令和3年11月24日
金融

「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を踏まえた事業者支援の徹底等について

 官民の金融機関等におかれては、累次にわたる要請等も踏まえ、事業者への資金繰り等の支援と感染拡大防止の両立に着実に取り組んでいただいていますことに感謝申し上げます。

 足下では、新型コロナウイルス感染症の影響から、持ち直しの動きも見られるものの、依然として厳しい状況に置かれている事業者が数多く存在する状況です。また、資金需要の高まる年末、年度末に向けては、事業者の資金繰りに重大な支障が生じることのないよう、より一層の金融仲介機能の発揮が期待されます。加えて、今後、事業者が、ポストコロナにおけるビジネスモデルの再構築や財務基盤の改善に取り組んでいく上で、経営改善・事業再生・事業転換支援等の必要性も、更に高まっていくと考えられます。

 こうした中、政府では、11月19日、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を決定し、政府系金融機関による実質無利子・無担保融資制度の来年3月までの延長や、事業者のニーズに沿った見直しを行った上での「新型コロナ特別貸付」の4月以降の継続等の措置を講じることとしたことなども踏まえ、官民金融機関における事業者支援の徹底等の観点から、以下の事項について、改めて要請いたしますので、本日の「中小企業等の金融の円滑化に関する意見交換会」における要請事項等と合わせ、営業担当者をはじめ、貴機関、貴協会会員金融機関等の職員等に周知・徹底をお願いいたします。

  1.  新型コロナウイルス感染症の影響や足下の経営環境の変化、資金需要の高まる年末を迎えることを踏まえ、改めて、事業者の業況を積極的に把握し、資金繰り相談に丁寧に対応するなど、事業者のニーズに応じたきめ細かな支援を引き続き徹底すること。
  2.  新型コロナウイルス感染症の影響を直接・間接に受けている飲食業者、旅客運送事業者、宿泊事業者、観光事業者、遊興関連施設事業者、小売店、旅行代理店、ライブエンタメ・文化芸術・スポーツ・イベント関連事業者、ブライダル事業者、医療・福祉機関等、及びこうした施設のオーナーや、これらの事業者と取引をしている事業者など、中小企業は勿論のこと、大企業・中堅企業も含めた事業者への影響を踏まえ、最大限柔軟な資金繰り支援を行うこと。
  3.  新型コロナウイルス感染症の影響により、追加融資が必要とされる状況も想定されるところ、「事業復活支援金」を含めた、各種支援金等の支給までの間に必要となる資金は勿論のこと、ポストコロナに向けた設備投資などに要する資金についても、それぞれの事業者の現下の決算状況・借入状況や条件変更の有無等の事象のみで機械的・硬直的に判断せず、事業の特性、需要の回復や「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」に盛り込まれた各種支援施策の実施見込み等も踏まえ、官民金融機関等及びメイン・非メインが密に連携し、丁寧かつ親身に対応すること。その際、来年3月まで申込期限が延長された政府系金融機関による実質無利子・無担保融資や、保証上限を6,000万円に引き上げる伴走支援型特別保証制度等を活用した融資の積極的な実施に努めること。
  4.  返済期間・据置期間の長期の延長等を積極的に提案するなど、既往債務の条件変更や借換等について、事業者の実情に応じた迅速かつ柔軟な対応を継続すること。
  5.  民間金融機関が事業者の資金繰り支援に当たって条件変更や借換、新規融資を行う場合の債権の区分に関しては、貸出条件緩和債権の判定における実現可能性の高い抜本的な経営再建計画等の柔軟な取扱い[1]を含め、引き続き金融機関の判断を尊重することとしていることを踏まえ、事業者に寄り添った資金繰り支援に努めること。
  6.  新型コロナウイルス感染症の直接・間接の影響により資金繰りが厳しい事業者の状況を十分に勘案し、貸し渋り・貸し剥がしを行わないことは勿論のこと、そのような誤解が生じることのないよう、引き続き事業者の立場に立った最大限柔軟な資金繰り支援を行うこと。
  7.  こうした資金繰り支援に加え、新型コロナウイルス感染症の影響により借入れが増加した事業者を含め、ポストコロナにおける事業者の力強い回復を後押しするため、官民金融機関、信用保証協会、中小企業再生支援協議会、REVIC等の支援機関が密に連携し、事業者の実情に応じた、条件変更にとどまらない経営改善・事業再生支援や、事業再構築補助金等の政府支援施策も活用した事業再生・転換支援、ファンド等も活用した資本性資金の供給、地域企業のニーズに応じた人材紹介や事業承継支援などの取組を積極的に促進すること。
  8.  また、事業再生・事業転換を要する事業者等の財務基盤を強化し、民間金融機関の融資を呼び込むため、事業者のニーズを踏まえ、政府系金融機関の資本性劣後ローンの積極的な実施・活用を図るほか、官民金融機関において、同ローンを活用した協調融資商品を開発するなど、効果的な連携に取り組むことで、事業者に寄り添った支援に努めること。加えて、同ローン等の実施に必要な事業計画の民間金融機関による策定支援を積極的に行うこと。
  9.  実質無利子・無担保融資により新たに取引先となった先や残高メイン先でなくなるなど融資シェアが低下した場合等であっても、本業支援がおろそかになることがないよう、メイン・非メイン先の別や、既存顧客・新規顧客の別、プロパー融資・保証協会保証付き融資の別にかかわらず、資金繰りにとどまらない経営課題に直面する事業者に対して、能動的に本業支援を行うなど、継続的な伴走支援に努めること。
  10.  「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」も踏まえ、「経営者保証に関するガイドライン」の一層の浸透・定着に努めるとともに、新規融資等における根保証・根抵当の設定は必要な範囲に留め、返済が完了した際には、顧客意向を踏まえた対応に努めること。また、「『自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン』を新型コロナウイルス感染症に適用する場合の特則」の趣旨を踏まえ、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた債務整理を要する個人・個人事業主への丁寧な相談対応などを通じ、事業や生活・暮らしの支援に努めること。
 
[1] 詳細は、金融庁HP“「新型コロナウイルス感染症の影響下における貸出条件緩和債権の判定に係る実現可能性の高い抜本的な経営再建計画の取扱いについて」の公表について” (https://www.fsa.go.jp/news/r3/ginkou/20211008.html)を参照。

 

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