スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議(第19回)議事録

1.日時:

平成31年4月10日(水)13時00分~15時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室


【池尾座長】
 それでは、定刻になりましたので、ちょっと遅れられているメンバーもおられるようですが、ただいまから、スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議(第19回)の会合を開催いたします。皆様には、ご多忙のところ、また足元の悪い中、ご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は、これまでの議論を踏まえたフォローアップ会議としての意見書の案について、ご議論いただきたいというふうに考えています。

 それで、意見書の案と補足資料について、本日は小林メンバー及びワリングメンバーから意見書をご提出いただいておりますので、意見書(案)と補足資料及びメンバーからの意見書についてもあわせて、事務局からご説明をお願いしたいと思います。

 では、よろしくお願いします。

【井上企業開示課長】
 それでは、本会議の意見書(案)として、お手元に配付させていただいております資料1「コーポレートガバナンス改革の更なる推進に向けた検討の方向性」について、まずご説明させていただきます。

 まず、「はじめに」のところです。2017年5月のスチュワードシップ・コード改訂、2018年6月のコーポレートガバナンス・コードの改訂及び「投資家と企業の対話ガイドライン」の策定を受けまして、足下で個別の議決権行使結果の公表や複数の独立社外取締役の選任等の着実な進展が見られるということを、初めのパラグラフで書かせていただいております。

 次のパラグラフで、2018年の11月から、このフォローアップ会議において、改革の実効性を高めるために、両コード改訂等を踏まえた機関投資家と企業双方の取り組みについて検証を行っていただいている旨を書かせていただいております。

   その一環として、海外機関投資家との意見交換会において、企業理念の明確化や、企業年金に対する責任、長期視点での対話の重要性、投資家の期待に対する上場企業の責任等について、示唆を得た旨を書かせていただいております。

   他方、さらなる課題として、企業側につきまして、指名・報酬委員会が設置されていながらも、委員構成の偏り等により、必ずしもその機能が十分発揮されておらず、必ずしも企業価値向上の観点から、適切な資質を備えた独立社外取締役の選任につながっていないのではないかといったことや、あるいは、企業年金の運用資産に占める政策保有株式が過大となっている例があるのではないかといったことが指摘されている旨を書かせていただいております。

   また、投資家側につきまして、企業との対話の中身が依然として形式的なものにとどまり、中長期的な企業価値の向上に十分つながっていないのではないか、企業開示の充実を求める一方で、みずからの説明責任を果たすことに必ずしも積極的でない例があるのではないか、コンプライ・オア・エクスプレインの意義への認識不足等から、コードの遵守状況の把握が機械的ではないか等のご指摘がある旨を書かせていただいております。

 こうした議論を踏まえまして、フォローアップ会議としては、今後さらにガバナンス改革の実効性向上を働きかけるとともに、本意見書において、次回スチュワードシップ・コード改訂などを見据えた当面の課題について、検討の方向性を示すものであるとさせていただいております。

 次に、Ⅱのスチュワードシップにつきましては、投資家と企業の対話の質の向上が必要ということを書かせていただいた上で、運用機関による公表情報の拡充を一層進めることが、アセットオーナーに対する説明責任の遂行や企業との相互理解の深化による建設的な対話の促進につながるものと考えられるとさせていただいています。

   また、議決権行使助言会社や運用コンサルタントなどのサービスプロバイダーが、運用機関のスチュワードシップ活動に、大きな影響を及ぼし得ることを踏まえまして、サービスプロバイダーと企業との対話の実質化を促す取り組みを進めることが、極めて重要とさせていただいています。

   こうした観点から、以下の課題を中心とした検討をさらに加速していく必要があるとさせていただいていた上で、集団的エンゲージメントや、いわゆるエスカレーションの意義に関する指摘についても、引き続き検討を深めることとするとしております。

   個別の課題につきまして、1の「運用機関」のところでございますけれども、運用機関において、みずからのスチュワードシップ活動について公表を行う動きが広がっており、ほぼ全ての大手機関投資家を含む100を超える機関が、個別の議決権行使結果やスチュワードシップ活動報告の公表を開始している一方で、議決権行使に係る賛否の理由を公表する機関は20にとどまっており、またスチュワードシップ活動報告の記載内容についても、機関ごとに大きな差異が見られる状況であることから、運用機関は、議決権行使の結果のみにとどまらず、それに至るまでの企業との対話の内容に関する情報の公表を拡充すべきであるという指摘があることを書かせていただいています。

 さらに、利益相反管理を含む運用機関自身のガバナンス体制の強化が、引き続き重要な課題として指摘されているということを書かせていただいています。

   その次に、建設的な対話の実質化に向けて、アセットオーナーへの説明責任を果たすとともに、企業との相互理解を深める観点から、個別の議決権行使に係る賛否の理由や企業との対話のプロセス及びその結果やコードの各原則の実施状況の自己評価等のより詳細な情報の公表を運用機関に促すことが重要であるとさせていただいています。

   なお、運用機関がESGに関する対話を行う場合には、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上に結びつくものとなるように実施することが期待されるとしております。

 次は、2の「企業年金等のアセットオーナー」についてでございます。インベストメント・チェーンの機能発揮を促すために、最終受益者の最も近くに位置し、企業との対話の直接の相手方となる運用機関に対して、働きかけやモニタリングを行うアセットオーナーの役割が極めて重要であるとさせていただいています。こうした観点から、2018年のガバナンス・コードの改訂におきまして、母体企業による人事・運営面でのサポートを求める原則が追加されています。

 しかし、依然として、スチュワードシップ・コードの受け入れを行う企業年金は少数に留まっており、その背景として、企業年金の意義や責任に関する認識不足から、スチュワードシップ活動の範囲や程度が十分に理解されていない等の指摘がございます。引き続き、経済界をはじめとする幅広いステークホルダーとも連携しながら、企業年金のスチュワードシップ活動を後押しするための取り組みを推進することが重要であるとさせていただいています。

 次に、3の「サービスプロバイダー」の(1)の議決権行使助言会社についてでございます。これも2017年のスチュワードシップ・コードの改訂におきまして、議決権行使助言会社の責務が明確化されたものの、その助言策定プロセスが依然として不透明であり、個々の企業の状況を実質的に判断するために必要な人的・組織的体制が備わっていないのではないか等の指摘があるところでございます。

 パッシブ運用が広く行われる中で、多くの運用機関が議決権行使助言会社を利用している実態を踏まえますと、企業の持続的成長に資する議決権行使が行われるために、個々の企業に関する正確な情報を前提とした助言が、運用機関に提供されることが重要であるとさせていただいています。

 こうした観点から、議決権行使助言会社において、十分かつ適切な人的・組織的体制の整備と、それを含む助言策定プロセスの具体的な公表が行わるとともに、開示された情報に基づく判断のみならず、みずからと企業との対話も積極的に実施することが期待されるとしています。

 また、運用機関についても、企業との相互理解を深め、建設的な対話に資するため、議決権行使助言会社の活用の状況につきまして、利用する議決権行使助言会社名や運用機関における助言内容の確認の体制、具体的な活用方法等のより詳細な情報の公表を促すことが重要であるとしております。
 
 (2)の運用コンサルタントにつきましては、全体の約3割の企業年金が、運用コンサルタントとの間に、年金資産の運用に関するアドバイザリー契約を有するというデータもあるところでございます。運用コンサルタントが、顧客に対するその影響力を背景として、コンサルタント業務とあわせて、みずからの投資商品の購入の勧誘を行う例も見られるとの指摘があるほか、運用コンサルタントが運用機関のスチュワードシップ活動を適切に評価していないのではないかという懸念も、指摘されているというところでございます。

 運用コンサルタントが企業年金等をサポートするスチュワードシップ活動の主体の一つであるとの位置づけを明確化することにより、インベストメント・チェーンにおける自身の役割の認識のほか、利益相反管理体制の整備や、その取り組みの状況の公表等を運用コンサルタントに促すことが重要であるとさせていただいています。

 以上がスチュワードシップに関するところでございまして、Ⅲのコーポレートガバナンスに関するところをごらんいただければと思います。

 資本コストを意識した経営や政策保有株式、取締役会の機能発揮等の課題に対応するために改訂されたコーポレートガバナンス・コードを踏まえた企業の取り組みを引き続き検証するとともに、フォローアップ会議において、以下の課題を含む横断的な検討を行うこととするとさせていただき、2つ課題を提示させていただいています。

 1つ目は、「監査に対する信頼性の確保」でございまして、いわゆる「守りのガバナンス」につきましては、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現する上で、不可欠な前提要素であるとさせていただいて、特に内部監査部門がCEO等のみの指揮命令下なっているケースが大半を占め、経営陣幹部による不正事案等が発生した際に、独立した機能が十分に発揮されていないという指摘があるところでございます。独立社外取締役を含む取締役会や監査役など経営陣から独立した監督機関に対しても、直接報告が行われる仕組みの確立を促すことが重要であるとさせていただいています。

 2のグループガバナンスのところでございますけれども、我が国のグループ経営について、事業ポートフォリオの見直しを含むグループ全体としての最適な経営資源の配分や、子会社のリスク管理が十分に行われていないのではないかとの指摘があるほか、支配株主のいる上場会社(いわゆる上場子会社等)において、支配株主と一般株主との間に構造的な利益相反のリスクがあるため、取締役会の独立性を高める必要があること等が指摘されているところでございます。

 上場子会社等のガバナンスの問題をはじめとするグループガバナンスの議論において、とりわけ、上場子会社等に関しては、その合理性に関する親会社の説明責任を強化することや、東証の独立性基準の見直しも念頭に置いて、支配株主から独立性がある社外取締役の比率を高めるなど、上場子会社等のガバナンス体制を厳格化することが求められているところでございます。こうした議論も踏まえながら、一般株主保護等の観点から、グループガバナンスの在り方に関する検討を進めるとさせていただいています。

