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「AI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラム」(第1回)議事録
日時:
令和8年9月30日(水曜)14時00分~15時00分場所:
中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室議題:
- (1)開会
- (2)関係省庁等報告
- (3)討議
- (4)閉会
出席者:
- 【メンバー等(金融庁除く)】
- 片山内閣府特命担当大臣(金融)(座長)、谷川内閣府副大臣、根本内閣府大臣政務官、宇井理人、大槻奈那、神田秀樹、鈴木智佳子、根本直子、野崎浩成、森下哲朗、蓮井統括官(デジタル庁)、阿久澤局長(財務省)、緒方局長(財務省)、神山理事(日本銀行)、黒澤企画委員長(全国銀行協会)
- 【金融庁】
- 堀本資産運用・保険監督局長、井上企画市場局長、島崎審議官、飯塚審議官、中川総務課長、安富暗号資産・ステーブルコイン課長、齊藤市場課長、横山信用課長
議事録:
【安富暗号資産・ステーブルコイン課長】
ただいまからAI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラムの第1回会合を開催させていただきます。本日司会を務めさせていただきます安富でございます。よろしくお願いいたします。皆様におかれましては、お忙しいところ御参加いただき、誠にありがとうございます。
本日の会議の一般傍聴はなしとさせていただいております。概要につきましては、本フォーラム終了後、事務局から記者レクのほうを行わせていただくほか、後日、皆様の御確認を経た上で、当庁ホームページにて議事録を公表させていただくことをしたいと思っております。
続きまして、本フォーラムの構成員の皆様を御紹介させていただきます。お手元の資料でいいますと、資料1のほうがメンバー名簿になります。本フォーラムは片山内閣府特命担当大臣を座長とさせていただいております。また、本日は谷川内閣府副大臣、また、根本内閣府大臣政務官にも御出席をいただいております。
有識者の方々の皆様について、順に御紹介させていただきます。五十音順で御紹介させていただきます。ブランズウィック・グループパートナー、宇井理人様。
【宇井メンバー】
よろしくお願いします。
【安富暗号資産・ステーブルコイン課長】
名古屋商科大学大学院教授、大槻奈那様。
【大槻メンバー】
よろしくお願いします。
【安富暗号資産・ステーブルコイン課長】
東京大学名誉教授、神田秀樹様。
【神田メンバー】
よろしくお願いします。
【安富暗号資産・ステーブルコイン課長】
PwC Japan有限責任監査法人パートナー、鈴木智佳子様。
【鈴木メンバー】
よろしくお願いします。
【安富暗号資産・ステーブルコイン課長】
早稲田大学大学院経営管理研究科教授、根本直子様。
【根本メンバー】
よろしくお願いします。
【安富暗号資産・ステーブルコイン課長】
東洋大学国際学部教授、野崎浩成様。
【野崎メンバー】
よろしくお願いします。
【安富暗号資産・ステーブルコイン課長】
上智大学法学部教授、森下哲朗様。
【森下メンバー】
よろしくお願いします。
【安富暗号資産・ステーブルコイン課長】
そして、本日は御欠席されておりますけれども、日本総合研究所シニアフェロー、翁百合様にもメンバーをお引き受けいただいております。
また、関係省庁等として、当庁のほか、デジタル庁、財務省、日本銀行、全国銀行協会の皆様にも御出席いただいております。
本日全体の流れについてですけれども、まず、関係省庁等からそれぞれの取組について御報告いただき、その後、有識者の皆様から御意見を頂戴できればと思います。
それでは、関係省庁等の取組の報告に移らせていただきます。まず、金融庁のほうから、フォーラムにおける問題意識と、その前提として、オンチェーン金融をめぐる状況や、金融庁の取組について説明をお願いいたします。堀本局長、よろしくお願いいたします。
【堀本資産運用・保険監督局長】
資産運用・保険監督局長の堀本です。よろしくお願いいたします。私からは、資料2という説明資料がお手元にございますけれども、それに基づきながら御説明したいと思います。
私のほうからは、本フォーラムにおける問題意識と、その前提として、オンチェーン金融をめぐる状況及び金融庁の取組について御説明いたします。
まず、資料にはないのですけれども、本フォーラムにおける問題意識について、私から簡単に御説明したいと思います。本フォーラムを進めるに当たりまして、我々事務局として重視したい観点が三つございます。
一つが、プログラマビリティ等を活用した実際の取引の発展と一体となったオンチェーン金融の展開ということでございます。どういう意味かといいますと、資産のトークン化といったような資産運用の高度化、あるいは物流・商流と決済の一体的な連携による生産性の向上とか、実際に世の中、経済等の改善につながるリアルなニーズに即したオンチェーン決済サービスの発展を我々は目指したいと考えています。
それから、第2ですけれども、オンチェーン決済とオフチェーン決済のベストミックスを追求したいと考えております。オンチェーン決済は24時間利用可能な即時決済であり、透明性やプログラム可能性についてメリットがあるということでございますが、一方で、例えばパブリック型では処理容量の制約や、あるいは手数料等の懸念もございます。また、誤送信や不正取引の取消しや資金回収といったものについても困難になる可能性があります。こうしたメリット、デメリット両方ございますので、各取引の性格等や、こうしたオンチェーン決済の特性を踏まえまして、対応をしていく必要があるだろうと考えております。
第3には、やはり決済基盤ですので、信頼される安定性や安全性が確保される必要があるという点でございます。さらに、オンチェーン金融が今後さらなる発展を遂げたときに金融システム全体にどのような影響を与えていくのか、という点についても考慮する必要があると考えております。
そうした上で、お手元の説明資料の1ページを御覧いただければと思います。先ほど申し上げました三つの観点を踏まえつつ、本フォーラムにおいては、1ページの中段にございますAI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラムの下にあります幾つかの論点について、議論していきたいと考えております。
また、金融庁において立ち上げます、環境整備に係る研究会並びにAI等の健全な利活用に係る研究会においても、関係する論点を検討したいと考えております。その上で、来年初にまでに中間整理と、それからロードマップ、これを作成する作業を進めていきたい、このように考えております。
続きまして、こうした議論を進める前提として、現在のオンチェーン決済サービスを取り巻く環境、これの現状について、我々の認識を御説明したいと思います。
