金融審議会「資金決済制度等に関するワーキング・グループ」(第3回)議事録

  • 1.日時:

    令和6年10月24日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所:

 中央合同庁舎第7号館 9階 905B会議室 ※オンライン併用
 

金融審議会「資金決済制度等に関するワーキング・グループ」(第3回)
 

【森下座長】  
 それでは、定刻になりましたので、ただいまより資金決済制度等に関するワーキング・グループ第3回会合を開催いたします。皆様、御多忙のところ御参加頂き、ありがとうございます。

前回は所用で欠席させて頂きまして、申し訳ございませんでした。

 本日の会合も、前回に引き続き、オンライン会議を併用した開催とし、会議の模様はウェブ等でライブ中継させて頂いております。

 また、議事録は、通常どおり作成の上、金融庁のホームページにて後日公開させて頂く予定ですので、よろしくお願い申し上げます。

 ただいまより議事に移ります。本日は、まず、事務局より説明を聴取し、次に、都銀懇話会より、外国の金融機関等のシンジケートローン参加について御発表を頂いた後、メンバーの皆様に御討議を頂くという流れで進めさせて頂きます。

それでは、事務局より御説明をお願いします。

【宮部信用法制企画調整官】  
 金融庁信用制度参事官室の宮部でございます。私からは、資料1の事務局説明資料について、御説明を差し上げます。

 まず、目次にありますとおり、今回のテーマは立替サービスの規制の在り方と、外国の金融機関等のシンジケートローン参加の2点でございます。

 3ページを御覧頂ければと思います。これらのテーマにつきまして、第1回の総論会で、既に委員の方々から御意見頂いておりますので、こちらにまとめてございます。

 まず、立替サービスにつきましては、全般に係る御意見といたしまして、法律構成が多岐にわたっており複雑になっている、予測可能性という意味でも大きな課題を抱えている。もし規制を導入する場合には、貸金業法の規制を柔構造化するようなことも検討に値する。ただし、これはかなり時間をかけて議論する必要があるのではないかといった御指摘を頂きました。また、どのようなサービスが現在、提供されているのか、実態把握が必要であるという御指摘も頂いてございます。

 さらに、BNPLについて問題となっているので、消費者保護の観点からも議論しておくべきなのではないかといった御意見も頂いております。

 次に、シンジケートローンにつきまして、このような緩和を求めている外国銀行の数がどれくらいあるのか。それから、銀行法を含めた他法令についても一緒に検討すれば有益なのではないかといった御指摘を頂いております。

 また、貸金業に関する規制は、金融商品取引業や資金移動業と比べて、規制の柔構造化がそれほど進展していないということが問題の背景にあるのではないか。外国銀行などのシンジケートローンの参加について議論する際には、規制の柔構造化という観点からの分析も行うことが有益なのではないかといった御意見も頂戴しております。

 それでは、1つ目のテーマでございます立替サービスについてです。5ページを御覧頂ければと思います。今回、立替サービスの概念につきましては、利用者から依頼を受けて、事業者が資金を立て替えた上で、後から立替金を請求するようなサービスというように置いてございます。このようなサービスにつきましては、貸金業法が通常想定していたような取引ではないため、実際に金融庁なり、財務局なり、東京都庁なり、日本貸金業協会等の問合せ窓口に、こうした立替サービスを実施しようと考えられている事業者の方々から貸金業法上の登録をする必要があるのかといった照会が来ているところでございまして、貸金業法の該当性につきましては、個別のサービスごとに、その都度、御質問にお答えする形で判断を行ってきたというところでございます。

 6ページでございます。貸金業法上、貸付けの定義につきましては、第2条第1項におきまして、金銭の貸付け、または金銭の貸借の媒介、ここに手形の割引、売渡し担保、その他これらに類する方法によってする金銭の交付などを含むとされております。この規定に照らした場合に、なぜ立替サービスの業該当性が分かりづらいのかという点でございますが、通常想定される貸付行為というのが、貸手と借手の2者の間で金銭のやり取りが行われるものだと考えますが、立替サービスについては、サービス事業者が利用者に代わって別の者に支払いを行い、後から立替金を利用者に請求するということでございまして、事業者と利用者の間に直接の金銭の交付がないということで、業該当性が問題になるということでございます。

 この点、下段に判例を掲載しております。当該判例によりますと、当事者間で現実に金銭を授受しなかったとしても、経済上同一の利益があると考えられる場合には、消費貸借が成立するものとされておりまして、こちらを参考として、貸金業法上の金銭の交付についても経済的、実体的な側面に照らして判断を行ってきたところでございます。

 7ページに、これまでにあった具体的な照会事例を掲載しております。両者とも貸付けには該当しないと判断された事例でございます。

 左側が給与前払いサービスでございまして、従業員の申請に応じて、勤怠実績に応じた賃金相当額を上限として立替えを行うというようなサービスでございます。判断根拠につきましては、太字にしております。まず、上段部分でございますが、貸金業法上の貸付けの該当性につきましては、経済的側面や実体に照らして判断するとしております。1つ目の柱としまして、経済的効果が貸付けと同等のものとなっていないか。2つ目として、貸付けの実行判断の有無が利用者の信用力に応じたものとなっていないか。3つ目、下段に行きまして、資金需要者等の利益の保護がどの程度必要であるかという点について論じております。

 さらに、具体的な根拠としましては、下に箇条書きにされております。本サービスにつきましては、給与支払い日までの極めて短期間の給与の前払いの立替えであるということ。導入企業の支払い能力を補完するための立替えではないこと。手数料が導入企業の信用力によらず、一定であることから、貸付けには当たらないという判断をしてございます。

 続きまして、右側の事例でございます。こちらは教育機関向けの医療費立替サービスです。宿泊学習中に生徒が医療機関を受診した際に、教育機関が支払った医療費を事業者が立て替えて、後日保護者に請求するというサービスでございます。こちらの事例につきましても、貸付けの該当性については、経済的効果や貸付けの実行判断の有無に照らして、実質的に判断する必要があるとしております。

 具体的には中段以降でございます。利用料が保護者の信用力に応じて変動しておらず、立替期間や立替額に関わらず一定であるということ。立替えが保護者の資金需要を判断して実行されたものではなく、保護者も信用供与を期待しているわけではないということから、貸付けには当たらないとしたものでございます。

 8ページでございます。こちらはこれまでの照会事例について、その概要と判断要素をリスト化してまとめたものとなっております。上の2段につきましては、先ほど紹介した事例でございます。

 3つ目の金銭債務に係る支払い代行サービスにつきましては、逆に貸付けに当たるものとして判断した事例でございます。こちらのサービスは、個人事業主、フリーランスが有する債務を代行して支払うというものでございまして、利用上限額が利用者の月収に応じて設定されているということでございます。そういった観点から、利用者の信用力に応じて貸付けの実行判断をしていると考えられ、それからユーザーが個人事業主やフリーランスということで、資金需要者等保護の観点からも貸金業法の規制対象とすべきという判断が行われたものでございます。

 これら3つの事例につきまして、回答の欄と欄外にも記載してありますとおりです。あくまで、個別の事例ごとに該当性を判断したものとなっております。給与前払いサービスだから貸金業には当たらないとか、支払い代行サービスだから貸金業に当たるといったことを類型化して一概に言えるというものではなくて、最終的には、事例ごとに個別具体に判断を行う必要があると考えております。

 9ページでございます。こちら、委員の御指摘を踏まえまして、現状の立替サービス等の実態について、金融庁で個別事業者等に対してヒアリングを行った結果を掲載しております。給与前払い、支払い代行、BNPL等につきまして、それぞれ想定される利用者、利用目的、利用期間等についてリスト化してまとめてございますので、御確認頂ければと思います。

 続きまして、10ページにつきましては、BNPLの実態について掲載しております。金融庁として、この実態把握をするというすべはございませんでしたので、ここでは国民生活センターから公表されている資料を引用させて頂きました。令和2年公表ということで、若干古いものではございますが、こちらが最新版ということで確認をしております。BNPLにつきましては、明確な定義があるわけではないものの、クレジットカード等を用いずに商品の購入を行い、後日コンビニ等で支払いを行うような後払い決済サービスのことを指すとされておりまして、消費者トラブルへの対応であるとか、加盟店調査等が不十分であるといった課題が指摘されているところでございます。

 ここで、BNPLに関する取組実態等につきまして、経済産業省の御担当課から御説明をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

【経済産業省】  
 経済産業省、商取引監督課長の豊田と申します。割賦販売法を所管しております。

 今、お話ありました、いわゆるBNPLにつきましては、令和3年5月に後払い決済サービスを行う事業者7社が、日本後払い決済サービス協会というものを設立しておりますので、簡単に御紹介をさせて頂ければと思います。

 協会の主な活動内容につきましては、3点ほど御紹介できればと思います。まず、資料にも記載がございますが、1点目としまして、自主ルールの策定、運用、また、加盟店情報の共有などを通じた消費者保護活動というものがございます。

 2点目としまして、関係省庁や消費者生活センターなどとの情報共有、意見交換、こちらの紙には記載ございませんが、具体的には、各社に消費者生活センターからの問合せに対する専用電話窓口を設置しましたり、消費者生活センター向けに勉強会の開催といったことを行っております。また、これも記載がなくて恐縮でございますが、利用者向けに啓蒙活動としてパンフレットの作成などを行っているというのが、この協会の活動と承知しております。