 最後に、Ⅳの「おわりに」のところでございますけれども、今後さらにコーポレートガバナンス改革の実効性の高めるために、先般の内閣府令の改正を踏まえた政策保有株式等に関する開示情報の充実が見込まれる中で、運用機関及びサービスプロバイダーがより深く企業を理解して対話することや、アセットオーナーが運用機関に対する働きかけ・モニタリングをより積極的に行うことが極めて重要であるとし、投資家と企業の建設的な対話を通じた中長期的な企業価値の向上を実現するため、おおむね3年ごとの見直しが予定されているスチュワードシップ・コードのさらなる改訂も視野に入れた議論が、更に深められていくことを期待しているとしております。

 また、コーポレートガバナンスは市場構造の在り方と密接な関連を有することから、今後、フォローアップ会議において、市場構造の見直しの動向を踏まえ、各市場の性格が明確化されていく中で、それにふさわしいガバナンスのあり方等も念頭に置きつつ、コーポレートガバナンス改革の更なる進展に向けた議論を進める必要があるということでございます。

 以上が、資料1の意見書(案)についてでございます。

 次に、資料2をごらんいただけますでしょうか。資料2では、前回の会合でご指摘いただいた項目についての補足資料のほか、昨年末から金融庁において実施しました企業ヒアリングの結果の資料をまとめております。

 まず、前回ご指摘いただいた項目について、2ページ目、大場メンバーをはじめ、複数のメンバーからご指摘のありました英国のスチュワードシップ・コード改訂案についての資料となります。内容は、適宜ごらんいただければと思います。

 次に、3ページ目でございますけれども、こちらは、神作メンバーからご指摘のございました、米国のスチュワードシップ原則に関する概要の資料でございます。これも、ご参照いただければと思います。
 
 次に、4ページ目から6ページ目にかけましては、松山メンバーからご指摘を頂戴いたしました議決権行使助言会社に関する状況につきまして、4ページ目は、日本、英国、EUでの状況、5ページ、6ページ目につきましては、日本のスチュワードシップ・コードに署名いただいている2社に関して、その開示内容を整理しておりますので、適宜ご参照いただければと思います。

 次に、7ページ目でございますけれども、当庁で実施いたしました企業へのヒアリング結果について、簡単にご紹介させていただきます。

   当庁では、昨年の11月から十数社の企業のCFO等を中心に、政策保有株式、企業年金のスチュワードシップ活動等について、ヒアリングを実施させていただきました。その結果概要でございますけれども、政策保有株式の縮減につきましては、財務部門主導で強力に推進していると言っていただいた企業もある一方で、事業あるいは営業部門の意識としては、取引維持の観点から、政策保有株式の売却に消極的な面があり、調整に時間を要するというご意見もいただいたところでございます。なお、一部の金融機関では、取引慣行等から政策保有株式の縮減に、なお消極的ではないかというようなご意見もいただいたところでございます。

 次に、企業年金のスチュワードシップ活動についてですけれども、スチュワードシップ・コードの受け入れが十分できている、受け入れの準備ができているといった声もいただいておりますけれども、他方で、コード受け入れに伴う大きな負担はないものの、受け入れた後に、運用機関をどのように評価すべきかについて悩みがあるという声や、あるいは、コードを受け入れると、企業年金が直接、議決権行使や、投資先企業に対話を行うことまで求められているのではないかというような懸念の声もございまして、企業年金に求められるスチュワードシップ活動に対して、十分ご理解をいただいていないのではないかというようなケースもございました。

 今後、企業年金のスチュワードシップ活動を促進していくためには、企業において、「経営」と「従業員」双方の理解が重要というようなご意見もいただいたところでございます。

 次に、小林メンバーから頂戴しておりますご意見について、簡単にご紹介させていただきます。

 1点目といたしまして、投資家と企業のいずれも玉石混交であり、集団的エンゲージメント、エスカレーションについて検討する際には、そのような実態を十分に踏まえていただく必要があるのではないかというご指摘でございます。

 2点目としまして、円滑な企業統合の手段としての過渡的な上場子会社と、そのような意義の認められないような上場子会社等については、メリハリをつけて考えるべきではないかというご意見でございます。

 3点目につきましては、改革を漸進的に進めていく中で、時間差につけ入る形で、利益を上げようとするような投資家に、日本市場は狙われているということから、「守るべきは守りつつ」着実に進めるべきではないかというご指摘をいただいたところでございます。

 最後に、ワリングメンバーからも、今回の意見書の取りまとめについてご賛同いただいた上で、次回のスチュワードシップ・コード改訂に向けた論点として、幾つかご指摘を頂戴しております。

 まずは、上場株式のみならず、社債等全ての運用商品を対象としてはどうかという点。

 次に、集団的エンゲージメントにつきまして、共同保有に該当しないようなエンゲージメントの行為に関するガイダンスの公表が望まれるといった点。

 さらに、投資家は、投資先企業に対して、可能であれば、総会前に議決権行使の理由を説明すべきで、また、投資家は助言会社の助言による議決権行使が、自社の行使方針と一貫していることを確認すべきといった点。

 投資家は、貸し株に関する方針を公開すべきで、現在、脚注での言及になっておるんですけれども、それを指針レベルの言及に格上げすべきではないかといった点。

  次に、運用機関の体制が、いわゆる投資戦略や、あるいはスチュワードシップの責任に整合的なものであるべきであるといった点。

  最後に、ESG要素について、統合して、そのシステミックなリスクへの対応方針を構築するということについても、明確に言及すべきではないかといったご指摘でございます。

   また、ワリングメンバーから、コーポレートガバナンスにつきましても、取締役会は、内部監査部門と緊密なコミュニケーションを維持し、内部監査部門は、取締役会や監査委員会に対して、報告を実施すべき、また、上場子会社は、親会社から独立した存在であり、上場子会社の取締役は、上場子会社の利益のために奉仕すべきで、親会社は包括的なガバナンス体制を確立して、利益相反管理を行い、少数株主の権利を保護すべきといったご指摘をいただいているところでございます。

   駆け足で恐縮ですけれども、事務局からは以上でございます。

【池尾座長】
  どうもありがとうございました。それでは、これから、皆様からのご意見あるいはご質問をお伺いする討議の時間とさせていただきます。

  いつものように名札を立てていただければと思いますが、発言のご希望のある方は、どなたからでも結構ですので、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。上田メンバー、お願いします。

【上田メンバー】
  ありがとうございます。欠席が続きましたので、最初に。

 まずは、こちらの意見書を取りまとめいただいてありがとうございました。私は欠席が続いておりましたので、議事録を読ませていただいたのですが、そちらの議事録の内容のエッセンスが入っているかと思います。基本的に全般的に異論はないのですが、いくつか細かなところで指摘をさせてください。

  今回、 スチュワードシップのコードの見直しが、近々の目的かと存じますが、その中で、特に運用機関のところ、2ページ目のところかと思います。現状、運用機関において、スチュワードシップ活動と言われるエンゲージメントに代表される活動が、積極的に、相当、積極的に力を入れて、各社、進められておられるかと思います。

   ただ、最後のなお書きのところになるのですけれども、ESGに関する対話が、やや、それ自体が目的化しているところがあるように見ております。本来的には、パッシブ運用の場合はちょっと違うのでしょうけど、アクティブ運用を持っている場合には、投資プロセスとESG等のスチュワードシップの対話が一体化してほしいわけなのですが、現状では、ESGに関する対話は、主にアセットオーナー対策、巨大なアセットオーナーが日本におられますので、そこ対策の一種、営業コスト的にやっていて、全く投資プロセスと統合していないというようなところも散見できる。

   結果、何が起きているかというと、企業の側から見たときに、投資サイド、アナリスト、ファンドマネジャーと対話した内容を、ESGチームとももう一度、ゼロから同じ議論や説明を行っている場合もあるそうで、対話の二重化という意味では企業にとっても、負担感が多い。及び、おそらく、アセットマネジャーの内部においても、ESGチームのコストを、きちんと投資プロセスに組み込めれば、投資のリターンにもつながるはずのものが、そうも十分生かされていないという残念な結果かと思っています。現状、かなり力を入れている運用機関が多いということなので、ここは、投資プロセスへの統合というか、組み込み、インテグレーションというものを、少し強調していただければと思います。

   あと、もう一つ、ESGという言葉ですが、過去の本会議の議事録を読んでいますと、Eが大事か、Sが大事かという議論を随分させていたかと思います。これは、投資家によっても違えば、企業によっても違うわけで、ESGは、ただの要素の例示でしかなくて、ただ、語呂がいいので、よく出てくるのだと思います。ESG要素等のサステーナブルな観点から、とか、ここは少し中長期の議論を行う場合にはということを強調したらいかがでしょうか。ESGに関する対話と書いてしまうと、例えば環境問題などといったところに特化しがちなので、ここは、ESG要素等を含むぐらいの言葉を少し調整していただければと思いました。

 とりあえずは、以上でございます。ありがとうございました。

【池尾座長】
 どうもありがとうございました。引き続き、冨山メンバー、お願いいたします。

【冨山メンバー】
   ありがとうございます。私も出席率が悪いので、ちょっと、ちゃんと話をします。

   私も全体の方向性はこれで結構だと思うのですが、特にフォーカスという意味で、今回、議決権行使の問題が大分クローズアップされているんですけど、議決権行使は、また中身があって、一番大事なことは、突き詰めてしまうと、何と言っても、取締役の選任になんです。ほかのことはどうでもいいとは言わないですけど、ガバナンスという観点からは大した問題ではなくて、2つの意味で、大事です。

   というのは、1つは、総会の時点、大体、誰がトップになるかがわかって、取締役を選んでいるわけで、トップになる取締役に対して、賛成票を投じる、投じないかは、今、どこかで、もめていますけど、ああいう話です。もう一つは、社外独立取締役の選任、この2つです。

   この2つに関して、どこまでちゃんと資本市場が機能してるか、どうかということは、これは、スチュワードシップとコーポレートガバナンスのちょうど表裏の一番肝のところになるので、ここがちゃんとできるかどうかというところを、書き物にするにしないにしても、ぜひともフォーカスをしてもらいたいということ。要は、ここが一番形式化してはいけないところで、実質化しなければいけないところです。

