「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」(第8回)議事録

  • 1.日時:

    令和4年11月14日(月曜)09時30分~12時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館 13階 共用第一特別会議室

「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」(第8回)
令和4年11月14日
  
※一部発言は英語により行われたため、仮訳を付しております。

【神田座長】
 皆様おはようございます。それでは、予定の時間になっておりますので、始めさせて頂きたいと思います。
 ただいまからデジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会の第8回目の会合を開催させて頂きます。皆様方には大変お忙しいところを御参加頂きまして、誠にありがとうございます。

 本日の会合ですが、本日も前回に引き続きオンライン開催とさせて頂きます。一般の傍聴はなしとした上で、メディア関係者の皆様方には金融庁内の別室において傍聴して頂くこととしております。

 本日ですけれども、DeFiやトークンを利用した資金調達などを取り上げます。テーマに応じたオブザーバーとして、次の方々に御参加頂いております。全国銀行協会、日本資金決済業協会、日本証券業協会、日本暗号資産取引業協会、信託協会、日本STO協会、金融情報システムセンター、Fintech協会、新経済連盟、以上の方々に御参加頂いております。

 では、議事に移ります。本日ですけれども、まず最初に、足元の暗号資産マーケットの状況と本日のプレゼンテーションのテーマについて、事務局から説明をして頂きます。

 続きまして、DeFiやトークンによる資金調達に関する分野で活動しておられる方々から、御見解を伺いたいと思います。「DeFiプロジェクトのガバナンス、プロジェクト・プロトコルの健全性・信頼性・安全性の評価」ということ、それから「資金調達手段としての暗号資産を含むトークンの利用の状況」、これらなどについての御見解を伺いたいと思います。その後、メンバーの皆様との間での質疑応答をさせて頂きたいと思います。

 本日、参考人として御出席頂いている方々ですけども、説明頂く順番としては、まずUniswap LabsのBanaei様でございまして、DeFiプロジェクトのガバナンス、プロジェクト・プロトコルの健全性・信頼性・安全性についてお話を頂きます。
 その次に、double jump.tokyoの上野様でございまして、トークンによる資金調達の状況と課題について御説明を頂きます。
 Banaei様と上野様には大変お忙しい中を御参加頂き、誠にありがとうございます。

 本日は、お二方からそれぞれ15分程度の御説明を頂いた後で、40分程度、質疑応答の時間を設けてというやり方で1つずついきたいと思います。
 また本日、お二方から御説明頂く内容を踏まえまして、メンバーの皆様方から御発言、御意見等ございましたら、これは質疑とは別に、その後に、本日の会議の最後の時間帯になりますけども、そこのところで御発言を頂ければと思います。

 なお、Uniswap LabsのBanaei様の御説明やメンバーの皆様方からの御質問への回答は英語で行われることになります。開始前に事務局からお話しさせて頂いたと思いますが、同時通訳機能を用意しておりますので、必要に応じてWebex画面左下に通訳マークがあると思うのですけれども、地球のような、地球儀のようなマークです。それを押して日本語に切り替えることで通訳の音声を聞くことができますので、適宜御利用頂ければと思います。

 それでは、まず最初の事務局説明から始めたいと思います。事務局からの御説明をお願いいたします。これは眞下さんから。どうかお願いいたします。

【眞下フィンテック参事官】 
 御紹介頂きました総合政策局のフィンテック参事官、眞下と申します。
 先週、11月10日木曜日でございますが、関東財務局はFTX Japan社に対する行政処分を発出いたしました。以下では、この処分に至った経緯、処分の概要、その後の足元の状況を御説明させて頂きます。

 まず、今回処分の対象となりましたFTX Japan社、この後、日本法人と申させて頂きますが、本社、東京都千代田区に置く、社員が69名、業界では中堅規模の法人でございます。資金決済法に基づきまして、暗号資産交換業の登録及び金融商品取引法に基づく暗号資産デリバティブ取引のための第一種金融商品取引業の登録を受けた、グループでグローバルに事業を展開する米系金融機関でございます。

 さて、今回の行政処分の経緯といたしましては、画面の2ポツ、処分の理由に関連の内容がございますが、幾らか補い御説明いたしますと、同日本法人は、米国外のグローバルで事業を営むFTX Trading Limited、この後、グローバル法人と呼ばせて頂きますが、こちらの子会社という関係がございます。

 以下、こちらのグローバル法人をめぐる動きでございますが、独自の暗号資産、FTTを発行するだけでなく、このFTTを用いた運用が報道される中で、先週に入りましてFTTの価格が下落し、グローバル法人の健全性に懸念が広がりまして、顧客による預かり資産の引き出しが増加するといった状況がございました。これを受けまして、グローバル法人におきましては、顧客による暗号資産の引き出し、法定通貨の出金停止に至りました。

 こうした状況の下、11月9日水曜日昼頃から、今度は日本法人におきましても、グローバル法人の対応方針に沿って、顧客による暗号資産の引き出し、法定通貨の出金を一時停止する事態が生じました。なお、その際、同日本法人は法令にのっとり、暗号資産はコールドウォレットにおいて、法定通貨は信託口座において分別管理を行っていることも公表しています。

 さらに、10日木曜日早朝に、グローバル法人につきましては、一旦、別のグローバルの大手暗号資産取引業者が、事業買収に向けて表明していました合意を一転、事業買収を行わないことの表明に至りました。

 こうした事態も踏まえまして、上記のとおり、利用者財産の返還を停止している状況や、日本法人の顧客の利益が害されることを防ぐため、同日木曜日に、関東財務局は、資金決済法及び金融商品取引法に基づき、以下、資金決済法につきまして、資料の1ポツ、行政処分の内容にある点を述べさせて頂きますと、1つ目といたしまして、法の第63条の17第1項に従いまして、原則的に1か月の間、新規の取引及び新規の財産の受入れを停止すること、すなわち既存取引の決済や金銭の払戻しといった、顧客が手元に資産を取り戻す活動に配慮した内容を命じました。

 続きまして、2ポツの法第63条の16に従いまして、業務改善命令といたしまして、4項目、利用者及び利用者資産を正確に把握すること、顧客資産を保全するとともに会社財産を不当に費消しないこと、利用者保護に万全の措置を講ずること、利用者の資産保全の状況について、利用者への周知徹底を適切に図り、利用者への適切な対応に配慮することを命じました。

 こうしたこともありまして、出金は、11月11日金曜日の昼頃、一旦再開するなどに至りました。

 その後の状況でございますが、米国時間の11日金曜日に、アメリカのほうにおきまして、グローバル法人が同社や日本法人を含むFTXグループ各社につきまして、連邦破産法11条適用を申請いたしました。

 一方、こうした動きを踏まえまして、FTX Japan社は、日本時間で12日土曜日でございますが、改めまして、顧客の資産が、日本法令にのっとり、暗号資産はコールドウォレットにおいて、法定通貨は信託口座において厳密に分別管理していることを再度表明いたしました。

 また、本日14日月曜日の未明でございますが、今、投影頂いておりますが、当社は、当社におけるお客様の資産の管理状況についてという内容を公表いたしまして、先ほど述べました暗号資産や法定通貨の管理状況、具体的には1ポツの暗号資産の管理状況につきましては、お客様の預かり残高が、コールドウォレットの残高、いずれも余剰を持って管理されていること、2番目に、法定通貨の状況につきましても、お客様の預かりが信託残高に余剰を持って管理されていることを具体的に表明しております。

 さらに3番目のところでは、自己資産の状況といたしまして、9月末現在でございますが、同社は純資産額が約100億円あること。また、こうした預かり資産以外にも、当社は現預金として約200億円弱、196億円、11月10日現在で保有しているという状況を明らかにしたところでございます。

 いずれにいたしましても、金融庁としましては、先般、FTX Japan社に対しまして、先に述べましたように、特に利用者保護に万全の措置を講ずること、利用者の資産保全の状況について利用者に周知徹底すること、債務を履行するための資産を国内に保有することなどを内容とした行政処分を行ったところでありまして、今後とも、利用者保護の観点から、しっかりとモニタリングを行ってまいります。

 以上でございます。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。では大来さん、お願いいたします。

【大来信用制度参事官】 
 ありがとうございます。大来でございます。

 本日、2社の方からプレゼンテーション頂きますが、そのテーマ、資料1を御覧ください。

 (1)といたしまして、DeFiプロジェクトのガバナンス等ですけれども、DeFiプロジェクトの具体的な内容がどうなっているか、そしてDeFiプロジェクトのガバナンスはどのようになっているか、さらにDeFiのプロジェクトあるいはプロトコルについても健全性・信頼性・安全性はどのようになっているかというのが当研究会としての着眼点かと存じます。

 また(2)といたしまして、資金調達手段としての暗号資産を含むトークンの利用の状況といたしまして、例えばトークン投資とエクイティ投資でどのように性質が異なってくるか、あるいは投資家目線でトークンを用いたプロジェクトを考えるとき、その評価する目線あるいは視点として、どのようなものを持っておけばよいかといったようなことをテーマとできればというふうに考えてございます。

 以上でございます。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。

 それでは、今御説明頂きましたように、まずUniswap LabsのBanaei様から資料2についてのプレゼンテーションをお願いしたいと思います。

 Banaeiさん、どうもありがとうございます。今日の御参加に感謝いたします。どうぞ、では始めてください。

【Uniswap Labs(Banaei)】(仮訳)

 ありがとうございます。世界最大の取引所の1つが世界的な破産をしたことを踏まえ、このプレゼンテーションの中でも、DeFiと中央集権型金融の重要な違いのいくつかに触れてみます。

 プレゼンテーションに入る前に、Uniswap Labsについて簡単に説明しておきたいと思います。当社は米国を拠点とするWeb3ソフトウェアの開発者です。とりわけ、私たちはUniswapプロトコルの開発に貢献してきましたし、欧米のユーザが安全で有益な方法でWeb3を利用できるようにするソフトウェアも提供しています。

 したがって、Uniswapが関与するのは、分散化された取引プロトコルであり、最初にEthereumのブロックチェーン上に構築されたものです。これにより、資産を自己管理している人々は、カストディアンのような仲介者や、例えばFTXやBinanceのような中央集権的な取引所によって管理されるセントラルリミットオーダーブックを必要とすることなく、流動性プールに貢献し、価値を移転し、特定の資産の価値を流動性プールを通じた競争入札プロセスを通じて特定することができます。

 プロトコルは、プロトコルに対して限定された権限を持つ、分散化された自律的な組織(DAO)によって管理されます。DAOの特徴のいくつかを説明しますが、プロトコルに関しては、6つの重要な特徴のようなものがあります。

 まず、セルフ・カストディは基本的な要素であり、カストディリスクはありません。したがって、FTXで見たように、資金の不正流用のリスクは存在しません。
 一例を挙げると、これもまた、消費者保護の重要なポイントですが、ソフトウェア、プロトコルは自由に使用でき、ソースコードは透明性があり、最終的にはインターネットに接続できれば誰でも利用できます。コードはEthereum仮想マシン(EVM)上で自動的に執行されます。
 Satoshi Nakamotoがいなくなったのと同じように、Uniswap Labが消滅したとしても、そのプロトコルは動き続けます。

 また、基本的に2つのタイプの利用者が存在します。

 まず、プールに流動性を提供する流動性プロバイダーが存在します。流動性プールには資産のペアがあり、これらの資産の価格は、これらの流動性プールと利用者(トレーダーまたは投資家)との相互作用によって決定されます。

 したがって、市場価格は特定のプールにおける2つのトークン間の比率によって決定され、トレーダーはそれに対して取引を行い、その相対値をどちらかの方向に押し進めます。スライドの右側には、この公式がどのように機能するかを簡略化した説明があります。

 流動性プールはこれらのペアの拠出金を合計したものであり、この構造が可能にすることは、1円または数百万円でも保有する者は誰でも「マーケットメーカー」のエクスポージャーを得ることができることです。
 私が言いたいのは、伝統的に市場では、マーケットメーカーやディーラーがやってきて、即座に取引を執行する能力を提供し、マーケットメーカーは資産を購入した価格と売却価格とのスプレッドに基づいて収益を得るということです。

 流動性については、自動化されたマーケット・メーカー・モデルと呼ばれるものがありますが、これは私たちが聞いている話では、マーケット参加者がクラウドファンディング・メカニズムを通じて参加できるようにするものです。

 次のスライドに移ります。少数の流動性プロバイダーが一般的に見られる伝統的な金融市場とは対照的に、Uniswapプロトコルでは、数万の異なるアドレスが流動性に貢献しています。

 こちらのグラフは、ビジネスのために流動性が提供されている程度を示しています。我々は、金融取引の民主化やコモディティ化を可能にしたことを誇りに思います。それは非常に興味深いことであり、私がこの世界に参加した大きな理由でもあります。

 次のスライド、DeFiの紹介に移ります。これが伝統的金融のサプライチェーンです。この各レベルで、自分自身または重要な金融サービスを提供する規制された機関を信頼しています。取引機会を見つけて執行するためにブローカーや投資アドバイザーの手を借りざるを得ないこともあります。