 このうち、1点目で申し上げました自主ルールの策定、運用につきましては、資料にも少し詳しめに記載しておりますので、御説明させて頂ければと思います。自主ルールでございますが、令和4年4月から適用開始ということになっておりまして、大きく2つの柱がございます。1つ目が加盟店契約締結時における加盟店調査というものでございます。また、2つ目としまして、加盟店締結後の苦情、不正利用などの調査を行うということを定めているというものになります。

 この中身、少し具体的にお話しできればと思います。まず、2つの柱があると申し上げたうちの1つ目の柱であります加盟店契約時の調査についてです。こちらにつきましては、購入者の利益を保護する観点から定めております審査基準、こちらに適合しない、または、そのおそれがある場合には加盟店契約をしないという加盟店契約締結禁止を定めております。

 また、2つ目の柱であります加盟店契約締結後の調査、こちらにつきましては、定期調査、随時調査の2つを規定しておりまして、どちらも苦情、不正利用、禁止行為の発生状況などによりまして、改善要請、加盟店契約解除、その他の適切な措置を取るとなっております。資料の右のほう、ウのところを見て頂ければと思いますが、調査を行って、必要に応じて改善を要請するという行為を加盟店に対して行うと。その要請の結果、改善されない場合は、先ほど申し上げたとおり、加盟店契約の解除などを含めて検討し、行うと。さらに、それに関連する情報については会員間で共有をするというのが、自主ルールの大きな建て付けということになっております。

 また、右下のほう、3点目で苦情の調査等と書かせて頂いておりますが、苦情があった場合には、これが加盟店起因であると判断されれば、必要に応じて加盟店調査、さらに先ほど申し上げたような措置を講ずるということになっておりまして、これが今、自主的に日本後払い決済サービス協会会員企業において行われているということになります。

 私からは以上でございます。

【宮部信用法制企画調整官】  
 続きまして、シンジケートローンの関係でございます。13ページの資料でございますが、こちらは第1回資料の再掲でございます。外貨建てのシンジケートローンの組成というのは、日本企業による外貨調達ニーズに応える選択肢の一つとなっております。実際に、現地借入れでは貸し手が限定的となっており、国内では外貨に対応できるような金融機関も限られてくるところでございます。それから、現地の地場銀行にシンジケートローンに参加してもらいたかったものの、貸金業法上の参入規制がハードルとなって断らざるを得なかったというような事例もあったやに聞いてございます。

 外国の金融機関等がシンジケートローンに参加する際の参入規制について、14ページで少し踏み込んで記述をしてございます。外国の金融機関等が国内銀行等によって国内で組成されるシローンに参加しようとする場合、まず、日本国内に営業所、事務所等を設置しているということが求められます。それから、営業所等をただ置けばいいというものではございませんので、営業所ごとに貸付け業務経験を有する人、それから貸金業務取扱主任者を置くことといった人的要件も満たすことが求められております。これは利用者保護の観点であるとか、検査・監督の実効性を確保するという観点から設定されているものでございまして、金融関係法令の中には、同様の観点から類似の要件を満たすよう求めている例もあるところでございます。

 なお、上の箱の下段に記載してありますとおり、本件につきましては、都銀懇話会様より規制改革・行政改革ホットラインを通じて、2023年の12月に頂いた緩和要望でございます。後ほど、本要望の背景や実際のニーズ等につきまして、具体的なところを都銀懇様より御説明頂きます。

 15ページでございます。こちらには貸金業法上の主な規制についてまとめて一覧にしております。一番上が先ほど来、申し上げております参入規制についてでございます。営業所等を有することが前提となっているということのほか、人的要件を具体的に記載してあります。常務に従事する役員のうちに貸付け業務に3年以上従事した経験を有する者を配置すること、営業所等ごとに貸付け業務に1年以上従事した者を配置すること。取扱主任者については、常勤であって、かつ従業員50人に1人以上の割合で設置するといったことが規定されております。そのほか、総量規制、上限金利規制、書面による説明義務等も当然にかかってくるものでございます。

 16ページが貸金業法の主な沿革について記載しております。貸金業法の柔構造化を検討すべきという御意見も賜りましたので、現状規制が厳しくなっている背景を整理いたしました。貸金業法は、これまでサラ金問題、商工ローン問題、ヤミ金問題、多重債務問題のような大きな社会問題を背景として、規制に規制を重ねてきたような法律でございますので、結果として、現行制度はとても厳しい規制が課された法律となっているということでございます。こちら沿革につきまして、御参考にして頂ければ幸いでございます。

 最後に、本日御議論頂きたい事項でございます。立替サービスにつきましては、まず、業該当性の判断については、あくまで個別のサービスの実態に照らして行うということが、これは大前提であるという原則を明確にしつつ、一方で、事業者の方々にとっての予見可能性の観点も重要であるということを勘案しまして、実際これまでに積み上げてきた解釈もございますので、これらを踏まえて一定の判断枠組みを示していくということについて、どう考えるかということでございます。

 例えば、サービスの内容につきまして、貸付けと同等の経済効果を有するか、信用力に応じて貸付けの実行判断が行われているのではないか、資金需要者等を保護すべき必要性がどの程度なのかといった要素について、それぞれごとに考えるということではなく、総合的に勘案していくことを明確化するということについてどう考えるかということでございます。この点、判断の要素として、過不足等ございましたらぜひ御指摘頂ければと思います。

 また、シンジケートローンにつきましては、要は単にシンジケートローンに参加するということを希望しているだけで、国内で貸金業全般を幅広く行おうという意思を持っているわけではないような外国の金融機関等について、日本国内に支店、営業所等を設置することや人的要件までも充足するという、そこまで求められている現状の規制を見たときに、業務内容と規制内容がバランスしているのかといった点について御議論頂ければと考えております。

 私からの御説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【森下座長】  
 ありがとうございました。

 それでは、次に、都銀懇話会より御説明をお願いします。

【都銀懇話会】  
 ありがとうございます。本日はお時間頂きまして、ありがとうございます。

 私、都銀懇話会の立場で、本日御説明をさせて頂きます三菱UFJ銀行ソリューションプロダクツ部で次長をやっております、田中と申します。よろしくお願いいたします。

 それでは、お手元、右肩資料2という資料を御確認ください。こちらで外国の金融機関等のシンジケートローン参加についてということで御説明申し上げます。

 一枚おめくり頂きまして、「はじめに」というスライドを御確認頂ければと思います。総論会で金融庁様から御説明があったとおり、手前どもの現状認識として、「現状の課題」というところを先に御説明させて頂きます。御承知おきのとおり、本邦企業のグローバル展開は非常に加速をしております。後ほど入れておりますけれども、大型のM&A、インアウト型の形で本邦企業が海外の会社を買収する、こういったケースが非常に増えているかと思います。そもそも海外での事業活動を展開される会社も非常に増加しているという中で、円貨ではなくて外貨の資金需要が増加しているというところがございます。こちら、括弧書きでも書いてありますとおり、外国格付機関から格付を取得しているような企業様においては、海外市場で外債を発行しているというような状況です。

 2点目のブレッドに入れておりますが、手前どもも含めて、外貨の預金保有量というのは邦銀では限定的となっております。ですので、貸出し可能な外貨金額自体に限界があるという現状は変わらないと思っております。

 そういった中で外貨の貸出余力のある外国の金融機関を本邦のほうに呼び込む、こういったことで実は手が打てるかと考えておったんですが、現行の貸金業法の中では困難ということで、先ほど金融庁の御説明がありましたとおり、本邦に拠点を設置しなければならないであったり、専任人員を配置しなければならないといったところがございます。

 ちなみに、前回の総論会でもお話あったかと思うんですが、主要の先進国において、こういった貸金業法、規制がどういった形になっているのかというところで、貸金業法に類するような法律の中で、外国金融機関の貸出規制があるかどうかという確認をさせて頂いたんですけども、少なくとも、金融先進国と言われているような米国、英国、オランダ、シンガポール、カナダ、こういった国々では同様の規制というのは存在しないと理解をしております。こちらに関しては、金融庁のほうでも別途、少し古い資料なんですが、平成29年の3月に「諸外国における金融制度の概要に関する調査」といった報告書をおまとめになられていらっしゃるので、700ページぐらいの資料にはなるんですけども、こちらのほうで、実は閲覧することも可能になっております。

 話を戻しまして、現状の課題としては、矢尻に入れておりますが、本邦企業の海外事業展開を支えるような金融面でのインフラ構築であったり、枠組みの整備が必要なのではないかというのが手前どもの課題認識です。「目指すべき方向性」と書かせて頂いておりますが、そうは言っても、先ほど来、御説明のとおり、本邦で貸金業法の登録をされていない金融機関様をむやみやたらにお招きするという観点では、消費者、この場合は借入人保護というところの観点において、非常に疑義があるという認識をしております。ですので、ここに関して、特に違法な資金回収、担保処分等が独断で行えないような枠組みにするにはどうしたらいいかということで、手前どものほうから、複数の貸付人が単一の契約の下で貸付人間の団体性と公平性が確保されるシンジケートローンという資金調達の枠組みを活用してはいかがかということで御提案をさせて頂いている次第でございます。シンジケートローンという言葉自体にもなじみがない方も多々いらっしゃると思いますので、後ほど資料のほうにもまとめさせて頂いております。

 2ページ目の下段に「現状」と「今後の想定」ということで入れておりますが、単一の契約の下、アレンジャーということで、金融機関を束ねる役割をする金融機関の下で、貸金業法の登録が入っていない方を参画させるというようなことが可能ではないかということで考えております。

 続きまして、3ページ目です。総論会の中で、こういった外貨のニーズというのはどこまであるんだろうかという御質問を委員の方々から頂戴しているかというように理解をしています。手前どもとして、お客様のニーズに接している立場としてコメントさせて頂けたらと思っております。2点あります。

