「脱炭素等に向けた金融機関等の取組みに関する検討会」(第7回)議事録

1. 日時: 令和5年5月24日(水曜日)10時00分~12時00分

【根本座長】  それではただいまより、脱炭素等に向けた金融機関等の取組に関する検討会、第7回の会合を開催いたします。
 
 早稲田大学の根本でございます。皆様御多忙のところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 
 本日は、前回の続きとして、報告書について議論をいただきます。皆様から既にいろいろとコメント等いただいて反映させていただいたと思うんですけれども、そのコメントを踏まえて事務局で修文をした結果、それから、その他のポイントについて御説明をお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
 
【西田サステナブルファイナンス推進室長】  まず事務局説明資料のパワーポイントを先に御覧いただければと思います。報告書の議論に関わることでこの1か月、2か月程度でアップデートがありましたので、御紹介をさせていただければと思います。
 
 1つ目は、G7の財務大臣会合がございました。また広島サミットの中でも、資料上は反映出来ていませんが、トランジション・ファイナンスの実施についてその有効性を確認するという記載があります。
 
 より具体的に書かれていますのが、G7財務大臣・中央銀行総裁会議ファイナンストラックのほうのコミュニケです。G20サステナブル・ファイナンス・ロードマップをさらに進めていくということ、1.5度の気温上昇目標を射程に入れ続けることと整合的で、カーボン・ロックインを回避し、効果的な排出削減に基づいているトランジション・ファイナンスは、経済全体の脱炭素化を推進する上で重要な役割を果たしている。我々は――我々はというのはG7の財務大臣・中央銀行総裁として、信頼性のある道筋に支えられた移行計画を通じたものを含む、科学に基づく、移行関連の情報の入手可能性と信頼性、公的・民間セクターが強化することを奨励するということです。
 
 それから、移行の進捗の先を見据えた方法で評価することを可能にすること、実体経済の排出削減に伴うファイナンスド・エミッションの軌跡を説明することということで、秩序あるネットゼロへの移行と整合的な投資を促進する助けとなるものであるということです。トランジションというものを先に見据えた方法で、今だけではなくて将来に向けてしっかり削減していくこと、その道筋をしっかり出していくことが重要といった点は、本会議の議論とも重なり整合的と勝手ながら思っております。
 
 3ページは、4月26日に金融担当大臣による経済財政諮問会議での提出資料です。国際金融センターのアジア展開に係る資料の中でGXについても掲げています。データについて、CO2排出量を含む企業データを幅広く集約していくこと、GX案件を手がけることができる金融実務家の養成、ASEANでのGX投資の推進のための官民の参加者が参画するコンソーシアム、金融機関と連携したサプライチェーンCO2排出量の見える化支援、こうした点の重要性を記載しております。
 
 これは報告書の内容を先取りしたということではなくて、議論をいただいている内容を事務方としても参考にしながら、関係省庁と連携しまして、この4月下旬のタイミングで国際金融センターをアジアに展開していく手段、政策としてどういうものが考えられるのかということについて発表の機会を頂戴しましたので、その機会に、資料提出させていただいたものです。
 
 縦紙の報告書に戻っていただきまして、多くの点についてコメントいただきまして、ありがとうございました。何度か個別にも御相談させていただいたり、メールでもやり取りさせていただいたりしまして、できる限り反映させていただいたつもりではありますが、修正点かなり多くなってしまいますので、直っていないとか、これちょっと趣旨が違う等があったら、ぜひ御指摘をいただければなと思います。※以下資料に沿って説明。
 
【根本座長】  ありがとうございました。それでは、ディスカッションに移りたいと思います。御意見が十分に反映されてなかったということがあれば、それから、追加的に御意見等があれば言っていただければと思います。おありの方は、名札を立てていただくか、オンラインの方はWebexの挙手機能を使っていただければと思います。では、よろしくお願いいたします。
 
 佐藤様、どうぞ。
 
【佐藤メンバー】  佐藤でございます。追加的な細かいコメントをさせていただいてよろしいでしょうか。全体としては大変分かりやすく、趣旨も明確で、読んだ方に大体趣旨が伝わるので、その点、事務局の作業が大変すばらしいと思っています。その上でちょっと細かい点で追加点、気づいた点があります。
 
 1点目は、1ページ目の第2段落の欧州の話ですが、液化天然ガスの設備を急ピッチで進める動きという話があるんですけれども、若干生々しいかなと思います。EUのいわゆるREPowerEUという政策のスタンスとしましては、「ロシアの化石燃料からの脱却を目的としたエネルギーの多様化と、再生可能エネルギーの導入の加速化」ということだと思うので、そう書いてあげたほうがバランスがいいかと思います。
 
【西田サステナブルファイナンス推進室長】  やや個別性が高いということですかね。
 
【佐藤メンバー】  そうですね。個別的過ぎるというかですね。本論では全くないんですけれども、そこはその程度でいいだろうというのが一つです。
 
 2点目は、確認というか、10ページの4.(1)の、金額もそうですけれども、「2019年に年間1兆円前後だったものが5兆円前後まで増加」というのは、これは世界のサステナブル関連のラベルが付された資金調達ということでしょうか、事実の確認までと思いました。
 
【西田サステナブルファイナンス推進室長】  これは日本のカウントです。
 
【佐藤メンバー】  日本なんですか。
 
【西田サステナブルファイナンス推進室長】  すみません、この点はどこかに明示させていただきたいと思います。
 
【佐藤メンバー】  なるほど。大きいなというのと、あと、「いわゆるサステナブル関連のラベル」という表現が少し曖昧ではないかという点と、その次の文章には、「トランジションボンドまたはトランジションローンの調達」についても書いてあるので、データの話なので、もう少し明確に、あるいは出所があったほうがクリアかと思ったところです。
 
