「脱炭素等に向けた金融機関等の取組みに関する検討会」(第4回)議事録

1. 令和5年2月7日(火曜日)10時00分~12時00分

【根本座長】  ただいまより、脱炭素等に向けた金融機関等の取組に関する検討会、第4回の会合を開催します。早稲田大学、根本でございます。皆様、御多忙のところ御参集いただきましてありがとうございます。
 
 注意事項ですけれど、御発言されない間はミュート設定にしてください。御発言の間はミュートを解除して、終わられましたら再びミュート設定にしていただくようお願いいたします。
 
 本日は、まず前回の議論の続きをさせていただき、その後、三菱UFJ銀行の石川様、第一生命の岡崎様より御説明をいただきまして、再び質疑、意見交換とさせていただければと思います。
 
 それでは、早速ではございますが、事務局から簡単に前回の振り返りをお願いいたします。
 
【西田サステナブルファイナンス室長】  ありがとうございます。前回1月19日でございましたけれども、時間が足りなくなってしまいまして、大変失礼いたしました。
 
 事務局から配付させていただいた資料についてですけれども、幾つか御指摘をいただいたかなと思います。いろんな論点があるので、取りまとめに向けて整理をしながら議論していったほうが良いのではないか、特に計数の使い方については、その特性、留意点をよく議論したほうがよい、こういった御意見をいただいたかなと思います。
 
 何名か、前回の最後にお手を挙げていただいたまま時間が終わってしまいましたので、恐縮ですけれども改めてお手を挙げていただいて御議論いただけますと幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【根本座長】  ありがとうございます。前回、佐藤様、黒崎様、吉田様からお手を挙げていただいて、まだ御意見を承る時間がなかったと思うんですけれど、もしよろしければその順番で御発言をお願いできますでしょうか。
 
 佐藤様、お願いします。
 
【佐藤メンバー】  佐藤でございます。それでは、意見を2点ばかりさせていただきたいと思います。
 
 1つは指標の点で、これは事務局資料の7ページ辺りです。もう1つはトランジションについてです。
 
 1点目の7ページのところですが、3段落にあります、少しこの「木を見て森を見ず」という表現は違和感が正直あるというか、ちょっと言い過ぎなんじゃないかなと思います。
 
 といいますのは、やはり今、金融機関の目標である、あるいはそもそも気候変動枠組条約やパリ協定が目標としているのは、地球全体の排出量をネットゼロに向けて取り組むということですので、大体、日本の国の目標であるNDCだったり、長期目標である2050年目標も総排出量を使っています。民間のイニシアチブ、GFANZも含めて、やはり総排出量を基礎としていますので、そこは金融機関も総排出量を基礎とするということではないかなと思います。併せて原単位も使うのも、時に応じて必要ということだと思います。
 
 特に金融機関の場合、総排出量が気候関連リスクの移行リスクに関連しているというのは、金融安定理事会とか、中央銀行と金融監督当局のネットワークのNGFSなんかもシナリオの中でも言っていますので、そこはやはり総排出量を意識すべきかなと思っております。
 
 実は原単位も、確かに8ページにありますとおり、セクター間比較という点では大事です。ただ、私も環境技術開発をNEDOさんとの関係で担当していたんですけども、環境技術の場合、やはり総排出量と原単位はトレードオフの関係になる場合もあります。
 
 つまり、原単位を高めるためには大体、技術を大型化しなきゃいけないんですけども、実際それにより効率がアップします。ただ、効率がよくても大型化されていますと総排出量が増えるという関係がありますので、この辺、すごくジレンマだと思います。
 
 そうした点で、GFANZが総排出量の点で注意すべきと言っていますのは、確かに7ページの4段落にありますとおり、実体経済との関係を金融機関として見るべきということです。ですので、単にダイベストメントして、ポートフォリオからファイナンスドエミッションがなくなっても、経済の中で続けて排出されていけば意味がないということはまさにそのとおりだと思うので、「紙面上の脱炭素化」(7ページ)というよりも、個別金融機関が、ただ単に自分のポートフォリオを脱炭素化するのではなく、やはり金融機関として実体経済とうまく付き合いながら脱炭素化すべきという意味では、絶対排出量も万能ではないということはおっしゃるとおりだと思っています。
 
 2点目ですが、トランジションにつきましては、事務局資料の11ページにあります①の「トランジションの確からしさ」、「実効性・堅ろう性をどのように示していくか」ですけども、やはり大事なのは将来の排出量、ファイナンスドエミッションのロックイン(長期固定化)にならない、中長期的なネットゼロを妨げないというところが、GFANZ等にも書いてあるとおり大事だと思っております。
 
 どうしても、例えば原単位がよくなる場合であっても、長期の投資になってしまったり、総排出量が増えるプロジェクトというのもあります。そこで、例えばガス火力全体を一くくりにするんじゃなくて、混焼とか、あるいは原単位が悪くても調整力があって再エネの発電量の変化にうまく調整できるようなもの、例えばガス火力の「シンプルサイクル」というのがあるんですけども、そういったものは投資も短期で小型の事業であるので、原単位が悪くても脱炭素化に役に立つという面があります。
 
 つまり、金融機関の人間も、かなり環境技術を勉強して取り組まないと難しいということを感じております。
 
 長くなりましたが以上です。
 
【根本座長】  どうも御意見ありがとうございました。
 
 それでは黒崎様、お願いいたします。
 
【黒﨑メンバー】  発言の機会をいただきましてありがとうございます。前回申し上げようとしていた点は、恐らく委員のどなたかが御発言されていた点と一部被るかなと思っております。
 
 1つは、先ほど佐藤様が御発言されていたトランジションの確からしさという点になります。
 
 恐らく、確からしさというのはなかなかはかることができないと思うんですけれども、一つやはり大事な点としては、例えば事務局資料の9ページ目の構造的課題というところのグラフだけ見ていただくと、線は当然ながらいろんなパスウェイがあるということで、いろんな課題があるということを示しているんですが、この炭素予算、カーボンバジェットがどれぐらいになるかというのは、多分この1、2、3の中で異なってくるかと思いますので、その点をやはり気をつけてトランジションのパスウェイを描くということが非常に大事であるというふうに申し上げたかったというのが1点と、もう1点は、先ほど佐藤様がおっしゃっていた点とも少しかぶってしまうと思うんですけれども、やはり実体経済に影響を与えるのが金融の役割であるというふうに思いますので、ただ、そこの限界というのは、当然ながら銀行さんのファイナンスドエミッションというところが一番の目的になって、一つのプレーヤーごとのトランジションパスウェイというのは描けると思うんですけれども、実体経済に強く影響しているということで、そこの実体経済を誰かが監視する役割があるかなと思っております。そこはやはり政府であり、金融庁であり、金融庁のさらに上の政府全体ということになるかと思いますので、国全体、実体経済をどれだけ脱炭素できるかといったところの門番としての役割は、国が果たすべきだなというふうに思いました。
 
 以上です。
 
【根本座長】  ありがとうございました。
 
 吉田様、お願いいたします。
 
【吉田メンバー】  発言の機会いただきましてありがとうございます。政策投資銀行の吉田でございます。
 
 もう皆さんから御意見いろいろいただいているところでありますので、簡潔にと思いますけど、まさに9ページ目のところにある、いろんなパスが組み合わさって経済が成り立っているということを改めて認識しましたし、あと、民間金融機関を含めて、協調してそれぞれの各行がというか、個別会社がよければいいということでは、決してこの問題はないということですよね。まさに実体経済でちゃんと脱炭素を回しながら、経済を回しながら脱炭素していくということを認識しなきゃいけないと。
 
 そういう点で考えると、スコープ3の出し方のところは、まさに今、今回立論していただいていますけど、トランジションファイナンスをしようとすると、多排出企業に対するファイナンスということがどうしても伴ってきますので、金融機関からすると目先がちょっと増えるということもあるんですが、それは金融機関側もしっかり覚悟を持って、排出係数はできるだけ減らしながらなんですけど、GHGが増える中でも顧客の戦略をしっかり評価して、そこに対してファイナンスをしていくということが本当に大事だというふうに思っています。
 
 それにしっかり沿うような指標づくりというのが本当に大事だなと思っておりまして、目先のものだけ評価するような形になってはいけないと思っていますし、排出量・排出係数それぞれにメリデメがあることも我々もよく承知をしているんですけど、そういう大きな意味での社会全体の課題をしながら個社の対応に落としていくという、その全体感と個社対応のところのバランスをうまく整合させていくことが必要かなと思っています。
 
 それで、まさに独禁の話とかもやっていただいていると思うんですけど、強調しなきゃいけない部分と、健全な競争をしなきゃいけない部分ということがこれから出てくると思いますので、そういう点での金融行政としての目配りということも、うまくしていただけるとありがたいかなというふうに思っているところでございます。
 
 それがブレンディッドファイナンスをすぐに実現していく意味でも大事かなと思っていますので、よろしくお願いします。
 
 以上です。
 
【根本座長】  どうもありがとうございました。
 
 ほかに御意見あるいは御質問ある方、いらっしゃいますでしょうか。
 
 長谷川様、よろしくお願いします。
 
【長谷川メンバー】  御指名いただきましてありがとうございます。皆さんがおっしゃっていることと同じですけれども、①個々の金融機関の行動と、「実体経済」という言葉を使われる方が多かったですが、②経済全体としての脱炭素化、「経済全体」とは日本なのか地球規模なのかという論点はあるかもしれませんが、この両者をどのようにコーディネートするかが大事であろうと思います。その観点からは、資料の11ページに挙げておられる通り、トランジションの確からしさをミクロで見てどのように把握・示していくかという視点に加え、経済全体の脱炭素化をガイディングしていく視点が重要かと思います。前者については、個々の金融機関にとって自社のポートフォリオにおけるファイナンスドエミッション削減が、社会的な要請といった形でインセンティブに恐らくなっていると思います。他方、後者については、資料から抜けているかもしれず、金融庁の役割なのかもしれませんが、パブリックセクターがいかにうまくガイディングしていくかという視点が重要ではないかと思います。また、後者について定期的にうまくモニタリングしていく仕組みも本当は必要という気がいたしましたので、その点だけ発言させていただきます。ありがとうございます。
 
【根本座長】  どうもありがとうございました。ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。
 
 村上さん、お願いします。
 
【村上メンバー】  日本総研の村上です。ありがとうございます。一点、実体経済というものの範囲のお話で、先ほどの長谷川様ほかの皆様の御発言を受けてなんですけれども、やはり、誰が全体として実体経済での貢献といいますか、それを見ているかというところを考える、これは非常に大事だと思います。
 
 と申しますのも、グローバルにビジネスをしている日本の金融機関であれば、今、例えば電力セクターであれば、再エネを増やしていけばファイナンスドエミッションとしてはよくなっていく。それが一番できるのは必ずしも国内ではないということにもなりますので、日本国内のアセットがどのように脱炭素に向かっていて、それを誰がサポートしているのかというのをきちんと見ていくのは、やはり個々の金融機関というよりも国として見ていく、その仕組みというのをつくっていかないと、「実体経済が」という言葉だけが独り歩きしてしまうと、何のことを言っているか分からないということになってしまうので、そこをきっちりしていく必要があると思いました。
 
 以上です。
 
【根本座長】  どうもありがとうございました。ほかにございますでしょうか。
 
 もしよろしければ、ちょっと私もコメントをさせていただきたいんですけれど、指標とターゲットについては非常に多くの御意見をいただき、それぞれ大変ごもっともだなと思いましたので、今後事務局の方もおっしゃったように、それをぜひ反映されて、さらにブラッシュアップしていただければと思います。
 
 あとトランジションのところなんですが、今日話題になるのかもしれないんですが、他の委員もおっしゃっていたと思うんですけど、全体としての流れというんですか、個々の企業の取組みだけだとどうしても限界があることもあると思うので、そういった業態全体の取組みとか連携とか、業態を超えた連携とか、こういうところに金融機関の役割もあるのではないかと思います。
 
 また、比較的、技術面とかフィージビリティーとかにフォーカスが当たっているんですけれど、例えばグリーンな製品に対価を支払ってもらえるのかとか、需要側とか市場全体というものも啓蒙していく必要があるのかなと思いまして、そこにも金融機関あるいは政府の取組みを考えていただければいいのかなと思います。
 
 あともう1つはリスクマネーなんですけど、ここは非常に重要な問題を御指摘いただいていると思います。
 
 三菱UFJ銀行の天田様他委員の方からも、技術の適格性を判断することが大変難しいというコメントがあったと思うんですが、すぐに収益に結びつかないような技術において、デットだけでそれを支援するのはかなり難しいんじゃないかと思います。ですから、エクイティの活用が重要かと思います。
 
 金融機関の投資子会社を通じて出資するという方法もありますし、またプライベートとか公的なファンドと協働していくということもあるかと思います。
 
 エクイティの出資者の方が経営に関与するとか、いろいろノウハウを伝授するとか、そういうところでエクイティガバナンスを発揮されて、一方、金融機関が継続したモニタリングとか資金供給とかを担当されて、デットガバナンスとエクイティガバナンスを組み合わせて取り組んでいくということも検討していただいてはと思いました。
 
