スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議(第20回)議事録

1.日時:

令和2年10月20日(火)10時00分~12時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館9階 共用会議室3


【神田座長】 
 おはようございます。それでは、時間になりましたので、ただいまからスチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議を始めさせていただきます。今日は、その第20回目の会合となります。皆様方には大変お忙しいところを御参加いただきまして誠にありがとうございます。

 申し遅れましたが、このたびこの会議の座長を務めてこられました池尾先生から御指名をいただきまして、この会議の座長を務めさせていただくことになりました神田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 なお、池尾先生におかれましては、引き続き本会議に御参加いただけるということでございますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 本日の会議におきましては、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインでの会議を併用した開催とさせていただきます。また、ウェブ上でライブ中継をさせていただいております。議事録につきましては、これは通常どおり作成して、金融庁のホームページにおいて後日公開をさせていただく予定でございますので、よろしくお願い申し上げます。

 会議を始めます前に留意事項がございますので、事務局から御説明をお願いします。島崎課長、お願いいたします。

【島崎企業開示課長】 
 新しく企業開示課長に着任いたしました島崎でございます。よろしくお願いいたします。

 本日の会議におきましては、オンライン会議を併用した開催としておりますが、御発言を希望される際は、オンライン会議システムのチャット上にて全員宛てにお名前を御入力ください。そちらを確認の上、座長から指名いただきます。

 また、スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議運営要領第5条に、フォローアップは公開とすると規定されていますことにのっとり、本日の会議はウェブ上でライブ中継させていただいております。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。

 続きまして、今回フォローアップ会議を開催するに当たりまして、新しく6名の方々にメンバーとして御参加いただくことになりました。事務局から御紹介をお願いいたします。

【島崎企業開示課長】 
 このたび新たにフォローアップ会議のメンバーに御就任いただいた方々を御紹介させていただきます。

 資料1のメンバー等名簿順に、岡田譲治様、小幡忍様、円谷昭一様、春田雄一様です。

 また、本日は御欠席ですが、翁百合様、松岡直美様にもメンバーをお引き受けいただいております。

 そのほか、引き続き御参加いただくメンバーとオブザーバーの皆様につきましては、名簿をお手元に配付しておりますので、そちらを御覧ください。

 また、事務局に異動がございましたが、時間の都合もございますので、配席図をもって紹介に代えさせていただければと存じます。よろしくお願いいたします。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。

 本日の会議でございますけれども、メンバーの皆様方にはオンラインで御出席いただいております。議事に入ります前に、メンバーの皆様の出席方法や座長代理の設置などの観点から、フォローアップ会議の運営要領というものがあり、その改訂案について申し合わせをさせていただければと存じます。詳しくは事務局から御説明いただきますので、島崎課長、よろしくお願いいたします。

【島崎企業開示課長】 
 それでは、右肩に資料2と記載されたスチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議運営要領を御覧ください。

 改訂箇所は2点ございます。まず1点目が、当会議の運営は、運営要領に規定されておりますが、メンバーの皆様の出席の方法については明示的には記載されておりません。今般、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、神田座長と相談の上、本日の会議はオンライン開催とさせていただきました。今後、明確化の観点から、運営要領の第2条「フォローアップ会議の招集」において第2項を追加し、座長は、必要があると認めるときは、情報通信機器を利用して会議を開催することができると改訂し、こうしたオンラインでの開催も明示的に可能となるようにしてはいかがかと考えております。

 続いて2点目ですが、座長が会議に出席できない場合に備え、座長代理に議事を整理させることができる旨、規定してはいかがかと考えております。具体的には、運営要領の第3条「議長」において第2項を追加し、「座長に事故があるときは、あらかじめその指名するメンバーが、座長代理として議事を整理する。」と規定したいと考えております。

 具体的な改訂のポイントは、以上2点でございます。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。今、御説明いただきましたこの会議の運営要領の改訂案につきまして、メンバーの皆様方から御質問や御意見等がございましたら、ここでお出しいただきたいと思います。

 なお、あらかじめお知らせしていると思いますけれども、御発言の際には、あらかじめチャットにて御発言の御希望を書いていただければ、こちらから御指名をさせていただくやり方でやってみたいと思います。いかがでございましょうか。運営要領の改訂案について、御質問や御意見等ございますでしょうか。特によろしゅうございますでしょうか。

 それでは、この会議の運営要領の改訂案につきましては、資料2から案を取らせていただき、今後この要領でこの会議を進めるということで、申合せをさせていただいたこととさせていただきます。どうもありがとうございました。

 そして次に、私が万が一会議に参加できないような場合に備えまして、大変恐縮でございますが、座長代理を神作先生にお願いしたいと考えております。そのようにさせていただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。

 ありがとうございます。それでは、神作先生、どうぞよろしくお願い申し上げます。

【神作メンバー】 
 よろしくお願いいたします。

【神田座長】 
 どうもありがとうございます。

 それでは、本日の議事に移らせていただきます。本日でございますけれども、事務局から資料の説明をしていただき、その後、コーポレートガバナンス・コードに基づく取組みに関する御議論をお願いしたいと思います。

 それでは、まず事務局から、資料についての御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【島崎企業開示課長】 
 よろしくお願いいたします。

 それでは、資料3「コロナ後に向けた経済社会構造の変化とコーポレートガバナンス上の課題」について御説明をさせていただきます。お手元の資料4(参考資料1)、資料5(参考資料2)を適宜御参照いただければと思います。

 それでは、資料3の御説明でございます。コロナ後に向けた経済社会構造の変化とコーポレートガバナンス上の課題ということで、フォローアップ会議においてもここまで様々な課題など御提示いただいておるところでございます。コロナの影響もございまして、私どもは金融行政方針にも書かせていただいたところでございますが、一旦このフォローアップ会議第20回で、コロナ以後の経済社会構造の変化について、私どもが材料を提示させていただき、後ほど御議論いただきたい事項が出てまいりますので、御議論いただければと思っております。それらの材料については、1ページ以降で御説明させていただければと思います。

 コロナ以後の経済社会構造の変化ということで、コロナ禍により、人々の生活に新たな変化が生じております。企業についても、コロナ禍を契機とした新たな変化もあれば、従前から存在しておりましたが、コロナ禍で加速した変化も存在しております。経済社会構造の変化ということで、生活をめぐる変化と企業をめぐる変化に分けて俯瞰してみようと考えております。

 生活をめぐる変化につきまして、まず(0)とございますが、人々の価値観・行動様式の変化ということで、上の段には消費・需要の変化、下の段にはもう少し幅広いライフスタイルの変化を挙げさせていただいております。次のページの2ページ目では叙述的に書かれておりますが、簡単にこの図で御説明いたしますと、やはり移動に係る制約もございまして、感染防止のための非対面、オンライン、対面を含むオンライン化の需要の増加や消費行動の変化、もう少し広く言えば、ネットによるサービス比較の習慣化、コロナの影響による良質な社会的サービスへの需要のさらなる高まりも見られる等、一定の消費行動の見直しがあろうかと思います。

 下の段では、ライフスタイルの変化につきまして、働き方の選好の中長期的な変化や、ひいては居住地の選好の変化、御家族との関係性の変化、リモートで働くことに伴う居住地の選好、あるいは家での生活との関係上、家族との関係性の変化ということも挙げられようかと思います。こうしたものが企業をめぐる変化、生活をめぐる変化であり、これらの環境の変化に応じたものとしては(1)、(2)、(3)とございまして、1点目が顧客が求める財・サービスの変化、2点目が、従業員の働き方の見直しへのニーズの高まりや新たな雇用・人材活用の萌芽。3点目として、サプライチェーン上の課題の発生等の不確実性の高まりということが挙げられようかと思います。様々な資料、レポート等によって、この資料は作らせていただいております。

 2ページ目を御覧ください。先ほど(0)、(1)、(2)、(3)ということで図には書かせていただいていますが、それぞれについて少し触れましたが、右側に叙述的に書かせていただいております。

 (0)では、消費需要の変化に関して、感染防止のための非対面・オンライン型サービスへの需要の高まり、サービスの比較機会の増加等の中での従来型の消費行動の見直し、良質な医療・介護・子育て等のサービスへの需要のさらなる高まりがございます。

 また、ライフスタイルの変化に関して、働き方の見直し、テレワークや副業・転職、家族との関係を含めた生活様式の変化、地方移住・都市近郊への居住(リモートワーク)への関心の高まりといった居住地の選好の変化が見られようかと思います。

 前のページにもございました(1)、(2)、(3)でございますが、(1)は、顧客が求める財・サービスの変化ということでございまして、(0)にあるような人々の行動様式の変化に起因する需要の高い財・サービスの変化、需要が求められるサービスのイメージでございますが、医療・教育・飲食・娯楽等のサービスのデジタル化需要等挙げられるかと思います。中にはもちろんデジタル化を背景として、新たに提供が可能となるような財・サービスなどの需要も含まれるかと考えられます。もう一つは、外出自粛等に伴う、人との直接接触・対面をベースとする財・サービスへの需要の変化でございます。これは現象を伴うという変化もあろうかと思います。こうしたことに伴いまして、コロナ以前から存在していたビジネス上の問題の継続・深刻化ということも併せてあり得ようかと思います。人々の行動様式の変化を読み取り、先取りして新たな需要・ビジネスを生み出す機会となり得るかと思います。様々な変化がございますが、このようにも捉えられるのではないかと考えております。

 次に、従業員の働き方の見直しへのニーズの高まりや、新たな雇用・人材活用の萌芽でございますが、まずはライフスタイルの変化に伴う働き方改革へのニーズの増加、リモートワーク、少し広めに言いますと、企業の雇用・人材活用の可能性、もっとこれは従前から指摘される課題だったかもしれませんが、ビジネスモデルの構築というものに対応した人材活用の機会、不確実性の高まりで言いますと、グローバルなサプライチェーン展開に伴うリスクの顕在化や、感染症リスクの顕在化と、それを契機とした気候変動等の大きいテールリスクへの再注目のようなものも起きているのかと思います。

 こうした(0)から(3)までは現象面ではございますが、同時に求められる企業像・企業行動に関する議論というのもあるかと思います。これはコロナ前からもある議論なのかもしれないですが、まず欧米における多様なステークホルダーへの価値提供に関する議論の高まりということがあろうかと思います。同時に、社会関連ということで言いますと、社会的課題のビジネスによる解決(共通価値の創造)への期待ということも同時に起きているのではないかということが挙げられるのではないかと思います。