 3ページ目にまとめてありますのは、実際、ビジネスアズユージュアル、通常の営業活動の中で、海外で事業展開される中での外貨の資金需要ということでまとめさせて頂いております。上のほうにボックス3つ入れておりますけれども、先ほどのコメントのとおり、外貨の調達手法というのは、外債を発行される大企業群を除いて、原則、手前どものような都銀、大手都銀を含めたところからの外貨でのローン調達というところに限定的となっております。こういったところを、さらに金融機関として円滑に運ぶためにも、外貨拠出の余力のあるような外国の金融機関等を本邦に呼び込むようなことが必要かと思っております。

 下段がヒアリング内容になっておりまして、自動車サプライヤー様、大手ノンバンク様、大手デベロッパー様ということで、それぞれ地場で事業展開をされる中で、外貨の資金需要が増えていらっしゃるということを、こういった形でコメントを頂戴しております。

 一番右側のほうに、「外貨建ローン調達時の借入主体・調達金融機関」ということでまとめておりますが、地場で調達されるに際しては、本邦の中では非常に名の通った会社様でも、各現地、例えば、米国であったり英国ではなかなか名も知れないというところでございまして、そういった方々が地元の金融機関様からどんどん資金調達することというのはなかなか難しいという現状があるということで御理解頂ければなと思っております。

 おめくり頂きまして、4ページ目です。もう1点の大口の資金需要ということで、先ほど来、御説明しておりますインアウト、国内企業が海外の会社様を買収するような事例がございます。こちら、名前を伏せておりますが、全て公表情報になっておりまして、皆様も報道等で接する機会が非常に多いような会社様の買収事例ということでございます。

 一番上からいきますと、本当6兆8,000億円といった形で、兆円単位の買収を本邦企業が実施されるケースが非常に増えているというところでございまして、そういったときに、海外の会社様ですので、買収資金は外貨になるというところで、ここにどうやって手を打つかというところでまとめさせて頂いております。

 実際、足下ですと、「シローン」、「JBICローン」、「国内債」、「外債」と書かせて頂いておりまして、赤で数字を入れているものが外貨建ての調達という形になっております。外貨建ての調達の中でも、足下貸金業法の規制がございますので、国内で外貨を調達する場合には、貸金業法の登録が入っている方しかお呼びできないという現状がございます。ですので、どうしても我々、都銀を中心としたようなところであったり、あとJBIC様であったりということで、外貨拠出がある程度できる方しかお招きできていないという現状があるというところを御認識頂ければと思っております。差分に関しては、実は円貨で御調達をされているところがございまして、円貨で調達したときには為替リスクを各会社様が内包されていらっしゃると。こういった現状がございます。

 続きまして、5ページ目です。「シンジケートローン形態を活用する効果」ということで、なぜシンジケートローンというものを活用するのかというところでの御案内でございます。シンジケートローンというのは、複数の金融機関が一つの契約に基づいて貸出しを実行するというような形態になっております。ですので、貸付人間での平等性が担保されているというのが特徴になっています。つまり、貸金業法で一番懸念される違法な債権回収であったり担保処分と、こういったところは契約上認められていないというところでございまして、この部分でシンジケートローンを導入する効果は非常に大きいと思っております。

 委員の方々から事前にいろいろ御質問を頂戴している中で、貸付債権を譲渡すればいいんじゃないのかというような御質問を頂戴しているようにもお伺いをしております。ここで、シンジケートローンに関しては、実務上というか、契約の建て付け上、譲渡に関しては借入人様と全貸付人、こちらの同意が必要になります。ですので、いざ譲渡をしようと思ったときに、皆様から合意承諾の取得が必要となり、事務上、非常に煩雑になるということで、円滑な資金調達という観点ではハードルがあるのかなと手前どもとしては考えております。

 続きまして、6ページ目、7ページ目を御確認ください。シンジケートローンというものの概要でございまして、6ページ目、こちら長い時系列で取っておりますが、本邦の中でも、大企業を中心に一般的な調達手法になっているシンジケートローンというものを御案内させて頂けたらと思っております。

 青い棒グラフが、普通社債の発行額になっております。おおむね10兆円、最近は15兆円ぐらいまで膨らんでいるという足下のマーケットになっておりますが、シンジケートローンというのは、それに対してどうかということで、黄色と褐色の棒グラフを積み立てております。タームローンというものが、これが長期のローンということでございまして、こちらがおおむね10兆円ぐらいのマーケット。コミットメントライン、これは資金調達枠、いざというときに借入人様がお金を借りられる枠組みということで、こちらが大体平均14兆円ぐらいで足下推移しているというところです。ですので、特に我々がターゲットにしている大企業様からすると、シンジケートローンで緩和がされれば、今まで使っているツールがより拡張されるということで、非常に利便性は上がると理解をしております。

 最後に、御参考までに、7ページ目にシンジケートローンの仕組みということで入れさせて頂いておりまして、皆様御認識のあるような通常の相対銀行貸出しということでは、左側の図の上のほうにまとめておりますが、借入人様が都度、個別に金融機関と交渉しながら契約条件を詰めるというような特徴がございます。当然ですが、貸付人が個別に借入人様と債権回収も行うというような状況でございます。

 それに対しまして、右側、シンジケートローン方式になりますと、アレンジャー・エージェントというものが間に立ちまして、貸付人の中を束ねると、こういった行為をしていきます。ですので、貸付けの実行であったり、期中管理、あとは債権回収に関しても、契約に基づき、抜け駆けが禁止されるような形で枠組みが担保されているというのが特徴でございます。

 私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。

【森下座長】  
 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明を踏まえまして、委員の皆様に御討議を頂きたいと思います。御発言を希望される際には、対面で御出席されている方におかれましては、机上の名札を縦にして頂き、オンラインで御参加されている方におかれましては、オンライン会議のチャット上にて全員宛てに発言がある旨、御入力頂けましたら、それを確認の上、私のほうで指名いたします。

 なお、限られた時間の中で、可能な限り多くの方に御発言を頂きたいと考えておりますので、お一人当たり、御発言は5分程度でおまとめ頂ければと思います。

 それでは、どなたからでも結構ですので、御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。それでは、坂委員お願いいたします。

【坂委員】  
 ありがとうございました。私のほうからは、主として立替サービスについて総論的意見と、9ページのサービス例について、そして、18ページの論点について発言したいと思います。

 まず、総論的意見ですけども、立替サービスは、デジタル化の進展に伴う新しいサービスの規制対応という課題の一局面です。本来は、より包括的な規制枠組みが必要と考えますが、今回の提案は、現行の規制枠組みにおける対応について整理を行うものと認識しております。新しいサービスの芽を尊重しつつ、規制対応の役割としては、適切な方向へサービスの発展を促すという視点、あるいは、規制の隙間を悪用しようとする主体への厳正な対応手段の確保という視点も必要と考えます。現在の対応は、貸金業への該当性の検討を通じて、こうした対応を図ろうとするものと考えます。

 次に、事務局資料9ページのサービス例についてですが、8ページでは、個別事例への判断であるということが明記をされ、先ほどもその旨の御説明がありました。9ページのサービス例においても、貸金業の該当性は、個々の実態に照らして判断されるべきものであり、具体的なサービス内容や実態によって、貸金業に該当するものもあれば、該当しないものもあると考えられます。また、貸金業のほか、資金移動業、債権管理回収業の該当性や割賦販売法との関係を検討すべきものもあるように思われます。なお、給与前払いサービスとの関係では、経済的に同様の実質を有する給与ファクタリングが貸金業に該当するとされているということも指摘しておきたいと思います。

 次に、BNPLですが、個別の実態に照らして貸金業に該当し得ると考えられるものもあると思われますが、BNPLには、過剰与信や高金利防止のほか、悪質加盟店による被害防止と救済という課題もあります。後者については、現行の消費者法制や、あるいは自主規制では問題の解決は困難という現場からの声があります。加盟店管理は、現行法では資金決済法上の前払式支払手段、あるいは割賦販売法上の包括・個別の信用購入あっせんに制度があります。他方、米国ではBNPLアカウントが貸付真実法上、クレジットと位置づけられることが明確化されるに至っております。我が国においても早急の法整備が必要と考えます。

 次に、18ページの論点についてですけども、まず、新しいサービスには多様な形があり得ることから、個別のサービス実態に照らして判断するという枠組みは極めて合理的と考えます。その上で、18ページに挙げられております3つの考慮要素についてですけども、過剰与信の防止、あるいは、金利規制の潜脱防止という観点から取りこぼしがないような検討が必要です。

 まず、①貸付けと同等の経済効果の有無については、裁判例やこれまでの金融庁の運用に照らしても重要な要素と考えます。機能に応じた横断的な規制対応、機能の自主的判断という趣旨にも合うものと考えます。

 次に、先に③のほうですが、資金需要者等の保護の必要性については、実際の利用者の状況や利用実態に鑑みて検討される必要があります。例えば、多くの利用者が低所得者と想定されるサービスはかかる観点から検討が行われるべきです。また、一回性の利用でなく、繰り返しの利用が相当程度あり得る場合は、かかる前提で利用者保護の在り方を検討すべきです。給与前払いサービスは、1回のサービスが短期であっても、資金難の低所得者が繰り返し利用することにより、結果高い利用料を負担せざるを得ない事態も考えられます。現に米国の少額ローンではかかる実態の報告もあります。