 また、しばしば、ブローカーでもあるカストディアンを利用して取引をするか、取引が執行されて価格が決定され、それらの取引がコントロールされた清算機関に送られるような取引も行われます。
 また、株式や債券の場合には、移転のために異なる株主や受益権の保有者、特定の企業や発行体の記録を保管しているエージェントが必要になるかもしれません。

 次のスライドです。中央集権的なデジタル資産ネットワークにおいても同様です。

 中央集権的なデジタル資産のトラストのサプライチェーンは、基本的に、ブロックチェーンサービスシステムを利用した取引機関に置かれています。一方、この点がまさにbitcoinのイノベーションですが、Bitcoinは、銀行やその他の仲介業者を利用せずに金融取引を決済する明確な方法を創出しました。中央集権的な市場では、中央集権的な取引所が、これらのデジタル資産の在庫を必要とし、次に特定の顧客の保有状況を表す内部台帳を管理し、デジタル資産を交換します。

 FTXで見られるように、こうした仕組みは悪用される可能性があります。なぜなら、台帳を管理する中央集権的な仲介業者に依存しているからです。ここでは、取引所がブローカーとして機能し、通常はトレードブックのプロトコルも提供し、顧客のカストディアンとしても機能しています。FTXで見たように、中央集権的な取引所における顧客間の関係が悪用される可能性があります。

 次のスライドです。DeFiでは、中央集権的なデジタル資産エコシステムで行ってきたその機能の一部を新しいプロトコルに置き換えることができます。
 UniswapプロトコルのようなDeFiスマートコントラクトは、中央集権化された経験に代わるものを提供することができます。
 分散化された取引所システムに参加する顧客は、自分自身の資産の保管を維持します。デジタル資産を管理する秘密鍵を持っているのは顧客だけであり、顧客の同意なしには、誰もその資産を担保に入れたり、担保借入を行うことはできません。
 多くの場合、顧客がDeFiエコシステムに入るために使用するインターフェースやソフトウェアは分散化されています。そして、信頼できる人や会社がいるという要素があるので、それについては次のスライドで説明します。

 これは、DeFiエコシステムがどのように機能するかを示すモデルです。彼らは一番上にユーザを抱えています。そのため、ユーザが何かを買いたい、何かを売りたい、流動性を提供したい、資産を貸し出したい、または資産を借りたいなど、ユーザから取引に関する情報を取得します。

 これらのコマンドは、我々がUniswapプロトコルに提供するインターフェースであるapp.uniswap.orgのようなフロントエンドまたはインターフェースに入力され、他のインターフェースもそこにあります。
 Uniswapプロトコルに関する1つの点としては、プロトコル上で行われる取引の約15%から20%は、Uniswapのインターフェースを通じて行われ、80%から85%は、他のインターフェースを介して発生します。
 これらのフロントエンドは、多くの場合、consensysのような営利企業によって管理される営利目的のものです。それらはしばしば集中化されています。例えば、UniswapのフロントエンドはUniswap Labsによって管理されています。

 このエコシステムを見ると、実際にはインターフェースはある程度は中央主権型が存在するレイヤーです。インターフェースは、次に、現在の分散化された取引プロトコルとの間で注文または指示または様々な情報を送受信します。そしてこれらのプロトコルがトランザクションを生成し、それがEthereumネットワーク上で検証されます、これがベースレイヤー、DeFiトランザクションのためのレイヤー1です。

 以上がアーキテクチャとエコシステムの概要です。

 次のスライドです。最近のFTXの破綻で明らかになった課題の1つは、このエコシステムへの信頼を確保するために、業界が政策立案者と協力する必要性だと考えています。先週起きたことを踏まえて、ここでいくつかの述べると、エコシステムのすべての中央集権的ポイントで信用があることが非常に重要になると思います。
 また、DeFiプロトコルを信用する必要もあると思います。我々の提言は、現在DeFiをどのように規制するかを検討している日本政府に対して、分散型金融に関しては、既存の規制から多くの概念を借用することができるということです。
 これらの規則をどのように実施するかは、金融リスクに対処するDeFiの取組みとの間で適切なバランスを取るために、専門知識の開発におけるもう少しの努力を必要とします。

 我々の推奨事項は、最初にエコシステムの残りの部分である、ハッキングと詐欺に焦点を当てることです。これらは2つの異なるサブカテゴリーに分類することができます。それらはサイバーセキュリティと、いわゆるプロダクト設計リスクです。これらはすべて、規制基準から影響を受ける可能性があります。そして詐欺に関して言えば、鍵となるのはエクスポージャーだと思います。そのため、中央集権的な取引所はすでに、標準化された開示を普及させようとしていると私は考えます。これは欧州のMiCAのレベル2で対応されるものです。

 しかし、DeFiのエコシステムは、DeFiのエコシステムにおける消費者に開示情報を伝える方法にもなり得ます。
 我々の提言は、ボランタリーなコンプライアンスと規制された事業体のDeFiへの参加から始めて、消費者保護、マーケット・インテグリティ、システミックリスクの防止のような従来の金融規制ルールを達成する方法を提供する基準が開発され、置き換えられることです。

 これらの自主的な基準は、最初に、そして主に中央集権的なサービスプロバイダに適用され、義務的にしていくということが妥当であるかと思います。
 基本的な考え方としては、最初は自発的なコンプライアンスの枠組みであり、これらはより洗練されたものになり、セーフハーバーに移行します。そのため、自発的なコンプライアンスネットワークを必要とする企業に法的サービスを提供し、時間の経過とともに強制的なルールにつながります。
 我々はまた、イノベーションを促進するため、ぜひ規制対象事業者によるパイロット実験をしていただきたいと思います。

 また、DeFiを規制するための非常に慎重で秩序だったアプローチ、基本的アプローチを取ることの利点の1つは、それがまずコンプライアンスとリスク管理のための競争的な市場の発展を促進することであると考えます。そのため、例えば、スマートコントラクトの監査や、AML/CFT、市場監視ツールも必要になってくるでしょう。市場参加者あるいは中央集権的サービスプロバイダや規制当局が、情報開示をしっかり確認していくということでリスクを低減していくことも重要です。例えば特定のトークンが、このエコシステムにアクセスする場合には、そのような情報開示が必要となってきます。

 次のスライドです。我々は米国よりも欧州に注目することを推奨します。
 欧州MiCAは、2025年までの24か月でDeFiに関連する最初の政策提言を行い、その後48か月の2027年に、すべての提言に関する最終報告書を作る予定です。彼らはDeFiを規制する必要があるかどうかを検討する前に4年を与えています。

 また、2週間半ほど前に、欧州委員会が、DeFiサービスに関するボランタリーなコンプライアンスの枠組み等に関するペーパーを発表しました。彼らは、DeFiサービスに固有の新しいルールと、コンプライアンスを十分に魅力的なものにするために設計された一連のインセンティブを推奨しました。

 コンプライアンスを現実的なものとする方法の1つは、セーフハーバーを通じて、特定の要件を満たす場合には強制措置を差し控えることだと思います。

 次のスライドです。当社は現在米国を拠点とする企業ですが、米国に目を向けることはお勧めしません。我々は、米国がとったアプローチは非常に失望させるものであると考えます。規制したり、金融の中央集権化や分散化を発展させたりという繰り返し起こるテーマがあります。これは分散化されたエコシステムを歪めます。なぜなら、中央集権的な主体を規制することにつながりうるからです。それは、FTXのような主体を作ることになります。FTXや他の集中化された金融で残念ながら見られるものです。

 以上となります。

 スライドについて1つの質問があったと思います。これらのスライドは数週間前に作成したものですが、これに回答いたします。これが、このUniswapが分散化を確実にする方法です。信頼できる中立性の概念はweb3の基礎であり、重要な中立性は、コードが本当にオープンであることを保証し、ライセンス制限やNDAなしに誰もが使用できる特定のプロトコルを意味するコンパラビリティを可能とします。これが、開発者が既存のプログラムに基づいて構築することを可能にし、イノベーションのレベルの向上と合理的な金融サービスエコシステムを可能にすると考えています。

 一般的にDeFiで十分に強調される分散化の重要な特徴の1つは、限定されたガバナンスであり、Uniswapプロトコルの使用は、おそらく少なくとも私が知っている他のプロトコルよりも、この限定されたガバナンスの原則に従っています。
 したがって、中心となるルールは変更することはできません。

 Uniswap DAOにはプロトコルの開発と利用への貢献を奨励する能力があり、より広範なUniswapプロトコルベースのエコシステムの開発であるが、Uniswapプロトコルに関連するその他のすべての決定は、あるグループのアクターが決めているものではありません。したがって、トークン保有者は、個別に、または必要であってもDAOを通じてプロトコルの中核的な側面を変更するグループとして必要です。

 これにより、プロトコルを中心とした予測可能性の要素を提供でき、その要素が構成可能(composable)で相互運用可能なWeb3に貢献するというのが、私たちの見解です。これで、私は締めくくりたいと思います。ありがとうございます。質問にお答えします。

【神田座長】 
 Banaeiさん、ありがとうございました。

 それでは、メンバーの皆様方から御質問があれば、お出し頂きたいと思います。御発言は日本語でも英語でも、どちらでも結構でございます。なお、時間の都合ございますので、質疑応答の時間としては30分強といいますか、おおむね10時35分から40分ぐらいまでにさせて頂きたいと思います。
 御質問がおあり、御発言頂けるメンバーの方々には、いつものようにオンライン会議のチャット機能を利用して発言希望と1行入れて頂ければありがたく存じます。私から御指名をさせて頂きます。いかがでしょうか。

 岩下さん、どうぞ、お願いいたします。

【岩下メンバー】 
 どうもありがとうございます。岩下でございます。
 本日は大変丁寧なユニスワップの御説明頂きありがとうございました。また、先般開催しましたクニエ社によるヒアリングに御協力頂きまして、これも大変ありがとうございます。

 今日の御説明を踏まえて、若干質問をさせてください。先ほどサトシ・ナカモトの名前をお出しになって、サトシ・ナカモトがいなくなってもビットコインだけ存続したように、ユニスワップ社がなくなってもユニスワップのプロトコルは残るのであると。これは金融の民主化なのであるといったような御発言があったかと思います。

 ただ、私自身、このまさにクニエのレポートの中に、その点が明確に指摘されていると思いますけれども、サトシ・ナカモトのビットコインが必ずしも全て正しいとは思っていませんが、サトシ・ナカモトのビットコインと比べても、このユニスワップというのはUniswap Labsに依存する部分が非常にまだ大きくて、完全にディストリビューテッドなものではないというふうに認識しています。具体的にはクニエのペーパーの中で、この部分にトラストポイントがたくさん残っているじゃないかと、あるいはこの部分のガバナンスについては実際には、きちんとしたディストリビューテッドな形ではないではないかという指摘が書かれているかと思います。

 なかなか理想的なディストリビューテッドな形というのが何なのかというのも、そもそも何のためにディストリビュートするのかというのもよく分かりませんし、既存の金融システムの何が悪くてディストリビューテッドなものにしなければいけないのかということについても明確な説明を頂いているわけではないような気がします。ただ、少なくともディストリビューテッドな形で様々なプロトコルが民主的に決定されるから、この部分は極めて透明であって、特定の主体が関与するわけではないのであるというような御主張だとすると、必ずしも今のユニスワップのプロトコル、あるいは実際のユニスワップの様々な取引の実行のプロセスにおける様々な関係者の関与の仕方を考えてみると、これは従来の中央集権的な金融というものが、伝統的な金融機関によって寡占的に運営されているのに比べて、一般的な投資家によって民主的に運営されているのだという主張であるとすると、少なくとも、それはそうは見えない。単にその伝統的な金融機関がUniswap Labs及びそれに関連する一部の大手の投資家なり、ガバナンストークンの保有者なりに置き換わっただけで、結局そこは寡占化されている状況というのは変わらないので、あまり民主化していないように見えるわけですね。

 実際にこの問題というのが2020年の4月に発生したReentracy脆弱性を原因とするトラブルにも表れているように思います。

 その意味では、既にTVLがかなり減少している現状において、このユニスワップが提供するものがディストリビューテッドであって、何というか、民主的なものであるというふうなことが、引き続き主張できるものなのかというのを改めて教えて頂ければと思います。

 私からの質問は以上です。

【神田座長】 
 Banaeiさん、お願いいたします。

【Uniswap Labs(Banaei)】(仮訳)
 ご質問ありがとうございます。

 説明すべきはUniswap LabsがDAOとともにあり、全トークン保有者のDAOの投票を停止した上で、Uniswap protocolがそれでも存続するのであれば、これらの事業は良い方向にも悪い方向にも変わらず、何も変わらないということです。

 Uni・トークンの所有者が見かけ上集中しているという事実が、いわゆるSatoshi Nakamotoの状況と非常によく似ていることにはある程度の真実があります。例えば、ウォレットを見ると、そこにはいくつかの注目すべき点があります。

 1つは、少量保有者の所有するUniトークンを可能な限りすべて中央集権的な取引所が1つのウォレットに保持しているということであり、その場合、これらのトークンの受益者は数百万人となる可能性があります。
 他の重要な点としては、例えばUniswap Labsの社員に関して言えば、彼らは社内の方針や手続きによってDAOに参加することが禁止されており、つまりDAOの方針決定への参加が禁止されていることです。