 3点目は、前回もコメントさせていただいたスコープ3の表現の話です。おおむね分かりやすくなっていますが、それでもなお思ったのは、20ページのガイド2のGHG排出量データの整備の中身の第2段落を見ますと、「融資先企業のスコープ3を把握することも重要」とあります。ここでの企業のスコープ3というのは本来の意味でのスコープ3ですので、まさにサプライチェーンだったり、物の廃棄とか出張とかの排出量を全部含めているということになります。ここのスコープ3が明らかにGHGプロトコルの定める企業活動としてのスコープ3であると思います。ですけども、報告書のほかのところを見ますと、例えば同じページでも、一番上の3行目のスコープ3というのは、これは(スコープ3の一部にすぎない金融機関の)ファイナンスド・エミッションだと思います。
 
 つまり、金融機関のスコープ3というのは、一般的に今、私たちがスコープ3といったときに大体ファイナンスド・エミッションを意味する場合が多いのは十分理解しておるんですが、やはり今後、エネルギー業界とか企業活動における本来の意味のスコープ3が広がっていく上で、書いたものとしてはなるべくクリアに分けたほうがいいでしょうと思っております。したがって、本報告書においては、金融機関の(ファイナンスド・エミッションの)場合はスコープ3となるべく書かなくて済むかなと思っています。具体的に言うと、例えば7ページの上の第1段落の「金融機関等にとってのいわゆるスコープ3排出量は」という点、その他もずっと、「ファイナンスド・エミッション(スコープ3)」とか書いてあるんですが、この辺はファイナンスド・エミッションとか、8ページの下から3行目も「投融資ポートフォリオの排出量(スコープ3)」と書いてあるんですけれども、スコープ3という言葉を使わないほうが、ほとんど文脈では分かりますので、逆に企業さんから見るスコープ3と混線してしまうというのを避けるのがいいかなと改めて思いました。
 
 最後に、これは若干御参考なんですけれども、事務局から最後に御説明がありました、金融機関のポートフォリオの排出削減量の議論の紹介があったと思います。これは全く御参考までなんですけれども、おととしぐらいまでISO関係の国内委員会、他省庁の委員会で環境ファイナンス規格化検討委員会というものがありまして、そこでISO14097というのがありまして、金融機関のポートフォリオの削減量の評価についてのディシプリンや規格を定めています。例えばそういうものも一応あるので、こうしたものを使うのも一つとは思いました。ただ、今回の議論の範疇を超えて不要であるという考えもあると思うので、ここは別に私はこだわりませんが、一応ISO14097があったり、同じように、脚注35の例のタクソノミーもISOだと14030があります。これはグリーンファイナンスと表示した場合における手順を定めているものということです。そういうものもあるので、そういう別の体系のルールも、御参考までにですがご紹介ということでございます。
 
 以上です。
 
【根本座長】  どうもありがとうございました。これに関しては何かございますか。
 
【西田サステナブルファイナンス推進室長】  はい、反映できると思います。
 
【根本座長】  ありがとうございます。では、村上様、お願いします。
 
【村上メンバー】  ありがとうございます。こちらの1枚の概要のほうから先に申し上げると、2つ目のガイドのところの3つある一番上の金融機関の移行計画のとらえ方というところなんですけれども、今回の提言(ガイド)というのは、金融機関に移行計画をつくってくださいねというのが中核だと思うんですが、そのときに、取引先企業の移行計画をつくるのを支援するのがエンゲージメントの重要な部分であるということで、そこの移行計画が2層構造になっているというのが全体の特徴で、スコープ3の話もそことくっついた議論かなと思います。
 
 なので、ここは移行計画の捉え方なのか、移行を捉えるのかというのでいうと、この見出しは、「計画」なしで「移行のとらえ方」、文章も、移行を捉えることが大事というのでいいのかなと思いました。3ポツ目に「移行計画の策定」というのがあるので、これは金融機関としての移行計画をポートフォリオの特性を理解してつくっていってくださいねという意味かなというので、「計画」を1つ削除してもよろしいのではないかと感じました。
 
 今のところが本文では16ページかなと思ったんですけれども、16ページの下から3行目ぐらいですかね、合理的・適切に目標設定を行っていくことという、ここでもう一押し、誰の目標設定なのかというのを明確にされてもいいのかなと、入れ子式のところが分からなくならないようにという意味で感じました。
 
 あと、それに付随してもう1点だけ追加で申し上げると、11ページの企業の移行に向けた課題、これは取引先の移行を支援するときの課題という意味だと理解して読みますと、「まず、移行計画の策定にあたって」という最初の段落、ここがかなり設備投資、技術に寄っているかなと思っています。必ずしも全ての多排出産業に属する企業が自ら技術をどうにかしなきゃいけないということではなくて、その企業としてどう今後ビジネスを、その技術を深めていくのか、あるいは業態転換をするのかとか、M&Aをするのか、事業再編するのか、いろいろなオプションがあるんだろうと思いますので、ここの第1段落のところがやや技術寄り過ぎるのかなというのが気になりました。ここは、すみません、具体的にここの文言というコメントではないんですけれども、入れ子をすっきりさせるという趣旨で検討の余地があるのかなと感じました。
 
 以上です。ありがとうございました。
 
【根本座長】  御指摘をどうもありがとうございました。こちらも検討いただくということでよろしいでしょうかね。
 
【西田サステナブルファイナンス推進室長】  いずれもかしこまりました。今ご意見いただいて感じましたのは、佐藤さんの話ともつながりますが、誰から見た何の移行計画なのか、という点が分かりづらくて、2層構造にどうしてもなっているのが、金融機関側・企業側いずれの話をしているのか、文章も精査しますし、図としても例えばパワーポイントのこの今1枚ですけが、少し絵を入れさせていただいて、この左側の部分の話なのか、右側の部分の話なのか分かりやすくさせていただくということはあるのかなと感じました。
 
【根本座長】  よろしいですか。では、官澤様、お願いいたします。
 
【官澤メンバー】  千葉銀行の官澤でございます。まず、事務局におかれましては御苦労が多かったと思いますが、いろいろな意見をこの短期間にこういった形でまとめていただきまして、本当に感謝しているところでございます。その上で、地方銀行を代表してといいますか、参加委員として幾つかコメントをさせていただきたいと思います。
 