 3ページにまいります。ただいまのような変化を前提といたしますと、一番左側2本の列は2ページ目と同様でございますが、3行目、3段目の、期待される企業活動として、やはり顧客が求める財・サービスの変化においては、時代の変化に応じ、または先取りした顧客ニーズを捉えた財・サービスの提供というのが期待されてこようかと思います。それに見合ったデジタルトランスフォーメーション(DX)、人材投資、迅速な経営改善・事業再生・事業再編がございます。もちろん前向きなものもございますが、先ほど申し上げましたような、従来からありましたような課題の解決に資するものもあろうかと思います。ここではやはり事業再編ということになってきますと、グループの全体最適や、必要とされる一般株主保護などの課題なども含まれるかと思います。

 また、大きく言いますと2点目、従業員の働き方の見直しへのニーズの高まりや、新たな雇用・人材活用の萌芽ということで、テレワークの実施をはじめとする働き方の見直しなど、従業員のニーズに応じた社内環境整備が挙げられましょうし、ジェンダー、国際性、中途採用など、社内の多様性の向上を含めた、先ほども申しました経営戦略と整合的な雇用・人事制度の整備ということも論点として挙げられようかと考えておりました。

 不確実性の高まりでございますが、事業継続計画(BCP)やリスクマネジメントの在り方ということでございます。戦略的なサプライチェーン展開・再構築に向けた意思決定、テールリスクへの備え、またコロナ禍に際しまして、現金保有についての議論もございましたけれども、効率的かつ危機に対応可能な資金調達・資金管理という論点もあろうかと思います。

 求められる企業像・企業行動に関する議論でございますが、ここでは現行のコーポレートガバナンス・コードに記載されているように、もともと株主や株主以外の様々なステークホルダーにおいて中長期的な企業価値を高めるために、株主に対する受託者責任の遂行、株主以外の様々なステークホルダーとの協働ということが挙げられようかと考えております。

 4ページでございます。現在、論点が挙げられましたけれども、こちらは私どもが5月から9月にかけまして、投資家や企業の方々にヒアリングをさせていただき、その中で別添に詳細なものを載せておりますが、いただいた意見の中から少し例示的にこちらで示させていただいております。

 軸としては経営戦略、デジタルトランスフォーメーション、サステナビリティ・ダイバーシティ、財務戦略という形で載せております。

 投資家が企業に求める変化で言いますと、必要なスキルを持った取締役の選任や、内部の力だけでは変革が難しいので、社外取締役の適切な関与、DXで言いますと、DXによるビジネスプロセス自体の変革、サステナビリティやダイバーシティで言いますと、形式ではなく実質でのサステナビリティの取組み、女性登用にとどまらない、外国人も含めた多様なバックグラウンドというような話を伺いました。財務戦略について言いますと、非常時における現金保有の意義の認識と、将来のキャッシュを創出する能力の確保・向上かと思います。

 企業の取組みや御意見ですと、コロナ後の需要構造の変化も捉え、ビジネスモデルの見直しと事業ポートフォリオの再構築に向けた検討や直接接触・対面をベースとするサービスの強みを今後どのようにするか、デジタル化に応じた新たなビジネスモデルの確立、有事のリモートマネジメントシステムやITシステムに対する準備の問題、SやEについての取組みをこれからどのようにしていくか、引き続き取組みを実施しているというお声もありました。手元現預金を増やしていくことや、成長の資金源として活かす視点が必要だと考えるといった御意見を伺っております。このような御意見を伺いまして、論点の参考になろうかと思い、提示させていただきました。

 5ページ目でございます。こららが今回の第20回フォローアップ会議で御議論いただきたい事項でございまして、まず大きな項目として、コロナ後の企業の変革に向けたコーポレートガバナンスの課題がございます。先ほどより、コロナ後の諸課題、材料の提示をさせていただきましたが、こうしたコロナ後の諸課題に対応し、新たな成長を実現するためには、各々の企業が課題を認識し、変化を先取りすることが求められます。そして、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等との間で、企業の変革のビジョンを共有し、迅速・果断な意思決定を通じてこれらを積極的に実行していく必要がございます。

 また、最初に申し上げました、これまでのフォローアップ会議等において、コーポレートガバナンスの課題としては、以下が提起されております。まず、資本コストを意識した経営でございます。先ほども出てきましたが、現預金保有、政策保有株式の在り方等、資本コストを意識した経営、取締役会の機能発揮、社外取締役の質・量の向上、ダイバーシティ、その他もあるかと思いますので、本ページを資料としてつけさせていただいております。中長期的な持続可能性、サステナビリティ、管理職等におけるダイバーシティ等でございます。監査の信頼性の確保、内部監査部門から経営者及び取締役会等に直接報告を行う体制、いわゆるダイレクトレポーティングでございますが、こうしたものの構築、それから、グループガバナンスの在り方、つまり、グループとしての経営の在り方、上場子会社の一般株主保護等でございます。意見書としていただいているものも含め、こうしたことがこれまでフォローアップ会議とコーポレートガバナンスの課題で提起されておるところでございます。

 そこで、コロナ後の経済社会を見据えた上で、新たな課題の追加や優先順位の変化等、どのような検討課題の見直しを行っていくことが考えられるかについて、御意見を賜れればと思っております。

 また、その他でございますが、コーポレートガバナンスについて、今後検討を行うべき点としてはどのようなものがあるのかについて御意見を頂戴できればと思っております。

 6ページ以降は参考になっておりまして、6ページ目は令和2事務年度金融行政方針(抜粋)でございます。企業がコロナ後の経済社会構造に向けた変革を主導できるためのコーポレートガバナンスの在り方の検討ということになっておりまして、DXやサプライチェーン、働き方等に関する企業と投資家との間での建設的な対話の在り方について検討を行うということを記載させていただいています。

 7ページ目は、令和2事務年度金融行政方針の補足資料の抜粋であり、少し各論についても載っております。

 8ページ目と9ページ目では、コーポレートガバナンス・コードの策定がなされたときの原案の序文を載せさせていただいております。攻めのガバナンス、中長期的な企業価値の向上、もちろんコード中に盛り込まれていますが、様々なステークホルダーに対する責任についてももともとの序文に載っております。こちらは東証様の公表しているコーポレートガバナンス・コードの中でも、本文の後ろに記載されております。そちらが8ページ目で、9ページ目にプリンシプルベース・アプローチやコンプライ・オア・エクスプレインについての部分を抜粋させていただいております。

 10ページ目は、これまでのコーポレートガバナンス改革の深化に向けた取組みの資料、11ページ目には、コーポレートガバナンス・コードの概要の資料をつけさせていただいております。

 私からの事務局の資料についての御説明は以上でございます。

【神田座長】 
 説明をいただきましてありがとうございました。

 本日でございますけれども、御欠席の翁メンバー、ワリングメンバー、冨山メンバー、松岡メンバーの皆様方から意見書を提出いただいておりますので、事務局から簡単に概要の御説明をお願いいたします。

【島崎企業開示課長】 
 それでは、御紹介をさせていただきたいと思います。

 まず翁メンバーの御意見書でございます。サステナビリティについては、SDGsへの配慮とともに、ダイバーシティの確保の重要性に社会の関心の高まりが見られる。コロナ危機により、企業にとって改めて予見不可能なリスクが多く、リジリエンスのためには変化への対応力、創造力が必要で、多様性を確保する必要が示されたからだと思われる。多様性の確保は、経営戦略として重要、投資家の関心も求められる、ということを1番目にいただいております。

 それから、2番目でございますが、女性管理職の増加の点では、男女を問わず働きやすい職場であるかが問われる。「選択する未来2.0」中間報告での女性正社員が20代でピーク、そこから下がるとの問題提起を踏まえ、女性管理職を増やすには、社外取締役だけでなく内部からの昇進の増加が望ましい。家庭生活と仕事を両立しやすい環境、女性社員の正規化や社員の柔軟な働き方、男性育休といった点に関する企業の姿勢の分かりやすい開示、投資家との議論が必要であると。

 3番目ですが、コロナで大きく経営環境が変わる中、選択と集中とともにDXの加速を背景に、事業間のシナジー、協業を戦略とする選択肢もあり、事業の組み合わせによる企業価値向上の道筋をしっかり説明できる必要がある。短中期的事業ポートフォリオに関する戦略とSDGsに沿った長期的な企業価値向上がどう結びつくかを、取締役、投資家との対話で議論されることを期待ということでございます。

 全体把握のためには意見書を御覧いただければと思います。

 次にワリングメンバーでございます。コロナの蔓延に伴い、企業の長期的な財務的健全性と持続可能性の重要な決定要因として、社会的要素の重要性を提案してきたということでございます。危機に対処する際に考慮するであろう広範な事項としては、短期流動性の必要性を満たしながら、従業員の安全と福祉の確保、それから、社会的責任、公平性と持続可能な価値創造への長期的視野を追求するとともに、企業の社会的な目的を定義し、公にする。利害関係者等への資本配分の決定の上での全体調和的かつ公平なアプローチをとること、全ての利害関係者と包括的に意思疎通をすることというのが掲げられています。

 コーポレートガバナンスの課題については、先ほどの本体資料に記載のものに加え、有価証券報告書の公表は総会前に行い、プライム市場上場企業は、英語に翻訳された有価証券報告書と株主総会招集通知を用意すべきであり、基準日を4月に移動させ、総会の7月開催を推奨とのことでございます。

 次に、ハイブリッドないしバーチャルオンリー総会において、株主が適正に企業に説明させる能力を制限することなく、株主の権利が侵害されないことを確保されるよう、監督当局に奨励。株主総会の開催形式等の情報の1か月前の発行、顔の表情を映すビデオ技術の利用、参加者の質問・意見表明の確保、質問の記録・回答の迅速な公開等も挙げられています。

 最後に、人的資本マネジメントに関する開示ということで、コロナは所得、性別、人権などの点で深刻な社会的不平等を露呈。ICGNは、企業との対話では、人間の対話性が高い業種における健康と安全、女性の人員余剰の不均衡な数に留意した多様性、差別禁止の方針と実施状況、サプライチェーンにおける人権、仮想的、社会的距離をとる世界への移行に伴うスタッフトレーニングといった点に取り組んでいるということでございます。所得の不平等、給与その他給付での公平な処遇。また、人的資本に関する情報提供をするよう、企業にさらなる透明性を義務づけることを奨励するということでございます。

 続きまして、冨山メンバーでございます。従来から進んでいたDXはいよいよ加速し、産業構造、ビジネスモデルが大きく変容するインダストリアルトランスフォーメーション(IX)が起きている。意思決定力、意思決定システムを軸とした会社の形を抜本的かつ不断に変容するコーポレートトランスフォーメーション(CX)力が厳しく問われる時代であるとのことでございます。