 次に、②の信用力に応じた実行判断についてですが、例えば、一定の条件に該当する者に一律の利用料でサービスを提供する場合も、定型的に信用力の実行判断が行われていると考えることもできます。こういった場合についても、貸金業に該当し得るという構えを持つべきです。ちなみに、給与前払いサービスについての検討の中で、実行判断について記述がありますが、その内容によりますと、基本的には勤怠実績に応じた金額を上限とするとなっておりますので、これは、実質的には信用力に応じた実行判断がされていると捉えるべきです。

 こうした理解を前提に、①~③の要素を総合的に勘案して、業該当性を判断するということには賛成したいと思います。

 他方で、立替期間が長期間となっていないか、あるいは利用者の信用力に応じて手数料を設定していないかという記述については、この表現をそのまま用いることはミスリーディングになるおそれがありますので、現段階では賛成いたしかねます。立替期間が短期の場合も利用料が高額である場合や、あるいは、利用者が利用を繰り返さざるを得ず、実態として負担が大きくなる場合などには貸金業に該当し得ると考えるべきです。

 また、個々の利用者の信用力に応じた利用料が設定されていない場合でも、立替サービスでは信用力確認の手間暇を避けるために、一定の条件のもとで一律の料金を課した上でサービス提供を行うということもあり得ます。このような場合にも過剰与信防止や高金利防止の観点から、貸金利用者を保護すべき場合があり得ると考えますので、こういったものもきちんと貸金業として拾える枠組みを考えるべきです。

 以上です。

【森下座長】  
 ありがとうございました。それでは、次に小川委員、お願いします。

【小川委員】  
 よろしくお願いいたします。まず、立替えのところで、前払い給与にフォーカスをしてお話ししたいと思います。

 立替えの中で、なぜ前払い給与を取り上げるかというと、物販、サービスの受渡しと労働対価、これは性質が違うと思っています。その中で、3点お伝えしたいと思っています。

 まず1点目、先ほど経済実態でというお話があったかと思いますが、特に前払い給与については、ある程度の定義、条件、これは明確にする必要があるだろうと思っています。既に皆様御存じのとおり、アメリカでも10年前ぐらいからEarned Wage Access、もしくは、Demand Pay Agreementなどのプログラムが出てきており、まさに今、どういった定義、要件にするかと議論されているかと思っています。

 日本国においてもコロナ以降、労働の形態が多様化し、非常に人材が流動化をしている中で、優秀な人材を採用するときに福利厚生の観点からも、どのように差別化するかが極めて重要なポイントになってきている。そういう中で、人材採用、育成、雇用の維持の観点から、こういった多様な給与プログラムの議論は、当然、日本経済を支える雇用の観点から重要な柱になってくると思っています。

 では、どう取り扱うのかといったところ、これが2点目にお伝えしたいところです。すなわち、貸金業か否かの議論です。1回目の審議時に少し申し上げましたが、役務の提供は日々行われている。なので、既に役務の提供が終わったものについては、これは当然労働が提供されていますので、労働者側は労働の対価をもらう権利というのはあるかと思っています。現在、給与事務の簡便上、例えば、残業の計算をし、源泉所得税等を計算処理するために1か月後に事務処理が行われ、大体1か月後ぐらいにお給料が払われています。一方、労働基準法上は、特別の場合には、経過日数分は払えるといった仕組みがあるかと思います。その考えで、当然、経過日数部分については給料であり、それ以降の未だ労働の提供が終わっていない期間は資金供与となり、この部分は貸金に厳密には当たるだろうと思われ、そうした整理が必要かと思っています。

 もっと厳密に言えば、日本の取引慣行上、家賃も前払いが通例で、実質保証金に該当し経過日数部分家賃に振り替えるのかなど、いろいろな議論になり得るものはありますが、基本的な考え方は明確にする必要があると思っています。また、例えば、経過日数分の支払部分について、通常の手数料分負担を労働者が負担する、これは違うと思っています。当然得られるべき対価ですので、その手数料を労働者が負担するということはあるべきではないと考えます。

 それから、例えば、既に経過分の労働の対価に対しての返済義務、それは当然ないと思っています。なので、貸金、給与との基本的な考え方の明確化は重要であり、あとは実務でどこまで運用上認めていくかといったところだと思っています。

 3点目が、他の法令等との関連。所得税の源泉徴収というのは、通常は支払期日がある場合は、期日で源泉徴収義務を負う。期日が明確ではない場合は、支払日で源泉徴収義務を負うという形になっているかと思います。なので、今後必ずその議論になるので、どういった実務を取るにしても、そこに議論が行き着くことも想定した上での整合性、理論的根拠というのが必要になってくるかと思います。

 それから、先ほど少し触れた労働基準法もそうですが、今は多分、特別な場合にはといった一定の条件、例えば、冠婚葬祭だったでしょうか、そういった一定の条件の場合は、経過日数分については給料を払うといった内容が労働基準法にあったように記憶しています。となると、今回、その特別な条件の幅も含め、労働基準法にどういう影響があるのかといったところも一つ論点として出てくると思います。

 会計処理もどうするか、最終的には会社の決算書に明確に出てきます。給与と貸付金では大きく変わってきますので、そういったところの議論というのも一つ重要かと思っています。給与計算は大変複雑なので、こうした給与代行サービスは古くからあります。昨今、信用供与のところまで入り込んできています。代行手数料の構造の仕組みも、一定の目線は必要だと感じました。

 次に、シンジケートローンについて、これはベネフィットとリスクといったところをきっちりと識別する必要があると思います。ベネフィットは非常に大きいということは、我々も実感しています。これは企業が非常にグローバル化しているのと、それから資金調達のタイミング、これがすごくスピードが求められてきている。なので、金融業をサービスとして提供する側は、より多様な資金調達手法、例えば、先ほどお話のあった多様なボンド、私募債、シローン債など、より魅力的な条件で、スピードも速くて確実なものをというニーズは非常に増えています。したがって、今回、こういったところを見直すことで、より日本企業側が成長を描くときにベネフィットを得られるだろうと思っています。

 一方、リスクは何かといったところだと思います。私としては、3つの観点をお伝えしたく思います。1つ目は、まず、借り手のリスク、2つ目は、貸し手側のリスク、それから3つ目は、日本国としての経済基盤の安定性、金融市場の安定性を阻害するリスクです。

 まず、借り手のリスクについて。シンジケートローンの場合、貸し手側のアレンジャーが、各貸し手からの委託を受けて、借主の要望を受け、条件、タイミングなどを交渉し、貸付けの実行を取りまとめていきます。では借り手のリスクは何か、ということですが、強いて言えば、例えば、外国の企業が貸し手側に入り、突然その国で信用不安が発生し、国債の価値が大幅に下がることで金利が跳ね上がる。そうすると、当然アレンジャーが当初借り手とやり取りしていた利率などの条件や、ロット、あるいはタイミングが合わないという事態が起こり得る。そのままだと借り手は想定条件や必要な時期に調達できなくなるリスクとなり得る。ただ、アレンジャーは日本のメガバンク等であり、最終的なこうした一定のリスクも考慮し、チャレンジしながら、借り手のデマンドに合った形の金融サービスを提供している。そこは一定程度のアレンジャーの信頼性、能力といいますか、信頼性ある資質というものの評価が重要になってくるだろうと思っています。

 次に、2つ目の貸し手のリスクについて。借り手側が信用不安になったときに、例えば、借り手の決算書が適切なのか適宜適切な情報を入手し、各貸し手である金融機関に伝達しているか、が鍵になるかと思います。アレンジャー側の善管注意義務もそうですし、さらに利益相反の問題もあり得ると思っています。最初に自分がお金を回収してしまおうという悪意が仮にアレンジャーにあった場合には、当然その他の貸し手側は回収リスクに晒されます。アレンジャーの一定規模の信用力も重要だと思っています。日本に拠点がない外国銀行等がアレンジャーとなることによるリスクなど、十分検討していく必要があると感じています。

 3つ目の日本の金融市場の安定化についてですが、私も1990年代に金融の監査をやって直面しておりましたので、極めて重要と考えています。総量規制等の背景含め過去の歴史は理解した上で、今後有事時に、金融基盤自身をコントロールするときに、誰に対してそれを及ぼすことができるのか。例えば、日本に営業店等もない外国金融機関を、いかに日本国の規制当局としてのコントロールできるのか、といった点があるかと思います。

 ベネフィットとそれぞれのリスクについてシミュレーションし、最悪の場合は、ここでこういった形でリスクの最小化を図っていく、といった点が重要と考えています。

 すいません、ちょっと長くなりました。お返しします。

【森下座長】  
 ありがとうございました。では、次に長内委員、お願いします。

【長内委員】  
 大和総研の長内でございます。立替サービスの方は、総論的な意見を述べた後、給与前払いサービスとBNPLについてコメントをさせて頂きたいと思います。

 総論のところは、2点あります。まず1点目は、規制をかけるというよりも、判断枠組みを示すということ自体は個人的に賛同したいと思います。そこにはポイントが2つあって、いわゆるガイドライン的な枠組みを示すことによって、そこで解決するケースというのが1つ目。もう一つは、逆にガイドラインを見て新規に照会する企業が出てくるというのも実は重要なポイントだと思います。今まで照会してきた企業というのは、自ら考えて照会してきたということなんでしょうけれども、新たにガイドライン的な枠組みを示すことによって、そもそも、これまで照会してこなかったような企業からも、もしかしたら照会が増え、そこでしっかり対応できるようになるという点も重要というのが2つ目です。

 2点目が、今回の議論の枠組みの中では、他の法律や規制との整合性というのも多分関係してくるので、関係省庁との連携が必要になってくるのではないかというものです。こちらは給与前払いサービスの方にも関連し、個人的に問題意識がある論点になります。

