「ESG評価・データ提供機関等に係る専門分科会」(第3回)議事録

1.日時:

令和4年3月18日(金曜日)15時00分~18時00分

2.場所:

オンライン開催
 
<事務局>
・本日はESG評価・データ提供機関の方から提出していただいた資料を事務局より紹介いただくとともに、投資家や企業の皆様にお話をいただく予定にしている。また、次回第4回は、前回同様に、評価機関の方からお話、御意見をいただく予定である。
・第5回以降は、4回までにいただいた御意見を踏まえて、本検討会としてどのように取りまとめていくかについて本格的な議論に入っていく予定としている。
 
<事務局資料説明(資料1 ISS 提出資料)>
<事務局資料説明(資料2 FTSE Russell (LSEG)提出資料)>
<事務局資料説明(資料3 Moody’s 提出資料)>
<林メンバー資料説明(資料4 ユーザー側から見たESG評価・データ提供機関とそれを取り巻くエコシステムについて)>
<Suzukiメンバー資料説明>
<吉澤メンバー資料説明(資料5 ESG評価・データ提供機関等に係る専門分科会資料)>
 
<評価機関からの意見要旨(前回積み残し分に対するメールによる聞き取り内容)>
・評価の専門性を磨くことは非常に重要であり、業界団体との連携を通じて最新の専門性を維持し、社内ガイドラインやトレーニングを通じて専門人材の育成を行っている。

・一般的なビジネススキルに関するものから、新たなESGリスクに関するものまで、幅広いトピックについて研修を実施している。

・インターナショナルの監修の下でトレーニングを実施することで評価者の質を高めているほか、評価を担う者をスコアリングパートナーとして、様々な情報を迅速に共有し、活動を推進する立場として位置づけている。

・ESG評価とそのツールについては、ウェブサイト上に公表しているが、これに加えて、投資家、コンサルティング会社、大学、金融機関、中央銀行、政府系金融機関などに提供している。

・ESG評価結果については、ウェブサイト上で広く公開しているが、一定の条件の下でこれを購入する主体としては、例えば、データプロバイダー、シンクタンク、取引所、政府、省庁、国際機関などがある。

・データの品質を確保するために、スコア付与者の質の向上とともに、入力などを行う情報プラットフォームの利便性向上にも取り組んでいる。排出量データについて、入力ミスがあった場合は、過去分の修正も可能となっている。

・提供したESG評価等がどのように活用されているかについては、可能な場合には事例提供などをお願いし、ウェブサイト上で掲載したりしているが、投資家の戦略にかかわる点でもあるため、詳細までは必ずしも把握できていない。

・企業に対する透明性と、投資家に対する透明性で違うがあるか、という議論があったが、企業へのエンゲージメントを通じた定性的な評価プロセスや潜在的利益相反につながるプロセスを排除し、企業の開示情報のみの定量的データから算出をしており、投資家、企業を問わず、開示指標、スコア算出のメソドロジー、算出後のスコアの全てを提供しており、違いはない。

・透明性について、ESG格付手法の概要はウェブサイト上で公開しているほか、ESG格付のツールについても、一般に評価対象企業それぞれについての情報をウェブサイトで明らかにしている。
 
<メンバーの発言要旨>
・債券、ローンなどデットの発行体が費用を負担するIssuer Payモデルと、エクイティのインデックスやスコアリングなどのSubscriber Payのモデルでの区別が重要であり、作成予定の行動規範においてもこの差異を明確に捉えることが望ましい。

・評価機関のご説明にあったように、Subscriber Payモデルでは、公開情報を前提とし、データの処理のプロセスに多くの労力が割かれることとなっている。今後、公開情報は標準化が進み、企業も工夫して開示していくようになることが見込まれる中で、ESG評価機関、もしくはデータや評価結果を利用する運用機関は、既にマーケットに織り込まれている情報をそのまま扱うのであれば、その付加価値はどこに求められるのだろうか。情報が不足していた時代には、アンケート調査などを通じた情報収集そのものに価値があったが、今後、利用する側のニーズはどこに向かうのか。既にマーケットで共有されている情報を使うことが今後のESG評価の大きなトレンドだとすると、正確性に焦点が当たると考えられるが、その面と、まだマーケットに織り込まれてない情報をどのように獲得し運用に生かすのか、これは公開情報に限らないと思うが、その両面をどんなふうに整理するのかというのが、行動規範を検討する上でポイントになるのではないか。

