「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」(第4回)議事録

  • 1.日時:

    令和3年11月1日(月曜)13時00分~15時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館9階 905B会議室

「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」(第4回)
令和3年11月1日
  
【神田座長】

皆さん、おはようございます。若干早いですけれども、皆様方おそろいでございますので始めさせて頂きます。

ただいまからデジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会の第4回目の会合を開催させて頂きます。皆様方には、いつも大変お忙しいところを御参加頂きまして、誠にありがとうございます。

本日の会合も、前回に引き続きオンライン開催とさせて頂き、一般の傍聴はなしとさせて頂いた上で、メディア関係の皆様方には、金融庁内の別室において傍聴して頂くことにしております。

また、本日も送金や資金決済に関し、ステーブルコインなど、具体的な内容も取り上げますので、テーマに応じたオブザーバーとして以下の方々に御参加頂いております。全国銀行協会、日本資金決済業協会、信託協会、日本証券業協会、日本暗号資産取引業協会、日本STO協会、以上の方々でございます。また、金融サービスに求められるシステム水準などの議論を踏まえまして、本日から金融情報システムセンターにも御参加を頂いております。

それでは、議事に移らせて頂きます。本日ですけれども、まず、事務局からパーミッションレス型の分散型台帳等を用いた金融サービスに関する課題、それから、ステーブルコインをめぐる諸課題、中央銀行デジタル通貨、いわゆるCBDCなどと言っておりますけれども、などについて説明をして頂きます。それに続きまして、オブザーバーとして御出席をお願いしております日本銀行の奥野審議役から、中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取組について御説明をして頂きます。その上で、メンバーの皆様に討議をして頂くという流れで進めさせて頂きます。

なお、討議して頂くに際しては、お手元に資料3といたしまして、いつものようにといいますか、本日討議頂きたい事項を用意しておりますので、適宜参照頂ければありがたく存じます。

それでは、事務局からの説明をまずお願いします。端本さん、お願いいたします。

【端本信用制度参事官】

それでは、資料1に沿って御説明いたします。

まず、ステーブルコインに関する指摘等ということで、3ページでございます。

ステーブルコインにつきましては、実態等を踏まえて議論すべきだということでございました。IMF、2021年、この10月の報告書におきまして、暗号資産エコシステムがもたらす金融安定上の課題等について分析をなされております。ステーブルコインについては、各国に規制があることによる規制アービトラージ、それから、裏づけ資産の開示が不十分である、それから、取付けリスク、いわゆるランのリスクがあるということで指摘されております。下の図を見て頂きますと、真ん中です、ステーブルコインにおける取付けリスクということで、IRONというステーブルコイン、これはアルゴリズム型、マーケットの需給調整をすることで価格の安定を図ろうとした、いわゆるステーブルコインと称されたものでございますけれども、価格が急落した例があるということで、それに伴う課題というのを右側で整理しております。上から3つ目でございます。ステーブルコインは現時点ではシステミックであるとみなされるほどの規模ではないが、その裏づけ資産の投売り等によって金融安定性に影響を与える可能性がある。さらに、規模の大きいグローバルな暗号資産取引所が関与する場合は、クロスボーダーに広がる可能性もある。それから、取付けリスク、ランリスクは、CPの投売りを引き起こす可能性がある等の指摘がなされております。

4ページでございます。同報告書におきましては、暗号資産全般に関する指摘もなされております。新興市場国及び途上国におきまして、暗号資産取引が増加しているということの影響が分析されております。途上国、新興市場国における金融安定性への影響、それから国際的な金融制裁等の回避等の懸念が指摘されているということでございます。

続きまして、5ページでございます。ステーブルコインについてAML/CFTの観点からの議論ということでございます。前回、前々回の会議でも御紹介させて頂きましたが、上の丸の2行目の後半辺りからでございます。残余リスクの一つである仲介業者を通さないP2P取引に関する議論ということで、後ほど討議頂きたい事項でも御紹介させて頂くものの元資料でございます。

続きまして、6ページでございます。ステーブルコイン、システミックに重要なステーブルコインとなった場合のFMI、金融市場インフラのための原則との関係ということで、どうアプローチすべきかを明確化したガイダンスが出されております。下を見て頂きますと、原則2、ガバナンス、原則3、リスク管理体制、原則8、ファイナリティ、原則9、資金決済がございます。討議頂きたい事項では、原則8との関係で御紹介させて頂いております。

続きまして、7ページでございます。金融機関等におけるクラウド導入・運用に関する解説書(試行版)ということで、FISCが中心となりまして、上から2つ目でございます、金融機関等、クラウド事業者、ITベンダー、セキュリティーベンダー、幅広い関係者をメンバーとする有識者検討会を設けまして、パブリッククラウドを金融機関等が使う場合の留意点というものを試行版としてまとめております。本研究会での御議論でも、幅広いステークホルダーの議論が必要だということでございましたので、参考になろうかと思いまして御紹介させて頂きます。

続きまして、8ページ以降、ここからは、ステーブルコインの具体的な規律の話になります。

9ページは、前回見て頂いた資料でございます。現行制度におけるステーブルコインの扱いということで、2つ目の丸でございます。法定通貨と連動した価格で発行され、発行額と同額での償還を約するもの、発行・移転は為替取引に該当しているということで、銀行業免許・資金移動業登録を受けなければならない。上記以外のものにつきましては、その性格を個別判断して、有価証券、または暗号資産に該当し得るということで法適用がなされるということでございます。

続きまして、10ページでございます。発行者に対する利用者の償還請求権ということでございますけれども、現在の暗号資産の取引につきましては、私法上の権利義務関係が不明確であるという指摘がございます。これにつきましては、その下、2018年10月、仮想通貨交換業等に関する研究会の資料から抜粋させて頂いております。

こうした懸念に対応するものといたしまして、次の11ページでございます。一番右が参考、アメリカにおけるステーブルコインというのが一番右側にございますけれども、一番下の四角の欄にございます、権利関係ですけれども、トークンの私法上の位置づけが明確でないということで、仲介者の破綻時に顧客が発行者に対して償還請求が可能かどうか定かでないと、こうした課題がございます。

こうしたことを踏まえまして、我が国でステーブルコインを発行する場合として考えられるスキームというのを2つ御紹介させて頂いております。まず、一番左側、預金でございますけれども、いわゆる連名預金といたしまして、発行者が総額を管理すると、その持分を仲介者のほうが帳簿を管理することを前提として移転するということでございます。こうしたスキームでございますと、一番左側の一番下の権利関係ということでございますけれども、顧客は、預金債権に基づき銀行に償還請求が可能ということでございます。それから、その右側、信託受益権を使うスキームでございます。顧客から預かったお金を最後、一番上の右側です、要求払いの銀行預金管理すると、その信託受益権を移転するという形での構成も考えられるのではないかということでございます。この場合は、権利関係、真ん中の欄の一番下でございますけれども、顧客は、信託受益権に基づき信託会社に対して償還請求が可能ということになります。

続きまして、12ページでございます。仲介者に対する規律をどう考えるかということで、現行の暗号資産交換業者の規制概要を紹介させて頂いております。

まず、1番上でございます。対象行為でございますけれども、①のところにございます、暗号資産の売買、他の暗号資産との交換、②、①に掲げる行為の媒介、取次ぎ、代理、それから④、他人ために暗号資産の管理を行うこと、こうした行為が規定されているということでございます。それから、3つ、4つ下に行って頂きまして、下から3つ目です、問題がある暗号資産による利用者保護上のリスクへの対応といたしまして、利用者保護、または業の適正かつ確実な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる暗号資産の取扱いは禁止されているということでございます。

それからAML/CFTの観点からの要請に対する対応といたしまして、犯収法に基づく取引時確認等の義務が課されているということでございます。

続きまして13ページ、発行者と仲介者、両者を合わせた規律ということでございます。1ポツの1つ目の丸ですけれども、発行者と仲介者が分離する中で、両者を合わせた全体としての適正な金融サービス提供には、システム全体としての適切なガバナンスの確立が必要だということでございます。2ポツで、1つ目の丸、①、②、③と、一般に送金・決算に求める要請を記載させて頂いております。その上で、その下の2つの丸でございますけれども、発行者・仲介者に対して、FATF等の議論も踏まえつつ、システム仕様等を含めた体制整備において、上記の観点への対応を検討する必要があるのではないか。それから、その下でございますけれども、利用者保護の観点から、損失の補償等につきまして、あらかじめ責任分担に関する事項等を定めることが考えられるのではないかということでございます。

最後に15ページでございます。グローバル・ステーブルコイン等の金融市場への影響ということでございます。

デジタルマネーの発行・償還が大規模に行われますと、事業の形態によっては、金融市場等への影響を及ぼし得るということで、この4つモデルがございますけれども、一番右側のノンバンク、銀行以外が発行者を想定とした一番右側のモデルですと、発行者が預かった資産を運用するわけですけども、大規模な発行・償還が行われますと、マーケットへの影響があり得るということで、流動性規制等をしっかり考える必要があるということかと思います。

これに対して左側の2つでございます。現行の日本の法制下でのデジタルマネーの発行者ということです。まず、銀行モデルですと、そうした懸念に対しましては、銀行の財務規制等で対応するということかと思います。資金移動業者の場合につきましては、真ん中の上から2つ目にございます、供託された資金は、国庫、政府預金として日銀に対する預金で管理されます。この場合、大規模な発行・償還等が直接マーケットに影響を及ぼすということでは必ずしもないということかと思います。

続きまして、中央銀行デジタル通貨CBDCについて御説明させて頂きます。この点につきましては、後ほど奥野さんのほうから詳細な説明がございますので、簡単に概略だけ御説明させて頂きます。

まず、17ページでございます。CBDCをめぐる諸外国の動向ということで、左側、上から2つ目、欧州につきましては、今年7月に2年間の調査開始を決定しております。それからその下、G7、2つ目のポツですけれども、この10月にリテール型、一般利用型CBDCに関する公共政策上の原則が公表されております。右上でございます。中国につきましては、2020年10月以降、大規模なパイロット実験を実施しているということでございます。その右側、アメリカでございます。この9月に、パウエル議長のほうから間もなくディスカッションペーパーを公表する予定ということが発言されているということでございます。

続きまして、18ページでございます。我が国のスケジュールですけれども、骨太方針で、政府・日銀は、2022年度中までに行う概念実証の結果を踏まえて、制度設計の大枠を整理するということで、現在はこの概念実証、フェーズ1の段階で、来年4月からフェーズ2に移行するということでございます。

続きまして、19ページ、G7から出ておりますリテール型CBDCに関する公共政策上の原則ということで、原則1、通貨・金融システム安定との関係、原則2、法的・ガバナンスとの関係、原則3、データプライバシー、原則4、オペとサイバーセキュリティーの関係、それから原則5、競争、それから原則6、不正な金融、あるいは原則9、デジタル経済的イノベーション、あるいは原則12、クロスボーダー機能との関係等々について論点、原則が示されております。

この原則との関係に関する論点をもう少し詳しく記載させて頂いたものが20ページでございます。金融システムの安定、利用者保護を目的とした金融行政への観点からの論点ということでございます。

まず、原則1の関連でございますが、金融システムの安定といたしまして、銀行等の金融仲介機能への影響、それからデジタルバンクランのリスクに関する指摘等を踏まえ、具体的な制度設計を検討する必要があるのではないか。原則2、3、6との関係ですと、日本銀行と複数の仲介機関が関与する階層的なシステムの下で、利用者に対する責任分担、権利義務関係等々、あるいは、AML/CFTに関する役割分担、あるいは個人情報保護との関係の役割分担等々について整理が必要ではないかということでございます。原則5、9との関係ですと、民間デジタルマネーとCBDCが共存するという観点から、留意すべき点等があれば御議論頂きたいと考えております。原則12、クロスボーダー決済との関係につきましても、どのような点に留意すべきかという問題があろうかと思います。

21ページは、これは日本銀行さんのほうから出されている資料を掲載させて頂いております。預金からCBDCへの大規模なシフトが起こった場合には、金融機関の金融仲介機能への影響が生じるおそれがあるかと思います。マクロで見た場合の御議論、あるいは個別の金融機関で見た場合の御議論、双方があり得るかと思います。

それから22ページでございます。決済システムにおける権利関係の整理ということで、権利移転のタイミング、あるいは誤記載、誤記帳等が起きた場合の処理ということで、図の左側は、現行の民間銀行の預金債権の取扱い、それから右側につきましては、社振法における取扱い、こうしたものを整理させて頂いております。

