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水 産 庁
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令和6年6月7日

各業界団体等代表者 殿

コロナ資金繰り支援策の転換を踏まえた
事業者支援の徹底等について

 官民の金融機関等におかれては、累次にわたる要請等も踏まえ、事業者支援に着実に取り組んでいただいていますことに感謝申し上げます。
 コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進み、本年4月には民間金融機関による実質無利子・無担保融資の返済開始の最後のピークを迎えた中、コロナ禍から続く資金繰り支援については、現在大きな転換点を迎えています。本年3月8日に公表した「再生支援の総合的対策」において既に方向性を示した通り、7月以降は、能登半島地震の被災地に配慮しつつ、各種資金繰り支援策についてはコロナ前の水準に戻し、経営改善・再生支援に重点を置いた資金繰り支援とします。具体的には、コロナセーフティネット保証4号やコロナ借換保証は6月末の期限を以て原則終了し、同様に、日本政策金融公庫等の新型コロナウイルス感染症特別貸付等の金利引き下げについても終了する予定です。ただし、今なお、コロナ禍の影響に苦しむ事業者への再生支援を強化するとともに、また、円安等に伴う資材費等の価格高騰等で苦しむ事業者向けの制度は継続します。
 つきましては、以下の事項を要請いたしますので、貴機関、貴協会会員金融機関等の経営層は勿論のこと、現場の第一線の職員等まで周知・徹底をお願いいたします。

1.コロナ資金繰り支援策の転換
 事業者への資金繰り支援について、足下の資材費等の価格上昇や人手不足の影響、日本銀行の金融政策の枠組みの見直しに伴う今後の影響等も踏まえ、引き続き事業者に最大限寄り添ったきめ細かな支援を徹底すること。また、融資判断に当たっては、それぞれの事業者の現下の決算状況・借入状況や条件変更の有無等のみで機械的・硬直的に判断せず、事業の特性、各種支援施策の実施見込み等も踏まえ、今後の経営改善や事業再生に繋がるよう、丁寧かつ親身に対応すること。返済期間・据置期間が到来する既往債務の条件変更や借換え等について、申込みを断念させるような対応を取らないことは勿論のこと、事業者の実情に応じた迅速かつ柔軟な対応を継続すること。
 民間金融機関においては、コロナ融資の返済が厳しい事業者については、コロナ借換保証制度は原則終了するものの、例えば、100%保証を100%保証で借換可能とする小口零細企業保証や、認定経営革新等支援機関(金融機関等)の支援を条件に保証料を低減する経営力強化保証(80%保証)等を活用し、コロナ融資の借換等を通じて、資金繰り支援を行うこと。
 日本政策金融公庫等においては、一般的な災害貸付金利を適用のうえ、本年12月末まで延長する新型コロナウイルス感染症特別貸付等において、引き続き、資金繰りに課題を抱える事業者のニーズを踏まえた対応を行うこと。また、新型コロナウイルス感染症特別貸付等を今後適用する際には、社会経済活動の正常化が進む中、改めて、コロナの影響や、中長期的な事業者の業況の回復や発展の見込みを確認し、適切に判断すること。なお、事業者の利用実績等を踏まえ、新型コロナウイルス感染症特別貸付等について、新規の設備資金融資を今般対象外とすることから、今後、設備資金融資のニーズに対しては、引き続き措置されている他の貸付制度を活用し対応すること。また、円安等に伴う資材費等の価格高騰等の経済環境を踏まえ、金利引下げ措置が本年12月末まで延長されたセーフティネット貸付(原材料価格高騰対策)等の活用を促進すること。
 コロナ禍で債務が積み上がり、事業再生のニーズが高まっていることを踏まえ、経営改善・再生支援に資する資金繰り支援策の活用を検討すること。具体的には、本年12月末まで期限を延長したコロナ経営改善サポート保証や日本政策金融公庫等のコロナ資本性劣後ローンの活用を検討すること。
 コロナ経営改善サポート保証の利用要件となっている、経営サポート会議や経営改善計画策定支援事業等による事業再生計画の策定に際しては、金融機関と信用保証協会、中小企業活性化協議会等の支援機関が必要に応じて緊密に連携すること。
 日本政策金融公庫等においては、小規模事業者も含め、引き続きコロナ資本性劣後ローンの利用促進に取り組むこと。また、過大な債務等に苦しむ事業者の財務基盤を強化し経営改善を促す観点からコロナ資本性劣後ローンが重要であることに鑑み、借換え等の相談に柔軟に応じるとともに、その中で支援を必要とする先について、時機を逸することがないよう関係機関とも連携しながら経営改善支援に取り組むこと。
 民間金融機関においてもコロナ資本性劣後ローンを活用した支援について前向きに検討すること。その際、民間金融機関による実質無利子・無担保融資等からの借換促進も念頭に、日本政策金融公庫等とも連携し、協調融資商品の組成拡大等に努めること。
 民間金融機関においては、本年2月より時限的に対象に追加された「早期経営改善計画策定支援事業」等の各種支援施策も活用しつつ、事業者が抱える課題解決に向けたコンサルティング機能を発揮し、経営改善・再生支援に努めること。
 また、官民金融機関においては、取引先の事業者が事業不振の際には、自らが経営改善・事業再生・再チャレンジ支援に努めることに加えて、M&A・事業再構築・廃業等といった取り得る選択肢の幅を広げる観点から、必要に応じて事業承継・引き継ぎ支援センター、中小企業活性化協議会、よろず支援拠点等の中小企業支援機関に早期に相談するよう促すこと。
 