 そして、再度強調したいもう一つの重要な点は、プロトコルに関してDAOやUniswap Labsができることの範囲は非常に限られているということです。Uniswap Labsの従業員はプロトコルや期間を変更することはできません。DAOでできることは、鍵のスイッチを入れること、内装を追加すること、 プロトコルの実装を決定すること、ブロックチェーンを元に戻すこと、そしてそのようなことをするために必要な開発を分割することなど、ほんのわずかなことだけです。

 DAOに関しては、例えば、スマートコントラクト・プロトコルの基本的な構造を変更することは認められていません。また、ソースコードの書き直しを行う観点では、Uniswap Labsの職員は誰もソースコードにアクセスできません。
 誰でもソースコードを入手して変更し、新しいスマートコントラクトを作成することができるために、あらゆる種類のIP違反があった中央集権的な企業とは対照的です。基本的なポイントは、表面的には所有権が公開企業に類似して集中しているように見えるかもしれませんが、プロトコルにガバナンスを提供する実際の能力に関しては、中央集権的な企業と同等のものがないといえます。

 私たちUniswapは、ここまで説明したいくつかの機能のとおり、実際にはより分散化されたプロトコルの1つであると考えています。ハッキングされたものを含む他のプロトコルに対して、より中央集権化されたガバナンス機能があることを保証することはできません。そして、それは他の規制当局がガイダンスを提供するために、実際のところ重要な領域である可能性があります。

 では、プロトコルが真に分散化されているのはどのような状況なのでしょうか。これは、プロトコルがより中央集権化される場合に対して、異なる一連の規制義務の割り当てを示す可能性があり、その場合、中央集権化された金融機関を規制するために使用されるツールがより意味をなすとみられます。

 私は質問に答えられましたでしょうか。いい質問でした、ありがとうございます。

【神田座長】 
 ありがとうございました。
 たくさんの方からチャットを頂いておりますので、次に佐古さん、どうぞお願いいたします。

【佐古メンバー】(仮訳)
 こんにちは、ご説明ありがとうございました。2つ質問があります。

 1つは、Uniswap Labsのビジネスモデルはどうなっているのか、どうやってお金を稼ぐのかということです。
 2つ目の質問は、この点について少し触れておられたと思いますが、投票の結果として更新を行う場合、このコントラクトの一部を更新することになると私は考えております。

 私の理解では、Uniswap Labsにおける特徴は、投票の結果を正確に反映することができることであり、そのためには、おそらく、それを行うための何らかの特権または秘密鍵が必要になると思われます。スマートコントラクトの更新はどのように行われるのか説明していただけますでしょうか。

 私からの2つの質問については以上です。ありがとうございます。

【Uniswap Labs(Banaei)】(仮訳)
 スマートコントラクトの更新に関しては、一般的に、コントラクトの開始となる前に行われるため、一般的には、プロトコルの開発フェーズ中に行われ、それゆえにプロトコルが機能するようになります。

 Uniswap Labsの職員は、鍵は所持せず、また、票を獲得することもありません。これは他のプロトコルでは発生しうる特徴かもしれませんが、アーキテクトプロトコルの特徴ではありません。

【佐古メンバー】(仮訳) 
 ビジネスモデルに関する最初の質問、どのように収入を得ているかについてはいかがでしょうか。

【Uniswap Labs(Banaei)】(仮訳)
 現在、インターフェースレベルで取引手数料を請求している企業があります。例えば、Coinbaseウォレットは100ベーシスポイント、Metamaskは80ベーシスポイント、その他のプロトコルも手数料がかかると思われます。私たちは現在、私たちのプロトコルに従う取引において取引手数料を請求していませんが、私たちは投資家から1億6500万ドルの資金を調達しており、彼らは私たちが手数料を請求することを期待しています。

 今後数ヶ月のうちに、私たちはさらに多くの商品を発売する予定です。それらは、ネットワークを構築するための潜在的な方法であり、顧客のより深いネットワークの構築と、それを超えたより広範な一連の、ウォレットの作成のような新しいソフトウェアプロトコルへのアクセス、秘密鍵を安全に保存するためのソフトウェアウォレットの機能、および主要ないくつかの市場にアクセスして達成するためのこれらの他のプロトコルへの機能を提供します。
 そのため、時間の経過とともに、私たちのビジネスモデルは、いくつかの商業化されたインターフェースに似てくると思います。

【佐古メンバー】 
 ありがとうございました。

【神田座長】 
 ありがとうございます。次は松尾さん、お願いします。

【松尾メンバー】(仮訳)
 ありがとうございます、私はジョージタウン大学のコンピュータ・サイエンス学科の教授をしております。私は暗号プロトコルの設計を26年以上やっております。また私は暗号プロトコルの安全性検証のフレームワークを提供するISO標準であるISO/IEC 29128のプロジェクトエディタをしておりました。

 私の質問は健全性(Soundness)に関することです。我々は2010年代前半にTLS/SSLの脆弱性に関わる問題を持っていました。OpenSSLは、TLSプロトコルを実装するオープンソースプロジェクトです。OpenSSLに関連して、TLSの仕様と実装に大きな問題を抱えましたが、その脆弱性を直すのは非常に困難でした。実装に関して言うと、実装の透明性とプロトコルの健全性が課題で、コードの監査はセキュリティを保つプロセスの一部ではあるものの、コード監査だけではセキュリティを担保することはできません。同じように、コンポーザビリティと言う単語が、ブロックチェーンの応用においてしばしば使われますが、仮に1つ1つのプロトコルが安全であっても組み合わせたプロトコルの安全性の保証はなく、コンポーザビリティを実現するのは非常に困難です。そこで質問としては、プロトコルを組み合わせた結果出てきた大きなプロトコルの安全性をどう検証するのか、と言うことです。2000年に提案されたユニバーサルコンポーザビリティ(Universal Composability:UC)フレームワークは、このようなプロトコルの組み合わせの安全性を示すための理論的なフレームワークですが、現在のところ、DeFiプロトコルのほとんど全てはUCフレームワークで安全性の証明がつけられていません。また、同時に、UCフレームワークでの安全性証明の肝となる理想的機能(Ideal Functionality)の定義も簡単でないため、UCフレームワークをDeFiプロトコルに適用するのも、現時点では難しいだろうと考えております。

 そこで、私のあなたへの質問は、Uniswapが行なっている現在のセキュリティ保証のための取り組みは十分であるかどうか、ご説明いただいたコード監査と透明性が健全性を達成するのに十分かと言うことです。

【Uniswap Labs(Banaei)】(仮訳)
 いい質問ですね、DeFiと規制に関して私たちが焦点とするに足る論点です。

 Uniswap protocolは2018年11月に最初に開設されて以来、約4年の間、1,200,000,000,000ドル以上の取引があったと見られているにもかかわらず、ハッキングされたことはありません。

 しかし、だからといって、もっと広い意味でDeFiに安全性や信頼性の問題がないということではありません。私たちは、規制機関と同じように、さまざまな防衛線があるということを考えておりました。

 最初の防衛線については、コアプロトコルが新しいインターフェースに組み込まれる、ということです。インターフェース提供者は、堅固なサイバーセキュリティのスマートコントラクトリスク監査が行われていることを確認することができます。

 前述したように、プロトコルが意図された目的を果たしていることを確認することは、サイバーセキュリティ型の監査と同様に、商品設計の監査にもなります。また、コンポーザビリティに関しても全く同じだと思っています。少なくとも、それ自体がインターフェイスプロバイダプロトコルであるという高いレベルにおいては、2つ以上のプロトコルの構成により、統合フィールドプロトコルがセキュリティおよび製品設計の点から同様に堅牢であることが保証される、というフレームワークも同様に機能します。

 時間の経過とともに、専門知識が向上し、これらのリスクを防止する能力が向上すると思われますが、とはいえ、新製品のテストや再テストが開始されるようなものは、分散型金融ではありません。

 私たちは、実際にDeFiで見られたいくつかの革新的な考え方を採用しております。我々は現在、サイバーセキュリティ等の損失に対して保険をかけるための保険プールを一定量創設しています。
 そして、これらの「保険プロトコル」は、買い手と売り手が競合する中で、市場に存在しています。そして、それは実際に、私たちのインターフェースプロバイダが、顧客のためのインターフェースに自動的に統合されるものであり、それによって、セキュリティの壁の追加の層を提供します。

 これらはすべて克服可能な問題だと思いますが、成長する金融DeFiを生み出す際の最善のアプローチを考えながら、私たちは皆協力して作業しています。

【松尾メンバー】(仮訳) 
 ありがとうBanaeiさん。規制当局が納得するような良い枠組みを作ることができればと思います。

【Uniswap Labs(Banaei)】(仮訳) 
 ありがとうございます。助かりました。お話ししたかったことについては改めてお話ししますので、よろしくお願いします。

【神田座長】
 ありがとうございました。

 すみません、チャットを頂いている順番ですと、坂さん、加藤さん、森下さんの順になるんですが、森下さんは途中退席と伺っていますので、ちょっと順序を変えて恐縮ですが、森下さんに御発言を頂き、その後、坂さん、加藤さんの順でお願いしたいと思います。森下さん、どうぞ。

【森下メンバー】 
 ありがとうございます。御説明ありがとうございました。1点だけお伺いしたいと思います。

 ボランタリー・コンプライアンスというのがまず最初に来るべきだというようなお話がありました。ボランタリー・コンプライアンスがうまく機能するためには、そのコンプライアンスの基準というところがうまく共有されていること、プレーヤーによって必要なリスクマネジメント、あるいはガバナンスについてのレベル感というものがうまく共有されていること、時代に合ったものとしてシェアされているということが大事になってくると思いますけれども、そのようなレベル感というものがうまく共有されるような土壌というものが存在しているのかどうかということ、あるいは、そのような共有に向けたシステムというようなものが存在するのかどうかということについては、いかがでしょうか。

【Uniswap Labs(Banaei)】(仮訳) 
 はい、私が欧州委員会から引用した内容は、この緊張関係に焦点を当てたものです。多くの価値を生み出す分散化されたエコシステムがあります。しかし、分散化されたシステムへの依存は信頼に基づく必要があり、現在の規律アプローチは達成するには十分ではないかもしれません。

 では、市場をどのように規制するのかという焦点について考えると、それはバーベルのようなものだと考えられます。そこで、リテールと、システム上重要な機関に焦点を当てます。

 両者の中間に位置する者は自力で何とかすることができ、大きな問題を引き起こすことはないが、リテールには大きな問題を引き起こす可能性があり、規制当局にとっても重要な役割となります。そこで、これらの基準を揺るがすリスクについて認識すべきだと思います。リテール顧客はシステム上重要な参加者であり、このエコシステムへの参加を望む可能性があります。

 したがって、自主的な基準は、時間の経過とともに、バーベルの2つの端に対応する中央集権化したサービス提供者の管理のために、実施することとなります。
 実際に、もう一つ強調しておきたいのは、DeFiが中央集権的な銀行と異なる理由の一つは、中央集権的な金融にあり、開発者は管理者にもなり、製品の知的財産権も所有することになります。

 現状、上記内容はどれも存在しませんが、それは私が本当に順守されるべきだと考えていることです。なぜなら、それは例えばプロトコルの説明責任を自主的な基準によって、保証することでより開かれた革新的なエコシステムを生み出すからです。これもまた、規制当局のバーベルの両端にある中央集権型のアクセスポイントを通じて、リテールおよびシステム上重要なものに対して、これらの基準が満たされていることをこのエコシステムに参加する条件として義務付けるものだと思います。

ありがとうございます、いい質問でした。

【森下メンバー】 
 ありがとうございました。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。

 すみません、ちょっと日本語の通訳が終わるまで一瞬待っておりますけれども、チャットの順番に戻りまして、次は坂さん、どうぞ、お願いいたします。お待たせして申し訳ありませんでした。

【坂メンバー】
 ありがとうございます。簡潔に3点、御質問がございます。

 1点目ですけども、セキュリティ上の問題からインシデントが発生し、顧客に損害が生じた場合。例えば流動性を提供していた利用者が提供していた暗号資産の返還が受けられないような事態が生じた場合について、その場合、ユニスワップ、あるいはユニスワップ側に関係する主体はどのように責任を負うのか教えて頂ければと思います。

 2点目ですけども、ユニスワップで暗号資産の交換を行う利用者について、AML/CFTの観点から本人確認は行っているのでしょうか。また、ユニスワップではAML/CFTのため、いかなる取組みを行っているのか教えてください。

 3点目ですけども、ユニスワップが取り扱う暗号資産については何らかの審査を行っているのか。審査を行っている場合、いかなる基準、いかなる手続で取扱いを認め、あるいは認めないこととしているのか教えて頂ければと思います。よろしくお願いします。

