務改善計画を平成18年1月13日までに提出すること。

    • (6)業務改善計画の実施終了までの間、計画の進捗・実施及び改善状況をとりまとめ、改善計画提出後6ヶ月毎に報告すること。

【連絡・問合せ先】

電話(代表)3506-6000
金融庁監督局保険課(内線3375、3342、3772)


別紙)

(損害保険会社名)

  • 東京海上日動火災保険株式会社
  • 三井住友海上火災保険株式会社
  • 株式会社損害保険ジャパン
  • 日本興亜損害保険株式会社
  • あいおい損害保険株式会社
  • ニッセイ同和損害保険株式会社
  • 富士火災海上保険株式会社
  • 共栄火災海上保険株式会社
  • 日新火災海上保険株式会社
  • 朝日火災海上保険株式会社
  • セコム損害保険株式会社
  • 明治安田損害保険株式会社
  • スミセイ損害保険株式会社
  • 大同火災海上保険株式会社
  • ソニー損害保険株式会社
  • セゾン自動車火災保険株式会社
  • 三井ダイレクト損害保険株式会社
  • そんぽ24損害保険株式会社
  • エース損害保険株式会社
  • アクサ損害保険株式会社
  • ジェイアイ傷害火災保険株式会社
  • アメリカン・ホーム・アシュアランス・カンパニー
  • エイアイユーインシュアランスカンパニー
  • チューリッヒ・インシュアランス・カンパニー
  • アシキュラチオニ・ゼネラリ・エス・ピー・エイ
  • ザ・ニュー・インディア・アシュアランス・カンパニー・リミテッド

サイトマップ

ページの先頭に戻る