改正貸金業法フォローアップチーム関係者ヒアリング(6月27日)の概要
日時 | 平成23年6月27日(月)16時30分~18時 |
場所 | 金融庁13階 共用第1特別会議室 |
出席者 | 東内閣府副大臣(金融担当)、末松内閣府副大臣(消費者担当) |
議題 | ○冒頭挨拶 1.「改正貸金業法の完全施行後1年の状況」について関係者からのヒアリング
2.「健全な消費者金融市場の形成に向けた取組み」について関係者からのヒアリング
3.事務局における実態調査結果等報告
4.自由討議 |
【ヒアリングにおける主な意見】
- 今年1月~2月における各地の消費生活センターへの相談件数の増加は、昨年10月に武富士が会社更生手続きを開始し、過払利息返還の債権者に12月20日の週から葉書による一斉通知を行ったことが理由として考えられる。
- 被災地の消費生活センターでは、住宅ローン・自動車ローンが支払えない等のいわゆる二重ローンに関しての相談が目立つ。こうした相談に対しては、事業者との話し合いに必要な情報の提供や、弁護士会やハローワーク等しかるべき窓口を案内するなどしている。
- クレジットカードの現金化については、国民生活センターでは昨年4月7日に第一弾を公表して後これまでに3回注意喚起を行っている。当初は生活資金や借金の返済のための利用に関する相談が多かったが、昨年12月における2回目の注意喚起の際にはギャンブル情報料の支払いに利用した等の相談が出てきていた。また、最近ではモバイルサイト作成の内職の勧誘や未公開株・外国通貨等の金融商品の勧誘に付随して、資金調達手段として紹介されたという相談が出てきている。金貨の即現金化については、最近では金貨の代わりに宝石などを購入させる例が出てきている。
- 2006年4月の段階で、5社以上の借入れを行っている多重債務者が230万人いるということが衝撃だったが、現在では、データの統合の問題などはあるものの、23年4月の段階で67万人と、圧倒的に多重債務者は減っていると思う。また、自己破産の申し立ても、ヤミ金が一番跋扈した平成15年当時は24万人に達していたが、現在は12万人であり、このまま落ち着けば10万人を切るのではないか。
- 総量規制を導入するとヤミ金が跋扈するのではないか、と言われていたが、ヤミ金が跋扈していたのは平成14~15年であり、ヤミ金融対策法が出来た15年7月をピークに、法律の制定に加えて様々な対策を行ったことにより、ヤミ金被害は圧倒的に減ってきているのではないか。
- 被災地でヤミ金が跋扈しているとの報道があるが、日弁連・全国の弁護士会で受け付けている2万件ほどの被災地・避難場所での相談からは、ヤミ金の被害が増加しているというデータは出ていない。ただし、今後も注視は必要である。
- 日本貸金業協会への相談件数は、完全施行月(22年6月)に増加、その後は落ち着いている。平成23年2月、3月の増加は、武富士の会社更生法申請による過払利息返還の債権届出等に関する問合せが主要因である。
- 過払利息返還請求件数は、完全施行以前から減少傾向であったが、平成23年1月から3月にかけて増加した。これは、武富士の会社更生法申請による影響であるが、特に消費者金融業態への影響が大きい一方、クレジット業態への影響はほとんどなかった。
- 資金需要者、貸金業者ともに、改正貸金業法の完全施行による大きな混乱は生じなかったといえる。これは、2006年12月の公布時から、大手貸金業者を中心に、金利の引下げ、それに見合う与信の厳格化、審査基準の見直しなど、早くから完全施行に向けた対応をしてきたこと、日本貸金業協会においても法の段階的施行に伴い、協会員の社内体制の整備などの指導を行い、また、完全施行前より資金需要者を対象に、法改正の認知度向上のための広報活動を積極的に行ってきた結果であると考えている。
- 日本貸金業協会実施のアンケート調査結果でも明らかな通り、希望通り借入れができなかった利用者の50%超が支出を諦めるとしている。日本人の特性かもしれないが、新規借入れを諦め、我慢しながら返済を続けているのではないかと思う。このことは、資金需要者の資金需要を必要以上に抑制している表れであり、消費へのマイナスの影響も懸念される。
- リストラ等で収入減になり、生活のためにガマンできなくなった方達等を対象として、クレジットカードのショッピング枠現金化業者等の、新しい悪質 商法が急速に増加し、新たな社会問題が発生していることから、早急に対策を講じる必要があるのではないか。
- 前回12月の会合における東副大臣からの要請を踏まえて、傘下の金融機関が実施している多重債務問題の解決に役立つ取組み事例を整理し、6月16日に会員行に通知を行った。
- 傘下の金融機関の取組み事例をまとめる中、各金融機関は国等が打ち出す施策を受け止めて個人ローンの拡大につながるような様々な取組みを一生懸命実施しているという印象を受けた。ただ、貸出残高が伸びているかという点については、評価は様々である。今後とも、適正な資金需要に対し適切な審査を行い、できるだけお客さまのご期待に沿うことができるように力を入れて取り組んでいくことが大事である。
以上