 第3回の検討会のときに私のほうから、政府において御検討いただきたい事項を御説明させていただきました。先ほど御丁寧に御説明いただいたとおり、その中の多くの事項をここに盛り込んでいただけたと感じておりまして、非常に感謝しているところでございます。
 
 とりわけ、報告書の26ページぐらいから始まっている、地域における脱炭素等の取組みの加速化に向けてというところが我々の中心になるかなと思っています。31ページの真ん中の少し下ぐらいのところ、「政府・自治体においては、縦割り・横割りに捉われず一体となって取り組むことが重要であると考えられる」と記載されていますが、この点について、実態としてというか肌感覚として、地方銀行が自治体と連携しようとしても、自治体によって取組みに温度差があるというのが現状でございます。政府におかれましても、自治体の脱炭素化を底上げするような取組みを改めて御検討いただきたいと考えております。
 
 もう1点は、報告書のその前のページ、30ページの下のほうなんですけれども、「金融機関は様々なサービスを取り揃えているが、必ずしも意義やメニューは浸透していない」と記載されておりまして、記載のとおりだなと思っております。中堅・中小企業に浸透させていくため、我々地域金融機関が引き続き積極的に取組みを進めてまいりますが、一方で政府、自治体、金融機関の連携というのは不可欠でございますので、政府におかれましても積極的な政府広報をお願いしたいと存じます。それから、コスト面を含めた負担軽減など、今後とも脱炭素化に向けた中小企業の取組みを促進するような方策についても引き続き御検討いただければと思います。
 
 感想めいた話で恐縮ですが、基本的にはいろいろと反映していただきまして、非常に感謝しております。以上でございます。
 
【根本座長】  ありがとうございます。非常に重要な点だと思うんですけれども、今の御発言は今後の取り組み方の具体的な、さらに強化する上での御意見と、そういう理解でよろしいですか。
 
【官澤メンバー】  結構でございます。ありがとうございます。
 
【根本座長】  分かりました。ありがとうございます。
 
 では、天田様、お願いいたします。
 
【天田メンバー】  三菱UFJ銀行の天田でございます。事務局の皆様におかれましては、報告書を大変分かりやすく取りまとめていただき、ありがとうございます。
 
 全体を通して報告書を再度読ませていただいた上で、2点ございます。
 
 1点目ですが、ページ2、PDFの5ページ目でございます。このページの下から2段落目の文章の3行目のところで「アジア地域をリードしていくことが求められている」という表現、記載があると思います。実際、政府の関係者、各事業会社の皆様はアジアの脱炭素をリードする様々なご活動をされていますし、当社自身もアジアを代表する金融機関として、様々な国際イニシアティブへの参画やファイナンスの実施等を行ってきましたし、そういった期待もあるかと思います。
 
 一方、3ページ目で、海外当局やイニシアティブにも発信するという記載がありますが、そういったものを想定した場合、この表現では、どこの誰から求められているのか、という点が少し不明確かと感じました。加えて、表現によっては若干、上から目線にも見えるのではないか、という印象を持ちました。というのも、各地域や国によってもそれぞれ脱炭素化の考え方や手法は違うと思いますし、必ずしも日本の考えが全て当てはまるものではないと考えています。これはニュアンスの問題だと思いますので、最終的にはお任せしたいと思っていますが、例えば、アジア地域の脱炭素化に貢献することも可能である、などの表現のほうが、適切ではないかと考えています。この点についてお考えがあれば教えていただきたいというのが1点目です。
 
 もう一点、こちらはコメントになります。新聞等の報道でご存じの方もいらっしゃると思いますが、現在、当行を含む3つの金融機関が気候変動に関わる株主提案を頂戴しているという状況です。これを受けて我々自身も6月末の株主総会に向け、個別面談やセミナーを通じて、株主・投資家の皆様に足元の取組みや今後の取組みも含めて、丁寧に説明をしているという状況でございます。その中で、本報告書で議論された、5番目の金融機関の果たすべき役割や、6番で示されている論点、こういったテーマの幾つかについては、やはり考え方について説明が求められるようなこともございます。その意味では、この検討会を通じてまとめていただいた、こういった論点は非常に重要であると理解していますし、さらにこのテーマについてより実践的な議論を深めていくことも必要であろうとの認識をもっています。
 
 私から以上でございます。
 
【根本座長】  どうも御意見と御質問ありがとうございました。1点目についてはいかがですか。
 
【西田サステナブルファイナンス推進室長】  理解が及ばなければすいません、発信は発信したほうがいいんだけれども、発信の主体がをきちんと記載したほうがいい、またその発信の内容についても、グローバルなイニシアティブにただ発信するというだけでなく、場合によっては地域の実情に合わないようなものを発信していまうということにならないように、個別性を十分理解したような推進を発信していくべきだということ、そういう理解をしたのですけれども、大丈夫でしょうか。
 
【天田メンバー】  どこまでリードが求められているのか、ということかと思いますが、おっしゃられたように、地域ごとに特性があると思いますので、一方的にリードをするということはないと思い、コメントした次第です。一方、言わんとしていることはよく分かっていますので、表現の問題かと思いました。ありがとうございます。
 
【根本座長】  「リード」という言葉がちょっと強いのかなという感じは受けまして、少し、おっしゃった貢献とか、イニシアティブを取るとか何かに変えられたほうがいいのかなと。おっしゃったように、アジアの国はいろいろな考えもありますし、すごく中国との関係を意識されている国も多いのかなと思うので、そういったことも配慮していただいたらいいのかなと思います。ありがとうございます。
 
 黒﨑様、お願いします。
 
【黒﨑メンバー】  ありがとうございます。こちらの報告書、非常によくまとめられているなと思っております。この報告書の文言というよりも、過去の発言を全て反映していただけているような、すばらしい報告書だなと思っております。
 
