金融
令和3年3月25日

飲食・宿泊等をはじめとする事業者への
資金繰り支援等について(要請)

 金融機関におかれては、緊急事態宣言下も含め、資金繰り支援と感染拡大防止の両立に着実に取り組んでいただいてきたことに感謝申し上げます。
 緊急事態宣言が解除されたところでありますが、新型コロナウイルス感染症の影響が2事業年度目を迎える中で、これまでの経済活動の抑制等による事業者への影響の長期化が懸念されるところであり、苦境に立たされる事業者を引き続きしっかりと支えていくことが重要です。
 中でも、飲食業者・宿泊事業者等については、経済活動の抑制により特に深刻な影響を受けており、事業者のニーズにきめ細かく対応しながら、事業の継続や立て直しができるよう、政府として、緊急的な金融支援策等を取りまとめたところです。
 金融機関におかれては、既に大変なご尽力を頂いている中、重ねての要請となり恐縮に存じますが、これまでに要請させて頂いた事項に加え、下記の内容について、貴協会傘下金融機関等に対し、周知徹底を宜しくお願い申し上げます。

(1)日本政策投資銀行・商工組合中央金庫等において、民間協調融資原則の停止、資本性劣後ローンの金利水準引下げや優先株式の配当水準引下げ、審査期間の短縮等の施策を講じていくことを踏まえ、飲食業者・宿泊事業者を含む大・中堅事業者等に対して、これらの機関による支援策を積極的に周知し、ニーズに応じた提案を行うこと。また、同機関が劣後ローンや優先株等を通じた支援等を行う場合のシニアローン等の資金供給や、事業計画策定への積極的な関与など、同機関と緊密に連携した支援を徹底すること

(2)日本政策金融公庫等による資本性劣後ローン等についても、事業者への積極的な周知・提案に加え、同ローン等実施に必要な事業計画の策定支援や、同ローン等の実施に併せたシニアローン等の資金供給など、同公庫等とも緊密に連携した支援を営業現場含め徹底すること

(3)こうした政府系金融機関による支援や他の金融機関による支援等に当たって、メイン先とする事業者については、政府系金融機関や他の民間金融機関との連携を含めて、適時・適切にメイン行として積極的な役割を果たすこと。非メイン先とする事業者についても、メイン寄せのような行為は厳に慎み、メイン行と協調した適切な資金繰り等の支援に努めること

(4)政府系金融機関との連携に限らず、民間金融機関においても能動的に、飲食業者・宿泊事業者をはじめとする事業者ごとの事業・財務状況を十分確認し、顧客のニーズに応じ、再度の条件変更等を含めた柔軟な対応を徹底すること。特に、民間金融機関における実質無利子・無担保融資の据置期間については、長期の設定が可能である旨を顧客に周知し、ニーズに合った提案を行い、条件変更等に柔軟に対応すること

(5)貸出債権の区分について、新型コロナウイルス感染症の拡大以前に正常先と認識していた事業者を、拡大前と同一の評価とすること等につき、金融庁が金融機関の判断を尊重していることを踏まえて、事業者に寄り添った資金繰り支援を徹底すること

(6)2期連続での赤字など、貸出等の条件となっている財務制限条項(コベナンツ)に事業者が抵触している場合であっても、これを機械的・形式的に取り扱うことなく、経営実態をきめ細かく把握し、直ちに債務償還等を要求することのないよう対応するとともに、コベナンツの変更・猶予に関する事業者からの相談に迅速かつ真摯に対応すること。特に、シンジケートローンにおいては、関係金融機関が協力して一体的に対応すること

(7)日本公認会計士協会は、監査上の留意事項を発出し、監査人に対し、経営者と適時・適切なコミュニケーションを図ること、監査人が過度に悲観的な予測を行い、経営者の行った会計上の見積りを重要な虚偽表示と判断することは適切ではないことに留意することを求めるとともに、コロナ禍における監査に関する相談窓口を設置した。企業決算・監査業務が円滑に進むよう、こうした取組みについて、上場会社等である事業者に対し、その状況に応じて適切に周知を行うこと

(8)以上の他、改めて、事業者の状況やニーズ、事業や支出の見通し等を能動的に確認し、足許や先々必要となる資金や補助金等の支給までの間に必要となる資金等も含めた新規融資を積極的に実施する、資金繰りのみに収まらない課題に直面する事業者に対して事業の再建に向け優先株式の引受や資本性劣後ローンの実施を検討するなど、事業者の実情に応じ、事業者の立場に立った対応を行うこと。また、新規融資に当たっては、カードローンやフリーローン等に拠らず、事業者の金利負担に配慮した対応とするよう、営業現場を含め徹底すること

(9)地域経済活性化支援機構の復興支援ファンドや中小企業基盤整備機構の経営力強化支援ファンド・再生ファンド等の債権買取・債務整理、出融資、ハンズオン支援等の機能も活用して、他の金融機関や支援機関等とも連携の上、事業者の経営改善等に向けた取組みを進めること。特に、地域の中核となる公共交通機関等に対しては、より一層丁寧に、関係機関等と連携して対応を進めること

(10)中堅・中小企業等における新分野展開や業態転換等を支援する「事業再構築補助金」について、建物撤去費用に加え、賃貸物件等の原状回復費、引越に必要な設備の運搬費が対象経費に追加されることを踏まえて、これを事業者に積極的に周知・提案すること。また、同補助金をはじめとする様々な政府等の補助金・交付金・税制措置等の支援措置について、事業者に積極的に周知・提案し、併せて、こうした支援措置を活用した事業者の経営改善に向けた取組みを、事業計画策定等を通じ支援していくこと

(11)上記(1)から(10)までの取組みについて、営業現場の第一線まで浸透させ、組織全体として、積極的に取り組むこと。また、顧客から金融機関等の相談窓口等に寄せられる相談・苦情等を迅速に把握・分析し、顧客対応等に課題が認められる場合には直ちに改善を図ること

以上

お問い合わせ先

監督局銀行第二課

(03)3506-6000(代表) 内線:3394

サイトマップ

ページの先頭に戻る