 ブラックスワン的な危機イベントの発生は頻発化し、グローバル化が進展。経営者によるレジリエンスが問われており、ガバナンス改革をさらに推進する必要がある。危機をサバイブしてむしろ再編を仕掛け、成長機会とすべく果敢にリスクを取るガバナンス体制と経営リーダーシップが重要となる。堅固な事業収益力、財務基盤はレジリエンスに直結するとのことでございます。

 フォローアップ会議における、コード改訂の論点として5点ほどいただいております。1番目でございますが、指名委員会及び経営トップ選考プロセスの充実ということで、指名(諮問)委員会の設置の原則義務化ですとか、多様な経営経験のある人材中心での構成ですとか、執行部から提案された人事案を追認するようなものでなく、候補の評価や絞り込みを行うプロセスの一般化ということでございます。

 2番目に、執行役員レベルの多様性の確保で、時代の大きな変化に対応するCXを行うためには、将来の経営者候補が多様性(性別、年代、国籍、教育、経営バックグラウンドなど)を持っていることが必須である。中核人材の多様性は、競争力の変容力を規定する。サクセッションプランの実効性も、将来、経営トップ層候補である執行役員レベルの人材ポートフォリオの質と多様性に依存し、数値目標を含めてコードに明記すべきということでございます。

 3番目に、資本コストと営業キャッシュフローの重要性ということで、「両利きの経営」のとおり、既存事業の収益事業への絞り込みとデット性資金の活用から生まれる、営業キャッシュフローを活用した探索領域への大胆投資が必要。短期的利益に拘ると長期的投資を行えなくなり成長力を失うという説ではなく、潤沢な営業キャッシュフローこそ企業の力の源泉であるということでございます。

 4番目に、ESG、SDG経営を支えるのも高い収益力であるということで、社会的価値に企業が貢献する絶対条件は、高く持続的な収益力である。もともと我が国のコーポレートガバナンス・コードは、株主価値至上主義に立っておらず、ステークホルダー全体にとっての企業価値の持続的向上を基本理念としているということでございます。

 5番目に、親子間に事業上の結びつきが強いほど、親会社の利益と子会社の一般少数株主の間で利益相反が生じ、それが紛争化することで両方の企業価値が毀損する。親子それぞれが激しいCXをしていくときに、相互の関係性ゆえに利益相反問題が発生し、戦略的自由度、迅速性を失わせ、CX力を低下するリスクがある。親子上場は、成長事業のスピンオフ等の過渡的なものを除いて認めるべきではなく、米独で一般的となっている利益保護義務を明記すべきということでございます。

 続きまして、松岡メンバーでございます。コーポレートガバナンス・コードの見直しのスタンスとしては、企業の実体験を踏まえて今後の検討に参画する。プリンシプルベース・アプローチは自らの状況に応じて工夫できる点が各経営者、ステークホルダーの支持を得ているということでございます。

 取締役会のダイバーシティについて、企業経営にとって多様性はイノベーションや新しい価値創造の源泉であり、経営戦略に不可欠。経団連調査でも、ダイバーシティ&インクルージョンを重要とする企業が大半。取締役会の機能発揮の観点から、ダイバーシティを推進することを課題としてしっかり取り組んでまいる。また、こうした取り組みは社外取締役の質の向上にもつながるということでございます。

 一方、中長期的な持続可能性の観点から、管理職等におけるダイバーシティ等を示している点についてはもっともなことである。今後を見据え、より現在の働き方の多様化の流れやグローバルな議論を踏まえたものにすべき。多様な人材を生かす職場をつくるためには、いわゆる年功序列に応じた管理職や役員としての処遇というのでは必ずしも十分ではなく、社員がそれぞれの能力、スキル、成果に応じてフェアに評価を受け、それぞれの職務に応じた役職・権限、報酬・機会などを得るような体制の構築が必要。多様な社員の多様な働き方やキャリア形成を可能せしむるようなプリンシプルベースでの見直しが重要ということでございます。私からの簡単な御紹介でございますが、以上でございます。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。

 それでは、これから皆様方から御質問や御意見等をお出しいただきたいと思います。繰り返しになりますけれども、御発言御希望の方は、チャット機能を利用して、全員宛てに発言希望という旨とお名前をお書きいただければありがたく存じます。

 それで本日は、このフォローアップ会議の言わば再開の初回になりますので、資料3で言いますと、ページでは5ページ目になると思いますけれども、コロナ後の企業の変革に向けたコーポレートガバナンスの課題、そしてその他、コーポレートガバナンスについて今後検討を行うべき点、これらにつきまして皆様方に御議論をしていただければありがたく存じます。しかし、幅広く今日は御指摘をいただくということでも結構かと存じます。

 それでは、チャットをいただきました小幡さん、どうぞ。

【小幡メンバー】
 NECの小幡でございます。御指名ありがとうございます。私のほうは、企業で実務のほうを担当しておりますので、その観点から1点だけ御指摘させていただきたいと思っています。

 今の御指摘や今日の御説明にもありましたように、不確実な時代になっておりまして、企業のほうではリスクマネジメントの在り方というのは、一番の関心事になっていると認識しております。これを怠りますと、やはり企業としての内部統制の構築の問題にも発展するのではないかということで、BCPをはじめとして非常に関心を持って取り組んでいます。

 今日、話が出ましたものに加えまして、私としてはこの3つを検討の俎上に上げていただいてはどうかなと思っております。1つ目が、サプライチェーンに伴います、いわゆる人権問題です。これはサプライチェーンのみならず、お客さんの人権だとか社内の人権、いろいろな人権があると思っておりますけれども、その人権問題に関する点はどうかというのが1点目です。

 2番目が、デジタルトランスフォーメーションが進む中において、データの重要性が高まってきております。いろいろな企業がデータを持ち始めますと、サイバーアタックというものが非常に企業に与える影響が大きくなってきておりまして、ひとたび情報漏洩等がありますと、企業の経営等にも、株価についても非常な影響が出るという問題だと思っておりますので、サイバーセキュリティーに関する担保というものもどうかと思っております。

 最後3番目になりますけれども、いわゆる米中貿易摩擦に伴いまして、今、地政学的なリスクというものが非常に高まってきております。日本企業にとっては、アメリカの法律、中国の法律等含めて、どこをどう守っていくのかということも、会社の立ち位置と絡めた国際的なインパクトというものが大きくなってきていると思っていますので、今日、御指摘いただいたものに、できますならば人権のところとサイバーの問題、また、いわゆる制裁法に関するような点というのも御検討賜れればと思っております。以上です。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、神作さん、お願いいたします。

【神作メンバー】 
 ありがとうございます。コロナ前からあった問題ですけれども、今回のフォローアップで議論を再開するに当たって、検討したほうがいいのではないかと考えておりますのが、グループガバナンスの在り方です。上場企業の経営の実態は、企業グループによって経営されるのが常態と言ってよいと思いますし、投資家のほうも、企業グループに対して投資しているという実態があると思います。金融商品取引法は、単体ベースを基本とする会社法とは異なり連結ベースで開示制度をはじめとする規制体系を構築しておりますけれども、特にコーポレートガバナンス・コードが企業グループのガバナンスをそのような観点から十分に捉えることができているかという観点から、見直しをする必要があるように思われます。

 とくに上場会社に支配会社や支配株主が存在する場合に、実際に、上場会社の少数株主や一般株主にとって問題と考えられる事例が、最近幾つか発生したと認識しています。例えば、グループ内の事業機会ですとか、事業分野の調整や配分の実態が明らかでないとか、一般株主の利益を代表すべき独立社外取締役が一時的に不在となるといった事態が生じています。

 他方、現在のコーポレートガバナンス・コードに目を向けますと、確かに少数株主の保護について一般的な言及はあり、プリンシプルベースでは全く触れていないというわけではありません。例えば、基本原則の1では、少数株主は株主の権利の実質的な確保、権利行使に係る環境等で懸念が生じやすいということから、少数株主について十分な配慮を求めていますし、原則の4-3におきましては、取締役会は経営陣のみならず支配株主等の関連当事者と会社との間に生じ得る利益相反を適切に管理すべきだと定めます。また、原則の4-7では、独立社外取締役の役割・責務として、独立社外取締役は、会社と経営陣のみならず、支配株主等との間の利益相反を監督することが挙げられています。そして、独立社外取締役には、支配株主から独立した立場で、少数株主をはじめとするステークホルダーの意見を取締役会に適切に反映させることが期待されています。このように、既に現行のガバナンス・コードにおいても、グループを意識した、特に支配株主が存在する上場会社における一般株主、少数株主の保護について言及されています。

 しかし、さらにこの点について、もう少し深掘りと申しますか、具体的に申しますと、次の2点において検討を進めていってはいかがかと御提案申し上げます。

 1つは、グループガバナンスの中で、特にグループ戦略の決定ですとか、グループ全体のリスク管理をはじめとする内部統制体制、リスクコントロールについてさらに議論を進めてはいかがかと思います。経営資源の効率的な確保やグループの全体最適の実現のための配分の仕方、事業ポートフォリオ、グループレベルでの事業ポートフォリオ戦略の策定や実行、こういった観点から、グループ全体の戦略やグループ全体の内部統制ということを議論してはいかがかというのが第1点でございます。

 それからもう1点は、より端的に少数派株主の保護という観点から、支配株主と少数派株主との利益相反の危険が大きい類型について、さらに意思決定の在り方と開示等について検討していくことが考えられます。令和元年会社法改正によって、上場会社等の有価証券報告書提出会社には、社外取締役の設置が強制されました。このようなハードローの方向と平仄を合わせる形で、さらにもう一歩、独立社外取締役の関わりを深める、コーポレートガバナンス・コードが提示するプリンシプルを、一般化・抽象化を維持しながらも、やや具体的に、支配株主と少数派株主の利益相反の危険が特に大きい類型について、意思決定の在り方や開示にフォーカスして留意すべきポイントを明らかにしていくということが考えられると思います。特に、そのような類型における独立社外取締役の関わりですとか、少数派株主自身による関与といった面もありますので、意思決定の在り方ですとかプロセスという観点から見直しをしてはいかがかと思います。

 現にこの点につきましては、経産省の各種のグループガバナンス指針をはじめとする各種の実務指針やガイドラインや、東証における検討なども進んでおりますので、そういった検討の成果も取り入れながら、議論を進めていただくことを希望いたします。

【神田座長】 
 神作先生、どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、小口さん、岡田さんの順番でお願いしたいと思います。小口さん、どうぞ。