 以上でございます。
 
 あと、ほかによろしいでしょうか。まだ言い残されたこととか。今後多分、この話題もずっと議論が続くかなとは思うんですけれど。よろしいですか。
 
 それでは、次の話題に移りたいと思います。第一生命の岡崎様からまずプレゼンをしていただきたいと思います。
 
 岡崎様、よろしくお願いいたします。
 
【岡崎様】  第一生命の岡崎です。
 
 では資料のほうの御説明をさせていただきます。
 
 誤植がございまして直前に資料の差し替えをさせていただきまして申し訳ございませんでした。資料のほう、一枚おめくりいただきまして、私のほうからはネットゼロ・アセットオーナー・アライアンスとその目標設定のプロトコル、またそれに対応して弊社のほうでどのような目標設定をしているかというお話、あとはAOAの議論ですとか今後の活動に関して御説明をさせていただければと思います。
 
 では一枚おめくりいただきまして、こちらの資料は、ネットゼロ・アセットオーナー・アライアンスの御紹介なんですけれども、1点目のポチのところに記載のとおり、アセットオーナーアライアンスは2019年9月に、国連環境計画・金融イニシアチブとPRIによって発足をしております。
 
 パリ協定の目標達成に向けて、2050年までに投融資ポートのGHG排出量をネットゼロに移行することをコミットするというアライアンスになってございます。
 
 2019年の発足時点では16機関でスタートしておりますけども、2022年11月の時点では83機関、AUMでは約11兆ドルに達しています。
 
 次のページを御覧いただきますと、こちらは地域別の加盟金融機関を示しているものですけれども、御覧いただくと一目瞭然だと思いますけども、現状83機関のうちヨーロッパ地域が63機関となりますので、約4分の3を占めているという状況でございます。
 
 アジアは弊社を含めまして日本の生損保5社と、あとはプルデンシャルの6機関のみと。北米も10機関のみで、名前を見ていただきますとCalPERSですとか、CDPQというカナダのケベック州の年金基金とか大きなものはございますけれども、ほかは財団等が含まれているというようなことです。アフリカは3機関、オーストラリアはこの前Cbusという年金基金が脱退し、1機関のみというような状況になっておりますので、もともと発足の当時からヨーロッパ中心というような団体となってございます。
 
 もう1点申し伝えますと、ネットゼロ・アセットオーナーアライアンスは、先ほど申し上げましたとおり2019年9月に発足しておりますけども、NZAM、アセットマネジメントのアライアンスが2020年12月、この後御説明ありますネットゼロ・バンキング・アライアンスは2021年7月、ネットゼロ・インシュランス・アライアンスが2021年7月、これを束ねるGFANZ自体も2021年4月発足ということになりますので、GFANZの傘下のアライアンスの中では最古参ということで、GFANZの発足前から活動をしているということになりますので、そこをもともとのオリジナルのメンバーの方たちはかなり強く意識をしているということになります。過去のミーティングでも、アセットオーナー・アライアンスとして高い目標を維持する、それによってほかのイニシアチブをリードしていくべきだというようなスタンスで、そういった御発言もされている加盟機関がいらっしゃるというような状況になっております。
 
 その次のページを御覧いただきますと、組織構成ということになりますけれども、ステアリンググループ、真ん中にありますけども、こちらがガバナンスの主体ということになり、こちらで意思決定、戦略を決定します。
 
 この中には地域代表としてアジアパシフィック、ヨーロッパ、アメリカ地域、アフリカ、あとノンリージョナルという特定の地域を代表していないメンバーが1名ずつの5名。それと先ほど申し上げましたUNEP FIとPRIの代表がそれぞれ1人ずつの計7名が、このステアリンググループにおります。
 
 事務局はUNEP FIとPRIが務めているというところで、特徴的なこととしては、左の真ん中のところにありますけども、ストラテジックアドバイザースという形でWWFとグローバル・オプティミズムという2つのNGOが入っているということがございます。
 
 WWFは世界自然保護基金なのでよく皆さん御存じかと思いますけれども、グローバル・オプティミズムという組織はロンドンベースの環境団体なんですけども、こちらは国連の気候変動枠組条約の事務局長を以前務められていらっしゃった方が創設者の1人ということになっておりまして、クライメイトプレッジという、2040年までにネットゼロをコミットする企業の活動を推進しております。企業としてはアマゾンですとかマイクロソフトですかユニリーバとか、そういった大企業も含まれますけれども、そういった取組みをしている団体となります。
 
 こういったところが、先ほどのステアリンググループの戦略決定、アドバイスをするという形になっておりますので、NGOの意見も踏まえて、AOAの活動の計画が定められているということになってございます。
 
 その下のほうにワーキングトラックというものがございますけれども、現在は記載のとおり5つのワーキングトラックがありまして、左側から、「MRV」と言っていますけどモニタリング、レポーティング、ベリフィケーションというところで、目標設定のガイドラインですね、プロトコル改定を担当しているワーキングトラック。
 
 また、左から2つ目、「エンゲージメント」というところで、こちらは、ポリシーエンゲージメントは別途「ポリシー」というワーキングトラックがございますので、こちらのエンゲージメントは主に企業ですとかセクターといったところに対するエンゲージメント、好事例ですとか、こういったやり方をしたほうがいいんじゃないかというガイダンスを策定しているワーキングトラックになります。
 
 真ん中が、すみません、ちょっとこちらも誤植があるんですけど、「ファイナンシャル・トランジション」と書いてありますけど、「ファイナンシング・トランジション」の誤植でして、こちらは気候変動対応に関する投融資の推進を担当しているトラックとなります。
 
 右側のほうに「ポリシー」で公的セクターへのエンゲージメント、提言をするトラックと、あと一番右側の「コミュニケーション」というところで、こちらはメンバー拡大ですとかメディア対応というような取組みをしてございます。
 
 次のページで、左側の3つのワーキングトラックの活動を御紹介させていただきますけれども、先ほど申し上げました「MRV」、こちらに関しては目標設定のプロトコルというところを発表しておりまして、直近で、1月末で第3版が出ておりますので、詳細は後述させていただきますけれども、主にこういった目標設定を担当しているということです。
 
 2つ目の「エンゲージメント」のところですけれども、こちらはポジションペーパーとして、以前に石炭火力発電に対するポジションペーパーは既に出していますが、現在、オイル・ガス、石油ですとか天然ガス発電に関するポジションペーパーをちょうど今検討中で、議論が行われている状況になってございます。
 
 あとはプライベートアセットというところですけれども、こちらのアセマネ会社に対して気候変動対応の強化を求める声明文の公表などを行っております。
 
 最後、「ファイナンシング・トランジション」ですけれども、こちらも後ほど御紹介しますけれども、2022年の直近の取組みとしては、新興国向けの資金供給、こちらにお金を回すということをどうやってやるかということを主に取り組んでいますので、ブレンディッドファイナンスの中で公的な国際金融機関からどうやってサポート引きだすかであったりとか、我々アセットオーナーがどういったスキームであればお金を出せるかというようなことを議論しながら取り組んでいるということになります。
 
 あともう1つはベンチマークということで、気候変動を促すようなベンチマークをつくるということも、アセットオーナーの立場からどういうものが資するかというようなこと、こういったものの策定を求める声明などの発表をしてございます。
 
 その次のページが、直近発表されました第3版目標設定のプロトコルも含めて御説明をさせていただいていますけれども、実際にAOAに加盟すると、1年以内に目標設定をするということが定められているんですけども、その目標設定に関してはこのターゲットセッティングプロトコルというガイドラインに沿って設定をするということになっております。
 
 説明の中で、「ガイドラインは毎年改定を行い」というふうに書いてありますが、ルール上は毎年やると決まっているわけではなくて、定期的に改定をしますということになっているんですけども、現実問題としては、2020年から発足以来、毎年改定を行っているという状況になってございます。
 
 こちらは、対象のアセットですとか測定方法というのが、今、発展段階というか毎年毎年アップデートされている状態ですので、そういう意味では必要に迫られて、毎年改定が行われているというふうに御理解いただければと思います。
 
 2023年の1月末、つい先週発表されたばかりですけれども、恐らく来年2024年、今ぐらいの時期に再度新しいバージョンが出されるものだというふうに考えております。
 
 2つ目のポチに書いてありますけれども、署名機関に対して、この下にある目標4つのうち、3つ以上の目標について加盟後1年以内に策定するようにと。それを1年のうちに事務局にも渡して、さらに、プログレスレポートが毎年出されるんですけども、その中で各社がどういった目標を設定しているかというのが公開されるということになっております。
 
 この真ん中のところは、すみません、ちょっと錯綜してて申し訳ないんですけど、第2版の2022年の基準で記載しておりますけども、4つの目標というのはサブポートフォリオ目標ということで、各アセットごとにそれぞれ2025年と2030年の目標設定ということになっておりまして、今、弊社第一生命は2025年の目標を出しているんですけれども、これは加盟のタイミングによっておりまして、我々が加盟するタイミングのときには2025年の目標を設定するようにというような指示がありまして、我々以外の日本の4社、日本生命さん、住友生命さん、明治安田生命さん、SOMPOさんに関しては、加盟のタイミングが我々よりも少し遅くなっていますので、そのタイミングだと2030年の目標を設定するということになりましたので、我々とほかの4社さんの目標設定のタイミングはずれているということになっておりますけれども、我々も2030年目標は早晩出すということになっております。
 
 そうしたセクター別の目標ということで、こちらは多排出のセクターに対して原単位の削減目標を設定するということが定められております。
 
 その下3つ目、エンゲージメント目標。こちらは排出量の多い投資先に関してエンゲージメント、何社エンゲージメントするとか、そういった目標設定を設定するということになっています。
 
 最後、ファイナンス目標ということで、こちらは投資額の進捗の年次報告が求められているということになります。
 
 こちらはそれぞれ、どれを目標とするかは個社に委ねられているという形になりますけれども、こちらを1年以内に設定して報告するということです。
 
 先ほどから申し上げています、先週発表されたプロトコルの第3版で改定された主な内容というのを、箇条書きで下段のほうに記しておりますけれども、こちらはソブリン債、以前、こちらでもPCAFの方から御説明がありましたけども、ソブリン債の排出量の測定ということが求められていますので、こちらがルール化されているということになります。
 
 ただ、こちらは一旦排出量の測定はしましょうということになっていますが、目標設定に関してはかなりハードルがあるので、そこに関しては議論をした上で今後決めていきましょうということになっております。
 
 あとは未上場企業ということで、先ほどサブポートフォリオ目標のところで記載がありましたけれども、これまでは上場の株式ですとか公募社債ですとか、そういったものに関する目標設定が求められていたんですけれども、未上場のところに関しても今後、目標の設定をしていくということが決められております。商業用不動産に関しても同様のことが定められております。
 
 4点目の炭素除去のところなんですけど、すみません、この記載は分かりづらいかもしれないんですけれども、プロトコルで定められていることというのは、炭素除去の技術、いろいろ進んでいますけれども、それを自分の排出量削減の実績にカウントするというところは、当面、2030年まではしないようにしましょうということになっておりまして、その心は、実際の削減を促すということが少なくとも2030年までは優先するべきなので、そこまでは実績カウントはやめましょうと。
 
 ただし、炭素除去の技術というのは今後ネットゼロを実現するために必要なことなので、そういった技術に対する投資は、一方で積極的にやってくださいねと。ただし、実績のところへのカウントは2030年までは駄目ですよと、そういうルールになっております。
 
 最後、2030年目標の削減レンジということなんですけども、AOAでは常にIPCCの最終のシナリオを反映して、それに基づいたターゲット設定をするというルールになっていますので、現行は2020年に対して2030年までにマイナス49からマイナス65というのが、第2版までの基準というか閾値だったんですけども、第3版ではマイナス40から60で設定をしてくださいということに、推奨のレンジが変更されているということでございます。
 
 すみません、ちょっと長くなっていますけども、その次の2ページは参考資料ということなので後で御覧いただくとして、11ページに移っていただきますと、先ほど来の目標設定のガイドラインを踏まえて、第一生命、当社のほうでの削減取組みということを記載してございますけども、弊社の場合は、先ほどの4つの目標のうち、セクター別目標を除く3つの目標設定ということで、サブポートフォリオ目標とエンゲージメント目標、ファイナンス目標ということを設定してございます。
 
 詳細はそちらに記載しているとおりですけれども、これは私の個人的な感想ですけれども、ネットゼロのアセットのアライアンスのスタンスというか、それも徐々に変わってきているなというところは感じております。サステナブルファイナンスの考え方自体、徐々に変わってきているということがあるかと思うんですけれども、もともとは投融資先を選別して、排出量の削減が進んでいないとか対応が進んでいない企業に関しては、ダイベストメントをしましょうということが、もしかしたらメンバーの主な思いだったのかもしれないですけど、今はそうではなくて、投融資先に関わってちゃんと変化を促しましょうと。個別企業であれ社会全体であれ、エンゲージメントをして、しっかりそこの変化を促すというところのほうが、より重要ですよね、というような考えに変わってきているのかというふうに感じています。
 
