平成21年2月13日
金融庁

平成20年3月期有価証券報告書の重点審査結果について

平成20年3月期有価証券報告書(平成20年6月30日提出期限)の提出会社であって、各財務局、福岡財務支局又は沖縄総合事務局に調査票を提出した会社3,148社を対象に重点審査を実施し、その結果を別添審査結果のとおり取りまとめました。

提出会社におかれましては、今後、有価証券報告書を作成する上で、別添審査結果の内容をご理解のうえ、適切な開示を行うようお願いします。

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企業開示課(内線3661、3804)


別添

平成20年3月期有価証券報告書の重点審査結果について

I . はじめに

有価証券報告書の重点審査は、有価証券報告書提出会社から、各財務局、福岡財務支局又は沖縄総合事務局(以下「財務局等」といいます。)に「調査票」を提出して頂き、開示上重要な事項や法令改正により記載内容が追加された事項等に関して、重点的に有価証券報告書の記載内容を審査するものです。

本件は、平成20年3月31日を決算日とする有価証券報告書提出会社であって、調査票を提出した会社(以下、「調査票提出会社」といいます。)3,148社に対する重点審査の結果を公表するものです。

II . 審査方法

平成20年3月期重点審査は、前回の平成19年3月期重点審査において不十分な開示を行った会社が特に多かった、「株式の総数等」、「配当政策」及び「コーポレート・ガバナンスの状況」の各項目について記載内容の審査を行うとともに、平成19年4月1日以後に開始する連結会計年度等から開示が義務付けられた、開示対象特別目的会社※の概要や取引金額等の実態把握及び記載内容の審査を行いました。

  • ※開示対象特別目的会社

    • 適正な価額で譲り受けた資産から生ずる収益を、当該特別目的会社が発行する証券の所有者に享受させることを目的として設立されており、その目的に従って、事業が適切に遂行されているときは、出資者等の子会社に該当しないものと推定されたもの。(『連結財務諸表制度における子会社及び関連会社の範囲の見直しに係る具体的な取扱い 三』)

      平成19年4月1日以後開始する連結会計年度又は事業年度から、その概要や取引金額等の開示が義務化されました。(『一定の特別目的会社に係る開示に関する適用指針』)

III . 審査結果等の概要

具体的な審査項目及び審査結果につきましては、以下のとおりであり、685社(調査票提出会社の約21.8%)に記載不備が認められましたが、前回重点審査においても審査項目としていた下記1から3の項目については、それぞれ改善が認められました。

なお、括弧内の%は、調査票提出会社(今回は3,148社、前回は3,380社)に対する、記載内容に不備のあった会社数の割合を意味します。

  • 1.「株式の総数等」に係る審査結果

    発行する全部の株式の内容について、会社法第107条第1項各号に規定する事項の具体的な内容を欄外に記載していますか。

    →記載不備のあった会社数 今回10社(0.3%)

    前回152社(4.5%)

  • 2.「配当政策」に係る審査結果

    • (a)毎事業年度における配当の回数についての基本的な方針、配当の決定機関について記載していますか。

      →記載不備のあった会社数 今回74社(2.4%)

      前回341社(10.1%)

    • (b)会社法第454条第5項に規定する中間配当をすることができる旨を定款で定めている場合に、その旨を記載していますか。

      →記載不備のあった会社数 今回15社(0.5%)

      前回130社(3.8%)

  • 3.「コーポレート・ガバナンスの状況」に係る審査結果

    • (a)取締役の定数又は取締役の資格制限を定款で定めている場合に、その内容を記載していますか。また、取締役の選解任決議に係る定足数又は表決数を過半数以外の数としていることを定款で定めている場合に、その内容を記載していますか。

      →記載不備のあった会社数 今回74社(2.4%)

      前回1,627社(48.1%)

    • (b)株主総会決議事項を取締役会で決議することができることとしている場合に、その事項及びその理由を記載していますか。

      →記載不備のあった会社数 今回561社(17.8%)

      前回1,608社(47.6%)

