政策評価に関する有識者会議議事要旨(令和4年6月1日)
1.日時:
令和4年6月1日(水曜日)10時00分~11時00分
2.場所:
オンライン開催
3.議事要旨:
足元の金融行政をとりまく課題について、以下のような議論が行われた。
(足元の物価上昇やウクライナ情勢等の影響)
〇 グローバルなインフレ圧力の高まりや市場におけるボラティリティの高まり等により、隠れたリスクの蓄積がないか引き続きモニタリングの深度を高めていく必要。
〇 インフレと金融引き締めの世界的な趨勢を受けて、金融機関の財務状況に与える影響について注意が必要。
〇 ウクライナ情勢を巡る金融経済制裁により、日本の金融機関の対露債権にどのような影響を与えるか注視していく必要。
〇 ウクライナ情勢を巡る金融経済制裁の影響で、企業行動の変容を促すことになり、金融ビジネスにも影響が及ぶ可能性があるため注視していく必要。
(安定的な資産形成に向けた政策)
〇 資産所得倍増プランの策定にあたっては、金融に関してより整合的な政策が立案されるよう努めていただきたい。
〇 国の資産・金融の構成が変化することにより、銀行の仲介機能が縮小する可能性もあるため、金融システム全体に対する中長期的な影響について注意する必要。
(非財務情報の開示の充実)
〇 非財務情報を法定開示にする場合、求める開示内容の定義や監査・モニタリングの在り方等を明確化することが必要。
〇 非財務情報の開示基準について、日本の状況をしっかりと発信していくことが重要。
〇 非財務情報の開示について、企業に対して開示の目的の理解徹底を図る必要。
(ESG評価機関)
〇 ESGの評価については、企業側で独自に分析・対策を検討する必要があり、人的負担が大きいため、行動規範の策定や規範の受け入れ等を進めていく必要。
(市場区分の見直し)
〇 プライム市場には、多様性のある会社が多く存在しており、上場基準や廃止基準等を今後見直していくことが重要。
(コーポレートガバナンス・コード)
〇 社外取締役の数や多様性の確保等が形式主義とならないよう実効性のある取組の実施に注力いただきたい。
(サステナブルファイナンス)
〇 サステナブルファイナンスとして何を金融庁は推進するのか明らかにし、それをどう定義していくのか考えていく必要。
〇 日本とアジアにおけるトランジションファイナンスの進め方について、金融庁と日本の大手金融機関は、アジアのリーダーとして議論をリードしていくことが必要。
(資産運用の高度化)
〇 資産運用の高度化に関して、枢要な機関投資家である企業年金基金の改善余地が大きく、運用執行体制を整えた上で、リスク調整後のリターンを最大化することを目指すべき。国内外の新興資産運用会社にも活躍の余地を広げていくことが課題。
(金融行政全般)
〇 スタートアップ支援に関して、規制緩和や簡素化が図られている一方で、既存の上場企業への負荷・負担については、あまり考慮されない傾向にあると考えており、政策の期待される効果と企業に対する負荷・負担を考慮した上で、政策を検討すべき。
〇 国際的な競争力を高めるための市場インフラとして、日本もフォーカス領域を検討すれば良いのではないか。
〇 政策の対象領域が拡大している中で、横断的に主導権をもって全体を俯瞰して政策を検討することが求められているのではないか。
〇 金融庁における政策分野が拡大していく中で、それに対応できるように体制をさらに充実させていく必要。
4.資料:
〇会議概要
以上
お問い合わせ先
金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総合政策局総合政策課
(内線2840、2967)