証券取引等監視委員会メ-ルマガジン(第55号)平成27年6月1日
証券監視委ウェブサイト http://www.fsa.go.jp/sesc/index.htm
<目次>
1.市場へのメッセージ
2.コラム
1.市場へのメッセージ
◆平成26年度の犯則事件の告発状況と捜査機関との連携について◆
平成26年度において、証券監視委は、犯則事件の調査結果に基づき、内部者取引の嫌疑で1件2名、相場操縦の嫌疑で2件3名、偽計の嫌疑で1件1名、虚偽有価証券報告書提出の嫌疑で2件6名の合計6件12名について告発を行いました。
個別の事案概要については、下記参考の報道発表等をご覧いただきたいと思いますが、平成26年度の告発事案の特徴の一つとして、警察と密接に協力して犯則調査を行った告発事案が複数あったことが挙げられます。
証券監視委の犯則調査は、検察官に告発することを目標としていることもあり、その過程において、検察とともに調査を行うことが一般的ですが、事案の性格や状況に応じて、事案の全容解明のために、警察と連携することが有効なケースがあります。
「株式会社fonfun株券に係る相場操縦事件」(下記参考4)は、犯則嫌疑者が、平成25年4月、大阪証券取引所が開設する有価証券市場に上場されていた株式会社fonfunの株券につき、その売買の状況に関し他人に誤解を生じさせる目的をもって、知人及び妻名義で、権利の移転を目的としない仮装の売買によって上昇させた株価により、同株券を売り付けるなどの相場操縦行為を行ったというものですが、本件については、兵庫県警が、金商法違反だけでなく、相場操縦資金の調達手段に関する出資法違反の容疑についても、捜査を行っており、証券監視委は、兵庫県警と連携しつつ調査を進め、金商法違反の事実について告発を行いました。
また、「井上工業株式会社株券に係る偽計事件」(下記参考2)については、本件は、すでに平成23年12月に共犯者について告発した事案で、当時海外にいた犯則嫌疑者が、平成26年7月に本邦に移送され、警視庁が逮捕したことを受けたものであり、さらに、「株式会社太陽商会に係る虚偽有価証券報告書提出事件」(下記参考5)も、警視庁において、金商法違反の容疑について、強制執行妨害罪及び業務上横領罪の容疑とあわせて捜査を行っており、いずれの事案についても、証券監視委として、警視庁と連携しつつ調査を進めてきたものです。
証券監視委が調査対象とする犯則事件は、これまでもそうであったように、今後も手口の巧妙化や事案の複雑化が進んでいくことが考えられますが、それに伴い、金商法上の犯則行為以外の犯罪行為と複合的に行われている事案や、反社会的勢力が関与している事案が増えてくることも予想されます。そうした中で各種捜査機関との連携は、より一層重要になってくると思われます。
我々、証券監視委としては、金融商品取引法等に基づく犯則調査の専門性を高めつつ、必要に応じて、事案の解明という大きな目的を共有する検察・警察といった捜査機関を含めた関係機関とも連携しながら、これからも市場の監視を的確に行っていきたいと考えております。
(参考)平成26年度の証券監視委による告発事案
1.株式会社インデックスに係る虚偽有価証券報告書提出事件(平成26年6月16日)
2.井上工業株式会社株券に係る偽計事件(2)(平成26年8月8日)
3.デイトレーダーによる見せ玉手法等を用いた4銘柄の株券に係る
相場操縦事件(平成26年10月7日)(※)
4.株式会社fonfun株券に係る相場操縦事件(平成26年12月19日)
5.株式会社太陽商会に係る虚偽有価証券報告書提出事件(平成27年2月2日)
6.株式会社トーメンエレクトロニクス株券に係る内部者取引事件(平成27年3月24日)
※「3.デイトレーダーによる見せ玉手法等を用いた4銘柄の株券に係る相場操縦事件」については、平成26年11月4日付の当メールマガジンでも紹介しています。
2.コラム
[日本証券業協会からの寄稿]
◆本協会の協会員に対する監査結果について◆
今般、平成26年度の協会員に対する監査結果を取りまとめました。
平成26年度の監査は、金融商品の説明及び勧誘状況の検証等を重点項目に掲げ、会員(証券会社)84社、特別会員(銀行等)48機関に対して監査を実施し、会員78社、特別会員47機関に対し監査結果を通知いたしました。
監査結果について簡単にご紹介しますと、会員においては、法令違反として自己資本規制比率の算出誤りや、顧客分別金の信託不足が認められたほか、協会規則違反として注文管理体制に係る不備が認められました。また、特別会員においては、法令違反として契約締結前交付書面の未交付が認められたほか、協会規則違反として役職員による有価証券の売買等に係る管理不備が認められております。
なお、法令・諸規則違反等の指摘に、重大な違反や悪質なものは認められておりません。
平成27年度の監査におきましても、引き続き、金融商品の投資勧誘・販売態勢の検証等を重点事項に掲げ監査を実施することとしています。
○ 詳細の内容につきましては、本協会ホームページにおける『協会員への監査について』をご確認ください。
○ 本件に関するお問い合わせ先:日本証券業協会 監査1部
(TEL 03-3667-8455)
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