・企業の立場からすると、開示の費用対効果は大事な視点である。例えば、企業の開示情報のうち、ある企業にとってマテリアルな情報であっても、横並びで比較しにくいがために評価されていない内容があるならば、それは望ましい状況ではない。そのため評価機関の評価の透明性は重要だと考える。もちろんESG評価機関の実務においては、完全に再現可能な形での評価の透明性確保は困難ということは理解するが、企業の視点からは、大項目や中項目のスコア等だけを見ても具体的にどういった改善が必要なのか理解できないという声もある。そのため、例えばインデックスに組み入れられるためには具体的にどういった取組みをどのように改善する必要があるのかを理解できるようになるとありがたい。さらに、ESG評価の際に、公開情報からの機械的な評価づけだけでなく、アナリストの判断も加えた定性評価を行っている場合には、企業の取組みを真に理解した上でのESG評価とするため、評価機関が投資家の代理人となって企業との適切な対話も期待したい。

・ESG評価は、社会の状況次第で一貫性のある評価が難しいことは課題と感じる。例えば、兵器の製造企業は、ネガティブ・スクリーニングの対象となることがあるが、今むしろ欧州の機関投資家の中で、ウクライナを支援する欧米の兵器製造企業は民主主義や国家を守り、社会のレジリエンスを高めるよい企業(ESGのS)として積極的に評価しているという報道もある。

・今回の行動規範について、Subscriber PayベースとIssuer Payベースで見方を分ける必要性に関して概ね合意されていると思うが、どちらにも当てはまらない、NPOのような主体についてはどう考えるか。影響力が大きいところについては、議論が必要ではないか。

・前回、今回を通じて、ESG評価機関の実務については理解が進んだため、評価結果の利用者が具体的にどのように使っているかの理解を深めていく必要がある。両方の視点を考慮した上で、透明性として何が必要なのか、専門性としてどういうところを備えていくのが必要なのかを検討し、現状の取り組みと今後への期待をつなぐ形で提言をまとめていくべきではないか。

・行動規範の範囲について、NGOやその他の無料のランキングなどがたくさんあり、メディアにも取り上げられ、グリーンウォッシュとの評判とも関連するなど影響力も一定程度あるため、こうしたところも含めるのかは議論していきたい。

・Subscriber Payモデルに関しては、開示情報だけに基づき評価する評価会社と質問状を考慮する評価会社が存在し、前者は実態がどうかということよりも、公表情報の有無が評価に影響することも考えられる。異なる評価の基準が存在する中で、一律のアウトプットを期待するのは困難に感じる。Subscriber Payが主流となるESGのインデックスやレーティングにおいては、情報のソースが開示はされているが企業の開示内容に未だばらつきがあることから、各データ・評価機関のアウトプットを投資家等が見てどこまで相対評価ができるかというと、ルールメーキングが未だ発展途上なのではないかという印象を持っている。このため、評価に使用する情報の質・量に限界や差異があることを含めて、マーケットがその評価をどう利用していくかというところを考えるべきではないかというところも、提言の中で盛り込んでいただけたらと思う。

・ESG評価のモデルは多様である一方で、ESG評価機関が金融の管理監督の中でどういった位置づけが求められるのかという議論の進展に対して異論を持っている機関はなく、総論としては基本的に賛成という立ち位置だと理解している。今後は、成果物案を見ながら、さらに議論を深めていくことが重要ではないか。

・行動規範は、プリンシプルベースであるべきだと考える。また、何をESGデータとするのかという線引きは困難であることから、まずはESGレーティングからはじめて、データはその後で適宜検討することが望ましいのではないか。

・透明性について、透明性を高めることは重要であるが、開示の要件が細部に踏み込んだ内容になってくると、メソドロジーや評価の多様性、独立性が担保できなくなる恐れがあるのではないか。

・方向性としては、ISSB等によって基準が統一され、公開情報も一律化すると評価機関に情報収集を頼る必要がなくなる。こうした将来像の中での行動規範、評価機関の役割を考えていく必要があるのではないか。

