政策評価に関する有識者会議議事要旨
(令和8年6月23日)
1.開催概要:
日時:令和8年6月23日(火曜日) 15時00分~16時05分
中央合同庁舎7号館 13 階共用第一特別会議室
本会議は「政策評価に関する有識者会議運営要領」第2条第2項に基づき、金融行政において外部の意見や提言を継続的かつ的確に反映させるため、金融行政として取り組むべき重要な課題となる事項について議論を行うために開催したもの。
2.出席委員:
- 内田 貴和 委員
- 株式会社みずほフィナンシャルグループ社外取締役
- 江川 雅子 委員
- 学校法人成蹊学園学園長
- 岡崎 哲二 委員
- 明治学院大学経済学部教授
- 中曽 宏 委員
- 株式会社大和総研理事長
- 星 岳雄 委員
- 東京大学副学長
- 本田 桂子 委員
- 早稲田大学商学学術院大学院経営管理研究科教授
3.議事要旨:
足元の金融行政をとりまく課題について、以下のような議論が行われた。
(金融システムの安定性・リスク管理)
- 米国プライベートクレジット市場について、現時点ではシステミックリスクとまではいえないものの、将来的な金融システムへの影響に十分注意し、危機発生を想定した備えを進めるべき。
- 地政学リスク、国債市場の不確実性、政府債務問題、長期金利上昇等が金融システムに与える影響について継続的なモニタリングが重要。
- AI関連銘柄を中心とした株価上昇や市場の過熱感について、価格調整時の金融システムへの影響を検証しておく必要がある。
- AIや量子コンピューターの進展に伴うサイバーセキュリティーリスクや金融インフラへの影響への対応強化を求めるほか、金融庁としてAIにどう向き合うのかといった観点から長期戦略を策定すべき。
(コーポレートガバナンス改革)
- 改訂されたコーポレートガバナンス・コードについて、取締役会の実効性向上や独立社外取締役の質の向上を着実に進めるべき。
- 個人の社外取締役の側面だけでなく、当該企業の経営者やCEO等の理解も重要。また、独立社外取締役の責務・役割等の強調が過度に保守的な経営判断につながらないよう、企業の果敢なリスクテイクとのバランスに留意すべき。
- 有価証券報告書の株主総会前開示について、会社法との整合性確保や実務負担も考慮しながら検討を進めるべき。
- 従来と比較して無形資産・サービス業が増加しているという構造的な問題があるのかもしれないが、深刻な会計不正事案が発生していることから、内部統制の重要性について、引き続き強いメッセージを発信すべき。
- 東証プライム上場企業の機関設計に関して、指名委員会等設置会社よりもガバナンスが相対的に緩いとされている監査委員会等設置会社の割合が増大しているが、本来の制度趣旨とは異なる運用となっているように思われることから、制度設計の見直しを行うべき。
- 企業側からみた実質的な株主が誰なのかといった投資家層の解像度が低いことから、解像度を上げる取り組みを行うべき。
- 資本コストや資本効率に対する理解を深めるなど、企業経営者の金融リテラシーを向上させる取り組みを検討すべき。
(資産運用立国)
- 新NISA、iDeCo、J-FLEC等の取組は概ね順調に進展している一方で、地域格差の解消や金融詐欺への対応強化、金融リテラシー向上、人材育成が重要課題。
- 国立大学ファンドに代表されるように各学校法人が資産運用に積極的に取り組んでいるなか、学校法人等のアセットオーナーが資産運用能力やガバナンス体制を整備できるよう支援すべき。
- フィデューシャリー・デューティーをしっかり担保する観点から資産運用会社の独立性を確保すべき。また、世界の年金機関における運用が「ストラテジック・アセット・アロケーション」から「トータル・ポートフォリオ・アプローチ」へと移行しているなか、資産運用の分野は人材が不足しており、専門人材の育成を進めるべき。
(スタートアップ・成長資金供給)
- スタートアップへのリスクマネー供給拡大、未上場株式の流通市場整備、レイターステージの資金調達環境整備を進めるべき。
- 海外のスタートアップのエグジットの8割がM&Aである一方、日本では小規模IPOが多くグロース市場で十分に成長できていない状況に鑑み、M&Aを含めた多様なエグジット手段の発展が重要。
- 事業性融資推進法に基づく企業価値担保権の活用状況について、制度ができてどのように利用されどのような成果を生み出すのかといった観点から、事例研究と計量的な評価等、継続的な検証を行うべき。
(市場機能・国際金融センター)
- 社債市場(外貨建ての国内債(オリガミ債))や東京プロボンド市場の活性化を通じ、国際金融センターにふさわしい市場を整備すべき。
- ボランタリー・カーボンクレジット市場については、アジアでの都市間競争が激しく展開されているところ、日本では今年GX-ETS制度が稼働したことなどを踏まえ、国際連携や取引活性化を進めるべき。
- 外国人創業人材の受入れに関する在留資格の厳格化措置について、国際金融センター構想との整合性や制度趣旨を海外に適切に発信すべき。
(金融業・銀行業を取り巻く環境)
- 金利上昇や企業の資金需要増加を踏まえ、金融機関の資金仲介機能や規制の在り方について検討が必要。
- 金融業と小売業の融合はサービスの拡大や効率化といったプラスの側面がある一方、銀行業と他業種との提携拡大に伴う補填的な利益相反やリスクを生み出すことから、慎重なモニタリングが求められる。
(その他)
- 現状、金融庁の幹部職員に女性が少ないことから、優秀な女性職員の離職を防ぎ定着させる環境を整えていくべき。
以上
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