資料1は以上でございます。

続きまして、資料3に沿って、本日討議頂きたい事項を簡単に御紹介させて頂きたいと思います。

まず、1ページ目は前回からの議論、2ページ目からですけれども、2ページ目、前回御議論を頂いたことをまとめさせて頂いております。金融分野におきまして、一番下のパラグラフのところですけれども、新しい技術の活用に適切に対応していくためには、規制当局と技術者コミュニティーを含む関係者間で対話を行い、求められる機能・水準の共有等に取り組んでいくことが必要と考えられるということで、前回は、求められる機能・水準を示すことが重要という御議論を頂きましたけれども、論点1でございます、その他上記に書いてあることに加えまして、対話を実効的なものとするために留意すべき点があれば御指摘頂きたいと思います。

それから(2)、送金分野、ステーブルコインに当てはめた場合にどうかということでございます。論点2のところでございます。AML/CFTの観点からの要請が特に強く求められるステーブルコインにつきまして、例えばということでございますけれども、システム仕様等で本人確認されてない利用者への移転を防止する、本人確認されていない利用者に移転した残高について凍結処理を行うといった事項を求めることを検討することについてどう考えるか。それから(2)でございます。その実効性を確保する方策といたしまして、2.で後述いたします発行者、仲介者に対する業規制、体制整備義務等として、そのようなシステムの採用及び疎明を求める。それから、適用の在り方につきましては、FATF等における議論を踏まえつつ、適用対象の明確化や周知徹底を図ることにより、イノベーションの過度な萎縮につながらないよう努めると、このようなアプローチについてどう考えるか、御議論頂ければと思います。

それから、4ページ以降は、ステーブルコインをめぐる諸課題ということでございます。前回御議論頂いたものに加えまして、6ページから具体的なものを記載させて頂いております。まず、発行者の仕組みといたしまして、先ほど資料で頂きました論点3でございます。連名預金のスキーム、それから信託受益権を使ったスキームが考えられるということでございますけれども、これについて御意見を頂ければということでございます。

それから、論点4につきましては、仲介者の機能に関する規制ということで、海外発行のものも含め、想定される行為・機能を過不足なく業規制の対象とした上で、取引実態等が類似する暗号資産の交換業者に対する規制を参考に、所要の規制を導入するという方向性についてどうかということでございます。

それから論点5につきましては、発行者、仲介者全体として続けられる必要があるということで、責任関係の明確化等についての体制整備を求めることが考えられるがどうかということでございます。

それから、最後9ページでございます。CBDCにつきましては、後ほど奥野さんのほうから御説明ございますけれども、論点6ということで、議論すべき観点を例示させて頂いております。

以上でございます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、日本銀行の審議役の奥野さんから、お手元資料2について、御説明して頂けるということです。奥野さん、どうぞよろしくお願いいたします。

【奥野審議役】

ただいま御紹介頂きました奥野でございます。私は、日本銀行決済機構局におきまして、中央銀行デジタル通貨に関する検討を担当しております。本日は、若干のお時間を頂きまして、CBDCに関する日本銀行の取組についてご説明をしたいと思います。

まず、スライド1でございます。代表的なマネーを整理したものであります。皆さん御案内のとおり、マネーの世界では、限られたユーザーが主として大口取引のために用いるホールセール型のマネーと、国民が広く利用する一般利用型のマネーの2種類が存在いたします。デジタルな中央銀行マネーでありますCBDCについても、ホールセール型と一般利用型の2種類が考えられますが、本日ここでお話しするのは、個人や企業が広く利用することを想定した一般利用型CBDCであります。一般利用型CBDCや一般利用型のマネーの仲間には、既に銀行預金、あるいは現金という2つのメジャーなマネーが存在いたします。また、ここには書いてございませんけれども、最近では、各種の電子マネーがプレゼンスを高めてきているということも御承知のとおりかと思います。

続きまして、スライド2を御覧ください。中央銀行の世界では、注意書きにございますように、ここにある7つの先進国の中央銀行が共同研究グループを組成し、CBDCに関する議論をしております。先ほど事務局から、G7が公表したCBDCに関する公共政策上の原則についての御説明がありましたけれども、それに先立ち、このグループは、昨年の10月、中央銀行の視点から見たCBDCに求められる3つの基本原則を打ち出しております。

第1に、CBDCの発行が通貨・金融の安定を損なわないということであります。技術的に可能だからといって、あまりに便利なCBDCをつくってしまうと、既存の金融システムや金融市場に過大なインパクトを与え、物価の安定や金融システムという政策目的の実現を阻害してしまう可能性があるという問題意識でありまして、そうなれば、中央銀行にとって本末転倒であろうということであります。

第2の基本原則が、他のマネーとの共存・補完であります。特に民間マネーとの関係では、CBDCとの共存、適切なバランスをもって金融経済に貢献していくことが重要だというふうに考えております。

第3の原則が、イノベーションと効率性の促進であります。CBDCは、単なる現金の代替にとどまらず、デジタルならではの特質を生かして、様々なサービスを上乗せして提供していくことが可能であります。日本銀行としては、民間部門がイノベーションを発揮して、便利な決済サービスを生み出すことができるよう、システム的な基盤、あるいは制度の面で柔軟性の高い仕組みを提供することが重要だというふうに考えております。

スライド3にお移りください。最近の米・欧・中の動きをまとめております。

この中で、中国が最も先行しているということは御存じのことかと思います。ここ数年、大都市を中心に、多数の市民や店舗が参加する実証実験が進められております。最近大きな動きがあったのは、先ほど事務局の説明もありましたとおり、一番上のユーロ圏であります。本年7月、ECBは、デジタルユーロ・プロジェクトの調査フェーズをスタートすることを公表いたしました。2年間の調査フェーズの後、デジタルユーロを導入するかどうか正式に決定するという方針を打ち出しております。ユーロの2つ目の丸にありますように、ECBの担当理事は、デジタルユーロの発行が決定されれば、その後3年間でシステム開発を行うと述べております。やや野心的な計画だとは思いますけれども、仮にそれが本当だとすれば、2年プラス3年、今から5年後の2026年には、デジタルユーロが本番稼働する計算になります。今回の決定は、将来の正式発行について予断を与えるものではないということでありますけれども、中国に続き、欧州勢も前向きな姿勢を示しているということは大きな動きかというふうに思います。

続きまして、スライド4を御覧ください。ここから先が、我が国の検討に関する御説明であります。

2つ目の丸にございますように、日本銀行は、現時点でCBDCを発行する計画はありませんが、今後の様々な環境変化に対応できるよう、しっかりと準備をしていくことが重要という方針を掲げております。その上で、すぐ下、将来に向けた具体的な準備作業として、技術面での実証実験と制度設計面での検討を並行して進めております。一番下にございますように、仮に将来、CBDCを発行したという場合であっても、現金に対する需要がある限り、その供給を続けていく方針であることを併せて公表しているところであります。

続いてスライド5を御覧ください。ほとんどの中央銀行は、CBDCを発行する場合、中央銀行と民間部門による二層構造、間接型の発行形態とすることが適当というふうに考えております。日本銀行含め、我々中央銀行は、これまで個々の企業や個人と直接対峙してきた経験というものはほとんどございません。国民の多様なニーズに逐一きめ細かく対応していくことは難しいというふうに自覚をしております。このため日本銀行としては、CBDCという基礎的な決済手段を世の中に提供するということに力を注ぎ、一方で、民間部門には、全国のユーザーにCBDCを届けてもらう仲介機関としての役割、あるいはCBDCに新たなサービスを追加して提供する役割を担ってもらうのが適切であり、こうした役割分担によって、民間ならではの創意工夫が発揮され、CBDCシステム全体の効率性や付加価値が高まるものというふうに考えております。若干分かりにくくて恐縮ですが、間接型の発行形態といっても、仲介機関が中銀に対する資産を裏づけに、自らマネーを発行するわけではありません。ここでの議論の対象となっているCBDCは、あくまでも中央銀行が発行する負債でありまして、仲介機関を含め、その他の主体にとっては常に資産として計上されることになります。民間事業者が、中央銀行とユーザーの間に立ってCBDCの流通に関与するという意味での間接型でありまして、この点は、現在の銀行券の流通形態と全く同じであります。

続きまして、スライド6を御覧ください。一般利用型CBDCは、ここにあるような特性を備えるべきであるということは、先進国の中でも共通認識になっております。時計回りに行きますと、まず、CBDCを設計するに当たっては、誰でも使えるユニバーサルアクセスを確保すること。第2に、CBDCが安心して使われるためには、十分なセキュリティーを確保することが必要であります。第3に、CBDCがいつでもどこでも使えるものであるための強靱性、第4に、中央銀行マネーであるCBDCには、現金と同様、即時決済性やファイナリティが求められます。最後に、相互運用性です。CBDCを土台にして民間事業者が様々なサービスを提供していくためには、CBDCシステムと民間システムがスムーズに接続運用される必要がございます。

続きまして、スライド7であります。今申し上げた二層構造の下でのCBDCの、言わば一生を5つの言葉を使って説明をしております。

まずはCBDCの発行であります。仲介機関Xが自らの日銀当座預金を減額し、代わりにCBDCを手に入れることにより、CBDCが日本銀行から世の中に発行されることになります。次に、CBDCの払出しであります。仲介機関の顧客であるユーザーAは、Xに対する自らの預金などと引換えにCBDCの払出しを受けることになります。これによってCBDCが市中で利用可能な状態になります。3番目がCBDCの移転であります。ユーザーは、CBDCを用いて店舗での代金の支払いであるとか、個人間の金銭の受渡しを行うことが想定されます。4番目は、CBDCの受入れでありまして、これは払出しの逆の動き、5番目は、CBDCの還収でありまして、発行の逆の動きということになります。

こうした一連の動きは、当事者の債権債務関係、あるいはバランスシート上の動きといった点で現在の銀行券と同じであります。両者の違いは、銀行券の場合、常に銀行券が物理的に移転していくのに対し、CBDCの場合は、仲介機関やユーザーによるオンラインの指図に基づいて台帳上の記録が更新されることで、人々の間を移転していくということになります。

スライド8を御覧ください。先ほど申し上げましたように、現在日本銀行は、技術的な実証実験と制度設計面での検討という2つの取組を並行して進めております。実証実験は、幾つかの段階に分かれております。最初に、日銀の中で実験環境を構築して、我々のアイデアが技術的に実現可能かどうかを確認する概念実証を行い、その後必要であれば、街中で企業や消費者が実際にCBDCを使ってみるパイロット実験を行うかどうか検討していくという予定になっております。この概念実証も2つのフェーズに分かれておりまして、最初のフェーズ1が、本年4月にスタートいたしました。実施期間は1年でありまして、現在折り返し地点を過ぎたところであります。このフェーズ1では、CBDCの基盤である台帳システムを構築し、発行から還収までの一連の動きがきちんと記録されるか、あるいはシステムの処理性能に問題はないかといった点を確認しています。

それでは、スライド9を御覧ください。現在日本銀行では、実証実験の中で3つの台帳パターンをシステム的に構築をいたしまして、それぞれの課題やメリット・デメリットを比較検証しております。上の表にありますとおり、パターン分けの切り口は1つに、CBDC台帳を日銀単独で管理するのか、それとも日銀と仲介機関が分担して管理するのかというものであります。第2の切り口が、金銭データの固まりに固有のIDを付番し、それぞれを個別のトークンとして認識するのか、それともお金に色をつけずに、口座の残高として認識するのかというものであります。

パターン1、左下でありますけれども、こちらは口座型とした上で、日本銀行が全てのユーザーの口座残高を記録する台帳を単独で管理する方法です。パターン2は、同じく口座型でありますが、日銀は、仲介機関単位の口座のみを管理し、個々のユーザーの口座の管理は仲介機関にそれぞれ任せるという仕組みであります。この場合、仲介機関が台帳の管理の一部を担うことになりますけれども、これはあくまでも事務の話でありまして、仲介機関自らが負債を発行するわけではないということは先ほど申し上げたとおりであります。パターン3は、トークン型とした上で、日本銀行が単独で台帳を保管する方法であります。