      • 561社のうち409社は、会社法第426条第1項に基づき、職務を行うにつき善意かつ重大な過失のない役員等の責任の一部を、定款の定めにより取締役会決議で免除できることとしているが、その事項及び理由が有価証券報告書に記載されていなかった会社です。本件の記載の有無については、前回重点審査では財務局等の審査の対象外としておりましたが、今回の重点審査では新たに財務局等で審査対象とした結果、多数の記載不備が確認されたものです。

    • (c)株主総会の特別決議要件を変更している場合に、その内容及びその理由を記載していますか。

      →記載不備のあった会社数 今回80社(2.5%)

      前回1,739社(51.4%)

  • 4.開示対象特別目的会社に係る審査結果等

    • (1)開示対象特別目的会社の実態

      審査の結果判明した開示対象特別目的会社の実態は、概ね以下のとおりです。

    • 開示対象特別目的会社が存在すると回答した会社は89社であり、開示対象特別目的会社の数は、476社でした。ただし、重要性に乏しいとして、開示対象特別目的会社の記載を省略している会社があるため、実際に有価証券報告書に記載された開示対象特別目的会社の数は、389社でした。
    • 開示対象特別目的会社の主な法形態は、株式会社、特例有限会社、合同会社、資産流動化法上の特定目的会社又はケイマン諸島に設立された法人でした。
    • 開示対象特別目的会社との主な取引の目的は、不動産又は金銭債権の流動化でした。
    • (2)記載内容の審査結果

      審査項目は以下(a)から(d)のとおりですが、記載不備のあった会社数は、(b) ii の開示対象特別目的会社の法形態を記載していない会社が1社、(c) ii の開示対象特別目的会社との取引の目的を記載していない会社が1社でした。

      • (a)開示対象特別目的会社について

        • i 開示対象特別目的会社の数を記入して下さい。

          ※ここでの開示対象特別目的会社の数とは、有価証券報告書への記載の有無に関らず、全ての開示対象特別目的会社の数を意味します。

        • ii 開示対象特別目的会社のうち、重要性が乏しいものであると判断して、下記(b)~(d)までの注記を省略しているものはありますか。

        • iii 注記を省略した会社数を記入して下さい。

        • iv 重要性が乏しいものであると判断した理由を記載してください。

      • (b)開示対象特別目的会社の概要について

        • i 開示対象特別目的会社の数を記載していますか。

          ※ここでの開示対象特別目的会社の数とは、有価証券報告書に記載した開示対象特別目的会社の数を意味します。

        • ii 開示対象特別目的会社の主な法形態を記載していますか。

        • iii 提出会社(連結子会社を含む。)との関係(開示対象特別目的会社の議決権に対する所有割合、役員の兼任状況など)を記載していますか。

      • (c)開示対象特別目的会社を利用した取引の概要について

        • i 提出会社(連結子会社を含む。)と開示対象特別目的会社との取引状況(主な対象資産等の種類、主な取引形態、回収サービス業務や収益を享受する残存部分の保有などの継続的な関与の概要、将来における損失負担の可能性など)を記載していますか。

        • ii 提出会社(連結子会社を含む。)と開示対象特別目的会社との取引の目的を記載していますか。

      • (d)開示対象特別目的会社との取引金額等について

        • i 提出会社(連結子会社を含む。)と開示対象特別目的会社との間(開示対象特別目的会社間も含む。)で、当期に行った主な取引の金額(資産の譲渡取引額など)又は当該取引の期末残高(資金取引に係る債権債務や債務保証、担保などの額)を記載していますか。

        • ii 当期の主な損益計上額(譲渡損益、金融損益、投資からの分配損益、回収サービス業務による損益など)を記載していますか。

        • iii 開示対象特別目的会社の直近の財政状態(資産総額や負債総額)を記載していますか。

IV . おわりに

記載不備のあった685社に対しては、財務局等から訂正報告書の提出を求め、本日(2月13日)現在、ほぼ全ての会社から訂正報告書が提出されています。

各提出会社におかれましては、有価証券報告書の作成にあたり、金融商品取引法等関係法令を十分確認の上、適切な開示を行うようお願いします。

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