 私のほうからは、実は報告書ではなくて、この一ペラの提言のほう、検討会報告書というほうで3点ほど、お願いが2点とコメントが1点でございます。
 
 まず1点目ですけれども、下の金融機関等の脱炭素を促す環境整備に向けた政府等への提言の(2)トランジションファイナンスの推進というところで、経済産業省による分野別技術ロードマップの拡充というのがあるんですけれども、こちら、報告書の本文では23ページだと思うんですが、②のパスウェイにかかる論点の3段落目の最後のほうにいろいろな具体的な例が書かれております。申し上げたいことは、このロードマップの拡充は何を拡充するのかというのを1つか2つ入れていただけるといいのかなと個人的には思っております。
 
 理由といたしましては、この報告書を通じてカーボンバジェットという言葉が何度も出てきておりますし、適合性とか拡充性みたいな言葉の中で、1.5度を目指すとか、科学的根拠に基づいたという文言が非常にいろいろなところに散りばめられておりましてすばらしいんですけれども、この一ペラの中になくて、もし反映をするとしたら、この技術ロードマップの中に、例えばここに書いてありますような、年度の排出量(Y軸)を試算するとか、具体的な何か数値の拡充とかそういったところを入れていただけるといいのかなと思いました。
 
 2点目といたしましては、同じ政府等への提言の中にあったらいいなと思いましたのが、同じ23ページの一番最後の段落から始まっておりますところで、カーボンバジェットの観点からも、政府のほうでマクロのカーボンバジェットを把握していく、管理していくというような文言が入っております。こちらの提言は、こちらの検討会の中でたくさん議論しましたパスウェイとか実体経済の移行とかそういったことが非常に大事な点だと個人的には思っておりまして、そこをどこかで反映いただけると非常にいいのかなと思っております。
 
 それから、3点目はコメントなんですけれども、同じく(2)のトランジションファイナンスの推進の中のアジアの脱炭素の取組みのポツの1のところで、情報と課題を共有する場の設置ということで、非常に重要な点だと思っております。先ほどの天田さんの点でリードかイニシアティブかというのはあったんですけれども、この検討会のような形で、当然ながら大きい金融機関のパスウェイもそうですし、それから、この検討会では、地方の金融機関の課題ということで、これはアジアでも非常に共通する課題かなと思っておりますので、ぜひこういう場の設置とか、それのイニシアティブを取っていく、リードかイニシアティブはお任せするんですけれども、設置に向かってぜひ前向きに検討していただいて、イニシアティブを取っていただけたらなと思います。
 
 以上です。
 
【根本座長】  どうもありがとうございます。すみません、最後の点は、さらに発展してくださいということなのか、そこをもうちょっとここに詳しく入れるべきということですか。
 
【黒﨑メンバー】  入れなくてもいいと思うんですけれども、ぜひ何かの形で実現してほしいという意見でございます。
 
【根本座長】  分かりました。ありがとうございます。これは必ずしも1枚にする必要はないんでしょうかね。多分、これをまず読むみたいな方が多いと思うので、そういう意味でさっきコメントもあった、もうちょっと分かりやすくとか、少し工夫をしていただいたらいいのかなとは思います。
 
 あとは、パスウェイと言われても分からない方も多いと思うので、少し素人にも分かるような形でしていただいたらいいのかなと思います。ありがとうございました。
 
 では、長谷川様、お願いいたします。
 
【長谷川メンバー】  御指名ありがとうございます。まず、様々な意見を申し上げ、取り入れていただきありがとうございます。根本座長と事務局の皆様に感謝申し上げます。大変よい報告書をまとめていただいていると思いますので、今後、中身についてしっかりPRしていただければと思います。これに関連しましては、先ほど根本座長からもあったように、一枚もののサマリーの分かりやすさが非常に重要かと思っております。その観点から1枚ものの資料をレビューしていただければと思います。
 
 その上で、報告書本文について、若干細かい点ですけれども、コメントと質問をさせていただければと思います。
 
 まず、12ページで1点ございます。1行空いた後の2つ目のパラグラフで「多排出資産等の移行を実現する金融(トランジション・ファイナンス)」との記載があります。トランジション・ファイナンスについては、2ページの脚注8にも定義らしきものが書かれていて、「トランジション・ファイナンスは脱炭素に向けた移行のための資金を提供するファイナンスのことをいう」とあります。両者で表現が違っているので、統一させたほうがよろしいのかと思った次第です。12ページは以上でございます。
 
 続いて、15ページについてです。1点目は、これも細かい点ですけれども、15ページの下から3行目のavoided emissionに関する「また」から始まるパラグラフの2行目です。会社、コマーシャル・エンティティだけではなくて、消費者の場合もあり得ると思うので、「他社」の「社」は、「者」のほうが適切ではないかと思いました。
 
 15ページの2点目ですが、「現在は」で始まるパラグラフの3行目で「P37のコラム」とあります。37ページというページ数は存在しないので、誤植かと思われます。他の部分についても幾つかそのような点が散見されたので、後で御連絡させていただきたいと思います。
 
 16ページでは3点ございます。1点目は、avoided emissionの部分についての質問です。16ページの「②金融機関の移行の捉え方にかかる検討」の「他方」で始まるパラグラフの最後に「金融機関から見た炭素強度の改善を促すインセンティブになり得る」との記載がありますが、すみません、いまひとつ私はどのようなロジックか分からなかったので、教えていただければと思います。
 
 2点目は、脚注37が若干分かりにくいかと思っています。前段はともかく、削減貢献量が増えることと総排出量が増えることの両方が望ましくないように原文は読めます。例えば、「排出削減を実現する技術・サービス・製品等の提供により経済活動量が増えた場合、削減貢献量が増えるものの自らの排出量は増加し得る」などの表現がよいかと思います。削減貢献量が増えること、削減貢献することはよいことで、他方、自らの排出量が増えてしまうことは悪いことだという対比を持たせたほうが分かりやすいのではないかと感じた次第です。
 
 3点目は、国際的なガイドラインとして、脚注39でWBCSDやEPAが引用されていますが、同様の内容が記載されているものとして、経産省が2018年にまとめたガイドラインもあると思っております。このガイドラインを記載していただきたいと思います。その上で、「内容に沿って」という本文中の表現は若干強い感じもするので、「内容を踏まえて」程度の表現のほうがよいかと思った次第です。
 