【Uniswap Labs(Banaei)】(仮訳) 
 ご質問ありがとうございます。

 流動性に関しては、所有権の集中に着目すると、特定のトークンに関連した開示が行われる可能性がある分野だと思います。例えば、私がニュースで読んだFTTトークンは、所有する者の基盤が非常に集中していましたが、本来これは、公開株式と同様に、投資家が容易にアクセスできる形式で認識する必要があると考えられます。

 また、DeFiに対して新しく規制されるアクセスポイントに対して標準化されなければならないことです。セキュリティに関しては、私はその質問を理解できたかどうかわかりませんが、Uniswapは非常に堅牢で安全なプロトコルの一例であるとお伝えいたします。

 そして、それは私たちがDeFiを非常に信頼している理由の1つであり、顧客から信頼される非常に分散化されたプロトコルを持つことが可能だと考えています。

 もう1つのポイントであるAML/CFTについてですが、Uniswapアプリのフロントエンドはブラックリストアプローチを採用しています。TRM Labsから提供されたリスクの高いウォレットアドレスのリストと照合しつつ、ウォレットアドレスをチェックし、アプリケーションにアクセスするため、リスト掲載者のアクセスは拒否します。
加えて、ドース・アダプターと関係している場合の取引割合は約0.1%であり、伝統的な市場における違法な活動に関する推定値は2%から5%の間であることと対照的であることを付け加えておきます。

 実際のところ、DeFiでのマネー・ローンダリングや不正行為の発生率が従来型の市場よりも低いのは、DeFiでは取引について非常に透明性が高いからだと思われます。また、多くの押収事例があり、日本の他の国では法執行機関が違法な活動を追跡し、違法な活動が交換や他の提供物に対してアクセスできないようにすることに多くの成功を収めています。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、次に進ませて頂きます。ちょっと予定の時間を超えておりますので、手短に、もし御質問頂ければありがたく思います。
 次は加藤さん、どうぞお願いします。

【加藤メンバー】
 御報告ありがとうございました。2点質問します。

 1点目は、今の坂先生の質問とほとんど同じかもしれません。ブラックリストは誰が作るのでしょうか。それはガバナンス投票で決めるというよりも、Uniswap Labsがブラックリストを作るということでいいでしょうか。
 関連して、ユニスワップで交換可能なクリプトアセットの範囲についてもブラックリストのようなものがあるのでしょうか。

 2点目は、ガバナンストークンについての質問です。クニエの報告書には、2021年のガバナンス投票率は5%から9%であったとの記載があります。もしユニスワップは集団としてのガバナンストークン保有者の利益のために運営されることが望ましいと考えているのであれば、このような低いガバナンス投票率では、ガバナンストークン保有者の利益に反する意思決定がなされる可能性があると思います。そこで、ガバナンス投票率を引き上げるために何か工夫がされているのか、教えてください。

 先ほどガバナンストークンの保有が集中しているとの指摘に対して、ガバナンストークンの保有者が行うことができることは多くないので問題はないという回答がありました。そうすると、ユニスワップとしては、ガバナンス投票に何を期待しているのかということを教えてください。よろしくお願いします。

【Uniswap Labs(Banaei)】(仮訳) 
 良い質問です。
 トークンのブラックリストに言及するのを忘れていたのですが、トークンに対してもリスク評価を行います。評価のランク付けとしては高、中、低のリスクがあり、米国の証券取引のように、詐欺やコンプライアンスの問題が増加しているためにブロックした特定のトークンがあります。

 しかし、これらはアプリケーションレベルで発生しており、エコシステム上には多くのトークンがあります。私たちのアプリにアクセスする場合は、特定のトークンが高、中、低リスクのいずれであるかが、色分けの方法に基づいて表示されます。特に評価されていないERC 20銘柄コードの場合は、インターフェースに自動的に表示されず、ユーザが自分で入力する必要があります。

 2点目の質問については、私たちがUniswapのガバナンスからあまりにもかけ離れているので、最後に示唆されたのだと思います。これは、私がガバナンス投票への参加を改善するものとして特に注目してきたものではありません。少なくとも、ガバナンス投票に関して言えば、Uniswapプロトコルに関しては、Uniswap Labsの投資家と従業員であることに留意することが重要だと思います。

 一般的に考えて、彼らはガバナンスを行使することをブロックされたり、禁止されたりしますよね?したがって、投票結果の意思決定を左右するのは、内部者ではなく、エコシステムの広範なメンバーです。ありがとうございます。

【加藤メンバー】 
 ありがとうございました。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。
 それでは、次は井上さん、どうぞ、お願いいたします。

【井上メンバー】 
 ありがとうございます。御説明、大変よく分かりました。

 もともとマネタイゼーションとボランタリー・コンプライアンスについて質問しようと思っておりましたけれども、それについては、おおむね回答頂いたと思います。

 ただ、それに関連して、Conflict of Interestについて御質問したいと思います。当初の御説明にも、先ほどもありましたけれど、会社の従業員は参加できないことになっていると伺いましたが、これはまさにボランタリー・コンプライアンスという形で、そういうルールを定めていらっしゃるのかなと思いますが、他のDeFiシステムにおけるサービス・プロバイダーが同じように、そのようなボランタリー・コンプライアンスをConflict of Interestについて採用することに、どう実現できるのか。インセンティブを注意深くデザインするということでしたけれども、コンフリクトの問題について、どのようなインセンティブで、そういうボランタリー・コンプライアンスを実現できるのかについて、具体的あるいは一般的に御説明を頂ければと思います。よろしくお願いします。

【Uniswap Labs(Banaei)】(仮訳) 
 ご質問ありがとうございます。

 たとえば、Uniswap Labsの従業員が雇用主の規約に違反した場合等において、契約が解除されることになります。また、我々の投資家にもロックイン期間があり、もし彼らがUniswapのトークンを取得しても彼らは利益を得ることはできません。これらのトークンについては、スケジュール上の最善の措置に従う必要があります。

 私たちがそれを主張した理由は、投資家が長期的なプロトコルにコミットし、ガバナンストークンを売り込んだり捨てたりする動機にならないようにしたいからです。私たちが行ったこれらのことは両方とも、DeFiのプロトコルの中でのベストプラクティスだと思います。

 しかし、強制力がないことは認めざるを得ません。例えば、分散化された開発者が、管理やアップグレードにおいて、より重要な役割を果たし続ける他のプロトコルがあります。

 そして、それは開発者が明確にDAOに影響を与える多くの役目を更に生み出します。
 自主的な基準の利点の1つは、投資家や規制当局が、自主的な基準の枠組みのベストプラクティスに従っている企業とそうでない企業を明確に区別するための非常に方法だということです。

 そして、時間の経過とともに、これらの自発的な規則を強制的なものにすることで、このエコシステムの可能性を維持することができると思います。ありがとうございます。

【井上メンバー】
 ありがとうございました。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。
 それでは、次に松本さん、どうぞ、お願いいたします。

【松本メンバー】(仮訳)
 プレゼンテーションをありがとうございました。私が聞きたかった質問のほとんどは、尋ねられ、回答されました。そこで、私は1つだけ質問をします。

 DeFiは世界中に広く利用されることを意図していると思いますが、投資家保護はそのために不可欠な側面であると信じています。もちろん、分散化された世界仕事が自己責任の世界を意味すると言うことも可能であるが、DeFiの主要なプレーヤーの1人として、分散化された世界または分散化された方法において、投資家保護はどのように関与すべきか。DeFiの使用は熟練したユーザに限定されますか?

【Uniswap Labs(Banaei)】(仮訳)
 ありがとうございます。いい質問ですね。

 デジタル資産や暗号資産と伝統的な金融との大きな違いの1つは、利用者の習熟度が異なることだと私は思います。伝統的な金融では、私たちは純資産や収入などを基に、洗練された顧客とそうでない顧客を区別しています。

 DeFiに関して言えば、焦点を当てることができるのは、技術の高度化のレベルだと思います。(彼らがインターフェースを使用しているか、スマートコントラクトで独自のコマンドラインインタラクションを使用しているか。)Uniswap appやMetamaskやCoinbase walletのように、インターフェースを使用している人に関しては、テクノロジーに対する感度のレベルに違いがある。エコシステムは、ディスクロージャー、サイバーセキュリティや商品設計に関する保証の改善などにより、恩恵を受けることになります。

 一歩下がって、より一般化されたアプローチを考え出すことに関しては、規制当局は、伝統的な金融規制政策の目標と成果が何であるかに焦点を当てるべきだと思います。例えば、顧客の資産を保護した上で、分散化されたエコシステムにおいて同じ成果を達成する方法を考えます。

 中央集権型の金融では、顧客資産を確実に保護する方法は、金融機関やカストディアンが高度に規制されていることを確認することです。例えば、定期監査、抜き打ち監査、公衆および特に規制当局を対象とした開示等になります。資金の配分に誤りがないことを確認するための規制の実施により、顧客資産の投資が循環します。DeFiでは、それほど多くのものは必要ありません。プロトコルが安全でない場合や、ソフトウェアウォレットが危険にさらされている場合など、新しいリスクが発生した場合、各々のリスクは異なり、それは多くの事例の1つに過ぎず異なる一連の規則を必要とするという意見を我々は持っております。

 効果に焦点を当て、技術に着目し、エコシステムに中央集権化を強制する代替策として技術活用で達成できるかを見ることで、不正な操作から消費者を保護することができます。

 規制当局がこのような技術を活用しようとするのであれば、より良い結果を得ることができると私たちは考えています。ご質問ありがとうございます。

【松本メンバー】 
 ありがとうございました。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。
 それでは、次に野田さん、どうぞ、お願いします。

【野田メンバー】(仮訳)
 ご説明ありがとうございます、1点ご質問があります。DeFi全体に対する脅威や公共財についての見解をお伺いしたいと思います。

 DeFiの基本的な考え方はすべて公開されているので、利用者はコードを読むことでサービスが安全かどうかを簡単に確認できます。しかし、その一方で、これはそのサービスの競争者が容易にコピーして類似の製品を作ることができることを意味しており、私の印象では、Uniswapは実際にコピー品に悩まされてきたと思います。例えば、将来的な研究開発、ガバナンス、コミュニティ、サービスの中央集権化された部分のクオリティなどでコピー品と差別化を図ることはできると思いますが、これは理想的な解決策ではないと思います。なぜなら、それはDeFiで達成したいものではないからです。Uniswap、あるいはDeFiのプラットフォーム全般がどのようにしてこの点を克服できるのかについて、ご意見をお聞かせいただけないでしょうか。

【Uniswap Labs(Banaei)】(仮訳) 
 はい、ご質問ありがとうございます。

 これは重要なことであり、先ほどお話ししたインセンティブに遡ります。我々は、プロトコルの反復により、代替的な金融システムとしての分散化金融の進展に寄与していると考えたい。

 私たちの見解では、このエコシステムにおける能力の蓄積に寄与するにつれて、エコシステム自体がより価値のあるものになります。よって、分散化された製品への寄与があったとしても、中央集権化された製品やサービスを提供する機会は増加します。信頼のあるサプライチェーンと、より強固でより厚みのあるDeFiを示しました。

 エコシステムの進展により、商業化された周辺サービスに参加する機会も増えていると考えています。このvampire attack から学んだことの1つは、私たちがまだEthereum networkにオープンにデプロイされたコードを提供している間に行われた、ということでした。

 我々が前回のバージョンで行ったことは、3つのプロトコルで、2年間の制限を設定した形で利用可能なライセンスをソースとして提供しました。

 非営利ユーザ向けには、オープンで無料の形で2年間はソースコードを使用することが可能ですが、商用化されたユースケースに関しては、ソースコードを展開することはできないこととしました。
 確か、5月に期限が切れると思いますが、2年間の制限を設定しております。業界のベストプラクティスとは考えられませんが、これは私たちのプラクティスであり、プロトコルの将来のバージョンでは、同様のものが出てくると思います。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。それでは、Banaeiさんのセッションはこれまでとさせて頂きます。Banaeiさんには大変お忙しいところを長時間御参加頂きまして誠にありがとうございました。

(仮訳) Banaeiさん、どうもありがとうございました。御参加に感謝いたします。それから質問にもたくさん答えて頂いて感謝いたします。

【Uniswap Labs(Banaei)】(仮訳) 
 ありがとうございました。もし、いつでも連絡して頂ければアベイラブルです。フォローアップ、何か必要であれば、Eメールに送って頂けたらと思います。
 どうもありがとう。さよなら。
 
(Banaei氏 退出)

【神田座長】 
 ありがとうございました。

 それでは、次へ進ませて頂きます。double jump.tokyoの上野様から、資料3についての御説明をお願いいたします。お待たせして申し訳ございませんでした。どうぞよろしくお願いいたします。

【double jump.tokyo(上野)】 
 よろしくお願いします。資料を映して頂けますかね。ありがとうございます。

 では、私のほうから発表させて頂きます。double jump.tokyoの会社の内容と、あとちょっと課題、提言内容という順番で発表させて頂きます。

 次のページ行って頂いて、アジェンダですけど、会社紹介、事業概要、トークン投資の現状、課題、それに対する提言という順番です。

 次行って頂いて、会社なんですけれども、我々2018年の4月に創業して、ブロックチェーンゲームの開発・運用・支援を主軸にして、そのノウハウを生かしてWeb3事業の様々な支援事業等を行っている会社になります。