 さらに言うと、個別企業だけではなくて、規制当局ですとか政府に対してもしっかりエンゲージメントをして、いわゆる外部不経済みたいなもの、個別の企業では変えられないようなものは、当局、政府を動かして変えていきましょうと。さらに、投融資先のポートフォリオ変更ですとか排出量削減をより加速させるように、トランジションに関してもしっかり関与していきましょうですとか、もしかしたらその先には、さらに意識を高めるというような形でインパクト投資とか、よりポジティブなインパクトの追求というところが今後トピックになっていくかというふうに思うんですけど、一旦、今は過渡期ということで、今申し上げたエンゲージメントのところはアライアンスの中でも強調されているところかなというふうに思いますので、そういった活動が今行われているという状況かなというふうに考えております。
 
 その次のページは、我々がそれを踏まえてということで、エンゲージメントのところは我々だけではなくて各社さん、今すごくお取組みが進んでいるかと思いますけれども、企業様とエンゲージメントをして、排出量削減に向けてロードマップをしっかり引くというところを今求めているというところで、実際にこちらに示しているのは我々が取り組んでいる、排出量の上位50社の状況ですけれども、具体的な技術を含めて、定量的なところ、シミュレーションを含めてやっていらっしゃる会社さんも増えてきていますけれども、具体的なロードマップですとか定量的な数値で示せていない会社がまだあるというところが課題かなというふうに考えます。
 
 すみません、私のほうからは簡単に以上になりますけれど、また御質問ですとか、補足の御説明は後ほどさせていただければというふうに思います。
 
 一旦、以上になります。
 
【根本座長】  岡崎様どうも説明ありがとうございました。
 
 もし可能であれば石川様から御説明いただいて、それから質疑応答にさせていただきたいと思いますが、石川様、よろしいでしょうか。
 
【石川様】  石川でございます。よろしくお願いします。もし途中で聞こえなくなりましたらビデオを切りますので、おっしゃっていただければと思います。
 
 三菱UFJの石川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
 本日は2つ、私のほうから御説明申し上げます。1つはNZBA、ネットゼロ・バンキング・アライアンスにおける、もちろんそのNZBAそのものの現状であったり今後の見通しについても触れたいと思いますが、そこでのトランジションファイナンスに関する議論、そこで指針を、ガイドラインを出しておりますので、そこの経緯であったり、問題意識その辺について御説明を申し上げたいと思います。
 
 後半は、アジア・トランジション・ファイナンス・スタディ・グループ、我々「アジトラ」と呼んでいますけども、こちらについても御紹介をさせていただいて、その後、質疑応答という形でお願いできればというふうに思います。
 
 まずこの2つ、中身についてはこれから議論をさせていただくんですけど、どう考えたらいいかという、ちょっと私なりに整理をしたのは、大きくこのサステナ、あるいはトランジションファイナンスの議論というのは3つあるんだろうと思っています。
 
 1つはいわゆるポリシーの議論です。政策的にどういう環境をつくれば、このトランジションファイナンス、あるいはサステナブルファイナンスがより増えていくか、拡大できるかというポリシーの議論が1つあって、今度ポリシーの議論をもう少しそれぞれの金融機関においてより具体化していくための、「インプレメンテーション」と我々は言ったりしていますけども、もう少しそのポリシーそのものを社内に落とし込むというような段階が2つ目としてあります。
 
 最後が、これは実務の話でして、よりプラクティカルなというんでしょうか、もう少し日々の業務において使えるようなプラクティカルガイドラインとでも言いましょうか、大きくその3つあると思うんですけども、NZBAでいうとどちらかというと最初の2つをカバーしています。最後の実務にあまり即していないのは、これはあえて、後で申し上げますけども、独禁法の懸念なんかもあるので、あまり具体的にこれはやっていい、やってはいけないということまで踏み込んでいません。
 
 なので、最初のポリシーの議論であったり、社内におけるどういうふうに考えてトランジションファイナンスを、「メインストリーム化」という言い方をしているんですけども、したらいいかというとこまで、最初の2つをカバーしているというのが、どちらかというとNZBAのトランジションファイナンスガイド。
 
 アジトラのほうは、どちらかというと後者の2つというんでしょうか、インプレメンテーションであり、もう少し実務に即した、どういう技術であればトランジションとして捉えるべきなのか。これはアジアというところに特化していますけども、そのような問題意識でつくっておりますので、同じトランジションファイナンスに関するディスカッションではあるんですけども、NZBAのほうが、私なりに言えばアップストリームとミドルストリームというんでしょうか、ポリシーとインプレメンテーションあたりまで。アジトラのほうはもちろんポリシーも議論しているんですけどもミッドストリームとダウンストリーム、より実務に近いガイドラインをつくってきたというのが、過去1年ぐらいの取組みの全体像でございます。
 
 まず、NZBAについて簡単に、この資料に沿って御説明申し上げます。3ページを御覧ください。左下3ページでございます。
 
 これは先ほど、アセットオーナーアライアンスのところでも同じような議論がありましたので、もう皆様御存じのことだと思いますが、NZBAがどういう位置づけなのかというのを簡単に示しております。
 
 全体の持ち株会社的な位置づけとでもいったらいいんでしょうか、GFANZというのがありまして、その下に左側、業態別アライアンスということでNZBA、バンクのアライアンスがあったり、我々の信託のアセットマネジメント会社が、「NZAMI」と呼んでいますけど、アセットマネージャーズのNet-Zeroに入っております。先ほどAOAの話もありましたし、ほかにも保険、PS、フィナンシャルサービスプロバイダーとか、こういったそれぞれのアライアンスがあって、それ全体を束ねているのがGFANZという、そんな立てつけになっているのは御存じのとおりになります。
 
 ただ、このGFANZというのは、アライアンスともちろん事務局レベルではいろんな連携はしているんですけども、実際にはこの右側の作業部会というところで、特に去年は相当、毎週のように議論しながら、前回の議論でも御紹介いただいたトランジションプランの報告書だったり、GFANZから7、8個、レポートが出てまいりましたけども、この右側の作業部会というところで議論をしております。
 
 この作業部会、それぞれチェアがおりまして、そのメンバーというのは基本的にこの左側のアライアンスのメンバーから入っているというのが原則です。たまにいわゆるNGOなんかが入ったりしますので、必ずしも全員が全員そうではないんですけども、基本的にこのアライアンスのメンバーの中から手を挙げて、右側の作業部会をつくって、そこで1年間かけて議論してきたものがレポートとして出て行って、昨年のCOPに向けて公表したというところでございます。
 
 我々の関与という意味で言いますと、実は結構いろんなところに顔を出しておりまして、GFANZの作業計画、右側を御覧いただきますと今は8、9個ぐらいありまして、そのうちの我々が入っていないのがセクトラルパスウェイというところなんですけど、ほかは全て入って、これまで1年間、議論に参画してきたというところでございます。
 
 特にここ最近で言いますと2つ新設をされておりまして、1つが一番下のデータユーティリティーという、ISSBであったり、各国において今開示の枠組みがつくられておりますので、その開示の枠組みに基づくいろんなデータをどういうふうに集約すれば、より効率的に金融機関、あるいは発行体も含めてですけども、そのデータをインプットしてそれを使えるようになるのか。そういったことを、ブルームバーグさんとブルームバーグ社、両方ブルームバーグさんですけれども、ブルームバーグなんかが中心になってつくっているというのがこのデータユーティリティーのプラットフォームでございまして、こんなものも実はこの数か月前に設立を進めているということでございます。
 
 あるいは、マネージドフェーズアウトということも以前に御紹介いただいていると思いますけども、その中でアジアのワーキンググループをつくろうということで、先日、実は、年末に関心のある人、手を挙げてというとことで、ほかの企業さんも手を挙げられたと思いますけども、我々も手を挙げまして、このワーキンググループにも入ることになりました。
 
 まだこれから、キックオフは今後だというふうに理解しておりますけども、今後アジアにおいて、いわゆる高排出なアセット、特に石炭火力なんかも含めて、いかに、いわゆるジャストトランジション、これはちょっと後で申し上げますけども、公平なトランジションを進めながら石炭火力なんかをフェーズアウトしていくか。これを、特にグローバル、今までグローバルの議論をしてきましたけど、やはりアジアにおけるエネルギートランジションということをより加速するために、具体的にどういう枠組みでやっていくのか、どんなふうにそれを開示していったらいいか、まさにこれはスコープ3が増えてしまいますので、スコープ3が増えることを、どんなふうに仕組みをつくれば、よりこのアジアにおけるマネージドフェーズアウトに、ニューマネーを我々が提供できるようにできるのだろうかと。そんな問題意識でこのワーキンググループをつくって、これからまさに議論を始めるというところでございます。
 
 そういう意味で、昨年いろんなレポートが出てきたんですけども、それに加えて今データの話であったり、アジアにおけるマネージドフェーズアウトということが加速をしていくというところが足元の動きでございますが、繰り返しになりますけれど、これはGFANZの議論で、今からNZBAにおける議論にもう少し特化した話をさせていただきますが、当然そのGFANZにおける議論と、NZBA、AOAもそうだと思いますけども、連携しながら、ちゃんと我々がNZBAで言っていることと、GFANZがパブリックに言っていることなんかがアラインしなきゃいけませんので、その辺の連携は常に取りながら議論を進めているというところでありますが、NZBAの話をさせていただこうと思います。
 
 左下4ページを御覧ください。こちらは全体像でありまして、今、足元、2月現在で126行、41か国から来ておりますが、これが重要かちょっと分かりませんけど、グローバルなバンキングアセット、金融機関のアセット、銀行のアセットでいうと、40%ぐらいはこのNZBAに加盟していますよというところであります。
 
 ただ、実際の数で言いますと、かなりいわゆる大手、欧州であったりアメリカ、アジアも入っているんですけども、数で言いますとアジアでは例えば24社しかまだないと。もちろん日本がかなり多いですし、韓国であったりオーストラリアなんかが実は多くて、いわゆるアセアンなんかも含めたアジアというのはまだまだというところであります。
 
 数でいうと126行中の73が欧州でございまして、30社ぐらいがアメリカと。アメリカというのは南米も含めてアメリカですけれども、そういう意味でいうと、まだまだアジアにおけるネットゼロということはメインストリームに至っていないのかなというふうに思いますので、そこがまさに今、大きな課題というところでありますので、先ほどマネージドフェーズアウトのアジア版をつくろうというのは、この辺のネットゼロ、あるいは石炭火力の早期リタイア、そういったことをより加速するためには、アジアに特化した議論をしていかなきゃいけないんじゃないかと、そんな問題意識がGFANZでもNZBAでもあるというところでございます。
 
 次、左下5ページです。御覧いただければと思います。これがNZBAのガバナンスなのですが、左上に書いていますガバナンスの主体、プリンシパルズ・ミーティングというのがありまして、これはチェアがStandard CharteredのBill WintersというCEOですけれども、こちらが年に1回の開催になりまして、より実務的な議論というのはその下のリプレゼンタティブ・ミーティングというところになります。Standard CharteredのTracey McDermontさんという方がチェアをされていまして、私もそこのメンバーですけども、毎月、少なくとも毎月ここは議論をしていまして、いわゆる運営という意味でいうと、このリプレゼンタティブ・ミーティングというところで判断をしているというところであります。12社ありまして、我々も含めて、我々と韓国勢がアジアからは代表しておりますけども、12行で議論をして、NZBAの運営であったり、全てのメンバーに聞かなくても判断できるようなものを、このリプレゼンタティブ・ミーティングというところで判断しているというところでございます。
 
 その下に、こちらもNZBAにおいても幾つかの作業部会がございまして、インプレメンテーションというものと、あとその他の作業部会とありますが、私自身がチェアという立場で関わっているのがファイナンシング・アンド・エンゲージメントという作業部会でございまして、そこが、右のほうに青く書いていますけれども、おととしの12月に発足をして、去年ちょうど12か月ぐらい前にキックオフをして、トランジションファイナンスというものをここで取り上げようじゃないかと。それに向けた指針、ガイドラインをつくろうということで、去年10か月ぐらい議論をして、去年の10月にトランジションファイナンス指針を公表しております。
 
 もちろん、この作業そのものはファイナンシング・アンド・エンゲージメント、この作業部会でやっているんですけども、最終的な公表に向けた承認というのは、上のステアリンググループにおいて承認を得て公表したという、そんなガバナンスのプロセスを経て公表しております。
 
 そのほか、左下にありますが、セクター・ワークトラックであったりリクルートメント・ワークトラックといった作業部会があります。今後、より具体的なセクターのガイダンスをつくるであったり、より、先ほどアジアについてお話ししましたが、どういうふうにアジアのメンバーを増やしていくか、そんなことのワークトラックもありますが、ワークトラックのリクルートメントについては、もう少しGFANZとかほかのネットゼロアライアンスとも連携・強化していこうというような、今、問題意識で動いているところでございます。
 
 次のページが、具体的にNZBAの、先ほどAOAでもありましたが、NZBAに加盟するプロセスというんでしょうか、どのようにこのネットゼロのコミットメントを公表するかというところでありますが、最初に加盟するときに、コミットメントステートメントというものをCEOが署名をするという形で加盟ということになります。
 
 それの加盟をしましたら、加盟後18か月以内に、優先セクターというのがあるんですけども、優先セクターに関連して、2050年だけではなく2030年のインタリムターゲット、中間目標も設定しなさいというようなことがこのコミットメントレターに書いております。
 