 その脈絡で言ってしまうと、要は、取締役の選任について、例えば投資助言機関の助言が、要するに形式化するということは、むしろ危険なことでありまして、今、最大の障害は、しかるべき社外取締役のなり手が足りないという問題は、リアルな問題が生じています。

   ところが、前も言いましたけど、独立性だけでやってしまうと、その辺を歩いているお兄ちゃんを連れてくればいいということになってしまうので、やはり、実際問題として、いまだにそういう感じの助言が見受けられます。そういう助言をするんだったら、助言をするなということが、私の……。例えば、ちゃんと対話をやっているのが100社ぐらいと書いてあったかな、極論すれば、100社しか助言するなということなんです。対話もしないところの助言なんかするなということです。そのほうが、きっと助言機関の仕事は楽になるし、そういうことです。そこは、むしろ、がっつり、ちゃんと助言機関に圧力というか、ディシプリンをかけたほうが、助言機関も信用されるし、要は、このクオリティーが圧倒的に上がってくるはずです。

 裏返して言ってしまうと、例えば、元メインバンク出身だろうが、何だろうか、やはり、いい人はいいんです。はっきり言って、そういうことは関係ないです。今どき、元メインバンクだから、滑った、転んだで、容赦するような人が、田中さんを含めて、ここにどうもいそうもないので、要は、世の中の趨勢は大分変わってきていますから。やはり人物本位ということをちゃんと見なければだめで、そこは、この先の実質化という議論が、今、中心になっているわけですから、そういった話も実質化していくということが、私は大事だと思っていることが1点です。ここは、文言の中、何らかの形で、特に焦点を当ててほしい。

 コーポレートガバナンスのところで、2の「グループガバナンスの在り方」のところです。ここは、半分、質問なんですけど、ちらっとニュアンスが出ているんですけど、これは、小林喜光さんのほうからの書き物にもありましたけど、今のところ、財界の一部に、要するに、わけのわからない反対があるので、何となく、親会社、子会社の形式的なフォーマリティーをどうする、こうするという議論に、僕に言わせれば、ちょっとそれているんです。OBではないけど、ラフぐらいに行ってしまっている感じがする。

 それで、この問題の本質は、どこまで行っても、支配的株主のフィデューシャリー・デューティーの問題です。この法理の問題です。この問題から逃げるから、いろいろな形式的な枠をはめるということになって、形式的な枠をはめると、要は、小林喜光さんのこういう②みたいな話が、ひっかかってしまうみたいなことになってしまうんです。

 こういう場合でも、そういう形式的ないろいろな規制が働くんですかということになってしまって、要は、これも実質の議論をするんであれば、やはり、王道に乗って、アメリカやドイツで確立されているような支配的株主のフィデューシャリー・デューティーの議論に戻るべきだと僕は思います。ここは、今回、そこまで書けないんであれば、次回、この実質に入るときに、これは、絶対、1点やってもらわないと困るということです。これは、私はずっと言い続けますので。

 反対している人たちの理屈は、大体2つ聞いていて、1つは、濫訴になるとかという、とんちんかんなことを言っている人たちです。これは、アメリカやドイツで、濫訴になっているのかという。もしなっているなら、私は、立法事実を示してもらいたい。濫訴になっているという話は、私は知りません。
 
 もう一つは、何かエンフォーサービリティーがないなどという、とんちんかんなことを言っている法律学者がいるようですけど、大体、会社法の規定などはエンフォースできないものは、常にいっぱいありますからね。ご案内のように、大体、民法第1条は、エンフォースできません。1条の文言なんて、あれはどうやってエンフォースするんですか。

 要は、書いてあるもの、公共の福祉に従って、主権を行使しなければいけないと書いてある。大体、民法1条からして、エンフォースできない条文があるわけですから、法律学者の言っていることも、財界の一部が言ってることも、私は全く理解ができない。ここは、私は財界の有力な人間のうちの1人、同友会の筆頭副代表幹事という立場なので、これは言い続けます。これは、やはり、本来の趣旨に戻らないと。

 要するに、懸念していることは、この問題から逃げて、この話を突き詰めていくと、どんどん、どんどん、形式的ないろいろなレギュレーションを入れることになるんです。そうすると、ますます、話がややこしくなる。

 もう1点、これも小林さんのところに書いてありましたけど、いわゆるエンゲージメントをやるアクティビストの中で、やはり、良貨と悪貨がいます。悪貨の人は何をやるかというと、ものすごい勢いで株を買い集めて、グリーンメーリングするんです。

 アメリカは、多分、10%ぐらいが支配的株主のスレッシュホールドなので、10%以上の人が買い占めるということはあり得ません。要するに、良貨のアクティビストは、せいぜい5%か6%を買って、あくまで少数株主の立場で、株主一般の共通の利益を主張するというスタイルなんです。それが20%とか30%とか、どこかとは言いませんけど、日本の場合、既に買い占めているものがいっぱいあるんです。はっきり言って、まともな先進国の資本市場で、こういうことができるのは、日本だけです。

 ということは、この法理がないせいで、日本には、むしろ悪貨を呼び込むリスクが大きいんです。実際、過去、そういうことが起きているわけです。なので、この観点からすると、やはりフィデューシャリー・デューティーの議論は、絶対避けて通れないと私は思っているので、これは次回以降、ぜひともよろしくお願いいたします。

【池尾座長】
 ありがとうございました。では、佃さん、お願いします。

【佃メンバー】
 ありがとうございます。私も、この意見書は全体として、非常によくまとめていただいていると思います。特に前回、コメントさせていただきましたグループガバナンスに関して、きっちり盛り込んでいただき、ありがとうございます。

 1点だけコメントさせいただきますけれども、4ページの一番上にあります「監査に対する信頼性の確保」ですが、足元でいうと、どちらかというと、攻めのガバナンスができていないというよりも、「守りのガバナンス」で、いろいろ破綻している事例が、幾つか、報道されております。

 起きていることを見てみると、ここの1番に書かれてある監査に対する信頼性の確保は、このとおり大事ということだと思いますけれども、ただ、一方で、ここに書かれてあるとおりに内部監査部門がしっかりするということ、経営陣から独立した監督機関に対して、ちゃんと直接報告が行われる仕組みを導入するということだけで、全部カバーできるかというと、そうでもないような気がしています。

 最近報道されている事例でもそうですけれども、例えば、権力暴走が起きたときに、監査法人であるとか、あるいは第三者委員会を務める法律事務所も含めて、およそコーポレートガバナンスにかかわるステークホルダーみんなが、現経営トップに忖度することなく、正義を貫くことが必要かなと思っています。

 この前のページに、スチュワードシップ・コードとの絡みで、サービスプロバイダーである助言会社、運用コンサルタントとありますが、彼らに限らず、監査法人であるとか、法律事務所も重要です。もっと言うと、指名委員会が極めて重要。
先ほど、冨山さんからも、独立社外取締役の選任は極めて大事だとありましたけれども、それも含めて、全体として、次のステージに向けてレベルアップをしていかないといけないかなと思いました。

 以上です。

【池尾座長】
 ありがとうございました。引き続き、ご意見、ご質問をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。松山さん、お願いします。

【松山メンバー】
  3点ほど、簡単に申し上げたいと思います。

 まず、1点ですが、議決権行使助言会社につきましては、企業との対話の件など、前回の会議で申し上げました点を、今回の意見書に盛り込んでいただきまして、ありがとうございます。本意見書を踏まえまして、建設的対話が促進されて、コード改訂の検討が進められ、また、国内で活躍する海外機関投資家も含めて、フォローアップが行われることを期待したいと思います。

 2点目ですが、1ページ目の中段のところに、「更なる課題として」、企業側の課題が2点、挙がっております。2点目のところ、「企業年金の運用資産に占める政策保有株式が過大となっている例」とございますが、これは、いわゆる退職給付信託のことと思います。ここに記載されておりますことは、企業側の課題であることに違いありませんので、記載内容には問題ないのでございますけれども、ご承知のとおり、退職給付信託は、約20年前に、日本の年金会計が導入されたときに、適用開始時の巨額な積み立て不足の一時償却手段として採用されたものでございまして、このため、企業会計基準や設定時の信託契約によって、制度的にかなり制約されているものでございます。

 このため、これを企業がどうすべきかと考えたときに、大変困難な問題が控えておりまして、制度的な見直しといいますか、手当ての検討もないと、なかなか、現状から変える方策が難しい大きな問題であるということを申し上げたいと思います。

 3点目ですが、これは4ページ目、監査のところで、言葉の表現の問題なんですけれども、1項目、「監査の信頼性の確保」の最後の段落、下から2行目のところです。「取締役会や監査役など経営陣から独立した監督機関」とありますけれども、取締役会は監督機関なんですが、監査役を監督機関ということについては、論点があったのではないかなと思いますので、この辺は、ご専門の先生のご意見をお伺いしたいと思います。

 以上です。

【池尾座長】
 ありがとうございました。では、神田先生、お願いします。

【神田メンバー】
 ありがとうございます。文章を読んでの感想を二、三、申し上げたいと思います。

 1点目は、文章としてはいいと思うのですけど、2ページ目の上から四、五行目に、「サービスプロバイダーと企業との対話の実質化を促す」という表現があって、文章はいいのかもしれないですけど、サービスプロバイダーというのは、具体的には、ここの紙では、次のページに、議決権行使助言会社と運用コンサルタントが挙がっているんですが、サービスプロバイダーが企業と対話するということは、運用機関と比べますと、インセンティブの構造が違うと思うのです。

 ですから、もちろん、助言会社が企業と対話してはいけないと思いませんし、いい対話が行われれば、先ほどもご発言がありましたけれども、それは、それで、結構なことかとは思うのですけれども、対話の仕方が違うと思うので、議決権行使助言会社が対話する場合と運用機関が対話する場合とは区別したほうがいい。どういう表現にしていいのかはよくわからないですけれども、申し上げます。

 もう一つは、この紙との関係でいいますと、運用コンサルタントは、企業と対話するのかねということがあると思います。スチュワードシップ・コードの適用が一般的にあるということはいいのですけれども、先ほど、諸外国の表も参考資料にあったのですが、サービスプロバイダーと企業の対話というところを、もうちょっと気をつけた表現にしていただいたほうが、今後の改訂等をご検討になる上で、いいと思います。以上が1点目です。