それでは、スライド10を御覧ください。ここでは、各パターンの特徴や留意点を簡単に整理をしております。

まず、パターン1とパターン2でございます。パターン1は、中央銀行が全てのユーザーの取引を記録する台帳を管理しますので、仮にユーザーの数が1億だとすれば、中央銀行が1億の口座を管理するということになります。パターン2は、各仲介機関が自らの顧客の取引を記録する台帳を管理し、中央銀行は、仲介機関単位の取引を記録する台帳を管理します。この場合、中央銀行が管理する口座は、仲介機関の数だけで済むことになります。一番下の欄にございますように、パターン1の場合、中央銀行の台帳に多くの処理が集中することをどう考えるか、パターン2の場合は、こうしたリスクが緩和されるとは思いますけれども、一方で各仲介機関が管理する台帳について、どこまで自由な設計を認めるか、こういった論点があろうかと思います。

一番右のパターン3は、トークン型のCBDCであります。中段にありますように、このパターンでは、台帳上、トークンIDとユーザーIDのひもづけを変更することで、CBDCが移転をしていくことになります。この場合、日本中の全てのトークンを台帳システムが管理することになりますので、取引時のデータベースの更新負担でありますとか、コンピューターの処理能力の十分性といった点が課題になろうかと思います。

それでは、スライド11でございます。これ以降のパートでは、今後、制度設計を検討していく上でのキーワードとなり得る水平的共存と垂直的共存について、お話をしたいと思います。

水平的共存はこの図表を横に見たときの他の決済手段との関係であります。CBDCは決済システムを構成する一つの要素に過ぎません。決済システムが全体として最も安定的・効率的に運営されるよう、複数の決済手段をバランスよく組み合わせていくことが、国民生活の利便性向上、日本経済の生産性向上という面で必要だというふうに考えております。

一方、垂直的な共存は、CBDCという経済システムの中での縦の関係、中央銀行と民間事業者の間の役割分担と言い換えることができると思います。先ほども述べましたとおり、日本銀行はCBDCという基礎的な決済手段を世の中に供給する役割を担います。民間の方々には、こうした、言わば公共財をうまく使いながら、国民に便利な決済サービスを提供して頂く。そうすることで、新たなビジネスや競争が生まれ、CBDCシステムがより効率的なものとして発展していくというふうに考えております。

スライド12でございます。ここでは、水平的共存について少し細かくお話をします。

CBDCが国民の基礎的な決済手段としての役割を果たすためには、左下の図にありますように、他の決済手段との交換が円滑に行われることが必要であります。一方で、こうした相互運用がスムーズになればなるほど、特に銀行預金とCBDCが簡単に交換できるようになれば、預金からの資金流出を招き、金融仲介機能の低下とか金融システムの不安定化につながると懸念する声が少なくありません。この点に関しまして、主要7中銀の共同研究グループでは、金融システムの不安定化を防ぐセーフガードとして考え得る幾つかの選択肢を提示しております。具体的には、下にありますように、CBDCの保有額や取引額に対して上限を設定すること、CBDCに低い金利を付すことや、ユーザーから課金を徴収することなどがアイデアとして挙げられております。各国における金融機関の役割などに応じて、具体的な制度設計はそれぞれ異なることになろうかと思いますけれども、この辺りは、関係者にとって関心の高い領域でありますので、今後こうした議論が徐々に具体化してくるというふうに考えております。

続きまして、スライド13は垂直的な共存に関する説明であります。

日本銀行は、右下の箱にありますように、自らの負債としてCBDCを発行するとともに、システムの基盤となるCBDC台帳を管理します。また、関係当局とも連携しながら、システムの運営に必要なルールを設定することなども想定されるかと思います。日本銀行から発行されたCBDCは、仲介機関を通じて全てのユーザーに等しく提供されます。そのための業務をここでは仲介業務というふうに呼んでおりまして、具体的には、真ん中の箱にありますように、CBDCの発行・還収に関する業務や流通に関する業務が挙げられます。後者につきましては、CBDC取引の開始手続、顧客管理、ユーザーからの払出し、受入れ依頼への対応などが含まれるかと思います。

ここまでが、CBDCという、言わば公共財を国民に届けるための非競争領域、あるいは競争が制限される領域でありまして、各仲介機関は、事前に定められたルールの下で一定レベルの業務を提供することが想定されます。公共財としてのCBDCは、何も加工しなければ基礎的な決済手段としてプレーンなものになるというふうに考えております。一方で、デジタルの世界では、こうしたプレーンな素材に追加的なサービスをいろいろと付け加えていくということが可能なわけであります。こうした追加サービスは、仲介機関である金融機関自身が提供することもできますし、仲介機関以外の民間事業会社が提供することも考えられます。様々なサービスがあり得ますが、最近では、右上の箱にありますように、個別のユーザーニーズに応じてプログラマブルな決済サービスを提供したり、CBDC送金時に情報伝達サービスをセットで提供することなど、こういったものが将来のビジネスとして意識されているのであります。

最後、スライド14でございます。仲介機関の構造について整理をしております。

仲介機関が行う仲介業務に関して、CBDCの発行、あるいは還収は、日本銀行当座預金との交換によって行うことを想定しておりますので、その担い手になるためには、日銀の当座預金取引先になることが必要ということであります。一方で、CBDCの払出し・受入れは、仲介機関とユーザーの間の取引でありますので、これに限って言えば、日銀の取引先である必要はないということになります。

こうした下で、左下の図は、全ての仲介機関が日銀との間の発行・還収、あるいはユーザーとの間の払出し・受入れに関する業務の両方を行うという構造でありまして、同じタイプの仲介機関がずらっと横に並ぶ形ということであります。一方、右側の階層型は、日銀とのやり取りは一部の少数の金融機関が担い、その他の多くの金融機関は、第一層の仲介機関にぶら下がる形で、専らユーザーとの間でCBDCのやり取りを行うことになります。左側につきましては、様々な業態、あるいは業容がある中で、全ての仲介機関が同じ業務を行い、一律の責任を負うことが適当かという論点があろうかと思います。一方で階層型につきましては、各金融機関がそれぞれの実態、あるいは希望に応じてCBDCに関与することが可能となりますけれども、仲介業務に関するガバナンスが複雑化するといった問題があろうかと思います。どのような構造を検討・試行していくかということは、システム面での構成、あるいは関係者の責任、費用分担の在り方にも今後影響してくると思いますので、日本銀行としても、関係する皆様の御意見を伺いながらしっかりと検討していきたいというふうに思います。

私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。

【神田座長】

どうも詳細な御説明を頂きまして、ありがとうございました。

それでは、皆様方に討議をお願いしたいと思います。もちろん今ありました説明に対する御質問等も併せて御発言頂ければと思います。

いつものことで恐縮ですが、まず、メンバーの皆様方から御質問、御意見をお出し頂き、一通り終わりました後で、オブザーバーの皆様方に御発言の機会を提供させて頂きたいと思います。そして、御発言希望の際には、オンライン会議システムのチャットにて、全員宛てで御自身のお名前を入力、送信をお願いいたします。それを確認して、私から指名をさせて頂きます。御自身の名前をおっしゃって頂いた後、御発言頂ければと思います。

ということで、メンバーの皆様方、どなたからでも結構ですので、御発言をお願いしたいと思います。今チャットを頂いております、松尾先生、どうぞお願いいたします。

【松尾メンバー】

松尾でございます。

また、今回も最初なのですけども、論点があまりにも多いので、今回は、まず論点1と論点2について申し上げたいと思うんですけども、コミュニケーションが大事だというのは私が第2回に申し上げたプレゼンから引いて頂いていて、とてもありがたいんですけども、一番大事なのは、共通のプロセスであるとか、コミュニケーションのフォーマットであるとか、どういう情報が必要なのかということをつくることが総体としては大事で、これをもうちょっとかみ砕いて言うと、私は情報セキュリティーとか暗号の研究者なので、金融のリスクとともに情報システムのリスクの話をしなければいけないんですけども、いわゆるセキュリティーとかトラストというのは、水平分業ができない性質のものでして、よく分散型金融の人たちが昔からマネー・レゴって言って、いろんな金融の要素をレゴのようにくっつけて新しい金融サービスができるのだというふうに言う人もいるんですけども、実際にいろんな暗号の仕組みを、セキュアプロトコルAとかBとかあるときに、それをレゴのようにセキュアに組み合わせるとか、その組合せが安全であるということをチェックすることはとても難しくて、レゴのようにはいかないというのが、やっぱりセキュリティーの専門家から見るとそうなるわけです。一つ、例えば安全なAという組合せがあったときに、それをちょっとだけ変えてAプライムみたいな組合せが出たときに、おおむね安全に利用できるのかというとそんなことはなくて、そのちょっとした修正がいろんなところに影響するというのは、実は技術的な構造が似ていても、安全性のチェックを一からやらなきゃいけないという意味では、リスク分析ってむちゃくちゃ大変なんです。

FISCの方の資料を引用したものがあったと思うんですけども、FISCの方は常々そういうことをやられていると思うんですね。今回いろんな資料の中でリスクと書かれているんですけど、そのリスクの中身、今、リスクの例として例えば金融であれば取付けとかマネーロンダリングとかと書かれていましたけども、いろんなリスクが何であるかというのをもう一度もうちょっと詳細に詰めていく必要があるんだろうと思います。でないと、今だとかなり漠然と書いてあって、あるリスクが、システム上のプログラミングコードの中で表現したい時に、これはどういうことを言っているのだということが、腹の探り合いになってしまったりする、それがある意味イノベーションの阻害要因になってしまうだろうと思います。ここを曖昧にすると、設計実装上のうっかりとか、以前の私のプレゼンにあった「何とかのはず」みたいなところが生じてきて、その結果として生じることが、ひいては経済安全保障という言葉がいいのか分からないですが、そのような問題にもなり得るというわけです。ということで、そういうもっと少しリスクであるとか、そういった分析と研究を精緻にみんなで質の高いものをつくっていくことが必要だと思います。

もう一つは、参照アーキテクチャーみたいなものが必要で、それがないとリスク分析ができません。参照アーキテクチャーであったり、そのアーキテクチャ上のリスクみたいなものを表にして、もちろん金融庁もつくられるんでしょうけども、いろんな人でポリッシュしていく、磨いていくということが必要だと思います。

そういう金融としてのリスクもあれば、情報システムというリスクもあって、それはFISCさんが常々やられていることだと思うんですけども、脆弱性が起きたときにどうするのかとか、それは技術的にどう対処するのかということもありますし、責任の問題もあったりとか。私が2004年以降やった暗号の危殆化対策に起きたこととして、当たり前に安全だと思っていた暗号が危殆化したときに、誰がその対応の責任を負うのかってどこにも契約に書いてないんですね。そういうことも実は考えなきゃいけないと。そういうことも含めてリスクを1回洗い上げる必要があるだろうと。逆に、そういうことをちゃんとやると、金融庁、規制当局もそうですし、ビジネスとエンジニア側の知識というのも同時に高まってきて、ある種の見落とし、リスクの見落としみたいなのが格段に少なくなり、多分そこから新しいイノベーションのスタートに立てるんだと思うんです。という意味で、イノベーション促進という意味でも、それは非常に重要なステップだろうと思います。

あと、論点2でいうと、ここはレグテックみたいなものをどうやって育てていくかということで、未来志向で考えていったほうがいいと思うんですね。例えば、先月ですか、OECDのイベントで、FATF主催のセッションに私も出させて頂きましたけども、その中で例えば、これがいいソリューションかどうかは別に一言も言及してないんですけども、コインファームという会社がAMLオラクルというのを今つくっているんだという話をしていて、それが本当にいいものかどうか分からないんですけども、でもそういう、いわゆるレグテックみたいなものと同時に出てきている。あるいは今、FATFとこの前のBGINの第3回のときに、ランサムウエアに対する対応を一緒に考えればいいよねということで、ZCashの人とかDashの人と一緒にランサムウエアに対する身代金の支払いの要求が起きたときの支払いをどうトレースしていくのか、そのために、例えば透かしみたいなのをどう入れるのかみたいな議論をしているんですけれども、こういうレグテックをどう育てていくのかという観点で、未来志向で逆にどういうレグテックがあるといいのかということも含めて、もう少し出していくのがいいかなと思っています。

以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。それでは、続きまして、岩下先生、どうぞお願いします。

【岩下メンバー】

岩下でございます。

私も基本的に資料3に沿ってお話をさせて頂きたいんですが、資料1で説明されていることと資料3とは必ずしも一致してない部分があるような気がするので、ちょっとだけ資料1の内容について、私なりのコメントをさせて頂きたいと思います。