・理想図として、定められた基準による開示情報の情報収集・評価においては差別化できなくなることである。しかし、現状は、公開されている情報の媒体、手法が様々である中、公開情報に基づいた評価であっても、その公開情報をどのように取得し分析するかも、残念ながらESGアナリストが必要とする技の一つとなっている。公開情報に基づいた評価であっても、簡単に一律な評価を実施できないのが現状。こうした現状も踏まえて、アナリストが正確に評価するために前提条件として整備すべきことを整理し、その上で、評価する側に期待できるもの、行動規範等を検討していく必要があるのではないか。

・公開情報の標準化、プラットフォーム化が進むといった大きなトレンドに進んでいくため、情報の取得に関する付加価値は相対的に変化していくと認識している。プラットフォームに掲載された情報を利用する場合もあれば、そうしたところに掲載されていない、また他人が調査していない情報、最近では未財務情報という言い方もするが、こうした情報を取得しようとすることは十分考えられると思う。そうしたことを前提に、行動規範の作成においては、標準化が進み、プラットフォーム上でデータの利用が進むという前提で書く部分と、運用機関も評価機関もそれ以外のところで何か情報を取りにいくということも必ず起こってくるという前提で、あるべき姿みたいなもので何か言及しておくことがあるならそれを書くという部分を分ける必要があるのではないか。
 企業の方と議論する中でも、特定のデータベースに情報を入力しておき、それをESG評価機関や投資家が自由に利用するようになることが、負荷が減って望ましいと考える企業もあれば、他社との違いを打ち出した上で、そこを評価して欲しい欲しいと考える企業もある。共通に乗らない部分をどう評価することが望ましいのか、その時の留意点は何なのかも、行動規範等においては重要なポイントではないか。

・投資家側は、様々な入手データを基に、さらに付加価値を高めた調査を実施し、それによって投資の意思決定をしなければ、スチュワードシップ責任を果たしていないという見方もある。

・多くの会社から、ESG評価については、対応する負荷が大きくかつ増加傾向にある、という意見があった。回答の負荷を減らしてほしいという点は、企業で共通する意見である。特に、開示の費用対効果が重要であり、企業は、ESG評価機関に対応した結果、それが本当に企業価値につながったのか、または、本当に評価してもらえているのか、という手応えが感じられてないところが多くあるのだと思う。

・ジャッジメンタル運用という言葉もあったが、アクティブファンドのマネジャーや運用機関の行動様式は非常に多様になってきている。株主提案や議決権の行使についても、多様な見方が出てきていると思う。こういうファンドや運用機関の行動や議決権に対しては、それぞれに差があることについて、企業からは特に違和感の声は聞かれないように思うが、対してESG評価になると、意見が違うのは納得がいかない、結果は1つであるべき、といった意見を伺うと思うが、この違いは何に起因しているだろうか。

・企業の視点からは、やはり大項目中項目でフィードバックを受けてもはっきりとどこが評価されたか分からない、ある評価機関からは評価されるが、別のところからは評価されないといったことがあると思う。価値判断の基準の差異が明確になれば、納得につながると思うが、環境分野はそこが徐々に明確になってきているが、ESG全体だとまだ明確ではないのではないか。価値観によって結果が異なることは当然あるので、ESG評価機関が自身のESG評価の価値観を提示し、「あちらの評価機関の評価はこういう価値に基づいて行われているもので、それは、当社とは考えが異なる」と示して頂ければ、ある機関からの評価が低くても受け入れられるのではないか。

・ESG評価機関による評価等を自社の取り組みの改善につなげていこうとしているが、なぜこういう質問をされるのか、なぜこういった指標を重要視しているのかについて、十分に理解できていないし、社内から問われることも多い。こうした状況で、質問や指標に対する企業の理解が不十分なままであると、企業としても、本質的な取組みの改善につながらないおそれがある。