 ボードメンバーなんですけど、私、上野が、もともと野村総合研究所でエンジニアで金融システム等々をいろいろやってきて、その後、モブキャストというところでブラウザゲームプラットフォームというのをつくっていて、2018年4月にdouble jumpを創業させて頂いたという形になります。
 その他、CTO、COOのメンバーも、その当時モブキャストにいたメンバーなので、人間的にも能力的にも分かっている人間というのを集めてボードメンバーにしているという形になります。

 事業領域なんですけれども、ちょっとdouble jump、NFT的な切り口で見ると結構老舗の会社になってきているので、様々なレイヤーのことをやっています。
 ブロックチェーンに関するところというと、その下のほうからプロトコルレイヤー、サービスレイヤー、アプリケーションレイヤーと、そういう領域のものというのがあると思うんですけど、それら全てに対して何かしら何かサービスを提供しているという形なります。

 まず、そのアプリケーションレイヤーなんですけれども、ブロックチェーンゲーム及びNFTの販売等を手がけています。
 サービスレイヤーに関しては、また後に説明しますけど、N_Suiteみたいな企業向けのブロックチェーン事業のSaaSみたいなものとか、NFTPLUSというコンサルティング兼プロデュース支援みたいなことをやっています。
 あとプロトコルレイヤーに関しては、Oasysというゲーム特化ブロックチェーンというのも関わっているという形になります。

 次行って頂いて、最近、資金調達もさせて頂きました。資金調達して、累計で30億円以上調達させて頂いているんですけれども、調達して分かったこととしては、割とやっぱり海外の投資家さんからの出資というのが結構多いというか、食いつきがあるような領域なんだろうなと。恐らくほかの業界よりも、そういう動きがよく見られるような業界なんだろうなというふうに思っています。

 事業概要です。我々創業してから今までなんですけれども、2018年4月に創業してからなんですけれども、My Crypto Heroesという、我々にとって象徴的なゲームコンテンツというのを出させて頂いたり、それがOpenseaでずっと。Openseaのその当時の七、八割方のNFTの取引というのは、My Crypto HeroesのNFT、キャラクターだったりしたわけですけど、そういうのをずっと続けてきて、その後もBRAVE FRONTIER HEROESやMy Crypto Sagaといったゲーム及びNFTプロジェクトである資産性ミリオンアーサーとか手塚治虫プロジェクト等を出させて頂きながら、N_Suiteのようなサービスというのもリリースして、最終的に今はOasysというパブリックブロックチェーンのプロジェクトにもメインデベロッパーとして関わっているというような歴史を歩んでおります。

 特に2018年4月に創業した後、2018年11月30日にリリースさせて頂いたMy Crypto Heroesというのが割と象徴的なタイトルでして、イーサリアム上で1年半ぐらい継続的に1位の座というのをずっと確保してきたようなタイトルになります。

 特に2018年末というのはイーサリアムの、価格面で言うとですけど、開発面とかは除いて価格面でいくと、結構底の時期だったので、その時期に出せたというところが、逆にコンテンツとしてはよかった。それはなぜかというと、イーサリアムのプライスの上昇とともにブロックチェーンゲームとしてのMy Crypto Heroesは目立っていくというところもあったし、そこの状態だと、何というのかな、コンテンツ自体に結構集中できるというか。やっぱり何か結構盛り上がっている、資金的に盛り上がってきてしまうと、どうしてもマーケティングの戦いみたいになる側面があったりするんですよね。お金を積んでプロモーションしたほうが勝つみたいな側面も出てきてしまうんですけど、よりコンテンツそのものに集中できて、なおかつ日本で出せたところは結構大きくて、日本、恐らくユーザの側に、事業者の側にもそこそこ多いと思うんですけど、ユーザの側にイノベーターが多いと思うんですよね。こういう、特に新しい技術を使った新しい試みみたいなものを新しさだけでそれを評価してくれるようなイノベーターという方々が多かったので、そういう人に支えられて、世界の中でも目立って、目立つような存在になれたのかなというふうに考えております。

 そういう実績、ノウハウを基に、様々な会社さんとコラボレーションさせて頂いた事例になります。
 スクウェア・エニックスさんとは、これLINE Blockchainというブロックチェーン上で出したんですけど、資産性ミリオンアーサー。ミリオンアーサーというスクウェア・エニックスさんが持っているそのIP、知的財産、使わせて頂いて、デジタルシールという形でNFTを発行させて頂いた。

 これに関しては、やっぱりLINE Blockchain上だと、LINEを使っている人だと、すぐにNFTを取得できる、及びLINEで知っている人にNFTというのをすぐに送れるみたいなところがあったりして、非常に。完全にマスアダプションしたとはちょっと考えてはいませんが、結構マスにタッチしたような、非常に枚数的にも出せたし、非常に、初めてそのNFTというのを触るというのが資産性ミリオンアーサーからだという方も、日本の中では多かったんじゃないかなというふうに思っています。

 スクウェア・エニックスさんの中では、四半期決算等でも、ミリオンアーサーというのを足がかりに、これからブロックチェーンゲームを切り開いていきますよと。

 この国内の大手のゲーム事業者の中では、スクウェア・エニックスさんが一番そういう、何か我々はブロックチェーンゲームに取り組んでいくんだというのをパブリックに向けて公式に発表したというところは、スクウェア・エニックスさんが一番最初だったんじゃないかなというふうに思うんですけど、それの足がかりに関わらせて頂いたという形になります。

 そのほか右側の手塚プロダクション、鉄腕アトムのNFT、モザイクアートですね。原画のカラー、白黒問わず、それをモザイクアートにして、NFTアートとして出したんですけど、恐らく、これは誰かというのは正確には分からないんですけど、海外の鉄腕アトムファンの方に120ETHで落札されて、これ企業が出すNFTとしては、2021年だったんですけど、2021年、最高落札額でした。

 ただ、ブロックチェーンゲームというところに関して言うと、ブロックチェーンゲームってまだまだマスアダプションし切れていないなというか、キャズムがあるなというふうに考えているんですけど、どういうところが障害になっているかというのは様々あるんですけど、様々あるんですが、その中の課題としては3つ考えておりまして、まずはブロックチェーンのトランザクションの処理、実行に時間もガス代、お金もかかるというところ、1番。2番が、今自分が実行しようとしているトランザクションが安全なのかどうかというのがよく分からないというもの。あと3番目としては、大手のゲーム事業者さんが実際にNFT等に関わるときに、IPというのをちゃんと保護できるのかがちょっと分かりづらいというところの問題。

 これらの課題というのがあるので、そのゲーム特化型のブロックチェーンというのを新たに構想し、Oasys社、シンガポール法人なんですけど、シンガポールにあるOasys社と共に、様々な会社の賛同を得て、パブリックブロックチェーンであるOasysというのが企画が始まり、もうすぐリリースされようとしています。

 ゲーム特化型のパブリックブロックチェーンのOasysというものなんですけど、先ほどの課題をどういうふうに解決したかというと、発想としては結構簡単なものなんですけど、ブロックチェーンにあるレイヤー1とかレイヤー2と言われているような技術を使って、パブリックブロックチェーンと事業者によるプライベートブロックチェーンというのをつないでしまったというところがみそなんですね。

 そうするとどういうことが起きるかというと、プライベートブロックチェーン上でトランザクションを動かす際には高速無料にできる。レイヤー2という技術を使っているので、高速無料に実現できる。そして、事業者がプライベートブロックチェーンというのを提供しているので、ユーザからすると、ああ、何とか社が提供しているブロックチェーン上だったら安心して使えるねって。

 実際そのプライベートブロックチェーンの場合って、どういうスマートコントラクトをデプロイするのかという取捨選択するのが事業者になるわけですよ。自由に全部できるわけではないので、ちゃんとその事業者が認めたスマートコントラクトしかデプロイされていないので、そこに、例えばMetaMask上で、そのチェーンに向けてAPIを打つというような設定になっているときは、プライベートブロックチェーンなので非常に安心して使えるということになります。

 あとIP保護の仕組みとしては、事業者によるプライベートブロックチェーン内で扱う分に関しては事業者の思いどおりにNFT等を扱えたりするわけですけど、パブリックブロックチェーンに接続しているので、パブリックブロックチェーンに出してしまうと、パブリックブロックチェーンにおける様々な扱われ方というのが発生する。それによって非常に強力に働く場合もありますし、あまり予想しなかったというような、不都合のあるような使われ方をする場合もあったりするので、実際にそのパブリックブロックチェーンに出していくようなNFTというのは、限っていくみたいなことができるわけですね。接続はしているだけなので、全て全部出せるというわけじゃなくて、こういうものだけ出していきましょうと。

 例えば、ふだん使いのNFTみたいなものというのはプライベートブロックチェーン上だけで扱われて、象徴的な、ある意味でいうとアートとか象徴的なNFTだけをパブリックブロックチェーンに出しましょうみたいなことができるというようなところで、取捨選択できるのでIP保護もしやすいというようなものになっております。
 あと、そういったノウハウを生かして、toB向けのサービスも提供させて頂いております。

 続いて、次のページで大丈夫です。まずは、そのN Suiteというものなんですけど、やっぱりWeb3という、ある意味でいうとバズワード的なものを標語に、様々な大手の事業者さんもブロックチェーンというのに興味があると。まずは、どういう形になるか分からないけど、ジャブ打ちでコンテンツを出してみて、それで感じがつかめてきたら、そこに乗り出していく。少なくともWeb3が本当に盛り上がってきたときに乗り遅れないように使っていこうというところで、様々取り組もうとすると、まず問題になるのが、皆さん御存じのとおり、その暗号鍵をどう管理するかという問題と、あとは上場企業さんであれば、ブロックチェーン上で発行するトランザクション、例えば送金トランザクションにしても、誰にどれだけの量のトークン、どの種類のトークンを送金したかみたいなのって、それって誰のどういう承認を受けて通ったものみたいなものというのを管理しないといけない、業務ワークフロー、承認ワークフローというのをちゃんと管理しないといけないというところがあって、それらを解決するSaaSというのがN Suiteになっております。暗号鍵管理に関しては、複数社によるマルチシグウォレットみたいなものをサービス化していますし、もちろんdouble jump社だけだと動かせないんですよね。事業者のほうもちゃんと鍵を持って、しかし事業者サイドも事業者サイドだけの鍵だと動かせないみたいな形で、複数社管理のマルチシグにというのをSaaS化したものというのはN Suiteで、なおかつ承認フローというのをワークフローシステム上で動かすので、そのエビデンスも全て取れる。

 あるトランザクションというのは誰のどういう判断で発生したものかというのが全て、事業者から見ると第三者の会社であるdouble jump社に全て残っていて、エビデンスも全て取れるという形になることによって、インターナルコントロールというのを、ある程度見える化するものでありますみたいな、こういうのも提供しております。

 続いて、その他のHOMEverseというのは、先ほど出てきたパブリックブロックチェーンのOASYSというもののレイヤー2、プライベートブロックチェーンを我々も動かしていて、各会社に提供していますというものであったり、続いて、あとはNFTPLUSという枠組みの中で、NFTのプロデュース事業とか発行支援事業をやっております。

 ちょっとこのシートには書けていないんですけど、その他、double jump社は、double jump.venturesというふうに銘を打って、シード期のWeb3プロジェクトに対して投資等も行っております。

 トークン投資の現状と課題なんですけど、続いてですけど、トークン投資とエクイティ投資の違いというのは、我々関わってきて、こういうことかなというふうに感じております。

 まず、トークン投資とエクイティ投資の投資対象のイメージとしては、まずトーク投資はプロジェクトへの投資だというふうに考えています。プロジェクトへの投資であってトークンを得るものですね。エクイティ投資は、企業への投資であってストックを得るものになるというふうに考えております。

 契約書上は、様々な書き方をしているんですけど、普通にトークンを買うというToken Sale Agreementだったり、SAFT、いわゆるSimple Agreement for Future Tokenか。将来的なトークンというのを提示された安い価格で買うという権利だったり、そういう契約書。あとはSAFEとToken Warrantですね。SAFEとSAFT交ぜたような形なんですけど、SAFEとToken Warrantみたいな形の契約書があったり。エクイティ投資は普通に株式引受契約とかSAFEという形で結ばれる。

 上場と書いていますけど、トークンとエクイティの、いわゆる一般市場に流通するタイミングというのは、エクイティだと、いわゆるIPOという形で、数年単位の実績を経てIPOという形で認められた証券取引所に対して上場する形でパブリックに取引されるわけですけど、トークン投資って、先ほど出てきたUniswapさんとか、そういうところを介して、IDOだったり、トークンが上場というのは、いつでも誰でも行えるので、比較的短期間で上場と。いわゆる一般の人が自由に取引できる場が提供されるというような違いがあります。

 信頼性のところなんですけど、エクイティに関しては、一般投資家からするとなんですけど、いわゆる東証に上場していることをもって、上場審査もあるし、監査もされているだろうから、安心だろうと。会社の実績等も見ることももちろんなんですが、まずはそこに信頼があるのがエクイティの投資なんですけど、トークン投資に関しては、DEX等で審査等なく取引が可能になってくるので、どちらかというと、一般ユーザから見ると、どういう投資家が投資しているかとか、実際にそのプロダクトが動いているかみたいなところというのが指標になってくる、信頼性の指標になってくるのかなというふうに考えています。