 まずは優先セクターが18か月以内なんですけども、ほかのセクターについては、その後18か月以内につくっていくというような形で、まず優先セクターをしっかりとネットゼロに向けたプランをつくるということが求められているというところでございます。
 
 その後、これもAOAと同じですけども、毎年プログレスポートという形で状況をアップデートするということも求められているというのが、まず加盟であったり、加盟した後に求められる、各メンバーへのリクワイアメントということでございます。
 
 次のページをお願いいたします。実際、じゃあこのガイドライン、ネットゼロターゲットをつくるのはどういうプロセス、どういうガイドラインに基づくのかということで言いますと、事務局はUNEP FIがやっているんですけども、そこがガイドラインというものをつくっております。
 
 大きく4つの柱からできておりまして、1、2、3、4というふうに書いておりますが、最初これをつくったときはかなりばたばたとしてつくって、若干、解釈が幾つか分かれたりするようなところもあったものですから、実は去年の8月に、先ほどの作業部会の1つにおいて、ガイドラインのサポーティングノートという、解釈ノートとでもいいましょうか、というものを公表して、ターゲットセッティングのもう少し丁寧なガイドラインを作成して公表したりしたということもあって、まさに各メンバーのネットゼロターゲットセッティングのサポートのためのいろんなガイドラインを、作業部会で検討してきたというところもございます。
 
 中身については、次のページを御覧ください。8ページあるいは9ページに書いてありますが、8ページのところは、これも先ほどのAOAの議論とあまり違わないと思いますけども、まずアンビションというところで言いますと、2050年のネットゼロ、そしてこのネットゼロ実体経済のトランジションを支援すると。まさにここはダイベストメントじゃないよねと。実体経済のネットゼロを通じて、我々銀行のネットゼロというのを達成するんだという考え方がここに書いてあるところであります。
 
 ネットゼロのいわゆるスコーピングなんかが次のところに書いておりますが、本ガイドラインというのはスコープ3の適用ですよということが明確に書いていますし、オンバランスなんですけども、オフバラについてもいわゆる引受けに伴うファイナンスドエミッション、ファシリテーティドエミッションと言いますけども、ここはPCAFがまさに今、ガイドラインをつくっておりますので、その辺がグローバルに確立されてきたら、NZBAのネットゼロをターゲットセッティングにも、引受けに伴うエミッションも含める方向で検討するということが書かれております。
 
 ただ、ここについてはNZBAだけで決めるというよりは、まさにグローバルなベストプラクティス、PCAFなんかがつくってきたものを踏まえてNZBAで議論するということになっております。
 
 セクターについては、真ん中辺りに書いていますけども、農業、アルミニウム、セメント、石炭、商業不動産、鉄鋼、石油・ガス、いろいろ書いていますけども、この辺がいわゆる優先セクターということで、そこについてまずはターゲットセットをしましょうということでございますが、まずはインパクトの大きいというんでしょうか、高排出セクターからネットゼロのターゲットセット、特に2030をして、その上で残りのセクターについてもやりましょうというところでございます。
 
 次のページ、9ページのところですが、ターゲットを、先ほども若干触れましたけど2030年、あるいはもっと早くてもいいんですけども、目標設定をしなきゃいけませんよであったり、それから5年ごとに設定するよといったことが、このガイドラインに記載されておりますので、基本的にNZBA、もちろん加盟するタイミングはそれぞれ異なるんですけども、加盟してから18か月以内には、まず最初のセクターについてターゲットセッティングしなきゃいけないということが、このガイドラインに明記されているというところでございます。
 
 次のページ、10ページが、じゃあ足元はどうなんですかというところですが、去年のCOP、エジプトのCOPの前に、プログレスレポートというのをNZBA全体として出しておりまして、2022年のこれは9月末時点だと思いますけども、その時点でターゲットセットをしなきゃいけない銀行という意味でいうとほとんどが、95%がちゃんと策定をして、ターゲットセットを3分の2ぐらいがしていますよということが書かれております。
 
 特に大きなところでいうと、やはりパワー、電力であったり、オイルアンドガス、そういったところを優先してターゲットセットをしたというのが、このグラフの右のほうを御覧いただけると分かるかと思いますが、このようにネットゼロと言っていますけど、まずは優先セクターから2030年の削減目標をつくると。それを公表して、それに向けてしっかりと進めていくというのがNZBAの考え方というんでしょうか、その辺から進めていきましょうというのが実務的な進め方というところでございます。
 
 次の11ページが、この全体の、先ほど触れましたけれど作業部会での検討状況ということなんですけども、インプレメンテーション・ワークトラックという中で、データ・メソドロジーという、先ほどのガイドラインのサポーティングノートというのを出したのがこの作業部会であったり、うちがチェアをしていますのがファイナンシング・アンド・エンゲージメント、トランジションファイナンスのガイドラインをつくったというところが、この2つ目の赤い線で囲まれているところでございます。
 
 あとは、セクター・ワークトラックということで、今、不動産、オイル・ガス、スチール、オート、こういったところについて、まさに今足元、議論をしているというところでございますが、下のセクター・ワークトラックについては、何かここで新たにNZBAとしてこうあるべきだという主張をするというよりは、どちらかというとターゲットセットをするためのサポーティングガイドラインと言ったらいいんでしょうか、各社がそれぞれのセクターにおけるターゲットセットをどのように設定したらいいのか、そういった考え方をまとめるということが、このセクター・ワークトラックのマンデートということでございます。
 
 こういった作業部会が去年、ちょうど1年ぐらい前からずっと議論をしてきて、そこで中身については議論しているところでございます。
 
 次のページからが、冒頭触れましたがトランジションファイナンス指針でございまして、こちら、もう御覧いただいているところもあるかもしれませんけど、簡単に問題意識、背景を触れさせていただこうと思います。
 
 まず前提のところなんですけども、実はこのNZBA、我々が入ったのがもう今から2年弱前でありますけども、その時にこのNZBA、ネットゼロの議論をしたときに、この2つ目に書いていますけども、いろんな声が正直ありました。
 
 やっぱりネットゼロ達成というのを早期に実現するためにはダイベストメントというのが一番有効だよねというような声が、特に欧米があったと思いますけども、そういった声が聞かれたのも事実であります。
 
 これに対して、いやいや、もちろんダイベストメントを否定するわけではないんですけども、銀行のネットゼロ、特に大手の金融機関という意味でいうと、銀行ネットゼロというのはお客様のネットゼロを通じて初めて達成されるべきなんじゃないかということをずっと主張してまいりまして、その後でもちろんウクライナ情勢の変化なんかもある中で、やはり確かにそうだなということがメインストリーム化されていったというふうに、私は認識をしております。
 
 ちょうど去年の4月に、NZBA発足から1年を記念して公表したレポートがあるんですけども、「Theory of change」という名前ですけども、私は「NZBAの進化論」と、あえて日本語でしていますけども、そこには、実体経済の脱炭素化こそが銀行ネットゼロの基本戦略である、基本路線であるというふうに記載されるに至っております。
 
 そういう意味でいうと、ダイベストメントではなくやっぱりエンゲージメントであり、トランジションであるということが、このUNEP FIのレポートにも書かれたというところでございます。
 
 こういった問題意識が徐々に我々の中でも醸成されていく中で、トランジションファイナンスを、じゃあどういうふうにメンバー間でメインストリーム化していったらいいんだろうかということを、もう少し具体化しようよということで、トランジションファイナンスの指針をつくろうということになりました。
 
 まさにお客様とのエンゲージメントを通じて、お客様のトランジションを促す。それをファシリテートする、サポートする、そのためのファイナンスがトランジションファイナンスだよねという考え方を確立した上で、このトランジションファイナンスというのが各行においてメインストリーム化されることが、我々NZBAにとっての成功、サクセスだというふうに定義をするところから始めております。
 
 これもいろんな議論があったんですけども、「本指針は2つを確認している」と、この真ん中に書いていますけども、1つは、いわゆるグリーンファイナンスだけではなくて、高排出セクターとのエンゲージメントが最も大事だと。ですから、グリーンなネットゼロがもう見えているところだけではなくて、ネットゼロが難しい高排出セクターとのエンゲージメントが大事だよねということをしっかりと明記をしているというところでございます。ここはまさに、ダイベストメントではなくエンゲージメントという考え方を踏まえたところであります。
 
 それを踏まえて、トランジションをお客様とのエンゲージメントの中心に位置づけましょうと。こういった考えを、欧州あるいはアメリカだけではなくて、全ての地域で――これはアジアなんかをイメージして書いているんですけども、インクルーシブなトランジションというのを進めましょうといったことも確認をしているというところであります。
 
 NZBAは御案内のとおりグローバルなアライアンスなので、トランジションが全ての地域で必要なのは当然なのですが、やっぱりアジアが一番大事だよねということを確認して、まさにインクルーシブな枠組みということをつくってきたというところであります。
 
 そのインクルーシブということをどういうふうに達成するかいうところでありますけども、このトランジションファイナンスの最低限満たすべき原則ということで、この指針は位置づけておりまして、それ以上のところは各行が枠組みをつくって、それでどんどん進めたらいいじゃないかと。必ずしも欧州におけるトランジションとアジアにおけるトランジションは違いますので、一つこれが正しいんだ、これは間違っているんだということをみんなで決めるのではなくて、あくまでも最低限満たすべきところはここだと。そこから後はそれぞれの金融機関が、トランジションファイナンスとはこういうものだ、こういう技術なんだということはそれぞれが決めるべきだというような考え方を示しております。
 
 実際、このガイドの後ろのほうには、幾つかの金融機関が出しているトランジションファイナンスのフレームワークをケーススタディーとして取り上げておりまして、それぞれこういった金融機関が、こんなやり方でトランジションファイナンスというのを進めると言っていますよと。これをまさにどんどん、NZBAとしては進めていくことをエンドースするという、そんな考え方でこのトランジションファイナンスガイドはつくっております。
 
 次のページを御覧ください。上のところ、トランジションファイナンスの形態というところでありますが、ここは、よく言われていることなんですけども、資金使途が明確な場合、use of proceedが明確な場合については、その地域において導入可能な最先端のトランジションに資する技術、これに対する資金提供だというふうに定めております。
 
 この辺が、「導入可能な最先端の」というあたりが、幾つか形容詞が並んでいますけども、これも欧州におけるトランジションとアジアにおけるトランジションは必ずしも一緒じゃないよねと。なので、何かこの技術はマルとかバツと決めるのではなくて、その地域においてトランジションに資する技術、これに対する資金提供はトランジションファイナンスを呼ぼうではないかというのが、資金使途が明確な場合。
 
 もう1つ、一般運転資金の場合というのは、クレディブル・トランジション・プラン、信頼性の高いネットゼロ計画がある場合は、その企業に対する貸出しというものもトランジションファイナンスと呼んでいいだろういうところでございます。ちょっと、上にタイポがありまして、トランジションファイナンス「携帯」と書いていますが、「形態」の文字が違いますが、そういった2つの、トランジションファイナンスであるよねということも明記をしております。
 
 ただ、ここでまた冒頭のポリシーの議論に戻るんですけども、トランジションファイナンスというものを今後拡大する上で幾つか問題提起というのをしておりまして、1つはやはり高排出セクターへのエンゲージメントであったりトランジション、これそのものがまさに銀行ネットゼロ計画の一番重要な柱なんだというあたりについては、もちろん多くの方々は認識をしてくださっていると思うんですけども、他方で、いわゆる石炭火力への貸出しはすぐにやめるべきだというような議論もあったりしますので、その辺のバランスというんでしょうか、もちろん、ずっといわゆる高排出のアセットを残すべきだということを申し上げるわけではないんですけども、しっかりとエンゲージを通じてトランジションを促すと。そのために、政府からもしっかりと前向きなメッセージを出してほしいといったことを書いております。
 
 2つ目が、これはいわゆるスコープ3が増えてしまうがどうしたらいいかという議論につながっていくんですけども、2とか3あたりですね、一つには、トランジションファイナンスの進捗というものをどういうふうに示したらいいんだろうというようなことについて、問題意識を提起しております。いわゆるスコープ3だけで本当にいいんだろうかという問題意識であります。
 
 3つ目も同じでして、PCAFの計算手法であったりシナリオ分析なんかもそうなんですけど、トランジションファイナンスというのはどういうふうにすれば適切に評価されるんだろうと。この辺については見直すべきところも幾つかあるんじゃないかという、そんな問題提起もしておりまして、今日は触れておりませんけども、幾つか具体的な提案、考え方も示したりしております。
 
 最後に、トランジションファイナンスにおけるいわゆるジャストファクターというんでしょうか、ジャストトランジションをどういうふうに達成するか。これはなかなか民間だけでは難しいよねというあたりの議論をしておりまして、まさに政府といろんな連携をしながら進めていく必要があるだろうといったことも書いているところでございます。
 
 以上がNZBAの説明でございまして、最後、15ページですかね、ここにいろんな、過去10か月ぐらい、いろんな議論をしてくる中で、どういったコメントがほかのメンバーから出たのか。最終的に合意した内容は先ほど申し上げたとおりでありますけども、最初からこれで行こうじゃないかという合意をしたというよりは、まさにここで議論しているような、書いてあるようなことについていろんな議論をした上で、みんなで物事を決めながらドラフトをしてきたというところであります。
 