ちょっと飛んでいただきますが、6ページを御覧いただければと思います。まず、資産のトークン化についてでございます。現在、様々な資産、6ページの右側にグラフがございますけれども、例えば米国債であったり、社債、株式、不動産、商品といった資産のトークン化の取組が行われております。トークン化資産の発行額も、グラフのとおり、急激に増加しているという状況にあります。
一方、7ページを見ていただきたいのですけれども、先ほど申しました貿易とか物流、建設、小売、環境と、例を書かせていただいておりますけれども、こうした分野におきまして実際にブロックチェーンが活用される事例が出てきております。例えば貿易におきましては、一元的な帳票の管理、共有ができるプラットフォームをつくる、そういった取組が出てきているということでございます。
こうした取組とスマートコントラクトによる自動処理を組み合わせますと、商流・物流の情報と決済の情報の連携を密接にすることができたり、貿易管理のプラットフォームで、ある行為が行われますと、それに伴う決済が自動的にスマートコントラクトで行われていく、そういったようなことが図られる可能性があるということでございます。
こうした様々な資産のトークン化、あるいはプログラマビリティを使ったサービスの多様化といったようなことが進展する中で、では、現状、オンチェーン決済サービスであるステーブルコイン及びトークン化預金はどうなっているかということを、次に御説明させていただきます。9ページをお開きいただきたいと思います。
9ページを御覧いただきますと、ステーブルコインの発行状況は、足元、急速に増加をしておりまして、現在約3,100億ドルとなっています。現状の多くは、83%をドル建てのステーブルコインが占めている、これが現状でございます。
また、次、10ページを見ていただきますと、一方で、ここに書いてあります、例えば日本、アメリカ、イギリス、EU、それぞれ主要国においては実際にステーブルコインが発行されたり、あるいはその活用について実証実験が行われたり、あるいは、この一番下にあります国際プロジェクトなども展開しております。例えば、VISAであったり、主要国の大手20行、そういったところがいろんなプロジェクトを開始している、こういう状況にあります。
以上、ステーブルコインですけども、続いて、トークン化預金についてです。11ページを御覧いただければと思います。11ページ、トークン化預金についてですが、これに関しては国際決済銀行の調査がございます。90法域において取組について調査を行っているのですけれども、約3分の1の法域において、商業銀行が何らかの取組を行っているということが確認されております。
実際、12ページを見ていただきますと、実際にトークン化預金を発行している例、あるいは異なる銀行間でトークン化預金を相互運用するための実証実験、そういったものが、主要国や、あるいはこの国際プロジェクト、例えば、プロジェクト・アゴラや、あるいはシンガポールMAS、SWIFT等で始まっているところでございます。
このように、資産のトークン化あるいはプログラマビリティの可能性の拡大といった中で、実際にオンチェーン決済サービスも展開をしてきているという状況の中で、では、金融庁は今どういう取組をしているかということを最後に御説明したいと思います。
14ページを御覧いただければと思います。一つの取組として、例として御説明申し上げたいのは、決済高度化プロジェクト、いわゆるPIPと呼ばれるものでございます。14ページでございます。PIPは、事業者によってブロックチェーン技術を活用した決済高度化に関する取組について、金融庁が法令解釈等の面から支援する、こういう仕組みでございます。
15ページ以降にございますけれども、実際今まで4件の支援を行っております。15ページを見ていただきますと、円建てステーブルコインを発行した形で送金等を行うでありますとか、16ページですと、証券決済に向けた取組でありますとか、あるいは、17ページのトークン化預金を使った銀行間送金の仕組み、それから18ページ、これは昨日29日に発表したばかりですけれども、先ほど例示で申し上げました貿易の実務管理に関するステーブルコインの活用、こういったような実証実験を現在支援しているところでございます。
一方で、当然こうした推進とともにオンチェーン金融の安定性とか、あるいは安全性の確保、これも重要な課題でございます。様々な取組をやっておりますし、また、先ほど申し上げましたような研究会においてさらに検討していきたいと思うのですけれども、本日は一例としまして、オンチェーン決済と親和性の高いAIの利活用、金融機関におけるAIの利活用について御説明をしたいと思います。
御承知のとおり、世界では現在、様々な金融機関がAIの活用に取り組んでおります。AIは、業務効率化といった非常に大きなメリットや将来性がありますけれども、一方で、利用者保護とか、あるいは個人情報の保護といった観点からのリスクもあることは事実です。また、将来、金融市場などに予期せぬ影響を与える可能性もございます。実際に国際的にも、当局の監督上どのように対応していくのかということについては議論が現在行われているところでございます。
そうした中で、金融庁としては、自らの考え方、論点を関係者と共有していくために、21ページを御覧いただきますと、AIのディスカッションペーパーというのを2025年3月に公表しています。さらにこれのリバイスをやっておりまして、それを発表するとともに、22ページを御覧いただきますと、金融庁AI官民フォーラムというのを立ち上げまして、これまで4回ですけれども、様々な論点について、そこにあります参加金融機関の関係者と議論をしてまいったというところでございます。
こうした議論を踏まえつつ、先ほど最初に申し上げましたAI等の健全な利活用に係る研究会において、さらなる検討を進めていきたい、このように考えているところでございます。
以上が金融庁の取組の現状でございます。
【安富暗号資産・ステーブルコイン課長】
ありがとうございます。
続きまして、この当庁説明資料の1ページのところの論点に沿って、順に御発言いただきたいと思います。
まずは、国際的なオンチェーン金融実装に向けた連携・発信のテーマにつきまして、金融庁及び財務省から御説明をお願いいたします。飯塚審議官、緒方局長の順に御発言よろしくお願いいたします。
【飯塚審議官】
国際担当の審議官を務めております飯塚でございます。よろしくお願いします。私からは当庁の国際的な取組について御報告いたします。
先ほどキーワードの一つにプログラマビリティという言葉がございましたけれども、プログラマビリティを通じた金融取引の効率化、その可能性が高い分野として、オンチェーン金融の強みが最も発揮される分野の一つがクロスボーダー取引だと考えております。こうした取組を進めるためには、金融安定、あと、マネロン・テロ資金供与対策を、しっかりと確保しながら、国際的な連携を深めていくことが不可欠と考えております。