 投資指標が一番、結構難しいかなというふうに思っていて、エクイティ投資でいうと、どんな業種の、どんな会社にも適用できるようなBS/PLという標準化されたものがあるので、そこで統一的に見ることができるんですけど、トークン投資の統一的な指標って、なかなかまだ見つかっていないのかなと。あまり、何だろうな、時価総額みたいな切り口で見てしまうと、それこそFTXのFTTみたいに、その時価総額だけで見てしまうと、何か判断を誤るケースもあったりするのかなというふうに思っていて、もうちょっと適した指標というのが求められるのかなというふうに思っています。

 あと、ちょっと書き切れていないんですけど、リターンですね。リターンとしては、エクイティに関してはキャピタルゲインと、もしくはインカムゲインというか、配当益ですね。配当益への期待というのが、リターンというか、魅力だったりするんですけど、トークン投資に関しては、もちろんキャピタルゲインもあるんですが、どちらかというと、そのプロジェクトで実際に使える、いわゆるトークンエコノミーですね。トークンエコノミーに参加できるというところが最大の魅力かなというふうに考えております。

 続いて、トークン投資におけるVC、ベンチャーキャピタルの役割になってくるんですけど、先ほどもあったとおり、プロジェクトAとかBとか、それで投資するしないというのを見定めて、そして通常、株式へのVC、VCさんが株式へ投資したりしたときって、何だろうな、様々なVCさんがつながりある事業者につないであげたりだとか、そういう形でサポート。何というかな、すごく見えづらい形でサポートするという協力体制はあったものの、なかなかそれが機能し切れていなかったり見えづらいというような形があったのに対して、トークン投資であれば、トークンの価格を直接上げにいくような形で、プロジェクトに負担をかけることなく、勝手に、何ていうか、広告塔的な役割というふうに書いてはいますけど、そういう形で関わることができるので、非常に役割分担しやすい。そして、その上で実際に市場に流通されていくというような役割を担うことができるというのが結構違いかなというふうに思っています。

 ただ、国内でトークン投資というものを考えた場合に4つぐらい課題があるかなというふうに思っていまして、まず日本の居住者へトークン販売する場合は、暗号資産交換業に該当するので、該当しますという問題です。なので、国内居住者にトークン販売というのは、ベンチャーみたいな、ベンチャー、本当に非常に立ち上げたばかりの会社というのがトークンをつくって、プロの投資家に対してプライベートで販売しようかなと思っても、それはできませんと。なので、海外の投資家にトークンを販売するみたいな、トークン調達というのは海外の投資家に向けてやることになるというふうになっています。

 及び、2番目ですね。投資事業者、いわゆるLPS法で縛られるようなVCさんですね、が暗号資産の保有というのがLPS法に定義されていないので、暗号資産を直接保有できないという問題があります。なので、国内のVCさんとかが海外の事業者のトークンを買うということもできない。だから、事業者側も投資側もできない状態になっているんですね。

 3番目は、他社発行トークンに対する評価益課税の話。これは税制の話で、順次進んでいるんですけど、他社発行トークンは評価益課税なので、例えば複数社による共同プロジェクトの場合、互いにトークンというのを長期保有したいよねというのは普通なんですけど、納税のために強制的に売却をせざるを得ないタイミングというのが1年に1回来てしまうというところが課題としてあります。

 4番目に関しては、トークン発行体に対する会計基準がないので、トークン発行体に、いわゆる小さい会社だったらまだいいんですけど、上場企業の関連会社とかは、なれないんですよね。会計基準が定まっていないので、監査が下りません。限定つき監査になってしまう。せいぜい限定つき適正意見になってしまうんですよね。なので、上場企業って無償のトークン。これ有償じゃなくて無償のトークン発行であっても難しいというのが実情としてあります。
 続いて、これらの全ての課題を解決しようというものじゃないんですけど、一部、こういうふうな形であれば解決するんじゃないかなという提言がここにあります。いわゆる未上場トークン投資に関するWeb3投資家制度というふうに名づけました。

 これは、認められたWeb3投資家であれば、LPS法で定義されるLPSであってもトークンを持てるでいいんじゃないかと。なおかつ、Web3事業者側も、そのWeb3投資家であれば、トークンを販売してもいいんじゃないかと。

 そのWeb3投資家はどういう役割を担うかというと、ただWeb3投資家は、そのWeb3事業者をちゃんと、メンバーはどういうバックグラウンドを持つ人か、プロジェクトがちゃんと進んでいるか、ほかの投資家に変な投資家とかが入っていないかというのを見定める義務が出てきます。ただ、その義務というのをちゃんとクリアした上で、Web3投資家とWeb3事業者がトークン投資できるような枠組みというのがあると、非常に国内でのWeb3投資というのが活発化するんじゃないか。今、全然、なかなか活発化し切っていないという現状があるので、活発化するんじゃないかなというふうに思って、今回そのWeb3投資家制度というのを提言させて頂きました。

 最後になんですけど、そういういわゆるトークン投資環境というのが活性化すれば、日本は本当に世界に認められた優良なIPというのは非常に多くて、漫画、アニメ、ゲームが中心になってくるんですけど、そういう優良IPってデジタルに載せやすいんですね。デジタルに載せやすいので、非常にそういうIPを付加価値をつけてグローバルに配信していくということが、今後の日本において非常に重要な戦略なんじゃないかなというふうに感じています。

 どんどんデジタル社会、もしくはメタバース時代になってきたときに、こういうNFT、もしくはトークンといったものに関して制度があるというのは、非常に強みになってくるんじゃないかなと考えておりますので、ぜひこういった制度等々、考えていきたいというふうに考えております。

 以上です。

【神田座長】 
 上野さん、どうもありがとうございました。それでは、今お伺いしましたお話について、メンバーの皆様方から御質問等があればお出し頂ければと思います。いかがでしょうか。チャットに入れて頂ければと思います。

 それでは、岩下さん、どうぞ。

【岩下メンバー】 
 御説明どうもありがとうございました。率直に申し上げます。多分1年前から比べると、暗号資産の価格あるいは各種トークンの価格というのは大幅に下落しています。多分double jumpさんの関連するプロジェクトはそれほど被害はないのかもしれませんが、実際に投資をした方々の状況を聞くと、投資資金が大きく減少したということで、ある意味で投資の被害、詐欺被害を受けたということをおっしゃる方々も、あちこちでお見受けするところです。

 もともとトークンとはどういうものなのかということについては、私自身は私なりの解釈は持っていますけれども、多分いろいろとdouble jumpさんも御説明されているのでしょうし、それをベースにビジネスをされているんだと思います。

 ただ、一般の投資家に投資をさせようという、そういう御提案かとお見受けしましたので、今まさにFTT(FTXトークン)が急速に価値を下落したり、あるいはちょっと前だとテラルナ騒動でUST(ステーブルコイン)が一気に無価値になったりということで、この分野、ビットコインが値下がりするプロセスで、それに便乗した様々なトークンなるものが、実態は価値のないものであるということを露呈していると思います。

 こういう環境において、double jumpさんは投資家さんとも関わりがあるでしょうし、あるいは発行体というのかな。私は上場といった有価証券の用語を、トークンの世界において安易に使うべきではないと思っていまして、そういう意味では発行体という言葉も適切じゃないのかもしれませんが、そういういわゆるトークンを発行しようとしている方々にもいろいろアドバイスされているんだと思いますが、今の環境において、投資家さんに、まさにそういう問題が起こっていることについて、どのように御説明されているんですか。

 そこにおいて、別に開示規制とかそういうことを言うつもりはないんですが、既に投資をされている方、それとまさに先ほどイーサリアムの値段が安いときに始めたからよかったみたいなお話をされましたよね。そうだとすると、まさにその後、イーサリアムが暴騰して、この1年で暴落しているわけですけども、多分それは、どのNFTのプロジェクトがすばらしいとか、IPを上手に使っているとか、そういうことと全然関係ない話だと思うんですね。

 何とかトークンというのは基本的に暗号資産ですよね、何だかんだと理屈をつけても。それが値上がりしたり値下がりしたりするということは多分、不可抗力というか、そのプロジェクトと何の関係もないことだと私は思いますが、それについてどうやって御説明されているのかなというのを、特に今の現状においてどうやって御説明したのかということを教えてください。

 以上です。

【double jump.tokyo(上野)】 
 まず、いわゆるトークン。先ほどのイーサリアムの値段が上がったタイミングで、底のタイミングでできたというのは、あくまでもビジネス的に非常に都合がよかったという意味であって、それが、何というか、必須条件ではないんですよね。別にイーサリアムというのが、この、何というか、ステーブルコインというのをどこを軸足にするかだけの違いなので、法定通貨を軸足にするのか、イーサリアムを軸足にするかだけの違いなので、僕はどっちもいいと思っているんですけど、たまたまそれを法定通貨から切り取ったときにビジネスとして言いやすかったというか、都合がよかったというのは確かですね。

 ほかにFTTみたいな話、トークンの上がり下がりの話があるんですけど、我々みたいな、いわゆるコンテンツ事業。ゲームというのも当たり外れというのがあったりするので、コンテンツ事業者からすると、非常に実態のない、何ていうか、金融的なトークンというのが多いなというふうに思っているんですよ。

 いわゆるコンテンツの実態がないようなトークンというのには興味がないし、何か我々としては、そこを目指しているわけじゃないんですけど、ただ、枠組みとしては結構、いわゆるレギュレーションのルールとしては同じ枠組みで扱わないといけないのがなかなか大変だなというふうに思っているんですけど。ただ、いわゆるコンテンツというのを、そのWeb3の枠組みの中で、世の中に発信していくためには、そのコンテンツに適したような、いわゆるトークンのレギュレーション、もしくはNFTのレギュレーションかもしれませんけど、というのが結構必要になってくるかなというふうに思っているんですよ。

 なおかつ、先ほど一般の投資家の方にもって言われたんですけど、どちらかというと、僕の中では、あれですね。Web3投資家制度というのは、結構認められたプロの投資家に与えられるような称号というか、制度であって、ちゃんとそのコンテンツというのがリリースされて回り始めた後に、実際にそのトークン流通していきましょうねというような制度なんですよね。

 いわゆる投資家の方々、一般の投資家の方々というのは、ちゃんとそのコンテンツというのが、自分が遊ぶに適したものかどうかというのを見定めてトークンを売り買いしてくださいというようなものなんですけど、ただ、それすらも、今の制度だと、なかなか国内ではやりづらいというところがあるので、そこを何とかできないかなというふうに考えているという形になりますね。

【岩下メンバー】 
 ごめんなさい。一般投資家に何と説明するかというのは、特にお考えないということですか。

【double jump.tokyo(上野)】 
 説明するというのは、その価格の上がり下がりの話ですか。どちらかというと……。

【岩下メンバー】 
 価格が暴落していって、既にあれですよね。何というか、コンテンツっておっしゃるけれども、結局その絵がちょこっとついただけの暗号資産にすぎないわけじゃないか、NFTというのは。だから、それを何か値上がり目的で買っている人が多いわけですから、そういう人たちについて、今暴落した段階で、いや、これはすばらしいコンテンツだから、また値上がりするんですって言っているんですか。

【double jump.tokyo(上野)】 
 いえいえ。そもそも絵がついただけのコンテンツというのは多分、認識の誤りで、何というか、いわゆるコンテンツというのは、例えばゲームとかで使われるようなNFTなわけですよ。何ていうか、ユーティリティなんすよね。ユーティリティが実際にあるようなもので、もちろん、そこのNFTって、いわゆるいろんなものに扱われるので、何というか、範囲が広いんですよね。こういうものにも、何か参加権のようなものであり、契約書のようなものでもあり、アイテムでもあり、アートでもありという、様々なものに使われるような切り口があるので、それをここ、ごっちゃにして語ってしまうと、なかなか理解が難しいものになってしまう。

 ただ、枠組みというか、技術として同じところに乗っかっていくので、なかなかその扱いというのが難しいというのは分かります。

【岩下メンバー】 
 おっしゃりたいこと分かりました。質問にお答えいただき、ありがとうございました。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。

 それでは、チャットを頂いている順番で、次に翁さん、どうぞ、お願いいたします。

【翁メンバー】 
 御説明どうもありがとうございました。18ページのところでトークン投資とエクイティ投資を比較した表があったのですけれども、そこでの御説明で、VCとして投資するかどうかというのは、ほかの投資家が誰かというような、どんな優良なところが投資しているかということやプロジェクトの実態を見るというお話がありました。実際にこういうのは、投資する際に見えているんでしょうか。それからプロジェクトの実態というのも、かなり見えているのでしょうか。

 今、少し類似の議論がありましたけれども、プロジェクトというのはどの点を見るのか、コンテンツを見て評価されているんでしょうか。この辺りのことをちょっと教えて頂きたいと思います。

