スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議(第15回)議事録

1.日時:

平成30年3月13日(火)10時00分~12時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

【池尾座長】
 それでは、定刻になりましたので、ただいまよりスチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議第15回会合を開催いたしたいと思います。皆様にはご多用中のところ、ご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

  本日は、まず事務局から、お手元の資料という形であると思いますが、「コーポレートガバナンス・コードの改訂と投資家と企業の対話ガイドラインの策定について(案)」と、コーポレートガバナンス・コード改訂案そのものですね、それから、投資家と企業の対話ガイドライン案につきまして、説明をいただきます。

 それでは、よろしくお願いします。

【田原企業開示課長】  
 それでは、資料、別紙1、別紙2にしたがいまして、ご説明させていただきます。

 まず、資料の「コーポレートガバナンス・コードの改訂と投資家と企業の対話ガイドラインの策定について(案)」でございます。コードを策定した際の前文と同様、今回のコードの改訂及びガイドラインの策定についての背景を説明させていただく資料でございます。「はじめに」の最初の段落は、投資家と企業による実質的な対話及びコーポ―レートガバナンス改革の深化をさらに促していく必要があるという、会議開催の経緯について、記載しております。そして2段落目に、今回のコード改訂とガイドラインの策定に至ったことについて記載しております。

 次に、2の「コードの改訂と対話ガイドラインの策定に当たっての考え方」でございます。「1.経営環境の変化に対応した経営判断」につきましては、こうした経営判断を促すことを通じ、企業の持続的な成長と中長期的な価値向上を実現していくことが、コード策定のそもそもの目的であったことに立ち返りまして、それがいまだ実質的に行われていないのではないかということについて、ご指摘いただいている原因と、これに対する対応を記載しております。

 「2.投資戦略・財務管理の方針」につきましては、投資を戦略的・計画的に行っていくことが重要であり、また、その際には、資本コストを意識した適切な財務管理が重要であるというご指摘がございましたので、これについて記載しております。

 そして、1と2において書かれていることが実効的に行われていくためには、CEOの役割が重要であるというご指摘について、「3.CEOの選解任・取締役会の機能発揮等」の前半に記載しております。また、CEOをはじめとする経営陣を支える役割を担う取締役会に今求められている主な内容につきまして、その後に記載しております。

 次に、こうしたコーポレートガバナンス改革を実効的に根づかせていく上で重要であるとのご指摘をいただいた政策保有株式について、4に記載しております。近年、政策保有株式は減少傾向にありますが、事業法人による保有の減少が緩やかで、政策保有株式が議決権に占める比率は、依然として高い水準にあるというご指摘を頂戴しております。そして、政策保有株式につきましては、何より深度ある対話が行われることが重要であること、そのためには、個別の株式についての保有の適否の検証や、分かりやすい開示・説明が重要ではないかというご指摘を頂戴しました。また、政策保有株式の縮減に関する方針が開示されることが重要であるというご指摘についても記載しております。

 「5.アセットオーナー」につきましては、1から4が実効的に行われていくためにも、インベストメント・チェーンの機能発揮を促していくことが重要であり、そのためには、最終受益者の最も近くに位置し、企業との対話の直接の相手方となる運用機関に対して働きかけやモニタリングを行っていくアセットオーナーの役割が重要であるというご指摘を頂戴しました。アセットオーナーのうち、公的年金につきましては、昨年5月のスチュワードシップ・コードの改訂を受け、進捗が見られるところでございますが、企業年金につきましては、必ずしも十分に取り組みが進んでいない状況にあるのではないかというご指摘を頂戴しました。こうした課題への対応として、母体企業においても取組みを進めるべきであるといったことについて記載しております。

 最後に、「おわりに」でございます。今回提言した案に沿って、コーポレートガバナンス・コードの改訂及び対話ガイドラインの策定が行われることになろうかと思いますので、この点について記載しております。

 以上が、「策定について(案)」のご説明でございます。

 次に、別紙1の「コーポレートガバナンス・コード改訂案」をご覧いただければと存じます。

 まず、6ページでございます。政策保有株式について、今回改訂する点としましては、政策保有に関する方針の中で、政策保有株式の縮減に関する方針や考え方などを記載することを明確化すること。取締役会において、対話などに生かしていく観点からも、個別の政策保有株式について検証すること。その際には、保有目的、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているかなどについて精査し、その内容について開示することを盛り込んでおります。また、議決権の行使につきましても、これまでも基準の策定・開示が求められていたわけですが、その内容が抽象的であるというご指摘もありましたので、具体的な基準を策定・開示し、その基準に沿った対応を行うべきとしております。

 次に、補充原則1-4①と1-4②でございます。政策保有株式を持たせている側の企業は、売却の際にこれを妨げるような行動を行うべきではないといったご指摘があり、ガイドラインに盛り込んでおりますので、コードにも記載しております。また、政策保有株主と上場会社との間の取引について、これが経済合理性を十分に検証しないまま行われているケースもあるのではないか、そういったものについてはしっかりと検証し、必要であれば見直していくべきではないかといったご指摘も頂戴し、ガイドラインに盛り込んでおりますので、コードにも記載しております。

 10ページでございます。企業年金について、その重要性に鑑み、ガイドラインに盛り込むべきであるというご議論を頂戴し、その内容をコードにも記載しておりまして、第2章に入れております。

 次に、12ページでございます。こちらは、選任に加え解任を明示しております。

 次に、15ページでございます。まず、原則4-1③でございますが、後継者計画につきましては、後継者計画の策定・運用に取締役会が主体的に関与することについて、ガイドラインに盛り込みましたので、コードにおいても明示しております。

 次に、補充原則4-2①でございます。報酬制度の設計、具体的な報酬額の決定につきましてもガイドラインに盛り込んでおりますので、コードにおいても明確化しております。

 また、補充原則4-3②と③でございますが、CEOの選解任につきまして、ガイドラインと同様の記載をコードにさせていただいております。

 次に、18ページの原則4-8でございます。独立社外取締役の人数について、現在のコードでは、少なくとも2名以上選任すべきであるとされております。この点、委員のご意見の中には、3分の1以上とするべきであるというご意見もございましたが、これまでの全体の議論としては、人数を増やしていく努力をするということではあろうかと思いますが、現段階で新たな形式を盛り込むことについては、意見が分かれていたように存じます。一方で、現在のコードにおきまして、少なくとも3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要と考える会社は、そのための取り組み方針を開示するとされておりますが、この点につきましては、議論を踏まえれば、十分な人数の独立社外取締役が選任されることが妥当であると存じますので、コードにつきましてもガイドラインに合わせる形でこのように記載しております。

 18ページの一番下でございますが、補充原則4-10でございます。任意の諮問委員会につきまして、原則としてはこうした委員会を設置すべきではないかというご指摘を頂戴したと思います。ガイドラインにもそういった記述がされておりますので、それに合わせる形で、「例えば」と「など」を削りまして、名称につきましても「指名委員会・報酬委員会など」という形で明確化しております。

 19ページでございます。前回のご議論の中で、取締役会が機能を果たす上で多様性が重要である、多様性としてジェンダーや国際性が含まれることを明確化すべきではないかといったご指摘を頂戴し、それをコードにも記載しております。

 また、監査役の能力につきまして、最低限必要な財務・会計・法務に関する知識があるのではないか、そもそも適切な経験や能力が必要ではないかといったご指摘を頂戴し、各個人に求められる資質として記載しております。

 なお、もともと、特に財務・会計について十分知見を有する方が最低1人は必要であるとされておりましたので、監査役会の構成上は、そういったことが求められることになろうかと思っております。
 
 最後に、23ページの原則5-2でございます。先ほどの「策定について」の1、2でご説明しましたように、経営戦略や経営計画の策定・公表に当たっては、自社の資本コストを的確に把握することが重要であるといったご議論を頂戴し、ガイドラインにも盛り込んでおりますので、これを原則5-2でも明確化しております。

 そして、実際にどういったことが経営資源の配分として考えられるかについて、今課題とされております事業ポートフォリオの見直しや、設備投資・研究開発投資・人材投資といったものが含まれることについても明確化しております。

 以上、コーポレートガバナンス・コードの改訂案について、ご説明申し上げました。

 最後となりますが、別紙2の「投資家と企業の対話ガイドライン(案)」について、主な変更点をご説明いたします。

 まず、四角の囲みの中の真ん中部分でございますが、前回、ガイドラインとは一体どういう性質のものか、ここで書かれているものについては、「コンプライ・オア・エクスプレイン」を求められるのかという点について、ご指摘を頂戴しました。

 その際にもご説明いたしましたが、本ガイドラインは、両コードが実効的にコンプライ・オア・エクスプレインされる上で、どういったことについて中心的に議論がなされれば、コーポレートガバナンスがより実効的になっていくかという観点から策定されるものでございます。

 したがいまして、このガイドライン自体については、コンプライ・オア・エクスプレインを求めるものではございません。ただ、企業がコーポレートガバナンス・コードの各原則を実施する際や、実施しない理由を説明する際に、本ガイドラインの趣旨やこれまでの本会議における議論をご理解いただいた上で、コンプライ・オア・エクスプレインしていただければありがたいということでございます。

 以上のように、本ガイドラインの性格は、両コードの附属文書という位置づけになろうかと思いますので、その点についても、2段落目で明示しております。

 次に、脚注でございます。コンプライ・オア・エクスプレインに加え、コンプライ・アンド・エクスプレインが重要であるということは、かねがねご議論をいただいておりますので、その点について対話ガイドラインにおいても明確化する観点から、脚注1に記載しております。

 また、コード、ガイドラインの解釈に際しては、プリンシプルベースですので、グループ経営をされている企業においては、そういった視点に基づいて、例えば、グループ・ガバナンスといった視点を盛り込みながら、対話ガイドラインあるいはコードを解釈することになるわけですけれども、その点についても明確化すべきではないかというご指摘も頂戴しましたので、脚注2で記載しております。

 次に、本文の変更点でございます。まず、1-2でございます。資本コストを把握する上で、資本コストの性格を明示すべきではないか、事業のリスクはその中で代表的なものであるといったご指摘を前回頂戴しましたので、その点を明確化しております。

 また、資本効率などに関する目標を設定した理由についても分かりやすく説明がなされるべきではないかというご指摘も頂戴しましたので、その点についても下から2行目に付記しております。