 2点目は、ESGのところなのですけど、2ページ目の下のところに、2の上に、なお書きでESG関係が3行書いてあるのですが、この文章自体は別に間違っていないと思うのですけれども、2点、気になる点があります。

 1つは、「運用機関が」と書いてあるので、ESGに関する対話をするのは、運用機関だけのように思えるのですけれども、全体のペーパーとのトーンでいうと、対話の主体は運用機関に限定されないと思いますので、書く場所がちょっと違うかなという感じがします。ただ、実際問題としては、運用機関が一番そういうことをおっしゃっている実態が、今、あるとは思います。

 2つ目は、先ほどもご指摘があった点なのかもしれませんけど、「中長期的な企業価値向上に結び付くものとなるように意識することが期待される」ということは、これは、これで、全然違っていないとは思うのですけれども、中長期的な企業価値の向上に結び付かないのだったら、ESGはやってはいけないと読めるのですね……。

 これは、これまで、この場で、何度も議論になっていると思うのですけれども、基本の考え方というところは、成長というか、例えば、PBRが1を割っている会社がESGですかという話があると思うんです。平たく言えば、ROEを15%出している会社はESGはやってくださいという話なので、そうでない会社が、いわばESGを口実に成長しないと、これはどうなんでしょうねということが、何度もここでも指摘されたように私は記憶しています。ここの書き方は、この文章で間違ってはいないと思うのですけれども、ESGと企業価値向上との関係の書き方は、もう少し違った書き方のほうがいいように思います。以上が2点目です。

 3点目は、細かくて恐縮ですけれども、監査のところでして、4ページ目なのですが、1番の見出しと本文が合っていないように思いまして、今もご指摘があった点だと思いますが、見出しは、「監査に対する信頼性の確保」で、1行目は「守りのガバナンス」なので、「守りのガバナンス」のほうが概念としては広いと思います。ですから、4行目ぐらいに書いてある、例えば「経営陣幹部による不正事案等が発生した際」といった、これに対応するものは、そういうことが発生しないように、防止する話なのか、発生した後、どう対応する話なのかというと、「守りのガバナンス」は両方含むと思います。

 内部監査部門というのは、主として会計監査が中心なのですけど、それはともかくとして、未然防止機能はあると思いますので、守りのガバナンスの中で重要な一部ではあるのですけれども、全体ではないと思いますので、ここは、どちらを書こうとしているのか。私は、むしろ、「守りのガバナンス」で書いて、監査のところも重要ですと、その一部として重要ですというふうに書けばいいし、そういうご趣旨だと思うのですけれども、もう少しその趣旨が出るようにしていただけないかなと思います。

 最後に、4点目ですけど、冨山さんがおっしゃったあたりに関連して、法律家と言われたので、一言感想を申し述べたいんですが、確かに、現在、日本の法制度のもとで、支配株主が一般株主に対して、先ほどフィデューシャリー・デューティーとおっしゃったのですけれども、何らかの私法上の義務を負うかどうかということは、会社法上は、直接の規定はありません。

 ただ、裁判例では、その支配株主がということではないのですけれども、例えば、上場会社の取締役というのは、少数株主に対して、特定の義務を負うということを言った、MBOと呼ばれている取引に関する裁判例は存在しています。そこで、昔から立法論として、会社法に支配株主に一般株主に対する忠実義務を負わせるというか、負うという規定を、会社法上、設けるべきであるという議論が、一部で強くあります。

 おそらく、冨山さんも、立法論としては、当然のことで、ひょっとすると、解釈論としても、そういうものがあってしかるべきではないかというご趣旨ではないかと思います。解釈論としても、学界の一部には、そういう意見はあると思います。この問題は、会社法改正のとき、2014年の改正になるのですけれども、ある意味、正面から議論をされまして、結論は、そういう規定は設けないということになりました。

 法制審議会の当時の会社法制部会というところで議論されたのですけれども、両方の議論がありましたし、議事録は公開されていますので、法務省のウエブサイトをごらんいただければと思いますし、今日は、会社法担当の参事官も来ていただいておりますので、必要に応じて、お聞きいただければと思うのですが、現在はそういう状況になっています。

 ですから、会社法サイドということでいいますと、将来、立法論というのでしょうか、会社法を変えて、会社法の中に、冨山さんがおっしゃったような規定を、明文の規定として置くということが、1つの課題にはなるのではないかと思いますし、現在、そういう規定が存在しない中で、現在の法制度の枠組みの中で、どういう解釈が可能かということも、議論に値することだとは思います。そのような状況になっているということを、一言つけ加えさせていただきます。

 以上です。

【池尾座長】
 先ほど松山メンバーからありました監査役を入れて、監督機関という表現については、神田先生、いかがですか。

【神田メンバー】
 済みません、あまり法律にこだわりたくはないのですけれども、法制度の観点からいうと、監督という概念と監査という概念は、会社法上は異なりますので、監査役が監督をするという表現は、法律上の表現としては使わないことにはなっています。ただ、一般用語としておっしゃるのであれば、それは、それで、差し支えないとは思います。

【池尾座長】
 これは、元監査委員会と書いていたんです。実は、監査委員会だと、監査役、設置会社はどうするんだとかがあって、こういう文章に落ちついてしまったんだと思いますけれども、わかりました。どうもありがとうございました。それでは、小口メンバー。

【小口メンバー】  
 ありがとうございます。今回の意見書(案)ですけれども、次回のスチュワードシップ・コードの改訂も見据えて、その部分を中心に、今までの議論を整理していただいて、大変ありがたく思っています。大筋で、私も異論はございませんが、その上で、「運用機関」について2点と、「監査に対する信頼性の確保」について1点の3点に関し、簡単にコメントさせていただきます。
 
 まず、運用機関について、公表情報の拡充を図るということがうたわれています。その方向については、車の両輪でありますコーポレートガバナンス・コードと平仄を合わせる形で、インベストメント・チェーン全体のさらなる活性化という意味では、必要だと思うのですけれども、情報の拡充という言葉を使うと、企業のほうもそうですが、ともすれば、質の伴わない、形式的な量の拡大に関心が向かってしまって、先ほど、上田メンバーも、ESG対話自体の目的化ということをおっしゃったのですけれども、受け手にとってあまり意味のない、どちらかというと自画自賛型の情報開示が、結果的に増大されてしまうおそれがあるのかなと思っています。

 そうすると、「はじめに」の黒ポツの3つ目で、いつもこういう話が出てきてしまうのですが、「対話の中身が依然として形式的なものに留まり、中長期的な企業価値向上に十分につながっていない」ということを、ずっと言われ続けるような気がするのです。ただ単に情報開示の拡充と言ってしまうと、この懸念が解消するというよりも、むしろ助長してしまう、形式的な対話を助長してしまうようなことにもなりかねないとも思っています。

 それで、どうすればいいのかということですけれども、企業との対話が、中長期的な企業価値の向上につながるという結果が、最終的に求められているのであれば、例えばですけれども、「運用機関」のところの下から4つ目のところに、「詳細な情報の公表を運用機関に促す」とあるのですが、前回でしたか、英国スチュワードシップ・コードの改訂のご説明で出てきましたが、アウトカム、この間の資料では、たしか、活動と結果に関する年間報告が今回の改訂で追加されたことを参考にして、活動自体も大事ですけど、それによって何が生まれたかという客観的な結果、アウトカムの開示への意識をより高めることによって、中長期的な企業価値につながる活動を活性化できるのではないかと考え、ここの表現を、もう少し結果オリエンテッドで書いたほうが、今後の議論につながるのではということが1点目です。

 2点目として、そのすぐ下のESGですが、先ほど来、ESGについて、いろいろなご意見が出ていまして、立場の違いから、いろいろな解釈があることは承知していますし、主体がどうなのかというお話も、先ほど神田メンバーからあったわけですけれども、運用機関からすると、いわゆる受託者責任の視点からどう捉えるのかということは、避けて通れないものと思っています。

 この重要性について運用機関の中で異論はないと思うのですけれども、前回第18回の参考資料で、アメリカやイギリスにおける解釈が示されていまして、アメリカの労働省解釈においては、「ESG要素について、それが経済的影響があるとして安易に取り扱ってはならず、受託者の経済的な利益に着目すべき」との考え方が示されています。イギリスの企業年金制度規則の改訂においても、「投資プロセスにおいて、財務的に重要であると考えられるESGを考慮する必要」が示されていて、これは、先ほど上田メンバーがおっしゃっていたESGインテグレーションにつながるかもしれないのですけれども、こういった解釈が示されていることは、運用機関にとって、大きな意味があると思っています。確かにESGは、いろいろな視点で、いろいろな解釈ができるのですが、殊、運用機関を主語として理解するのであれば、ここに書いてあるような書きぶりが、私自身は納得的だと思っています。

 最後に、監査のところについては、「守りのガバナンス」という切り口でご意見がありましたし、書きぶりについて、神田メンバーからもご指摘がありました。

 「守りのガバナンス」と一くくりにしていいかどうかは別にして、また、企業不祥事を未然に防ぐためなのか、あるいは、事後的にどう対処するといった問題なのかという点も含めた対応として、会議が再開された第16回で、業務部門や管理部門とは独立して、第3線の内部監査部門が、経営から独立した監督機関を直接レポートラインとするという考え方が示されたと思うのです。その考え方については、もっと議論を深めていただきたいということを申し上げたのですが、書きぶりについては、いろいろな考え方があると思うものの、第3線を重視して強化していくという方向性については賛同しますし、意見書で書くことの意味は大きいと思いますので、最後に申し添えさせていただきます。ありがとうございます。

【池尾座長】
 それでは、高山メンバー、お願いします。

【高山メンバー】
  まず、この意見書については、この内容で結構だと思います。その上で、1点コメントさせていただきます。

 今、複数の方からご意見が寄せられたESGに関する記載のところです。意見書の案では、「なお、運用機関がESGに関する対応を行う場合には」という文章が入ってきています。確かに内容はそのとおりですが、唐突にこの表現が出てきているような感じもしますので、その背景や文脈等についても、加えたほうがいいのではないかと考えます。