【double jump.tokyo(上野)】 
 これ、ちょっと表現があれだったのかもしれませんけど、ここで言う信頼性って、トークン投資をする側にとって、何か、どういう投資家さんが投資したものだから、ある程度安心できるだろうというふうに思って、その後の人たち、フォロワーの投資家というのが投資するみたいな実態があるのは確かなんですよね。そのことを言っています。

 そのプロジェクトに投資する際に、実際の投資の順番としては、まずNDAの契約を結んで、プロジェクト。まずはそのリリースする前の投資に関して言うと、なかなか一般にはソースコード等も公開しにくいものですから、NDAを結んだ上で、メンバーのバックグラウンドも出して、プロジェクトがどういうふうに進んでいるかというところをちゃんと投資家さんが見るというような機会があって、その方がリード投資家になって、その後は、これ一般の多分、何か株式投資も一緒なんですけど、リード投資家さん、名のあるリード投資家さんが、この価格でこれぐらいの投資をしてもいいんだというのが決めたら、フォロワーの投資家さんは、そこまでちゃんと見ないですねみたいな実態というのが、これ株式のほうでも、トークンのほうでも、いわゆる非上場というか、プライベートな取引では行われていることだというふうに思っています。

 その後、ただ一般に流通するようになったときに、一般の投資家が何を信頼として立脚するかというのは、エクイティ投資だと東証みたいなブランドのある取引所というのがその価値になるわけですけど、トークンに関して言うと、ユニスワップみたいなところに勝手上場されるので、上場されているからって別に安心できるわけじゃないですよね。安心できるというか、何というかな、ある一定の信頼感があるかというふうには言えないと思うんですよね。

【翁メンバー】 
 審査がないですからね。

【double jump.tokyo(上野)】 
 はい。そうなると、別の信頼度の置き方というのが必要で、もちろんそのソースコードがちゃんと提供されていることとか、実際にコンテンツが動いていることというのとプラスアルファ、今までどういう投資家さんが投資したかということも含めて信頼を置いているというのが実態だと思うんですよね、ということでした。

【翁メンバー】 
 分かりました。御説明ありがとうございます。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。

 では、次に松尾さん、どうぞ、お願いします。松尾先生、ミュートになっているようです。

【大来信用制度参事官】 
 松尾先生、ミュートになっております。

【神田座長】 
 それでは、ちょっとスキップして、次のチャットの順番で井上さん、お願いします。

【井上メンバー】 
 ありがとうございます。御説明ありがとうございました。今、翁委員がおっしゃった点にも関わりますけれども、今回の御提言について1つ質問したいと思います。

 リードの投資家にフォロワーがついていくという話がありましたし、御提案によると、このWeb3投資家が、言わばプロの投資家として、きちんと見るということであれば、現在、適用されている規制はなくてもいいじゃないかと、こういう発想だと思うんですけれども、先ほどおっしゃった、そのリード投資家にフォロワーがついていくことで本当に間違いをが常に回避できるのかという観点でいうと、目利きではあっても、例えば利益相反の観点から、純粋な投資家と異なる利害関係を持っている場合には、言わばマッチポンプのようなことをすることが回避できない場合があるのかなという気もしていまして、審査をWeb3投資家がすることが、きちんとワークする、それを信頼できるようにするために、ほかのポジションを持たないというようなことも必要になってくるように思います。

 Web3投資家とWeb3事業者との間に投資以外の何らかの関係、契約、約束がある場合が、実際にはあるんじゃないか。あるいは、そういったことが本当になくて、真っさらの関係で投資家としてレビューしているのかという辺り、お尋ねしたいと思います。そして、その観点から御提案が本当にワークするのかについて、お考えをお聞きしたいと思います。

【double jump.tokyo(上野)】 
 イメージとしては、既存の結構、何というか、老舗のと言ったらあれですけど、投資家さんにWeb3投資家という称号を与えるというのがイメージかなというふうに思っていて、何かあまり、こう言うとあれですけど、新参の投資家が、あまりレピュテーションリスクもなく、勝手に何か審査してオーケーですよと言ったところで、あまり信頼性がないと思うんですよ。

 なおかつ、恐らく実際にこれ運用していくと、様々なパターンが出てくると思うんですよね。それこそ先ほどおっしゃられた、投資家さんと事業者さん側でその他の契約等もあったり、利益背反じゃないですけど、そういうものもあったりする可能性もあったりすると思うんですけど、それらを全て、事前に全てを洗い出すというのはなかなか難しいことだと思うので、逆に言うと、Web3投資家制度というのを、ある程度小規模に始めて、ある程度うまく回り始めたら、それをちょっとずつ拡大していくというような方針がいいんじゃないかなというふうに思っております。

 恐らく事前に全てのパターンとか、こういう、何というか、利害関係のパターンもあるのかというのは洗い出せないし、フォロワーとされる方々もWeb3投資家って認められた人だと思うんですけど、じゃ、その人たちも全部審査。結構審査にはコストかかると思うんですけど、そういうコストを払ってくれるのか。

 リード投資家ほどの審査基準じゃないけど、ちょっとライトにフォロワーの人も審査してくださいねというふうにするのかというような、制度の取決め方というのは、ちょっとディテールはまだまだ考えていかないといけないのかなというふうには思っています。

【井上メンバー】 
 ありがとうございました。

【神田座長】 
 よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
 それでは、松尾さん、どうぞ、お願いします。

【松尾メンバー】 
 時間がないので手短にと言いつつ、4点聞くんですけども。

 1つは、翁さんが質問されたところで、もうちょっと基本的な質問ですけども、信頼できるVCを信頼するというのは何かチェーンオブトラストみたいな感じになっているんですけども、FTXにセコイアという有名なVCが出していたということとか、あるいはセラノス事件というのが、有名なVCが出していて、みんながだまされたということがあるように、トークンのエコシステムができることは重要だと思うんですけども、このVCだけを信頼するというトラストチェーンはやっぱり危なっかしいというのが、先週から今週への学びだと思うので、ここをどう強化すればいいのかというところが1つ目の質問。

 2つ目は、20ページの提言のところに、提言というか、今の課題のところに、トークン販売が暗号資産交換業に該当することが課題だということになっているんですけども、このFTXの件で、逆に金融庁はよくやったというふうにトークンを持っている人たちの評価が変わっているのが、この二、三日だったりするわけで、これは今課題の、本当に課題なのかということを問わなきゃいけないと思うんですけども、FTXの事件のような事件があったことをもって、暗号資産交換業に該当したほうが保護ができるからいいのか、それとも別のやり方があるのかというのを御意見をお伺いしたいのが2つ目。

 3つ目は、22ページ目のWeb3投資家制度に関して、これも既に議論がございましたが、新しい制度をつくるのはいいと思うんですけども、どの制度にも何らかのリスクはあるので、どういうリスクがあるのかということに関して、ある程度の想定があって、そのリスクは超えれば軽減ができるということが、何か想定があるのかというのが3番目。

 あと4番目は、どちらかというと技術的な質問で、パブリックチェーン、OASYSというのを作られているんですけども、すばらしいことだと思いますし、あと、それとプライベートチェーンをレイヤーというような形でつなぐというのもいいことだと思うんですけども、一方でレイヤー2って今年たくさんアタックされているので、そういうことに対して、どういう感じで、なるべく行けないようにされているのかということをお伺いしたいと思います。

 すみません。4つもあって申し訳ないですけど、よろしくお願いします。

【double jump.tokyo(上野)】 
 まず、FTXにセコイアが投資しているというところに関して言うと、これは、まずFTXの問題というのは非常に顧客資産というのをどのように扱っているかというところに、顧客資産に手をつけてまでアラメダにお金を渡していたというところが、ある意味で言うと、詐欺みたいなものですよね。詐欺事件というか、ところに関して、全てを防げるとは思っていないです、正直。

 ただ、これ何でWeb3投資家というふうに言っているかというと、こういう制度を設けないと、逆に海外投資家から調達せざるを得ないというような状況において、日本のコンテンツを育てるというところではなかなか、コンテンツを育てた結果、利益というのを海外の投資家に取られてしまうという観点もありますし、あとは、逆に言うと、今実態として、実態として、名のある投資家、VCとかが投資していることをもって人々が判断しているということも事実なので、それがずっと海外の投資家でいいのかという話があるんですよね。日本の投資家だったら安心かと言われるとそうでもないんですけど、日本の投資家が、名のある投資家が、ちゃんとレピュテーションリスクを背負って審査する限りにおいては、ある程度は機能するんじゃないかなというふうに思っているのが、1番目の質問への回答です。全部防げるかというと防げないけれども、あったほうがましなんじゃないかという。特に日本の投資家に対して。

 あと2番目の暗号資産交換業に関しては、本当に一般の人、全然、不特定多数に対して販売するというところに関して暗号資産交換業というライセンスがあって、販売できないようになっているというのは、僕も大賛成なんですよ。大賛成なんですけども、いわゆる、本当に起業したてのちっちゃい会社が、しかし良質なコンテンツを抱えているところが、プロ投資家に対してプライベートで販売する、本当に特定少数に対して、ちゃんと審査もしてもらって販売することも無理なんですよね、というのを例外的に何とかしたいなというふうに感じていると。じゃないとコンテンツ、日本国内で事業者と投資家というのが回っていかないというふうに考えています。2番目ですね。

 3番目の、何でしたっけ、リスク。すみません、3番目は……。

【松尾メンバー】 
 Web3投資家制度に関して、どんな制度でもリスクはあるので、どういうところですかという話。

【double jump.tokyo(上野)】 
 これで言うと、リスクに関して言うと、我々コンテンツ事業者なので一番よく分かっているんですけど、ゲーム開発ってリリースされないリスク、結構あるんですよ。変な話ですけど。もうスキャムなく、めちゃめちゃ真面目にやったとしても、ゲームってリリースできる品質にならないとか、結構あったりするんですよね。

 ただ、そういうリスクというのは、それは投資家さんが背負ってくださいねというふうに思っています。Web3投資家と言われるような名のある投資家ならば、それぐらいのリスクはちゃんと背負って。

 ただ、リスクあるからこそリターンもあるよというような制度で、あくまでも未上場時の話なんですよね。上場された後というのは、また違う観点で、いろいろ判断されていかないといけないと思うんですけど、本当にコンテンツを作っている最中、開発している最中、小さい会社が資金調達をしたいといった場合の制度というふうに考えているので、そこに関しては、そのWeb3投資家さんは、ある程度のリスクを背負って、審査も投資もしてくださいねというふうに考えております。

 4番目のレイヤー2のハックに関しては、レイヤー2自体の技術的なハックに関しては、OASYSに関しては、Optimismというレイヤー2プロダクトというのをインスパイアして作られているので、Optimismと同じレベルのリスク度だとは思っています。

 ただ、レイヤー2を動かしているのが、いわゆる事業者側なので、特に事業者といっても、全然知らない事業者とかじゃなくて、例えばセガさんとか、バンダイナムコさんとか、それこそスクウェア・エニックスさんみたいなところが責任持って動かしているので、変なことがあると彼らのレピュテーションリスクになるというものを背負いながら運営しているので、そのレベルでのサーバー運営とか、スマートコントラクトの脆弱性審査とか、そういうのがなされるであろうというような前提で、OASYS、ゲームと特化型ブロックチェーンで動かしていくという形になります。

【松尾メンバー】 
 分かりました。ありがとうございます。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。

 それでは次、加藤さん、どうぞ、お願いします。

【加藤メンバー】 
 御報告ありがとうございます。2点質問があります。

 1点目は、22ページで御紹介頂いたWeb3投資家制度についてです。他の先生の質問と関連しますが、Web3投資家が未上場のトークンを取得した後のエグジットの話について、どのようなことが想定されているのかを教えてください。Web3投資家が未上場トークンをずっと持ち続けていても投下資本を回収できないので、どこかの段階で売却をすると思います。その際、Web3投資家と、そのトークンを投資する投資家の間には利益相反があると思います。このような状況というのは、エクイティ投資における引受証券会社と投資家との間の利益相反と同じような印象を持っています。

 そうすると、このWeb3投資家制度を考える際には,Web3投資家のエグジット段階における利益相反について、どういった対応を考えられているのかということについて、教えてください。

 もう1点目が、18ページのトークン投資とエクイティ投資の違いという話に関連しますが、Web3事業者がエクイティ投資を利用できない理由を教えてください。

 エクイティ投資といいますと、金融商品取引法が適用されるから規制遵守などのコストがかかるという問題はあると思います。しかし、金融商品取引法の中には、例えば、適格機関投資家等特例業務のように、金融商品取引業者としての登録を受けないで、相当緩い規制でエクイティ投資の受入れ、エクイティによる資金調達ができるという仕組みもあります。にもかかわらず、事業がまだ始まる前の段階からトークンを発行して、資金調達をしたいと考える理由について教えて頂ければと思います。

 私からは以上です。

【double jump.tokyo(上野)】 
 これは、1番目のWeb3投資家のエグジットに関してなんですけど、慣例的に言うと、大体1年ロックアップの2年ベスティングみたいな形になることが多くて。ロックアップというのは、いわゆるどこかに、CEXかDEXかどこかに上場した後1年、そこから始まる、起点日はそこになって、1年間ずっとトークンが譲渡できない状態、ロックアップされて、その後2年をかけて100%アンロックされていくというような契約を巻くことが非常に多いです。