 次に、2ページの「2. 投資戦略・財務管理の方針」でございます。2-1において、保有する資源を有効活用する視点を入れるべきではないか。また、2-2において、資本コストを意識した資本の構成や、手元資金の活用の視点も重要であるというご指摘を前回いただきましたので、この点も記載しております。

 「3. CEOの選解任・取締役会の機能発揮等」でございます。まず、CEOの選解任・育成等につきまして、3-3にあります「後継者候補の育成」には、必要に応じて社外の人材を選定することも含まれるのではないかというご指摘を頂戴しましたので、この点を明記しております。

 次に、取締役会の機能発揮でございます。前回、取締役会の多様性に関しまして、先ほども申し上げましたが、ジェンダーや国際性の面が含まれることを明確化すべきとのご指摘を頂戴し、その点についてガイドラインにも記載しております。また、取締役として女性が選任されているかどうかについても、対話が行われるべきではないかとのご指摘を頂戴しましたので、その点も記載しております。

 さらに、取締役会の実効性評価につきまして、PDCAサイクルを回していく上で非常に重要であり、ガイドラインにおいても記載すべきではないかといったご指摘を頂戴しましたので、3-7につけ加えさせていただいております。

 次に、独立社外取締役の選任・機能発揮でございます。3-8に関し、独立社外取締役に求められる最低限の知識があるのではないかというご指摘を頂戴しました。試験をするべきではないかというご指摘も頂戴したわけですが、プリンシプルベースという観点から考えますと、まずはどういった資質が求められるかについてガイドラインに記載し、試験や研修といった具体的な取組みについては、各企業が投資家との対話の中で検討していくことかと思いまして、まずもっては、その資質の点について記載しております。

 また、独立社外取締役の再任、退任につきましては、任期が長年にわたると独立性が損なわれるのではないかといったご指摘や、年齢が高い方ばかりそろってしまうとなかなか新しい視点が出てこないのではないかといったご指摘があり、再任・退任等について、「自社が抱える課題やその変化などを踏まえ、適切な対応がなされているか」という形で記載しております。

 次に、監査役等の選任・機能発揮でございます。監査役・監査委員・監査等委員につきましても、最低限必要な財務・会計・法務に関する知識があるのではないかといったご議論があったことについては、先ほどご説明をさせていただいたとおりでございまして、ガイドラインの3-10についてもこのような形で修正しております。また、監査役が業務を行う上で支援体制が重要であること、内部監査部門との適切な連携が重要であることは、かねてよりコードにも記載がありますが、こちらについても改めてご指摘がございましたので、対話のテーマとして3-11に記載しております。

 次に、4ページの「4.政策保有株式」でございます。先ほど申し上げました政策保有株式についてのこれまでの議論を踏まえ、ガイドラインも、このような形で修正しております。

 アセットオーナーについても、同様でございます。

 以上、ガイドライン案の修正点についてご説明させていただきました。ありがとうございます。

【池尾座長】
 どうもありがとうございました。

 それでは、これから、いつものように自由討議の時間とさせていただきたいと思いますが、それに先立ちまして、本日は、内田メンバー及び上田メンバー、ワリングメンバー、冨山メンバーから意見書の提出をいただいております。特にご欠席の上田メンバー及びワリングメンバー、冨山メンバーの意見書について、事務局から簡単にご紹介をお願いしたいと思います。それから、ご欠席の川村メンバーからもコメントをお預かりしておりますので、それについても合わせてご紹介をお願いしたいと思います。

 よろしくお願いします。

【田原企業開示課長】
 それでは、頂戴しました意見書につきまして、順次ご説明させていただきます。

 まずは、上田メンバーの意見書でございます。

 上田メンバーからは、主に政策保有株式と指名委員会、報酬委員会、独立社外取締役についてのご意見を頂戴しておりまして、まずもって全体としてガイドライン案及びコード改訂案に賛同する、今後の進め方については座長に一任させていただきたく存じますということでございます。

 政策保有株式につきましては、コード改訂案の原則1-4において、縮減という方向性が明確化されたことを高く評価し、政策保有株式に関する問題について、あるべき方向性を示すものであると考えますということでございます。

 また、補充原則1-4①と②は、政策保有株式の縮減の方向性を妨げ、株主共同の利益を害する事態に対する懸念を払拭する上で意義があるということでございます。

 加えて、政策保有株式の問題は、対話を通じて解決されるべきであり、その前提となる情報開示についても、ひな形的な記述や具体性を欠く記述を避ける、利用者にとって付加価値の高い記載となるようにすべきであるということで、補充原則3-1①の内容が尊重されることを期待するというご意見を頂戴しております。

 指名・報酬委員会、独立社外取締役につきましては、透明性と独立性を伴うCEOの選解任プロセスの構築が重要とのご意見を頂戴しております。

 また、報酬制度につきましても、任期中のCEOをはじめとする経営陣が、企業の持続的成長に対して実効的に貢献できるようにするためには、透明性と客観性を備えたインセンティブとして機能する制度の設計が必要であり、こういった観点から、指名委員会等設置会社以外の仕組みの会社においても、独立の指名委員会や報酬委員会が設置されるべきであるというご意見でございます。

 その際に、そういった委員会においては、独立社外取締役が委員長を務め、委員の過半数が独立社外取締役であることが望ましいというご意見でございます。

 そのためには、独立社外取締役のさらなる充実が必要であり、コードの定める最低基準である2名では不足する場合もあるので、ジェンダーや国際性など、多様性や資質に配慮した上で、十分な人数の社外取締役が選任されることを期待するというご意見を頂戴しております。

 以上が、上田メンバーのご意見でございます。

 続きまして、冨山メンバーのご意見です。冨山メンバーからは、全文読み上げるようにというご指示を頂戴しておりまして、2ページ読み上げさせていただきます。

『意見書。2018年3月13日。冨山和彦。

 今回提示された改定案は、概ね今、日本の上場企業が取り組むべき改革課題に関する重要なベストプラクティスを過不足なくカバーしており、この案をベースに座長一任とすべきである。

 特に経営者の後継者計画について、指名(諮問)委員会、報酬(諮問)委員会の設置・活用を原則的なベストプラクティスとした点は極めて重要であり、絶対に堅持しなくてはならない。このような経営環境の激変期を担いうるタフな経営者を選抜していく上で、社外取締役の幅広い知見、視野をフルに活用しながら、より客観的で透明なプロセスで選抜、鍛練、選解任を行うことは非常に重要であり、それが制度的に担保される指名(諮問)委員会、報酬(諮問)委員会の設置と本格運用がベストプラクティスであることは明らかである。

 先日の経産省のCGS研究会で提示されたアンケート調査において、この領域こそ、見かけのコンプライと実態のかい離が激しく、しかも、かい離の主な理由が、後継者指名が現経営者の排他的な専権事項であることを動かせない、動かしたくない(≒社外取締役を関与させたくない)ことにあることが明らかになっている。要は実質が伴っていないどころか、そもそも実質を整える気がないということであり、かかる課題において実質を整えさせるには形式的な規範をさらに前に進めるしかないこともこれまた自明である。

 いわゆる経済界の一部からは、かかるベストプラクティスを原則化することについて消極的な意見が出てくることが予測されるが、あのアンケート結果からはある意味、やる気がない以上、消極的なところが出てくるのは当然で、だからこそ妥協は許されない。そもそも本音ではやる気がない経営者たちの反対で彼ら自身を規律する規範を放棄することは、勉強したくない子どもの声を反映して授業カリキュラムを甘くする愚行に等しい。ましてや対象は我が国の企業社会のエリート中のエリートである上場企業の経営者たちである。そんなエリートたちを甘やかす愚行はありえない。

 しかも長年にわたり、世界での売上シェアプレゼンスを失い、低収益と低株価で国民の資産形成や年金財政に貢献できず(この20年間で米国の家計金融資産は約3.3倍に増加したが、日本の家計金融資産はわずか1.53倍の増加)、加えて国内の勤労者雇用における貢献シュアも失ってきたのが、日本の上場企業群である。この間、勤労者世帯所得も低下を続けた。色々な言い訳もあろうが、経営とは結果が全てである。残念ながら社会の持続的発展にとって経済社会のリーダーとして立派な働きをしてきたとは言えないのが、今の経営者の太宗である。今こそ私たち経済人自身が、深く反省し、自らに対して最も厳しい規律を課すべきことは、経済社会のリーダー的立場にある者として当然の矜持である。

 矜持ある経営者が、かかるベストプラクティスが自社には該当しないと考えるなら、正々堂々とエクスプレインすればよいのである。現状、横並びで異常に高いコンプライ率になっていること自体、横並び的な意思決定で長期停滞やゾンビ化に陥って来た多くの日本企業が根本的には変わっていない証左である。その中で、公然かつ論理的にエクスプレインするような企業の出現は、現在進めている企業統治改革がむしろ期待しているところである。コードを通じて厳しい自己規律を課す矜持もなく、さりとてエクスプレインする矜持もない経営者は、はっきり言ってこれからの日本には必要ない。直ちに退場すべきである。

 当該コードは、企業がもう一度、社会市民として持続的な成長とインベストメントチェーンを通じて、年金生活者を含む国家国民の福利と資産形成に貢献することを目的としている。経済社会のリーダーとしての矜持を持っていない、一部の堕落した経済人の意見をかかる重要な公共政策の決定に反映することは、最終受益者である国民に対する裏切りに等しい。それぞれの立場として反対せざるを得ない団体や委員がいるであろうことは理解するが、本委員会全体として、かかる意見を政策決定に反映させる必要はないし、反映すべきでもない。

 経済同友会副代表幹事の筆頭に名を連ねる者として嘆息せざるを得ない現実だが、日本社会におけるいわゆる経済界の地盤沈下は甚だしい。「経済一流、政治三流」と言われた時代も今は昔。イノベーションの時代において、明日の日本国経済の主役たるべき若い経営者、起業家たちは、いわゆる財界活動に興味を持たなくなっている。私は二十代から三十代の子どもを持つ親でもあり、幸い子どもたちは国内外のいわゆるエリート大学、大学院で学び、それなりの仕事に就くことが出来ているが、彼らの友人も含め、経済三団体の存在さえ知らないし、教えてもまったく関心を持たない。はっきり言って、私たちはもはや前時代の遺物になりかねない状況である。