特に、送金と貿易決済は、大きなニーズが見込まれるアジアとの連携が重要でございまして、当庁としましては、財務省等と連携して、アジアの官民ステークホルダーが集う新たな政策対話の枠組みを立ち上げたいと考えております。
その第一歩としまして、来年の2月ですけれども、デジタル時代の新たな金融をテーマに、アジアデー2027という形で会議を開催したいと考えております。
また、我が国を含む各国で発行利用が拡大するステーブルコインについて、健全なクロスボーダー取引を確保していくことも重要だと思います。G20とか、FSBで国際的な議論が行われていまして、それに積極的に貢献していくとともに、主要法域との間で規制・監督上の取扱いの調整を進めてまいりたいと考えております。
【緒方財務省国際局長】
引き続きまして、財務省国際局長の緒方でございます。私から国際金融の観点から申し上げます。
オンチェーン金融を活用したクロスボーダー送金・決済の分野で、相互運用性を確保しながらシームレスなネットワークを築くことで、大幅な迅速化やコスト削減をもたらし得、これは、ひいては円の利便性向上に資するものと考えております。このような様々なメリットを実現しつつ、テロ資金対策回避等のリスクに対応する観点から、私どもとしましては、G7、G20などの国際的な政策協調の議論に貢献してまいりたいと考えております。
また、先ほど金融庁からもありましたとおり、アジア各国との連携も重要になっております。本年、日本はASEAN+3の共同議長国として、クロスボーダー・デジタル決済を重点課題と位置づけており、リテール及びホールセールの決済接続やステーブルコインに関する規制上のアプローチについて、域内での連携の議論を主導してまいりたいと考えております。
以上です。
【安富暗号資産・ステーブルコイン課長】
ありがとうございます。
続きまして、ステーブルコインやトークン化預金の公金給付への活用、また、ステーブルコインの諸法令における取扱いの整理、明確化の論点につきまして、デジタル庁、蓮井統括官より御説明をお願いいたします。
【蓮井デジタル庁戦略・組織グループ統括官】
デジタル庁、蓮井でございます。デジタル庁といたしましても、このAI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラムに関係省庁の皆様とともに前向きに参画してまいります。
政府は、今年の7月に日本成長戦略本部事務局により取りまとめた「成長投資を促進するための金融戦略」に基づきまして、AIエージェントが自律的に経済活動を遂行する時代の到来に備えまして、AI時代の決済手法としてブロックチェーン技術を基盤とするオンチェーン金融を進めていくというふうにされておりますが、その中で、デジタル庁といたしましても、オンチェーン金融のプログラマビリティを生かしまして、子育てですとか食料品といった特定の目的に給付金の使途を限定するようなきめ細かな給付を可能とし、給付行政の信頼性向上と効率化を図るために、これまで培ってまいりましたデジタル空間上での本人確認手法やウォレットの在り方に関する知見も生かしながら、関係省庁と連携し、外部の専門的知見も得ながら、ステーブルコイン、トークン化預金の公金給付への活用可能性について、技術面から検討を進めてまいります。
また、「成長投資を促進するための金融戦略」において、ステーブルコインの金銭に準じた利用可能性等について、これはデジタル行財政改革会議事務局で検討するとされました。この事務局は、本年9月1日に私どもデジタル庁に統合されましたので、これを引き継ぎまして、諸法令における取扱いを整理しまして、今度開始いたしますAIデジタル改革推進会議、こちらのほうで検討を省庁横断的に進めてまいりたいと考えてございます。よろしくお願いいたします。
【安富暗号資産・ステーブルコイン課長】
ありがとうございます。
続きまして、国債等のトークン化対応につきまして、財務省、阿久澤局長より御説明をお願いいたします。
【阿久澤財務省理財局長】
財務省理財局長の阿久澤でございます。財務省におきましては国債管理政策を担っておりまして、確実かつ円滑な発行によって、必要とされる財政資金を確実に調達すること、また、中長期的な調達コストを抑制していくことによって、円滑な財政運営の基盤を確保するということを基本目標としております。
こうした目標の下、市場との対話を丁寧に重ね、市場ニーズを十分に踏まえた国債発行に努めるとともに、国債保有者層の多様化などに取り組んでまいりました。
近年、国内外の金融市場ではAIやブロックチェーン技術を活用した取組が進展しております。国債をはじめとする金融資産につきまして、オンチェーン対応に向けた取組やサービスの開発が進められておりまして、金融市場の新たな在り方が模索されていると認識しております。
このような国内外の動きを受け、国債発行当局としても、将来的な市場参加者のニーズを見据えつつ、国債市場への影響を十分に見極めながら、国債のオンチェーン対応について、着実に検討を進めていくことが重要であると考えております。
こうしたことから、国債のオンチェーン対応に関して、有識者の方々から成る新たな研究会を10月に開始をいたします。本研究会では、メンバーや関係者の皆様とともに、国債のオンチェーン対応に関する論点を整理し、民間事業者による具体的な取組も踏まえながら、皆様に成果を御報告できるよう検討を深めてまいりたいと考えております。以上です。
【安富暗号資産・ステーブルコイン課長】
ありがとうございます。
続きまして、日銀当座預金のオンチェーン対応につきまして、日本銀行、神山理事より御説明をお願いいたします。
【神山日本銀行理事】
日本銀行の神山でございます。オンチェーン金融の推進に係る私どもの取組について御紹介いたします。
現在、日本銀行では、本年3月に総裁の植田が講演しましたとおり、日本銀行当座預金をブロックチェーン上の幅広い決済に活用するための技術的な検証に向け、民間金融機関等の協力も得つつ、DLT連携サンドボックスを進めております。
また、国際決済銀行と国際金融協会が主導するプロジェクト・アゴラという商業銀行預金と中銀預金をトークン化し、共通のブロックチェーン上に載せて24/7のクロスボーダー決済を効率的に実現することを目指すプロジェクトにも参加しております。
今後、オンチェーンのエコシステムが拡大していく中で、金融面で様々なビジネスニーズが登場する可能性があると考えております。あるべき金融・決済システムの将来像を考える上では、こうした動きを的確に把握していくことが重要になると認識しております。日本銀行といたしましては、決済高度化プロジェクトでの実証実験などを通じ、民間サイドの取組を後押しされている金融庁をはじめ、引き続き関係省庁の皆様とも緊密に連携しつつ、オンチェーン時代にふさわしい金融・決済システムの構築に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。
【安富暗号資産・ステーブルコイン課長】
御説明ありがとうございました。