・評価対象の企業に対するデータ・評価機関からの結果に関する説明責任についても言及いただくことが望ましいと考える。信用格付でも、勝手格付をして評価に納得がいかない場合、個別に説明責任を果たし、適正な評価、格付であることを(評価対象企業に)理解していただく必要がある。その際、企業が評価の理由をデータ・評価機関に照会した場合に、追加コストを払えば説明するというのは、格付や追加サービス取得のための費用支払いの強要につながる恐れがあること、第三者評価機関が自身の評価結果について助言(コンサルティングサービスを追加的に提供)することとみなされ、信用格付規制に当てはめて考えた場合には利益相反行為又は禁止行為となる。第三者評価機関の説明責任はあくまで追加コストを伴わず、かつ評価の基準や手法に関する説明にとどめるべき、というのが信用格付規制の整理となっている。
もちろん、ESG評価について信用格付と同等の規制を今すぐ盛り込むことはその性質からしても異なるうえ、今回はハイレベルな行動規範のため、そこまで厳しい内容を一律に盛り込むことは時期尚早と思われるものの、行動規範の中で、Subscriber Pay Modelにおける評価される企業に対する評価機関側の説明責任や評価を付与する側とされる側の企業との間に内在する利益相反リスクについては少し掘り下げた形で提案するのが良いと思う。
 また、作業負担、コスト負担についても、議論を進める必要がある。企業が無償で対応する場合は、そのまま企業のコストに跳ね返っているため、今後この仕組みを持続可能にしていくためには、企業にも何かベネフィットがある形にしていく必要があるのではないか。

・企業が非財務情報の開示に取り組むのは、財務情報だけでは見えない長期的な企業価値の創造を表現したいというのが前提となる。非財務情報の中にも、規定演技と自由演技があり、規定演技とは、同一セクターの中で比較を容易にするために少なくとも開示すべき情報で、自由演技とは、企業の取組方針や成長に対する考え方など、規定演技では示せない情報を指し、両方が必要だとの議論が出てきている。企業は、こういった考えの下で非財務情報を開示しているため、そうした考え方とESG評価がリンクしていくことが望ましく、評価会社がどういう観点で評価しているかを開示していくことが重要である。さらに、ESG評価機関は、規定演技として評価に必須となる情報や、自由演技として長期的な企業価値の創造としてはこういった情報が必要となるといった説明をすることで、企業との間の相互理解が深まるのではないか。

・企業の環境社会活動は投融資判断のためだけではなく、それ以外のステークホルダーに対する開示も引き続き重要であるという大前提に立ち、その上でサステナブルファイナンスにおいて必要な開示や評価にフォーカスすることが重要である。行動規範は評価やデータ会社に対してであって、そこにプラスアルファとして企業や投資家の役割を示していくというよりも、エコシステム全体としてサステナブルファイナンスを実現するためによりよいデータ評価を実践する上での行動、その中にそれぞれの役割があるという形に整理されると良いのではないか。ESG評価機関が評価の目標を開示したとしても、投資家の目線と必ずしも合致しない可能性もあることから、投資家ニーズと合っているかを確認する対話の機会が重要になってくる。双方向の行動が必要となる。さらに、企業が評価機関の対応するメリットが明確でないという意見はよく耳にするが、全ての投資家がどうESG評価を活用しているか必ずしも明らかでない中で、評価機関もどこまで活用がされるかということは示せないという状況もあるかと思われる。投資家がどのように活用しているのかを投資家自身が開示することも考えられる。評価項目についても双方の対話を進めることで、ここは不要ではないかというフィードバックや、全体的な評価項目の整理、結果的に評価される企業の負担を減らしつつも、より必要な情報を収集できるというエコシステムができるのではないか。行動規範の範囲について、もう少し広めにとってもいいのではないかと考える。

・ESG評価・データ提供機関による推定値は、推定なので不正確な部分もあると考えられるが、投資家にとってどういった観点で有用か。

・投資家のポートフォリオの排出量を把握する際に、多くは推計値を利用しているのが現状。企業の開示情報に基づいて把握できれば理想的だが、企業の情報開示があくまで任意であり、企業毎に開示に対する温度差ある中では、推計値なしにはポートフォリオの排出量を把握することができない。投資家がネットゼロに向けて取り組みを進めていく上でも、推計値が必要不可欠である。