 今回の議論を巡る一部の経済界の反対とその貧相な論拠を聞くにつけ、このままでは経済界の地盤沈下、前時代の遺物化、ゾンビ化の加速は止まらないと言わざるを得ない。経済界を代表する人間の一人として、全ての経済界が、今回のコード改訂が自らを最大限に厳しく律する改訂となるよう、誰よりも力強く推進する立場を取ることを強く希望するものである。』

 という意見書を、冨山メンバーから頂戴しております。以上、読み上げさせていただきました。

 続きまして、ワリングメンバーの意見書につきまして、概要をご説明させていただきたいと思います。

 まず、冒頭で、今回の案について、ICGNとして賛成されるというご意見を頂戴しております。その上で、幾つか将来的に以下のような点について対話ガイドラインやコーポレートガバナンス・コードに反映していくべきというご意見を頂戴しております。

 具体的には、まず、ガイドライン3-2に関連し、指名委員会を盛り込むことについては歓迎するということでございます。

 その上で、ボードの構成について、将来的には、独立社外取締役が取締役会全体の3分の1を占めることを目指すべきではないかというご指摘を頂戴しております。

 また、指名委員会の権限について、例えば取締役会の構成の定期的な見直しや、取締役の能力の分布と経営戦略との整合性の確認をするなど、具体的に開示することが重要ではないかといったご指摘や、CEOの後継者計画は定期的に見直されるべきである、CEOの選解任手続きに係る独立した監視、監督が重要であるといったご指摘を頂戴しております。

 次に、ガイドライン3-5に関連し、報酬委員会について盛り込まれたことを歓迎するとした上で、報酬委員会の権限について、報酬方針の策定やCEOの短期・長期インセンティブのモニタリング・評価など、具体的に開示すべきではないかというご指摘を頂戴しております。

 また、ガイドライン3-6については、具体的な目標と期限を定めた取締役会の多様性に関する方針を開示すべきではないかというご指摘を頂戴しています。

 ガイドライン3-7の取締役会の実効性評価については、取締役会議長を含む取締役個人についても評価を行うべきであることや、定期的に外部の評価を受けるべきであるといったご指摘を頂戴しております。

 次に、ガイダンスの3-9とありますが、これは3-8の誤りかと思います。こちらについては、独立社外取締役の再任・退任について言及されたことは、歓迎するということでございます。

 また、3-10とありますが、これは3-9だと思います。独立社外取締役の役割についての言及されたことについても歓迎するということが記載されております。

 最後に、今回の対話ガイドラインで触れられていない事項ではございますが、対話のテーマとすべき事項として、3点ほどご指摘を頂戴しております。具体的には、CEOの選任プロセスについて、現役のCEOが関与し影響を及ぼしていないか、CEOと取締役会議長が兼務されている場合に、その合理性の説明が適切になされているか、そして、独立社外取締役のうち1人が、株主との対話の主要な窓口となる責任を与えられているか、でございます。

 以上、ワリングメンバーの意見書について、ご説明させていただきました。

 最後に、川村会長から、今朝コメントを頂戴しましたので、ご紹介させていただきます。これも、いただいたコメントをそのまま読み上げさせていただきます。

 『金融庁が作成した投資家と企業の対話ガイドライン案並びにコーポレートガバナンス・コード改訂案について、全面的に賛成致します。ここから後退することなく、ぜひ前に進めていただきたいと思います。同案に対しては、経団連から骨抜き案が出るとの噂も聞こえていますが、骨抜きには全面的に反対致します。』

 ということでございます。以上、コメントを読み上げさせていただきました。

【池尾座長】
 少し説明に時間を要しましたが、ただいまから自由討議に入りたいと思います。多くのメンバーからご発言をいただきたいと思いますので、発言時間については、いつものようにご配慮いただきながらご発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 では、岩間メンバー、お願いします。

【岩間メンバー】
 感想と、今後のことということです。

 全面的に、私は今回のは、方向性として非常にいいと思っております。

 それで、私が関心を持っておりますのは、株式市場が活性化することが大課題であって、それもこの短期化傾向に対し、もう少し長期に保有することが徹底され、特に機関投資家は責任を持ってそれをやっていくことが大事だと思っております。

 そういう観点で、ただ、ある意味では政策保有も長期保有になるのですが、政策保有が長期化しますと、これは要するに、株主と経営の緊張関係が極めて希薄化して、非常な弊害が出ることが、批判の最大の理由ではないかと、私は思うのです。

 そういう中で、長期の投資家が、積極的にエンゲージメントしていく、実効性のある対話を責任を持って展開することがどうやったらできるか、そのためのインフラが、この2つの、コードだと思うのですね。そして、それらが実効性を持つために何をするかが、今度のガイドラインだと私は思っております。

 いろいろ今後も検討しなければいけないことはたくさんあると思いますが、これは、ぜひしっかりと着実に定着するように、努力していただけたらと思っております。

 以上、感想でございます。

【池尾座長】
 ありがとうございました。ほか、いかがでしょうか。もう大体煮詰まったということで。

 内田メンバー、お願いします。

【内田メンバー】
 どうもありがとうございます。

 今回、ほかの企業の方の意見も聞きまして、それも一部踏まえて、文書で提出させていただきました。前回の会議までに申し上げた意見の繰り返しとなるものがかなり多く含まれていますが、今回は、提出した文書の中から重要な部分を口頭で説明させていただきたいと思います。

 まずコード改訂についてですが、昨年閣議決定されました「未来投資戦略2017」の中で政府も認めていますように、日本企業のコーポレートガバナンス改革は、着実に進展していると認識しています。M&Aや事業売却などを通じた事業ポートフォリオの見直しに関しても、M&Aのアドバイザリーをやっている方から伺ったところによりますと、日本企業のM&Aは確実に増えているということですし、事業を売却して切り離すことについても、かつてはかなり抵抗があったのですが、最近は日本企業も真剣に取り組んでいる、あるいは、考えているところも多いとのことです。このようにして事業ポートフォリオの見直しに取り組んでいる企業は増えており、コードの主眼である企業の持続的成長と中長期的な企業価値向上に向けた取り組みも着実に進んでいると認識しています。

 ただその一方で、コーポレートガバナンスに対する取り組みがまだ不十分であるという指摘が多くあって、現時点でコードを改訂するという流れになっていると理解しますが、そのような個々の指摘を検討することは当然重要であるものの、必要なコードの見直しを検討するに当たっては、コードの導入によってどのような成果があったのか、あるいは成果がなかったのかなど、客観的・包括的な検証を行い、共通の認識をつくっていくことが必要であると思います。そのような共通認識があると企業も当然、真剣に取り組むようになると思いますが、そうした検証や共通認識の醸成が不十分な中でコードを改訂するとなると、改訂そのものに対して、企業の取り組みが表面的なものになってしまう懸念があります。

 そうした点の1つが、私の提出した文書で次のⅠ.に書きました委員会の設置に関してです。独立した諮問委員会というのは手段の1つであり、独立社外取締役の適切な関与・助言を得る方法は、これに限られないと思います。従って、現行コードの内容に準拠して、指名委員会、報酬委員会の前に、「例えば」という文言を入れた形にすべきだと思います。

 提出文書の2ページ目の冒頭にも書いているのですが、委員会を設置していない会社において独立社外取締役の関与・助言が適切に行われているのか否かについての実態を、もう少し検証すべきだと思います。経産省が行ったアンケートでも、別の方法で社外取締役の関与・助言を得ているという回答があります。その辺をもっと掘り下げて、実際にそういう企業、あるいは、その企業の社外取締役にヒアリング等をすれば、委員会以外でも他にいい方法があるかもしれないわけで、他にいい方法がないことがわかってはじめて、委員会を設置して活用すべきだということになると思います。そうした検証、事実の確認、現状分析というプロセスが足りていません。少なくとも、この会議の場では行っていない、あるいは、不足していると思います。そのような現状分析、事実の確認なく、いきなり対策を打っている感じがするため、受け取りサイドである企業としては、納得感がなかなか得られないと思います。これが非常に懸念する点です。

 なお、提出文書のⅠ.の(2)、(3)で書いたのは、会社法の解釈からの意見です。説明を省略させていただきますが、記載のとおりです。

 次に、提出文書のⅡ.1.の政策保有に関して意見を述べさせていただきます。コード改訂案の原則1-4で「政策保有株式の縮減に関する方針・考え方など、政策保有に関する方針を開示すべき」とされていますが、この文言ですと、一律に縮減すべき、すなわち政策保有は間違いだ、というふうに受け取られかねません。そのように受け取られないようにすべきです。

 私が調べたり聞いたりしたところでは、指名委員会等設置会社に移行してモニタリングボードを指向している日本の主要企業においてもほとんどが、政策保有について、合理性があるもの、相互の連携を高めて企業価値を高めるものに関しては保有すると考えています。企業は、保有と縮減を両立てで考えており、このことは、アメリカ企業に近い形態のモニタリングボードを採用している企業でも、ほとんど同様なわけです。

 従って、コード改定案の原則1-4には、「縮減に関する方針」ではなく、「縮減・保有に関する方針」と記載するのが、日本企業の考え方に合っていると思います。

 前回会合で申し上げたとおり、保有意義がなくなったものについては縮減が粛々と進んでいます。そのスピードが緩やかだというご指摘もありますが、株の放出、売却は一挙に行えないという事情があると思いますので、現行コードの下で、状況をもう少し時間をかけて見極めるべきだと思います。

 続きまして、Ⅱ.の「2.保有適否の検証についての開示」について意見を述べさせていただきます。コード改定案の原則1-4において、個別の保有株式について検証し、そうした検証の内容について開示すべきという文言がありますが、提出文書の「理由」の特に後段部分に書いたとおり、検証の内容は、取引内容や企業戦略にかかわることなので、企業秘密の観点から個別の開示はできないという意見が多数出ることが想定されます。したがって、コード改定案の原則1-4の「検証の内容について開示すべき」という部分に関しては、個別に開示するのではなく、全体像、概要を開示するということにならざるを得ないと思います。競合他社などに知られてしまうと戦略面で不利な立場に立たされてしまうこともあり得ますので、理解いただきたいと思います。

 また、様々な企業から話を伺っていると、個別銘柄について取締役会で全てを検証するのは難しいという意見が多数あります。これに関して三瓶メンバーは、政策保有は全部主要だとおっしゃっていますが、先ほど申し上げましたとおり、保有せず減らす場合においても、一挙に減らす、あるいは、直ちに減らすことはできないというケースもありますし、少し保有し、相手となる会社でのプレゼンスを高めたいというケースもあろうかと思いますので、現行コードにある「主要な」という文言は残してもらいたいという意見です。