冒頭申し上げましたとおり、ここで一度、議事のほうを中断させていただきます。大臣挨拶の撮影準備のため、プレスの皆様に入室をいただきます。
(報道関係者入室)
(片山内閣府特命担当大臣入室)
【安富暗号資産・ステーブルコイン課長】
それでは、本フォーラム座長の片山大臣より御挨拶のほうをいただきたいと思います。大臣、よろしくお願いいたします。
【片山内閣府特命担当大臣】
ありがとうございます。本日は誠に御多用のところ、AI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラムに御参加をいただきまして、誠にありがとうございます。心から御礼を申し上げます。
日本の成長戦略の加速のためには、金融の力は不可欠でございます。このたび政府としては、これまで資金の好循環を創出し、日本経済の成長と国民所得の増加を目指すため、資産運用立国の実現に向けた取組を進めてまいりました。強い経済を実現するためには、これらの取組をさらに発展させる必要があります。
こうした考えの下、四つの柱から成る「成長投資を促進するための金融戦略」を本年7月に策定いたしました。金融戦略の四つ目の柱が、金融システムを支えるインフラへの投資であり、この中でAI時代を見据えたオンチェーン金融イニシアチブを進めることとしております。
AI時代の決済はブロックチェーン技術を基盤とするオンチェーン金融の推進と既存の金融インフラ、いわゆるオフチェーン金融とのベストミックスが鍵となります。この点、プログラマビリティなどのブロックチェーン技術の特性を生かして、ステーブルコインやトークン化預金と国債などの様々なトークン化資産を組み合わせることで、より効率的な金融取引の実現などが可能となるほか、物流・商流と決済を一体的に連携させることにより、経済全体の生産性を高めることが期待されています。
このため、個々の金融サービスを単にデジタル化するだけではなく、AI時代の決済を見据えて、金融システムを支えるインフラそのものをトランスフォームさせていくことが重要です。
金融庁ではこれまでもステーブルコインやトークン化預金など、ブロックチェーン技術を活用した決済高度化の取組を支援する枠組みである決済高度化プロジェクト、通称PIPでございますね、このPIPを昨年11月に設置しまして、ステーブルコインなどを活用した事業者の取組を支援するなど、オンチェーン金融を強力に推進してまいりました。
このフォーラムは、こうしたオンチェーン金融の取組や社会実装を加速するべく、金融庁も含めた関係省庁等において、横断的に検討することを目的として開催するものであります。来年の初めには、関係省庁などの検討を踏まえて、本フォーラムにおいて中間整理を取りまとめるとともに、その時点における官民連携でのロードマップを作成いたしたいと考えておりますので、関係省庁等におかれては着実に御検討を進めていただきたいと思います。
今後も有識者の皆様も交えながら、闊達な御議論をどうぞよろしくお願いいたします。
【安富暗号資産・ステーブルコイン課長】
ありがとうございました。大臣は次の御予定との関係で、これにて御退席のほうをさせていただきます。
(片山内閣府特命担当大臣退室)
【安富暗号資産・ステーブルコイン課長】
続きまして、プレスの皆様方にもこちらのほうで御退室のほうよろしくお願いいたします。また、議場の皆様におかれましては、御協力いただきましてありがとうございました。
(報道関係者退室)
【安富暗号資産・ステーブルコイン課長】
それでは、議事のほうを再開させていただきます。関係省庁等の取組、最後でございますけれども、新たな決済システム構築の促進等につきまして、全国銀行協会の黒澤企画委員長、御説明よろしくお願いいたします。
【黒澤全国銀行協会企画委員長】
全銀協企画委員長の黒澤と申します。オンチェーン金融に関しまして、私ども銀行界としての課題認識と今後の検討の方向性について申し上げさせていただきたいと思います。
昨今、AIやデジタル技術の急速な発展に加えまして、諸外国におけるトークン化預金やステーブルコイン等の取組、実用化を背景に、我が国における決済・金融インフラの将来像が改めて問われていると認識しております。
また、企業活動のグローバル化やサプライチェーンの複雑化に伴い、より迅速で、時間や場所に制約されず、また、取引情報と決済が連動するサービス等へのニーズは、今後さらに高まるものと考えております。
銀行界におきましても、トークン化預金やステーブルコインを活用した証券DVP決済、貿易取引、クロスボーダー決済等について、お客様への提供価値、また、その事業性を見極めながら、様々な検討や実証を積み重ねてきているところでございます。これらを通じまして、実効性のあるユースケース、それに伴う制度や実務面での課題などの知見も積み上がりつつあります。
私どもとしても考えていく中で、こうした民間の取組に加えて、個々の金融機関だけでは解決しにくいインフラ全体に関わる課題について、知見を共有し、将来の在り方を議論していくことが非常に重要と考えています。この認識の下、今回、銀行関係者が集中的に議論する検討会を全銀協の下に立ち上げており、今後の実証や段階的なロードマップにつなげるための契機としたいと考えています。
その検討会では、銀行界としての今後の検討課題や方向性、幅広い金融機関が参加できるような仕組み、次世代の銀行間決済基盤に求められる役割などについて協議、検討する予定です。
また、オンチェーン化により商流・物流と金融が一体化する世界の中での、銀行の非金融事業の在り方につきましても、全銀協における別の検討会で議論する予定です。我が国の銀行界が培ってきた預金や決済に対する信頼性、安全性、安定性は、決済金融インフラのオンチェーン化が進む場合においても非常に大切にすべき基盤と認識しています。トークン化預金やステーブルコイン等についても、こうした強みを損なうことなく、新たな技術によってさらに発展させていくという観点が重要と考えています。
このような姿勢を重視して、我が国の決済金融インフラの発展に銀行界として主体的に貢献してまいりたいと考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。以上でございます。
【安富暗号資産・ステーブルコイン課長】
皆様、御説明ありがとうございました。
続きまして、議事3の討議のほうに移らせていただきます。有識者のメンバーの皆様より順に御発言をいただきます。大変恐れ入りますけれども、お一人様3分めどで御発言のほうをお願いいたします。順に御紹介させていただきます。宇井様、よろしくお願いいたします。
【宇井メンバー】
どうもありがとうございます。ブランズウィック・グループの宇井と申します。
私は、以前に日本銀行で大口資金決済・国債決済の企画運営に携わり、その後、デジタル決済事業者で消費者や中小企業へのフィンテックの普及に関与しました。現職では、企業によるイノベーションの社会実装を、ステークホルダー・エンゲージメントの観点から支援する機会もございます。こうした実務経験を踏まえて、3点、御意見を申し上げます。