 例えば4つ目でいうと石炭の取扱い。みんなで投融資を禁止すべきではないかという議論があったり、もう少し、4つ目とか5つ目あたり、GFANZとの整合性を担保すべきではないか。いろんなコメントがある中で、メンバーの中で議論をして最終的な指針としてまとめたというところでございます。何か質問ありましたら、後でまたお答えさせていただこうと思います。
 
 ちょっと時間がなくなってしまいましたので、アジトラについては、簡単に御説明をさせていただければと思います。17ページ以降のところです。
 
 こちらは、より、先ほど申し上げましたけど、実務に資するガイドラインをつくっていこうというのが問題意識であります。
 
 もともとの経緯については、御案内のことかと思いますけども、日本の包括的な支援策でありますけども、アジアにおけるエネルギートランジションというのをサポートしていこうという問題意識からスタートしておりまして、このスタディーグループ、アジトラですね、これをつくって、アジアにおけるトランジションというのをどんどん促していこうと。そのために実務的なガイドラインをつくっていこうということでつくったというのがこの経緯でございます。
 
 特に、次のページあたりに書いていますけども、御覧いただきますと、アジアの金融機関、もちろん本邦もそうですけども、アジアからもいわゆる地場の金融機関さんにも入っていただきつつ、他方でグローバルな欧州であったり米国の金融機関なんかにも入ってもらって、しっかりと、アジアだけの議論にならずに、グローバルな観点からも整合性の取れた枠組みをつくろうということで、こういったメンバーで議論を進めてきております。
 
 また、真ん中にありますけども、いわゆる国際開発銀行さんであったり、もちろん日本もそうですし、ほかの国もそうなんですけども、DBJさんであったり、JBICさんなんかにも関与していただいて議論をしてきたということもありますし、各国の財務省、あるいは金融庁さん、経済産業省さん、そういった方々にも入っていただいて、マルチステークホルダーなワーキンググループとして議論をしてきて、まとめたのがアジトラということでございます。
 
 次のページを御覧ください。ざっとタイムラインを書いておりますけども、こちらも2年ちょっと前からずっと議論をしてきて、9回の会議と4回の勉強会ということを踏まえて、アジトラのレポートを作成して公表したというのが去年の9月でございます。こちらもかなりいろんなメンバーからの議論を踏まえて、こういった形でまとめたというところでございます。
 
 次のページはトランジションファイナンスの市場動向ですので、もう皆様御存じのことかと思いますのであまり詳しくは申しませんけども、日本がかなりこの世界で引っ張ってきたというところでありますけど、まだまだトランジション、ボンドであったりローンの金額というのは少ないと。これからもっと増えていくべきだというところは、皆さん御案内のとおりでございます。
 
 次の21ページ、この辺がまさにアジアというところなんですけども、この①、②、③と書いていますけど、この辺について、いわゆるGFANZとかNZBAの議論しているところだけでは、なかなかアジアのエネルギートランジションは難しいよねという問題意識から来ております。
 
 ①、まさに経済全体の、高排出セクターがまだまだ大きな要素を占めるということであったり、石炭への依存度が高い。2つ目が、まだまだこれから経済が伸びていくということ。3つ目は、いわゆる再エネのポテンシャルなんかも必ずしもみんな全ての国が同じようにあるわけではないと。
 
こういった3つの要素を踏まえてどのようにトランジションを進めていくかというあたりが、まさにアジアにおける課題だというふうに整理をしております。
 
 次のページを御覧ください。アジトラの目指す方向性ということをまとめておりますが、まさに冒頭申し上げましたとおり、いわゆる大きな枠組みとしてはICMAのガイドラインがあったり、IEAとかNGFSのロードマップ、シナリオがあったりするんですけども、それを先ほどのアジアにおける課題に当てはめた場合に、どういったものがトランジションに資するんだろうかと。まさにここが、このアジトラがギャップとして認識して、埋めようとしているところでございます。
 
 左下のAというところに書いていますけども、金融機関向けのガイドラインを策定しようということ。Bが、これは各国政府に対して政策提言をしていこう。最終的にはC、技術リストというのを策定して、こういったものがトランジションに資する技術なのではないかというものを第三者機関に策定を依頼すると。こういった3つから、このアジアにおけるトランジションを促していこうという、具体的な提案をしたというところでございます。
 
 次のページが、まさに今申し上げたA、B、Cというところでありますけども、実務的なガイドラインと。具体的にどういうふうにトランジションファイナンスというものは、これがトランジションファイナンスだよねということを確認したらいいんだろうかというあたりの実務ガイドラインをつくっておりまして、資金使途の把握であったり、ICMAの4要件を満たしていますかという確認であったり、あるいはその時にロードマップなんかが策定されていない場合、どういうふうにアプローチしたらいいんだろうかというあたりについて、幾つかの考え方を整理しております。というのが実務ガイドラインです。
 
 あとはBのところが、ASEAN各国政府への提言というところで7つほど書いていますけれども、左の、まさにいろんな課題がありますので、パリ協定に整合するような国レベルあるいはセクターレベルのロードマップをつくるべきなのではないかという提言をしていたり、先ほども触れましたけども、アジアにおける課題というのは、まさにまだまだ石炭への依存度が高かったり、まさにこれから成長するんだという中で、ジャストトランジションをどう考えますかということ。
 
 そういったことをしていく中で、さはさりながらASEANも、御案内のとおり経済のマチュリティというんでしょうか、かなり違いますので、これもまたワンサイズ・フィッツ・オールもできないということですので、何かかちっとしたものをつくるというよりはモデルケースを積み上げていくべきではないかという考えで、モデルケースをどんどん増やしていこうと。そのためにインセンティブ制度もつくっていこうじゃないかということを提案しております。
 
 あるいは、ASEANタクソノミーボード、皆さん御案内のことかと思いますけど、タクソノミーをASEANでつくろうとしていますので、そういったことをちゃんと相互連関性が担保されるべきであるということ。
 
 あとはカーボンクレジット、これもガイドラインをしっかりとつくっていく必要があるよねということも提案をしておりますし、あと最後は、もう少し一般的な課題認識なんですけど、やはり中小企業のトランジションというのをどういうふうに支援したらいいんだろうか。これはNZBAでもまさに同じような問題意識を持って検討を進めているところであります。
 
 最後には人材育成・スキル習得、こういったあたりをどのように加速していくか。ここもやはり、民間金融機関だけではできませんので、国レベル、政府とのいろんな連携で進めていく必要があるだろうというあたりの提言をしております。
 
 最後に、トランジションの技術リストというところでありますけども、外部機関であるERIAにトランジション技術を、こういったものが資するだろうという参照リストというのを作成をお願いしたというところであります。
 
 そこはまさにジャストトランジション、先ほど申し上げましたアジアの課題をどういうふうに克服していくのか、そういった観点から整理をしているというところでありまして、まずは電力であったりオイル・ガスの上流、こういったところをフォーカスをしていこうと。ただ、そこで終わるのではなくて、しっかりとこれからセクターカバレッジを増やしていこうという、そんな問題意識でございます。
 
 一応、このA、B、Cについては、次のページ、24、5、6と、もう少し具体的に書いておりますが、中身は今ざっと口頭で申し上げたところですので、説明は省かせていただきますが、まさにこういった、より実務に即するガイドラインをつくってきたというところであります。
 
 最後に一番最後のページ、28ページだけ簡単に触れさせてください。
 
 幾つかのフィードバック、いろんなメンバーからのコメントはNZBAでもあったと申し上げましたけれども、このアジトラにおいてもいろんなコメントがありました。
 
 特に、真ん中に書いていますけども、これはトランジションファイナンスのスコープをどこまで明確すべきかいうあたりについては、なかなか、いろんな金融機関さんももちろんトランジションファイナンスを前向きにやりたいんだけども、どういうふうにこのトランジションというものを判断したらいいか、その目線というのをつくるのが難しいよねというあたりが、やはりいろんな金融機関さんからコメントがあったところでございます。
 
 そういう意味でも、やはり技術というのを整理したり、あるいはケーススタディーというものを例示することで、なるほど、こういったものが確かにトランジションファイナンスと呼べるよねというようなものが、もう少し実務に即するような形で対応してきたというのが、一つの我々なりの工夫でございます。
 
 あるいは、長期的な脱炭素戦略を持たない企業への対応をどうしたらいいんだろうかと。この辺が実はなかなか難しいのは、国レベルでネットゼロがなかったり、あるいは2050でなかったりしますので、こういった企業さんにどういうふうに対応したらいいかというのはなかなか難しいですので、まさにこれは各行判断になるんですけども、なかなか、それがまたグリーンウォッシングだという批判を浴び得るということもありますので、この辺はまたこれからの課題だというふうに認識をしております。
 
 あるいは複数のスポンサーがいたり、あるいは国をまたぐような案件だったりする、そういった実務的な問題というのはまだまだありますので、この辺については引き続き検討を進めていこうというところでございますので、これで何か終わったというより、まさにいろんな課題が見えてきて、アジアにおいても、あるいはNZBA、グローバルにおいても、トランジションファイナンスを進めるためのいろんな障壁と言ったらいいんでしょうか、というのをしっかりと対応していこうということで、我々も関与しているというところでございますので、NZBAであったり、アジトラも、我々リーディングバンクという立場でこのアジトラも引っ張ってきたつもりでありますけども、引き続きアジア、あるいはグローバルにおけるトランジションファイナンスというものを進めていこうという形で、我々なりのいろんな工夫をし、議論に貢献してきたというところでございます。
 
 ちょっと長くなってしまいましたが、石川から御説明は以上とさせていただこうと思います。ありがとうございました。
 
【根本座長】  石川様、どうも御説明ありがとうございました。
 
 では、岡崎様、石川様のプレゼンに関しまして、御質問、御意見がおありになる方はおっしゃっていただければと思います。御質問の場合は、どなたへの御質問か最初に言っていただけると大変幸いです。よろしくお願いいたします。手を挙げていただくか、チャットに書いていただければと思います。
 
 では井上様、お願いいたします。
 
【井上メンバー】  すみません、井上です。第一生命の岡崎さんへの質問です。貴重な御講演ありがとうございました。説明のなかった13ページについて、13ページのトランジションファイナンスの取組み方針について、1点教えていただければと思います。
 
 私の理解だと、GHG削減中間目標の達成と、トランジションの推進が二律背反する可能性がある中で、御社としての投資の判断基準を、まず2050年のネットゼロ、次に適切なトランジションに対する投資であること、次に中間目標の達成ということで、優先順位立てをされたと理解をしました。
 
 それで、当社におきましても、石炭大規模火力からアンモニアだったり、航空エンジンの脱炭素化ということでトランジションを進める中で、心強い決断だということで評価する中で、質問は、これが去年の9月30日に公表された中で、他社の反応といいましょうか、ネットゼロ・アセットオーナーアライアンスの中で、御社の動きに追随する動きなどはあるのかというのを御教示いただければと思いました。
 
 以上でございます。
 
【岡崎様】  すみません、御質問ありがとうございます。まず、弊社としての優先順位のつけ方というのは今おっしゃっていただいたとおりでして、2050年のネットゼロ、これが最優先で、それに向けて、それに資するトランジションであれば、中間目標よりも、そのトランジション、皆さんの企業へのサポートをするということを優先するということを会社として意思表明したというものになります。
 
 じゃあ、これがネットゼロ・アセットオーナーアライアンスの中でどれだけ広がっているかという話になりますと、すみません、私、先ほど御説明をちょっとはしょる形になってしまったかもしれないですけど、アセットオーナーアライアンスの中で、ファイナンシング・トランジションという作業部会があるというふうに御説明したんですけれども、その中で優先されているものというのは、どちらかというと、現時点ですとエマージング、新興国への資金供給、これをいかに行っていくかというところがフォーカスされている状況でございまして、例えばブレンディッドファイナンスのような形で、どうやって資金供給をしていくかと。
 
 それはもともと、メンバーが欧州の年金基金とかに偏っているというところと関係があるかもしれないですけど、我々保険会社も同様ですけど、年金基金というのは投資しているアセットというのが、ボンドですとかそういうものが多くて、投資資産の格付基準があったりですとか、リスクアセットの制限があったりするので、どうしてもエクイティが出しづらくて、一定の格付以上のボンドに投資をするというのがメインになっていますので、そうするとやっぱりエマージングのところって何かしらストラクチャーの工夫がないと、お金を回したいんだけどなかなか回せないので、それをちょっとどうにかしようというのが2022年で、2023年に関してもそこのところがフォーカスされているという状況になっていますので、この、いわゆる日本で今、話が進んで、先ほどNZBAの中で議論がかなり進まれている、トランジションファイナンスというものに関してはAOAでは今の段階ではあまりまだ議論が進んでいないというのが正直なところです。
 
 ですので、すみません、ちょっと長くなりましたけど、質問へのお答えとして、これがAOAの中でどれだけ受け入れられて、どれだけ浸透しているかという話をすると、まだそういった状況ではないということです。
 