 提出文書の3ポツ部分に関しては、記載のとおりですので、説明を省略いたします。

 提出文書のⅢ.、4ページ目のアセットオーナーに関しては、以前から継続して同じことを申し上げていますが、企業年金の規模はさまざまです。制度の数を申し上げますと、基金型で600、規約型で11,000以上あり、その中で資金規模50億円未満のところが基金型でも120近くありますし、規約型に至っては1万以上あるという状況です。

 このような小規模なところがスチュワードシップ活動を行うコストを負担するのは、実態として難しいと思います。他方、これだけの企業年金がモニタリング活動を始め、運用会社に報告や対話を申し入れたときに、運用会社は現状のコストで全部に対応できるのか疑問もあります。仮にコストアップとすると、企業年金につけが回るわけです。ですので、まずは、もう少し制度を精査し、企業年金のスチュワードシップ活動が可能な制度につくりかえる、あるいは、そのような仕組みを構築すべきだと思います。そうした検討もなく、いきなり「こうすべきだ」というのは、尚早に過ぎるのではないかと思います。

 理由の(2)に関しては、提出文書に記載したとおりです。

 提出文書のⅣ.についても、記載のとおりで、これも説明を省略いたします。

 最後に、本日配布されたフォローアップ会議としての意見書案について、印象と意見を申し上げます。この意見書案は今回初めて出てきたと思いますが、このフォローアップ会議におけるこれまでの議論は、当初はコードの運営の質を高めるための「ガイダンス」をつくるということでしたが、途中から、その中の重要なものをコードに盛り込むという流れになったものと思います。

 この意見書の冒頭部分を拝見しますと、最初からコードの改訂ありきだったかのようなニュアンスに読み取れましたので、これまでの経緯と違うのではないかという印象を受けました。

 また、意見書の1ページ目の下部に、「現状においても、なお経営環境の変化に応じた果断な経営判断が行われていないとの指摘がなされており」とか、「例えば、日本企業においては、事業ポートフォリオの見直しが必ずしも十分に行われていないとの指摘があるが、その背景として、経営陣の資本コストに対する意識がまだ不十分だと指摘されている」といった記載があります。

 これに関しては、一部の企業はそうかもしれませんが、このような書き方ですと、日本企業全体がどうしようもないという印象に受け取られてしまう恐れがあります。実態はそうではなくて、しっかり取り組んでいる企業がある一方、まだまだ不十分な企業もあるということだと思います。日本企業全体がまだまだ不十分だと言われると、「うちはしっかりやっている」というところが沢山出てくるのではないかという気がします。書きぶりの問題ではありますが、ポジティブな要素も入れて記載していただきたいと思います。

 以上です。

【池尾座長】
 どうもありがとうございました。

 今ご発言があった中で、コーポレートガバナンス・コード改訂案の6ページの、政策保有のところの開示ですけれども、「開示」には「個別的」はかかっていない解釈……。

【内田メンバー】
 それでよろしいのですか。

【池尾座長】
 私も、そういう解釈です。検証は、個別にやってもらう必要があるということですけれどもね。

 ほか、いかがでしょうか。

 三瓶メンバー、お願いします。

【三瓶メンバー】
 ありがとうございます。

 コーポレートガバナンス・コードの改訂案と、その説明文書とガイドライン、3つのご準備ありがとうございます。

 どれも、かなりこれまでの議論が反映しているかと思います。その中で幾つか、今内田メンバーからもお話があったので、もう1回ですね、私が重要だと思うポイントについて、述べさせていただきたいと思います。

 まず、コードの改訂案の18ページ。原則4-10及び4-10①です。

 ここについて、「例えば」という言葉と「など」という言葉を落としたのは、とても重要な意味があると思います。先ほど触れられた、コーポレートガバナンス・システム研究会のアンケートによると、コンプライしていると言っている会社が77パーセントあると書いてあります。一方で、上場企業、東証一部上場の企業を見たときに、32パーセントの会社が、実際に指名委員会に相当する委員会の設置をしています。そういう意味では、随分数字に齟齬がある、乖離があるという感じがします。その中でも、監査役会設置会社の31パーセントが、指名委員会に相当する任意の委員会を設置しています。

 そういう意味で、こういうところでも、コンプライという意味をどう捉えているのかが、不明確ではないか。なぜ、そういうことになるかというと、コンプライ・オア・エクスプレインについて、何についてそれを考えるのかという論点が不明確だからだと思うのです。

 ですから、「例えば」とか「など」として、非常に幅を広げてしまうことが、そういったことをもたらしていると思いますので、今回、これを削除することに、とても大事な意味があって、何についてコンプライ、またはエクスプレインするのかが明確になると思います。

 もう1つ、この原則4-10の箱の中に書いてあることです。「機関設計のうち会社の特性に応じて」「必要に応じて任意の仕組みを活用する」という、この意味合いですね。これは、例えば、監査役会設置会社で、取締役会の機能が執行と監督、これを兼ね備えていることがあるからこそ、指名や報酬に関する機関決定をする場として、機関決定、最終決定ではないですけれども、諮問機関としてもそういう機関があることが明確化されることが、非常に大事だと思います。

 例えば有報のコーポレートガバナンスのページを見たときに、機関設計がどういうことになっているかという図があります。あの中に、委員会があるということで、機関としてどこで、案が、素案が練られたとか、または、諮問機関としての意見が固まったかが明確になります。個別に個々の対応をすることが実際あるというご説明もありますけれども、それでは、明確に、どこで責任を持って、意思決定のプロセスを踏んでいるのかがわからなくなります。

 こういったことは、実際に対話している場面で、1つ1つ、どこで何がどう決まってきたのかを、私たちは聞いていますが、明確になっている場合と、不明確でうやむやになる場合の、大きな分かれ道になっていると思いますので、機関としての委員会の設置意義は大事なポイントだと思いますので、あえて申し上げておきます。

 それと、コード改訂案の6ページをごらんください。こちら、かなり真っ赤に改訂していただいていますが、ありがとうございます。

 ここである種のエビデンス、客観的な検証等が必要だというご意見もありますけれども、そこで出てきた1つのエビデンスが、例えば、160社が政策保有を減らしたとか、そのうちの78社は2桁パーセントを減らしたことがありますが、この数字は、例えば東証一部で換算すると、160社とは8パーセント、78社というのが4パーセントのことです。

 ですから、逆にこれしかまだ進んでいないということですね。ですから、ほかの、例えば、コーポレートガバナンスの進展があると言われている、社外取締役の導入が進んでいるという数から比べると、はるかにまだ動きが小さいと言えます。

 または、日本の株式市場の時価総額のうち、22パーセントが事業法人に保有されているというのがあります。または、商事法務の株主総会後の調査ですが、過半数が安定株主であると認識している会社さんが、全体の40パーセント以上あって、これは、まだこの数年間、大きな変化がありません。

 そういった意味で、この原則1-4の部分は、客観的に見ても、遅々として進んでいない部分である。だからこそ、今回この改訂に際して、真っ赤に直す必要があったのだろうということだと思います。

 この中で、1つですね、ガイドラインと、このコード、コードで言うと1-4②の表現が、私は気になっているところがあります。1-4②と、ガイドラインの4-4ですが、「上場会社は」から「取引の経済合理性を十分に検証しないまま」とあるのですが、このことは、よくよく考えてみると、本来は正当性または公正性と、そういうことではないかと思います。

 実際の経済合理性とは、原則1-4の箱の中に書いてある「保有目的が適切か」「リスクが資本コストに見合っているか」、こちらが経済合理性の話で、これ英訳したときに、おそらく、原則1-4の箱の中に入っている、今の「適切か」「見合っているか」は、economic rationalityということだと思います。一方で、この1-4②の「取引の経済合理性」は、むしろ正当性、公正性ということでいうと、legitimacyとかfairnessになってくる話だと思います。この全体の中で、economic rationalityとlegitimacyのようなことは、もっと明確に対比として書かれたほうがよろしいかと思いました。

 あとは、ガイドラインで、ちょっとだけよろしいでしょうか。ガイドラインの、3ページの3-7です。ここで、3-7をつけ加えていただいたのですが、実効性評価ですね。最後の「その結果がわかりやすく開示・説明がされているか」というと、今一番多い開示は、検証した結果全て適切に行われているという説明が、いまだに多いです。そういうところからすると、この最後の部分は、「その結果、確認された課題を含め、評価結果がわかりやすく開示・説明されているか」というふうに、もう少し「課題を含め」等々の言葉を加えていただいたほうが、より明確になるのではないかと思っています。

 最後に、このページの3-10です。

 ここで、監査役の件について、総体として必要な知識等が備わっていればいいのではないかというご意見がありましたけれども、内田メンバーの意見書に書かれていましたが、監査役は独任制でありますから、1人でも有効な監視を行うことができる、そういった人材を選任する必要があるのだと思います。ですから、ここについての表現は、重要な意味を持っていると思っております。

 私からは、以上です。

【池尾座長】  
 ありがとうございました。

 先ほどから企業アンケート等の結果等について言及がございます。経済産業省の木村審議官に来ていただいていますので、ご説明をいただきたいと思います。

【木村経済産業省経済産業政策局審議官】  
 ありがとうございます。経済産業省の審議官の木村でございます。

 オブザーバーという立場で出席させていただいておりますけれども、座長からお許しをいただきましたので、こちらの資料、「指名委員会・報酬委員会に関する参考資料」とタイトルをつけている資料でございますが、この資料にしたがいまして、簡単にご紹介をさせていただきたいと存じます。

 この内容は、先ほどメンバーの方からもご言及がございましたように、去る2月22日に開催させていただきましたCGS研究会、本日の会議と一部メンバーの先生方が重複してございますけれども、この場で説明をさせていただいたものでございます。

 内容といたしましては、コーポレートガバナンスに関する企業の取り組み状況のアンケート調査と、経営パフォーマンスに関する経済分析を行わせていただいてございます。

 調査の概要につきましては、2ページをお開きいただければと存じます。真ん中の左の囲みでございます。昨年末から今年1月にかけまして、東証一部・二部の上場企業の方を対象にアンケート調査をさせていただきまして、941社の方から回答をいただいてございます。