まず第1に、日本では、既存のオフチェーンの決済インフラが高い安定性と信頼性を有し、金融・資本市場を支える重要な基盤となっています。日本市場の競争力強化という観点からも、この強みは維持・向上させる必要があります。その意味で、オンチェーン金融の推進と既存のインフラとのベストミックスが鍵になる、という今回のイニシアチブの整理を強く支持いたします。既存インフラを生かしながら、オンチェーンの強みを発揮できる領域を見極め、そこから着手して拡張していく、という発想が重要だと考えております。
第2に、これまで日本のオンチェーン金融では、インフラ整備が進んでいないのでユースケースが出てこない、一方で、ユースケースが見えないのでインフラ整備が進まないという、「鶏と卵」のすくみの問題が続いてきた面があったと認識しております。この問題に対して、今回、国が一歩前に出て、関係省庁等が一堂に会し施策を可視化した上で、包括的なパッケージとして推進していくことには、とても大きな意味があります。
一方で、目標として掲げている2027年初の中間整理、ロードマップの策定まで時間は限られておりますので、全体像を大きく描いて推進力を強く保つ一方で、個別の施策については素早く小さく始め、検証しながら徐々に大きく育てていく、そうした現実的な取組も必要になっていくのではないかと考えております。
第3に、決済インフラや制度の整備は重要な前提ですが、最終的にはやはり民間から強いユースケースが出てくるかが決定的に重要になります。AIの発展によって、商流・物流と取引データがどのようにつながっていくのか、決済の前提となる商取引自体がどのように変わっていくのか、需要そのものが現在の延長線では予見しにくい形で非連続的に変化する可能性がある局面ですので、柔軟な形で構えておく必要があります。
金融庁で進められている実証実験の枠組みも活用して、また、このイニシアチブ自体を呼び水として、ユースケースの深掘りを進めることが重要と考えております。
併せて、オンチェーン金融は、特にクロスボーダーでの対応が重要な分野ですので、先ほどお話がありましたとおり、国際的な実装に向けた連携・情報発信にも積極的に取り組んでいただければと思います。
私からは以上です。ありがとうございます。
【安富暗号資産・ステーブルコイン課長】
ありがとうございます。
続きまして、大槻メンバー、御発言よろしくお願いいたします。
【大槻メンバー】
ありがとうございます。私のほうは金融のアナリストを長くやってきた者でございます。今日の点につきましては、まず1点目、お伝えしたい、お話ししたいこととしては、言わずもがなではございますが、決済は流れて初めてワークするものということで、今日、皆さんにおっしゃっていただいたとおり、それぞれの分野でもって進めていただけるということでありますが、どこにボトルネックがあっても進まないということを考えますと、しっかりと足並みをそろえつつ、最も進捗が早い分野にそろえるというような、そこをベンチマークするような気概で進めていただきたいと思いますし、スケジュール感が今の時点では立てづらいというところにつきましても、早急にそれを明示していただければなというふうに思っています。
第2に、技術が多様な形で進捗しているということもありますので、何がベターなのかということについて、今の時点で決め打ちすることなく、恐らくそれだと手間もかかっちゃうということになると思いますけれども、前広に準備をしていっていただきたいということが二つ目です。
それから、先ほども申し上げたように議論のサイロ化ということを回避していただきたいということに加えて、今日お話をいただいた方々、部門の方々以外にも、例えば国交省さんのほうで不動産の登記なども十分デジタル化というのが進み得る分野だと思っていますので、そういったところも含めて、全体感として進めて、分野として広いところに声かけをして、社会全体としてのAI金融オンチェーン社会ということを目指していただきたいと思いますし、海外についても、先ほどもお話しいただきましたけれども、リーダーシップをどんどん取っていただきたいと思っております。
それからもう一つ、成果の見える化ということについても、ぜひ、難しいと思いますけれども、お願いしたいところであります。経産省さんが前にキャッシュレス化を行ったときには、ある程度の成果についても当初のところから話されていたというふうに記憶をしていまして、そういったことが見えれば見えるほど民間のほうも動きやすくなるかと思いますので、ぜひ成果ということも伝えながらやっていっていただきたいと思っています。
そして最後に、宇井さんからもありましたけれども、ユースケースです。ユースケースを何とかして広げていただきたいということだと思います。と言いながらも、やはりリスク面ということで毎日のように報道されるAIの暴走ということもありますので、ストレステストなどを行うことによって、最悪こうなるということは押さえつつ、私も規制改革とかもやらせていただいたことがありますけれども、過度なゼロリスク志向でなかなか使いづらいということがゆめゆめないような形で、ユースケースを第1に考えながら取り組んでいっていただきたいと思っております。以上です。
【安富暗号資産・ステーブルコイン課長】
ありがとうございます。
続きまして、神田メンバーより御発言よろしくお願いいたします。
【神田メンバー】
ありがとうございます。私は法律を研究してまいりましたので、主としてその観点から三つほど感想を申し上げます。全て資料2には含まれていることなので、言い直すような形になって恐縮です。
1点目ですけれども、この分野、AIにせよ、チェーン金融にせよ、三つ特徴があると思っていまして、一つはグローバルというか、ローカルとグローバルがシームレスであるということです。
二つ目は、立体的といいますか、資料の言葉ですと、商流・物流とつながるプログラマビリティーですね。要するに、金融・非金融一体であるということ。
そして、三つ目は、これも資料に言葉があります。オンチェーンといっても、オフチェーンも当然残るというか、併存しますので、先ほどからベストミックスという言葉が出ていますが、資料にもあります。そのとおりかと思います。
ただ、気をつけるべきことは、このベストミックスの解というか、最適解というのは変動するというか、日々動くので、ムービングターゲットになるということに留意すべきです。これはオンチェーン、オフチェーンのベストミックスだけではありませんで、金融、非金融のベストミックスもそうですし、それからグローバルとローカルのつながり方というか、ベストミックスも同じでして、これら全て最適解が日々変化するということに留意して、制度や仕組みといったインフラ整備に携わっていただくのがよろしいかと思います。
