令和4年9月9日
金融庁

「中小企業活性化パッケージNEXT」を踏まえた事業者支援の徹底について

 官民の金融機関等におかれては、累次にわたる要請等も踏まえ、事業者への資金繰り等の事業者支援と感染拡大防止の両立にご尽力いただいていますことに感謝申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症に係る資金繰り等の事業者支援については、令和2年1月以降、2年超にわたり着実に取り組んできた一方で、収益力改善や事業再構築、新分野進出など、前向きな取組への資金需要が増加するなど、必要となる支援にも徐々に変化が見られます。
 こうした中で、経済産業省・金融庁・財務省においては、DXなどの前向きな取組に対する資金需要に応えるとともに、ポストコロナへの段階的移行を図りつつ、資金繰り等の事業者支援の継続・拡充を図るため、本年3月に策定・公表した「中小企業活性化パッケージ」の取組を更に加速させた「中小企業活性化パッケージNEXT」を本年9月8日に新たに策定・公表したところです。
 つきましては、官民の金融機関等における事業者支援の徹底等の観点から、以下の事項について、改めて要請いたしますので、営業担当者をはじめ、貴機関、貴協会会員金融機関等の現場の第一線の職員等まで周知・徹底をお願いいたします。
 

1.世界的な物価高騰への対応など様々な課題に直面する中、改めて、中小企業のみならず、大企業・中堅企業を含めた事業者の業況を積極的に把握し、資金繰り相談に丁寧に対応するなど、事業者のニーズに応じて、事業者に最大限寄り添ったきめ細かな支援を引き続き徹底すること。その際、申込期限が延長された日本政策金融公庫等によるセーフティネット貸付(物価高騰対策)等の積極的な活用に努めること。

2.貸付条件の変更等の実行率は極めて高い水準で推移しているものの、事業者からの返済期間・据置期間延長の事前の相談において、すでに元金返済を開始している事業者も含め、申込みを断念させるような対応を取らないことは勿論のこと、返済期間・据置期間の長期の延長等を積極的に提案するなど、既往債務の条件変更や借換等について、事業者の実情に応じた迅速かつ柔軟な対応を継続すること。その際、据置期間終了後の返済負担が重くなることをおそれて据置期間の延長を躊躇する事業者がいる場合には、返済期間の延長も併せて提案すること。

3.民間金融機関が事業者の資金繰り支援に当たって条件変更や借換、新規融資を行う場合の債権の区分に関しては、貸出条件緩和債権の判定における実現可能性の高い抜本的な経営再建計画等の柔軟な取扱い[1]を含め、引き続き金融機関の判断を尊重することとしていることを踏まえ、事業者に寄り添った資金繰り支援に努めること。

4.実質無利子融資及び新型コロナウイルス感染症に関する事案に係る危機対応業務による融資を実施する金融機関においては、当該融資が本年9月末に申込期限を迎えることを踏まえ、顧客への周知や、駆け込みの申込みに対応可能な態勢整備に万全を期すこと。

5.10月以降についても、ポストコロナに向けた設備投資に要する資金、運転資金など[2]について、貸し渋り・貸し剥がしを行わないことは勿論のこと、保証限度額が拡充された伴走支援型特別保証や、上限額が引き上げられた日本政策金融公庫等によるスーパー低利・無担保融資(新型コロナウイルス感染症特別貸付等)の積極的な活用に努めるなどにより、官民金融機関等及びメイン・非メインが密に連携し、丁寧かつ親身に対応すること。

6.こうした資金繰り支援に加え、新型コロナウイルス感染症等の影響が長期化する中で借入れが増加した事業者を含め、ポストコロナにおける事業者の力強い回復を後押しするため、官民金融機関、信用保証協会、中小企業活性化協議会、株式会社地域経済活性化支援機構(REVIC)等の支援機関が密に連携し、「中小企業活性化パッケージNEXT」に掲げられた施策も活用の上、債務返済猶予や債務減免等の金融支援を伴う場合を含めた事業者の収益力改善・事業再生・再チャレンジの総合的支援に努めること。

7.信用保証協会を含む官民金融機関等は、収益力改善や事業再構築など前向きな取組に対する資金需要への対応や、事業再生支援のため、資本性資金の供給や債権買取等が可能な株式会社地域経済活性化支援機構(REVIC)の全国をカバーするファンド(復興支援ファンド等)や独立行政法人中小企業基盤整備機構の出資するファンド(中小企業経営力強化支援ファンド、中小企業再生ファンド等)等の組成・活用について真摯に検討すること。さらに、政府系金融機関においては、資本性劣後ローン等の利用先や融資相談があった先に対し、出資等を通じて事業者の資本を強化する中小企業経営力強化支援ファンド等についても紹介するとともに、民間金融機関においては、同ローンのほか、同ファンド等の活用についても積極的に検討すること。

 

[1] 詳細は、金融庁HP“「新型コロナウイルス感染症の影響下における貸出条件緩和債権の判定に係る実現可能性の高い抜本的な経営再建計画の取扱いについて」の公表について” (https://www.fsa.go.jp/news/r3/ginkou/20211008.html)を参照。

[2] 例えば、DX投資を通じた非接触型ビジネスモデルへの転換といった新分野進出などの前向きな取組に向けた投資に要する資金など。


 
お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)

監督局総務課監督調査室(内線3313、3314)

サイトマップ

ページの先頭に戻る