 アンケート調査結果のポイントは、お戻りいただきまして、1ページに要約してございますので、そちらをごらんいただければと存じます。

 まず1つ目の丸でございます。3ページの2つの棒グラフも合わせてごらんいただければと存じます。委員会の設置済み、またはその設置を検討中、検討予定の企業でございますけれども、それぞれ55パーセントあるいは58パーセントとなってございます。

 次に、2つ目の丸でございます。4ページの、上から2つ目と4つ目の棒グラフをごらんいただければと存じます。こちらでは、社長・CEOの選解任の決定に関する監督につきまして、社外取締役が役割を果たしていると回答した企業をお示ししてございます。委員会を設置している企業では76パーセント、設置していない企業では48パーセントという数字になってございます。このことは、社外取締役が役割を果たす上で、委員会の設置・活用が重要であることを示唆しているものと考えてございます。

 次に、3つ目、1ページ目の3つ目の丸でございます。5ページの一番下にございます、問38の部分をごらんいただければと存じます。委員会を設置している企業につきまして、独立性、客観性と説明責任の強化、あるいは決定プロセスの安定性向上といった設置の目的を実現できている、またはどちらかというと実現できていると回答された企業でございますが、こちらは95パーセントと高い水準になってございます。

 次に、4つ目の丸でございます。こちらは、6ページの棒グラフをご参照いただければと存じます。こちらは、委員会を設置していない企業に対しまして、設置していない理由についてお聞きいたしますと、指名・報酬については社外者の関与・助言が必要だと感じてないとする回答が、37パーセントになってございました。このことは、コードの原則におけます、指名・報酬等の検討への独立社外取締役の適切な関与・助言が、十分に得られていない可能性を示唆しているものと考えてございます。

 この点に関しましては、7ページに、委員会を設置していない企業の方々の現場のお声もご紹介させていただいておりますので、後ほどご参照いただければと存じます。

 最後に、1ページ目の5つ目の丸の経済分析について、ご紹介させていただきたいと存じます。

 この経済分析は、昨年度のアンケート調査にご回答いただきました874社をベースにやらせていただいたものでございます。詳細は、8ページ以降に記述しておりますが、この分析は、研究者の先生方のご助言もいただきながら、ROAにつきまして、2013年から2014年の平均値と、2016年から17年の平均値の伸び幅を比較させていただいたところでございます。

 10ページに結果を取りまとめてございます。大きく言えますのは、指名委員会を設置、活用している企業、特に社長・CEOの指名について指名委員会で議論している企業などでは、ROAの伸び幅が大きい傾向が見られる。そして、それは統計的に有意であるということでございます。

 ただいまご説明させていただきました結果は、調査の期間でありますとか、あるいはサンプル数などにおきまして、一定の制約はございますけれども、今回の調査で浮かび上がった実態は、指名・報酬委員会の設置・活用につきまして、本日事務局の金融庁さんからご提案のありました原案の方向で見直しを行うことの必要性を示唆しているものと考えてございます。一つの客観的な事実として、本日の議論の参考にしていただければ、幸いでございます。

 私からは、以上でございます。

【池尾座長】  
 どうもありがとうございました。

 それでは、佃メンバー、お願いします。

【佃メンバー】  
 はい、ありがとうございます。

 時間の関係もありますので、このガバナンス・コードの改訂の部分で2点に絞ってお話させていただきます。

 まず1点目は、お手元の18ページ、コード改訂案の原則4-8、「独立社外取締役の有効な活用」です。これは、先ほど田原課長からもご説明がありました。前段については今回3分の1以上というのは見送りということで、個人的には極めて残念ではございますけれども、某経済団体のトップも替わると聞いていますので、トップが替わったところで、改革のアクセルを踏んでいただければと思います。次回のコード改訂に期待したいと思っております。

 次に後段ですが、これは、私から、前々回ですか、腹に落ちないというお話をさせていただきましたが、7割ぐらいは腹に落ちるようになったかと思っています。

 1点だけ、これは修辞の世界だと思うのですけれども、可能であればということでご検討いただきたいのが、下から3行目、「少なくとも3分の1以上の独立社外取締役を選任することが、必要と考える上場企業は、上記にかかわらず十分な人数の」云々の部分です。「必要と考える」ではなくて「期待される上場企業」ではないか。要は企業がどう思うかは関係ないのですね。社会だとか資本市場だとか、あるいはグローバルな観点から「期待される上場企業」が、十分な人数の独立社外取締役を選任するべきだと考えますので、ここはぜひともご検討いただければと思います。個人的には、大事な論点だと思っています。

 次に2点目として、何人かのメンバーの方々がご指摘いただいていますし、今経済産業省の木村審議官からもご説明がございましたけれども、補充原則4-10①に関しまして、今の経済産業省さんからのご説明、それから、その前の内田メンバーさんからのご意見も含めて、若干個人的な意見を述べさせていただきたいと思います。

 当然ながら、内田メンバーもお立場があっていろいろ悩ましいところもあると思うのですが、内田メンバーにお出しいただいているコードの補充原則4-10①に対する意見書として、理由が3つ記載されていますけれども、今までのフォローアップ会議における議論、もっとさかのぼると、本フォローアップ会議が意見書(2)を出したときの当時の状況も踏まえると、この補充原則4-10①の改訂に対する反対理由(1)(2)(3)は、説得力に欠けるということだと思います。

 なぜ説得力がないのかというと、改訂に対する反対の視点がこれは、企業目線だけなのですね、要は。グローバルな視点と株主視点が、決定的に欠けていると思います。だから、この経団連の反論を読むと説得力が全くない。

 例えば、4-10①は、今回「例えば」と「など」を消して、「指名委員会・報酬委員会など、独立した」という文言を加えていますけれども、その心はというと、まさに先ほどの経済産業省さんの説明にもありましたが、経済産業省さんの資料9ページで、ある程度一定の相関関係は見られていますという、厳然たる事実があるからだと思うのですね。

 それを踏まえたときに、今後より詳細な分析や検討が必要だという主張は誤りであり、今この時点で、この10-4①を改訂することが正しい。後から振り返ったときに、正しいタイミングで正しい改訂をしたということになると思います。

 個別論で、(1)から(3)につき若干コメントさせていただきます。まず(1)で「指名・報酬委員会の設置に限定する必要はない」、下にあります「委員会を設置していない会社において「独立社外取締役の適切な関与・助言」が十分得られていないのか、事実を検証すべきである」とありますけれども、まさにこれが、今回の改訂によって、当然ながら設置しないことを妨げるものではないので、設置しない企業は、エクスプレインすればいいという話だと思うのですね。

 したがって、そういう企業がエクスプレインすることで、なるほど、委員会を設置しなくてもこういうやり方もあるんだねというのが、広くエクスプレインされることによって、あるいは、それがベストプラクティスに、場合によってはなることもあるかもしれません。そういうことがあることによって、日本の企業統治が進化していくという話になるのではないか。

 したがって、この事実を検証してから検討しなければいけないという話というのは、これは順番が逆で、今回の10-4①を進めて、それでエクスプレインを促していく姿勢がまずは必要かと思います。

 次に、(2)で、下から3行目ですね。「指名委員会等設置会社のような委員会の関与を一律に求めることは、会社自身の選択にそぐわないガバナンスを強いる可能性がある」というのですけれども、これは、個人的には、私は杞憂だと思っています。監査役設置会社で、任意の諮問委員会でございますから、法定の委員会でございませんから、どのようなメンバーにするのか、どのような運営をするのかも含めて、自由度があるわけですね。そこの自由度を担保した上で、エクスプレインしていけばいい、コンプライ・オア・エクスプレインしていけばいいということなので、「強いる」という発想自体が間違いではないかと考えます。

 最後の(3)については、「会社法を超えてこのような広範な権限を有する委員会の設置を求めることにはさらに慎重な議論が必要である」とあります。そもそも私どもはハードローではなくてソフトローの世界で、社外取締役の実質義務化も含めて、この数年間進めてきたわけで、ハードローを超えてこういうことをやることに慎重な議論が必要であるとの主張は、ロジックとしておかしい。当然ながら、ソフトローはハードローを超えていくものです。そこの基本的な理解が、そもそも間違っていると思います。

 私のコメントとしては、以上です。

【池尾座長】  
 どうもありがとうございました。

 それでは、川北メンバー、お願いします。

【川北メンバー】  
 全体的な感想と、できればということで、多少の個別の意見を申し上げます。

 私自身は、こういうコードないし今回新たに出てくる対話のガイドライン的なものが、役所側から提示されるのは、原則論としては好きではない。おせっかいではないかという意見の持ち主ですけれども、では、現状、日本の企業なり投資家がどうなっているのかというと、残念ながら、アメリカの企業との対比でいうと、完全に負けてしまっている。平均値の話ですが、完全に負けてしまっている。

 投資家自身も、もちろんちゃんとした投資家は出てきてはいるのですが、大どころは依然として、以前の状況のままで過ごしていて、何か言われると、そちらをすぐ向いてしまうのが現状だろうと思います。

 そういう中で、今回のようなものが示されるのは、ある意味では必然かと思います。こういうガイドラインなりコードの改訂をやっていくことに関しましては、やむなしということです。

 逆に、こういうものが役所から出されることを、日本の企業なり投資家というのは、もう我が身を一度振り返って、恥ずかしいという反省をすべきだろうと思っています。

 それで、今回のガイドラインもしくはコードの改訂に関しましては、特段大きな意見は持っていません。私の発言も趣旨を酌んでいただいて取り入れられていると理解していますので、おおむね、99パーセントこれでいいのではないかと思うのですけれども、その上で若干些細な点になりますが、コメントというか、できればという点だけを申し上げます。

 コードの改訂に関しては特にないのですが、対話のガイドラインに関しては、1ページ目の1-3に関しまして、一番上の行に「事業を取り巻く経営環境やリスクを的確に把握し」とあるのですけれども、この点、リスクを入れていただいたのは、感謝いたします。ただ、これをさっと読むと、事業を取り巻くリスクというになり、例えば、トランプ政権がどうなるのかとか、北朝鮮がという、そういう観点で捉えられてしまう気がするので、これは、むしろ事業のリスクということで、もう少し特定していただければありがたいと思います。