前回までステーブルコインの議論というのをいろいろやってきて、テザーがこうであるとか、あるいはIRONとかTITANとかがこうであるとかという、そういう話についていろいろ話題が出たのは、理解が深まったという意味で大変よかったと思います。一方で、例えば資料1の3ページに書いてあるステーブルコインの裏づけ資産がこうであるというところは本当なんだろうか。これらは、きちんとした契約とかきちんとした法制度に縛られたものではなくて、勝手に言っているだけなので、それは本当に大丈夫なんだろうかという点については、大きな留保が必要だと思います。資料1の4に書いてあるように、暗号資産、ステーブルコインの影響の範囲というものがいろんな国に広がっているというのも事実なのでしょう。暗号資産自体が大きく値上がりする中で、昔はいかがわしいと思われていた暗号資産が随分洗練されたものになった、そういう方向の議論にしようという力が強く働いています。ステーブルコインも、既存の伝統的な金融に引けを取らないものだという様々なプレゼンテーションが行われるようになっています。そういうものに対してどういうふうに考えるのかというのが、一つの今議論している大きなポイントなのであろうと私は考えています。

その上で資料3に戻りまして、技術コミュニティーとは昔からある程度対話をしてきていると私は考えていますし、それこそISOであるとか、あるいはIETFであるとかというところで様々やって決めたことというのが、巡り巡って金融へ、例えばFISCの安全対策基準等に入ってくるという――あまり入ってこないんですけど、参照されるというのか――ことは事実としてあったので、それはそれで決してない話ではありません。

ただ一方で、例えば数年前の金融審議会のワーキング・グループだったと思いますが、私がプレゼンテーションして、これからはインターネットを利用して金融を拡大していくべきだというふうに説明したときに、FISCの方が、いや、インターネットとつなげちゃいけないみたいな説明をして、それを聞いていた委員の方が、どっちなんだ、つなげるのか、つなげないのか、矛盾しているじゃないかという御質問をされたこともありました。多分、今の銀行のシステムは、銀行のコミュニティーの中で閉じているので、そこに安心できる部分があるんですが、分散型金融というのは、インターネット上で取引をするわけですよね。今日の日銀さんの御説明もそうなんですけれども、日銀ネットや全銀システムでつながっている閉域に対して、どうもCBDCと言われるものはインターネット上にあるもののように私には見えるので、そこってそんなふうにダイレクトにつながるのか、つなげていいのかと、不思議な感じがしたんですね。かといって、日銀ネットの中にCBDCの台帳が存在するんだったら、そもそもリテールのCBDCにはなり得ないので、そう考えると、多分既存の金融のネットワークとインターネットがどういうふうにリンケージを設けるのかという話が、実は大きな問題になってくるような気がするんですが、果たしてそういうことをこれからはやるんでしょうか。中国とかは確かにやっていますけれども、でもそれはそれなりのリスクを取って、それなりの体制を取ってやっているので、果たして日本で日銀と民間の金融機関を全部巻き込んでそういうことをやることは可能なのだろうか、今の金融の実態を知っている立場からは、ちょっとほんまかいなという感じがするんですね。

そういう意味で、論点1、2というふうに見てくると、今の銀行がやっている預金で、世の中のニーズは大体満たされているような気がするんですが、それでは満たされないインターネット上での特別なサービスを実現するために新しいツールが必要で、それがステーブルコインだということのようです。ステーブルコインは預金と何が違うんだというのは昔から私は疑問なんですが、ステーブルコインという名前になると、何やら現金のアナロジーとして提案されているようです。ステーブルコインの中には、預金とか投信と同様に、きちんと契約を結んで、自分たちのところで発行した負債と同額の資産を持って運営されているものと、何かよく分からないけども、暗号資産の取引の一環としてやっているものと両方あるということです。例えば資料3のページ4でいくと、アとイと分類がありますが、今、世の中にはたくさんのステーブルコインがありますよね、アとイのどっちに分類されるのかがちょっとよく分からない。しかもそもそも暗号資産だというのであれば、今の日本の法律上の暗号資産であれば通貨建てでないということですから、このステーブルコインの定義とは相入れないものなので、これはステーブルコインですと言ったとたんに、それは暗号資産ではなくなるのではないかと私には思えます。ただ実態としては、テザーは暗号資産の取引の中の一環として取引されていますし、ステーブルコインって暗号資産ベスト100の中で10種類ぐらいある。ディエム、リブラは別にすれば、そういう暗号資産取引の世界に存在しているステーブルコインと、ここで説明されているステーブルコインとはちょっとマッチしていない感じがするので、この論点2辺りのところってちょっと答えにくいと感じがします。

そういう意味では、既存の金融制度の枠組みの中に、暗号資産のマーケットのほうから入ってくるステーブルコインを入れようとすると、どんなものであったとしても、それはやっぱり座りが悪いというか、両立しないもののような気がするので、それを既存の制度の中で律しようというのはなかなか難しい。たちどころに銀行業務になっちゃうんじゃないか、たちどころに資金移動業になっちゃうんじゃないかという感じがします。もしそうじゃないんだということを言うんだとすると、それはそれで何か別々の新たな道具立てが必要な感じがします。ここで言っているステーブルコインとか発行者とか媒介者というもののイメージがいま一つぴんとこないので、ちょっと議論がしにくいというのが本音のところです。

ただ、そうはいっても、実態が進んでしまった場合は、そういう既存の仕組みの中にうまく当てはまらないところを何とか当てはめて考えていく必要があって、そのときにはこういう要請が必要だという議論というのは、この中の論点として出てきています。私は基本的に、伝統的な金融の在り方というものを前提とした上で、新しく入ってきたからといってそこを特別扱いするのではなくて、今の金融の仕組みの中で、必要とされている規制は新しく入ってきたものも当然必要とされると考えます。もし必要とされる規制が充足されないのであれば、それは入ってきちゃ駄目だというということに尽きているような感じがいたします。

私からは以上でございます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。それでは、続きまして、坂先生、どうぞお願いいたします。

【坂メンバー】

よろしくお願いします。私のほうから、論点1から5について、順次意見を述べたいと思います。

まず、1ポツの論点1ですけども、規制ないし制度対応が目標を設定して、そこに向けた取組を促すことによって課題の解決を図り、イノベーションを促進する機能を持つということは、確認をしておきたいと思います。先ほど松尾先生の御指摘も、この観点からも重要な御指摘を頂いたものと受け止めました。

それから、次に論点2ですけども、決済分野では、マネーロンダリングや詐欺事犯等、匿名性の悪用への対応が重要な課題となっていると思います。この点のイノベーションを促進する観点からも、(1)記載の事項を検討することが重要と思います。もっともこの点に関しては、本人確認の実効というのが重要な前提となると思います。少し場面が違うかもしれませんけれども、この点についても、技術的な発展が期待されるところと思います。それから、(1)の技術が生かされるためには、そのような技術を用いない、質の悪いサービスが排除される必要があるだろうと思います。係る観点から、(2)の制度支援というのはぜひとも必要と思います。

次に2ポツのところですけども、全体として2ポツにまとめて頂いた枠組みの制度整備が必要であると思います。特に、質の悪い事業者やグループ、組織は、規制の隙間を狙って利用者被害やマネーロンダリング等を行うと考えられますので、規制の隙間がないように留意することが必要だと思います。現行制度の関係では、既存デジタルマネーという言葉について、4ページの注の21で説明されているところです。ここで資金移動業者発行のものに触れられていますが、資金移動業者のアカウントへのチャージは、送金のためのものに限られていますし、金額も100万円以下に限定されています。また、送金に用いられない資金の滞留も認められていません。注21については、こうした特性も明記しておく必要があると思います。

次に、論点3、発行者についてですけども、これも6ページに為替支払い手段について、利用者保護等に照らして問題のあるものの発行は認めるべきでないというふうに指摘されています。現行法との関係では、例えば現金によりチャージを行い、現金で返金をうけることができるものについては、法的な根拠がない限り、出資法の預り金規制に抵触するという問題があると思います。この点との関係においても、法的に認められ得るものを明確化する必要があります。論点3で記載されております連名預金や、あるいは預金を信託財産とする信託受益権は、為替支払い手段の価値を維持する仕組みのものとして理解できるところではあります。利用者保護に問題がないものとして制度化されれば認められ得るものと思います。

次に、論点4についてですけども、基本的には、仲介者の規制は、暗号資産交換業者の規制を下敷きにするということが考えられると思います。この点、事務局資料1の11ページを拝見しますと、仲介者が帳簿管理を行うということが想定をされています。そうしますと、ある意味、仲介者に預金通帳を預けるような状況になるものとも考えられます。ここでは、仲介者による流用のおそれというものが気になるところで、預金のように利用され得るサービスにおいて、流用の可能性があるとすれば問題が大きいというふうに思われます。ある程度技術的な対応が可能なのかもしれませんけども、係るおそれがある場合には、制度的には仲介者の参入規制に相応の数字を求めることや、あるいは発行者にも仲介者の流用等についての賠償責任等を求めるなどの制度を検討する必要性が高いのではなかろうかと思います。過去には、証券会社やFX会社、暗号資産交換業者等において流用事案が繰り返されてきているところでもあり、その対応として、金銭については信託保全が求められるようになってきており、また、証券については、投資者保護基金の制度があるところです。仲介者につきましては、こうした点を勘案しながら、暗号資産交換業者に対する規制を参考にしつつも、特に預金のように利用されるものについてはEUの規制案等も参考にしながら、より利用者保護に厚い制度として具体化を図るべきと考えます。

次に、論点5ですけども、デジタルマネーについてはセキュリティーの確保が重要ですけども、この点に関連して、無権限の第三者による不正利用の場合の補償等についても検討する必要があろうかと思います。デジタルマネーについては、利用者が無権限の利用の事実や原因についての主張を立証するということは困難であり、セキュリティーに向けたイノベーションを促進する観点からも、事実や原因についての主張立証責任、あるいは利用者の故意、過失の主張立証責任を事業者側に負わせ、また、利用者に過失がある場合も、利用者の負担は一定の額に限定することを検討すべきと思います。これらを前提として、発行者、仲介者の役割や責任の明確化というものが図られるべきというふうに思います。

以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。それでは、次に、井上先生、どうぞお願いします。

【井上メンバー】

ありがとうございます。井上です。私も、資料3に沿ってコメントを申し上げたいと思います。

まず、論点1、これについては、当たり前のことですし、既に進めて頂いていることだと思いますけれども、技術畑の方の話を聞くと、当局側が十分な技術人材を備え、あるいは充実させる必要があるという声を聞くことがございますので、それはぜひ進めて頂きたいと思います。

次に論点2に参りますが、この論点2で御説明頂いたことはそのとおりだと思います。ただ、送金・決済手段には様々な態様がある中で、どの範囲の業者を仲介者と位置づけるのか、それをどのように実効性ある規制につなげていくのかというのがポイントになるのだろうと思います。その関連で、ステーブルコインをめぐる諸課題のところに、4ページですが、先ほど岩下委員からも御指摘ありましたが、アとイという形で分類がなされています。ただ、アの中には、括弧書きで「これに準ずるもの」というのもあって、実際には微妙な場合があるのではないかという感じがしております。その関連で、脚注の18に、複数通貨バスケットに価格が連動するものであって、発行価格と同額の複数通貨バスケットで償還されるものについては、通貨建て資産に該当するということが示されていますが、これは一つの例だと思いますけれども、どの範囲のコインを通貨建て資産と位置づけて、どの範囲のコインを有価証券と位置づけて、どの範囲のコインを暗号資産と位置づけるのかということが予測可能な程度に明確でないと、規制をかけるのは難しくなると思いますし、実効性がなくなると思いますので、その点も、先ほどの、どの範囲の業者を仲介者と位置づけるのかといったこととともに、規制を設ける上では留意する必要があると思います。