 最後になりますが、報告書のサマリーの一枚紙について2点ございます。先ほど黒﨑委員からも御指摘があった部分ですが、「経済産業省による分野別技術ロードマップの拡充」と書いてあります。「拡充」というと、今あるセクターをさらに増やしていくイメージがあります。それで実態に即していればよいですが、報告書本文を読むと必ずしもそういうことではないかと感じましたので、例えば、「経済産業省による分野別技術ロードマップの認知度の向上・充実」といった表現のほうがよいかと思いました。
 
 加えて、(4)で「啓蒙活動」と書いてありますが、「啓発活動」としていただいたほうが望ましいかなと思った次第です。
 
 細かい点ばかりで恐縮ですけれども、以上でございます。
 
【髙村総合政策調整官】  削減貢献をする事業に投融資しますと、必ずそれは削減貢献量ではなくて総排出量のほうが増える傾向にはあると思うんですけれども。計算上ですね。ただ、削減貢献というものがあるのであれば、全体的には炭素強度を下げることというのはあり得ると思っていまして、炭素強度という指標はそういうインセンティブづけがなされていると思います。他方で、ファイナンスド・エミッションだけ見ていますと、どうしても削減貢献に対する投融資というのをしていくインセンティブというのはないんじゃないかということを背景にこの記述をさせていただいております。
 
【長谷川メンバー】  すみません。そうなると、炭素強度というのは経済全体の炭素強度という意味ですか。
 
【髙村総合政策調整官】  その事業を前提に書いていますけれども、削減貢献、幾つか形があると思って、「なり得る」と書いているのは、まさに当該事業で削減貢献が発生する場合にはなり得るという趣旨でして、ここでは経済全体ということで書いているわけではないです。
 
【長谷川メンバー】  分かりました。後でまた御質問させていただくかもしれませんが、取りあえず結構です。ありがとうございます。
 
【髙村総合政策調整官】  ありがとうございます。おっしゃっていただいたとおり、ちょっと分かりにくいかもしれないなと思ったので、ここは記載ぶりを考えたいと思います。すいません。ありがとうございました。
 
【根本座長】  そうですね。ちょっと記載ぶりを考えていただければと思います。よろしいでしょうか。
 
 それでは、吉田様、お願いいたします。
 
【吉田メンバー】  ありがとうございます。非常に複雑な状況をこのような形でレポートにまとめていただいて、ありがとうございます。非常に事柄がまとまっているんじゃないかなと思っています。
 
 その上で、1点だけというか。こちらは検討会の報告書のほうなんですが、先ほどお話があったとおり、多分こっちを皆さん御覧になられると思うので、多くの方はまずこっちを見て、分からないところはこの報告書を見るということだと思うんですけれども。
 
 この検討会のそもそもの背景というところで、6ページ目の上のほうに書いてあるとおりなんですが、単なるダイベストメントではなくて、まさに金融機関が責任を持ってマネージド・フェーズアウトみたいな考えの下でエンゲージメントしていくということが、実効的な排出量削減というかネットゼロに向かう道筋だという下で、例えば、多排出産業に融資することによって一時的に増えてしまいますよとか、これは計測の仕方がいろいろあるので、ぱきっと増えますよとか言えないと思うんですけれども、そういう課題認識がある中で、金融機関に対する期待というんですかね、責任というか、そういうものが高まっているということをもってこの概要のところにうまく反映していただくと、より読んでもらう背景が分かるのかなというふうに思いましたので、ここで一番上にエンゲージメントが重要となっているというところを、もうちょっと遡ったところの背景というところを明確に書いていただくといいのではないかなと思いました。これはコメントになります。
 
 あとは、先ほど村上さんからもあったと思うんですけれども、金融機関の意向の捉え方というのは非常に重要なメッセージだと思うんですが、金融機関だけ移行計画をつくっても、その先がないと駄目なので、企業さんにどういうふうにそういうものを促していくのかというところ、ダブルミーニングがここに入っているというところを本当はうまく表現していただくと、金融機関側としてはより移行計画の実効性が担保しやすくなるのかなというふうに思ったのと。
 
 あと、下の政府への提言ところですね。書き方がすごく難しいと思うんですけれども、経産省さんのところは、確かに拡充というところだけだと判然としないところがあるので、どういう観点で今取り組まれているのかというところで、もし書けそうな内容があれば書いていただくとよりいいんじゃないかなというふうに思いました。
 
 私からは以上です。ありがとうございました。
 
【根本座長】  どうも御意見ありがとうございました。そういったことは……。
 
【西田サステナブルファイナンス推進室長】  はい、かしこまりました。
 
【根本座長】  取り入れて、分かりやすいサマリーを作って説明していただいたらいいと思います。
 
 藤井様、お願いいたします。
 
【藤井メンバー】  お願い的なコメントと、もう一点は今後についてのコメントです。お願い的なコメントは、先ほど佐藤さんからコメントがありました、金融機関のスコープ3ないしファイナンスド・エミッションという表現は、注意深く使い分けていただきたいという点です。
 
 と申しますのは、7ページに記載がありますが、投融資先に係るスコープ3の15番目の排出量であるファイナンスド・エミッションについて銀行が計画を立てないといけないというのが喫緊の課題であるのは事実ですけれども、15番だけやっていればいいということではないわけでありまして、7ページにも記載があります業態別の議論の中では、例えば保険の引受けの排出量は保険会社にとっては重要なスコープ3になりますし、投融資ではありませんけれども、株式の引受けやM&Aアドバイザリーは銀行にとっても重要なポイントになってくると思います。一方で、投融資ポートフォリオ、ないしファイナンスド・エミッションに係る記述については、「ファイナンスド・エミッション」としていただいていいと思うので、例えば脚注で、以下投融資に係るスコープ3はファイナンスド・エミッションと記載するとかいうような形で丁寧に書き分けていただいたほうがいいと思いますので、そこはお願いのコメントであります。
 