その際、市場のプレーヤーであるのは民なわけですから、当然のことながら、民におけるイノベーションをぜひ応援できるような、そういう仕組みがあるといいと思いますし、昔から言われてきた言葉で言う官民の役割分担というのも、これまた今までと違って、最適解はちょっと違ってくる可能性がありますし、変化していく可能性があります。そのことは官の中での役割分担、民の中での役割分担、例えば大銀行の金融機関と地域の金融機関の役割分担とか、そういうことについてもあるかと思います。ベストミックスはいい言葉だと思うのですけれども、最適解の動きを読み取って、対応していただければと思います。
2点目は、負の側面というのでしょうか。AIにせよ、オンチェーン金融にせよ、残念ながら、世界的に見ますと、詐欺ですとかマネロンその他の不正に非常に使われている、ごく一部かもしれませんけれども、という状況があります。やはりこれに適切に対応する必要があるということになるかと思います。
その際の視点は、できれば、ゼロにできないまでも、そういった不正とかは未然に防止できるような仕掛けなり仕組みをいかに作り上げるかということに注力できればと思います。
3点目ですけれども、制度とか仕組みづくりのときの着眼点になるのですけれども、マーケットというのはグローバルで国境はないと言っていいと思うのですけど、残念ながら、制度とか仕組みというのは法律を含めて国の数だけ仕組みがあります。この落差というのは現代における謎なのですけれども、そういう中で金融取引その他の取引は行われているわけです。何というふうに言ったらいいのかよく分からないのですけれども、国ごとに異なる制度なり仕組みというところを、もちろんグローバルに監督当局の皆さんには協力してやっていただくわけですしということはあるのですけれども、どのように整理していくのかということが大変大事なところでありまして、マーケットと国ごとに異なるルールなり仕組みとの落差というものを意識して、仕組みづくりを進めていただければありがたく思います。
以上です。ありがとうございました。
【安富暗号資産・ステーブルコイン課長】
ありがとうございます。
続きまして、鈴木メンバーより御発言よろしくお願いいたします。
【鈴木メンバー】
ありがとうございます。PwC Japan有限責任監査法人の鈴木と申します。
私はブロックチェーンであったり暗号資産に関わる会社に関して監査保証業務およびアドバイザリー業務を提供しております。また資金決済法が改正されて最初に仮想通貨を規制したときに、日本公認会計士協会で暗号資産対応専門委員会を立ち上げたときの初代専門委員長をやっておりました。ですので、実務面のほうからの立場で意見を言わせていただければと思います。
まず、こちらの取組ですけれども、ブロックチェーンやAIといったものの技術を利用して、金融インフラ自体を改革していくという点はすごく推したいと思っておりまして、それによって日本の通貨であったり、日本の金融市場、日本の金融商品の魅力というのが上がっていくことによって、日本経済、ひいてはまたクロスボーダーでの取引での金融市場全体の成長につながると考えております。
ただ、ブロックチェーンであったり、AIというのは、そのプログラムによってガバナンスをする、そこで信頼を担保するという仕組みにはなっているんですけれども、なかなかブラックボックスになってしまうと見えないということになってしまいます。そうすると、それを使う人たちからすると、これは本当に信頼していいのだろうかという信頼の空白が生まれると考えております。
信頼の空白というものは人に不安を与えるものになりますので、不安を持っていると、それを使えないとなって、スケールできないということになってしまいますので、その信頼の空白を埋め、信頼を付与するというところがとても重要になると考えています。
そのために、まず1点、御提言申し上げたいと思っておりますのが、先ほどのお話にもありましたけれども、もちろんレガシーのシステムはすごくそういったガバナンスが優れている点がございますので、レガシーのシステムと組み合わせることでガバナンスであったり統制を組む。また、取引であったり、KYCであったり、決済であったり、全てエンドツーエンドでどういった仕組みで流れていって、どういった承認があって、どういった統制があるのかというものがちゃんと追えるようになっている。監査であったり検証が可能なように証跡を残せるようになっているということがとても重要だと考えております。
そういった仕組みを作ることによって、最低限どういう統制があって、どういうガバナンスがあれば信頼できますねといったフレームワークをつくることで、それをもって皆さんに信頼を付与するということができると思いますし、それが明らかになることで、このフレームワークにのっとっていれば保証できますといった第三者からの保証という観点でも、さらに信頼を付与することができる仕組みにつなげることができると考えております。
ですので、ぜひ御検討いただくときには、取引の流れ、決済の流れにおいて、まず、監査検証可能な証跡を残せる仕組みになるのかといった点も一緒に御検討いただきたいと考えておりますし、どういったフレームワークだったら皆さんに信頼してもらえるような保証というものができるのかというところにつながるというところも考えていただけると非常にありがたいと思っております。
あともう1点申し上げたいのが、今までいろいろ取組、PoCやられていて、いろんな知見もたまっていらっしゃると思いますし、これからロードマップを作成されるということですけれども、ぜひ、小さなものでもいいですから実際のビジネスにつながるロードマップを作っていただくことで、早さといったところと、あと、その過程を見せていただくことで、透明性というところも担保いただけると非常にありがたいなと思っています。
その2点をご提言申し上げることで、皆様の取組を応援させていただきたいと思っております。以上になります。
【安富暗号資産・ステーブルコイン課長】
ありがとうございました。
続きまして、根本メンバーより御発言よろしくお願いいたします。
【根本メンバー】
ありがとうございます。私も銀行アナリストで銀行を見ていた立場で申し上げます。また、社外取締役も勤めていたり、学校では多くの事業会社の学生さんと触れる機会があるのですが、この問題についての認識が一般的には少ないと思っています。ここにいらっしゃる方は御専門家なので、そのメリットなりをここで話す必要もないのですが、一般の方から見ると、あまり浸透していません。先ほどほかの委員の方もおっしゃったように、顧客とか金融機関にどのような便益があって、それがどうビジネスにつながるのかということを腹落ちしないと、その分野に大きな投資をしていくというのが難しいと思っております。利用者が増えないと、当然、決済の価値自体が増えないというさっきのすくみの関係というのがそういうことなのかと思っています。
ただ、今の環境がすごく追い風と思っているのは、金利が正常化しているので、企業では待機資金を減らすこととか、運用したいというニーズが非常に高まっていると思います。銀行にとっても流動性預金が希少財となっています。様々なAIの資金予測とかプログラマビリティとか、こういったものを組み合わせると、先ほど堀本さんのおっしゃった生産性向上という大きなメリット以外にも、余剰資金を圧縮できたり決済預金を獲得するなど、結構目に見えるメリットが出てくると思っています。
