令和5年12月26日

金融庁

監査法人及び公認会計士の懲戒処分等について

金融庁は、本日、太陽有限責任監査法人(法人番号4010405002470)及び公認会計士2名に対し、下記の懲戒処分等を行いました。

1.監査法人

(1)処分の対象者

太陽有限責任監査法人(法人番号4010405002470)(所在地:東京都港区)

(2)処分の内容

  • ・ 契約の新規の締結に関する業務の停止 3月

  •  (令和6年1月1日から同年3月31日まで。ただし、既に監査契約を締結している被監査会社について、監査契約の期間更新や上場したことに伴う契約の新規の締結を除く。)

  • ・ 業務改善命令(業務管理体制の改善。詳細は下記4参照)

  • ・ 処分理由に該当することとなったことに重大な責任を有する社員が監査法人の業務の一部(監査業務に係る審査)に関与することの禁止 3月

  •  (令和6年1月1日から同年3月31日まで)

  •  ※併せて、同日、約9,600万円の課徴金納付命令に係る審判手続開始を決定

(3)処分理由

太陽有限責任監査法人(以下「当監査法人」という。)の社員である下記2名の公認会計士が、株式会社ディー・ディー・エス(以下「当社」という。)の平成29年12月期、平成30年12月期及び令和元年9月第三四半期から令和3年12月期に係る開示書類の訂正報告書に記載された財務書類並びに令和4年3月第一四半期の財務書類の監査において、相当の注意を怠り、重大な虚偽のある財務書類を重大な虚偽のないものとして証明した。

当該監査業務に係る審査を実施した社員は、上記処分理由に該当することとなったことに重大な責任を有すると認められる。

 (根拠条文:公認会計士法(昭和23年法律第103号)(以下「法」という。)第34条の21第2項第2号、同条第3項)

2.公認会計士

(1)懲戒処分の対象者及び内容

  • ・公認会計士 藤本浩巳(登録番号:19657号)
       業務停止6月(令和6年1月1日から同年6月30日まで)

  • ・公認会計士 樹神祐也(登録番号:23186号)
       業務停止6月(令和6年1月1日から同年6月30日まで)

(2)処分理由

上記2名の公認会計士は、当社の平成29年12月期、平成30年12月期及び令和元年9月第三四半期から令和3年12月期に係る開示書類の訂正報告書に記載された財務書類並びに令和4年3月第一四半期の財務書類の監査において、相当の注意を怠り、重大な虚偽のある財務書類を重大な虚偽のないものとして証明した。

(根拠条文:法第30条第3項において準用する同条第2項)

3.事案の概要

当社は、平成29年12月期から令和3年12月期まで、それぞれの期に係る有価証券報告書及び四半期報告書(以下「当初報告書」)に記載された連結財務諸表等において、売上の過大計上及び貸倒引当金繰入額の過少計上等の不適正な会計処理を行った。

また、当該不適正な会計処理を訂正するにあたり、貸借対照表の当事業年度の繰越利益剰余金から前事業年度の繰越利益剰余金を差し引いた金額と損益計算書の当期純損失等が本来整合すべきであったにもかかわらず整合していなかったなど、多くの虚偽記載のある連結財務諸表等を作成し、令和4年8月12日、同様の虚偽記載がある連結財務諸表を含む令和4年3月第一四半期報告書とともに東海財務局に提出した。

当監査法人の業務執行社員は、当社の当初報告書に係る訂正報告書に記載された財務書類の監査及び令和4年3月第一四半期の財務書類の監査(以下「訂正監査等」という。)を実施するに当たり、監査チームから情報を適切に収集することができておらず、監査意見を表明するまでに必要な時間を正しく認識できていなかったほか、監査補助者が実施した監査手続の状況を十分把握していなかった。

また、業務執行社員は、訂正監査等において、当社に対して主要な論点を提示し訂正の指導を行い、当該指導内容が連結財務諸表等に適切に反映されることで、適切な連結財務諸表等が作成されるはずと思い込み、その後に当社が作成した連結財務諸表等について、その表示方法が適切であるかどうかについての確認を行わず、また、監査補助者に対して表示方法が適切か確認を行うよう指示を行いその結果の査閲を行うような手続きも実施しないまま、重大な虚偽のある財務書類について、重大な虚偽のないものとして意見表明を行った。

また、監査業務に係る審査では、監査チームが行った監査上の重要な判断及び監査意見を客観的に評価する必要があるところ、当監査法人の審査担当社員は、重大な虚偽の記載があることが外形的に明らかな財務書類について業務執行社員が無限定適正意見を表明しようとしているにも関わらず、当該業務執行社員が財務諸表の表示の適正性を評価したかについて十分に検証しないまま本件についての対応を終了する等、十分な審査を実施しなかった。

以上のとおり、当監査法人の社員は、当社の訂正監査等において、相当の注意を怠り、重大な虚偽のある財務書類を重大な虚偽のないものとして証明したものと認められる。

4.業務改善命令の内容

  • (1)今回、当社に対する監査において虚偽証明が行われたことを踏まえ、法人としての適切な監査実施態勢を整備すること。

  • (2)監査チームが行った監査上の重要な判断を客観的に審査し、監査手続の不備を発見・抑制できる審査態勢を 整備すること。

  • (3)監査実施者が職業倫理を遵守し、責任ある意見表明を行う体制を構築する観点から、監査法人内の人事管理や研修態勢を含め、組織の態勢を見直すこと。

  • (4)監査法人の品質管理システムの整備及び運用を可能とするために、情報と伝達に関する適切な品質管理目標を定め、これを実施できる態勢を整備すること。

  • (5)上記(1)から(4)に関する業務の改善計画を、令和6年1月31日までに提出し、直ちに実行すること。

  • (6)上記(5)の実行後、当該業務の改善計画の実施完了までの間、令和6年2月29日及び同年3月29日に第1回目、第2回目の報告を行い、同年3月31日以後、3か月ごとに計画の進捗・実施及び改善状況を取りまとめ、翌月15日までに報告すること。

お問い合わせ先

金融庁 Tel:03-3506-6000(代表)

企画市場局企業開示課
(内線3654、3662)

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