2.信用保証協会による支援の強化
 信用保証協会においては、本年6月に改正された監督指針を踏まえ、民間金融機関をはじめとした関係機関と連携して、例えば信用保証付融資のシェアが高い事業者など、支援先のターゲティングを行い、主体的に経営支援の必要性を検討し、支援を行っていくこと。その際、効果的な経営支援を行うため、協会毎に経営支援の効果検証指標を設定し、支援のPDCAを徹底すること。また、早期の再生支援を進めていくべく、事業者情報の守秘義務が解除される対象として中小企業活性化協議会などを信用保証委託契約書等に可能な範囲で早期に明記し、再生支援・スポンサー探しなどの事前相談の円滑化を図ること。信用保証付融資のシェアが高い事業者(求償債権事業者含む)については、民間金融機関をはじめとした関係機関と目線あわせを行うなど連携の上、信用保証協会が主体的に事業再生支援等の必要性を検討し、必要に応じて、直接又は間接的に、中小企業活性化協議会への相談持込みを実施すること。
 全国信用保証協会連合会においては、例えば、一部の協会において用意されている、一定程度のプロパー融資を条件に保証を行う商品など、民間金融機関の経営支援を促進する信用保証の仕組みを中小企業庁とともに検討すること。

3.再生ファンド等の活用
 信用保証協会を含む官民金融機関等は、資本性資金の供給等も活用した事業者の成長・再生を後押しする態勢を地域において構築するため、独立行政法人中小企業基盤整備機構の出資するファンド(中小企業成長支援ファンド、中小企業再生ファンド等)の組成・活用について真摯に検討すること。さらに、政府系金融機関においては、資本性劣後ローン等の利用先や融資相談があった先に対し、出資等を通じて事業者の資本を強化する中小企業経営力強化支援ファンド等についても必要に応じて紹介するとともに、民間金融機関においては、資本性劣後ローンのほか、中小企業経営力強化支援ファンド等の活用についても積極的に検討すること。

4.信用保証付融資における経営者保証
 信用保証協会及び民間金融機関においては、本年3月より申込受付を開始した、信用保証料上乗せにより経営者保証の提供を不要とする信用保証制度を含む信用保証付融資における経営者保証の提供を不要とする取組みについて事業者に周知し、積極的な活用を促すこと。その際、信用保証協会においては、経営者保証を提供する保証申込について、信用保証料上乗せにより経営者保証の提供を不要とする信用保証制度に関して事業者が説明を受けたことを申込金融機関を介するなどして確認すること。。
 