【小口メンバー】 
 ありがとうございます。再開ということで、少し以前のことを踏まえてお話ししたいのですけれども、安易に比較できるものではないのですが、前回、大きな危機ということでリーマン・ショックがあったわけです。当時、株主を中心に置いた欧米のシステムが危機の元凶であって、日本のガバナンスの正当化を主張する声が強まったということを、今でも覚えています。ただ、その声をはねのけて、収益性の低迷から脱出できない日本の現状をより問題視する中で、ガバナンス改革が始まったと理解しています。2014年にスチュワードシップ・コードができました後は、独立社外取締役の導入・推進をはじめとしてガバナンス改革が進展したということ、これはフォローアップ会議の役割も含めて誇るべき実績じゃないかなと思っております。

 ですが、投資家にとって肝心の収益性はどうかといいますと、もし画面が出せるなら出していただきたいのですが、参考資料2の13ページの資本コストを意識した経営③というところですけれども、2014年以降のマージンですね。売上高純利益率は、確かに改善はしているのですけれども、欧米に比べて大きく劣後した状況にありますし、レバレッジにいたっては、御覧いただいたとおり2014年から2019年で悪化している。その結果、一番上のROEのところを見ていただきますと、欧米に2倍から3倍の差をつけられたままの状況にあるわけです。現実にこのことを反映するかのように、アベノミクスでせっかく生まれた海外投資家の累計20兆円超の買い越しが、今や残念ながらマイナスに転じてしまっているのです。

 実際、私が海外投資家と話をする中で、少子高齢化の進む日本に短期的な鞘取りではなくて長期的な視点で投資する理由があったら教えてくれとよく聞かれるのですけれども、ガバナンス改革当初は期待感をもっていろいろ話すことができたのですが、13ページのようなアウトカムを見ている投資家に対して、なかなかアピールすることがなくなってきているという現状にあります。以前よく、ジャパン・パッシングとかジャパン・ナッシングとか言われましたけれども、その二の舞になるのではないかという懸念をしております。

 そして今ですが、コロナ禍で2008年のリーマン・ショックのときと同じように、リスクを抑えた経営を正当化する声が上がっています。これは一面正しいのですけれども、リスクを抑えた経営がもしマーケット、市場で評価されるのであれば、日本株はもっと買われてしかるべきですが、資本効率の低さに目を向けた一部投資家を除いては、現実にはそうなっていない、先ほど申したとおり売り越しになっているわけです。日本に長期的な視点でリスクマネーを投じてもらうためにはどうしたらいいのか。これについては主観的、こちら日本サイドからというよりも、外から見てどうなのかということを客観的にエビデンスを用いて問い直す必要があるのでないかと思っています。

 それでどうするのかということですけれども、アフターコロナ、あるいはウィズコロナの時代は、先ほど事務局のご説明にあったとおり、あるいは参考資料1に詳しく述べられているとおり、どう変わるかというのはいろいろ議論があると思いますけれども、少なくとも経済社会構造が大きく変貌していますし、これからも変貌していくことは疑いのない事実だと思っています。

 一方で、参考資料2の4ページに現預金というページがありますが、日本には積み上げた現預金があるわけです。無論、不確実性の問題はあるのですけれども、社会の変化が新たな投資機会を生み出すことは確実です。どちらに行くという議論は置いといて、変化が新たな投資機会を生み出すことは確実なので、そういう視点から考えると、日本は無形資産、あるいは人材投資も含めて、将来の果実に向け、積極的に投資できる位置にあるという見方もできるのではないかなと思っています。

 稼ぐ力というフレーズが以前言われましたけれども、今は稼いで、そして使う力が問われています。その実現においては、多様性に富んだ取締役会が、健全な企業家精神の発揮を促して、各々の企業によって異なるとは思うのですけれども、社会経済構造の変化を先取りして、戦略的に使う力を議論することが、これまで以上に重要になってくるでしょう。もちろん、使う力を適切に発揮するという意味で、やみくもに使えばいいということではないので、資本コストという物差しが不可欠であるということは改めて強調しておきたいと思います。

 最後に、企業は株主のためだけのものではないという主張はそのとおりでありまして、だからこそコーポレートガバナンス・コードの第2章「株主以外のステークホルダーとの適切な協働」が存在するわけです。

 参考資料1の21ページ、これは後で見ていただいたらいいのですけれども、CIIという機関投資家の団体が「ステークホルダーガバナンスやサステナビリティが、不適切な経営を覆い隠し、必要な変化を阻害するための隠れ蓑になれば、経済はより広く損失を被ることになる。」という指摘をしておりますけれども、これは重要な視点だと思っています。先ほどROEで示したとおり、欧米に比べて株主の期待にこれまで十分に応えてきたとは言い難い、言わば周回遅れを挽回する変化が必要な日本においては、特に重要な示唆だと思っています。

 少し長くなりましたが、以上でございます。

【神田座長】 
 小口さん、どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、岡田さん、どうぞお願いいたします。

【岡田メンバー】
 ありがとうございます。元監査役協会の会長を務めており、今も監査役協会とは関わりがございます。そういう意味で、今回、監査の信頼性の確保という項目がございますので、以前から積み残しと考えている課題について発言したいと思います。主に監査役についての話でございます。

 コーポレートガバナンス・コードの検討に当たりまして、米国式のガバナンス体制が一般的になってまいりましたので、その中で監査役制度が置いていかれているような印象を持っております。しかしながら、いまだに上場企業約3,700社のうち約2,500社が監査役会設置会社ですので、監査役制度をガバナンス上も整えておく必要があると思います。特に最近、監査役の任務懈怠と思われるような事案が起きておりますので、監査役により多く期待し、またより多く叱り励ましていくということは必要だと思います。

 コーポレートガバナンス・コードの中では、監査役は自らの守備範囲を過度に狭く捉えることなく、というくだりがございまして、これには監査役は大変励まされたわけですが、やる気のある監査役がさらに力を振るうためには、まだまだガバナンス・コードの充実が必要だと思いますので、幾つか提案をしたいと思います。

 まず1つは、監査役の選定についてであります。これは原則3-1の中で、監査役も含めた選解任と指名についての説明をせよということになっておりますが、監査役については指名について明確な規定がございません。会社法上はしっかりとした規定になっていますが、実際は監査役を選任するのは経営者が主導しています。会社法上は同意権がありますが、同意しない例は稀です。また株主総会における陳述権というのがあるわけですが、行使された例はほとんどありません。そういう意味では、選定のプロセスに監査役は関わっていません。

 私の提案としては、監査役候補者の選定は監査役会の責任において行うこと。その決定に当たっては、監査役会と指名委員会の協議を経て決定するというようなことを何らかの形で表現していただきたいと思っております。

 次に、監査役が指名委員会をはじめとする任意の委員会へ参加するということであります。経営者のみならず監査役自身も、監査役の職責は法的妥当性の監査であるという狭い解釈に陥っていることがございます。これが某電力会社の不祥事の原因になったかと思うんですけれども、よりよいコーポレートガバナンス体制のためには、任意の委員会のメンバーに監査役がなるということは、ガバナンス上も望ましいものであると思います。コーポレートガバナンス・コードでは、補充原則4-10①で、独立社外取締役を主要な構成員とする任意の指名委員会・報酬委員会などと記載しておりまして、さらに重ねて、独立社外取締役の適切な関与・助言を得るべきであるとしておりますが、これを表面的に解釈すると、委員会は社外取締役が正メンバーであるべきだと読まれてしまうわけですが、監査役は社外取締役より社内の事情に通じておりますので、ガバナンスとかリスクマネジメント、あるいは内部統制についての知見を委員会で大いに発揮できると思います。補充原則4-10①についての書きぶりを考えるべきではないかと思います。

 さらに、投資家との対話への監査役の参加です。昨年行われたスチュワードシップ・コードのフォローアップ会議で述べましたが、株主との対話については、社外取締役に加え、社外監査役も応じるべきではないかと思います。これは今、補充原則5-1①で、株主との実際の対話の対応者については、経営陣幹部または取締役(社外取締役を含む)が面談に臨むというふうになっておりますが、ここも社外監査役も含めていただきたい。監査の観点から投資家との面談に臨むということも必要だと思います。

 長くなりましたが、最後に1点だけ、監査役とは離れますが、第三者委員会についてであります。企業不祥事は、繰り返しいまだに起こっております。コーポレートガバナンス・コード自体は積極的な経営、前向きな経営を目指す、企業価値を上げるという目的でありますが、やはり一方では社外取締役、監査役による独立の立場での監視・監督強化の必要を感じております。第三者委員会をつくるということについては何の法的な問題もありませんが、とかく乱発されがちであります。社外取締役、あるいは社外監査役が監視・監督の責任を取らず、調査に関与することもなく、執行側が委員会の委員たちを独自に選任する事例も多く見られ、結果的にこの第三者委員会の調査が免罪符になっているという例が多いと感じます。社外取締役、社外監査役は、不正に対する1次的な不正調査を行い、第三者委員会の委員の選定に関わる、あるいは経営側が第三者委員会の委員を決めたのであれば、委員の能力、独立性、倫理性のチェックを行うこと、さらにもう一つ付け加えれば、調査費用の妥当性についての監視を行うべきであります。これらの対話は、法制化は大変難しいので、コーポレートガバナンス・コードの中に社外取締役、社外監査役の役割として入れてはいかがと提案したいと思います。

 長くなりましたが、以上であります。ありがとうございました。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、春田さん、よろしくお願いいたします。

【春田メンバー】 
 連合の春田です。このたびは参画させていただきまして御礼申し上げます。

 私のほうから、大きく2点申し上げたいと思います。1つ目は、コロナ禍において、デジタルトランスファーの進展ということで、大きく社会が変化していくと捉えております。そういった中で、企業においても産業構造の転換が迫られていると思います。企業の戦略、それから、雇用がどうなっていくのか、働き方がどうなっていくのか、こういった視点にどうやって対応していくのかということが重要かと思います。

 このデジタルトランスファーにおいて、企業の意思決定や、それから意思決定のシステムといったものが変化してくる中で、企業ガバナンスに非常に大きな影響を与えられると考えております。また、テレワークなど働き方が変わる中で、今後やはりこの会議もそうですけれども、対面の必要性であるとか、ウェブ上での企業の意思決定というのがどうなのか、そういったところもこれから様々な企業の考え方や意思決定の中で、そういう判断が重要になってくることで、議論していく必要があると思っております。

 それから、デジタルトランスファーで言うと、日本社会全体を見たときに、やはりデジタル化の遅れというのが指摘されております。今回のコロナ禍においても、とりわけデジタル化の遅れの中で行政サービスがなかなかうまくいかないというところも感じております。そんな中で、社会のセーフティーネットという観点から、やはりデジタル化も含め、事業がどう関わっていくのかということが重要かなと思っております。こういった観点から、企業がどう変わっていくのかということがこれからまとめる中で重要ではないかと思っているところであります。