こういった効果を先ほど大槻委員もおっしゃったんですけど、具体的に示すということができれば、投資の促進に繋がると思っております。
あと、国際競争力の点で、今までの御説明にも出たんですけど、既に海外の大手金融機関ではトークン化預金、オンチェーン決済が実験から実用に行っております。これで日本の銀行が遅れれば、日本企業とかアジア企業のそういう決済業務とか取引業務というのが海外のほうに移っていくおそれがあるのではないかと思っております。
ですから、そういう先行する事例で、なかなか難しいのかもしれませんけど、実際の利用はどうなのかとか、収益的にどうであるとか、顧客に対してどういう利便があるのかとか、もう少し調査をしていただいてもいいのではと思っております。
また、経済安全保障上も、特定の通貨とか基盤に過度に依存しない決済をつくられて、代替手段を確保されることは非常に重要ではないかと思います。
地域通貨なんですが、12ページにもあったのですけれど、実際ある地銀さんなどでも地域通貨をつくられている。これは地域内で資金を循環させるとか、先ほどの公金給付の効率化とか、あるいはそういったデータを活用して銀行サービスを向上するとか、地域創生にいろいろとメリットがあると思います。
ただ、地域だけに閉じていると利便性が低いですし、投資効果が見合わないということもありますので、例えば、先行したところがどのように利用者を増やしているとか、そういう効果も検証していただくとともに、地域金融機関がサイロにならずに、相互に利用できるような共通基盤をぜひ考えていただきたいと思っております。
最後に、AIの活用なんですけれど、他の委員がおっしゃったように、エージェントAIの存在で法的にも様々な問題が生じてくると思います。
ただ、一方、プラス面もあるのかなと思います。情報の分析とか不正検知とかAIを活用することで、先ほどのお話にあった取引との一体化というのを進めやすくなると思いますし、導入コストなども下がると思いますので、そういうプラス面も見つつ検討していただきたいと思います。
このフォーラムでぜひビジネスへの継続性、コネクティビティというのが明確になり、また、銀行経営の健全性とか金融システムの安定化とか、こうした観点からもよりよい決済の最適なミックス、これがつくられることを期待しております。以上でございます。
【安富暗号資産・ステーブルコイン課長】
ありがとうございます。
続きまして、野崎メンバーより御発言よろしくお願いします。
【野崎メンバー】
ありがとうございます。野崎です。
恐らくデジタル庁さんなんかは実感されていると思うんですけれども、こういったインフラ基盤を革新的な技術でリプレースするということに壁が幾つかあると思うんですよね。その一つの壁がレガシーシステムの完成度の高さですかね。これはまさにリープフロッグしにくいという状況です。
もう一つが、少し違った観点ですけど、ネットワーク効果というこの2点です。
まず、最初の前者の点ですけれども、部分最適化されたレガシーシステムほど、完成度の高さ、あるいは頑健性、これといわゆるリプレースメントの付加というのが非常に整合的であるということです。ちょっと反証になるんですけれども、今、金融市場でセキュリティートークンで一番進んでいるのは不動産ですよね。いわゆる不動産STというやつです。これ、まさにシステム的な未成熟度が非常に高いということなので、ここから始まっているということです。
もう少し具体的な話を申し上げれば、まさに国債のレポですとか国債そのもののトークン化という検討がなされていますけれども、そこで、まさに頑健性、信頼性、全て高いのは日銀ネットの国債系というやつですね。これがあまりにも高いということもあって、その辺がこれから実装化を進めるに当たっては一つの重要なファクターになっているということです。
ですから、まさにオフとオンのところの調和という話ですけれども、このインターオペラビリティー、ここに着眼して、まず、実効性を担保するということと、それから、フェーズ移行するときの迅速さ、これに配慮していただきたいなというふうに考えております。
それから、次の、これは最初の点にもちょっと関係あるんですけれども、様々な取組を実験室の中で完結してほしくないなということですかね。具体的な例で恐縮ですけれども、数年前にJPXさんが主導されたB-POSTというような取組があります。これ、ポストトレードのまさにDLT化の実証実験でありまして、その結果、何が出てきたかというと、特に実装化に向けた動きが見られないという状況であります。これがまず1点目です。
2点目が、先ほど申し上げたいわゆるネットワークの外部性の問題ですね。要するに使う人が少数だと、全く使い物にならないということですね。ですから、システムの完成度の高さとシステムの外部性というのは、必ずしも整合的ではないという点であります。
この件で、これも具体的な例で恐縮なんですけれども、ZEDIというシステムがありまして、これは全銀資金決済ネットワークが非常に苦労して育て上げたシステムであるんですけど、具体的に何かというと、いわゆる企業間の送金、振り込みです。これにいわゆる商流の情報を載せるということで、これによって、いわゆる事業者間の効率が非常に高められるということなんですけれども、なかなか拡大してこない。ユーザーが拡大しないと、それがデフォルトにならないんですよね。ですから、今後、オンチェーン化の設計を進める上で、そういった観点からもデザインを考えてほしいなというふうに思います。
最後に、PIPの3番目、3号ですか、いわゆるトークン化預金の話ですけれども、日銀のほうのサンドボックスのプロジェクトと、このPIP3というのは非常に連関性が高くて、なおかつ、ここを重視しなければいけないというふうに考えております。
と申しますのが、まさにここのPIP3の幹事行ですとか、そういったものというのは、いわゆるPoCを進める上ではいいんですけれども、ただし、最終的な恒久的なアーキテクチャーという意味では、日銀の当座預金のトークン化というのが一番実効性が高いかなというふうに考えております。私のほうからは以上です。
【安富暗号資産・ステーブルコイン課長】
御説明ありがとうございます。
では、森下メンバー、御説明よろしくお願いいたします。
【森下メンバー】
ありがとうございます。金融法やビジネス法を研究している者でございます。ただ、本日は、あまり法律的な観点ではないお話をさせていただこうと思います。
4点ございます。まず、1点ですけれども、既に他のメンバーからお話があったことと重なる部分はあるかもしれませんが、産業への働きかけや、産業との対話というものが非常に重要であると思います。
金融領域はAI、オンチェーンと比較的親和性が高いので、本日いろいろ御紹介いただいた取組をどんどん進めていったらいいと思うのですけど、産業で使われないことには始まりません。