次に、論点3に参りますが、ここでは、発行者に対する要請を満たす仕組みとして、連名預金と信託受益権の2つが挙げられていて、資料1でいえば、11ページを使って御説明を頂いたところではありますけれども、これはおそらく、11ページの図でいえば、顧客A、Bが直接発行者に対して権利を持つことによって、仲介者のリスクを回避できることを狙ったものだと理解しましたが、このような仕組みを構成するときにもう一つ重要なこととしては、こういった形態の権利の移転について、預金債権の譲渡、あるいは信託受益権の譲渡という形式にならないようにすることが挙げられると思います。譲渡になってしまいますと、対抗要件を備えないと、譲渡人の、ここでいえば、例えばAからBに権利を移転することを考えた場合には、顧客Aの信用リスクを顧客Bが負ってしまうことになってしまいますので、その観点が重要だと思うのですが、さらに言うと、民法には515条という条文があって、債権者の交替による更改についても、債権譲渡と同様に対抗要件が必要だということになっていますから、預金債権の譲渡にも信託受益権の譲渡にも当たらないというのみならず、権利者交替による更改にも当たらないという整理が必要だろうと思います。現在は、預金の送金においては預金者の権利が消滅して、受取人側の被仕向銀行に対する預金債権が発生するというような形を取って、譲渡や更改の形式を取らないということだと思いますけれども、それと似たような形の法律構成が果たしてこの現在の御提案の仕組みの中で取れるのかということも確保する必要があるのではないかと思います。法形式上は、これは単なる三者間合意ではなくて、あくまでも発行者をハブとして、多数の利用者との1対多の関係である、そういう仕組みである、あるいは、仲介者を通じて複数のレイヤーをまたいで権利を取得したり移転したり、保有したりする仕組みであるということで債権譲渡やそれに代わる更改と区別ができるのではないかと思いますけれども、今申し上げた点については留意する必要があるのではないかなと思います。

次に論点4と論点5については、これはもう御説明頂いたとおりであろうと思っております。

最後に論点6ですけれども、この点、私は、先ほどの御説明を十分に理解できていないような気がして、大変基本的な疑問、あるいは質問になってしまうのかもしれませんけれども、CBDC、資料2の9ページの辺りで御説明を頂いたところによりますと、幾つかのパターンが考えられるということではありましたが、仮にパターン2というのを使う場合であっても、あくまでも仲介機関は、言わば台帳の一部を管理しているというだけであって、直接ユーザーがCBDCに基づく中央銀行に対する権利を取得するというお話だったかと思いますが、その一方で、現在の銀行預金-日銀当座預金という関係にも似た面があるようにも思えたので、どういう区別ができるのかについてちょっと分からないところがあるんですが、結論としては、これはあくまでも台帳を仲介機関が管理しているだけだとすると、仲介機関の財産ではないので、ユーザーと仲介機関との関係は、いわゆる金銭の消費寄託とは全く違って、仲介機関が言わば流用できる、消費できるようなものではないということなのでしょうか。資料2の9ページの図からすると、そういうこと――そういうことというのは、仲介機関は流用できず、別の言い方をすれば、ユーザーは仲介機関のリスクを取っていないということであって、むしろ資料1の11ページの図にやや似た形で、直接の権利を持つ、仲介機関には何も残らないということかもしれませんけれども、そうすると、仲介機関のバランスシートにも載らないように聞こえてしまったんですが、そういうことで理解すればよろしいのでしょうかということを、申し訳ございませんが、一点御確認させて頂ければと思います。

以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。CBDCについての御質問がありましたけど、もし日銀の奥野さん、何か御発言頂ければお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

【奥野審議役】

日銀の奥野でございます。御質問ありがとうございます。

確かにちょっと分かりにくい部分であります。前提として、ここで議論しているCBDCの定義としては、あくまでも日本銀行が発行する債務、負債でありまして、これは銀行券と同じでありますけども、その他の主体、銀行、仲介機関、個人にとっては、いずれも資産として考えられているということであります。したがいまして、システム的に、あるいは台帳の管理として事務を誰がやるかという意味では、パターン1とパターン2というのは分けておりますけれども、例えばこれを預金というふうに考え、それ自体もいろいろな法律構成があると思いますけれども、CBDCを日本銀行が発行する預金だというふうに考えるのであれば、その預金というのは、日本銀行とユーザーの間の契約でありまして、それを誰が台帳として管理するのか、日本銀行が全て法律構成そのままのように台帳管理するのか、あるいはそれだと日本銀行に事務が集中し過ぎて大変だとか、いろんな理由から、やはり台帳の管理として、マスターの管理として誰かに分担してもらおうというふうに考えるのであればパターン2のようになるということでありますので、前提としての法律構成は、あくまでも日本銀行とユーザーの間というふうに考えるということが出発点ではないかなというふうには考えます。したがいまして、日本銀行からCBDCが発行されるときには、当座預金と引換えに仲介機関がCBDCをまず資産としてもらうということになるわけであります。これは銀行券と同じであります。CBDCの仲介機関がユーザーにCBDCを渡そうとすると、いろんな対価の交換の仕方があろうかと思いますけど、一番簡単なのは、仲介機関が銀行の場合は、その銀行に持っている預金との引換えでCBDCをユーザーに渡していく。ですので、その意味でも、CBDCそのものはあくまでも日本銀行だけが発行しているというものでありまして、ユーザーは、仲介機関に対して債権債務関係、財産を発行してもらっているということではないというふうに理解をするのが出発点ではないかなというふうに思います。

【神田座長】

どうもありがとうございました。井上さん、よろしゅうございますか、今日のところはというか。

【井上メンバー】

一応理解はしたつもりなのですが、日本銀行券、紙幣ももちろん銀行の発行する債務ではないわけですが、紙幣については、預金契約に基づいてその紙幣を消費寄託することで、銀行は自由に預かった現金をいかようにも使うことができて、預かったものを全額そのまま当座預金、日銀当座預金に預ける必要は全くないわけなので、その点では、銀行というのは単に帳簿を管理しているというのではなくて、占有とともに現金は、権利が移りますので、まさに銀行の資産になり、銀行は当座預金に預けることもできますが、とにかく求められたときに預金者に返しさえすれば、それはそのままストレートに日銀当座預金に反映させる必要はないので、その意味では、バランスシートにまるまる載っているという関係にあるわけですけれど、先ほどの御説明のCBDCというのは、銀行券とは大分違うものなのかと思ったのですが、銀行の財産ではない、銀行は自由に使えないという、そういう理解でよろしいんでしょうか。

【神田座長】

もし奥野さん、何か御発言があればお願いいたします。

【奥野審議役】

銀行に対する消費寄託とは異なるという点では、そのとおりの理解で結構だと思います。

【神田座長】

よろしいでしょうか。

【井上メンバー】

ありがとうございました。

【神田座長】

制度設計では両方あり得ると思うのですよね。それから、発行者が発行したものを帳簿管理する場合についても、例えば有価証券の分野でいえば、アメリカ型の切れた関係と言っているのですけど、1つ1つが切れているのと、日本のように直接発行者が発行したものを帳簿に記載されている株主なら株主が保有するのと両方あるので、制度設計は両論あると思いますし、預金に近づけて考えるのか、有価証券という言葉をちょっと比喩的に使わせて頂きますけれども、に近づけて考えるのかで分かれますので、さらに、その先も2つに分かれるわけでして、どういう制度設計かというのは、政策の選択だというふうに思いますけど、今日の日銀からの御説明は、そういう意味では、直接型というか、帳簿は仲介機関が管理するけれども、CDBC自体はそれを直接、例えばですけれども、利用者が保有するという、そういう整理かとは思いますけれども。よろしいでしょうか。

【端本信用制度参事官】

よろしいですか。

【神田座長】

どうぞ。端本さん、どうぞ。

【端本信用制度参事官】

すみません。奥野さん、事務局説明資料の21ページなんですけれども、こちらで、日銀さんのほうでつくられているものを抜粋させて頂いているんですけど、この右側のイメージということでよろしいんですよね、想定されている基本系は。CBDCを企業・家計が持つ、それは中央銀行に対する負債で、仲介機関のバランスシートには載らないということを基本に考えておられるということでよろしいんですよね。

【奥野審議役】

あくまでも今の幾つかの可能性の中の一つというふうに考えて頂ければというふうに思いますけれども、仮に口座型というふうに考えたときには、誰かが、日本銀行に預金口座的なものを持つということだと思います。それを、日本銀行が発行するときに、まず、仲介機関は自らの預金債権として資産として持つということだと思います。その際には、中央銀行の負債としてCBDCが発行されるということだと思います。その上で、ユーザーが自分の仲介機関に対して、自分にCBDCを払い出してくれというふうに言うと、仲介機関が持っている預金からユーザーが持っている預金、CBDCに移転していくということだというふうに考えられますので、その意味では、ユーザーにとっても仲介機関にとっても、等しく日本銀行に対する資産ですとか債権という整理になるんじゃないかというふうに思います。口座型とトークン型という話は今一応取りあえずということにしており、システム的にトークン型というのは今その実験をしておりますけれども、その場合に、今言ったような整理というのと先ほど神田先生がおっしゃったとおり、多少有価証券に近くなるとか、あるいは現金に近くなる、そういったふうな形になるかもしれませんけれども、いずれにしても、全体として見れば中央銀行が負債として発行し、仲介機関はその中継として自らの資産に一時的に持つことはあるわけで、そこにプールすることはあるわけですけれども、それをユーザーに対して払い出したり、ユーザーからもらい受けたりということで、中央銀行から見ると、仲介機関もユーザーも全て自分が発行する債務の相手と整理することが出発点ではないかなというふうには思います。

【神田座長】

それでは、これ以上の議論は可能かもしれませんけれども、先へ進ませてい頂いてもよろしゅうございますでしょうか。どうも井上先生、奥野さん、ありがとうございました。

それでは、チャットを頂いている順番で、次は松本さんですね。松本さん、どうぞお願いします。

【松本メンバー】

ありがとうございます。LayerXの松本です。

これまでの研究会の議論も踏まえて、大まかに自分の中で何が重要なのかなというところを考えていたんですけども、今日は、我々ソフトウエアをつくるときに、例えば法規定と、それだけじゃなくてそこにソフトウエアとしてどういう仕組みがあるべきか、いわゆるこれはソフトウエアキテクチャーと呼ぶことがありますけど、全体設計としてどうあるべきかという観点が先にあって、それに対して議論があるというのがやっぱり理想形だなと思っていまして、そういった観点から、ここから個別論点についてお話をさせて頂きたいと思います。

例えば論点1及び6の(1)についても同様の議題なのかなと思っておりまして、いわゆる技術者、民間の技術者や、そういったものをつくっている人間とどのように連携していくべきかという観点、これってやはり、1つは内部にエンジニアを抱えようという話もやっぱり大事かなと思っていて、内部にソフトウエアキテクチャーを描けるようなエンジニア組織があること。もちろんソフトウエア全部つくれる体制があるべきだというふうには思っていなくて、ただ、どのように設計があるべきかという意見を持つためにも、やはり当局内部にそういった技術者の組織というものがあって、その中で、例えば社会全体を見ればこういった法規制があって、それに合致するソフトウエアアーキテクチャーというのはこういう形があるべきだと。これがあって初めて議論というのは同じプロトコルでお話しできるようになるのかなと思っております。ですので、技術者の目線を中にちゃんと取り込んだ形で、現実的に議論できる形が最終的には出来上がるとよいなと。それまで継続した有識者会議を通じて理解ある仲介者を育成していく、市場の中に育成していくということももちろん十分有効な手だてだと思うんですけども、最終的には、やはり当局の中に技術者の採用だったり、そういった組織を確立して、どのような仕様を、どのようなアーキテクチャーの世界にしていくのかというのが議論されるべきなのかなと思っております。

また、民間での技術仕様というような考え方でいくと、もちろんこれまで様々なソフトウエア技術でも標準化はたくさん行われていますし、例えばビットコインやイーサリアムといったところでは、オープンな場で仕様を議論するということは日常行われてますし、代表的なところでは、トークンを表現するERC20とかERC721みたいな、そういった仕様が、いろいろギットハブとか、いろんなフォーラム上で議論されて、その仕様で行くべきか、実装するよ、じゃ、試しに実装したものを動かしてみようか、これであるとこういうふうな課題が出るよね、こういったソフトウエアと仕様と両面で対話しながら実装していって、穴をサンドボックス的な仕組みの上で試していきながら検証して、結果としてそれが世の中に披露されて、そのリリースされたものが使われていると。そういった形で、今、いろいろなトークンが発行されたり、NFTのような新しい仕組みが生まれたり、DeFiみたいなものが生まれているので、そういった仕様を議論する場、仕様を議論するだけではなくて、じゃ、それをサンドボックスとして試せる場だったり、そういった形が対話の場として用意されていることというのも一つ大事なのかなと思います。サンドボックス、砂場と言いますか、それによって、今考えている社会的な課題、社会的なあるべきアーキテクチャーに対して近づけるのかというところの場になるのかなと思いますので、それを実現できるだけの内部のソフトウエアエンジニアリングの組織というものがあることが理想形かなというふうに考えております。