 グローバルな投資家の間においては、企業の中長期的な価値とESGの要素が密接に結びついているというコンセンサスがあると思います。具体的な例としては、2月にブラックロックのCEOのフィンクさんがこの会議に参加されたときに、ESGについても述べていらっしゃいました。その際、参考資料として提示された、同社が企業に出したレターにおいて、「企業評価において、環境、社会、ガバナンス、ESGの要素が、ますます重要な意味を持つようになっている」と記載してございます。また、今回、ICGNのケリーさんから寄せられた意見書のESGの記載においても、そのようなことを念頭に置いて、「スチュワードシップ活動において、ESGの要素をインテグレートすることが重要である」という記載がございます。
 
 私は、この会議での議論の内容については、神田先生と印象が少し異なります。一定以上のパフォーマンスの企業はESG要因を考慮にいれてもよい、一定以下の企業においてはそうではない、ということではなくて、現状のパフォーマンスにかかわらず、ESGの要素が企業の中長期的な価値と結びつくという前提のもとで、この会議では議論をされていると理解しております。

 ですので、例えば、ここの書き方については、「運用機関は、環境、社会、ガバナンス、ESG、あるいは、ESG等のサステーナビリティーの要素が、企業価値や企業評価と密接な関係を持つことを念頭に、、」というような言葉を加えたほうが、その背景がより明確になるのではないかと考えます。

 以上です。
【池尾座長】
 どうもありがとうございました。それでは、三瓶メンバー、お願いします。

【三瓶メンバー】
  ありがとうございます。

 まず、スチュワードシップのところで、2ページ目の一番上なんですが、「運用機関による公表情報の拡充を」というところからの文章です。ここで、若干、疑問になるところがあるんですけど、例えば、「アセットオーナーに対する説明責任」というのは、運用機関が、アセットオーナーに直接やっているわけで、相当詳細な内容、詳細な内容というよりも、年々、質問が増えていて、この質問を聞いて、ほんとうに何かわかるのかなというのもあります。また、さらなる追加質問が来て、最終的な評価の段階では、それが咀嚼されたような感触を持てていないという、ちょっと困った状況があります。

 例えば、企業とのエンゲージメントについてアッセトオーナーに対し個別に報告している内容と同じレベルの情報を公表するのかというと、企業との対話で、そういうことを外に言ってもらっては面目が立たず困るというぐらいのことが、実際はかなりあります。というか、企業側から、そう言われます。

 それでは、「公表情報の拡充」と「企業との相互理解の深化」はつながるのかというと、つながらないケースというのは、たくさんあると思います。そこまでは言ってしまわないでくれということがあると思いますので、この辺の書きぶりは、「建設的に」成果ある対話を行うという意味では、ちょっと丁寧に書いていただく必要があるかなというふうに思います。

 情報の公表というのは、企業側の情報開示にしても、運用機関からの情報開示にしても、両方とも責任を持ってすべきであって、大事だと思います。ただ、第三者が興味本位で、とにかく知りたいんだということで、どんどん流されていくということは、また違う話だと思います。これは、企業情報開示の議論でも、同じことを言っていますので、双方、一緒です。

 このパラグラフの中で、もう一つある「サービスプロバイダーと企業との対話の実質化」というところは、先ほど神田メンバーもおっしゃっていましたけれども、議決権行使助言会社またはESGの評価機関というところは、その企業の評価について、または、議決権行使について、直接こうしたほうがいいんではないか、こういう評価なんではないかということを、最終的なプロダクトとして出すので、その場合には、ちゃんと企業と対話するということが必要であろうと思います。ですから、この文脈はいいと思うんですが、サービスプロバイダーに運用コンサルが入る場合には、運用コンサルは、そういう立場なのか、どうかということで、先ほど申し上げた2者と運用コンサルが違うんではないかなと思っています。

 次のパラグラフの集団的エンゲージメントなんですが、ここについては、まず、集団的エンゲージメントは、どういうことを期待されてやるのかということです。例えば、1つあり得るのは、独自で、単独でやってみたが、なかなか効果がなくて、パワーアップしたいということで集まるということと、もう一つは、単独ではスキル、ノウハウがないから、誰かと一緒にやりたい。

 後者の場合、単独ではできないからやるということになると、これで、集まったからといって、効果が出るのかという問題があります。また、前者のほうで、単独でやってみたが、うまくいかなかったから、仲間を見つけて、もう一回チャレンジするということは、そもそも、そのときのアジェンダは、何で通じなかったのか、企業に届かなかったのかという反省・見直しを踏まえてやるのか、いやそうではなく、自分たちの論理をもっと声を大きくして、パワーアップすればいいということなのか。

 ただ、パワーアップするということは、力で押し切ろうということが暗に入っていて、建設的な対話とは「気づき」を与えようとしているんではなかったんですかという疑問につながります。ですから、どういうことがエスカレーションなのかということを、もう少し言っておかないと、単に共同保有の疑いをかけられないというだけでは、違ってくると思います。

 実際、前回のスチュワードシップ・コードの改訂があった後に、投資家フォーラムという団体で、集団的エンゲージメントのあり方について議論をしました。そこで、効果として考えられることは、意見の集約、発言力の増大等。ただ、問題としてあることは、運営の難しさ。誰かがその対話をリードしなければいけない。そのリーダーシップを誰がとるのか。

 また、中長期という単語がよくつきますけれども、対話は1回で終わるわけではないです。何回か、お互いの理解を深めながら、進めていきます。そうすると、ケースによっては、時間がかかります。時間がかかっている間に、その長期化についていけないメンバーも「集団」の中にいます。途中で売却することもあるでしょうし、また、長期化は受け入れられないので、非常に先鋭化して、さっさと答えを出そうじゃないかというふうになる場合もあるでしょう。最初に「集団」として組んだときには、それぞれの参加者のアジェンダは一致していたように見えるけれども、時間とともに「集団」としての意義が崩れてくるという問題等があります。

 なので、実際にどうやってやるんだということも、私たちは投資家フォーラムの中で検討した上で、ある程度の何が大事なことかということをまとめましたけれども、そういったことも踏まえた上で書いていただきたいと思います。イギリスでは、そういった経験値が非常に長く蓄積した上でのエスカレーションなので、日本が今同じところにいるのかというと違うんではないかと思います。

 3つ目は、「運用機関」と書いてあるところの真ん中辺ですけれども、「さらに」というところで、「利益相反管理を含む運用機関自身のガバナンス体制の強化が…、指摘されている」というところなんですけれども、ここと、1ページ目の「投資家側について」というところの3つ目のポイントは、実は同じような事象の裏腹である可能性があります。

 というのは、利益相反管理をちゃんとしろということで、特に総合金融機関系の運用機関において、これだけちゃんと利益相反管理をしています、親のビジネスとは関係なく、運用機関として独立して議決権行使をしていますということを見せようとします。それがゆえに、かなり厳格な議決権行使の基準をつくる。つくった結果、対話をして、実際、話を聞いてみると、形式基準には適合しないけれども実態は問題ないかもしれない。 例えば、先ほど冨山さんがおっしゃった、メーンバンクから来られている社外役員だから、形式基準を満たさないけれど、話を聞いてみたら、この方はすばらしい方だとわかっても、いや、いや、こういう場合には、独立性がないから、だめなんですという結論になる。これが、この1ページ目で書いてある機械的というような例だと思うんです。

 ですから、この「機械的」な対応が起こっている背景には、利益相反についてのガバナンス体制の強化も関係しているため、そういうことになっていることも踏まえないと、ただ強化、強化と言い続けても、1ページ目の問題は解決しないということです。

 あと若干ですが、最終ページ、4ページ目の「グループガバナンスの在り方」のところで、支配株主の話が出てきますが、前回も支配株主ではなくて、支配的株主ではないかということを申し上げました。というのは、なぜかというと、支配株主という定義だけではなくて、支配的なというスピリットが大事であって、どういう状況で、考慮しなければいけないかということを、もっと浸透させることが大事だと思っています。

 ちょっと、ここで、例えばですけれども、50.1%のキャピタルを持って、子会社をコントロールしているということは、親からすれば、効率が非常にいいわけです。100%でないのに、コントロールができている。ただ、そのときには、それだけ安くというか、効率的にコントロールできている分は、誰かを踏み台、または犠牲にしている。その犠牲者は誰かといったら、子会社の一般株主です。子会社の一般株主の利益を、親会社に優先するとなったときには、親会社にとってみれば、子会社を保有するメリットが大きく減少するわけです。なので、この親と子の関係が、両立することは、非常に難しいということです。ただ、難しいと言っているだけで、形式的に、絶対だめだと言っているのではないんです。

 例えば、1つのエビデンスですけれども、3月19日にクレディ・スイスからレポートが出まして、全上場企業のうち、金融を除き、時価総額100億円以上の会社について調査した結果で、1%以上を保有する株主企業がいない会社のキャッシュベースの投下資本収益率は6%です。この場合の資本コストは5%です。一方で、50%を超える議決権を持つ親会社がいる上場子会社の同じ投下資本収益率は4%です。ですから、資本コストを大きく下回っています。

 これが、問題だと言っているわけです。これが、子会社の一般株主を踏み台にしているということ。ついでに言えば、そういった親会社の投下資本収益率は3%です。親も、実は、うまくメリットを享受していないという、非常に非効率な状況にあります。その状況を、支配株主に限らず、支配的株主というところも含めて、見ていく必要があると思います。

 5番目ですが、最後の「おわりに」というところの「アセットオーナーが運用機関に対する働きかけ」とあるところで、この文章は、かなり日本的な文章だなと思いました。というのは、インベストメント・チェーン、インベストメント・チェーンと言っているけれども、インベストメント・チェーンと言っている意味は、バリュー・チェーンを、インベストメントの鎖の中で考えているわけですね。

