平成13年6月28日
金融庁
「疑わしい取引の届出に関して特別の注意を払うべき取引について」の発出について
先般(6月22日)、FATF*1が、資金洗浄対策に非協力的な国・地域(非協力国・地域)を認定・公表し、金融機関に対しこれらの非協力国・地域に係る取引に特別の注意を払うよう求めることに合意したことを受け、当庁は、本日付けで、関係金融機関の資金洗浄対策担当責任者宛要請文書「疑わしい取引の届出に関して特別の注意を払うべき取引について」(別添)を当庁ホームページ*2上に掲載するとともに、関係金融業界団体に手交して加盟金融機関への周知徹底方を依頼した。
*1 | Financial Action Task Force on Money Laundering 1989年のアルシュ・サミット経済宣言を受け、資金洗浄対策を国際的に推進することを目的として設立された政府間機関。現在、日本を含む29の国と地域及び2つの国際機関により構成されている。 |
*2 | http://www.fsa.go.jp/fiu/fiu.html |
連絡・問い合わせ先
金融庁総務企画局総務課
特定金融情報室 木村
Tel 03-3506-6055(直通)
金 総 1053号
平成13年6月28日
関係金融機関
資金洗浄対策担当責任者 殿
金融庁総務企画局
特定金融情報管理官
大久保 良夫
疑わしい取引の届出に関して特別の注意を払うべき取引について(要請)
当庁は、FATF*1が昨年6月資金洗浄対策に非協力的な15の国・地域(非協力国・地域)のリストを公表し、金融機関に対しこれらの国・地域に係る取引に特別の注意を払うよう求めたことを受け、昨年7月関係金融機関に対し要請を行ったところである。*2
FATFは、本年6月20日から22日に開催された全体会合において、昨年非協力国・地域に認定された15ヶ国・地域のうち、バハマ国、ケイマン諸島、リヒテンシュタイン公国及びパナマ共和国については相当の改善措置がとられたことを認め、非協力国・地域リストから除外するとともに、新たに6の非協力国・地域を認定・公表し、金融機関に対しこれら17 ヶ国・地域(下表)に係る取引に特別の注意を払うよう求めることに合意した。
当庁としては、国際的な資金洗浄対策の強化を進めるFATFの決定に協力することは当然の責務と考えており、別表の国・地域に係る取引については、疑わしい取引の届出に関して特別の注意を払うよう要請する。
*1 | Financial Action Task Force on Money Laundering |
*2 | FATF及び金融庁ホームページ参照。 http://www.oecd.org/fatf/FATDocs_en.htm#Non-Cooperative http://www.fsa.go.jp/fiu/fiuj/fn001.html#120622 |
表:非協力国・地域リスト (FATF平成13年6月22日発表)
(注) 下線は新たに追加された国
別紙:新規非協力国の主要な問題点(FATF報告書抄訳)
別紙
新規非協力国の主要な問題点
エジプト・アラブ共和国
マネー・ローンダリングとして処罰される前提犯罪の範囲が国際基準からみて狭い。疑わしい取引の届け出義務が全ての金融機関に課されていない。FIUが設立されていない。顧客の本人確認が全ての金融機関に課されていない。
グアテマラ共和国
銀行秘密規定がマネー・ローンダリング防止に当たる行政当局にとって重大な障害となっている。外国当局との国際協力に応じるべき行政当局が法律で十分規定されていない。マネー・ローンダリングの処罰対象が薬物犯罪収益に限られている。疑わしい取引届出制度の下で、金融機関から取引の相手方への情報漏洩を防止する規定が存在しない。
ハンガリー共和国
残高2百万ハンガリーフォリント(概ね7千米ドル)未満の匿名預金口座開設が可能であり、口座口数にも制限がない。口座を所有する真の受益者を把握する義務が金融機関に課されていない。
インドネシア共和国
マネー・ローンダリングを防止する基本的な対策が欠けている。マネー・ローンダリングが犯罪として処罰されない。疑わしい取引の届出制度が存在せず、FIUも設立されていない。顧客の本人確認義務が銀行以外に課されていない。
ミャンマー連邦
マネー・ローンダリングを防止する基本的な対策が欠けている。マネー・ローンダリングの処罰対象が薬物犯罪収益に限定されている。金融機関監督当局(中央銀行)がマネー・ローンダリング防止規制を行っていない。取引記録の保存、疑わしい取引の届出が金融機関に義務付けられていない。国際司法協力に重大な障害が存在する。
ナイジェリア連邦共和国
FATFへの資料提供を拒否している。金融機関の免許が恣意的に賦与されている。高額な(10万米ドル)取引を除き顧客の本人確認がなされていない。疑わしい取引の届出義務が限定されている。マネー・ローンダリング規制の対象業種が不明確である。