 ただ、必ずしもその契約を巻くことを必須にはしていないので、例えばで言うと、Web3投資家制度だと、必ずそういうロックアップとベスティング条件というのはつけてくださいねみたいなものはあり得ると思います。必ずそういうロックアップ条件に少なくともしてくださいね、じゃないと認めませんよというのは、あり得る話だと思います。

 なおかつ、それをロックアップとベスティング条件というのをユーザに開示することというのは必須条件になるというふうに考えています。

 もう一つ、エクイティ投資のところに関してなんですけど、事実上ちっちゃい会社は、エクイティ投資をしてもらうことによってトークンを配りますよみたいな契約を結んだりすることが実は多かったりするんですよね。おまけです、配る。

 まだコンテンツがリリースされていない何物でもないトークンてほぼゼロ円なので、備忘価額1円程度でも渡しますよみたいな、そういうことが行われているというのはよくあって。

 ただ、じゃあそれでいいのかというと、それはよくない面もあって、それ何でかというと、いや事実上トークンの販売みたいなものなんだから、株主比率ってそんなに必要ないでしょうみたいな交渉が行われる結果、Web3事業者って、見た目以上にバリュエーションがついちゃう。なぜかというと、だって、これトークン販売だから、何か別にバリュエーションとかエクイティ比率とか気にしないでしょう、だって実際トークン販売なんだから。でも、エクイティ投資という枠組みの中で、トークンはおまけで配るみたいなことをするのでみたいな話の下、どんどん不必要に大きいバリュエーションというのはついていくみたいなところも、実は僕は潜在的な問題かなというふうに思っていて、だったらトークン販売というのを堂々と行えたほうが、エクイティのバリュエーションとかも不必要にでかくならずに済むのかなというふうに考えたりしていますというところが答えになりますね。

【加藤メンバー】 
 ありがとうございました。すみません、1点だけ追加で質問させてください。1点目の質問に対するご回答の中のロックアップの話は、スマートコントラクトなどを用いて実効性の高い形でエンフォースメントをかけるということが本当は望ましいという理解でよろしいですか。

【double jump.tokyo(上野)】 
 僕的にはスマートコントラクトやるほうがいいと思っています。

【加藤メンバー】 
 分かりました。ありがとうございます。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。

 では、次に坂さん、どうぞ、お願いします。

【坂メンバー】 
 どうもありがとうございました。

 私からは1点だけ御質問なんですけども、トークンの経済的な価値についてです。もちろん交換所で交換されるようになれば価格がつくことにはなるんでしょうけども、そうでない場合について。例えば株式や何かの場合には、現在資産と将来収益の割引現在価値の合計のように、客観的といいますか、一定の合理的な経済的な根拠があると思うんですけども、トークンについては、何かそういった客観的な価値に関する理論的な議論があるのかどうなのかということと、それから実情として、そういった実質的にやり取りをする場合には、経済的価値については、どういった議論がされているのかについて、教えて頂けるとありがたいんですけども。

【double jump.tokyo(上野)】 
 これが一番難しいところが、ちょっと公表する資料に、これ、もう一行付け足そうか、口頭で説明させて頂いたことなんですけど、トークン投資とエクイティ投資の実際のリターンというのは、エクイティ投資は配当益がある、もしくは何か会社の処分価値があるというところから株価というのが、妥当な株価というのが決められていくと思うんですけど、トークン投資は、どうしても、そのトークンというのは、そのプロジェクトの中でどういうユーティリティがあるかみたいな。別に処分価値というのがなかなかないし、配当益というのは、これは何かまた、本当は配当益というのを配れたらいいんでしょうけど、今度は集団投資スキームの問題とかあったりするので、また難しい問題にぶち当たってしまうので、Web3事業者でそういうやり方を避けているんですよね。いわゆる配当益が出るようなトークンというのを、それはそれで非常に難しい話なので避けている。

 そうすると、Web3事業者としてできることというのは、ちゃんとユーティリティをつけることなんですけど、じゃあそのユーティリティ価値って年単位で、何か2年後、3年後まで見据えたときに、ユーティリティ価値、どれだけのものですかというのを算出するというのは、今のところ、客観的に算出する方法がないに等しいかなというふうに考えています。

 なので、なかなかその客観的な価値というのがちょっと割り出しにくいというところはあって、この投資指標のところの統一的に見るべき指標が見つかっていないというふうにも書かせて頂いたんですけど、なかなか難しいところだと我々も認識しています。

 そういうことに対して、どれぐらいの価値をつけるべきかという分が妥当かというのは、いろいろ話されてはいるんですけど、コンテンツ事業者的に言うと、NFTもトークンもそうなんですけど、一般的に扱われるような価格帯で推移していくというのが一番いいんじゃないかというような話合いが行われたりします。

 例えば、特になんですけど、できればステーブルトークンみたいな、それこそ日本円とか米ドルとかに根差したようなステーブルトークンというのを利用して、過度に価格が上がったり、もしくは下がったりしないような安定的な価格づけというのをしていきたいなというふうな思いはあるものの、それはそれでステーブルトークンというのが実情扱いにくい現在においては、さらに客観的価値というのをどういうふうに見定めていくのかが難しいなというところはあるのが事実ですね。

【坂メンバー】 
 ありがとうございました。

【神田座長】
 ありがとうございました。
 では、次に松本さん、どうぞ、お願いします。

【松本メンバー】 
 1点だけ手短に御質問です。特に今回ゲームのお話がありましたので、過去、STEPNとか幾つか、セントラライズドな文脈で作られたゲームというのがあって、ほとんど全てのゲームが、恐らくはユーザがほとんど流出してしまったり、今は、いわゆるもともと皆さんが期待していたような値上がり期待みたいなところに対して、大きく期待を外れているというような状況だと思っているんですけども。

 ただ、この状況を見て、個人的には、そもそもゲームとトークンというものが相性悪いんじゃないのかというのは正直感じているところなんですね。流入がない限りは、なかなかその件の流通総額というのは上がっていかないというような仕組み上の問題があると思っていまして、私自身は個人的な見解としては、そう感じておるんですけども、ぜひ、このゲーム掛けるブロックチェーンの領域で、過去のそういった事例からのインプリケーションというか、実際これ仕組み上、現時点ではまだ難しいものと感じているのか、いや改善点はこういったポイントなのか等々、何か上野さん自身の視点でお話を頂けるとうれしいなと思っております。

【double jump.tokyo(上野)】 
 例えばアクシーとかに関して言うと、実はまた復活してきつつあるんですよ。これ、どういう現象かというと、物すごい、すごい当たり前の話をしてしまうと、暴騰するから暴落するというのがあって、実質的価値というのは間違いなく存在するんですよね。ゼロにはならない。もちろんゼロになるプロジェクトもありますよ、何かしょぼいプロジェクトだったら。

 ただ、アクシーというのは、非常にユーザ数も抱えていて、あれだけ目立って、また復活しつつあるのも。復活しつつあるといっても、暴騰した、すごい価格だったときに向けて価値を復活しつつあるとかじゃなくて、事実上の実際的な価値に今は動いている。あまり目立たなくなったので、投機家層が入ってこなくなったので、安心してユーザたちは、トークンが回り始めているという実情にあるので、それの実態でいうと、実はアクシーも、これね、目立ったからこそ発展したというのもあるので一概には言えないんですけど、暴騰さえしなければ暴落もなかったし、実際的な価値もあるというのが実情だと思うんですよね。

 そうすると、どうなるかというと、暴騰し過ぎないようにする施策というのが、どちらかというと結構大事なのかなというふうに思っていて、それをどうするかというの、なかなか難しいんですけど、何か変に投機家層が実態価値の数倍とか10倍とかという価格で入ってくるというのが一番の問題かなというふうに思っていて、ゲームコンテンツ事業者からすると、投機家層というよりも、ユーザが本当の意味では獲得したいのに、なかなか投機家層も不正、何だろうな、どうやって処理していくかというのがなかなか難しい。その課題というのはまだまだ解決できていないので。ただ、それをクリアした暁には非常に、実際にユーザに使われるようなトークンエコノミーというのが形成されるんじゃないかなというふうに思っております。

 ただ、これ多分、あれなんですよね。大手事業者がなかなか入ってこないということと、コンテンツがまだまだ少な過ぎるので、そのいわゆるマネーが分散していないところとか、様々な話があると思うので、徐々に解決していければいいかなというふうに思っています。

【松本メンバー】 
 ありがとうございます。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。

 それでは、次に神作さん、どうぞ、お願いいたします。

【神作メンバー】 
 ありがとうございます。お時間のないところ恐縮です。1点、このNFTの発行者について、お尋ねさせて頂ければと思います。

 先ほど翁先生等からも御質問がありましたけれども、特にNFTのユーティリティとかコンテンツが問題になるということになると、事前の情報開示だけではなくて、事後に様々な説明をしたりコミュニケーションを取ったりというようなことが必要になるようにも思われるのですけれども、そういった説明とかコミュニケーションを依頼することは、NFTの発行後、何か契約等によって拘束しているようなことがあるのでしょうかという御質問です。

 その点に関連して、発行者について、何か行為規範と申しますか、何かルールがあったほうがいいなというようにお感じのようなことはないのかというのが御質問です。

 また、事実の問題として、NFTというのは、自然人が発行したり、あるいは発行しようとするというようなことが御経験としてあるのか。今日のお話ですと、自然人一人一人がNFTを発行するというのはちょっと難しいような気もしましたけれども、将来的には、NFTが個人によって発行されるというようなこともあり得るのかと思いまして、将来の方向感のようなものも含めて御教示頂ければと思います。よろしくお願いいたします。

【double jump.tokyo(上野)】 
 まず、いわゆる何か情報開示的な話ですよね。情報開示的な話としては、今は、どのレベルまで情報開示すればいいというルールはさほどないので、より情報開示というのを適切な、いわゆる適正なタイミングで必要量を情報開示しているプロジェクトというのが、基本的には信頼が厚いというふうにされてはいますが、それも継続的に必ずやってくださいねとか、そういうルールは今はないのが現状ですね。

 ただ、その情報開示度自体も未定、どれぐらいの価値があるかというのを算定していくというのが本当はいいことなんでしょうけど、今はそこまでなっていない。何か雰囲気で取引されているというのは、実情としてありますね。
 あともう一つは、自然人がというところに関しては、恐らくそのNFTというのがマスアダプションした暁には、そういうパターン、そういうそれぞれの人がNFTを発行していくというパターンも大いにあり得るというふうに考えています。

 もしくは、むしろデジタルコンテンツは、NFTにできるんだったら、全部したほうがいいんじゃないかというふうには思っていますね。結局、何か暴騰したり暴落したりとかというメカニズムだけを見ると、じゃあ株式市場で暴騰、暴落した株式1つだけを挙げて株式市場というのは全部駄目と言っているのと一緒で、何というか、ちゃんとその価値を認めた上で、ただ、そういう不都合が起きないような制度づくり、仕組みづくりというのはしていかないといけないのかなというふうなのが自分の立場なので。

 ただ、そこに、そのマスアダプションしていくためには、まだまだブロックチェーンの分かりづらさ、リテラシーの問題とか、解決していかなければいけない問題というのは結構あるとは思うんですけど、その先には結構、みんなが普通にWeb3の技術というのを本当に一技術として、機能として使っていく未来があるんじゃないかなというふうに考えています。

【神作メンバー】 
 どうもありがとうございました。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。今日はいつもより30分長くお時間を頂いていたのですけど、2時間半があっという間に過ぎてしまいました。

 ここで上野さんのセッションというんでしょうか、を終了とさせていただきます。どうも上野様、大変お忙しいところ長時間お付き合い頂きまして、ありがとうございました。

【double jump.tokyo(上野)】 
 いえ。いろいろいい議論ができて、いい指摘も頂いて、ありがとうございました。

【神田座長】 
 ありがとうございました。

 それで、本来はこの後で、お二方のプレゼンを離れての一般的な議論を少しする時間を取ろうと思っていたのですが、時間を取ることは残念ながらできません。それでも2つのプレゼンへの御質問等を通じて非常に重要な御指摘をたくさん頂いたと思います。したがって、一般的な議論は、本日は時間が取れませんので、次回以降にお願いしたいと思います。

 本日、大変長時間でしたけれども、この辺りとさせて頂き、本日御指摘頂きました御意見、御指摘等を踏まえ、今後さらに議論を深めて頂きたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 最後に、事務局から連絡事項等をお願いします。

【大来信用制度参事官】 

 ありがとうございます。
 次回の研究会の日時につきましては、皆様の御都合を踏まえた上で、後日、事務局より御案内させて頂きます。
 よろしくお願いいたします。

【神田座長】 
 ありがとうございました。

 それでは、大変長時間ありがとうございました。
 以上をもちまして、本日の研究会を終了とさせて頂きます。ありがとうございました。
 
(以 上)
 
 

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
企画市場局総務課信用制度参事官室、市場課(内線3572)

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