意見要旨(令和5年度政策評価実施計画)

  金融庁では、「令和5年度政策評価実施計画」について、令和5年10月10日から18日にかけて、政策評価に関する有識者会議委員(注)に対して個別に意見照会を行ったところ、提出された主な意見は以下のとおりです。

(参考)PDF令和5年度政策評価実施計画(PDF:1,325KB)

 基本政策Ⅰ 金融システムの安定と金融仲介機能の発揮

  •  近い将来想定され得る本邦金融政策の変更による金利・為替市場への影響、金利・為替関連の先物・デリバティブ、特にOTC取引による与信リスクの急激な変動などを含め、金融機関のリスク管理の状況など十分注視されることが必要。
  •  取組内容が「周知・広報」の場合、どのような方法で行うのか、周知が行き届いたことをどうやって確認するのか、ということを明確にしておくことは、実施計画の実行性を高める意味で重要。
  •  金融機関が持続可能であるためには、資本コストを理解しそれを超えるROEを出せるようなビジネスモデル構築が不可欠と考えるが、日本の金融機関の過半が、これを長年にわたり達成できておらず、結果として、PBRが1を下回っていることから、資金コストを上回る資本生産性をあげるようなビジネスモデル再構築(含プライシング)を奨励すべき。

 基本政策Ⅱ 利用者の保護と利用者利便の向上

  •  来年から始まる新しいNISA制度の一層の普及と金融経済教育の推進は、ようやく動き出した「貯蓄から投資」への流れをさらに後押ししていく重要な施策と思われる。加えてそもそも良質な金融商品が市場に提供されているのかとの観点から、金融商品のプロダクトガバナンス推進を後押ししていただきたい。

 基本政策Ⅲ 市場の公正性・透明性と市場の活力の向上 

  •  コロナに加えて金利上昇もあり、バランスシートがより厳しい国が増えており、ソブリン格付けの見直しの可能性がある。これは、当該国の金融機関の格付け見直しに直結することも多いことから、本邦金融機関に加えて日本で活動する外国金融機関も含めて、ソブリン格付けの見直しによる経営への影響(ファンディングコストの変化)には留意が必要。
  •  四半期開示の見直しは、開示の効率化を図る観点から、着実に進めていただきたい。
  •  サステナビリティ基準設定と第三者の保証に関して、国際的な議論へ関与、意見発信などに努めていただきたいとともに、真に投資家にとって必要・有益なものとなるのか、求められる開示深度の時間軸や企業側の負荷とのバランスにも配慮した取組をお願いしたい。
  •  成長資金供給のあり方に関して様々な施策が検討されているが、制度改革に伴うコストも考慮すれば、真に効果が期待できるものか、市場機能強化につながるのか、十分検討されることも必要。

 横断的施策

  •  デジタル対応、サステナブルファイナンス推進に関し、新たな技術革新や市場参加者を取り込みながらも、全体として金融市場の安定、市場機能への影響に十分目配りしつつ推進をお願いしたい。
  •  ESG評価・データ提供機関向けの行動規範の浸透、実効性向上を通じて、企業と金融セクターとの有意義な対話の促進につなげていただきたい。

 金融庁の行政運営・組織の改革

  •  引き続き職員の方々のモチベーション向上、組織力の向上に向けて、記載されている施策に取り組んでいただきたい。
 
 
(注)政策評価に関する有識者会議メンバー

   ・内田 貴和 三井物産株式会社顧問
  ・江川 雅子 学校法人成蹊学園学園長
  ・岡崎 哲二 東京大学大学院経済学研究科教授
  ・中曽 宏  株式会社大和総研理事長
  ・星 岳雄  東京大学大学院経済学研究科長
  ・本田 桂子 コロンビア大学国際関係公共政策大学院客員教授

※ 敬称略・五十音順


以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)

総合政策局総合政策課(内線3154、3716)

サイトマップ

ページの先頭に戻る