「ESG評価・データ提供機関等に係る専門分科会」(第8回)議事録

1.日時: 令和4年11月10日(木曜日)16時00分~18時00分

2.場所: 中央合同庁舎7号館9階905B会議室 及び オンライン

 事務局から、パブリックコメントの概要、回答、これを踏まえた行動規範の修正について説明の後、行動規範や今後の方向性等について議論。
 
<主なディスカッション内容>

・多数のコメントが内外から寄せられたことは歓迎すべきこと。コメントには丁寧に回答する方針としており多としたい。

・ESG評価とデータの双方を対象としている点については、これまで度々議論されてきたところであるが、データ部分については対象が膨大となり定義づけも難しいなど、実務的な課題がある点は改めて指摘したい。最終化に際して、データの部分を含めるに当たっては、より長い猶予の期間を設定した点は、少なくとも実務面の困難性を助けるという面で有用ではないか。

・企業からの問い合わせの部分は、評価そのものではなく、情報やデータの正誤に対して行われるべきで、利益相反への留意と評価の独立性が担保される必要がある。原則6においてそうした点を追記していただいたのはよいと思うが、この点は明確であるべきで、例えば情報源に関しても、どういった情報源を参照するかは評価機関のメソドロジーに関わる部分でもあるので、問い合わせは情報源ではなくあくまで情報、データに対して行われるべき。

・企業とESG評価・データ提供機関と建設的な対話を図っていく点で行動規範の策定は重要である。今後実施していくにあたって、綿密なコミュニケーションを図りつつも利益相反を生じさせないよう、適切に管理する点は実務的には論点になりうる。本行動規範に書き切るのは難しいが、今後、金融庁において実践に当たってどのような課題があるのかを把握してもらいながら、例えば、利益相反に当たらない対話の在り方についてのベストプラクティスを紹介していただくといった取組みを期待したい。

・スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードやISSBをはじめとする開示フレームワークとの関係について質問が来ており、丁寧に回答する方針でよいと思うが、本文にも記載してはどうか。その他、パブリックコメントの回答で応える点については本文にも取り込むことが望ましい。

・本行動規範を策定したうえでの次回の検討を3年後とする点について、3年を待たずとも状況を把握していくことが重要。

・行動規範遵守に向けて進んでいくのに加えて、非財務情報の議論が進展していく中で様々な課題が発見されるであろうし、定期的な見直しは重要。また、非財務情報の開示の議論の中で評価機関等の位置づけも変化していく可能性があると感じており、その道行きを見据えると、3年後という見直し時期はちょうど良い頃合いだと思う。

・特に海外の機関から、原則6の3のところ、対象企業への通知、情報開示についてはハードルが高いとの声もあったので、事実誤認など、と例示を入れたのはよいと思う。賛同状況の取りまとめ等の機会を活用して、この行動規範の実践に実務的に困難なことが生じないか、意見を聴くことが重要と感じた。

・議決権行使サービスについては質問も来ているが、パブリックコメントの回答の原案にあるような記載を本行動規範に記載してはどうか。

・3年後に改めて今後の対応を検討することは良いと感じる。その内容については、今後の状況次第であるが、コードが規制になっていくことは必ずしも望ましくないと感じており、信用格付けに関する議論の進展や、国際的な動向も踏まえて議論をしていくべきと思う。

・COP27でも議論となっているが、データに関する重要性は高まっており、行動規範の範囲にデータを含める必要があると思う。一方で実務的な配慮は重要で、データについて更に時間を取ることとするとりまとめ案は落としどころとして適切と感じた。また、金融庁が賛同・受入れの状況の一覧表を公開する際には、コンプラインなのかエクスプレインなのか適用予定なのか、各機関の状況が原則ごとにわかるような開示が行われるよう期待する。

・会計監査や信用格付業、ISOに基づいた検証を行う機関など様々な主体がESG評価を行っており、ルールが交差することは念頭においておくことが必要と感じる。ESG評価を行う信用格付業者の利益相反については国際的にもIOSCOが厳しいルールを定めており、情報のウォールを設置している機関が多いと思う。

・ESG評価データ提供機関はこれまでも創意工夫を行ってきたものであり、今後も、例えばESGのリスクと機会をどう評価するか、エンゲージメントを促すような工夫など、さらに議論を深めていくことが期待される。

・データについては重要性が高まっており、今後も、温室効果ガス排出量だけでなく、生物多様性など様々な数字に重要性広がっていくと思う。データ提供機関のイノベーションを阻害しないよう配慮する必要がある。

・海外当局との国際的な協調は重要ながら、本規範の策定や世界に先駆けた取組みであるところ、金融庁においては受動的な立場ではなく、より積極的に本規範の考え方にかかる海外発信を進めてほしい。

・ESGデータについて本規範に則った整備は当事者としてもどのような課題が生じるか未知数な部分も多い。想定される今後の規範の改訂においては、単に状況の変化を取り込むという目的のみならず、当事者による実務面からの実現性についてのフィードバックを考慮することも重要。

・本規範の検討領域を超えた議論であることは承知しているが、ESG評価の質の向上においては基データが共通のルールに基づいて開示されることが最も重要。非財務情報開示全般のおいては原則ベースの開示基準が妥当と思われるが、ことデータに関しては一歩踏み込んだルールベースの基準策定を引き続きの検討課題として金融庁として取り扱ってほしい。

・連絡先にメールアドレスを加えるというのはその通りと感じた。


 

<北川座長からご発言>
・本日いただいた意見を反映、その他技術的な修正を含め、座長に一任いただき、座長と事務局で精査して今年中に行動規範を最終版として金融庁としてまとめて公表し、国内外の評価機関に賛同いただくように促していくこととしたいが、よろしいか。

 (異議なしとの声)

・異議なしとのことで、今後そのように進める。


<事務局から挨拶>
・北川座長及び委員の皆様方には、8回にわたって大変精力的な御議論をいただき、感謝申し上げる。この種のESG評価機関への規範というものを当局が定めるというのは、世界でも先駆的な取組であり、大変関心も高い。行動規範の最終化、公表、そして賛同の呼びかけを行い、市場の更なる発展を期待したい。

・この規範を進化させていくため、国際的な発信をするとともに、委員の皆様には引き続き、ご指導いただければ幸い。 
 
―― 了 ――

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