 もう一点は、今後のことということですけれども、企業さんの側からすると、取引金融機関1社1社とエンゲージメントを行うのは大変なので、協働エンゲージメントが有効だというのは13ページに記載をいただいていて、私も検討会で意見いたしました。同時に、独禁法の記載、規制についての緩和といったことの議論を行うべきという検討会での議論も記載いただいているわけですけれども、例えば、アメリカの一部の州からエネルギー関連の企業に融資を妨害する銀行のリストアップがされているケースですとか、あるいは、同じアメリカのそこそこの数の州から反トラスト法上の指摘がされているといったようなケースが出てきています。協働エンゲージメントも気をつけないと、独禁法上の問題だけではなくて優越的地位の濫用と言われるケースも出てくるかもしれません。私も答えを持っているわけではないですが、これは極めてデリケートな点である一方、極力効率的なやり方で、双方にとってウィン・ウィンになるようにしていかないといけない重要なポイントだと思います。今後、運営・運用のところで、官民あるいは取引先さんも含めて連携して図っていかないといけないことだと思いますので、これは今後についてのコメントとして申し上げたいと思います。
 
 以上です。私も細かいコメントをいろいろ申し上げたのを、丁寧にくみ上げていただきましてありがとうございました。
 
【根本座長】用語の整理というか、明確さということですね。それから、今後の取組み方ということで承りました。よろしいですか。
 
 吉高様、お願いいたします。
 
【吉高メンバー】  どうもありがとうございます。本当にほぼ全てこれまでの意見が網羅されているという気がしておりまして、大変ありがとうございます。特に13ページにある、国際的にも移行の実効性について的確な理解を得られるという文章は非常に重要なポイントだと思っており、全体にとてもよくまとまっていて、感謝申し上げます。皆さんもう既にいろいろと御意見いただいているので、私のほうからはちょっと気づいたことをコメント差し上げたいと思います。
 
 まずは、アジアに関する記述について、先ほど「リード」という言葉についても指摘がありましたけれども、いきなり「特にアジアと」いうふうに2ページ目に出てくるんですが、唐突感がございます。本来は、COP15決定で先進国は官民合わせて20年までに年間1000億ドルの資金を支援しなくてはいけないという背景がございます。ですので、先進国としての役目ということでは、何年までにいくらつみ出していかなくてはいけないというのがあるので、その背景を書いた上で「特にアジア」と言ったほうがいいのかなと思っています。アジアだけではなくて、ほかの地域も関係していく必要があろうかと思いますので、そのような追記をお願いしたいと思っております。
 
 それから24ページですがここの組立て方ですけれども、1番目のパラグラフはいいんですが、3番目のパラグラフにあるGFANZなどの世界的な金融機関のイニシアチブにアジアが入っていないということが問題点かなと思っていまして、そこで、2番目のパラグラフにある、日経金融機関がイニシアチブを起こしているという流れのほうがスムーズで、もしかしてここは入れ変えてもいいのかなと思いました。
 
 さらに、次のページなんですけれども、2番目のパラグラフに、急にカーボンクレジットが出てきます。カーボンクレジットは別に国際的なものだけでなく国内もあります。例えば、国際的に考えると、基本的にはまず、JCM、2国間クレジット制度の活用というのが説明される必要があろうかと思いますし、カーボンクレジットとここでいきなり出てくるのでしたら、少し説明が必要なのかと思いました。
 
 もちろん、これをパリ協定6条何項に基づくカーボンクレジットとかというふうに書かれるならいいんですけれども、これだけですと多分、読んだ方はほとんど分からないのではと思っておりまして、もう少しこのカーボンクレジットの記載については、どこにどのように記載するかも含めて、もう少し御検討いただければなと思いました。
 
 もちろん、議論を深めていくということでは、今後パリ協定6条で決まっていくこともありますし、ボランタリーもありますし、特にJCMのカーボンクレジットは、金融機関としては国際的には認証されるものとして金銭的価値、資産価値がございますので、そういったきちっと整理があったほうが、もし書かれるのではいいのかと思いました。
 
 それから、先ほどのスコープ3の記載についての御意見、私ももっともだと思いました。全体的に主語と誰に対してというのが非常に分かりにくい。「顧客企業が」というのがいきなり出てくる文章もございまして、例えば、10ページに、「顧客企業がTCFDに賛同しようとする」と出てくるんですけれども、ほかのポツには、顧客企業はどういう定義にされるのかというのがちょっと分からなくて、誰が誰にというところはある程度明確にされることが、読むほうにとっても分かりやすいのではないかとは思っております。
 
 あと、私自身北海道から沖縄などいろいろな地域に行ってまいりまして、かなり地方によって実態が変わってきていることを目の当たりしてきますと、地方を一くくりにしていいのかというところに課題認識があります。その中でも一番重要と思っておりますのは、例えば、27ページに、中小企業のアンケートで、設備導入に対する補助金についていろいろと課題があると出ているような記載があるんですけれども、金融機関がこのような補助金に関してよく理解できていない地域がございます。
 
 金融機関側も設備補助とか政府の支援というのを理解して、いかに自分たちの融資などのリスクが減らせるかという、そういった評価やアドバイスがまだできてないところがございます。地域に関する記載に関して、金融機関がそういうことを学べるような人材育成なのか教育の必要性についても触れていただければと思っています。
 
 融資される側だけが一生懸命補助金の獲得をし、金融機関は「リスク下げてください」と言うだけでなく、効果的に使える補助金をどう金融機関が評価するかというところも重要かと思っています。
 
 最後に、ちょっと細かいところですけれども、27ページですが、真ん中に「代替となる水素・アンモニア・バイオマス」とあるんですが、残念ながら、地方でアンモニアということを代替燃料として思っていらっしゃる方は少ない。どちらかというと、例えば、北海道のある自治体で町のエネルギーの半分ぐらい畜産業からのバイオガスでやっていこうとしていますし、ロケットをバイオガス燃料で飛ばそうという企業を支援する自治体の事例もあり、そこに金融機関も関わっています。
 
