平成17年12月22日
金融庁

みずほ証券株式会社に対する行政処分について

  • 1.  みずほ証券株式会社(関東財務局長(証)第108号)に対して、証券取引法(昭和23年法律第25号)第59条第1項の規定に基づき報告を求めた結果、以下のような問題が認められた。

    当社は、平成17年12月8日、東京証券取引所マザーズへ新規上場したジェイコム株式について、61万円で1株の売付けを受託したが、当社発注端末を使用して東京証券取引所へ発注した際、数量及び価格の入力を誤り、1円で61万株という誤った発注を行った。

    当該誤発注は、下記のとおり、当社の株券等売買発注業務に係る管理について問題があったことにより生じたものと認められる。

    • (1)株券等売買発注業務担当者に対する研修等の実施が不十分であったこと。

    • (2)発注端末の警告表示を解除する権限を、株券等売買発注業務担当者自身に付与するなど、発注業務に係る上席者等の関与が不十分であったこと。

    • (3)株券等売買発注業務担当者及び管理者が当該業務に不精通であるなど、人員配置が不適切であったこと。

    • (4)大規模な過誤注文等に対する危機対応策が未策定であったこと。

    • (5)発注に係る電子情報処理組織の設計管理が以下のとおり不十分であったこと。

      • i )発注端末に設定した発注金額及び株数に係る上限値の設定が、多くの場合過大であり、有効な制限として機能していないこと。

      • ii )新規公開銘柄の場合、初値が付くまでの間、発注端末に設定した発注金額及び株数に係る上限値の設定が、有効な制限として機能していないこと。

      • iii )発注端末に表示された警告の解除方法が容易であること。

    この背景には、当社において株式関連業務が急速に拡大する中で、株券等売買発注業務について、適切な業務手続の設定、人事配置・研修、発注のための電子情報処理組織の設計・運用管理等が業務内容に応じた所要の水準を満たしておらず、また、これらについて経営陣による十分な管理が行き届いていなかったという経営管理上の問題が認められる。

  • 2.  当社の上記状況は、証券取引法第43条第2号に基づく証券会社の行為規制等に関する内閣府令(昭和40年大蔵省令第60号)第10条第11号に規定する「証券業に係る電子情報処理組織の管理が十分でないと認められる状況」に該当すると認められる。

  • 3.  以上のことから、本日、みずほ証券株式会社に対し、証券取引法第56条第1項の規定に基づき、以下の行政処分を行った。

    ○  業務改善命令

    • (1)株式等の発注システムの現状を総点検した上で、システムの設計・運用改善のために必要な計画を早急に策定するとともに、確実に実行すること。

    • (2)大規模な誤発注などの緊急事態に対する迅速かつ適切な対応のために必要な危機管理態勢を構築する等、必要な改善策を策定し、確実に実行すること。

    • (3)上記(1)及び(2)の抜本的な改善策を策定・実施するまでの間、新規上場銘柄の発注時における発注担当者以外の者による再確認、警告が表示された際の発注担当者以外の者による解除、営業と受発注業務機能の分離などの当面の対応策を確実に継続・実施すること。また、この当面の対応策については、必要に応じて見直しを図りつつ実施すること。

    • (4)株式等の発注にかかる責任分担の明確化を含めた内部管理体制及び経営管理態勢の充実・強化を図るとともに、今回の誤発注についての責任の所在を明確化すること。

    • (5)上記(1)及び(2)については改善計画・改善策の検討状況を、上記(3)及び(4)についてはその対応状況を、平成18年1月20日までに書面で報告すること。なお、上記(1)及び(2)については、改善策を策定した段階でその内容を書面にて報告するとともに、以降その策定した改善策の実施状況を四半期毎に定期的に報告すること。

【問い合わせ先】

金融庁監督局証券課 03-3506-6000
課長補佐 中川(内線3370)
証券業第2係長 古角(内線3357)

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