 それから、2点目は、次の2ページにある「投資戦略・財務管理の方針」です。ここに関しましては、「資本コストを意識した資本の構成や手元資金の活用を含めた」と書いてあるのですけれども、その前に、もう1点、今日本の企業を見ていますと、30パーセントぐらいの配当性向のところに皆が集まってしまっています。何を考えているのかというと、皆が30パーセントぐらい配当しているので、それぐらいにしておけば十分だろうと、そういうことで現状が進んでいると思います。ここは、できれば「配当政策」という言葉を入れていただければ、対話のときにより活発な議論が期待できます。いろいろな企業があり、100パーセントの配当性向でいいのだというところもあるでしょうし、現状のグーグルやアマゾンのように配当しない、もうかっていても0パーセントの配当だというところも出てくるでしょうし、そこに少し議論を導いていただければありがたいと思っています。

 以上です。

【池尾座長】  
 ありがとうございました。機関投資家の方は、絶対株主還元政策について聞かれると思うのですけれどもね。

 田中メンバー、お願いします。

【田中メンバー】  
 ありがとうございます。

 まず経済界の意見は一枚岩ではないということが、非常に強い印象として、ありますね。いろいろな方々のご意見、私も個人的に随分知り合いが多いものですから、お話を伺いますと、もっと進めるべきだという人と、それから、いろいろな課題があるという方々がおられて、なかなか1つにするのが難しいという気がいたします。それぞれに、それぞれの立場で抱えておられるものがありますから、ご意見を聞くことは、それなりに必要で大事だとは思うのですね。

 私自身も、実は昨年上場した会社の外部社外取締役をやっていまして、できたばかり、上場したばかりの会社ですね。そこで、このコーポレートガバナンス・コードをもう1回見直して、そして、どうやって説明しようかと思うと、今まで言ってきたことをほとんど変えなくてはいけないのではないかと思うぐらい、違うのですよね。これは、おそらくプロポーショナリティという問題だろうと思います。

 そういう中で、今日いただいたご意見を拝聴させていただきまして、内田さんが書かれたこのとおりに、例えば、意見に書いている「例えば」という言葉を入れるとか、それから、「縮減・保有」を入れるとか、これらをやったところで、実質的にどれぐらいの影響があるのかは正直言って疑問で、私は、実務の世界ではそう思うのではないかという気がします。

 仮に、私が、今社外取締役をやっている会社で、コーポレートガバナンス・コードに対応する原則をつくろう、コンプライ・アンド・エクスプレインをしようとした場合、この意見書に書いてあるとおり変わったとしても、社内での議論の中身はあまり変わらないのではないかという気は、正直言っていたします。

 一方で、冨山さんのご意見も、いろいろ書いておられるのですが、私が非常に大事だと思うのは、2ページ目の真ん中にあります「当該コードは、企業がもう一度社会市民として持続的な成長とインベストメント・チェーンを通じて、年金生活者を含む国家国民の福利と資産形成に貢献することを目的としている」という、この文章ですね。

 したがいまして、コーポレートガバナンス・コードの文言をどうするということも、それなりに意味があるのかもしれませんが、我々が今ここで集まって議論をしているのは、このためにやっているのだというところを、もう1回確認する必要があるのではなかろうかという気がいたします。

 残念なことに、日本の金融システムは、私は最近デッドチェーンという言葉をよく使うのですが、マイナス金利の影響も一部ありまして、国民の福利、資産形成には、ほとんど役に立っていない。リスクマネーの提供という点からしても非常に弱体化してしまった。そういう中で、こうしたお金の流れをつくることによって、そして、国の国富であるとか国民の資産形成をしっかりやっていきましょうというのが、本来の目的のはずですよね。

 そうすれば、いろいろな事情があって、いろいろなものを背負っておられる企業の方々はおられるわけですけれども、企業経営者の1つの義務と言いますか、責務として、企業価値、株主価値を高めることが求められているということを、もう少し認識していただいて、こうしたインベストメント・チェーンを通じて、最終的に、国富であるとか国民の資産形成に役に立つのだということを、しっかり意識していただくことが必要ではないかという気がいたします。

 それ以外にも細かいことはたくさんあると思うのですが、ここまで我々で議論してきた中身は、基本的にはここに反映されていると思いますし、マイナーなチェンジをしても、実際我々の議論の中身は変わるわけでもありませんし、やるべきこともあまり変わるわけではないと思いますので、私は、あとはもう座長にお任せいたしますけれども、基本的に、寄って立つところはそういうところではないかと、もう1回その点を見つめ直す必要があるのではないかという気がいたしております。

 以上です。

【池尾座長】  
 ありがとうございました。

 では、高山メンバー、お願いします。

【高山メンバー】  
 まず、この対話のガイドライン及びガバナンス・コードの改訂案の内容に賛成いたします。

 その上で、3点ほどコメントをさせていただきます。

 まず、コードの改訂案の18ページ、原則4-8です。こちらでは「少なくとも3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要と考える上場会社は、十分な人数の独立社外取締役を選任するべきである」と明記してあります。

 取締役会の実効性、社外取締役の監督機能の実効性を上げるためには、人数、割合というのは、最も重要な要素の一つだと思っています。

 グローバルな観点で言えば、欧州、アジア、米国において、過去数十年にわたり、いろいろな経験と議論を踏まえて、取締役会の実効性を確保するためには、少なくとも3分の1以上の社外取締役が必要だというコンセンサスが、現在企業と投資家の間で存在しています。

 日本の状況を見ますと、例えば、東証一部で見ますと、3割近くが3分の1以上の社外取締役を任命している状況で、今回このようなコードの改訂によって、その割合がさらに増えることを期待しています。

 次、19ページ、4-11の取締役会の多様性のところです。今回、多様性の重要な概念として、ジェンダーや国際性が入りました。これが入ったからと言って、すぐに取り組みが進むことはないかもしれませんが、取締役会の構成、多様性を考える上で、何が重要かということがより明確になったことで、企業としても取り組みが進めやすいでしょう。また、その企業と対話する投資家にとっても、よりフォーカスした形で議論ができるのではないかと思います。これも、今後の取り組みに期待いたします。

 次は、今まで話題になっている指名委員会についてです。指名委員会そのものの話に行く前に、16ページ、4-3「取締役会の役割・責務」について話したいと思います。そもそも取締役会で一番重要なところは何かということについて、ここでは、取締役会は、独立した客観的な立場から、経営陣・取締役に対する実効性の高い監督を行う、これが重要な役割であると記載してございます。そして、その中に、CEOの選解任も含まれるということです。

 そのような中で、委員会の是非を考えてみます。委員会は、今までは皆さん申し上げたように、本質論、それからロジックから考えても必要だということはもちろんございます。それに加えて、実務面から言っても、指名委員会の存在は必要不可欠と考えます。

 というのは、取締役会で、経営陣の選解任も踏まえた実効性の高い監督を行うことは、具体的に実務でどうなるかというと、取締役会において、それに対して十分な議論を行うことになります。

 しかしながら、CEOの選解任について、取締役会のあのような場では十分に議論できる状況にはありません。これは、世界のどこをとっても、日本にとってもそうです。これは、取締役会にかかわっている実務者であれば、皆さんよく理解できることだと思います。

 となりますと、取締役会で詳細で十分な議論ができないということであれば、取締役会が認めた委員会を別に設置する以外に、実務的にそれを解決する方法はないと考えます。そのような観点から、指名委員会の設置は、重要であると思います。

 ただ、指名委員会を設置したからといって、CEOの選解任に対して適切なプロセスが確立され、監督機能が高まるかというと、それは必ずしもそうではないと思います。ここは、社外取締役の是非の議論のときも出た話ですが、社外取締役が選任されたからといって、取締役会の実効性がすぐ上がるわけではない。ただ、社外取締役の選任は、取締役会の監督機能を高める上で、必要最低条件です。

 同様に、指名委員会の存在は、取締役会の取締役に対する監督、CEOの選解任も含めた監督をする上で、必要最低条件であると思います。しかしながら、十分条件ではないので、その実効性を高めるために、さまざまな努力が必要になります。

 その観点で言うと、例えば、18ページの指名・報酬委員会のところで、「独立した」という言葉があるように、メンバーの構成も重要になります。独立社外取締役の割合であるとか、委員長を誰にするかといったことが重要になります。加えて、その運営の方法というのも重要になってくると思います。

 コードの改定案において、指名委員会についてこのように明確に書かれたことによって、実効性、実質の部分も、次第に高まっていくものと期待しております。

 なお、この指名委員会で述べた話は、報酬においても同様であり、独立した報酬委員会が重要な役割を果たすと考えています。

 以上です。

【池尾座長】  
 ありがとうございました。

 では、小口メンバー、お願いします。

【小口メンバー】  
 ありがとうございます。

 最初に、いろいろな意見をここまでまとめていただいた事務局の皆様に感謝いたします。

 それを前提に、修文、言葉については、田中メンバーがおっしゃったとおりだと思っています。私自身、細かいところに立ち入るつもりはなくて、これはお任せしたいと思うのです。

 ここでは修文等とは別に、そもそも論について申し上げたいのです。今日もコーポレートガバナンス・コードが配られていますけれども、その副題、スチュワードシップ・コードもそうですが、両コードで共有していますのが、会社の持続的成長、そして冒頭にある、ひいては経済全体の発展に寄与すること、これが大前提としてあります。そして、コーポレートガバナンス・コードの序文7、東証のコードでは資料として後ろにありますけれども、ここで「攻めのガバナンス」という言葉が出てきます。会社におけるリスクの回避・抑制や不祥事の防止といった側面を過度に強調するのではなく、むしろ健全な企業家精神の発揮を促し、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ることに主眼を置いている。ここまでは、ここにいる皆さんをはじめ、共有されたコンセプトだと理解しています。

 ところが、昨年10月に当会議が再開されたときに、事務局でご準備いただいた資料では、果断な経営判断が十分に行われていないのではないか、あるいは、資本コストを上回ることのない現金預金が、持続的な成長のための設備投資や研究開発、人材投資に回っていないのではないかというご指摘がありました。ということは、残念ながら、コーポレートガバナンス・コードが目指す「攻めのガバナンス」が、十分に実質に至っていないのではないか。

 そういうことを再開時に申し上げたのですが、実質が進展したことは、一定程度皆さん共有していると思うのですが、そもそも、もしこれまでで十分であれば、ここでの議論も必要ないし、改訂も必要ないし、ガイドラインも必要ない。