 アセットオーナーが、ただ働きかけすれば、運用機関がちゃんとモニタリングされているということは、これは上下関係です。一般の事業会社同士でも、お客様の言うとおりという上下関係がまかり通っていて、マージンが非常に抑えられているという理由の一つがここにあります。

 ただ、外国で言っているバリュー・チェーンというのは、その役割を分担して、自分ができないから、次の別のプレーヤーにやってもらって、そこで、価値をその専門家に高めてもらって、自分たちの価値も高める。全体のチェーンのバリューを高めていくわけです。ですから、そういった観点で、もうちょっと書けないかなと思いました。

 最後ですけれども、この文章のちょっと下のところで、「3年毎の見直しが予定されている」。今回に限って言っているわけではないんですけれども、例えば、英国のスチュワードシップ・コードは2010年にできました。2012年に改訂されて、見直しは定期的にやっていますが、2012年の後、しばらく改訂がなくて、2019年に改訂、今年です。何が言いたいかというと、3年ごとに見直してもいいけれども、毎回、必ず改訂するのかということです。ウィンストン・チャーチルの言葉で、”To improve is to change ; to be perfect is to change often.”というのがあります。要するに、完璧を目指そうとすると、しょっちゅう変えなければいけなくて、永久に完璧にならないということです。

 ですから、浸透して、それぞれのプレーヤーがやるべきことをやって、また反省をしながら、また次の試みをやって、経験値を積んでということをするのに、それなりの時間はかかるんだと思います。ですから、それをただ是正するのが遅くなり過ぎない程度に見直しをして、変えるものは変えるというようなことではないかなと思います。

 以上です。

【池尾座長】
 どうもありがとうございました。では、田中メンバー、お願いします。

【田中メンバー】
 年が明けまして、2回、株主総会で取締役に選ばれるという経験をしました。この経験の中で、議決権の行使が具体的にどの様になされたのかということを聞いてみますと、投票結果に関しては大変なご支援をいただいたんですけど、一部には、助言会社の形式的なチェックリストに基づいて、ただ単に銀行出身者だということで、チェックせざるを得ないというような議論もあったようです。そのことを、先ほど冨山さんや三瓶さんがおっしゃっているんだと思うんです。そうした形式的なやり方ではなくて、やはり、実質的に見る必要があるだろうということの、1つの事例になったのだろうと思います。

 そういうわけで、今度、発行体側になってしまったものですから、その観点から、この文章を見ますと、実際にこれを具体的にインプリメントするには、どういうふうにするんだろうということが考えさせられます。社内では既に議論を始めているんですけれども、その観点から、一、二、ご相談させてもらいたいところがあります。

 特に「監査に対する信頼性の確保」は、7行しか書いてないんです。前回の資料だと思うんですけれども、内部監査の資料、先ほどスクリーンにも出ていましたが、監査に関しては、第1線の業務部門、第2線の管理部門や第3線の内部監査部門が、それぞれ独立して、有効に機能する必要があるという、このスクリーンにある考え方があります。

 これは非常に欧米的なやり方で、非常に有効だとはと思うんですけど、監査役会設置会社では、一体これを具体的にどう適用するんだろうということには、非常に悩みがございます。現在、我が社もそうですけれども、監査役会設置会社は、今、日本の場合、圧倒的多数です。

 それで監査役会設置会社の場合、こういうふうな形でもって整理はできるんだろうかということは、監査役の基本的な仕事は、違法性監査が原則なので、こういう形の整理が、本来できるんだろうかどうかということが、1つの疑問として、実務で議論する場合には、発生するんです。

 もう一つは、これは確かに絵としてはきれいなんですが、この下にありますグループガバナンスとの関係でいきますと、日本の大企業というのは、もうみんな、極めてグローバルに展開しています。

 我が社も大体2万人の従業員のうち85%が外国人ですから、そういうところで、こういうグループガバナンスをどういうふうにやっていくのかということになると、内部監査、この絵はわかるんですが、一体どれぐらいのコストをかけるんだろう、また監査には何人必要で、どういうふうな形でやるんだということが、実務上の課題として出てくるんです。

 そうした様々な論点に対して、ここでは、7行で監査のことを書いているんですけれども、何かサジェスチョンがないだろうという気が、一つしているんです。その点をもう少し申し上げますと、ここに書いてあるものは、三様監査です、三様監査が書いてあるんですが、同時に、ガバナンスの形態が、今3形態あります。監査役会設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社、それぞれによって、監査というものの性格が違うんではなかろうか、やり方が違うんではなかろうかという気がします。

 それを一括して、こういう書き方をしてしまって、それで、実際に実務に落ちていくんだろうかという気がしていまして、監査という言葉で一括するだけでは、実際にこうした文章を出したところで、受け取った方が実務で実質的に落としていくのには、非常に苦労してしまうんではなかろうかという気がするんです。

 この辺は、むしろ座長や神田先生にお伺いしたいんですけれども、これは、7行のこの文章を、その3つの形態によって、やはり、それぞれ、ニュアンスが違うものとして、説明をする必要があるんではなかろうか、何らかの形で、そういうふうな方法で、実務上、受け取ったほうが、それをやりやすくなる、適用しやすくなるというような形にすることができないだろうかという気が、一つしております。これが、第1点。

 もう一つは、ESGの話なんですが、もちろん、ESGは非常に大事なお話だろうと思うんですけれども、これは前回も申し上げたと思うんですが、ESGをやると、さまざまなコストがかかるわけで、そうすると、一般的には、ファイナンシャル・リターンとして、そこに対するリターンが、それなりに低くなるという側面は否めないだろうと思います。

 そうすると、そうしたときに、企業価値の持続的な拡大ということが、ここに常に目標として出るわけですけれども、前回も申し上げましたが、企業価値が持続的に拡大している、成長しているということは、一体どうやって測定するのかという課題に戻ります。ESGを含めて、どうした数字でもって、測定するのか。また、これは、ファイナンシャルな面に加えてノン・ファイナンシャルな面が出てくるんだろうと思うんですけれども、やはり、その課題に対する回答がないと、説明する側からしても、どういう期待をされているんだろうかということに対して、答え方が非常に苦しいなという点があるんだろうと思います。

 企業価値というのは、単に時価総額のことを言っているわけではないだろうとは思うんですけれども、しかしながら、企業価値というものを、どのような形で定義し、測定をしていくのかという点は、相も変わらず残っていく課題だろうという気がしております。

 以上です。

【池尾座長】
 ありがとうございました。それでは、大場メンバー、お願いします。

【大場メンバー】
 私からは1点です。今、田中さんから指摘のあった企業価値の向上ということについて、これをどう定義するかということは、非常に難しい議論です。1つ言えることは、このフォローアップ会議は、企業価値を持続的に向上させていくということに、そもそもの目的があったはずだということです。

 そこは、あらためて確認をすべきであり、形式から実質をより深めていくためのフォローアップ会議だということで考えたときに、3つの点で、開示をより充実させていく必要があると思います。

 第1点は、企業側です。取締役会が、企業価値の向上に向けて、具体的にどのような議論をし、それについて、みずからどのように評価しているかということを企業側が開示する必要があると思いますが、これが十分だとは言えません。企業によって、着実に図られている会社もあるので、一概には言えないのですが、まだまだここは開示を充実させる必要があるだろうと思われます。したがって、1ページ目の企業側についての中に、その文章を入れた方が望ましいと思います。

 2点目は、投資家側です。投資家側も、企業価値の向上に向けて、みずからのスチュワードシップ活動について、具体的にどのようなことをやって、それをどのように評価しているかということを、開示する必要があると思います。

 既に、「自らの説明責任を果たす」と書いてございますので、この中にその意味合いが含まれているという解釈もできるのですが、投資家側のスチュワードシップ活動の内容について、具体的な活動とその自己評価について、開示を充実させる必要があるということが2点目です。
 
 3点目は、皆様からご指摘のあった「監査に対する信頼性の確保」についてです。これは、いきなり、ここで「守りのガバナンス」の話が出てきておりますので、やや難しいのですが、現状は、監査役、内部監査、監査法人が、具体的にどのような活動をしていて、何を指摘しているかということについて、全く見えません。

 したがって、これは、三井局長がどこかの雑誌にコラムを書いておられたと思うのですが、監査そのものについての見える化は、一段と重要になっているのではないかと思います。

 監査法人については、KAMの推進ということが、具体的に来年度からスタートすると言われておりますけれども、監査役並びに内部監査についての見える化ということも、より一層進めていくべきではないかと思います。したがって、その7行しかない中に、どうやっていれるのかということはあるのですが、見える化の促進ということが非常に重要ではないかと思います。

 以上です。

【池尾座長】
 ありがとうございました。冨山メンバー。

【冨山メンバー】
 手短に。先ほど、神田先生のほうから法制審議会の話と、三瓶委員のほうから、くそ親子会社といいましょうか、親子共倒れみたいな話をしていただいたんで、その脈絡で1点だけ申し上げておきたいということは、私も、会社法、法制上の義務づけというところまでは、急にいけないと思っているんですが、要は、コードで、何らか、そういう規定が置けないかという趣旨で、先ほど、発言しております。

 実はこの問題の難しいところは、上場会社が、子会社たる上場企業を持っている場合は、どちらかというと、コーポレートガバナンス・コードになじむんですけど、例えば、エンゲージメントファンド、実はハゲタカ・ファンドみたいな人が、がっと持っているケースは、機関投資家になってしまうので、実はスチュワードシップ・コードのほうに近いんです。

 そこをどういうふうにここで取り込んでいくかということは、多分、工夫が要ると思うので、ただ、要は両方の射程だから、この話も、実はスチュワードシップ・コードとガバナンス・コードの表裏の射程がある問題だということを、一応申し上げておきたいということが1つ。

 そういうことで、頻繁にあったESGの議論なんですが、ちょっと歴史的な背景を申し上げると、そもそもこの20年間、コーポレートガバナンス・コード、コーポレートガバナンスを強化しよう議論に、ずっと財界が反対してきた理屈の中には、実はESGもどきがいっぱいあったんです。日本の会社は、従業員や雇用の持続性を最重要視であるとか、社会、長期的成長を重視しているから、短期的利益は犠牲で構わないんだと言っている経営者はごまんと、あるいは、そういう経済団体はごまんとあったわけです。