また、それだけではなくて、これも対話につながってくるところとも近いと思うんですけれども、論点2のシステムとしてKYCをどう要求していくべきかという論点、ここのところで、これ実はほかのところでも議論されていたと記憶しているんですけども、例えば共通のシステムを用意し、それに対して接続することが一つの基準となるというような、そういった仕組みを用意することで、審査ではなく、明らかにもうこのシステムを利用していることで基準がクリアできている、そういった仕組みをつくっていくことも可能なのかなと思っています。もちろん例えば共通の犯収法用のチェックのシステムというのをこれから共通のデータベースをいろんな事業者と連携していくことで、このデータベースにいろいろなアウトな、例えばビットコインのアドレスがあった、そういったユーザーであったという情報を共有していく。もちろんプライバシーに配慮した形で共通のデータベースがあることで、それに接続すれば容易に見られるみたいな基準がきちんと守れるよというものを実現していくことが重要なのかなというふうには技術者としては考えております。これも一種の実装時の仕様の標準化といいますか、プロトコル化というようなところになってくるのかなと思っております。

あとは、論点6のほうに移らせて頂くんですけども、こういったシステム、CBDC、これから我々が議論していくに当たっても、全体の仕様として、僕個人としてはパターン2のような民間側が台帳を管理するような形というのがシステム負荷的には現実的なのではないかなというふうには考えつつも、一番大事なのは、先ほど一番最初でも申しました、試しに全員で関連するいろいろな技術者が実験できる場をどのようにつくっていくかというところに尽きるのかなと思っておりまして、その中でこういった仕組みがあるべきだよね、社会としてはこういう設計があるべきだ、例えばステーブルコイン、我々今議論してきたわけですけど、ステーブルコインもここまでの皆さんの整理をやっぱり自分的に考えてみると、これって基本的には普通の民間決済システムの一実装であるというふうに考えることもできるわけですね。単にその実装が仮想通貨というか、パブリックなブロックチェーン、パーミッションレスなブロックチェーンの上で実現されているというものであってと考えたときに、じゃ、同様の法整備で実現されるべきだ、これを効率的に実現するためにはどのような社会基盤が必要なんだ、そのときに、例えば先ほど金銭信託のような形で顧客の資産を保護するような仕組みがある、それを実現する、それをより効率的に実現するにはどうしたら。その場合、例えばCBDCの仕組みの中に、いわゆる金銭信託への仕組みがソフトウエア的に実現できる、そういった設計があると、こういったステーブルコインを、今の利便性を失うことなく、じゃ、効率的に信託してその中で顧客の台帳を書き換えていくような形として整理して、ステーブルコインの実装ができるよねと。民間の今のデジタルマネーについても、そういったふうに整理ができてくるよねというふうに設計ができるかもしれないと。ですので、これはCBDCへの思いというか、のところにもあるんですけども、そういった最低限複雑なプログラマブルマネーといいますか、プログラムできるお金である必要はないんですけども、例えばこれを使うことで最低限信託という仕組みがシンプルに実装できますよとか、ということができるだけで、民間のイノベーションというのは非常に促進されやすくなるのかなというふうには思っておりますので、そういったところがCBDCで実現されるとよりありがたいなと思うところが一つの観点になります。

あと、忘れてならないのが、プライバシーの観点でありまして、先ほどAMLの共通データベースのようなものに限らず、送金するというときの個人情報をどのように誰が権利を持つのか。例えば台帳を複数のパーティーが持ったときに、じゃ、その間で情報を交換するといったことが許されるのかどうなのかといったところの観点もより議論されていくとよいのかなというふうには考えております。

今日の論点に関しては、基本的にはそうあるべきだというふうに考えているので、特段御意見はございません。

私からは以上となります。

【神田座長】

どうもありがとうございました。それでは、次に、翁さん、どうぞよろしくお願いいたします。

【翁メンバー】

特にステーブルコインにつきまして、あと、CBDCについても少しコメントをさせて頂きたいと思います。

ステーブルコインに対する規制の在り方に関しては、大きな方向としては、利用者利便の向上を目指した民間のイノベーションを阻害しない方向で、一方で、マネロンとか決済機能の不履行とか価値下落によるような利用者利便が生じないようにしていくということで結構かと思いますし、また、規制の設計は、FSBの最終報告にもあるように、基本的には同一機能は同一ルールという考え方で臨むことでよいと思います。ただ、金融システム全体から見て、銀行発行のステーブルコインと預金とかCBDCの関係とか、あと銀行以外が発行するステーブルコインと既存の資金移動業者のデジタルマネー、こういったものの機能とか性格の違いは何なのかということをもう少し確認して、それに基づいて、ステーブルコインの規制の設計を検討したらよいのではないかというふうに思っています。

そうした論点に立ちまして、具体的には、例えば論点3なのですが、利用者の償還請求権が適切に保護されるということはとても大事だと思っています。資料1の11ページを見ますと、銀行発行のステーブルコイン、一番左側ですけれども、これは、銀行のステーブルコインというのは利用者にとっては預金と同じものというようにみなされるのであれば、それは預金並みの保護ということでよいのかなというふうには思います。ただ、これは連名預金になると、決済用預金として全額保護をされるのでしょうか。ステーブルコインというのも商品設計次第なので、その商品に応じた形で保護するべきで、例えば普通預金並みの保護でもよいと思います。それが青天井で、全部この連名預金が決済用預金であるというふうに整理されて保護されるということになると、この規制はさっき井上先生もおっしゃったように、仲介者の信用リスクからフリーにしようとして入れているわけですけれども、発行者からの信用リスクも完全にフリーになるように読めます。そうだとすると、確かにバンクランの可能性は小さくなりますが、銀行発行者のステーブルコイン、信用リスクフリーということになると、ほとんどCBDC並みに安全ということになりますが、それでいいのかというようなことも確認しておく必要があるのかなと思いました。

それから、11ページの真ん中は、これは主に資金移動事業者とか、銀行以外のところを考えているものだと理解したんですが、この場合は、全て信託受益権スキームを活用して、この絵ですと、これが全てやはり預金、銀行に預けることが提案されています。資金移動業者が発行するステーブルコインというのと、それから今まで資金移動業者が提供していたデジタルマネーの機能というのは、何がどういうふうに異なっているのか、その辺の整理も必要なんじゃないかなと思います。そこの整理がなくて、なぜこれだけ信託受益権になっているのか、なぜこれを預金に預けるということが提案されているのかというのが、ちょっとデジタルマネーの機能との違いが明確でなくよく理解ができないです。デジタルマネーを発行する資金移動業者については、資金の保全方法は今まで議論をしてきたように、供託、信託、補償といった3つがあって、利用者にとっては、資金移動業者が破綻したときに、リアルタイムでは資金は取り戻せないけれども、基本的に保全をされるということでは大きな違いはないのではないかと。今回提案されているものは、より発行者の信用リスクに対して厚く手当てしているように見えるんですが、それはなぜなのかということについて、少し明確にしておいたほうがいいんじゃないかなと思っています。というのも、資金移動業者がステーブルコインを発行することも十分あると思うんですけれども、もちろん滞留規制があるのでコインの発行が難しい業者もあると思うんですが、このまま入れると、規制の差があってレギュラトリーアービトラージが起こらないのかとか、そういうようなことも気になっております。デジタルマネー、資金移動業者の今までの規制との関係というのを整理する必要があるんじゃないかというふうに思います。

FMI原則も紹介ありましたし、FSBも指摘しているんですけども、私は、資金移動業者の規制の設計もそうなんですけども、小さいうちはそれほど大きな問題が起こらないかもしれないが、やはりシステム上のリスクが大きくなってきたような場合に上乗せ規制を入れられるといった、そういったリスクベースの思想も入れて、これを考えていく必要もあるんじゃないかなというふうに思っております。

それから、論点4、5については賛同いたします。論点6についてなんですが、CBDCについて、やはり御指摘あったように、銀行預金からのシフトというのが金融システム不安時に起こるということが十分考えられますし、特にデジタルバンクランが起こり得るので、ここについて、どういうふうに対応するかというこのセーフガードの在り方がとても大事だと思っております。上限額保有とか取引にかけるとか、いろいろあると思うんですけれども、そこをぜひ御検討を頂くことが大事かなと思います。

それから、民間事業者の知見やイノベーションを通じて、ユーザーニーズに合ったサービスを提供するということなので、その方向で検討を進めて頂きたいと思いますが、やはり民間の似たようなビジネスとの共存をどういうふうに図っていくのかというのは非常に重要でございますので、その点に配慮することが大事だと思います。また、クロスボーダーで最終的に考えていくということになると思いますので、その点もぜひいろいろコミュニケーションを取っていって頂きたいなというふうに考えております。

以上でございます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。端本さん、何かありますか。

【端本信用制度参事官】

翁委員から御指摘頂いた点なんですけど、まず、預金スキーム、一番左側ですけれども、ここは連名預金、決済性預金の場合もあろうかと思いますし、一般預金の場合もあろうかと思います。後者の場合には、仮に発行した銀行が破綻した場合は、利用者ごとに名寄せされて1,000万の定額保護ということになろうかと思います。

資金移動業者との関係につきましては、ここのスキームは、現行制度の下で、真ん中に仲介者を入れた場合のスキームということで提示させて頂いております。ですので、例示として発行者に銀行、一番左側、書かせて頂いていますけれども、ここが資金移動業者になるということもあり得るということかと思います。

それから、信託につきましても同様でございます。発行者と仲介者が入るスキームとしては、信託スキームがあり得るのではないかということで、提示させて頂いているということでございます。

【神田座長】

ありがとうございました。

御指摘は非常に貴重な御指摘なので、今後、先へ進むときに検討をして頂けるということでしょうし、検討する必要があると思いますので、どうもありがとうございました。

それでは、次は野田先生、どうぞお願いいたします。

【野田メンバー】

よろしくお願いいたします。私も資料3にそって、各論点について手短にコメントさせて頂きたいと思います。

まず、論点1の技術コミュニティーとの対話についてなんですけれども、規制当局について、技術的な能力が必要であるということに関してはこれまでの議論に賛成なので、それ以上は申し上げません。ちょっと私が別の懸念として持っているのは、業界の空気感を見ると、仮想通貨でビジネスを行う人たちというのは、非常にリバタリアン的な思想を持っている人が多くて、根本的に、規制や規制当局自体を忌避するような向きが強いように感じています。端的に言って、彼らは国をよりよい市場をつくっていくための味方だとは思っていないという印象を持っています。しかも、従来の金融サービスと比較すると、彼らにとって、抜け道というか、規制をかいくぐる手段なども多いように思っています。指摘されているとおり、このような事情があることから、対話を実効的にするようにするというのは本当に必要になると思っていて、究極的には、何らかの枠組みづくりを行うということであれば、枠組みに参加することが得になるような状況をつくる工夫、これが必要になってくるのではないかなというふうに感じています。

論点2の本人確認されていない利用者への移転を防止することを求めるのはどうかと、そして、それをどうすれば達成できるかということについてなんですけれども、マネーロンダリングなどへの対策は本当に非常に重要だと思っています。本人確認などは、これを防ぐ上では非常に基本的、かつ強力な解決策なので、この政策を進めていくことについては賛成です。ステーブルコインについては、償還型のものであれば償還をする際にこういうことができるので、結構強力な規制ができるのではないかと思うんですけれども、分散型の仮想通貨などに対して行う場合には、これが十分な実効性を行えない可能性があるので、これについては、また別個その機能を補うような枠組みが別に必要になるのではないかなというふうに感じています。

論点3の償還型ステーブルコインの発行者に対してきちんとした償還能力を求める、これについては、本当に全面的に賛成で、それは規制当局がやらなければいけないことだと思います。これをどういう法律的な枠組みで達成するかに関しては、私は専門ではないので、コメントは差し控えさせて頂きます。

論点4と論点5の仲介者の機能について、責任についてなんですけれども、これは2番のステーブルコインのセクションの中の論点で挙げられていますけれども、仲介者が果たすべき責任は、扱う資産がステーブルコインかどうかにはよらないんじゃないかなというのが私の個人的な意見です。これは、仲介者に対する規制が必要ではないということを言っているわけではなくて、ほかのデジタル資産を扱う場合にも同様に、仲介者に対しては責任が発生するので、規制が必要なのではないかということですね。仲介者に対してどのような規制をかけるべきかは、扱う資産というよりも、仲介者の業態によると思っていて、特に集権的な交換業者と分散型金融としての交換プラットフォームに対しては、必要な規制も有効な規制も異なるというふうに思っていますので、どちらかというとその辺りの事情から、どういう規制が必要、そして有効になるのかが変わってくるのではないかなと思います。