 なぜこんなことを申し上げるかというと、先ほど田中メンバーもおっしゃいましたが、企業サイドにはいろいろな意見があるかもしれませんが、少なくともインベストメント・チェーンの中では、これまでで十分だという合意がないということだと思っています。

 昨年12月に閣議決定された「新しい経済政策パッケージ」ですね、この会議でも配られましたけれども、「企業の収益性向上・投資促進による生産性革命」という中に、「コーポレートガバナンス改革」が位置づけられて、その推進役として、このフォローアップ会議での検討を求められたことからも、同じ問題意識が政府にもあったのかと思っています。

 そういう意識で今回の改訂案を読んでみますと、特にコンプライ・オア・エクスプレインの対象になるので、一番重要なのはコードだと思うのですけれども、原則2-6の企業年金のところを除きますと、全て現状の原則の修正や補強になっているわけです。

 ということは、これまでの表現では、ある意味、実質的な進展が少なくとも十分には見られていなかったことの証左になるのではないかと思っていまして、そこを後押しするのが、今回の議論かと思っています。

 原則2-6の企業年金の部分は、ほんとうは、スチュワードシップ・コードの中で消化して解決すべき問題かもしれませんが、なかなかそれでは難しいので、母体企業にこういうことを期待するという意味で考えると、これも現状の変化の後押しということだと思います。

 今日もいろいろ議論が出ましたけれども、そもそもガバナンス改革とは、海外でも終わりなき旅と位置づけられているのですが、常に環境変化に応じて変えていかなければいけないものなので、どこまで行っても中途の部分はあると思うのです。

 その意味で重要なのは、今までできていなかった、あるいはここが不十分だと思うことを、どうやって前に進めるのかということです。その程度は、人によって考えはあると思うのですが、少なくとも前に進めることが大事であって、そういった意味で、今回のガイドラインも、今までコードしかなかったのに、急に出てきて、わかりづらいという意見もあったのですが、私自身は、これは、形式から実質への深化を進める上では、重要、必要な手段ではないかと思っています。

 むしろ大事なのは、これを有効に活用することとともに、ここで書かれたことが、今後ほんとうに実現していくのかを、よく見ていく。もしかして、ここで一生懸命書いたことが、また実行されないということであれば、それもガイドラインなりコードを変えたらいいと思っています。

 繰り返しになりますが、今回で十分とかそういう議論は、私はするつもりはなくて、むしろここで書いたことが、今後さらに前に行く上で不十分であれば、また変えたらいい。また、コンプライ・オア・エクスプレインなので、ほんとうに不要と思うのであれば、エクスプレインしたらいいので、書いたことによって、ネガティブなことは起こらないと思うのです。そういう視点で、今回の改訂を捉えるというのが、一番妥当なのではないかと思っています。

 以上です。

【池尾座長】  
 ありがとうございました。

 それでは、神田先生、お願いします。

【神田メンバー】  
 ありがとうございます。

 私も、全体の流れというのでしょうか、それに違和感はありません。本来、前回発言するべきだったかもしれませんけれども、時間の関係もありまして、今回やや細かい点になるかと思いますが、わかりやすさの意味から、質問という言い方での感想を述べさせていただきます。最終的には、座長にご一任したいと思います。

 対話ガイドラインを例にとって申し上げたいと思います。

 1点目は、3-2とか3-5に「独立した指名委員会」とか「独立した報酬委員会」という言葉が出てくるのですけれども、この独立したとは、何から独立したという意味なのかということです。経営陣から独立したという意味でいいのか、それだけなのか。大株主、支配株主、親会社等がいる上場会社については、これらの支配株主からも独立したという意味をも含んでいるのかを明確にしていただきたいと思います。

 2点目は、3-10とか3-11に、これはほんとうに細かい話で恐縮ですが、「監査役等」という、一緒くたに言葉が使われていて、もちろん、ほんとうはそこに、きちんと、3-10でしたか、書いてはあるのですが、確か私の記憶では、一生懸命見ていたのですけれども、間違っているのかもしれませんが、コーポレートガバナンス・コードでは「監査役等」という一緒くたの表現は避けたと記憶しています。今パッと見る限り、全然別の文脈で、原則4-5に「取締役・監査役等」という言葉が使われていますけれども、これは全然別の意味です。一緒くたに書くよりも、きちんと、監査役、監査等委員、監査委員と、それぞれ違うところもありますので、書いていただいたほうがよいと思います。そこで言っている内容は異存ありませんが、表現が気になったということです。

 3点目は、4-1で、「ステークホルダー」という言葉が、ここだけ出てきます。それでおかしくはないとは思うのですけれども、どうしてもここだけ出てくると、反対読みしまして、その次の、3行ぐらい下の「分かりやすく開示・説明」は、ステークホルダーに理解できるようでなくてもいいのかと、こう言いたくなるのです。なぜ、ここだけ、ステークホルダーが誰かという問題はもちろんあるのですけれども、出てくるのか。ここ以外はステークホルダーに理解できないようでもいいのかという辺りは、明確にしていただいたらどうかと思います。

 4点目は、5-1で、これは、私の誤解かもしれませんが、「運用機関」という言葉が出てまいりまして、コーポレートガバナンス・コードも、今回の追加部分の原則2-6で出てきて、これはもともとスチュワードシップ・コードに出てくると思うのですけれども、私は、昔から運用機関という概念が非常に曖昧だと思っています。伝統的にはファンドマネージャーというのは、株の売買をして、売ったり買ったりして、銘柄を選択するというexpertiseを持った人だと思います。

 しかし、このスチュワードシップ活動とは、対話をして議決権行使をするわけですから、そのexpertiseも性質が違うと思うのですね。例えば、ここで言うアセットオーナーから見れば、この2つを委託する場合に、委託する先を運用機関という概念で一緒くたにするのは、少なくとも機能の面では、きわめて曖昧というか、混乱すると思います。

 もちろん、1つの運用機関の中に、両方のexpertiseを持った人がいれば、それは両方の委託を受けるということで、何の問題もありません。しかし、論理的には、別々に、伝統的な株の売買についてはAという専門家に、スチュワードシップ活動についてはBという専門家に委託するという姿も、論理的には当然考えられるわけです。

 そういうことを考えますと、この運用機関という概念が、これは私の誤解かもしれませんが、スチュワードシップ・コード以来一緒くたに使われているように見えて、もし何らかの説明、これは別に本文での説明でなくても結構ですが、何らかの機会にわかりやすく説明をしていく必要があるように思いました。

 長くなって恐縮ですが、5点目は、グループ経営の点です。この対話ガイドラインでは注2として書いていただいていますので、文章としてはこれで結構ですけれども、グループ経営をしている企業が、上場会社の中でどれぐらいあるという認識なのか。何か例外的なようにも読めなくはないのですが、もっと別の表現で言いますと、会計というか、会計は連結経営です、ガバナンスと対話は単体ですと、この対話ガイドラインは言っているのか。決してそうではないのかという辺りが、ややわかりにくい感じがします。

 最後に、非常に一般的なこと、6点目になるのですけれども、これは質問のような形もとらないのですが、前回、コーポレートガバナンス・コードのコンプライ率の高さということが指摘され、そしてまた今回のガイドラインは、コンプライ・オア・エクスプレインにするのではなくて、ガバナンス・コードの実効性を高める観点から、こういうものをつくりますというご説明があり、今日も何人かの方々から重要なご指摘があったと思います。三瓶さん、そして今小口さんからも、ご指摘があったかと思います。

 そのご指摘の実質には、私も基本的に賛成いたしますけれども、結局コンプライ率が高いという問題は何かというと、こういうコードなりガイドラインが、企業だけではないかもしれませんが、マーケットにおけるプレイヤーに、行為規範として機能していないことを意味すると思います。それは、結局ソフトローとしても機能しない。

 つまり、言葉を変えて言えば、これはお説教になっているので、「はい、コンプライいたします」と、何かがあったときに「違っているんじゃないの」と言われたら、それは「申しわけございません、それはコンプライしていたつもりだけれども、結果としてコンプライしていなかったと言われても致し方ございません」という話に、結局なっていると思うのですね。

 何のためにこのフォローアップ会議があるかですが、それはもう何人かの方々が繰り返し強調しておられるように、日本経済をよくしていきたい、日本企業をよくしていきたい、よくなってほしいということからやっているわけですから、小口さんも強調されたことと思うのですが、お説教で終わらないように、今後努力していくという責務を、このフォローアップ会議を含めて、関係者の方々が大きく負っているものだと、私も感じます。

以上です。

【池尾座長】
 どうもありがとうございました。

 では、武井メンバー、お願いします。

【武井メンバー】
 私も、こちらで大体まとまっていると思っています。

 修文という意味ではなく、ご質問というかご確認です。4-10の指名委員会のところで、今回の文言と現在の4-10を比較したときに、お手元の現在のガバナンス・コードの34ページに「背景説明」がありますが、そこで、「任意の諮問委員会を活用することや」のあとに「監査等委員会の場合に、取締役の指名・報酬について、株主総会における意見陳述権が付与されている監査等委員会を活用することも考えられる」と書かれております。その関係で1点、これは単なる確認なのですが、指名報酬の諮問委員会として監査等委員会を活用することも選択肢としてあり得るのだと思っています。実際、監査等委員は、監査役と同じ情報収集権が会社法上あるので、監査等委員会を、真に機能する指名委員会なり報酬委員会として使うことは、それなりのいい選択肢だと思っています。もともとコードはコンプライ・オア・エクスプレインなので、そういう選択肢を否定するとかいった趣旨はもともとないと思いますけれども、今回の文言修正を経ても、そういう選択肢もあり得るというメッセージを確認しておきたいと思います。法律関係者とかが細かくコードの文章を比較して読んだときに、この点がなくなっていると理解するのもよくないと思いますので。監査等委員会自身に相応の実態が備わらないといけないとは思いますが、そういう選択肢もあり得るという趣旨であることの、単なる確認が1点めです。