 この議論の私の懸念点は、日本の会社の中にも、まだそういう遺伝子はいっぱい残っています。この議論の持っていき方を誤ると、そういった連中が、要は、先祖返りをしてしまうリスクがあるということです。これは、リアルにあります。ほんとうにあります。人員サイドだから、これはすごくわかります。

 だから、ここで先祖返りをしてしまうと、おそらく、売上も利益も雇用もむしろ失ってきた平成の30年間を、また令和で30年間繰り返すことになるので、ここは、ぜひとも、そういう問題意識は、実態問題として持っていただいたほうがいいと思います。皆さんが思っているよりも、経済界の実態は、ファー・ビハインドです。これは、そんなに進化していないです。なので、そこは、やはり謙虚に、あるいはリアルに、今の財界の現実というものを、私は認識したほうがいいような気がしております。

 以上です。また、これで敵をつくってしまったかな、ま、いいです。

【池尾座長】
 それでは、川村メンバー、お願いいたします。

【川村メンバー】
 私も、この報告書の中に、中長期的な企業価値の向上というところが、何回も出てきているので、そろそろ、やはり、中長期的な企業価値というものが、計算できるようにというか、誰でもわかるような、そういう新しい学説が要るのかなという気が大いにしています。

 近未来の数字は、株式時価総額だろうとは思うわけですけど、もうちょっと先のものが、実際は大事なわけで、株式時価総額と、その企業の中で有している人的資産の未来の可能性みたいなものと、企業が有している成長事業の種を幾つ持っていて、その可能性が、おのおのに対して、どのぐらいあるかということを、ある種の数値化して出すようなことの学術論文を先生方にお願いしないと、このほんとうのところが、なかなか出ないだろうと思うんです。

 小林さんの指摘にもありますとおり、実際には、非常に短期的なお話がいっぱいあるわけですけど、それらは、今回の趣旨とは必ずしも合っていません。企業の中長期的な価値の向上が、やはり一番大事ですから、そういう意味で、何がしかの株式時価総額以上のもう少し論理的なものが、いろいろできるように、見直しの中で、そういうことが少しテーマに入ってくるように、お願いしたいなと思うことが1つです。

 ESGに関しては、今までのことを思い出してみますと、法制化することによって、大体、ESGにかなうようになった企業が発展したという歴史はあると思っています。亜硫酸ガスがいっぱい出てきて、煙突から出てきて、困ると。あれをとらなければいかん。亜硫酸ガスをとるような装置をつくり出す企業が、そういう環境装置として、そういうものを売り出すことによって、それが進んだし、車の排気ガスも同じだし、やはり、今後も、ある程度、そういうような形で、そいつをのみ込みながら、さらに稼ぎ出す力を企業がつけていくという形で進むのではないかという気がしています。

 働き方に関しても同じようなことがあるんで、ESのSに関しては、やはり、そういう形で、それをのみ込みながら、進んでいくと。働く時間が短くなっても、以前より給料を払うというような企業が、結局、最後、強くなっていく。それについていけない企業は、脱落していくということだろうと思うので、そういうことをESGのところでは、目指しているんだろうなと思っております。これは、感想だけです。

【池尾座長】
 ありがとうございました。武井メンバー、お願いします。

【武井メンバー】
 ありがとうございます。意見書の中身は大変よくできていると思いますので、特に修文のコメントではありません。先ほどいろいろな方からご発言があった議決権行使助言会社の点、特に機械的な議決権行使の問題は、冨山さんや三瓶さんがおっしゃったとおりで、きちんと対処していく必要がある重要論点だと思っています。

 実質が検討できる体制になっているのかどうかという点について、資料2の5ページから6ページにかけて各助言会社が現在行っている開示内容は、まだ全然薄いと思うので、もう少し踏み込んだ、実質の見える体制というものをきちんと対外的に説明していく必要があると思います。体制を整備することと整備した体制について説明を行う旨のコード改訂が重要だと思います。

 EUもいろいろと検討しているわけですが、アメリカも前回の資料にもございましたとおり、法案レベルでかなり活発な議論がなされていますが、その議論の中で例えばナスダックといった証券取引所さえも、今の機械的な議決権行使の現状は上場会社に対する悪影響が懸念されるという強い意見を出しています。

 アメリカで指摘されている論点は、利益相反解消の話以外に、要は上場会社の企業経営に対してone-size-fits-allになると。1つの確立した基準で、機械的に決まっていることへの批判になります。先ほどのいろいろな日本で起きている話は、日本特有の話と言うより、アメリカでもone-size-fits-allの批判があるわけで、きちんと対処する必要があると思います。具体論としては、企業の方からいかに情報を正確に得るか、あと不服申し立てのためのオンブズマン設置とか、いろいろな議論が出ています。こうした個別の論点を丁寧に検討して、きちんとした体制を整備となるよう、コードを改訂していくべきかと思います。アメリカのほうは法案なのでいろいろと簡単には前に行かない部分もありますが、日本のほうはスチュワードシップ・コードでコードなので、実質の話でより踏み込んだ対処、実質をかなえる処置をしていくべきだと思います。

 あと最後にもう1点。実質が見える体制とか機械的行使とか議決権行使基準の硬直化などの論点は、議決権行使助言会社だけでなく、機関投資家のほうでも、1回決めた議決権行使基準が機械的に適用されるということが、同じように起きる話です。なので、議決権行使助言会社に関してここで出てきている問題意識は、他の機関投資家の議決権行使基準についても同様に、硬直化しない実質化を図っていくことを射程に入れた議論が肝要なのだと思います。

 以上です。

【池尾座長】
 ありがとうございました。この意見書の位置づけのようなことになりますが、今後、ごく近い将来に、スチュワードシップ・コードの改訂を踏まえた見直しの、結果的に改訂する必要がないということになるかもしれませんが、見直しの議論が行われることが想定されているので、それへ向けて、フォローアップ会議として、こういうことを議論していただきたいという論点提示という面があります。

 したがって、2ページ目のところで、集団的エンゲージメントやエスカレーションに関して、内容的なご指摘を、三瓶メンバーからかなりいただきましたが、それは、ちょっとここのペーパーに書くという話にはならないと思うんです。次、議論をしていただくときに、まさにそういうことを議論していただきたいということになるかと思います。

 最後のページの「監査に対する信頼性の確保」のところですが、これは、座長として、自己批判した上で、おわびしなければいけないんですが、「守りのガバナンス」に関して、まとまって議論する機会を、これまで持てなかったということがありまして、それゆえ、この7行ぐらいしか書けないということになっているということです。

 これも、いずれ、コーポレートガバナンス・コードに関しても、再検討というか、見直しのサイクルが始まると思いますので、その際には、守りのほうについても、そろそろ、かなり本格的な議論をすべきだと思います。だから、今の段階では言えることが、まだ意見書として、まとめて言えることが限られていることをご理解いただければと思います。

 企業価値については、確かに難しくて、経済学の言葉でいう外部性、プラス、マイナスの両方ありますが、それがあまり大きくないという場合は、時価総額に負債の総額を足したものを企業価値と考えればいいわけですが、ESGが問題になるのは、まさに外部性が非常に大きいところなので、社会的な要素、動向も含めて考えるべきで、だから、ROEがすごく高くても、環境破壊しているような企業は、やはりいけないという話になるんだと思います。

 それが、冨山メンバーが指摘になりましたように、言いわけになっては困るわけなので、取締役会のダイバーシティも位置づけしていないような企業が、そういうことを言うなと言えばいいのかもしれないですけれども、ちょっと、そこはあるかなと思います。

 それでは、岩間メンバー、お願いします。

【岩間メンバー】
 済みません。基本的には、改訂を検討する会議に対するガイドラインというか、そういう性格の意見書というぐあいに受けとめておりまして、基本的には、内容としては網羅されているというぐあいに私は思っております。

 ただ、私どもは、言ってみれば、運用機関ということになるわけで、アセットオーナーであっても、運用機関という立場にあります。そういうことでいうと、運用の高度化ということを非常に迫られているという中で、運用機関のガバナンスということが、どうあるべきかということなんですが、私の考えでは、やはり投資家と利益がアラインするということが、一番大きな根底にあるべきであって、それがアセットオーナーとの対話とか、そういうことで出ているんだと思うんです。

 アセットオーナーというと、どちらかというと、機関投資家的なイメージがあって、やはり、大衆投資家というか、一般投資家というか、そういったような方々、あるいは、ベネフィシャリーの利益ということを、どういうぐあいに捉えて、考えていくのかということが、もう少し入っていてもいいのではないかということが、私の感想でございます。基本的には、この意見書に賛同いたします。

【池尾座長】
 では、上田さん、お願いします。

【上田メンバー】
 ありがとうございます。先ほど、少し意見書のそのものの文言にコメントをさせていただきましたので、今は、関連するところについて、幾つかコメントさせてください。

 まず、本日、事務局からお出しいただいた補足資料2のところの一番最後の調査をされたというところでございます。企業年金のスチュワードシップ・コードのサインが、なかなか進まないという中で、いろいろ課題はあると思うのですが、一番最後に、「「経営」と「従業員」双方の理解が必要である」と書かれています。フォローアップ会議を通じても、アセットオーナーの先には受益者がいると。そこの利益を最大限にという議論をするのですが、従業員の立場では、正直申し上げて、自分が受益者という意識が低いというか、そういうリテラシーの教育をしっかり受けてなかったりもして、言ってみると、やや唇寒しのところもあるかと思います。

 これは、この会議ではなく、金曜日の金融審議会市場ワーキング・グループのほうなのかなという気もするのですけれども、そういった受益者としての年金加入者といいますか、受給者でもいいんですか、やはり、そこのリテラシーの向上は必要なのかなと思います。そうしたところの意識づけが高まれば、例えばDCにしても、DBにしてもそうですが、それぞれの質の向上というものも高まるのかなと思いました。