 事務局資料の5ページ目に書いている事例の場合、給与の一部を前払いで支払うという形になっていると思います。多分、オブザーバーの厚生労働省に確認するべきかもしれませんが、現在、賃金というのは、労働基準法でいわゆる賃金支払いの5原則で規制されており、あと当然、例外規定というものもあります。そして、賃金支払いの5原則の中に全額払いの原則というのがあるため、例えば、賃金が20万円の場合、10万円を先に支払って、その後、10万円を後で払うというのが、そもそも労働基準法の枠組みの中で認められるのかという点が気になります。このケースは、もしかしたら、現在のデジタル給料払いの議論にも関連するのですが、いわゆる労働基準法に基づかない、例えば、フリーランスとか事業主の場合は、そういう賃金の分割払いができるケースもあり得るかと思います。いずれにせよ関連する法律や規制をしっかり確認する必要があります。なお、今話題になっている労働基準法や労働基準法施行規則の文脈における、いわゆるデジタル給与払いというのは資金移動業者の口座、もしくはアカウントへの賃金支払いですが、こちらについては、分割的な支払いがそもそもできない可能性もあります。いずれにせよ、複数の法律や規制と整合的に議論する必要があるというのが給与前払いサービスに関する各論の1つ目です。

 BNPLの方について、こちらは個人的な問題意識となるのですが、日本で使われるBNPLと、多分国際的な、いわゆる2010年代後半以降の決済分野のフィンテックの文脈におけるBNPLというのは少しギャップがあるのではないかと考えています。多分、金融庁の方も経産省の方もご案内かと思いますが、現在、国際的な分野のBNPLというと、本当にクレジットカードの代替的なものです。まさしく坂委員が指摘されましたように、アメリカでクレジットとして整理しているのも、多分そこにつながってくる議論のように思います。私は、2019年、5年前ぐらいに、ちょうど今BNPLの草分け的な存在として知られるスウェーデンのクラーナという企業に視察に行って、そのビジネスモデルなどを聞く機会がありました。彼らのビジネスモデルとして、いわゆるクレジットカードの分割払いのような場合、数回までは手数料無料というものであり、さらにクレジットスコアなどによる最初の厳しい審査が必要ないという点が挙げられます。本当に、クレジットを代理するようなものであり、フィンテックにより低コストで利便性が高い形になっています。そして、それが多分、足下のいわゆるグローバルな文脈において利用されているBNPLです。

 他方、日本の議論を見ていると、事務局資料の整理の通りなのですが、どちらかというと、分割払いというのが日本の文化にはありません。クラーナの担当者も言っていましたが、日本の場合は一括払いが多い。クレジットでも、いわゆるリボ払いの利用が非常に少なくて、日本の場合は一括払い中心なので、そもそも、いわゆるBNPLといった場合にも、基本的に割賦販売法の規制の対象にならない形で整理できてしまうと思います。そのため、BNPLで問題が起こっている、後払い決済で問題が起こっているので規制が必要というより、個人的な整理としては、枕言葉のようなものを追加して「未規制のBNPL」の規制をどうするかとか、「未規制の後払い決済サービス」の規制をどうするのかという形がよいのではないかと思います。このように、何らかの違いを設け、今の例は「未規制の」を追加した形ですが、他には「規制がないBNPL」とか、「規制がない後払いサービス」とかの形で問題に焦点を当てないといけないと考えます。例えば、クラーナが日本でビジネス展開する場合には、恐らく割賦販売法の規制の対象に入ってくる形になるので、「規制があるBNPL」となり、このように規制の有無を少し分けて議論していく必要があるのではないかというのが、BNPLに関するコメントです。

 シンジケートローンのところは、一つ事前に質問してからコメントをしたいと思います。今回の説明について個人的に確認したい点があり、具体的に言うと、シンジケートローンの形態の場合、私の理解になってしまうのですが、今回、問題視している「日本国内に支店・営業所等を設置すること」や「人的要件を充足すること」という条件の有無というのは、借入人にはほとんど影響がないのではないかという点です。影響がないというのは、なかなか断定できないかもしれません。逆に言うと、日本国内に支店・営業所が設定されていなかったり、人的要件を充足しない金融機関等がシンジケートローンに加わっても、仕組み上、借入人に特に波及はしないのではないか、と言えるかもしれません。あと、先に委員からあったように、むしろアレンジャーのところと、登録していない外国の金融機関等の間だけに問題が起こるのではないか。そのため、断定できないかもしれないのですが、借入人に、もし問題が起こるケースとして、どのようなものが想定されているのかという点を、まず確認したいと思います。

【森下座長】  
 よろしいですか。

【都銀懇話会】  
 借入人に問題が起こるというのが、すいません、私が正確に理解ができていないんですけれども、現状ですと、外貨を調達したい人が調達できない状況になっています。それを、外貨を調達できる人を連れてきますという状況です。本来の規制の中では、外貨を調達できる方が日本で貸金業法の登録をしてから貸してくださいという話になっているんですが、いわゆる拠点を置いたり、人を置いたりするのが、外国の金融機関様からすると、それだけのためにやるのは不可であるということで、手前どもが間に入って、通常拠点がない方は、借入人様をお邪魔することはできないですし、直接コンタクトすることはできないので、利用者がマッチメイクする機会がそもそもないと。それを、我々アレンジャー行為をする人たちが間に入ってマッチメイクをしようというのが、この仕組みになっています。

 実際に、この枠組みの中でお金を借りた場合には、契約書の当事者に貸金業法の登録がない方が入りますので、契約書上は資金の供給者と資金を受ける方という形で関係性は保たれますということですので、全く関係がないということではないようになるのかなと思うんですが、私の答えはなっていますか。

【長内委員】  
 私の質問の趣旨としては、「資料2」の最後のページの「バイラテラル方式」と「シンジケーション方式」を比較した場合に、シンジケーション方式というのは、ある意味条件が厳しいので、借入人に思ったより影響はないという理解でよいかということです。私のコメントを言ってしまった方がよいと思うのですが、私の問題意識としては、まず、シンジケーション方式で認める場合でも、借入人に問題ができる限り生じないようにした方がよいということです。ただ、その問題というのは、多分シンジケーション方式を使うと、基本的にアレンジャーが金融機関等と直接やり取りをするので、かなり借入人に悪影響が出にくい形になっており、そのことが一つのポイントになっているというのが、今回の説明という理解です。

 個人的には、借入人に及ぼす影響が少なくなるという条件で規制を緩和すること自体は賛成の立場です。ただ、気になる問題が2点ほどあります。まず、今の枠組みだと、例えば、説明資料の図表だと登録していない金融機関等の数が見た目上少なく、あと融資額も少ないように思われます。しかし、その比率が、気づいたら半分以上が未登録の金融機関等になってしまったり、場合によっては、金額も未登録の金融機関等の方が多くなり得ます。つまり、金額とか参加者数に対する制限的なものをどう考えるかという問題です。

 あと、参加者に関して登録とかは必要ないとしても、全く何も知らないような金融機関等が入ってくるという抜け穴的な、例えば、海外で新しい金融機関等が設立されて、そこがいきなり参加するようなケースには不安もあります。仮に、規制を緩和するとしても、何らか登録、事前登録か分かりませんけれども、ある程度、参加者については把握しておかないと、日本の金融部門にも悪影響が出るのではないかという点が気になります。以上になります。

【森下座長】  
 ありがとうございました。それでは、加藤委員、お願いします。

【加藤委員】  
 私からは外国銀行等のシンジケートローン参加について2点コメントいたします。

 まず第1に、日本企業による外貨資金調達需要に日本の資本市場が適切に対応できる仕組みを整備しておくということは大変重要であり、その方向から事務局の御提案には賛成したいと思います。ただ、貸金業法の柔構造化は、決して規制の適用を排除していくということではなくて、例えば、貸金業登録を受けていない外国の金融機関によるシローンへの参加を認めることによってどういったリスクが発生し、それに対して適切な対応をするということ、これが柔構造化の意味であるということに注意が必要であると思います。

 ただ、都銀懇話会様の御説明や、他の委員の御発言にもありましたとおり、シローンであれば、基本的に借入人と貸付人の間の手続はアレンジャーを通じて行われますので、これまで貸金業法が対処してきたような問題の多くは、アレンジャーに一定の役割を期待することによって、十分に対処できる可能性があると思います。

 アレンジャーにどのような役割を期待するかを考える際には、現行法において、例えば、貸金業、現在のシローンの実務で存在するかどうかは、若干、私は存じ上げていませんが、現在のシローンの実務で、貸金業登録を受けている金融機関が参加する場合に、貸金業法の行為規制の遵守がどのように行われているかが参考になると思います。つまり、貸金業登録を受けている業者がシローンに参加した場合には、現在でも、アレンジャーを通じて、貸金業法に基づく行為規制の遵守等が図られているのであれば、仮にシローンの参加者が貸金業登録を受けていない金融機関であったとしても、同じようにアレンジャーを通じて貸金業法の趣旨に沿った対応を求めることはできるのではないかなと思いました。

 2点目ですが、外国銀行等のシローンの参加の問題は、既に第1回でも、その趣旨の発言をいたしましたけれども、貸金業法の柔構造化の一つとして扱うべきであるとともに、今日、既に複数の委員から御発言があったかと理解しておりますが、外国金融機関が国内で活動することに関する規制との関係も意識しておく必要があると思います。

 この点で、都銀懇話会様に質問がありまして、今日の御説明では、日本の資本市場における外貨の提供者としての外国銀行支店の役割については、あまり言及がなかったかと思います。この点については、少し補足して頂けると現状の認識を共有できるかなと思いましたので、できればよろしくお願いいたします。