 ただ、一つ申し上げられるのは、我々だけではなくて、日本の金融機関、生保・損保、アセットオーナーに関しては、当然こういったトランジションに関するサポートをしていくというのが金融機関としての使命であるという認識は共有されていますので、今後AOAの議論の中で、当然、地域の特性ですとか日本の事情もありますし、アジアの事情というところも御説明をした上で、トランジションというのに対して本当にどういったことをしないといけないのか。これがファイナンスドエミッションの話にもつながると思いますけど、一時的なファイナンスドエミッションの増加というのも、最終的な目標達成のためにはある程度あり得べしというようなところを、中で議論を今後していくことになるのかなというふうに考えています。
 
 すみません、ちょっと直接のお答えになってないかもしれないですけど、私からは一旦、以上を回答させていただきます。
 
【根本座長】  よろしいでしょうか。
 
 それでは藤井様、お願いします。
 
【藤井メンバー】  ありがとうございます。藤井です。石川さん、いつもお世話になっています。
 
 お話をお聞きしていて、コメントが2つと御質問、これはMUFGさんへの御質問になると思うんですけど1点です。
 
 まずコメントですけれども、そもそも、MUFGグループさんと第一生命さん、NZBAやNZAOAでの議論、イニシアチブについて大変心強く思っています。ありがとうございます。
 
 一方でお話をお聞きしていて、やはり個別金融機関としての貢献には限界があるのかなと思いました。
 
 以前、バーゼルⅡ規制が導入された際に、かなり広く官民での協議が行われた記憶を持っていますが、そうした点でできることがあれば追求すべきだと思いますし、その際、他省庁も含めた日本全体の動きとすべきだと思います。
 
 これまでの議論でもありましたし、お二人のプレゼンの中でも政府との協働というご発言がありましたけれども、マクロでの日本全体としての官民一体となった動きというのをより進めていただきたいと思います。これが1つです。
 
 2つ目はより具体的なんですけれども、MUFGさんの8ページにありました、資本市場関連引受け活動についての検討ですけれども、邦銀の場合、預金超過ということもあり、融資資産をバランスシートで保有することが多いということになりますけども、引受け活動をどう扱うかということについては、ある意味で日本の金融機関について影響が大きいと思います。
 
 ブッキングするとスコープ3が100%になる一方で、引受けでファシリテートして販売すると0%ということになると、最終ディストリビューション先を持っているか否かで優劣が決まってしまって、銀行のビジネスのやり方にも影響を与える可能性があると思います。過去バーゼル規制の議論で、証券化商品でも当初同様の取扱いがあったのに対して、サブプライム問題が発生した後に、証券化商品のオリジネーターに所要資本がチャージされるという規制が導入されたように、ファシリテート・ファイナンスの取扱いについては、金融機関の行動にも影響を与える可能性があるという点について問題意識を持っていますので、コメントしたいと思います。
 
 ちなみに、バークレイズ銀行ではファシリテートアクティビティーについて3割のエミッションを計上していると理解をしています。
 
 最後に、質問になりますけれども、アジアの国等、国外のプロジェクトに関与してトランジションファイナンスを実行すると、一旦ファイナンスド・エミッションが増えると思います。そうしたプロジェクトについては、パリ協定の6条で2国間クレジットに該当すれば、炭素削減の相応のカウントができると理解していますけれども、実際トランジションファイナンスを行う際で、その相手先がJCMパートナー国である場合に、JCMの適用を交渉しているのか。その際に官民の動きが一体となっているのかという点について、石川さん、もし御存じでしたら教えていただけますでしょうか。
 
 以上です。
 
【根本座長】  ありがとうございます。
 
 石川様、お願いします。
 
【石川様】  ありがとうございます。今、まず2つほどコメントいただいたことについて、私からも若干考えを申し上げさせていただくと、まさに冒頭おっしゃっていただいた、個別金融機関だけでは難しいよねというあたり、おっしゃるとおりだと思います。
 
 やはり個別金融機関だけでできない、あるいは民間だけでできない、例えばGFANZとかNZBAだけでもできない、そういったところについては、やはり各国の政府――それがG7なのかG20なのか、そういったところと連携していく必要があるのかなと思っておりますが、やはり私もこの金融規制を見ている中でなかなか難しいなというのは、いわゆるバーゼルとかFSBのように、クリアリングハウスというんでしょうか、ここが決めれば基本的にグローバルなスタンダードができるよねというのがないものですから、GFANZも基本的に民間のもちろん金融機関の集まりなので、ここが決めたからといってあくまでもインダストリープラクティスでしかなく、これがスタンダードになるわけではありませんので、そういう意味でグローバルスタンダードセッターが、開示についてはISSBがしっかり担っていただいていますけども、このネットゼロというんでしょうか、こういった議論がボランタリーであることはいいことなんですけれども、であるがゆえに、誰が決めたらこれっていいんだっけというあたりが、カーボンクレジット、最後に御質問もいただきましたけど、その辺が何となくこう、みんなそうだよねと思いながら、きっちり確認ができないというあたりがまさに課題、その辺がまさに官民でしっかりと連携していく必要があるのかなというのは、まさにおっしゃるとおりであります。
 
 これ、ファシリテートエミッションもまさに同じで、基本的に持ったら100%で引受けだったら違うよねというのもおかしいけど、でも、じゃあ全部100%ですかって、これもおかしいよねと。まさにバークレイズさんは33%だということでまずやり始めていますけども、まさにこの辺が、欧米のように資本市場が発達している国々と、あるいはアジア、日本も含めてですけども、どちらかというと投融資でいうと融資のほうが大きな国にとって、まさにマーケットがどういうふうにこれから変わっていくかというところもありますので、ちょっと私がその場にいるわけではないので分かりませんけど、PCAFにおいてもかなり時間をかけてそこは議論しているというのは、まさにそういった背景があるのかなというふうに理解をしております。
 
 最後の、まさにこのアジアにおいてファイナンスドエミッションが増えてしまうよねというあたりについては、まさに今おっしゃっていただいたのが我々の問題意識でもあって、一つ一つはそれぞれ考え方が確立されていると。カーボンクレジットについてもJCMについても。ただ、その議論と個別のこのトランジションファイナンスをどういうふうにつなげたらいいのか。それを誰がどういうふうに検証して、誰々がオーケーと言ったらそれでいいよという、そのまさにクリアリングハウスがないので、まさに問題意識はあるんですけどなかなか点と点をつなげていないというのが現状なのかなというふうに思っています。
 
 ただ、これはあまり細かい話はこの場でする時間はないかもしれませんけども、今後、マネージドフェーズアウトと。先ほどアジアにおいてもマネージドフェーズアウトを進めていくためのワーキンググループができましたと、これは公表されていますけども、そういった中でいうと、まさにそのマネージドフェーズアウトをする中で何らかのインセンティブができないと――つまり、カーボンクレジットができるなり、何らかの新たなお金をアトラクトするような仕組みがないと、結局マイナスの損の押しつけというんでしょうか、だけに終わってしまっては、なかなかマネージドフェードアウトって進みませんので、どういうふうに新たなバリューをつくっていくのか、それがカーボンクレジットであるべきだと思いますし、それがパリ協定の枠組みの中でしっかりとつくっていて、グローバルに、しかも民と官がしっかり連携してできるような、もう少しプラクティカルな枠組みというのができていく必要があるかなと思いますが、なかなかそこが、ボランタリー、カーボンクレジットについてもみんな問題意識は持っているんですけども、こういうふうにやったらまさにカーボンクレジットが発生して、結果的にみんな経済的なインセンティブが働くよねというところまで行っていないというのが我々の問題意識でありますし、恐らく多くの金融機関さんが同じような問題意識を持っていらっしゃるんじゃないかなというふうに思っております。
 
 直接お答えになっていないかもしれませんけど、石川は以上であります。
 
【根本座長】  どうも、お答えありがとうございました。あと5名の方が手を挙げていらっしゃいますので、次に村上様、お願いいたします。
 
【村上メンバー】  ありがとうございます。貴重なお話ありがとうございました。石川様に1点質問させていただきたいと思います。
 
 先ほどの最後のカーボンクレジットのバリューのところと少しつながると思うんですけれども、トランジションファイナンスの際に、既存の資産を除却するといいますか、例えば、遊休不動産の処分とかリストラクチャリングに近いような資金使途といったものは、資金使途の限定されているほうとして考えられる余地があるのか、あるいは一般運転資金の中で考えられたり、考えられなかったりしているのか、そういったやめるお金ですね、リストラクチャリング的なもの、そういったものが今どのように議論されているのか、可能な範囲で教えていただければと思います。お願いいたします。
 
【石川様】  石川でございます。ありがとうございます。もちろん、一般論で言うとどっちも、先ほどの一般の運転資金なのか個別のひもづきなのかというのはあると思いますが、個別の案件は当然その経緯もあるでしょうから、そこについてこうあるべきだということを決めつけるべきではないと思いますが、少なくともこのGFANZの議論であったり、実はGFANZのこのマネージドフェーズアウトのペーパーが出たのは去年の6月でして、我々も入ってずっと議論してレポートが出たんですけど、それを踏まえて、GFANZからもう少し個別に、どういうふうに――マネージドフェーズアウトのコンセプトは6月に出したんですけども、それをどういうふうに加速すべきか、どういうふうに開示をすれば、より、我々も含めてみんなファイナンスをしやすくなるか。その分、まさにファイナンスドエミッションは上がっちゃいますので、上がっちゃう問題をどうしたらいいんだろうかというのを、去年の8月、9月ぐらいからずっと議論してきて、それをロッキーマウンテンインスティテュート、RMIというところにレポート作成を依頼して、実は1月の20日ぐらいにレポートが出ています。
 
 まさにそこで、このマネージドフェーズアウトに必要な資金というものをどういうふうに提供して、そのお金、ひもづいた場合にこういうふうにファイナンスドエミッションを計算して、こういうふうに開示したらいいじゃないかという、たたき台ではありますけども考え方を提示したりしております。
 
 その時は、まさに別立てに開示をする形で、これはマネージドフェーズアウトですよ、それに伴うファイナンスドエミッションですよというふうに、別にちゃんと見える化するべきだと。隠すのはよくないので見える化すべきだという考え方をRMIは、我々も議論に参加した上で提示をしているんですけども、その場合というのはやはり、別にちゃんとユースオブプロシード、資金使途を明確にしないと、ぐちゃっとした中で、こういう数字がありますよというとなかなか見えづらいでしょうから、まさにGFANZは基本的な考え方を整理して、RMIのほうでもうちょっと具体的なKPI開示の仕方についてレポートを出して、それを今度アジア版をつくろうというところでありますので、一義的なお答えという意味でいうと、そういった見える化をするためには、ちゃんと資金使途を明確にファイナンスをする必要があると思うんですが、それがコーポレートの場合、じゃあどうしたらいいんですかとか、まさに本当の実務の課題というのはまだまだ残っているというふうには認識をしております。
 
【根本座長】  よろしいですか。ありがとうございました。
 
 それでは黒﨑様、お願いいたします。
 
【黒﨑メンバー】  ありがとうございます。石川様に2点と、あと岡崎様に1点、ちょっと手短に頑張りたいと思います。
 
 1点目は、資料の12ページ目に、トランジションファイナンスの指針策定の目的・位置づけというところで、1ポツ目、顧客とのエンゲージメントから矢印でトランジションファイナンスの提供と、エンゲージメント、イコール、トランジションファイナンスになっている気がしてしまいまして、そこは、例えばグリーンのオプションというのもある中でのトランジションということなのかなというふうには思っているんですが、その背景としましては、やはりなかなかトランジションファイナンスというのがグローバルではあまり発行額が伸びてきていない。一方で、トランジションボンドとかそういったものではなくて、サステナビリティ・リンクト・ローンとかサステナビリティ・リンクト・ボンドというのがかなり主流であるというのがグローバルのトレンドではあると思うんですけれども、そういったものをアジアでも活用しつつ、もう一つのやり方としてトランジションボンドとかローンの話も今出てきていたと思うんですけども、その認識であっているのかということと、アジアではサステナビリティ・リンク・ローンなどの活用でもいいんじゃないのかなというふうに思ったことが1点、御意見伺えたらと思っております。
 
 2点目が、資料の13ページにも記載があり、その地域において導入可能な最先端のトランジションに資する技術、それからアジトラ、私も使わせていただきます、アジトラの資料の中で22ページ、23ページにも同様の記載で、地域の技術リストというのをつくるというふうにあったと思うんですけれども、この点に関しまして、やはりこういったトランジションの技術というのは世界的にも共通のものがあるというふうに私は認識しておりまして、その中でもアジアが、当然ながら今後経済成長もし、エネルギー需要も増す中で、そういったグローバルで最先端の技術をアジアに入れる必要があるのかなというふうに思っていたんですけれども、ここであえて技術リストをアジアにつくるということで、逆に困惑してしまうのではないかなというふうに思っております。
 
 特にトランジションが必要なセクターというのは、脱炭素が難しいと言われているハード・トゥ・アベートのセクターかと認識しておりますけれども、ここでアンモニア混焼も含まれる可能性があるというような言及がある中で、電力セクターはかなり技術としても安価になってきている。アジアではまたその価格差はグローバルと比べてあるとは思うんですけれども、そういったものを積極的に導入しないで、逆にアジアのものをつくっていく理由は何なのかというのが2点目です。
 