また、リアルな経済への貢献が重要であるというお話もありましたが、リアルな経済を動かしている方々との対話というようなものが必要かと思っています。その際には、例えば、半年後に実験しよう、あるいは1年後に何とか目指そうというレベルの話も大事だと思いますけれども、例えば3年後、こんなことができたらいいよねという全く非延長線上にあるような、ちょっと空想のような話であったとしても、ぜひ夢を語っていただくということが非常に重要かと思います。AIのスピードを見ても、1年前に全く予想ができなかった領域に到達しているということもあるわけですので、そういった、ちょっと空想的に思えるものも含めて話をしておかないと、リスク管理という点でも不適切だと思いますし、チャンスを逃してしまうという点でも不適切であると思っています。
2点目はユーザーの視点ということです。決済の事業の部分だけが栄えても仕方ありません。消費者も含めたユーザーが安心して使えるものは何だろうか、それをつくり出そうとしているのではないかということを、常に事業者ですとかインフラを設計するプレーヤーが意識をすることが大切で、どうしても自分たちのリスク管理に目が行きがちになってしまうと思いますけれども、消費者が安心して使えるようにすることが重要であると思います。
3点目が、AIにしてもチェーンにしても、基盤となるパーツですとか技術ですとかアイデアというもののうち、本当に重要な部分が日本で確保できているかどうか。あるいは、どの部分を日本の国としてしっかりと持っていないといけないんだろうかという点は精査をする必要があるのかなと思います。
現在の必ずしも安定的であると言えないような世界の情勢の中で、AI、オンチェーンということを考えた際に、コアとなるパーツ、動かしていく上でエッセンシャルなパーツを海外に依存しなければならないというような状況でいいのかどうかというのは、こういう場でしっかりと議論されるべきであるというふうに思います。
最後ですけれども、データです。この資料でもいろいろなデータの活用ということに言及されていますけれども、データの利活用については、いろんなところで、政府でも民間でもいろんな議論がなされているものの、必ずしも固まった方向性というのは出てきてないように思います。その部分について、金融が起点となって議論を発展させていく、明確にしていくということができれば、いろいろと物事がうまく進んでいくのではないかと感じております。
以上です。ありがとうございます。
【安富暗号資産・ステーブルコイン課長】
御説明ありがとうございました。
では、私のほうから、本日御欠席されております翁メンバーより意見書のほう、皆様のお手元にも配付させていただいておりますけれども、頂戴しておりますので、読み上げのほうをさせていただきます。
現在、24時間365日連続稼働、商流と物流と決済がつながるプログラマビリティーなどの要素を備えたオンチェーン金融とAIが結びつくことにより、各国の決済システムひいては金融システムは大きな変容を迫られている。我が国経済の国際競争力向上の観点からも、決済システム高度化はスピード感を持った検討推進が求められている。
日本でも法制整備や適切な監督などによって、安全性・安定性を確保しつつ、新たな技術を掛け合わせたイノベーティブなステーブルコインやトークン化預金を含むオンチェーン金融と既存決済システムを適切に組み合わせ、全体として多層的かつ強固、利便性や効率性が高く、信頼される決済システムを構築する必要がある。
本フォーラムに決済システムネットワークに関連する関係省庁や金融機関などの主要なステークホルダーの方々が、このような目線を持って参画し、多角的に検討することは有意義であり、これから述べる点に留意して検討を進めていただきたい。
一つ目、将来の技術革新にも対応し得る柔軟性を確保しつつも、しっかりとした中期のロードマップを描き、各省庁、各ステークホルダーが足並みをそろえながら着実に進めていくことが重要。
二つ目、オンチェーン金融掛けるAIのエコシステム形成に当たっては、民間プレーヤーのイノベーションに向けた競争を引き続き促進しながら、標準化などの協調領域については全体最適の視点で議論すること。企業レベル、システムレベルなど、各レベルでガバナンスを確保して、リスク顕在化を抑え、企業などに広く活用されるシステムとする必要が求められる。
今後、AIエージェントが自律的に経済活動を行い、AI同士が24時間365日、オンチェーンで即時決済や契約を交わすマシンツーマシン経済圏の到来など、多くの変化が予想されている。イノベーションを世界に先駆けて実装するためにも、特に決済へのAI及びオンチェーンの活用について、AIやパブリックチェーンのガバナンス、リスク、監督の在り方など、多角的に検討を進めていただきたい。
例えば、エージェントが正当な決済主体であることの認証、アイデンティティーの担保の在り方を考え、不正利用を防止する信頼できる環境を構築する必要があるのではないか。
この論点にも関連するが、本フォーラムに関連する取組については、例えば、SIMを活用した堅牢な認証基盤を既に構築している主要中心キャリアの取組など、中期的にはフォーラム参加者以外の様々な知見、視点も広く参考にしながら進めていくことも検討に値するのではないか。
このような意見書のほうを頂戴しております。
これにてメンバーの皆様からの御発言については全て終了しておりますが、さらに御発言御希望の方いらっしゃいますでしょうか。
それでは、お時間の関係もございますので、本日の意見交換、討議についてはここまでにさせていただきます。
それでは、谷川内閣府副大臣から締めくくりの御発言をいただきます。よろしくお願いいたします。
【谷川内閣府副大臣】
本日はAI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラムのキックオフとして有益な議論ができたと思います。有識者の皆様におかれては、大変お忙しい中、御出席いただき、また、多くの御意見をいただき、厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
オンチェーン金融の社会実装やAI等の健全な利活用の推進に向けて、引き続き本フォーラムにおいて議論を深めてまいりたいと思いますので、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。
最後に、関係省庁等の皆様におかれては、今後とも、本日取り上げられたテーマについて、積極的かつ具体的な検討をお願い申し上げ、閉会の挨拶とさせていただきます。本日はありがとうございました。
【安富暗号資産・ステーブルコイン課長】
皆様、本日は誠にありがとうございました。
以上をもちまして、第1回AI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラムを終了させていただきます。議事進行御協力いただきまして、誠にありがとうございました。
―― 了 ――
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