最後に論点6については、ちょっとまだ私が、CBDCが現在発生しているどのような問題を解決して、社会をどのようによくしていくものなのか、つまり、CBDCをつくる目的についての明確なイメージがまだできていないので、細かいコメントはできません。私の専門はマーケットデザインで、目的を達成するような制度をつくるというふうな発想で常々活動しています。CBDCがどう設計されるべきか、例えば民間デジタルマネーに対するどのような影響が意図したもの、あるいは避けられないもので、何が避けるべき影響なのかなどについては、ちょっとCBDCの存在意義というか、民間デジタルマネーだけでは達成できないどのような問題をCBDCによって解決しようとしているかに依存すると思うんですね。例えばインクルージョンなんかは、CBDCの公的な機関が電子通貨を提供する意義としてしばしば語られるものですけれども、仮にこれだけが目的だとすると、CBDCの発行が最適な政策かどうかというのはちょっと微妙だと思いますし、逆にプログラマブルな法定通貨を提供することが目的だとすると、第2回の研究会で細かく議論というか、御説明したように、プログラマブルな法定通貨というのは、本当に取引の手段として非常に強力なものなので、悪用防止について細心の注意を払わなければいけない。具体的な発行がない中で、何を目的としてCBDCをつくるのかということ、目的を具体的に設定するというのは、ちょっと矛盾しているというか、やりにくい事情も分かるんですけれども、制度というのは目的のために設計されるべきで、そうしないと、設計されるルールが無軌道なものになりがちということには気をつけなければなりません。民間デジタルマネーが乱立する現状で、どういう問題が発生しているかを細かく洗い出した上で、仮想的なシナリオとして、どのような目的を達成するためにはどういう設計がいいのか、こういうことを議論していく必要があるように思います。

以上です。ありがとうございます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。それでは、次に、神作先生、どうぞお願いいたします。

【神作メンバー】

ありがとうございます。神作でございます。私も、資料3のステーブルコインついてコメントさせて頂き、順序は戻りますけれども、論点1と論点2についても関連するコメントをさせて頂きたいと思います。

まず、ステーブルコインに関して、6ページ以下にございます、発行者と、それから移転、管理を行う者とを分離して規制の在り方について考えるということについては、私もそれが適切であり必要であると思います。特にステーブルコインの移転、管理を行う者は、顧客と接点を持っておりまして、恐らくここはブロックチェーンの外の世界となることが多いと考えられ、リアルの世界と共通の問題であると思いますので、ここは既存の、例えば暗号資産の交換業者についての規律等を参考にしながら、規制の在り方について考えていくことが適切であると思います。まさに資料3にございますように、その検討を通じて、逆に既存の法制の在り方について反省したり見直したりすべき点が出てくると思います。そのようにお互いにフィードバックするということはあり得るかと思いますけども、顧客との接点がある部分というのは、ブロックチェーンの外で恐らく今後も行われていく、少なくとも当面は行われていくと思われます。と申しますのは、技術性や効率性の面等からして、顧客と接する部分は仲介者が仲介機能を果たすことが不可避と申しますか、必要な部分だと思われますので、今申し上げたような考え方で議論を進めていけばよろしいのではないかと思います。とりわけそのときに重要になりますのは、すでに多くの委員が指摘されておられますように、利用者、顧客の償還請求権を確保するということがステーブルコインの機能をきちんと確保するために必要ですし、利用者、顧客の保護という観点からも必要と存じます。

私も、井上先生や翁先生が御指摘されたのと同じ資料1の11ページの図について、御質問も含めてコメントさせて頂ければと思いますけれども、利用者の発行者に対する償還請求権を保全するためには、恐らく、左側というのは一種の共有、持分的な発想ではないかと思います。右が信託の受益権に基づく発想で、この2つが日本でこういった償還請求権を確保するための法律構成として適切であるということだと理解しました。特に、仲介者破綻等の場合に確保するためには有益な法律構成であるということは確かだと思います。恐らくそのためにこの2つの構成が提案されているのかと思いますけれども、井上先生も御指摘されたと思いますけれども、先ほどの保全という面では、2つの法律構成は明確だと思うのですけれども、例えば移転とか、特に左側がもし共有権的な発想を取っているとすると、様々な私法上のいろいろな論点が生じてくるのではないかと思います、共有物の管理をはじめとして。それが、このスキームにとって適切なのかというのを検討する必要があるかと思います。

御質問と申しますのは、左側の連名預金というのは、現在あまり日本では使われていないのではないかと認識しているのですけれども、既にこういった連名預金というのはもう使われていて、先ほど申し上げたような私法上の規律についても、大体ルールが確定しているというようなことがございましたら御教示頂ければと思います。

それからもうちょっと前のほうに戻って恐縮ですけれども、今申し上げたところというのは、極めてリアルの世界と接点があって、かつ仲介者が恐らく不可避、必要な分野だと思うのですが、問題は、論点の1とか論点の2に戻りまして、パーミッションレスのブロックチェーンの中で様々な金融サービス、金融商品等、金融機能を持ったサービス等が提供される場合に、どのような規制を考えていくかということがやはり非常に難しい問題なのではないかと思います。冒頭に松尾先生からも御指摘がありましたように、恐らくここは、規制の在り方自体をかなり根本的に考え直していく必要があるところなのだろうと思います。ブロックチェーンの中で行われる場合には、それこそスピードですとかビジネスモデルの変化とか、そういったことに対応していくためにも、従来型の監督、規制ではなかなか追いつけないところがあるのではないかと思います。松尾先生からレグテックという言葉がありましたけれども、場合によっては、監督の在り方とか規制の在り方自体を一種のプログラミング化していくということによって、適切な規制、それから、エンフォースについても対応できるような規制の在り方について考える必要があり、もちろんその大前提としては、こういったエンジニアとの対話というのが大前提になるというのはおっしゃるとおりかと思いますけれども、特にパーミッションレスのブロックチェーンの中では、規制の名宛人をはじめとして、規制の在り方自体、監督の在り方自体をさらにいろいろ考えるべき点があると思います。

ちょっと取り留めのないコメントではございましたけれども、私からは以上でございます。どうもありがとうございました。

【神田座長】

どうもありがとうございました。御質問があったと思うのですが。

【端本信用制度参事官】

神作先生からの御質問の1点目ですけれども、左側の預金スキームで想定しておりますのは、共有的な持分ということではなくて、それぞれの顧客のA、B、C、個々の持分が明確なものという想定で考えております。その前提といたしまして、仲介者のほうで業規制に基づいて、しっかりその持分は帳簿を管理するという前提で、持分が明確な連名預金というものを想定しております。そうしたスキームは今あるのかという御質問ですけれども、このような形で仲介者が連名預金の中で持分を移転している商品というのは、我々が知る限りはないと思います。1点、似ているものといたしましては、確定拠出年金、DCスキームの中のDC預金というものについて法制的に手当てされているものはございますけれども、いわゆるそういう法制的な手当てがなく、仲介者が連名預金の持分を移転するという形で実務が行われているという例は承知しておりません。

【神作メンバー】

どうもありがとうございました。もしよろしければ1点だけ確認と申しますか、追加の御質問よろしいでしょうか。

そうすると、私、ちょっと誤解していたかもしれませんが、連名預金というのは、例えばこの図だと、AとBの連名預金ではなくて、AとX、XとBという名前の連名預金という御趣旨でしょうか。

【端本信用制度参事官】

趣旨といたしましては、預金は、銀行のほうでは総額を顧客口という形で管理いたしまして、その総額の中の持分を顧客A、顧客B、あるいは顧客Cという形で区分すると。それを仲介者のほうの帳簿で管理するということを想定しているということでございます。

【神作メンバー】

承知いたしました。どうもありがとうございました。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、加藤先生、どうぞお願いします。

【加藤メンバー】

加藤です。よろしくお願いします。3点意見を述べます。

まず、資料1の11ページについてですが、日本における預金と信託受益権を利用したステーブルコインの図では、右側のアメリカの例と異なって、DLTやブロックチェーンがどのように利用されるかは明示されていません。これは民間事業者の方の創意工夫に委ねるという趣旨なのでしょうか。この点に関連するのですが、資料3の注の31で、アメリカにおける例を御紹介して頂いているのですが、もし可能であれば、何か根拠となる資料などを引用して頂けるとよろしいのではないかと思います。

次に、資料3の論点3について、2点、意見を述べます。

まず、今後の制度設計において、初期のリブラ構想のように、格付の高い公社債を引き当てとするステーブルコインの位置づけはどうなるのかについて、ご説明をお願いいたします。例えば論点3で例示されている2つの仕組みについては、ステーブルコインを発行するために利用可能とするために立法的な手当てをするということが提案されています。一方、銀行預金以外の財産を引き当てとするステーブルコインについては、特段の立法的手当てがなされなくても発行可能であるという整理なのか、もしくは、そういったものは日本法上のステーブルコインではないと扱うのでしょうか。この点は、銀行預金以外の財産を引き当てとする海外で発行されたステーブルコインの国内における流通をどのような基準に従って認めるのかという点と関係するように思いました。

次に、民間の電子マネーとの関係です。電子マネーについては、様々なサービスが乱立しています。ステーブルコインについては、このようなサービスの乱立が生じるかどうかはやってみなければ分からないわけですけれども、同じような乱立が生じてしまうことが、果たして望ましいのか。さらに、そういうことが可能になっている制度設計でいいのか考える必要があると思います。少なくとも仲介者のレベルで、様々な種類、仮にその様々な種類のステーブルコインが発行されるのであれば、その間の互換性というか、交換可能性を確保できるような仕組みが存在すると利便性が高まると思いますし、今のような、電子マネーのような状況にはならないと思います。また、この互換性については、CBDCによって一部達成可能であるかもしれません。ですから、ステーブルコインについて新たな規制、特に仲介者のレベルでの規制を設ける際には、CBDCの設計事情として御紹介頂いた水平的保存の妨げにならないような配慮というものも必要であると考えます。

私からは以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。これも御質問だと思いますが。

【端本信用制度参事官】

加藤先生から御質問ですけど、まず、1点目、分散型台帳をどう使うかということなんですが、これは民間の実務のお話だと思うんですが、御参考までに、例えば信託受益権ですと、受託者、信託会社、受託者のところと仲介者、例えば不動産を信託受益権で証券化する場合ですと、仲介者は証券会社ということになるわけですけれども、両者の情報共有、信託会社と仲介者から証券会社の情報共有を分散型台帳、これはパーミッション型の分散型台帳だと思いますけれども、使っておられる例があるというふうに承知しております。

それから、注の31の文献ということですけれども、これは、事務局資料ですと10ページになります。暗号資産で、暗号資産、仮想通貨交換業等に関する研究会で議論して頂いたとき、2018年10月に取りまとめての資料ですけれども、そこで同じような議論をして頂いたということを1つ例示させて頂きたいと思います。

それから、3点目、銀行システムといいますか、銀行等で資産を保全する以外はどうなのかという御質問ですけれども、今の日本の法制ですと、為替取引は銀行、または資金移動業が行うということになっております。それを前提といたしまして、銀行、または資金移動業を発行者として、その下に仲介者がぶら下がる場合はどういうことかという観点から資料を提出させて頂いております。そういう意味で現行の発行者や為替取引の概念を再構築するかとか、その辺りの議論までは至ってないということでございます。

以上でございます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

何か大昔に投資信託の決済機能とかを議論した、その頃を思い出しますですよね。こちらでは、ステーブルコインのように決済手段として使われるものは、銀行法、資金決済法であり、投資運用の対象として使われるものは金商法だというのが基本的な今の流れですよね。ですから、デリバティブを議論したときに、原資産による縦割りではなくて、原資産が何であれというのでしょうか、こちらの言葉で言うと、ステーブルコインをステーブルにさせるためのリンク先の資産なり指標が何かによって縦割りで考えるよりは、ステーブルコイン自体が、あるいは、もし例えばですけれども、デリバティブ取引になれば、それ自体が投資の対象なのか、あるいは決済、支払いの手段なのかなということを中心に今後詰めて頂く必要があると思います。ただ、この研究会では基本的なところの論点を明らかにするというのが役割かと思っております。どうも貴重な御指摘をありがとうございました。