 3点目として、第一生命の岡崎様に投資家として伺いたいんですけれども、このようにトランジションファイナンスのガイドラインとか技術リストというのが乱立してくると、投資家のお立場としての御意見を伺えたらと思っております。
 
 以上です。
 
【根本座長】  それでは石川様、お願いいたします。
 
【石川様】  時間があまりないので、どれぐらい詳しく御説明すべきかなかなか悩ましいんですけども、まず、2つ御質問いただいた1つ目から言いますと、この日本語で書いている12ページの、確かにエンゲージメント、トランジションファイナンス、これはとってもはしょって書いちゃっていますので、実際のもちろん指針にはいろんなオプションを書いた上で、もちろんグリーンファイナンスで解決できるものはそれを否定すべきじゃないと。
 
 ただ、ある意味グリーンファイナンスって、放っておいてもとは言いませんけど、お金は集まるわけです。やっぱりお金が集まらない、より難しいのは何ですかというと高排出セクターへのファイナンスですので、まさにそれが大事だし、そこにどういうふうにお金をつけるべきか、そのためにどういう環境を整備したらいいかということで、そっちがより課題として大きいんだというような立てつけにしています。決して何かグリーンファイナンスを否定しているわけではなくて、それはもう重要であることは所与の上で、あえてこっちも、それもより――よりというと、同じように重要だと言ったらいいんでしょうか、そんな立てつけにしております。
 
 ただ、その前提として、やっぱりお客様とのエンゲージメント、しっかりと、私はいつもNo transition finance without credible transition planと言っているんですけれど、やっぱりトランジションプランがあって初めてトランジションファイナンスがあるべきであって、何か単純にストラクチャー上、サステナビリティ・リンクト・ローンとかボンドのお話もいただきましたけども、何かKPIとリンクさせて、これだからSLPだよね、みたいに言うのではなくて、そもそもの、20年30年の、言うは易しなんですけどトランジションプランがあって、そのためにKPIがあって、そのKPIとリンクさせたらサステナビリティ・リンクト・ローンなりボンドがあって初めて意味があるわけでしょうから、そういう意味でまさにエンゲージメント、お客様のトランジションプランそのものをしっかりと理解するということがあってトランジションファイナンスです、ということを言いたかったのですが、すみません、ちょっとはしょってしまいましたというのが1つ目のところでございます。
 
 2つ目のところは、これは実はもう一番悩ましいところで、アジアの技術リストをつくってしまうと、おっしゃるとおり、いやいやそれはグリーンウォッシュだ、トランジションウォッシュだと言われるリスクはあります。
 
 ただ今度は、例えばEUタクソノミー、あるいはアメリカのIRAみたいなものでもいいんですけども、欧米ではこういう枠組みでやっているよねと。だからアジアもこれじゃなきゃいけないんだと言ってしまうと、まさにその技術を導入できない、あるいはその技術が経済的にまだ十分にペイできないので、導入できない国、地域、企業のトランジションはやらなくていいということになっちゃいますので、どういうふうに全ての企業、地域を少しでも前進させるかいう問題意識で、まさにこの技術リストをつくって、まずはできるところからやりましょうという考え方でつくっておりますというのが1点です。
 
 と同時に、これは実はJETPなんかでもまさに今そんな議論がいろんなところで行われていると理解していますけども――Just Energy Transition Partnershipですね、再エネがあるところであればもちろん、あるいは再エネだけではなくてグリッドも含めて、配送電力のグリッドですね、それがないところでいきなり再エネ再エネと言っても、そもそもグリッドそのものも含めてしっかりとつくっていかなきゃいけない。それにはやっぱり時間がかかりますので、単純に石炭をとにかくやめましょう、再エネやりましょう、だけでは、なかなかすぐにエネルギートランジションというのは難しいと。そのためにはちゃんとしたロードマップ、時間をかけてこういうふうにやっていこうねという全体像をつくっていかなきゃいけませんので、そのためにお金を出せるような、まずは技術というものをしっかりとリストアップしていって、もちろんロックインはすべきではないんですけども、そういったことを含めてやっていかないと、いきなりもう再エネしか答えがありませんと言ってしまうと、逆に言うと、ほかのまさにジャストトランジションというのができなくなってしまうということなのかなというふうに思います。
 
 また、御案内のとおりですけど、欧州はタクソノミーがあったり、それぞれの国でこれが技術としてサステナブルなんだというふうに決めているというか、あるものですから、それをそのまままたアジアに持ってきたり、それぞれいろんな国へ持ってきてしまうと、その実情になじまないですので、それぞれの国において、それぞれの地域において、まさにネットゼロの計画に資する技術というのはこういうことがあるよねと。この地域、この国ではこういうものがトランジションに資するんだということをしっかりと打ち出して、それを国も含めてちゃんとサイエンスベースドで示していくということが重要であって、何かとにかく、分かりませんけど、ある地域ではこの技術なんだから、これじゃなきゃいけないんだみたいに言ってしまうと、逆に現実的なトランジションを促すことが難しくなってしまうというような問題意識があって、こういった枠組み、こういったつくり込みにしているというところでございます。
 
 以上です。
 
【根本座長】  ありがとうございます。
 
 岡崎様、お願いいたします。
 
【岡崎様】  投資家の立場としてということで申し上げますと、先ほど石川さんのほうからありましたとおり、グローバルスタンダードセッターがいないというところは、こういったガイドラインですとか技術リストが幾つかできてくるということの理由になっているのかもしれないですけど、我々投資家として一番重要なのは、企業のトランジション計画の実現可能性、それがどうかというところが一番重要かと思っておりますので、今、石川さんがおっしゃったとおり、例えば地域によってはこういうものが適するとか、そういったものがあるのであれば、それも含めた上で実現可能性を判断するということが必要かなというふうに思っています。
 
 さらに一般論として申し上げると、こういったメジャーメントの仕方であったり、基準というものはいずれコンバージェンスしていくというか、収れんしていくということになると思いますけど、今は過渡期という認識ですので、それぞれ、今の段階では地域の実情に合った何かしらの基準があるというところも含みながら、我々としてしっかり検証していくということが重要かな、というふうに考えております。
 
 以上です。
 
【根本座長】  ありがとうございました。
 
 では佐藤様、お願いします。
 
【佐藤メンバー】  私からはまず質問を、基本的には岡崎さん、場合によっては石川さんからもお聞きしたいのですが、温室効果ガス、すなわちファイナンスドエミッションの計測を、企業、投資先に対する計測を行う際に、PCAFですとかなり柔軟な、具体的には6段階ぐらい正確性の幅を設けてやっているわけですけども、他方で、一流企業ですとかなり質の高い実測値だったり、第三者検証みたいなデータも出してくるところがあるかと思うんですけど、現状、特に投資家から見て、その辺のデータの信頼性をどのようにお考えなのか。
 
 すなわち、かなり厳しく見ていたり、必要ならばコストをかけて管理しているものかどうなのか、あるいは企業にとってのスコープ3までどのように含めるかというのを、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
 
 併せて、サイエンスベースドターゲットのような(国際的で信頼できる)規格を取得している企業については、簡素化してもいいのではないかというプラクティスもあると思うんですけど、その辺もお願いします。
 
 もう1つ最後にコメントというか、石川さんからお話があったとおり、アジアのトランジションって本当に難しい課題だと思っております。
 
 その点で、「ジャストトランジション」の意図は、移行に対してもっと柔軟性をということだと思うんですが、実はそもそもパリ協定なんかも、「共通だが差異ある責任」という形で、言わば途上国と先進国は同じでないという点が出発点としてあると思うので、この点、黒﨑さんがご心配されているグローバルな課題をどのように説明していくかとも関係するかと思います。ウォッシュだと思われないためにも、しっかりと途上国の立場の違いを言っていくというのは大事だと私も思っております。
 
 以上です。
 
【根本座長】  ありがとうございました。
 
 岡崎さん、お願いいたします。
 
【岡崎様】  データの正確性に関しましては、これは極めて大きな課題だというふうに認識しております。
 
 我々も実際にデータベンダーから情報を得たりしていますけれども、データのリバイスがあったりすると大きく排出量が変わったりというのもありますし、当然今、GFANZとかでもそういったデータのプラットフォームをつくったり、いろんな取組みがなされておりますけども、それに関して我々もしっかり協力をして、なるべく皆さんが共通で使える、信頼性の高いプラットフォームをつくるというのが重要かなと思っております。
 
 御指摘があったとおり、スコープ3のところは非常にこれも大きな課題でして、アセットオーナーアライアンスでのスコープ1、2は当然ターゲットとして定めて、スコープ3に関してもできるだけそのターゲットに入れるということになっているんですけど、ただ、これも企業様から信頼できる数字が出てこないと、数字を出したはいいけど、またそれが大きく変わるということになると、我々も当然、ターゲットの設定であったり実績のところに関わってきますので、これに関しては、いろんな今、取組みがなされていますけども、進捗を見ながら、できるだけそういった取組みに尽力をしていきたいというふうに考えております。
 
 どこまでこのデータの整備であったり、データの取組みのところを効率化するかというところは、ここも大きな課題というふうには認識しておりますので、すみません、今お答えに対する明確な解はないんですけれども、今後、ここの問題というのはより大きくなってくると思いますので、国際的な動きも含めて、しっかりウオッチしてフォローしていきたいというふうに考えております。
 
 すみません、アジアのトランジションの問題に関しては、石川さんのほうからお答えいただいたほうがいいかもしれないですけど。
 
【石川様】  では石川から簡単にコメントさせていただくと、まず、最初のデータの正確性、まさにおっしゃるとおりで、これはもう全ての、毎回この議論になりますので、もうあまり「これは問題だよね」と言っても「もう分かっているよ」という議論になっちゃいますので、まさにGFANZなんかにおいても、データをいかに正確に、しかもアベイラブルな形、オープンソースな形で提供するのかという問題意識で議論をしておりますが、我々これ、まさにNZBAの指針にも書いたところなんですけども、アキュラシー、正確性と、コンパラビリティ、比較可能性ですね、これも重要なんだけども、それをあまりに気にし過ぎると、今度は我々自身の進捗を示すのに、必ずしもファイナンスドエミッション、特にスコープ3だけでは十分に説明ができないかもしれないという、そんな問題意識はずっとメンバー間でも議論していたものですから、何かほかの、これはマネージドフェーズアウトについてはまさにRMIが提案しているんですけども、もう少し何か補完的なKPI、指標というものがないと、なかなかそのファイナンスドエミッションの進捗だけでは、まさに上がったり下がったりするかもしれませんので、我々の進捗、プログレスというものを説明できないのかもしれないなと、そんな問題意識はNZBAでも何度も議論してきたところであります。
 
 もう1つのアジアのところについては、まさにdifferentiated responsibilities、パリ協定なんかでもそういったコンセプトは書いている中で、さはさりながら、どっちが正しいと言うつもりはないんですけど、まさにアジアにおけるこういった技術はトランジションに資するよねというようなことをしっかりと示しつつ、他方で我々、個社の話、これは実は欧米の金融機関でもアジアでそれなりに大きなフットプリントがある金融機関はみんな同じ問題意識なんですけども、我々、じゃあインドについては2050じゃなくて2060ですとか、タイは2065年なのでタイだけは2065年ですと、それぞれの国で目標を変えるわけにいきませんので、もちろん子会社レベルでは変えるということはあるかもしれませんけど、グループでいうと2050年ネットゼロということをコミットしている以上は、もちろん国々でいろんなまさに差異はありつつも、個社として我々の2050年ということを考えると、やっぱり2050年に何とかしなきゃいけないと。
 
 そのためにどういうふうにしなきゃいけないかということでいうと、まさに、より積極的にトランジションというものを促していきたいと。そのためにはこういう技術というものがあれば、まさにお客様とのエンゲージメントというものをしやすくなりますよと。我々がお客様と何か言わなくても、お客様のほうがよっぽど御存じでいらっしゃいますので、我々はそれをより積極的に支援ができるということは、やはりエネルギートランジションを加速するという意味では大変重要なのかなと思っております。
 
 石川は以上です。
 
【根本座長】  ありがとうございました。
 
 では、あとお二人いらっしゃるんですけど、吉田様、お願いいたします。
 
【吉田メンバー】  ありがとうございます。本日は大変貴重なお話をいただきましてありがとうございます。DBJの吉田です。
 
 ちょっと質問というか、こういう理解の仕方でいいかということなんですが、手短にと思いますけど、私も今実務をちょっとやっている中で、ジャストトランジションとかマネージドフェーズアウトの考え方がここまで国際的に認知されたのは、もう本当に皆様のおかげでございまして、本当にありがとうございます。
 