 また、小林メンバーのご意見書のエスカレーションですが、エンゲージメントの最終手段の1つとして、総会に出席をしていく、あるいは、そこで提案権を含めて株主権を行使をしていくという機関投資家による活動があると思います。ところが、実際のところは、なかなか機関投資家が総会に出ることが困難であるという実態があるというような話を、つい先ごろ、あるところから聞いたりもしました。

 となると、やはり、経済産業省における対話促進の研究会の議論を踏まえて、株懇さんのほうで取りまとめられた機関投資家が株主総会に参加するためのガイドラインがあるかと思います。これは、スチュワードシップ・コードとガバナンス・コードのちょうど境目のブリッジの部分になって、どちらに書くかの問題はあるのですが、そうしたところの議論も、きちんとどこかで吸い上げていただきたいと思います。

 議決権行使については、本日の議論はおもに助言会社の話というところになっておりますが、そもそも議決権行使は一義的には運用機関が行っています。海外の大手運用機関と比べると、日本の場合には、議決権行使に手をかけ過ぎなのです。一方で、企業も、コンマ何%の賛否にこだわり過ぎと。しかも日本では、一定の極めて短い時期に、何千社の会社の総会があって、何万個の議案を、株主というか、機関投資家は処理しなければいけないわけで、ミスがないわけがないのです。ですので、ある程度の効率化という名のもとの機械化であるとか、形式化は避けられないと思うのですが。完全なミスのない議決権行使をすべて自ら行使するというのは、働き方改革の真逆をいく実務だと思います。

 一方で、ガバナンス・コードとスチュワードシップ・コードができて、対話というものが進んでくる。一定程度、効率化は必要であったとしても、そこに対話の結果をのせて、いわゆるオーバーライドをしていく。こういう形が求められます。ところが、利益相反を強く規律する形になった結果、これは、ほかのメンバーの方もおっしゃっていましたが、形式的な判断に対して定性的な上書きというものを避ける傾向にある。

 このあたり、スチュワードシップ・コードが次の改訂であるとすれば、そこをどんどん書いていても、だんだんルールだけが厳しくなって、実態が動かないので、ある程度、方向感として、機械化や効率化が避けられなくても、定性的なものをのせていくような、少し心を”take it easy”に持ってくださいというような意識改革も必要なのかなと思っています。

 この手段としては、説明責任を果たして、本来であれば、対話の結果、こういう改訂にしましたということで、ポリシーに反する議決権行使の結果があってもいいと私は思います。ところが、アセットオーナーへの説明がなかなかつかないとか、特定の会社だけを甘く判断していると見られても困るとか、形式的になりがちなようです。硬直的な事務作業ではなくて、一連の対話の流れの中で実質的に判断するという取組みも望まれます。

 そして、企業の側も、投資家から反対された場合には、それなりの理由がありますので、そこのところの相互理解を進めるといったことも、今後ご議論いただければと思います。今回の意見書は、こちらの内容で構わないのですが、そういうふうに思いました。

 以上です。ありがとうございました。

【池尾座長】
 幸いにして、まだ時間的余裕がございますので、追加のご意見がございましたら、お出しいただければと思います。はい。どうぞ。

【キャロンメンバー】
 ありがとうございます。珍しく今日は静かですが、その理由は、先ほど池尾座長がご説明されたように、本日のペーパーは、検討の方向性を定めるための論点提示でもありますので、非常によくまとまっていると思います。意見書には、今後のさらなる改善に向けた重要テーマが明記されており、本日のご議論のように検討を重ね、どういうふうに持っていくのかという課題はございますが、非常によいものだと思っております。

 お時間があるということで、あえて申し上げますと、先ほど三瓶さんがおっしゃったことは賛成です。機関投資家としての正しい議決権行使は、実務上は大変難しいと感じています。利益相反や弊害がないように十分に配慮し、きっちりとした基準を作ると、柔軟性が欠け、個々の状況を反映することが出来なくなますし、基準の適用が「機械的」であるとよく言われます。その指摘に対応すべく、裁量を活かし、その個々の状況を反映しようとしたら今度は基準の適用が「恣意的である」と、基準通りにやれと言われます。

 重要なのは、中長期的な価値向上の実現と、それを目指す上でのガバナンスの重要性を共有できること。ソフト・ローでもなく、ハード・ローでもない、「意識」のことです。価値創造は日本の将来に向けた社会的貢献が大きいということが、その基盤になると考えます。

 話が長くなりましたが、この意見書はとてもよいものだと思います。個々の修正があれば、座長に一任したいと思いますので、よろしくお願いします。

【池尾座長】
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

【小口メンバー】
 一点だけですが、先ほど来から、議決権行使の機械的な行使の問題とか、キャロンメンバーがおっしゃっていた、例えば、具体的な対話を踏まえながらオーバーライドする、上田メンバーもおっしゃっていましたが、運用機関も悩まれているこの問題に対する判断の基準というのは、先ほど来から出ているアセットオーナーがどういうふうな見方をするのかというが、結局のところ、大きいと思うのです。

 先ほど、三瓶メンバーからバリュー・クリエーションというお話がありましたが、やはり、運用機関を選ぶのはアセットオーナーということで、アセットオーナーが、どういうふうに考えているのかということは、今後、議論を深めていく上で、聞く必要があるのではと感じています。

 それを踏まえた上で、具体的にどうしたら、実質的な深みのあるコーポレートガバナンス改革ができるのかということなので、アセットオーナーの視点の実態を知るチャンスが、今まであまりなかったことを思い、そういうチャンスを、次の検討会で考えていただけたらと思います。

 以上です。

【池尾座長】
  コーポレートガバナンスの項目のところですが、3ページの一番下のところを見ていただければ、これも、やはり、「フォローアップ会議において以下の課題を含む横断的な検討を行っていく」という記述なんです。

 それで、4ページのところで、2番の「グループガバナンスの在り方」のほうは、「こうした議論も踏まえながら、検討を進める」と書いているんですが、1番の「監査の信頼性の確保」のところは、検討するという話を書いていないので、ちょっと、これから検討するというふうに、ここも平仄をそろえて、理解していただく。この7行で、何か結論を出しているわけではなくて、当然、これでは、実務に落ちないとか、ごもっともな指摘なので、こういう観点を踏まえて、我々がこれから検討していきますという決意表明みたいなものだと理解、そうわかるように書き直すということです。

 追加で、ご意見、ご質問等はございませんでしょうか。どうぞ、三瓶さん。

【三瓶メンバー】
 意見、質問ではないんですが、補足説明というか、情報共有です。

 先ほどから出ている議決権行使の運用についてなんですが、実際にあったこととして、まず、手間暇がかかるということと、アセットオーナーの方は、ちゃんと説明すれば、わかっていただけるという2点です。

 例えば、事業会社が、今度の株主総会で、社外役員の方を、再任議案に上程するといって説明に来られて、形式的に見ると、独立性がないという場合です。メーンバンク出身者である場合などです。ところが、その方はとても取締役会にとって大事だと。こういうちゃんとした方だという説明がある。会社側の説明だけでは確証を持てないので、その方と面談をさせてほしい、ちゃんと話をして私たちの目でみて、どういうお考えの方なのかを確かめるというと、議決権行使判断の前に面談の時間が必要となるわけです。実際に候補者本人と面談するわけです。

 そして、今度は私たちのジャッジメントですけれども、その方に会って、このときに、議決権行使担当者だけではなくて、ポートフォリオマネジャー、アナリストも同席して、確かにこの方は期待に応えてくださりそうだとなった場合には、ガイドラインの形式基準をクリアしなくても、上書きをする。上書きをするには、その判断根拠を明確にして、社内的にもチェックがある。

 この後、結果として、議決権行使基準どおりではない、ガイドラインどおりではない、上書きした議決権行使はどれかということで、アセットオーナーに、ちゃんと説明に行く。説明のときに、こう、こう、こういうプロセスをとって、この点を私たちは重要視して、それなので、この方は、形式的に見たのとは違う立派な方だと信じているので賛成した、とそこまでやるんです。そうすれば、どのアセットオーナーもおかしいではないか、ガイドライン違反ではないかということはないです。

 アセットオーナーの理解が得られているのが実態ですけれども、これを全運用機関が、全投資対象でやるのかというと、そうなると、また違ってきます。どこまでやるかとなると、いろいろなことで、現実的にやれることと、やれないことがあるので、そういう意味では、想像だけではなくて、ペーパーの上だけではなくて、そういった実態を踏まえて、今後、議論をしていただきたいと思います。

 以上です。

【池尾座長】
 ありがとうございました。一応、議論は一段落したようですが、もし追加的になければ、今回の意見書(案)につきまして、てにをはの修正だけでは済まない感じなので、本日いただいたご意見を踏まえて、事務局で修正をしていただいて、それで、メールベースか、事務局に個別に訪問していただいて、持ち回りで検討を行って、それで、基本的なことに対するご異論は出なかったと思いますので、それで、取りまとめられればと判断しております。

 もし、それでも取りまとまらなければ、近日、もう一回会合を開くということも、一応、想定はいたしますが、メールベースか持ち回りで、まとめていただければなと希望いたします。それで、もう一度、近日中にフォローアップ会議を開催するかどうかは別にしまして、この会議体、フォローアップ会議自体は、今後とも継続して開催してまいりますので、先ほどから出ておりますように、まだまだ検討すべき点が残されているということですので、引き続き、スチュワードシップ・コードの見直しに関する議論が一段落した後になると思いますが、継続して開催してまいりますので、皆様、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、最後に、事務局からご連絡等がございましたら、お願いします。

【井上企業開示課長】
 ただいま座長からございましたとおり、修正案を作成して、座長にご相談した上で、皆様のご了解をいただければと思います。万が一、近日中に再度フォローアップ会議を開催する必要がある場合には、皆様のご都合を踏まえて、最終的に決定させていただきたいと思いますので、その場合は、ご案内をお待ちいただければと思います。

 事務局からは以上でございます。

【池尾座長】
 それでは、ちょっと早いですが、以上をもちまして、本日の会議は終了させていただきます。どうもありがとうございました。



 

―― 了 ――

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金融庁Tel 03-3506-6000(代表)

企画市場局企業開示課

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