・ESG評価機関の中には、アンケートベースで情報収集しているところもあり、企業にとっては負荷が大きい。評価機関や投資家が重要視している課題などを把握するには有用であるが、高い評価を得るためには相当なリソースを投入する必要があり、どこまで投入するかは各社の判断による。

・行動規範等の対象範囲について、評価とデータを区分し、評価に限定すべきではという議論もあるが、ESGということ自体が価値観に基づいているため、それぞれの価値観の下で集められたデータは評価の要素が入っており、区分は難しいのではないか。また利益相反管理の在り方について、評価とアドバイザリーの兼務以外にも、例えば新聞社がランキングを作成すると、当然その広告主との関係が気になる。このように区分を明確にする事は困難である。こうした状況を踏まえると、まずはIOSCOの報告書を日本語訳して周知し、その上で議論を進めていくのが現実的ではないか。

・国内のアセットオーナーについては、ESG投資によってリスク・リターンの改善につながるのかという財務的な側面への関心が強い。とはいえ、国内のアセットオーナーも多様であり、インパクトの見える化に関心があるところもあり、特に海外ではリスク・リターンに加えてインパクトも考慮したいという動きが強くなっている印象がある。同時に、SFDRのように金融商品のインパクト性の開示を促す流れになってきている中で、ESG投資全体としてインパクト志向が平均的には高まってきており、その結果、ESG評価やデータへのニーズも多様化してきている印象である。

・例えば、アメリカでは、ブルーステートとレッドステートで気候変動の考え方が異なり、レッドステートのアセットオーナーからはESGの情報をクライアントレポートに含めないで欲しいと言われたりする一方で、ブルーステートのアセットオーナーからは、もっとESG情報を出してくれと言われる。ただ、どのアセットオーナーも長期のリスクを見て投資判断をしており、ここ数年のテキサスでの大寒波などの影響を受け、気候変動は長期だけではなく、短期でも甚大な影響があるとの理解に変わってきている。

・ESG投資家も多様なので、そのあたりをもう少し整理する必要がある。ESGのプロダクトも、長期的に財務へ影響を与えるであろうESGのリスクや機会について評価するESGレーティングもあれば、特定事業への関与を見るスクリーニングリサーチもあり、幅広い。投資家の価値観やニーズによってどういったものを利用するのかは異なる。

・ESG評価機関では、発行体とのコミュニケーションを重視しており、必要に応じてコミュニケーションの場を設定するなどの対応を行っているところもある。

・ESGデータは特にイノベーションが進んでいる分野であり、行動規範の対象とすることでイノベーションを阻害してしまう恐れがあるのではないか。また、何をESGデータと見なすのか、どこまでをESGデータプロバイダーと見なすのかの線引きが困難であり、議論が行き詰ってしまう恐れもあることから、ESG格付から始める方が良いのではと考える。

・行動規範の対象となるESG評価機関については、公平性の観点から企業規模に関わらず等しく適用されていくべきではないか。ESG評価機関に加えて、メディア、NGO等まで含めるのかという議論に加えて、運用機関が独自で付与しているESG格付けについても検討する必要がある。

・過去を振り返ってみると、エンロン・ワールドコム事件のとき、証券アナリストのレーティングが問題となり、アナリストによって意見は異なっても問題ないが、ロジカルな評価に基づいていることを証明するレポートを出す必要がある、という仕組みが、IOSCOなどのサポートもあり出来上がった。今回の議論の参考となるかもしれない。

・投資家の価値観が多様になり、ESG評価機関に求められる内容も多様になってきている。

・Subscriber Payモデルの場合は、最終的に投資機関の要望に沿ったデータ・評価の提供を行なうこととなる。そのため、評価対象となる発行体をはじめ、Subscriber Pay モデルのエコシステムに参加するプレイヤーが納得する評価が実施されるためには、投資家が自らの(サステナブルなファイナンスにおける)役割を認識し、意見を伝えて行くことが重要になってくる。

・行動規範の対象としてESG格付けに限定するという意見もあるが、直近数年間は、気候変動に対する投資額が急増する中、そういった気候変動関連のデータに関して対象外として良いのかは疑問である。イノベーションを阻害するのではなく、メソドロジーの透明性、利用しやすさ、開示しやすさというところにつながるようなものがあれば良いかと思う。

―― 了 ――

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