 地域目線を持った事例をもう少し入れていただきますと大変ありがたいと思います。
 
 以上でございます。
 
【根本座長】  大変貴重な御指摘をありがとうございます。
 
【吉高メンバー】  すいません。それと、あと、この概要はすごく重要で、皆さんおっしゃったように、このガイドが1、2、3、4、5と合ってなかったりとかしますので、ぜひ概要は詳しく作っていただければと思います。
 
【根本座長】  ありがとうございます。少し背景を説明するとか、ちょっと唐突に出てきた言葉があるんじゃないかとか、補助金も金融機関もちゃんと勉強していくべきであるというご指摘だったかと思います。そのほかにコメントございますか。
 
【西田サステナブルファイナンス推進室長】  ありがとうございました。主客のところは、皆様からありましたので、文章も概要ももう一回確認したいと思います。
 
 バイオマス等の事例も畏まりました。
 
 カーボンクレジットのところは、確かにこのガイド4のところで少し浮いているようにと思うので、よろしければ、少しパラグラフ等を設けて、前提となる記述、あと前提知識を記述し、全体としてやや分量が増えると思いますが、場所自体はここでよろしければ、そういう形でドラフトさせていただければと思います。
 
【根本座長】  よろしいですか。それでは、村上様、お願いいたします。
 
【村上メンバー】  ありがとうございます。細かいところで2つ御質問と、あと1点情報提供がございました。
 
 1つ目が、13ページの下から3行目の「例えば直接金融の中心に協働エンゲージメント」、先ほど御指摘があった箇所ですけれども、その前のページに、11ページの一番下に「連鎖的な対応の検討も望まれる」というのがあって、11ページのほうはどちらかというと、メガバンクと地域の小さな信金さんとかくらいにサイズの違う間接金融機関同士が働きかけることもあるんじゃないかというような趣旨だったと思うんですが、こちら13ページは、これはあえて直接金融を中心にされたんでしたっけという、ここは役割分担があったのかなというのを改めてお伺いしたいかったですというのが1つです。
 
 もう一つが、単語として、さっき気がついたのですが、「脱炭素化」というのが23ページの一番下に、政府の役割、求められることについて、「脱炭素化をコーディネート」というのがあるんです。ただ、全体として「脱炭素」だったはずだったかなと思いまして、24ページでも「アジア等の脱炭素」とありますし、「化」はなしというほうがよろしいかなというので、これは全体検索かなというふうに思いましたというのがもう一点です。
 
 最後、これは情報提供的なことなんですけれども、26ページのガイド5の末尾のところで、リスクマネーの供給の例えばというようなところで、NISAの話に言及されているんですけれども、多分最近だと思うんですが、フランスで未来気候貯金というのが始まったという、これは私、社内で少子化絡みでこんな情報がありましたというので同僚から紹介されて、ちょっとびっくりしたんですけれども、結構ジュニアNISAと似ていて、親が子どものために貯金をつくったら、それは何歳まで引き出せないんですが、固定的にリターンが決まっていて、その資金使途がトランジションだということなんです。
 
 なので、少子化と気候変動対策、少子化といいますか、次世代支援と気候変動対策がセットになったようなものというので、そんなのがあるよと非常に話題になったんですけれども。具体的にそれに言及してくださいということではないんですが、この報告書は脱炭素に向けた移行計画の話がメインですけれども、本当に掛け算でいろいろなところに、いろいろなふうに脱炭素に向けた商品が増えていくというのが大事なのかなと。関心の幅も広がりますし、重要な点かなと思いまして、御紹介させていただきました。
 
 以上です。
 
【根本座長】  ありがとうございます。記述に関しては、対応いただいてということでよろしいでしょうか。
 
【西田サステナブルファイナンス推進室長】  はい、了解いたしました。
 
【根本座長】  フランスの例というのは、例として入れていただく……。
 
【西田サステナブルファイナンス推進室長】  例を確認させていただいて、御相談させていただいきつつ事例を記載するか、少なくとも、GXと商品拡充というのがどういう関係性にあるのかをもうちょっと分かりやすく記述したらどうかという御趣旨かと思いましたので、その点は少なくとも記述するなど、検討・ご相談したいと思います。
 
 御質問をいただいていたと思うんですけれども。
 
【髙村総合政策調整官】  データ整理は全体で割とやっていけるんですけれども、どうしても間接金融のエンゲージメントというのは、いわゆるコンサルサービスが附帯することが多くて競合してしまうことと、あと、情報共有がなかなか難しいところがありまして、協働エンゲージメントはどちらかというと直接金融主体ということで、ただ、データ整備については恐らくそんなに競合しないだろうということで、銀行さん、いわゆる預取も含めてやっていければというふうに考えているというところです。
 
【村上メンバー】  なるほど。ありがとうございます。
 
【根本座長】  よろしいですか。ほかに御意見、御要望。どうぞ。
 
【吉田メンバー】  すいません。1点だけ。全然関係ない話かもしれませんけれども、事務局資料の中にあった、中央銀行総裁の声明の中の、これはエネルギー大臣会合でもあったんですが、「カーボン・ロックインを回避」という文言がよく出てきているんですけれども、このカーボン・ロックインって何か明確な定義はあるんでしたっけ。聞いていると、いろいろな解釈があるかなという感じなんですが、もし今の段階で御理解されているものがあれば。すいません。事務局資料の話をしてしまって。
 
【西田サステナブルファイナンス推進室長】  ここにある記述はサミットの文言でも維持されています。
 
 このコミュニケの部分について、解説文書とかリサーチペーパー等が出ているわけではないという理解ですので、公式に解説できる立場ではないです。当方の理解を申し上げますと、カーボン・ロックインについては、明確な定義はなくて、ただ、例えば、トランジションですと、炭素を減らす過程で使われていく様々な技術や設備について、こうしたものを利用すると脱炭素のための様々な投資等が逆に難しくなることが現時点で分かっているような技術については、行った先の道筋がないような状況にならないよう、ロックインを回避すべきだという議論と理解しています。ただ、様々な技術等があり、識者の方によって具体的な設備等をどう捉えるかという点もあろうかと思います。
 