 二点目が、これも指名委員会の関係ですが、今回のガバナンス・コード修正の一番もとの趣旨は、果断な意思決定をいかに促進するのかだと理解してします。今回の一連の修正点も、4-10だけでなく、4-10の前でCEOの話を特出しして書いており、あと4-1③ではsuccession planも書いてあります。こうした点がパッケージで大変重要なメッセージなのだと思います。指名委員会に関して巷で出されている懐疑的な意見の中には、社外役員が全部指名を決めてしまうのではないかという誤解によるものもあると思っています。でも社外で全部決めるなどということは世界中でもやっていませんし、よほど会社が危機的状況でもないかぎり、社内役員もきちんと関与して進めていかれるのが指名プロセスだと思います。指名委員会という用語から社外役員が全部決めてしまうのではないかといった誤解がないよう、適切な社外役員の関与がなぜ必要なのか、実質的に意味のあるコンプライをしていただくためにも改めてこの会議の場でもその趣旨を確認し、発信しておいたほうが良いかと思います。

 CEOの適切な選定は、日本企業さんが果断な意思決定ができるかどうかに多分にかかわってきます。自社を取り巻くいろいろなサスティナビリー課題等も踏まえ、なぜ、この人が次のトップなのか、又はトップとして継続するのかについて、まずは社外役員にきちんと説明できるのかどうか。さきほど経産省さんのアンケートでもありましたが、当社として優れた役員を選任しているのだということを、まさに池尾座長がおっしゃるように太陽政策として対外的に示せるために社外役員の適切な関与が重要なのであり、そういった前向きな形で今後、指名委員会の現場実務が前に進んでいくことを期待します。

 以上です。

【池尾座長】
では、キャロンメンバーお願いします。

【キャロンメンバー】
 ありがとうございます。

 まずは、今回の改訂案、非常によく当会の議論が反映された内容であり、賛成です。細かい修正については、座長に一任させていただきたいと思います。

 内田メンバーの修正に対するご意見については、大変心苦しく、また申し訳もないのですが、すでにメンバーの皆様からお話がありましたように、今回の改訂案は「改革」を前提としており、個社で対応が異なるのはもっともですので、その際には堂々とエクスプレインしていただければ良いと考えます。ですので、改訂案のままで良いと思いますし、大変良い結果をもたらすものと期待しております。

 少し細かくご説明させていただきますと、コード補充原則4-10①では、任意設置の諮問委員会の実効性を高めるためには独立性への言及は必要だと思いますし、コード原則2-6に新設されたアセットオーナーの機能発揮は、企業年金である以上、従業員やそのご家族の将来を守る責任がありますので、その活動をサポートするためにも有益でしょう。

 最後になりますが、政策保有に関する考え方を整理してみたいと思います。我々は皆、この部屋にお集まりの方々も含めて、様々な役割やお立場があると思います。私は、外国人であり、日本の永住者です。投資家でもあり、東証一部上場企業の経営もしております。私が外国人であるためか、外国人投資家は、私に対してかなり本音でお話をしてくれます。日本の国そのものには「日本は素晴らしい国で大好きだ。食べ物は美味しいし、日本人は優しい。出張のたびに、楽しく過ごせる。」など、大変良いフィードバックを頂きます。しかし「投資」の観点からは、大変残念ながら「投資には値しない」と割ときっぱりと言われます。「日本の社会や経済には規律があるが、日本の株式市場は規律がない」という印象を持っている外国人投資家は少なくないようです。

 要因としては2つほどあるようです。1つは、取締役会は、独立社外取締役の人数が足りないために規律が働いていないと思われています。もう1つは、株主総会決議は、政策保有に基づく日本の企業同士の互いのメリットとロジックに依存した議決権行使によって決まるので、少数株主としてはどうしても不安が残り、総会にも規律が働いていないと思われている。

 独立性のある社外取締役については近年増加傾向にありますが、最後の岩盤は政策保有株です。中長期的な関係構築や事業戦略上の有用性について理解はしておりますが、全体的に考えると、それでもやはり副作用・弊害があり過ぎる。要するに、利害関係株主によって総会議案の賛否が決定づけられることは、株主民主主義そのものが損なわれていると思われても仕方がないのです。

 政策保有株の保有縮減についてデータもお示しいただいていますが、縮減傾向にあるということは、縮減を促進しても問題がないと解釈することもできます。何よりも、縮減が正しいと思います。

 また、コード補充原則1-4①の存在意義は、パワハラの防止です。前の会議でも申し上げましたが、政策保有に関しては下請法のようなものが必要だと思います。立場の弱い企業が、立場の強い企業に無理やりに株式を持たされてしまうようなことは可能な限り排除すべきです。

 今回の改訂案は、改革を促進しますし、日本の株式市場の信認を高め、さらなる活性化につながると心から期待しております。ぜひともこの改訂案のままで、骨抜きがない形で持っていっていただきたいと願っています。

 以上でございます。ありがとうございます。
 
【池尾座長】
 それでは、大場メンバー、お願いします。

【大場メンバー】
 時間もないので、簡単にします。

 コーポレートガバナンス・コードの改訂案および対話のガイドライン案について、全体としては、皆様から表明がありましたように、私もおおむね歓迎をしたい。この方針でいくべきではないかと思います。詳細なところについては、座長、事務局に一任申し上げて、まとめていただければと思います。

 感想を含めて、2点ほど申し上げます。1つは、内田メンバーからご意見があった点で、その点にも少し配慮したほうがいいかと思いました。どういうことかというと、スチュワードシップ・コードのときもそうだったのですが、企業も、私の見るところでは大体3つぐらいに分かれていると思います。

 1つ目は、このコーポレートガバナンス・コードに書かれていることは当たり前だろう、我が事として当然やるべきだ、と考え、どこができていないのかを真剣に検証している会社で、2つ目は、これは政府の方針だからやるしかないのだろう、では形だけ整えようという会社、3つ目は、これはあまりないかもしれませんが、ここに書かれていることにあまり関心がない会社だと思います。

 要するに、自らの問題として、我が事としてやろうと思う企業もあることは事実なので、そういった企業に受け入れられるというか、このコードは当然だろうと思ってもらうには、どのように表現したらいいかということです。別に私にアイデアがあるわけではないのですが、その点は少し考えたほうがいいかと思います。

 スチュワードシップ・コードのときにも、いろいろなタイプの投資家がいて、我が事としてそこに書かれていることに取り組むのは当然だと思っている運用会社もたくさんあったわけですけれども、そういう前向きに取り組む会社にどのようにして歓迎の意を表明してもらえるようにするかは、大事なことかと思います。これが、1つです。

 もう1つは、全体として、資本市場からの視点を改めて再確認することの重要性ということだと思います。

 コーポレートガバナンス・コードの基本原則が5つあるわけですが、この主語は、全部「上場会社」となっています。上場するという意味は何なのかを考えてほしいというコードなのですね。

 ですから、このコードに関心がない会社もあることを申し上げましたが、資本市場の観点からすると、そうした会社は、ほんとうは退場しないといけないのではないでしょうか。関心がないのですから。それがそうでなくなっていることにも問題があると思います。

 したがって、そういう意味からすると、内田メンバーから、このコードの導入によってどのような成果が得られていないのかを、客観的に、包括的に十分検証し、というご指摘があるのですが、資本市場がしっかり訴えているのですね。なぜなら、企業価値は上がっていないからです。もちろん、企業も3つぐらいに分かれているので難しいのですけれども、全体として見ると、市場は、はっきりと企業価値を高めていないと示しているのです。このように、資本市場からどのように見られているかを、企業は認識する必要があると思います。

 資本市場からと言いましたが、ここにすごく多くの方がおられますけれども、第1回のフォローアップ会議でも申し上げましたとおり、全員株主です。ここにおられる方は全員株主で、その株主から見たときどうなのかという疑問を持たれているということを、企業は自覚する必要があるのではないかと思います。

 もう1点、これは余談になるかもわかりません。キャロンさんからもコメントのあった政策保有の件ですが、松下幸之助は、いろいろな論文を書かれておられるのですけれども、その中に、株の持ち合いというか、株を一定の法人に集める行動は、50年前にもあったそうなのですが、これは、資本主義の退化につながる、退歩につながるということを、今から50年も前に論文で指摘しております。これは、ご紹介です。

 以上です。

【池尾座長】  
 ありがとうございました。

 大分時間が迫ってきましたが、強制的に議論を打ち切るつもりはないので、もう一度会合を開いて、もう1回議論しろということであれば、やぶさかではないですけれども、今回のアジェンダに関しては、ほぼ議論が尽くされてきたのではないかと思います。

 今ありましたように、全ての日本企業がだめなような書きぶりはよろしくないので、頑張っている人の背中はちゃんと押すということで、修文する等含めて、大枠としては、本日、コードの改訂案及びガイドラインの取りまとめについて同意が得られたという了解で、本日いただいたご指摘を踏まえて修正したものをメール等でまたお回しして、それを確認していただいて、その後、「てにをは」を直すのは、最終的に私とか事務局に任せていただくとして、改めて会合を開くことは、後日必要が発生するかもしれませんが、一応想定しないで、メールベースぐらいで済ませて、本日の議論を踏まえた修文案をお回しして、それを後日公表するという手順で構わないでしょうか。よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【池尾座長】  
 では、そういうことでさせていただきます。

 それを発表した後で、ここだけで決めてしまうということだけではなくて、広く、意見を聞くと、当然パブリックコメントにそれをかけることになると思います。今後のパブリックコメント等の手順につきまして、事務局からご説明をお願いしたいと思います。

【田原企業開示課長】  
 どうもありがとうございます。

 本日の議論を踏まえ、最終的に調整させていただいた案につきましては、その後、コーポレートガバナンス・コード改訂案については東京証券取引所において、ガイドライン(案)については金融庁において、おおむね1カ月程度パブリックコメントに付して、広く関係者の皆様のご意見をお伺いしたいと存じます。もちろん、国際的にもご意見をお伺いするということで、英語版についてもパブリックコメントに付させていただければと存じます。

【池尾座長】  
 どうもありがとうございました。

 それでは、そういう形で、パブリックコメントにおいて寄せられたご意見も踏まえて、コード改訂案及びガイドライン案を最終的に確定し、公表する形で、進めさせていただきたいと思います。

 その過程で、場合によっては、もう一度メンバーにお集まりいただく可能性もございますが、その場合には、よろしくお願いいたします。

 それでは、そういう可能性もありますが、本日をもちまして、コード改訂及びガイドライン策定に向けた議論は、一段落ということになります。

 ただ、フォローアップ会議は、今後とも、小口さんではないけれども終わりはないので、フォローアップ会議は今後とも継続して開催してまいるということになっていますので、皆さん、よろしくお願いいたします。

 それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了とさせていただきます。精力的なご議論、まことにありがとうございました。これで散会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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