 それから、デジタル化の中で、やはり企業戦略、企業がどういった方向に向いて活動していくのかということを、やはり中長期的な視点で情報開示していくことが重要かと思います。

 それから、2点目でございますけれども、社会の不確実性の高まり。これは資料に出てきておりましたけれども、この自然災害、それからコロナ禍において、BCPを含むリスクマネジメントの在り方は不可欠だろうと思っております。とりわけコロナや自然災害から、地域社会の企業を維持していくという、この視点が重要かと思っております。様々なステークホルダーとの関わりの中で、特にコロナ禍においては、地域社会との関わりというのが重視されてくるのではないかと思っております。とりわけ地域における医療や介護従事者等のエッセンシャルワーカーとの関わりですね、こういった体制の維持だとか、地域に根差している様々な活動、こういったことも含めて、地域社会の機能維持に向けて議論していく必要があるのかなと思っております。

 それから、もう1点述べさせていただきますと、それに絡めて言うと、やはりグリーンリカバリーというのが世界的にも大きな動き、潮流になっております。経済政策も重要だと思いますが、環境、社会といったところを、要は我々で言うESGの観点も含め、こういったことを重要視することによって、レジリエントな社会、経済を伸ばしていけるということも非常に重要かと思っております。

 それから、最後になりますけれども、このコーポレートガバナンス・コード、2015年の適用開始後、様々な変化があったかと思いますけれども、まずそういった評価みたいなものもどこかでやっていく必要があるのかなと。それに対応して、これからどうするのかという議論も必要かなと思ってございますので、よろしくお願いしたいと思います。以上でございます。

【神田座長】
  どうもありがとうございました。

 チャットをいただいている順番ですと、小林さん、高山さんの順に御発言いただきたいのですけれども、今日早く退出されると伺っている方として大場さんでございます。したがいまして、小林さん、高山さんの後、大場さん、もし御意見があれば御発言をいただければと思います。

 それでは、小林会長、どうぞお願いいたします。

【小林メンバー】 
 最初の40分ほどいなかったので、どういう議論をされていたか確認してないのですけれども、以前事務局からお渡しいただいた資料によると、資本コストを意識した経営、取締役会の機能発揮、あるいはグループガバナンスのあり方というような論点が挙げられていたかと思うのですが、私のほうからは、ちょっとランダムですけれども、今後のフォローアップ会議で議論をしたほうがいいのではないかなというテーマを何個かお話しできればと思います。

 まず、社外取締役を含めて、やはり株主との対話をもっと明示的にフリクエントにやるべきではないかなと思います。不祥事など危機の渦中にある会社の社外取締役を務めた経験を元に言わせていただければ、社外取も含めてやはり株主さんとできる限り対話をすることによって、執行もすごく勉強しますし、機関投資家も含めた相手からの信頼感もそれなりに出てくるのではないかなと思います。この辺り、日本は経営者がまだ対話に消極的過ぎるんじゃないかなというのを感じます。

 それと、直近のコロナの状況を見ていますと、日本では100%バーチャル、オンラインのみの株主総会は今のところまだ可能ではないと承知しているのですが、やはり来年からは、総会が集中することのリスクを踏まえ、リアルとバーチャルのハイブリッド系もいいのですが、100%オンライン開催の可能性、意義についてもしっかりと議論すべきではないかなと思います。

 もう一つは、インタンジブルアセットをどう捉えるかです。中長期的なサステナビリティ、気候変動などに関連するような色々な無形資産や、特にデジタルプラットフォーマー等に代表されるような、単なる従来型の知財ではない部分、そういったものの現在価値をどう定量的に組み込んでいくのか。当社はヨーロッパのSAP、BASF、BOSCHなどと一緒に、「バリュー・バランシング・アライアンス」に参画しているのですが、これこそがまさに、今まで金額換算ができなかった非財務情報をどう財務化していくかを議論するグローバルなイニシアチブです。企業価値というのは、文字どおり資本効率性の部分と、やはり先ほど言ったようなインタンジブルアセット、知財、あるいはデジタルプラットフォーマー的な要素と、環境の部分といいますか、例えばCOやプラスチックデブリの削減等への貢献度合いなども含めた部分、それらの総体の和、あるいは平方根として算出すべきではないでしょうか。特にヨーロッパ中心にその辺の議論が進んでいるんだと思いますが、そういう企業価値の議論も今後は要るのではないかと思います。

 それから、先ほど小口さんが言われた、事務局資料5の13頁ですが、日本企業のROEが欧米に比べて相当劣後しているのはやはり売上高利益率の低さが主要因かと思います。これは、各国における産業ポートフォリオが相当変わってきているのに、日本は相変わらず従来型の製造業的な部分に依存するばかりで、デジタルプラットフォーマー的な部分で一向に稼げていないがために相対的にそうなっているような気がします。この辺の実態解析もかなり必要なんじゃないかなと思っています。

 あと、DXもさることながら、エンバイロメンタルトランスフォーメーションというか、環境問題、あるいは、健康経営も含めたバイオ方面の展開、こういう潮流を総合的に見た上で、経営は事業のポートフォリオトランスフォーメーションを進めていくわけですけれども、経産省をはじめ政府はポートフォリオトランスフォーメーションに伴うM&Aなり撤退なりをスムーズにする政策を税制も含めいろいろ考えてくれてはいるんだけれども、これらをもう少し総合的に再評価、再構築することも必要なのかなと思います。
 
 加えて、スポーツの世界ではグローバル化、とにかく強いアスリートが世界中で活躍するという多国籍化が進んでいるのに、相変わらず日本の企業というのは、経営層は日本人ばかりの超ドメスティックなままで、本当にこんなことでいいのかと思います。グローバルに展開しているスイス企業辺りを見れば、経営者にスイス人はほとんどいないというのが実態だと思います。日本もここをやっぱりちゃんと考えていかないと、いつまでたっても比較劣位どころか、どんどんもっと劣後していくのではないでしょうか。女性や外国人の内部登用には時間がかかるので、日本企業もグローバルな経営者マーケットへのアクセスと登用をしっかりしていかないと勝てないのではないかなというような気がいたします。

 以上でございます。

【神田座長】 
 小林会長、どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、高山さん、どうぞよろしくお願いいたします。

【高山メンバー】 
 よろしくお願いします。

 まず、コロナによる変化についてお話ししたいと思います。事務局の資料にありますように、コロナがもたらした様々な変化があります。例えば、リスクマネジメントの在り方であるとか、それから、DXのさらなる促進などが項目として挙がっていますが、これらについては、経営者、執行側にとって大きな課題になっていると思います。

 この資料には、そういったことについてかなり詳細に書いてあります。ただこちらのフォローアップ会議の議論において1つ留意しなければいけないのは、当会議においては、コーポレートガバナンスの議論、取締役会の意思決定と監督機能に関する議論をすることになっているということです。個々の変化の細かい話、例えば執行の実務や詳細に関する話にあまり入るのではなくて、取締役会がそのような課題を全体としてどう捉えて意思決定をし、どう監督するかという大きな話を中心に議論したほうがいいのではないかと考えます。

 例えば、リスクマネジメントであれば、経営側、執行側がきちんとリスクのマネジメントをすることが求められていますが、その詳細に入るというよりは、取締役会が全体として当該企業のリスクの枠組みをどう捉え、それに基づいて執行側のリスクマネジメントをどう監督するかという、リスクオーバーサイト、リスク全体の監督といった大きな話を中心に進めるほうが、この会議の趣旨に合っているのではないかと思います。

 次に、これからの会議で議論すべき重要な課題について触れます。今、コロナによって変化が起こったと申し上げましたけれども、一方でコーポレートガバナンスにおける重要な課題というのはあまり変わっていないと思います。もちろん改革に向けた動きというのが、コロナによってさらに加速しているというところはございますけれども、重要なポイントということについてはそれほど変化がないと思っております。

 では、具体的に何が重要かということですが、コーポレートガバナンスということであれば、取締役会の実効性が最も重要ということになります。事務局の資料3の5ページのところに、これまでフォローアップ会議で提起された課題が色々記載されています。これらはどれも重要ですが、やはり取締役会の機能発揮という点が一番重要になってくるのではないでしょうか。そして、その取締役会の監督機能の発揮において重要なのは、ここに書いてある社外取締役の質と量の向上というところになると思います。

 そのような考え方にもとづいて、これからこちらの会議で議論したほうがよいと思われるところについてお話しします。まず社外取締役の量、数について申し上げますと、コーポレートガバナンス・コードでは、「少なくとも3分の1以上の社外取締役を選任することが必要と考える上場会社は、上記に関わらず十分な人数の独立社外取締役を選任するべきである」という記載になっています。今現在の社外取締役の割合ですけれども、東証さんが先日発表したデータによりますと、東証一部上場企業では、大体6割の企業において社外取締役の割合が3分の1以上になっています。こういう現実を踏まえまして、こちらに関する表現について、今後どういうふうに考えていくのか、記載するのかということを議論したほうがいいと思います。

 それから2番目の社外取締役の質についてです。これは基本的には個々の社外取締役の方の強い責任感、意識というところに帰着するものだと思います。しかし、当会議はガバナンス・コードに関する議論を行う場ですので、この点については、これまでのフォローアップ会議の議論及び海外のベストプラクティスを踏まえて、では具体的にどのようにして社外取締役の質の向上をさらに高めるかというところを議論したほうがいいと思います。 それには、2つポイントがあります。

 1つは社外取締役の後継者計画です。これまでの議論では、CEOの後継者計画については色々議論されてきましたけれども、社外取締役の後継者計画についてはそれほどの議論がなかったと思います。これについて、今後議論を深めたほうがよいと思います。

 それから2つ目は、取締役会評価の評価対象についてです。現在、コードに記載されているのは、取締役会全体に関する評価ですけれども、これに加えて取締役会の指名を行う指名委員会も含めた委員会の評価であるとか、取締役個人に対する評価、こういったところも評価の対象に加えるということも議論してもいいのではないかと思います。

 以上でございます。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。

 それでは、どうも大場会長との回線の接続があまりよくないようですので、ちょっと確認していただくことにして、川北さん、いらっしゃいましたらお願いいたします。

【川北メンバー】 
 川北です。お願いします。

 私のほうからは、主に3点意見を申し上げたいと思っています。1点は、株主総会の日の分散とか、現金保有とか配当政策、そういうことが資料に書いてあるわけですけれども、これに関しましては、まず配当を取締役会の決議とする方向性で持っていくのがいいのかなと思っています。その上で、株主総会での議決権の基準日を配当の基準日とは別の日にするという、そういう方法を取れば、株主総会の自由度が増すのではないでしょうか。配当を取締役会が決議するに際しては、当然資本コストも踏まえ、その上で現金の保有の量とか質とか、それから成長戦略、そういうふうなものを真剣に考えるはずです。その上で、これらの配当政策とか成長戦略、そういうふうなものをどう今考えているのか、それを公表するのがいいのではないでしょうか。