それでは、すみません、先へ進ませて頂きまして、次は横関先生、どうぞお願いします。

【横関メンバー】

ありがとうございます。私からは、全体的に論点1、6、あと5を中心に少しだけ発言させて頂きます。

こちらはもう既にある程度コンセンサスが得られていると思いますが、官と民の技術交流に関しましては、法的には責任やリスクに対する保証要件をしっかり規定しながらも、官と民で技術的な安全性をその都度審査をするというような柔軟な体制が必要かなと考えています。最初から完璧なシステムや、問題に対する対策を網羅した運用は困難だと思います。技術的な進歩も考えると、最初は、ケース・バイ・ケースでもいいので、しっかり技術を審査する、安全性を認めていくという体制が必要だろうと考えています。技術的な論点は、技術者を抱えるという形でも構わないので官で管理しながらも民との対話による方式が必要だと思います。また、これは松本委員からもありましたが、標準的なプロトコルですとかアルゴリズムというのも、しっかり官がある程度それを認めていくというところがやりやすいのかなと思います。それを用いていればどのようなサービスもある程度技術的な安全を保証するという意味では、事業者も安心してサービスを組み立てられると思いますし、ある程度技術まで突っ込んだ官での審査体制といったものが必要かなと思います。

論点6のCBDCについては、発行するのであれば、標準的なパッケージ、技術的な基盤も含めて、インフラも含めて、提供するというのがやはりいいのかなと思います。信頼、信用というのがCBDCには求められると思いますので、そのパッケージを提供するという意味では管理しやすいですし、それに逸脱するようなものはいろんな検知技術もデジタルに可能ですので、そういった管理が必要かなと思います。

論点3の発行者とか仲介者の規律については、私も、基本的にはセイムビジネス、セイムリスク、セイムルールの考えでいいと思っています。機能に応じた設定で従来規制はある程度応用可能ではあるとは思いますが、せっかくの分散型金融、分散型台帳ということですので、従来金融との差異というのは技術的に押さえた上で議論する必要があるだろうと考えます。せっかくの分散型なので、システムの冗長性をしっかり担保した上で構築する必要があります。ある程度、やはり従来システムとは違った運用というのが、例えばAIを利用するとか、技術的なことは可能ですので、その点は促進していくべきと思います。

あとは、最後にこれは繰り返しになりますけれども、技術は日々進化というか、変化することも考えますと、最初からがちがちな規律を求めるというよりは、官と民の技術交流で、ある程度限定したところからでも構わないので、システム検討、体制検討の議論は進めながら、社会実験が必要だと思います。社会的なリスク受容性も必要だとは思うんですけれども、分散型が重要だという考えを国がするのであれば、やはりそういったイノベーションを加速させるような実証実験みたいな場を積極的に早く与えるべきだと思っています。

以上になります。

【神田座長】

どうもありがとうございました。それでは、続きまして、佐古先生、お願いいたします。

【佐古メンバー】

ありがとうございます。お時間も限られてきたので、私からは3点だけコメントさせて頂きます。

まず、1点目なんですけれども、論点2の(1)ですけれども、ここで例として、本人確認されていない利用者への移転を防止することや凍結処理を行うことというような例が書いてありますけれども、例えば現金の場合は、本人確認されてない利用者の移転を防止することということはないと思いますので、ここだけ取り上げると、セイムルールの原則から外れるように思っています。などで、現金で許されているようなリスクの範囲内ですと、このような規制ではなくて、柔軟に検討するのがよいと思います。デジタル技術を使っておりますので、実は物理的にできないようなこともできてしまいます。「できてしまう」というのはいい意味で、「可能」になるので、例えばふだんは利用者は特定できないけれども、何か問題があったときに利用者を特定できるとか、凍結処理が行えるみような、本人のプライバシーを保護するような形での制御もできるのではないかなというふうに思っております。

2点目について話させて頂きます。2点目は、論点3、4についてなんですが、話させて頂きますと言いながら、実はここに書いてあるステーブルコインの分類や機能や役割について、これで見落としがないのか、抜けがないのかといったことが私の中で整理できてないというのが率直な感想です。私だけかと思っていたんですけれども、今回、委員のほかの皆様も同じようでちょっと安心しています。例えば、複数の発行者が発行する複数のステーブルコインに対応するウオレットのサービス提供者というのが、仲介者という位置づけなのかどうなのかとか、そういうウオレット用のプログラムとかの提供者も仲介者に考えるのかとか、そういう曖昧さがあると思います。また資料で、仲介者に託されている帳簿管理の「帳簿」というのが、ブロックチェーンなどの台帳と同じものなのかどうなのか。先ほど神作先生からブロックチェーンの外に仲介者がいるんじゃないかというお話もありましたけれども、ちょっと言葉だけではなかなかそこの理解が難しいかなというふうに思いますので、もう少し具体的な役務について、イメージが湧くような議論ができたらと思っております。

ごめんなさい、もう1点追加で、4点あることが分かりましたけど、3点目については、今回、論点5で、関係者の役割や責任関係の明確化と書かれてありますけど、私もこれは重要だと思いますが、逆にステーブルコインを見て、誰が責任者なのか、誰が発行者なのかというのが分かるような仕組みもちゃんと組み込んでいかないと、このような規制を適用できないかと思っております。そこの議論もあるとよいと思いました。

あと最後、4点目なんですけれども、CBDCに関して、個人情報保護を考慮すると書いてあるんですけれども、個人情報保護というのは、個人情報を持っている人がその情報を保護するというような印象があるんですけれども、そうではなくて、そもそも規制側も個人情報を持たずに済むような、プライバシー保護に対する配慮みたいなこともあってもよいのかと思っています。

以上4点、話させて頂きました。ありがとうございます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。それでは、松尾先生、どうぞお願いいたします。

【松尾メンバー】

すみません、2回目で申し訳ございませんが、先ほど言うのを忘れたんですけども、松本さん、あるいは横関先生からあったように、標準をつくっていく、技術標準をつくっていく、でき得れば規制当局の考えも入っている標準をつくっていくということは非常に重要で、その場所は既にあって、それは私が第2回で御紹介したBGINという場所がまさにそのために作ったもので、金融庁の方にもいろいろ御協力頂いてつくったものがあります。野田さんから御指摘があった、いわゆるリバタリアン的だというんですか、オープンソーススタイルのエンジニアは参加しないのではないかということに関しては、実は御心配には及ばなくて、そういう人たちも参加しているわけですね。ちょうどBGINの、チャットスクリーンに上げますけど、BGINの年3回の総会が明日から3日間、日本の夜9時からなんですけど、開催される予定で、それこそビットコインのコアであったりとか、あるいはDashとかZCashみたいな人たちもいますし、規制当局も、OECDからIMFからワールドバンクから、あるいはFATFの人も含めていたりとか、あとエルサルバドルで実際ビットコインのアドプションやっている人などもいて、その人たちが一堂に会して議論するという場所が既に存在しますので、そこでこういう、いわゆる今回議論されているようなエンジニアと規制当局とビジネスとアカデミアのコミュニケーションとは何かということが実際に行われておりますので、軽く宣伝にはなるんですけども、ぜひその一端を見て頂ければなと思っております。ちょっと宣伝でした。すみません、ありがとうございます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

ちょっと予定の時間を過ぎていて大変恐縮ですけれども、もう少しだけお時間を頂ければと思います。メンバーで御出席の方はほぼ全員から御発言頂きましたが、栗田さんからは特に御発言を頂いておりませんが、よろしゅうございますでしょうか。もし何かあれば承りたいと思いますけれども。

【栗田メンバー】

ありがとうございます。本日はもう時間もありませんので,個別にとりまとめ資料にコメントさせていただきます。

【神田座長】

そうですか。どうもありがとうございました。

そうしたら、オブザーバーの皆様方、ちょっと今日時間があまりないのですが、もし御発言があれば手短に伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。特によろしいでしょうか。どうもありがとうございます。

それで、ちょっと皆様と御相談というか、お諮りさせて頂きたいことがございます。といいますのは、今後についてということになります。

本日も大変活発な御議論、貴重な御指摘を多数頂きまして、誠にありがとうございました。送金・資金決済分野に関わるものを想定して、本日御討議頂いた事項でいえば、1点目として、パーミッションレス型の分散型台帳等を利用した金融サービスに関する基本的な課題、これはその前提になるような話、そして2点目として、ステーブルコインをめぐる諸課題について幅広い論点について御指摘を頂いて、御議論を頂いたものと理解しております。あわせて、本日の3点目であるCBDC、中央銀行デジタル通貨についても、基本的な点についての御意見を頂戴いたしました。そこでこの先、この研究会はどうするかということなのですけれども、できましたらこの時点で一旦これまでの議論を整理し、本日の資料3をベースに、本日たくさんの御指摘を頂きましたので、それを反映させて、取りまとめの案のようなものを事務局で作成して頂いてはと思っております。実は具体的なステーブルコインにつきましては、今日、法律関係の先生方、それから佐古先生からも細かい御指摘を含め、大変重要な御指摘を多数頂いたのですけれども、これについては、金融審議会の資金決済ワーキング・グループというほうで資金決済制度について検討して頂いておりますので、具体的な制度的な対応を含めて、できればそちらであと詰めた議論をして頂けないかと思います。神作先生が座長をしておられて、恐縮ですけれども。我々の研究会は、一旦ここで今日までのところを取りまとめさせて頂いて、ステーブルコインの議論は、資金決済ワーキング・グループのほうにお願いをし、私どもとしては、引き続きネーティブな暗号資産というのでしょうか、それから証券というのでしょうか、有価証券というのでしょうか、投資の対象となるような場合、それからDeFiというのでしょうか、などについて、技術の先生方、そしてまた制度、法律その他、幅広く皆様方に参加して頂いておりますので、この研究会で議論をしていってはどうかというふうに感じます。場合によっては、ステーブルコインについて、この研究会でもう1回御議論頂くということも考えてもいいかとも思うのですけれども、今日御指摘頂いたいろいろな点は、私の感じでは決済ワーキング・グループのほうで詰めて頂いて、その結果、またこちらで御報告させて頂きたいと思います。それでいけるのではないかという感じを持ちました。

そうだとしますと、やや繰り返しになりますけど、私として皆様方にお諮りしたいこととしては、今日まで頂いた御議論を反映させたものを、資料3をベースに事務局において取りまとめて頂く。ただ、つくって頂いた案は、もちろんメンバーの皆様方には個別に御確認頂いて、つまり会合は開きませんけれども、個別に確認頂き、メール等でのそういう意味では審議ということになるかと思います。それで、取りまとめられれば後日それを公表させて頂くということにして、私どもとしては、先ほど申しましたように、次なるトピックに移っていきたいということができないかと思っております。繰り返しになりますけど、ステーブルコインをめぐる諸課題については、この研究会での基本的な考え方を踏まえて頂いて、金融審の資金決済ワーキング・グループにおいて、制度的な対応を含めて、さらなる詰めの検討をして頂ければというふうに思います。

以上のようなことを考えているのですけれども、皆様方に大変恐縮ですけれども、以上のような進め方について、御承諾というか、御承認頂けませんでしょうか。ちょっとオンラインでなかなか表情は分かりにくいのですけれども、少なくともうなずいて頂いた、画像をオンにして頂いている先生方にはうなずいて頂いた方が多いので、大変恐縮ですけれども、御承認頂いたということにさせて頂きます。繰り返しになりますけども、今後必要に応じた御報告等はさせて頂きますけれども、まずはこの時点でのこの研究会のこれまでのところの取りまとめについては、事務局で作成して頂いた案を皆様方に個別に御相談させて頂きますので、よろしくお願いいたします。

ということになりますと、この研究会としては、今後は資金決済以外の分野というか、これまで議論しなかった分野で、具体的には、繰り返しになりますが、ネーティブな暗号資産、あるいは証券、有価証券、それからDeFiとか、言わば資金決済の分野以外という、取りあえずそういう言い方で漠としているのですけれども、を取り上げて御議論を頂きたいと考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

それでは、最後に、事務局から連絡事項等ありましたらお願いいたします。

【端本信用制度参事官】

次回の研究会の日時につきまして、皆様の御都合を踏まえた上で、後日御案内させて頂きます。よろしくお願いいたします。

【神田座長】

ありがとうございました。

本日は私の司会の不手際で10分以上延長してしまいまして、大変申し訳ありませんでした。皆様方には大変活発な御議論をたくさん頂きまして、どうもありがとうございました。

以上をもちまして、本日の研究会を終了とさせて頂きます。どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
企画市場局総務課信用制度参事官室、市場課(内線3572)

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