5.事業再生情報ネットワークを活用した支援(公租公課の確実な納付と事業再生の両立)
 官民金融機関、中小企業活性化協議会、信用保証協会等においては、外部機関や士業等の専門家と連携しつつ、事業者の経営改善・事業再生支援に積極的に取り組むこと。
 その際、新規融資時は勿論のこと、条件変更や経営改善・再生支援等を検討する適切なタイミングで、事業者の公租公課(社会保険料や税金等)の納付状況を積極的に把握し、公租公課の適切な納付を含む資金繰り計画の策定支援に努めること。また、公租公課を滞納している事業者に対しては、原則、金融債権等よりも優先的に支払うべき債権であることや公租公課の分割納付計画を遵守しない場合のリスク(差押え等)を認識するよう適切な助言等をすること。必要に応じて、既往債務の条件変更等の資金繰り支援や法令に基づく分割納付計画の策定支援を行うなど、事業者の状況を踏まえた対応を徹底し、公租公課の確実な納付と事業再生の両立を図ること。
 経営改善・事業再生に向けた事業者の取組状況(官民金融機関・中小企業活性化協議会等による支援状況を含む)が公租公課の徴収現場等に適切に提供されていないと懸念される場合などがあることから、当該取組状況について関係省庁(金融庁・国税庁・厚生労働省・中小企業庁)を通じて、公租公課の徴収現場(年金事務所、税務署等)等に共有する仕組みとして「事業再生情報ネットワーク」が今般創設される。そのため、事業者に対し、本ネットワークでの相談先となる中小企業活性化協議会や金融庁に新たに設置する「経営改善・事業再生支援の取組に関する金融庁相談窓口」も有効活用するよう、必要に応じて周知すること。なお、金融庁における窓口を通じて、関係省庁間で情報共有する場合は、事業者が民間金融機関等による支援を受けていることが前提であるため、民間金融機関等においては、事業者から本窓口の活用を相談された場合には、事業者の状況を踏まえた柔軟な対応に努めること[1]。
 
6.令和6年能登半島地震に関する事業者支援等
 令和6年1月5日付で発出した要請文の内容を踏まえつつ、
 ①一般保証とは別枠でのセーフティネット保証4号
 ②一般保証及びセーフティネット保証とは別枠での災害関係保証
 ③令和6年能登半島地震の被災地(対象地域は今後公表)に限り延長するコロナ借換保証
 ④日本政策金融公庫等による令和6年能登半島地震特別貸付等
も活用し、引き続き、被災した事業者や、当該事業者と取引関係のある事業者など、災害の影響を受けた事業者の資金繰りに重大な支障が生じないよう、事業者の実情を踏まえながら、きめ細かく、迅速かつ柔軟な対応に努めること。また、例えば、旅館業や飲食業における大型厨房設備のように、被災した事業者の中には、事業再開できない中でも、発生する設備のリース料金が負担となっているとの声もあり、こうした固定費の支払いも考慮した上で事業者に寄り添った対応を行うこと。
 また、住宅ローンやその他の個人ローンについて、顧客の状況やニーズに応じた返済猶予等の条件変更の迅速かつ柔軟な対応を行うこと。特に、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」の趣旨を踏まえ、震災による影響を受けた債務整理を要する個人・個人事業主への丁寧な相談対応などを通じ、事業や生活・暮らしの支援に努めること。
 加えて、コロナ融資等の既往債務が負担となって新規資金調達が困難となる等のいわゆる二重債務問題への対応に関して、石川県の七尾市以北の3市3町(輪島市・珠洲市・七尾市・能登町・穴水町・志賀町)の事業者を対象に既往債務に係る債権買取や出資を行う能登半島地震復興支援ファンドが設立されるとともに、ファンドでの債権買取支援等につなげるための相談窓口である「能登産業復興相談センター(七尾商工会議所内)」、「サテライトオフィス(のと里山空港内)」がそれぞれ開設されたことを踏まえ、対象地域の事業者への周知を図るとともに、3市3町以外の石川県の被災事業者については既存の「いしかわ中小企業第3号再生ファンド」が債権買取等の復興支援を行うこととしていることも念頭に、事業者の実情を踏まえながらファンドの利活用を検討しつつ、復旧・復興に向けた新規融資の供給についても柔軟に対応するよう努めること。
 また、日本政策金融公庫等においては、コロナ資本性劣後ローンについて、被災地の事業者の実情を踏まえた弾力的・迅速な対応として、災害救助法適用市町村に所在する事業者が、コロナ資本性劣後ローンの融資を希望する場合には、民間金融機関等とも連携しつつ、融資希望者の事業戦略や実施体制など定性的な事項や震災前の事業の状況等により事業の持続可能性の評価を行うことも可能とする等の措置を講じていることも踏まえ、震災復興や地域の再生に直接関係する事業に対し、迅速な融資実行が妨げられることがないよう留意すること。
 
以 上
 
 [1]徴収現場等においては、現行法令の範囲内での対応となるため、本ネットワークを通じて公租公課の徴収現場等に情報共有したとしても、必ずしも対応方針が変更となることを確約するものではないことに留意すること。
 
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監督局総務課監督調査室(内線3706、3313)

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