 現状、配当性向に関しましては3割という企業が一番多いわけですが、それをどう決めているのかというと、結局横並びで決めている面が多い。そういう横並び政策からの脱却についても、取締役が責任を持って配当を決定することで是正されていくのではないかなと思います。それから、最初に申し上げましたように、株主総会の自由度が増して、総会の日の分散化に寄与できるのではないかなというのが1点です。

 もう1点は、政策保有株式という観点があるわけで、これも重要ですけれども、同時に親子上場の弊害が目立っています。これは冨山メンバーも書かれていたと思うのですけれども、親子上場の弊害をなくしていくということが重要だと思います。現状、支配株主が被支配会社に対するオプション権、買い増すとか売るとか、そういうオプション権を駆使して一般株主に不利益を与えています。TOBによって4割台の株式を保有する、そうすると議決権の行使割合を勘案すると、実質的に半分以上の支配を握ることができる。一方で現金化をするために子会社の株式を売るけれども、4割台の保有を継続する。それから、急に100%子会社化するとかが行われています。何のためにやるのか。結局は支配会社がオプション権を行使して、自分たちの思うように被支配会社を操っているという、そういう面が見られるのではないのか。ということで、少数株主が支配株主の戦略に翻弄されているという、そういう例が多々見受けられると思っています。

 ということで、企業としては親子上場の整理をしていく。株式保有比率を100%にするのか、それとも0%にするのか。そういう戦略をきちんと立てて、それを対外的に公表していく。かつそのプロセスを粛々と進めていく。そういうことが望まれるのではないかと思います。
 
 それから、3点目ですけれども、これはコロナの問題に関連して思うに、企業は多様な、かつ優秀な人材を確保すべきです。これは企業にとって一種の大きな無形資産になるわけです。そういうことをしようとすると、給与の問題もさることながら、例えば働き方を改革するためにサテライトのオフィスを充実するとか、そういうことも必要になってきます。現状、欧米の流れを受けて、マルチステークホルダー論というのが日本にも持ち込まれようとしているわけですけれども、残念ながら日本の企業は従業員を非常に手厚くもてなしてきているのかというと、そうではない。給与水準が非常に低くなってきている。労働分配率が低下し、給与水準も低いという現状からすると、企業は先ほどの小口メンバーの議論じゃないですけれども、株主に報いていないだけではなくて、雇用者に対しても報いていない、そういう状況に陥っているのではないのか。これはESGのSとも関係する議論だろうと思っています。

 ESGということも事務局のメモにあったわけですけれども、それに関する意見は、また機会があれば申し上げたいと思っています。

 私からは以上です。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。

 それでは、大場さん、よろしくお願いいたします。

【大場メンバー】 
 私からは3点お話し申し上げます。

 第1点は、現状評価についてです。現状の評価について、この2つのコードも2つあると思います。ゆっくりではあるが、じわじわと影響を与え始めているという評価。もう一つは、遅々として進まないという評価があろうかと思います。どうしてこの2つの評価が同時並行で起きているかというと、企業にとってはあまりにもコードの受け止め方が違い過ぎるという現実があるかと思います。じわじわと進めている企業もあれば、あまり進んでいない企業がある。これが共存していることが、このような評価につながっているのではないかと思います。したがいまして、これは東証の市場の再編にもつながる問題でもありますけれども、コードを適用する上場企業をどのように位置づけるかということは非常に重要なテーマになろうかと思います。これが第1点です。

 第2点は、原点に戻ろうということです。事務局資料3の5ページに示されておりますように、フォローアップ会議等で議題が整備されています、資本コスト、取締役会の機能発揮、中長期的な持続可能性、監査の信頼性、グループガバナンス、ここをもう一度深掘りするということが大変重要じゃないかと思います。最近の調査を見ますと、この3月にアナリスト協会がアンケート調査した結果、基本コストを意識した経営は半数に至っていません。もう一度どのように現場に落とし込むかということが重要なことではないかと思います。

 取締役会の機能発揮は、先ほど高山さんから御指摘があったとおりであります。中長期的な持続可能性については、いろんなメンバーの方から御発言があったとおり、管理職等におけるダイバーシティ等についても、もう一度深掘りする必要があると思います。監査の信頼性は、岡田さんから御指摘のあったとおりです。最近でも東証のシステムの問題、それから、議決権行使が正しくカウントされていないというような問題、非常に重要な問題が起こっているかと思います。監査の信頼性の確保も併せて重要だと、改めて感じます。

 それから、グループガバナンスについては、神作先生から御指摘のあったとおりであります。つまり、ここで整理された課題をもう一度深掘りする必要があると改めて感じます。

 第3点は、コーポレートガバナンスについて、今後検討を行うべき点ということについてです。2点目のもう一度深掘りする必要があるということにも関連しますが、産業構造が変わらない、人材のダイバーシティが進まないと、こういうようなことが色々指摘されておりますが、私は究極的には根底にある問題は人材の流動化ではないかと思います。人材が流動化しないものですから、なかなかダイバーシティも進まないし、取締役会の機能の発揮も進まない、難しくなっていく。これは経営者の流動化の問題もありますし、企業の従業員の問題もあります。ひょっとしたら大学、つまり先生方、研究者、この世界でも同じ問題が起こっているかも分かりません。人間が、人材が全て縦に動いているというのが日本の特徴ではないかと思います。どのようにして横に動かすかという問題意識が重要に感じます。これはアフターコロナを考えたときの産業構造の転換にも大変重要なテーマだと思いますので、今後検討を行うべき点ということであえて挙げるとすれば、人材の流動化ではないかと思います。

 私からは以上です。

【神田座長】 
 大場会長、どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、三瓶さん、いらっしゃいましたらどうぞよろしくお願いいたします。

【三瓶メンバー】
 よろしくお願いします。

 まず資料3、5ページの「新たな課題の追加、優先順位の変化、検討課題の見直しはあるか」について考えを述べます。

 ウィズコロナ、ポストコロナのキーワードは、変化だと思っています。コロナ禍によって、これまで既に進行していた変化が表面化しました。社会、経済のショックが大きい理由は、既に進行していた変化を知りながらも、変化への抵抗感があり、かつ喫緊の課題という危機感がなかった。既に進行していた変化と、変化を受け入れたくないという無作為、またはその間のギャップが拡大していた。それがコロナ禍で一気に顕在化したというふうに見ています。

 そういう意味では、ギャップに気づいた今、変わるための必要な整備をスピーディーに行っていくことが重要であると思います。したがって、このいただいた論点に対する私の回答は、コロナ前後で課題は大きく変わっていないということです。しかし、これまでの無作為とか先延ばし体質を是正する必要があるということです。

 もう少し具体的に言うと、例えば企業経営への期待で言えば、一つ目は正解のないことに対する意思決定、二つ目はその決断に対する説明責任、結果責任、これが大事だと思います。事務局の説明からもありましたけれども、変化を先取りする、果断に挑戦する、そういうことをするには、正解がありそうなものに取り組むとか、または正解が見えるまでエビデンスを集めていって、結局そうすると横並びで同じことをすることになったりしますけれども、そういうことじゃない。今回もよく分かったと思いますけれども、正解なんて今はないんだと。ないけれども、決断をしなきゃいけない。それをどうやってやるか。そのためには、例えば合理性、透明性ということも必要になってきます。それをちゃんと説明しきる。その結果に対する期待として三つ目が、変化への有効なスピードを確保することだと思います。先ほど大場会長もおっしゃっていました。スピード感というのが非常に大事になってきていると思います。これが少なくとも企業経営に期待する3点です。

 また、人材に関しては、企業は個を尊重する。個人個人、それぞれモチベーションや環境、いろいろ違います。働き方改革というふうに言って、新たなフォーマットを提供するということではなくて、押しつけるのではなくて、一人一人の違ったモチベーションとか、そういったものにもっと注目していくこと、これは欧米では進んでいます。そして、一方で個人は、自主性ということ、言われたことをやる、または与えてくれないと不満を言うのではなくて、自主性が大事だと思います。

 そして今、変化への抵抗に関しては、危機感が高まっていると思うので、変える好機だと思います。そのときに重要な要素というのは、ダイバーシティ&インクルージョンのフル活用、それとデジタルトランスフォーメーションを起点とした経営の再構築。これはデジタルトランスフォーメーションが今流行ってきていますけれども、単なるITの導入ではないです。デジタルトランスフォーメーションと言っているのは、そもそも考え方を変えるということですね。様々な場所で“何とかトランスフォーメーション”ということも言われています。

 ここでちょっと違うぞと思うのは、トランスフォームするには必ず引き算が必要です。足し算の積み上げによる小さな改善ではトランスフォームできません。またはトランスフォームが遅過ぎます。ですから、トランスフォーメーションには引き算が不可欠であるということです。

 そして、この5ページの下のほうの「コーポレートガバナンスで今後検討を行うべき点」ということに関しては、まず第1に、ガバナンス・コードは原則主義であると。この原則主義に立ち戻るということだと思います。コードが導入されてから、新しいスタイルであるために、コンプライ・オア・エクスプレインにかなり注目がいって、実務的な対応でコンプライするか、エクスプレインするかということに焦点が当たってしまったと思います。ただ、コンプライするにもエクスプレインするにも、特にエクスプレインする場合には、原則主義の原則の精神が分かっていないといけません。なので、今回添付していただきましたけれども、コード原案序文というところは非常に重要です。

 例えば、今、欧米ではステークホルダー主義など新しいことのように言われていますけれども、序文にはこの意義、バランスということが書かれています。逆輸入というか、ステークホルダー主義の濫用というんですかね、変な意味で使っていることも日本で散見されます。例えば、雇用確保を優先して、減配をしていいということ。または、当局が銀行に対して自社株買いをしないようにとか、配当の制限をアメリカではいっています。例えば、S&P500のうち、金融除きで見たときに、減配した企業数は幾つかというと43社あります。一方で、TOPIX500で金融除きで減配した会社は74社あります。そして、減配の度合いというものを見たときに、今度は金融含みですけれども、S&P500での金融含みの前年比の配当はプラス5%です。ですから、減配する、無配にする会社もありますけれども、増配する会社もあって、トータルではプラス5%。片やTOPIX500でいうとマイナス9%です。ここに何らかステークホルダー主義、または雇用確保を優先するとか、欧米の流れを受けて、ある種の便乗減配もあったかというふうに思います。もちろん資金繰りの確保が非常に喫緊の課題で重要な場合に、これはやむを得ないということでは、もちろんそれは合理的な判断も含まれてはいると思います。