【都銀懇話会】  
 ありがとうございます。今コメントを頂きましたところは、恐らく私どもの説明資料2ページ目のほうを見て頂けるとよろしいかなと思います。

 今回、私どもとしては、規制緩和の際に、アレンジャー・エージェントと真ん中に書いてあるところなんですが、ここは本邦における現在の貸金業法の登録がある方ということで、手前どものような都銀もそうですが、外国金融機関様で既に貸金業法に登録されていらっしゃるような方も対象にすべきだと思っています。それは、あえて本邦の、例えば手前どもだけがこの立ち位置に立つということではなくて、外国金融機関の方々も日本で根を張って活動されていらっしゃるのであれば、その方々にもアレンジの機会をしっかりと御提供して、むしろ彼らが本国の、例えば地域金融機関にお詳しいかもしれないですし、そこは我々としっかりとコンペティションするべきだと思うので、いわゆるフラットに競争ができる環境を整えるべきかなと思っています。

 今、御質問のあった既にある外国金融機関の、例えば東京支店とかで資金供給をやっているんですかという御質問だと思うんですが、それはすいません、立場が違うので存じ上げないところは多々あるんですが、当然いろいろなビジネスをやっていらっしゃる中で、貸出行為というのをやっていらっしゃる機会もあるのかなとは思いますが、本邦の事業会社様とのコネクションであったり、そういった兼ね合いもありますので、貸出しを主とするお仕事なのか、例えば、キャッシュプーリングとか、ほかのビジネスを主にされるのか、あと資金のセトルメントをビジネスされるのか、それは各外国金融機関様の事業戦略というか、ビジネス戦略によりますので、少なくとも我々が接しているニーズからいくと、比較的我々がお付き合いがあるようなグローバル大企業の方々は、手前どものようなところから外貨を御調達されているケースは多いのかなと。グローバルベースで見ると分かりませんが、というところです。

【森下座長】  
 よろしいですか。加藤委員から、最初のほうでシローンの実務において、貸金業法の行為との関係で何か具体的に問題となっているような、オペレーションの点であるのでしょうかという点について御質問があったと思うのですけど、その点についてはいかがですか。

【都銀懇話会】  
 ありがとうございます。その点に関しては、既にもう貸金業法の登録が入っている方々、そもそも自らが行為を遵守しなければいけないという義務を負っていらっしゃいますので、御自身としてお金を貸し付ける立場として遵守されていると理解しています。ですので、これ、貸金業法の登録のない方をお招きするときにそこはどうするのかというのは、そこはしっかりとシンジケーションの契約の中で、例えば、建て付けをつくるとか、そういったことはしっかりと対応しなければならないのかなとは思っているというところです。

 あと、御懸念のところでいきますと、恐らく、先ほどぽっと出の金融機関様が入ってきて市場を乱さないかというお話があったので、そこがまさに我々のような貸金業法の登録が入っている人がアレンジャーをやるという意味だと思っていまして、我々が逆に貸付人、お金を貸したいですという方を逆に選ぶ立場になりますので、この方から資金調達をしてもいいんじゃないでしょうかと借入人様と相談をしながら貸付人を決めていくという行為をアレンジメント行為と言いますので、その部分でフィルタリングが入ると思っております。

【森下座長】  
 ちょっと今の点に関連してお伺いしたいのですけれども、そうすると今、日本の銀行さんがなさっている、こういったグローバル企業に対するシンジケートローンにおいては、シンジケートローンのポジションを、例えば譲渡したりするというか、借入人の同意なく譲渡するというようなタイプの契約というのは、ほとんど締結していないという理解でよろしいですか。

【都銀懇話会】  
 はい。今のアレンジャーとしての立場を多分誰かに渡すということはなくて、アレンジャー・エージェントの立場でなくて、貸付人の立場ということですか。

【森下座長】  
 そうです。レンダーの貸付けの債権を譲渡すると。欧米などでは比較的セカンダリーなマーケットで流通するということが多いと思うのですけれど、日本においては、少なくとも借入人の承諾がない限りはそのようなことはなされていないと理解してよろしいですか。

【都銀懇話会】  
 日本は、ここは我々が遅れていると認識はしているんですけども、ローンのセカンダリーマーケットというのはなかなかなくて、借入人様はここからお金を借りたいということで最初に契約を締結されていらっしゃいますので、どんどん流々転々とローンが譲渡されていくというところは、現状の契約の中ではあまり一般的ではないというのが現状でございます。

【森下座長】  
 分かりました。ありがとうございます。では、井上委員、お願いします。

【井上委員】  
 ありがとうございます。井上です。立替サービスと外国銀行のシンジケートローン参加について、コメントしたいと思います。

 まず、立替サービスの規制の在り方につきましては、貸金業法上の貸付け概念をどう捉えるのかという問題だと思います。一般論としては、御提案されているように、関連情報を総合的に勘案して実質判断することに賛成です。給与前払いサービスや支払代行サービスなどについては、そういった判断になろうかと思います。

 ただ、BNPLなどの販売信用に関しては、貸金業との区別は、それだけではうまくいかないと思います。永沢委員から事前に共有頂きました、全国消費生活相談員協会の意見を読みました。一定の後払いサービスについて、放置できない状況が生じていることがよく分かりました。ただ、その規制手段として、資料の6ページにありますように、「現実の金銭の交付がなくても、借主が現実に受け取ったのと同一の経済上の利益を得れば貸付けに該当する」という形で、貸付け概念を実質化して、貸金業法を適用することになりますと、現時点で貸金業規制を受けていないマンスリークリアのクレジットカード業務、あるいは個別クレジットなどの販売信用についても、区別ができませんから、貸金業規制の対象となるように思います。これは、販売信用は割賦販売法で規制して、貸金業法上の貸付けとは見ないという今までの整理について、その枠組みを大きく変えることにつながります。

 また、こういった貸付け概念の実質化を進めていきますと、ファイナンスリースなどについても、貸付けに該当するということになり得るように思います。そういう意味では、経済的実質が同じ取引に同じ規制を適用するというのが中長期的には望ましいと思うのですけれども、販売信用一般を貸付けと見るのは、現在の貸金業法の規制内容を前提とすると、実際のところ影響が大きいと思います。

 これに対し、割賦販売法の規制をマンスリークリアにも及ぼす形で改正して、それによって後払いサービスに規制を及ぼすというのは、比較的従来の枠組みに沿っているというか、先ほど御説明頂いた「日本後払い決済サービス協会の自主ルール」の考え方にも比較的沿ったアプローチかなと思います。ただ、それについては、マンスリークリアについてのクレジットカードや個別クレジットについても、割賦販売法で規制するかどうかという検討が必要だと思います。

 この点、今までどおりマンスリークリア取引一般については割賦販売法による規制はトゥーマッチである、あるいは、避けるべきであるという判断が仮にあるとすれば、問題となっているような後払いサービスは、先ほど申し上げたように、マンスリークリア取引との区別がつきにくいので、金融規制というよりは、インターネットを通じた販売業者による販売規制で適正化を図るというアプローチになるのかなと思います。

 議論としては、今申し上げたようなアプローチで、BNPLについて規制を考えるということかと思います。ただ、翻って、より根本的に規制の枠組みを考えるとすれば、中長期的には、販売信用と貸付けとの規制上の区別を今後も同じように維持すべきかを考えるべきと思います。物やサービスの買主が代金を借入れで調達するときに、貸付けの実行方法として、貸付人から直接売主に払うというのはよくあることです。住宅ローンも、銀行が住宅を買った人にいったんお金を渡して、それを買主が売主に払うということは通常はしない。銀行から売主に直接払います。大規模な取引で言えば、M&Aにおけるアクイジションファイナンスなどでも、貸主が売主に直接払うことが普通じゃないかと思います。

 そのように、貸付業務と立替払いのクレジット業務との区別は、実は既に相対化していて、予測可能性が十分に確保されている状況で区別できるかというと、そうでなくなりつつあるように思っておりまして、その意味で、将来の課題としては、それらを統一的に規制するという考え方もあり得ると思います。ただ、それには、少なくともこの後に述べます貸金業法の柔構造化がきちんとなされないと、現時点で統一化は難しいと思います。

 次に、外国の金融機関等のシンジケートローンの参加についてです。これは、貸金業法の柔構造化の問題として捉えることができると思います。貸金業法によりますと、国内の顧客に対して、業として金銭の貸付け、または金銭の貸借の媒介をしますと、国内に拠点を置いて貸金業登録をして、人的、物的体制を整備して、貸付け時には返済能力を調査して、書面交付をして、広告規制を遵守して、貸付け実行後には受取証書の交付その他をしなきゃいかんということになります。

 しかし、海外の金融機関が国内の借主に金銭を貸し付けるときに、シンジケートローンへの参加のように、ローン契約の締結には、ほかにアレンジャーがいて貸借の媒介を行い、ローンの実行後には、ほかにエージェントがいて、通常の回収や借主とのコミュニケーションを行う。そして、借主に債務不履行が生じたときも、日本に拠点のない海外の金融機関が自分で取立てたりせずに、例えば、免許のあるサービサーを利用することがきちんと確保されて、国内の借主と接触しない前提であれば、国内に拠点を置く必要はないと思いますし、様々な規制をかける必要もないと思います。もっとも、このような場合も、届出はあってもいいと考えます。