 これは本当に大事な話かなと思っているんですけど、今ここでお話があったのは、各金融機関がトランジションの枠組みとか考え方を示しましょうと。これはラベル付きのトランジションファイナンスの議論をしているんじゃなくて、トランジションに対して、各銀行とか個別の会社がどういう姿勢で取り組むのかというのを方針として示しているということかなというふうに理解したんですけど、それ自体とトランジションファイナンスのラベルの話というのはまたある意味別物ではあって、トランジションのラベルつきのファイナンスの話は、その方針の下でそれを実現する手段の一つとして各行が使えますよという位置づけという、そういう階層の考え方でいいのかどうかというのと、あと、エンゲージメントというお話があったと思うんですけど、エンゲージメントというのは本当に極めて大事な話かなと思っているんですけど、エンゲージメントも、結局各行で違うことをやっているとトランジションの進み方にばらつきがあるという論点があって、これも弊社なんかはもう多排出企業がポートフォリオの大半を占めているので、そのエンゲージメントの重要性を極めて強く認識しているところなんですけど、これはあまり各銀行同士で協調し始めると独禁法の問題があったりとかするし、一方で全く何もないと、緩いところにファイナンスが集まって結局マネージドフェーズアウトがうまくいかないという論点があると。
 
 なので、一定の仕組みづくりが必要というところで、その仕組みをどの程度の粒度で入れるかというのは本当にちょっと難問かなというふうに理解しております。
 
 それが一つ、開示の世界でもあると思いますし、エンゲージメントについての何らか大まかな共通指針みたいなものを設けるべきなのかとか、しかも世の中、NZBAに入っている金融機関だけでは必ずしもないので、それを各国の中でどの程度推奨みたいな形でやっていくのかとか、その辺りの、前回の話でやりましたけれど、囚人のジレンマの悪いほうに行かず、いいほうに行くような仕組みづくりというのが最終的には大事になるのかなというふうに理解しました。
 
 すみません、ちょっとコメント的なものですけど、今お話しした観点で、理解の相違とか認識違いとかがあれば、その点だけお話しいただければと思います。ありがとうございます。
 
【根本座長】  ありがとうございます。
 
 では石川様、ちょっと短めにお願いいたします。
 
【石川様】  分かりました。一言だけ。まさに今おっしゃっていただいたとおり、これ、実はNZBAでも随分議論はして、これはトランジションファイナンスの指針をつくるんだけど、ラベリングのためだっけという話は最初にしました。
 
 これは違うという結論にしています。もう少し、まさにメインストリーム化することが大事であって、これはトランジションファイナンスで、これは違うよねということを線引きをすることではないと。みんなで促すことが大事だと。
 
 ただ、いわゆるアセットマネージャーさんなんかは、例えばこれ、イギリスのFCAなんかは、sustainability improverというアセットクラスをつくろうと彼らは主張されていますけど、それがある意味トランジションファイナンスに近いと思いますけども、考え方として、アセットクラスをつくるためのラベリングの議論と、我々のNZBAの議論よりももうちょっと大きな捉え方として、まさにトランジションを促す、それはグリーンなものもあれば、今はいわゆる高排出セクターの方々もいらっしゃるかもしれないですけど、それを5年、10年、20年かけてよりクリーンにしていくという、その全体を、まさにリアルエコノミー全体のトランジションをどう促すかという議論というのは、まさにおっしゃるとおり、なかなかあっちへ行ったりこっちへ行ったり議論がしてしまいますので、ラベリングの議論というのはどちらかというとアセットクラス、それを特に外に販売するためというふうに整理したほうが、何でもかんでもグリーンウォッシュという議論になってしまうのは、あまり建設的ではないのかなというふうに思います。
 
 後者の、今日の話はまさに、私のチェアをしているのがファイナンシング・アンド・エンゲージメントという作業部会なので、どんなふうにお客様とエンゲージしたらいいんだろうと。特に、先ほどどなたかからコメントがありましたけど、いわゆるブルーチップカンパニーであれば、我々なんかよりよっぽど皆様のほうが御存じでいらっしゃいますけども、じゃあ中小企業も含めてエンゲージメント、あるいはトランジションを促すってどう考えたらいいんだろうというのは、実はまさに議論をしているところでありまして、まさにみんながそれぞればらばらに、我々はこれがトランジションと考えます、ほかの金融機関さんは別のことです、と言ってしまうと、まさにお客様のほうが混乱してしまいますので、まさにその辺がセクターのロードマップであったり、それぞれの金融機関がこういうものはトランジションファイナンスと考えますよというものもしっかりと外に出していくことで、お客様においてもしっかりと我々のスタンスなんかを確認できる。やっぱり見える化をするということは全てにおいて大事なのかなと思っております。
 
 以上であります。
 
【根本座長】  どうもありがとうございました。
 
 では吉高様、お願いいたします。
 
【吉高メンバー】  どうもありがとうございます。岡崎様、石川様、ありがとうございます。私自身、今の発表の情報だけ、多少自分でやっているところもあるので、非常に限られた情報の中でコメントを差し上げる、また質問することをお許しいただきたいとは思うんですけれども、例えば岡崎様のほうでは、炭素除去の技術に関しての解釈について御説明がありました。
 
 一方で石川様のほうでは、カーボンクレジットの活用についても触れておられましたが、結局技術リストにある対象技術に関してなど、もちろん金融としての役割が違うので変わってくるとは思いつつも、その解釈や算定の仕方の違いなんかで非常に混乱が起こるんじゃないかなというふうに思ったものですから、これらのハーモナイゼーションをGFANZがやるということなのかというのをちょっと確認したく、またするのであれば、どのようにするのかという御確認をそれぞれさせていただきたいと思っております。
 
 なお、カーボンクレジットに関しまして、先ほど藤井様からご指摘がありましたが、今のところ経産省で民間JCMという制度をしようとしていまして、ただ、そこは民間からファイナンスだけすればクレジットをとれるという仕組みではなく、やっぱりファイナンスはファイナンスで、パリ協定で目標がございますので、そこはそこで別に整理して考えたほうがいいのかなと思っています。これが1点目です。
 
 2点目は、今の吉田様の御質問にも関わるんですけど、エンゲージメントに対してなんですけど、今回、両氏共「政府または個別の会社」というふうにおっしゃっていたと思うんですけども、多排出企業に関しましては世界的に、連盟とか協会とかがあり、お互い競争している中で、個社だけではとても完結しないところを金融機関はどう対応するのか、業界ごと、セクターごと、全体でのエンゲージメントというのはどういうふうに考えているのか。それはGFANZがやるのかとか、そこら辺、もし教えていただければと思っております。
 
 最後に算定の部分なんですけども、PCAFはPCAFでやっているということですし、今、日本の金融機関はCO2見える化のソフトの提供者とともに、算定をやり出していまして、こういったものを先にどんどんやってしまったときに、こちらで決まったものと国際的に決まったものと整合性が取れるのかというのを気にしていまして、もしかしてこれは金融庁様のほうに対する御質問になるかもしれないんですけども、この辺の方向性について、ぜひ御確認させていただきたいと思います。
 
 この3点、よろしくお願いいたします。
 
【根本座長】  どうもありがとうございました。
 
 事務局の方、時間ではありますけど、お話を続けてよろしいですか。
 
【西田サステナブルファイナンス室長】  お願いいたします。お時間にはなっておりますので、御用のある方は御退席いただきまして、残りの時間で可能な方は御参加いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
【根本座長】  では石川様、お願いします。
 
【石川様】  ありがとうございます。今おっしゃっていただいた、ちょっと順番逆から申し上げますと、まさにPCAFなんかも、もともと彼らの表現を借りると「体重計」としてつくったものが、単純に今のスコープ3のは幾らだよねということをエスティメイトとしてつくるための計算手法を編み出したわけなんですけど、それがどちらかというとまさに我々が目標設定をするために使うようになってしまってと言うとあれですけども、なる中でいうと、PCAFそのものの枠組みが、これはPCAFの事務局の方もおっしゃっていますけども、ちょっと、もともとの想定と大分違ってきてしまったというのは、彼ら自身も問題意識として持っていらっしゃるところだというふうに理解をしております。
 
 その中でいうと、まさにファシリテートエミッションもそうですけど、あるいは保険なんかもそうなのかもしれません、私は保険というのはあまり詳しくはないですけども、ずっと議論をしている中でいうと、どこまでが単純な体重計なのか、それとももう少し、彼らはスティアという言い方をしていますけど、ネットゼロをスティアするためのツールなのかというあたりが、まだPCAFなんかも含めて、しっかりとこれで行こうというふうに議論が固まっていないのかなというふうに、これは私の勝手な印象なんですけども思っております。
 
 その意味でまさに、どんどん実務が走ってしまって、PCAFのほうで物事を変えると実はそれが実務になじまなくなってしまうという可能性もある中で、かなりPCAFも丁寧に議論をされているというのは、その辺の影響も勘案してということなのではないかなというふうに理解をしております。まさに整合性をどう取っていくのか、どんどんルールを変えていくことです、というあたりは、これはやっぱり民間の取組みなので、政府というんですかね、官であれば、パブリックセクターであれば、コンサルテーションをやってこういうふうにやりますよと強制力を持てますけども、なかなか民間のイニシアチブだと強制力を持てないので、その辺が、これは冒頭申し上げましたけども、クリアリングハウスがない、ここが決めたらそれでいいんだよねという判断ができるところがないので、なかなか混乱が生じているというのは、まさに御指摘のとおりだと思います。
 
 エンゲージメントのところは、こちらも我々も、例えばNZBAでも、あるいはこれはGFANZでもよくやっていますけども、ファーストムーバーコオリッションとか、それぞれのセクターの方に来ていただいて、例えば鉄がこういうことを議論していますよとか、オイル・アンド・ガスはこういうことをやっていますよということを聞きながら、セクターの議論なんかをしております。
 
 問題は――問題というんでしょうか、課題というのは、やはりそこが必ずしもグローバルな、本当の意味のグローバルな声を代表しているかというとそうじゃないかもしれないと。つまり、最も最先端の、しかももしかしたらそれは欧であったり米かもしれない、そこの声だけを聞いて、これがグローバルな今状況なんだ、じゃあそれがトランジションだよねというふうに言ってしまうと、今度は例えばアジアとかほかの地域でできなくなってしまうかもしれません。その辺の、まさにインクルーシブですというあたりが難しいところでありますけども、まさに最先端の企業さんがどういう取組みをしていらっしゃるかというのは、少なくとも我々も個社としてはもちろん、ずっとモニターしていますし、GFANZなんかでもそういった議論を常々フォローしているというところでございます。
 
 最初のカーボンクレジットのところは、ここはもう、これも最初申し上げた乱立というんでしょうか、いろんな取組みが動いている中でいうと、まさにインテグリティカウンシルなんかもあって、そこで議論していることと個別の案件、あるいはGFANZとかNZBAの議論というのが、GFANZだけで確定できないものですから、やっぱり確認をしながら、かつ時間軸もみんなばらばらなので、かなりいろんなところと調整をしながら、何とか一つの枠組みをつくろうとしていますけども、どうしてもいろんな思惑もあるので、なかなかきっちりとこのカーボンクレジットが出来つつ、エネルギートランジションができて、トランジションファイナンスができてというのはしっかりとできていないというのは、まさにつなげる役割というのがなかなかまだ確立されていなくて、何とかそれをGFANZであり、我々NZBAであったりNZAOAなんかがその機能を何とか果たそうとしているということなのかなと思いますが、まさにこの辺は、まさに官民で協調できるところなのではないかなというのは常々思っているところであります。
 
 石川は以上です。
 
【根本座長】  どうもありがとうございました。
 
 岡崎様、何か付け加えられることはありますか。
 
【岡崎様】  最後の点ですけど、一つだけ申し上げると、やっぱり各アライアンスとGFANZのところの連携とか、ハーモナイゼーションというのがちょっとまだ不十分じゃないかという御指摘は、それは私もそのとおりだと思っているんです。
 
 当然、事務局同士でレポートを出したりとか何とかというような交換はしていますけど、それが実際にどこまで一致させるかどうかという、そういう観点の動きはまだ不足している部分はあるかもしれないですけど、ただ、それぞれのアライアンス、GFANZにしてもその課題認識はありますので、今後、先ほど申し上げたようにコンバージェンスというか、ある程度平仄が取れた形での活動というか、そういった動きは見えてくるんじゃないかなというふうに思っております。
 
 すみません、簡単ですけど以上です。
 
【根本座長】  ありがとうございます。
 
 事務局の方、何か付け加えられることはありますか。
 
【西田サステナブルファイナンス室長】  先ほど石川さんからもお話がありましたように、PCAFも含めて、目線が特別に決まっているというものではなくて、試行錯誤が続いているということだと思いますので、まさにこの検討会で次回以降も含めて議論をいただけるよう準備していきたいと思います。
 
 御質問、お手が挙がっている方は以上かなというふうに思いますけども、根本先生から何かございましたらお願いいたします。
 
【根本座長】  いえ、時間も過ぎておりますので、また別な機会をいたします。
 
 どうも、では本日、大変有意義なプレゼンテーションをありがとうございました。また委員の皆様、大変活発な御議論をありがとうございました。
 
 次回は2月28日、ハイブリッドでの開催となります。全国銀行協会様から顧客との対話のための支援ガイドなどについて、また、IHI様からトランジションボンドについて、それぞれ御説明をいただく予定です。
 
 本日も大変貴重な御指摘、御意見をありがとうございました。
 
 では、以上をもちまして本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――

 
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総合政策課サステナブルファイナンス推進室

03-3506-6000(代表)(内線 2918、2893、2770)

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