 そしてもう一つ、原則主義に関連するんですけれども、次に大事な、大きな課題というのは、多様性の確保だと思います。先ほどキーワードは変化というふうに申し上げましたけれども、変化を促進するには多様性の確保が不可欠だと思います。正解のないことに対する判断とか、合理性、透明性、無作為、先延ばしをしないとか、こういったことを見るためにも、多様性というのは非常に必要です。それが結果的には取締役会の中での独立社外取締役が半数とか3分の1とかいうことになるんでしょうけれども、そもそも社外取締役会の構成は、数値目標先にありきではなくて、こういった多様性の確保というのが目的だと思います。

 それで取締役会の責務、責任なんですけれども、ちょっとうまくいっていないと何でもかんでも独立社外取締役がやらなきゃいけない、またはその責任を問われる、または質を問われるということになりがちなんですけれども、そもそも取締役会全体での責任ということがあります。だから、社内の取締役もそれを理解しなきゃいけない。それを理解できない社内出身の取締役は、取締役という立場を退いていただく、そういう必要があるんだと思います。

 そういう中で議論を進めていきたいのは、事業再編実務指針というのができましたけれども、それに関係する事業ポートフォリオの見直し、また先ほどから話題が出ていますけれども、グループガバナンス。特に支配的株主からの少数株主保護という点が重要だと思います。

 そして、株主総会について、今年はハイブリッド総会が増えました。ただ、そこで明らかになったのは、株主権の確保ができていないということ。質疑応答の双方向性とか即時性、ライブ配信、こういったことの確保が重要だと思います。

 最後に、東証のプライム市場上場のハードルとして、今回のコーポレートガバナンス・コードの改訂が使われる。そういう意味で、指名委員会、報酬委員会相当の独立性のある委員会の設置というのは、より重要になってくると思います。そして、先ほど高山委員もおっしゃっていましたけれども、そういった委員会の実効性確保の検証ということが重要だと考えます。

 以上です。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、武井さん、いらっしゃいましたらどうぞよろしくお願いいたします。

【武井メンバー】 
 よろしくお願いいたします。私からはまず、サステナビリティガバナンスの関連についてです。現行の原則2-3と2-4は何点か改訂したほうがよいかなと思っています。

 1点目が最近、従業員エンゲージメントを高めるという表現がよくなされますけれども、まさに企業理念に共感し、従業員がその能力を自発的に発揮するという観点で、従業員のコミットメントをいかに高めるか。そうした方策と人的資本投資が重要になっています。こういった点をある程度きちんと書き込んだほうがよいかと思います。これが1点目です。

 2点目が、皆さんもおっしゃっています点になりますが、経営人材においても多様性を確保するということ。まさにDXの時代で、イノベーションは多様な方がいらっしゃらないと起きないわけですので、今、4-11①で書かれています取締役会における多様性だけではなく、執行側、経営人材についても第2原則で人材の多様性について述べる。今の原則では女性が例示されていますけれども、女性以外の多様性についても触れる。またその表裏として、ビジョン、バリューといったものがきちんと会社側にないと、多様な人材を抱えることができませんので、そういう点も含めて原則2の箇所をもう少し書いたほうがよいかなと思います。

 3点目が、こういった多様な人材で意味のある議論が展開されるように、器としてのサステナビリティ委員会といったものをきちんと置くということも、この段階で検討すべきかと思います。海外では設置がある程度当たり前になりつつありまして、ヨーロッパ型のような監督機関側に置くということにこだわる必要はないと思いますが、執行側にもサステナビリティ委員会というものをきちんと置いて、多様な人材で議論していただくと。そのためのサステナビリティ委員会の話もきちんと今回議論の俎上に上げて、明記すべきかなと私は思います。

 サステナビリティガバナンスの関連は以上の3点ですが、次にDX絡みの点です。DXで私が大事だと思っているのは、DXガバナンスについてきちんと言及・明記することだと思っています。DXガバナンスは、今のまさにDXへの各種対応が求められる時代に、DXによって企業理念であったり社会的価値をきちんと実現するために、バイデザインでガバナンス態勢を敷いていくということです。各論としてはたとえばリスク管理的な、先ほど小幡さんがおっしゃったようなサイバーセキュリティーの話も絡みますが、セキュリティの話に限られず、たとえばDXにおいていろいろなデータ利活用とかAIの利活用が加速すると、そうしたデータやAIの利活用が適正になされ、社会的価値を実現させる、企業理念に資するためには、いろいろと工夫をしたバイデザインでのガバナンス態勢が重要となります。AIについても最近プロファイリングなども話題となっていますが、先ほどお話があった人権侵害の話に限らず、まさに企業理念を損なう、社会的価値を損なう行為も起こり得るので、そういったことについて、ITとかの技術系の専門人材に任せればいいということでなく、経営層においてきちんとDXガバナンス態勢を敷いていくことが、今後のDXの対応として重要ではないかと思います。

 次に3点目というか5点目が、取締役会の関連です。まず役員の指名報酬の関連ですが、今の経営トップの方の任期が機械的に4年とか6年とかとなっているという事例が日本では相当数あります。そのこと自体はもちろん合理性がある場合がありますので別に一概に否定されるべき話ではないと思いますが、他方で、DXとかを踏まえてイノベーションや事業革新を進めていくには、4年とか6年の固定任期、確定任期で果たしてうまくいくのかという問題意識もあるのだと思います。たとえば、まさに種まきをしている途中で赤字のままで機械的任期が満了して交代となったら、単に次の方がすごく成果を得るという構造では、変革とかがうまくなされる動機も醸成されないのではないかという指摘もあります。機械的な役員任期規定についてどういうふうにボードや指名委員会が考えるのか、任期に対する考え方についてもボードや指名委員会において議論するということについて、今後いろいろな変革を企業さん側が行っていくためには、1つ関連する論点になるのだと思っています。

 取締役会関連でもう1点ですが、先ほど株主総会の電子化のお話がありましたけれども、その手前でそもそも取締役会については電子化しないのかという論点があると思います。取締役会では相当な機密資料を取り扱いますので、サイバーセキュリティー等の関係から、なかなか電子化が難しい側面が確かにあるのですが、他方で電子化することで多様な人材が参加しやすくなるとか、あとは開催頻度を増やせるとか、そういったデジタル化の効用もあります。取締役会自体の電子化対応というものも1つ論点として取り上げてよいかなと思います。

 最後に7点目です。資料にもございます欧米における多様なステークホルダーへの価値提供に関する議論の高まりという点ですが、皆さんもおっしゃっているとおり、日本のガバナンス・コードでは、第1原則だけでなく第2原則もはっきり書かれており、世界に先駆けてある程度対処されています。ただ、今回、コロナとかデジタル化の中で改めて関心が高まっており、特にデジタル化の中で、DXがまさに人の仕事を奪うんじゃないかとか、いろいろ優勝劣敗がきちんとついて社会格差が広がるのではないかといった、そういった社会的懸念も厳然とありますので、改めて欧米における議論をきちんと参照して、今回のガバナンス・コードで直すべき点は補足的に記載したほうが良いのではないかと思います。

 以上です。ありがとうございました。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、上田さん、どうぞよろしくお願いいたします。

【上田メンバー】 
 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 私からは、まずコロナということで幾つか影響を受けたと言われていますが、そこから今後、ガバナンス・コードをどのように変えていったらいいかということを、少し御提案と考え方を含めて御提示させていただきたいと思います。

 コロナで大きく変わったことがあるのかないのか。特に今回の資料の5ページ目にあるご議論いただきたい事項についていいますと、基本的にはコロナで大きく変わったものというのはないと思っております。ただし、従来から求められていた変革が加速する、あるいは従来から認識されていた課題であるとか経営上のリスク、こういったものが相当顕在化したというのは事実かと思います。例えば、生産性、先ほど何人かの委員の方が御指摘されておられましたけれども、例えば参考資料2の3ページにあるようなものを見ますと、結局、マージンの低さというものが、ガバナンス改革が進んで、社外取締役が入ってもどうしても残っている。となると、いよいよ本格的に経営の中身、事業モデルであるとか事業ポートフォリオであるとか、こういったものの見直しというのを考えなければいけない。特にコロナという中で、経済、社会構造が相当大きく変わったと。従来のコンタクト可能な社会からコンタクトレス社会へ移行する中で、これは顧客だけではなく、サプライチェーンの関わり方含めて見直さなければいけないという中で、生産性をどう維持するか、どう高めるか。

 例えば、DXの話題もございますけれども、DXで企業価値が直接上がるというわけではなくて、こういう環境変化の中で生産性を高めるためにどうこれを活用すべきか、受け入れていくかというものだと思っております。併せて、例えば財務戦略の資本の効率性の点も含めてなんですけれども、今回コロナでどうしても多くの会社においてキャッシュを持っていたいというような動きがあったかと思います。こういう危機的状況下においては、日本企業のような厚い手元資金が助けとなり、結果としてよかったという面もあるわけですけれども、本来あるべきは適切で健全な財務戦略の在り方であって、これは正当化にはならないと思っています。そういった機運も含めて考える必要があると思っています。

 それに関わるものとしまして、企業自体のサステナビリティ。昨今サステナビリティといいますと、どうしてもESGの話題、環境問題等にいきがちなんですけれども、それに企業が関わっていくためには、そもそも企業自体がサステナブルでないといけないわけですので、企業のサステナビリティというものをしっかり考える必要があると思っています。短期的には財務的な価値として生まれるわけですけれども、昨今、特に開示の世界において、非財務情報の開示が重視されていまして、これは何のためにしているかというと、企業の将来のキャッシュフローとまで明確に言う必要はないと思うんですが、将来の価値、将来的な企業自体のサステナビリティというところにつながってくるんだろうと思います。したがって、こういう企業自体のサステナビリティを少しプッシュしてあげるような施策、あるいは検討というものがガバナンス・コードでは必要なのかなと思っております。

 ステークホルダー、中でも従業員のところ、大変重要になっていますけれども、今、従業員の雇用を守るではなくて、中長期に従業員にどういうふうに会社に関わっていってもらうか、そして多様性の形式的な、女性だからとか外国人だからではなくて、バックグラウンド、考え方、あるいはコミットメントですね。例えば、従業員であればいろいろな働き方、役員であれば海外から参加するとか、そういったものも含めて検討するということも、足元の財務につながるものではないんですが、中長期でのサステナブルな価値という観点で考えていく必要があるのかと思っています。ステークホルダーとはとても心地いい、耳にいいものですのでこちらに逃げがちなんですけれども、やはり重要なのは、企業価値というものを中長期に見ていくことではないかと思います。