 ただ、この例は、貸金業法の柔構造化を必要とするごくごく限られた一例にすぎないのではないかと思います。内国法人であっても、例えば、国内SPCを組成して、エクイティ性のある匿名組合出資を受けて、他方で銀行借入れをして、集めた資金を貸付けで運用するデットファンドを考えたときに、SPCが貸金業登録をしなければいけないのかということですが、ローン契約の締結時に、他の銀行あるいは貸金業者がアレンジャーとなり、実行後も貸金業者あるいは銀行がエージェントとなり、不履行のときはサービサーがリテインされるのであれば、国内のSPCであっても、必ずしも貸金業法の規制をすべて適用しなくてもいい印象を持っておりまして、そういう意味で、貸金業法を、規制の目的に照らして、一定の条件の下に緩和することも考えるべきではないかと思います。

 そのほか、より一般的に、これも第1回に申し上げましたけれども、借主が法人である場合は、借主保護の必要性が個人である場合と比べて大きく異なると思います。資料の16ページに過去の改正の経緯を御説明頂きましたけれども、それを見ても、個人借主の保護が中心だと思いますから、その意味では、少なくとも一定規模以上の法人借主については、大幅な規制緩和が考えられてよいように思います。中長期的には、そういったより広い貸金業法の柔構造化を考えるべきだと思います。

 私からは以上です。

【森下座長】  
 ありがとうございました。ここで、オンラインで先に御発言のお申出を頂いていますので、オンラインのほうに移りたいと思います。時間が大分経過してきていますので、時間の管理をよろしくお願いいたします。

 それでは、伊藤委員、よろしくお願いします。

【伊藤委員】 
 ありがとうございます。伊藤でございます。私からは立替サービスについて、主に発言させて頂きたいと思います。

 18ページの立替サービスについて、予見可能性の観点から一定の判断の枠組みを示すという事務局の御提案については賛成でございます。ただ、どういった枠組みが考えられるかについては、法律構成やサービスの種類で線引きができないというのは、事務局の説明を聞いても明らかかと思っております。では、どういった観点が考えられるか。私は、今発生している課題、保護すべき利益が何かという観点から、貸金業法で規制すべき業態というのはどういうものかという視点で要素を考えていくべきだと思います。

 まず、先ほど井上委員もおっしゃいましたけれども、BNPLであるとかBPSPといったもので課題として挙げられているものの多くは、悪質加盟店に起因するところが多いのではないかと思っておりまして、この点をカバーするという意味において、立替払業者が加盟店と継続的なつながりを持っているような業態につきましては、割賦販売法であるとか、これに準ずる自主ルールであるとか、そういった枠組みで解決を模索していくべき問題かと考えています。

 そのほか、貸金業法で規制すべき課題はどういうものかと言いましたら、過剰与信であったり、高金利の手数料を取る悪質な業者や、度を超えた取立行為を行う業者といった問題であると思います。18ページで挙げて頂きました、①~③の要素は、これらの課題に対応したものと思っておりますが、ただ、①~③の要素は挙げて、それを総合判断となってしまいますと、先ほど、長内委員がおっしゃったかと思いますが、これらの要素をどっち向きにどう考えたらいいんだと問合せが逆に増えてしまうといった状況、予見可能性がかえって低下し、混乱を来たしてしまうということが懸念されますので、可能な限り、具体的な例も盛り込んだ指針を示して頂きたいと思っております。

 例えば、先ほど申し上げた販売信用のように、他の枠組みでカバーされているものは除かれてもいい業態があるのではないか、また、①の貸付けと同等の経済効果を有するかという観点については、例えば、請求書管理や勤怠管理といった事務作業が主なサービスの主体で、立替部分というのは対価のうち主たる部分を占めていない業態は除かれるのではないか。他方で、立替期間が長期間になっていないかという観点は、期間だけの問題ではないと思っておりまして、短期間であっても日掛け業者みたいなものが大変問題になったことがございますが、当該期間に応じた与信、期間に応じた手数料を設定した場合は、利息をつけた貸付けと同等と考えるべきだと思っており、期間に応じた手数料を設定した貸付けをしていないも一つの具体例になるかなと思っております。

 あと、③の資金需要者等を保護すべき必要があるかという要素に関連してですけれども、私は利用者が法人か個人かというところはとても重要な視点じゃないかなと思っています。ただ、現状は法人向けだから、直ちに貸金業法の一部は適用されないといったような取扱いが難しい法の建て付けになっておりますので、シンジケートローンのところで議論になっております貸金業法の柔構造化、法人向け融資について、もう少し貸金業法を柔構造化していくという議論は、将来的には重要であると考えております。

 外国銀行向けのシンジケートローンにつきましては、他の先生がおっしゃった御意見に追加はございません。1点だけ、範囲の明確化という観点で御質問させて頂きます。18ページについて、事務局への御質問です。1行目の「国内銀行等が」の「等」というところは、具体的には外国銀行を想定されているのかと思いますが、「等」というのがどのような形になるのか。また、同じ行のシンジケートローンに「外国の金融機関等」というところの「等」というのは、具体的には何を想定されているのかというところを明確にして頂きたいと思います。

【森下座長】  
 ありがとうございました。「等」について、何か今、想定されているものがあれば、お願いします。

【宮部信用法制企画調整官】 
 ありがとうございます。現時点でシローンを組成する者について国内銀行に限定したり、今回の緩和の対象を外国の金融機関に限定したりする必要はないのではないかということで、「等」をつけた次第でございます。

 先ほど都銀懇様から御説明のあったとおりで、組成する対象については、国内銀行には限定せず要件を満たす外国銀行も想定されているということもありましたので、今の時点では絞っていないということでございます。

【森下座長】 
 ありがとうございました。それでは、河野委員、お願いします。

【河野委員】 
 日本消費者協会の河野でございます。

 2つの論点のうち、まず、立替サービスについては、事務局から御提案頂きました既存の解釈を踏まえて、一定の枠組みを示していくという方向性に賛同いたします。新しい技術とスマートフォンのようなデバイスが組み合わさったことで、支払手段が格段に多様化してきた今だからこそ、適不適に関して柔軟な判断ができるように整理を進めて頂ければと思っております。個人が日常的に利用している各種立替サービスにおいては、既に一定の条件下で、大きな問題はなくサービスが行われておりますので、他の委員の御発言でも指摘されているとおり、様々な法律との整合性に留意して基準を考えて頂ければいいのではないかと思っております。

 次に、BNPLについてです。支払手段の一つとして、商品を確認してから支払いができること、手続が簡便であること、クレジットカードを持てない人や若年層も利用ができることなど、消費者の後払い決済サービスへの認知度や関心というのは高いと言えます。国民生活センターの注意喚起にあるような、通信販売での定期購入誘導による消費者トラブルというのは大きな問題ですけれども、この問題には様々な要因があって、中でも対策が急がれるのがダークパターンと呼ばれるウェブ上のデザインによって消費者を誤認させる手法で、これは現在、日本も含めて世界中で対応策を実施、または検討が進められています。

 ここで言う後払いサービスというのも、そうした消費者被害の一端を担っているには違いないのですけれども、他方、後払いサービスのメリット、デメリットというのは顧客側と事業者側、しかも事業者というのは健全な事業を営んでいる事業者側にそれぞれ生じていて、事業者にとって後払いというのは売上げアップにつながる反面で、恐らく代金未払いというデメリットがあり、代金の未回収や督促業務なども生じるところだと思っています。一つの問題を、そこに集中して問題解決を図るというよりは、本質を見誤らずにバランスの取れた保護と規制対応が必要ではないかと思っております。

 全くの素人で発言するのは本当にはばかられると思っておりますけれども、シンジケートローンの規制緩和については、賛否は保留し、受け止めだけをお伝えします。現状の法規制を緩和することで、外貨建ての融資を円滑に進めるという目的と手段は理解いたしました。他方、手続は煩雑だとはいえ、参入ができない状況ではないところ、本当に具体的なニーズがどのぐらいあるのかという点と、日本のシンジケートローン参入で得られた、ある種、信用力というのが、この分野だけにとどまらず、他の分野へ波及して、思わぬ影響を生じないかどうかというところが気になるところでございます。

 私からは以上です。ありがとうございました。

【森下座長】 
 ありがとうございました。それでは、松元委員、お願いします。

【松元委員】 
 松元でございます。発言の機会を頂きまして、ありがとうございます。私からも立替払いのところとシンジケートローンについて、それぞれコメントさせて頂ければと思います。

 まず、立替払いのところについて、一定の判断枠組みを示していくことについてどう考えるか、という点については、判断枠組みを示していくことが必要だろうということで、方向性に賛成です。

 その上で、今回、気になったのは、他の委員の皆様からも既に出ていますが、給与の前払いサービスについての整理です。現在示されている判断の結論に異議があるというわけでは必ずしもないんですけれども、整理としては、給与前払いサービスというのも性質としては貸付けに当たるのではないかと考えています。そのうえで、性質としては貸付けに当たるけれども、1か月以上は立替えしてもらえないし、法令で保護する必要まではないので該当性なしというような整理のほうがしっくりくるのかなという感じがしています。

 該当性を考える上で、信用力に応じて立替えなり前払いをしてもらえるかどうかが決まっているかというのが、ある程度、特に重要ではないかと思っています。そういう意味で言いますと、給与の前払いサービスも、1か月分しか立て替えてもらえない、1か月分しか前払いしてもらえないということで、まさに信用力に応じて前払いしてもらっているわけですので、そこはまさに性質としては貸付けだということを前提にしたうえで、しかし、法令で保護する必要まではないということで該当性なしという整理になるのかなと思いました。今後枠組みをつくっていく上で、その辺りも含めて、再度整理を御検討頂けると大変ありがたいと思いました。