【吉田メンバー】  ありがとうございます。
 
【根本座長】  ありがとうございました。ほかに御意見ございますか。
 
 私もよろしいですか。特にこの報告書においては、非常に包括的にまとめていただいて、皆様からも貴重な御意見をいただいて、ブラッシュアップされていると思うので、特に追加はございません。今後としてちょっと意見を言いたいこともあるんですけれども、この事務局資料の提出資料の3ページにポイントが挙げられています。報告書でもあるように、データ整備というのが大変キーとなると思います。中堅・中小企業も含め、見える化とか共有化とか効率化ということについてぜひ実現をしていただきたいと思いますし、省庁、業態の壁を越えて横断的にやっていただければと思います。
 
 あと、今日ちょっとコメントがあったアジアでの展開です。トランジションファイナンスの重要性というのを今回強調されていて、それをさらにアジアでも展開するという形だと思うんです。何名かの方が御指摘のように、ネットゼロのアライアンスにもまだアジアの金融機関は十分入っていないと思うんですけれども、そこは国の状況も違いますし、情報開示とか金融の監督姿勢も影響しているのかなと思っていまして、銀行制度がすごく重要なアジア市場なので、そういう監督庁のナレッジシェアとか、そういうこともぜひやっていただいたらいいと思いました。そして、アライアンスに参加する金融機関がさらに増えてくると非常によいのかなというふうに思いました。
 
 この資料の最後に「アジア開発銀行」という言葉がありまして、実は私もかつて所属しておりうれしいんですけれども。今後、グリーンボンドとかトランジションボンドとか、市場の発展には、いろいろな制度設計、機関投資家を育てるとか、データの整備も必要だと思います。アジア開銀などは、ローカルな債券市場の育成というのをずっとやっていますので、ぜひ協調してやっていただいたらいいのかなというふうに思いました。
 
 あと2点なんですけれども、人材というところが報告書にありまして、人材というのはすごく大きいと思うんです。何人かの委員の方も御指摘になっていて。企業に対する説明なりそういう意向をつくっていただくのも、まず、金融機関の方が本当によく理解している必要があるのかなと思います。
 
 研修とか出向とか中途採用というのももちろんいいことだと思うんですけれども、本当にそれで十分なのかなという気もしているんです。というのは、金融機関の現場の方に伺うと、研修が殺到していて、e-ラーニングの嵐とか言って、1つ1つを真剣にやっていく時間がないという話も聞きます。ですから、さっき吉高さんもおっしゃっていたような自らいろいろな案件を手がけるとか、本業と結びつける形でやっていくというのも必要かなと思いますし、幾つかの金融機関がやっている認証制度とかESG格付とか、そういったことも考え得るのかなと思います。
 
 あと、若い方を中心になってイニシアチブとかプロジェクトを立ち上げていただくとか、単に勉強するだけじゃなくて、もうちょっとボトムアップ的に皆さんが主体的に参加できるといいのかなというふうに思いました。
 
 あと、最後に、分かりやすい御説明というのが必要かなと思っていて、これは非常にいいガイドなんですけれども、それを実行するというのが今後だと思います。皆様からコメントいただいた、事務局資料ももう少しビジュアルにも分かりやすいような形にしていただければと思います。
 
 大学院の授業でESG投資も扱っていて、そして、課長、部長クラスの方に研修に参加いただくことがあるのですが、役所の文章が分かりにくいというご意見がありました。英語がまず多過ぎるとか、横文字単語が多いとか、それから、なぜそうなっているのかが分からないとか。あと、金融機関だと、ここにいらっしゃる方は専門家なんですが、新入社員の方、パートタイムの方、いろいろな方がいられるので、そういう人に説明しにくいという御意見をいただいています。そうした点も念頭に置いて作ったり発信をしていただければいいのかなと思いました。
 
 以上でございます。
 
【吉高メンバー】  じゃあ、ちょっと追加的に。
 
【根本座長】  どうぞ。
 
【吉高メンバー】  根本先生のコメント、ありがとうございます。私自身外務省で開発協力大綱の改正に関わったときに、中国の資金がアジアに流れるときに、アジア国側の金融当局のほうが対応スキルが低いということの課題もあって、開発大綱の中に途上国の金融当局のキャパビルを提言もさせていただきました。まさに、政府への要望の中に1つそういうこともぜひ入れていただければと思っております。
 
 あと、脱炭素先行地域の選定で、DX推進とGX推進が自治体で同時に進められているところが多くございまして、今後の地域を考える際には、金融機関と自治体との連携はとても重要だと思っています。
 
 最後に、若者についておっしゃっていただいたんですが、子ども基本法が先月施行され、その11条では、子供の健やかな成長のために児童――児童というのは20代のユースも入るんですけれども、彼らの、政府や自治体の施策に対する意見を述べる機会をつくるというのが法律の中で入っています。もちろん、子供の健やかな成長のために資するということでは、例えば、気候変動対応はまさに子供の将来にとって重要な施策ですので、今後はぜひ20代のユースの意見が取り入れられるような機会はぜひつくっていただきたいと思っています。
 
 今後の取組みということで御提言させていただきます。よろしくお願いいたします。
 
【根本座長】  御意見ありがとうございます。ほかにはよろしいですか。
 
 では、皆様、本当に活発な御意見、御議論ありがとうございました。大変貴重なコメントをいただきまして、比較的たくさんのコメントいただいたので、修正をさせていただいて、この報告書とこの説明資料というんですか、もう一度皆様にお送りをして、それで御確認いただくということでよろしいでしょうか。では、また御連絡をさせていただくと思います。その後、公表していくということになるかと思います。では、お願いします。
 
【西田サステナブルファイナンス推進室長】  改めて文書をお送りさせていただきまして、御確認をいただければと思います。
 
 本会議は、サステナブルファイナンス有識者会議に設置されているものですので、できれば6月に開催を予定しております有識者会議にもご報告をさせていただいて、日英で公表させていただければと思っております。
 
【根本座長】  よろしいですか。では、どうもありがとうございました。
 
 昨年10月の設立から8か月もたちますが、計7回、大変建設的な貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
 
 では、以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――
 
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