 最後に1点、市場の見直しが今進んでいますけれども、改めてこのタイミングでガバナンス・コードを改訂するに当たって、グローバル市場の利用者というところの意識を持つ必要があるのではないかと思っています。特にプライム市場といいますか、東証一部市場といいますか、よく海外投資家、あるいはグローバルな競争下において事業運営を行っている会社については、グローバルな視点というものを経営体制、そして経営者の意識の中にもう一度再確認することが求められるかと思います。形式的な面でいいますと、例えば社外取締役、独立社外取締役の構成であるとか、あるいは指名委員会、指名報酬委員会の設置、こういったものは最近増えています。監査等委員会設置会社では、正直1つの委員会しか義務づけられていないということは弱いのかなという気もいたしますので、これはグローバル市場、グローバルな競争力という観点からは、指名報酬委員会のようなものの設置を求めるということも1つあるかと思いますし、独立社外取締役の構成、そしてその資質のようなものも考える必要があるかと思っています。

 同じく市場というものについて、グローバルな市場参加者がいる、東京証券取引所という市場を利用しているという観点からは、まず親子上場とか政策保有株式というものは、ある意味市場メカニズムを濫用しているというケースだといえます。親子上場は過去の経緯もあってそこまでの意識はないかもしれませんが、そういう厳しい見方もできますので、そういった面も含めて、市場に向き合う姿勢というものを、少し高い意識を持ちながら、各論として親子上場、あるいは政策保有のようなものを見直していくというところを、まず前文のところにあるのかもしれませんが、改めてこういった視線を大きく持って各論に落とし込めていければと思っております。

 以上です。ありがとうございました。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、円谷さん、いらっしゃいましたらどうぞよろしくお願いいたします。

【円谷メンバー】
 よろしくお願いいたします。時間もありますので、手短に1点のみ発言させていただきます。

 コロナの後、どうするかという発言は各委員から出たと思いますが、私は今までやってきたものの実りをもっと大きくするような視点も必要かと思っております。例えばですけれども、筆頭独立社外取締役の項目がありますけれども、経産省さんの調査ですと、まだ筆頭独立社外取締役は少ないですし、仮に置いていたとしても誰がこれなのかというのは、現状の開示からは分かりません。それが社内取締役との橋渡しとして、現在規定されておりますけれども、エンゲージメントの窓口という面でも、筆頭者というのは重要かと思っています。TOPIXの半分以上が3人の独立社外取締役を置いている中で、エンゲージメントという意味では、筆頭独立社外取締役、監査役ということも考えてもいいかと思います。

 同じようにちょっと視点は違いますけれども、報酬委員会、または指名委員会も、東証さんの調査では大分増えてきておりますけれども、やはり調べていて、何をその中でやっているかというのは、外部からは全然分からない状況に現在なっております。統合報告書等でも、当社は委員会を置いてあると、「当社は」が主語なんですけれども、これがアメリカだとWeから始まる。我々は何を議論して、何を課題だと思っているという、社外の委員会メンバーからの発言というのは、日本ではどこからも見られないわけで、せっかくここまで人数も増やしてきて、指名・報酬委員会も設置、任意のものを含めて設置してきたんですから、それをより実り多くいいものにできるような開示を考えられたらいかがかなということを考えております。

 以上です。ありがとうございました。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、岩間さん、お願いいたします。

【岩間メンバー】  ありがとうございます。私、簡単にちょっとお話をさせていただきます。

 皆さんのお話を伺って、非常に合意するところが多いんですけれども、コロナで何が変わったかということについて言うと、基本的にはガバナンスの問題ではそんなに大きく変わったことはないという御意見に私も賛同するんですが、唯一やはり従来から遮断が起こったということは非常に新しいことで、この遮断によって、デジタルトランスフォーメーションが進む方向に動いてきていると思います。そういう意味で言いますと、株主総会の電子化やウェブ化、そういったものもちゃんと考えていかなきゃいけないだろうと。そういった整理も必要なんじゃないかということと、それから、やはり開示についても、より電子化で徹底していくということが1つ求められるんじゃないかと。

 そういう意味で言いますと、実務的に言えば、議決権行使の電子化ということで、ICJの活用というのを、今回を契機として考えていただいてもいいんじゃないかなと。実務的にどういう具合にするかという問題はあるとは思いますが、いい機会なんじゃないかということが1つです。

 それから、やはり今の状況にあって考えなきゃいけないのは、企業の中長期的な戦略、リスク戦略、リスクアロケーションの戦略といったことについて、より深掘りした対話が必要になってくると思われますので、先ほど岡田委員からも御指摘があり、小林委員からも御指摘がありましたけれども、エンゲージメントの内容の深化といいますか、そういったことがより進むような方向で、ガバナンス・コードが動いていくというのが必要なんじゃないかなと思います。

 そういう意味で言いますと、現在のプリンシプルベースで、コンプライ・オア・エクスプレインと言っているわけですけれども、外国なんかの例で言えば、アプライ・アンド・エクスプレインという方向に動いているということもございますから、より実効性を高めるためには、そういった方向でプリンシプルそのものを見直すと。もう少し深化させるというようなこともあってもいいかもしれない。検討課題として考えてもいいかなと思います。

 それから、もう一つ、サクセッションの問題、非常に大きな問題ですけれども、これは御指摘のようにCEOのみならず、経営陣全体のサクセッション、あるいはその評価といったことを指名委員会、あるいは報酬委員会でしっかりと見ていかなきゃいけないということですが、そういう観点から社外役員の役割の重要性は、非常に従来以上に高まってくるんじゃないかと思われます。

 その点について言いますと、やはり大場委員からも御指摘のあったように、人材の流動化というのは絶対必要であると。人材供給の面でタイトな状況が続いていくというのは問題であるということで、そういうものを促していくような仕組みといいますか、モーメントというかが必要になってくるかと思います。基本的には、私は冨山委員の意見書について非常に同感しておりまして、今回のガバナンス・コードの改訂がいい方向に進んでいくことを期待しておる次第です。

 以上です。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、田中さん、お願いいたします。

【田中メンバー】 
 すみません、お時間も限られておりますので簡単に申し上げます。

 今日の事務局からのお問合わせは、資料3の5ページにあるように、どのような検討課題の見直しを行っていくことが考えられるかというのがポイントです。それで考えますと、資料3の8ページにコーポレートガバナンス・コード原案の序文の抜粋があって、もう1回これに戻りますと、「会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図る」ということが書かれていますね。加えてこの会議は、スチュワードシップ・コードと、それからコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議ですから、資料5の18ページを見ますと、ここにはスチュワードシップ・コードの再改訂のポイントが書いてあります。このページは非常に大事だと思って見ていまして、これまで皆さんにいろいろ教えていただいたわけですけれども、ここに書いてあるのは、基本的にはインベストメント・チェーンですよね。このインベストメント・チェーンをもう1回眺めてみますと、一番右側の、企業がしっかりしたリターンを出すというところがそもそもの原点になります。これを眺めながらいろいろ考えますと、①の全体に関わる点のうちに、中長期的な企業価値向上と書いてある。この図の中には、一番右側、企業からリターンと書いてあって、建設的な対話はそのリターンのためにあるわけです。実際にこのリターンを考えると、現在日本の上場会社全ての時価総額を足しても、GAFA4社に勝てないというような状況になっているわけです。

 このインベストメント・チェーンをどのようにしてワークさせるかというのは本質的な問題ではないかと私は前々から思っています。今、たまたま事業会社の経営をお預かりしているわけですけれども、やはり時価総額、もしくは企業の株価というものが非常に重要な要素になるだろうと思っています。企業の経営者の非常に重要な仕事は、特に上場会社の場合には、「富をつくる」、「富を創造する」という仕事があるだろうと前々から思っていまして、そういう観点から見ますと、日本では時価総額トップはトヨタさんで22兆円、全然変わらないですね。その下はどんどんどんどん落ちる会社もあれば、最近上がってきた会社もあるという状況があります。

 何を言いたいかといいますと、やはり今回の見直しの中で、企業価値というものをもう1回定義し直す必要があるんじゃなかろうかと思っています。それは今までも何回か申し上げたと思うんですが、企業価値というものの中には、財務上の定義と非財務上の定義があると思います。財務上の定義というのは、ROEであるとか、キャピタルコストとかいう話もあるんですが、株価というものはEPS掛けるPERですから、その観点からも見直す必要があるだろうと思いますし、M&Aの世界では、企業価値のバリエーションについてフェアネスオピニオンを取るという慣行もあります。また、EVAとWACCとかを使う方法もあり、どのような形で財務上の定義というものをするのかというのを考える必要があるだろうと思います。

 一方で、非財務上の定義というのも当然最近はあるだろうと思います。ESGであるとかSDGsとか、それから、多様性の問題とか、デジタルの問題とかいろいろあると思うんですが、結局そういうものを全てきちんとした測定可能なものにしていくということがなければ、実際にこの表にありますようなリターンがきちんとフォローされて、建設的な対話に基づいてリターンが増えていくということはないんじゃないかという気が、私は非常にしております。

 日本の場合は、利益率ということよりも、むしろ売上至上主義みたいなところがありますから、やはりそこはそうした企業価値の財務上の定義をしっかりして、それをしっかり測定していくということにつながればと思います。

 ほかにもいろいろありますが、実はこういうことを考え始めましたのは、統合報告書を先週出しまして、それを作るプロセスの中で非常にいろいろなことを考えるに至りました。これ以上のことは時間もありませんので申しませんが、もしご興味があれば、私どもの会社のホームページに統合報告書を出していますので、そこにいろいろなことを書かせていただいておりますので御覧ください。

 以上です。

【神田座長】 
 田中さん、どうもありがとうございました。

 あっと言う間に予定の時間が来ておりますけれども、池尾先生、もし御発言いただけるようであれば、御発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。

【池尾メンバー】 
 いや、結構です。今のところ十分議論が尽くされたと思いますので、結構です。

【神田座長】 
 どうもありがとうございます。それでは、また必要に応じて御発言いただければと思います。

 予定の時間になりましたので、この辺りとさせていただきたいと思います。皆様方には、オンラインで長時間御参加いただき、また貴重な御意見をたくさんいただきまして大変ありがとうございました。本日いただきました御議論や御指摘を踏まえ、次回以降、さらに議論を進めていきたいと思います。

 それでは、最後に、事務局から御連絡等ございましたらお願いいたします。

【島崎企業開示課長】 
 皆様、ありがとうございました。次回のフォローアップ会議の日程でございますが、皆様の御都合を踏まえた上で、最終的に決定させていただきたいと思いますので、御案内をお待ちいただければと思います。

 事務局からは以上でございます。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。




 

―― 了 ――

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(内線3659、3849)

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