 それから、次、シンジケートローンのほうですけれども、シンジケートローンに国内銀行などのアレンジャーがいれば、外国銀行が参加することができるようにということについては、今日の御報告、プレゼンテーションも含めて、必要性はすごく理解しましたので、方向性としては賛成をさせて頂きたいと思います。

 もちろん無条件でというわけでは当然、事務局としてもないと思いますけれども、登録していない業者が参加してくることで、具体的にどういったリスクがあるのかということはもう少し明確にして頂いて、先ほどまでの御議論ですと、特に例えば取立てのときに、無登録業者が激しい取立てをするとかということがあるかもしれないけれども、例えば、そこについては、既に出てきたように、ちゃんと国内のエージェントなり、アレンジャーがしっかり間に入って、直接取立てを行わないようにするというところまでちゃんと整理するのかどうかとか、そういった具体的に起こり得る問題というのを明確にして、そこに対する対応はしっかり取るということはぜひして頂きたいなと思っています。

 もう1点だけ、柔構造化との関係なんですが、今回アレンジャーとして国内の銀行が入っていれば外国銀行が入れるということになると、極端な話、国内銀行はアレンジャーとして入っているんだけれども、実際、国内の銀行がお金を貸す分は、例えば5%だけで、95%外国銀行が貸していますということになったとすると、実質としては、もうそれは外国銀行が、シローンという形式を取ることによって、実質的にはお金を貸せるということになってくると思います。

 そのような状況は、相手が法人であれば、外国銀行であってもお金を貸せるというような柔構造化とほとんど結論は一緒なのではないかというような気もいたします。実質的に、やっていることはアレンジャーを介せばお金を貸せるということなのであるとすると、その先の議論についても考えていかないといけないのではないかと思いました。

 私からは以上です。よろしくお願いいたします。

【森下座長】 
 ありがとうございました。こちらで対面に戻りまして、杉浦委員、お願いします。

【杉浦委員】 
 ありがとうございます。本日も様々な勉強をさせて頂きました。感謝申し上げます。まず、今日は2つのポイントがあって、1つ目が、立替サービスの部分ですけども、実質的に立替サービスの部分が貸金的であるのかどうかという部分については、一つは経済効果で判断すべきだと思っています。

 最終的な経済効果が貸金的であれば、貸金業法の中の枠に入るべきだし、そうでなければという部分が大事かと思うのですが、昔話をさせて頂くと、まさに貸金業法改正というイベントに直接関わった人間として申し上げると、貸金業法の中での最大の争点は上限金利だったと記憶しています。

 そこから考えるときに、手数料と評した実質的な高金利はやめたほうがいい、やめさせなきゃいけないという部分はあるわけです。多重債務懇のメンバーでもありますので、ここのところはもう一つ強調したいところですけども、少なくとも、過去の経緯からして、おかしな改正をすることによって、問題であったこういう部分が緩くなる方向が出てくるという話であるならば、基本的には多くの消費者系の方たちにとって、貸金業法の緩和については、相当な抵抗があると認識をして頂いたほうがよろしいかと思います。

 ただし、現状の規制を維持しつつ整理をするという判断であればいいと思いますし、少なくとも、給与前払いサービスでもいろいろな理由をつけて、会社の信用力を見ているんですとかいろいろな形の説明する方もいらっしゃるようで、金融庁の過去の回答もその説明づけによって、改正貸金業法直後と、最近の事例とでは、回答が異なっているはずです。そこの部分のぶれが今回の整理されるのであれば、それでよろしいのかと私は思いました。

 ただし、もう一つこの点で申し上げると、今回の事務局からの資料のまさに16ページにあるわけですけども、貸金業法の柔構造化という言葉で皆さん方語られるわけですけども、少なくとも過去の改正を平成の段階で行ったとき、どういう説明を当時したかということですと、貸金業は、銀行とかそういうところでは借りられない人や企業がいるとか、柔軟な借入れを銀行から行えない場合に貸金業といったものを活用するという業に対する認識で行われたはずですよね。とすれば、今回、柔構造化で言われている部分のところは、大口のローンであったりとか、そういったものであって、やや従来の言われた、この法律が、そもそもどうつくられてきたかという経緯から考えていくと、ちょっと違ったものを議論しているような気がします。柔構造化でなくて、抜本的な改正にほぼ近いことをしなきゃいけない。つまり、業のなかに第一種、第二種、さらには第三種を設けるのか、そういった話に近いと考えます。

 そこの脈絡を含め、今回の出てきたもう一つの論点の部分ところ、外国銀行のシンジケートローンの話についても、貸金業法というところの枠にはまっているか、はまっていないかという議論をされている部分はあるわけですけども、大口の融資がシンジケートローンで行われるとするならば、そしてシンジケートローンに参加している、参加しようとしている外国法人が金融機関、その金融機関は恐らく銀行と思いますが、そして中にいるアレンジャーも銀行であるとするなら、まず、一つ考えなければいけないのは、貸金業法をどう緩和するかではなくて、国内のアレンジャーの方たちが、外国銀行、支店がない外国銀行を呼び込むということであれば、これは付随業務の一つとして、銀行法の中で議論するということもあってもいいんじゃないかと私は思ったりします。

 つまり、アレンジャーである中心にある銀行、国内銀行が、その外国銀行は大丈夫ですといって連れてくるという一種の媒介・保証業務ということに判断できるわけです。そうなったときに、一つ示唆になるのは、先ほど都銀懇話会の方々のほうからもありましたし、かつて金融庁も調べる中で、今回の御提案の中にあるようなものについては基本的な規制がないというのはそうかなと思ったのですが、実際に、数日前にブリュッセルのEU本部に私が確認をしましたが、得られた回答は、いや、何にもないわけではないというのが結論でした。ただ、法律的に何かという話は分かりませんでしたが、せめて届出ベースのものはあるんですということです。やはり怪しげなところが入ってきて、シンジケートローンに参画していいのかというと、それはそのまま放置するわけにはいかないでしょうという話でした。

 ただ、それは各国の銀行法や各国の金融法制、様々なものの中で多少ずれがあるようでありまして、具体的にどのようなものが規制の根拠になっているのかということについては、すいません、時間不足というか、調べきれていなかったというところがあります。

 その上で、もう一つの側面で申し上げると、今回の話の中で、先ほど都銀懇話会のほうからも外国銀行の国内支店に関する配慮あるお話があったので、若干安心した部分はありましたけども、従来からある外国銀行国内支店との規制監督の在り方と平仄を合わせる必要があると思います。従来、外国銀行に関する規制監督というのは、銀行免許や在日支店の開設ということを一つの根拠として、言わば拠点中心主義という形でなされてきました。今回、シンジケートローンに限定するとはいえ、拠点がない外国銀行に、拠点がなくても国内企業に貸付け可能な措置をやるということは、一言で言ってしまえば、大きな思想改革というか、思想転換ということになる。

 今回の議論というのは、ある意味で言うと、銀行法における外国銀行の条文の部分についても一定の改正があるということが前提でないと、この話はなかなか平仄がつかないんじゃないかとも考えています。

 私からの意見は以上です。

【森下座長】 
 ありがとうございます。それでは、堀委員、お願いします。

【堀委員】 
 御説明ありがとうございます。私からは立替サービスと外国銀行等のシンジケートローン参加に関して、それぞれ申し上げたいと思います。

 まず、立替サービスのうち、BNPLにつきましては、皆様のこれまでの御意見にもありましたとおり、私もクレジットや販売信用として行われてきた行為と、貸付けとして貸金業法の下で規制されてきた行為が、今までも分別されて規制されてきたと承知しております。商品サービスの支払いに向けた立替えということであるとすると、基本的にはクレジットや販売信用の世界で行われてきていると承知しております。

 幾つかの例でありましたように、最初から与信枠のようなものを設定して、繰り返し与信していく場合には、恐らく割賦販売法上の包括信用購入あっせんの定義にも当たるだろうと思いますし、立替期間が長いようなものは、一つ一つの商品購入に対しての与信であったとしても、個別信用購入あっせんに該当する部分はあろうかと思いますので、そうした既存の枠組みの中でカバーされるものというものは、そこで見られていくべきものでございまして、マンスリークリアのBNPLについて、今、適用除外になっているということであるとしても、だからといって貸付けだと、貸金業法だというよりは、販売信用やクレジットの流れの一環として、基本的には経産省所管の行為の一部として所管して頂くのが適切だろうと思っております。

 悪質加盟店の排除というのは急務だと思いますので、こちらについては、自主ルールも含めてやって頂いていると承知しておりますし、そこで何か不足があるということであれば、引き続き、事業者と経産省様のほうで、よりそこを見ていくというような仕組みが必要であろうと思います。

 一方で、BPSPや支払代行サービスなど、今回実態調査をして頂いている類型について、分かりやすくおまとめ頂きましてありがとうございます。また、給与前払いサービスも、企業が人材獲得のために使っている福利厚生のためのサービスということでありまして、だからといって、その類型が全て外れるというものではなく、個別事例に応じて御判断頂くということだろうと思いますが、仮に不当な手数料を取っているということであるとすると、その手数料の対価は何のために使われているのかや、利率なども見ていきながら、貸付けかどうかということを個別判断されていくということだろうと思います。

 いずれにせよ、何が立替サービスとして貸金業法のかからないサービスなのかというのが、現状、不明確なために萎縮効果が生じている部分があると承知しております。18ページ目でおまとめ頂いた要素を指摘して頂くガイドラインなどでメルクマールを示して頂くということについては、私としても賛成でございます。

 もしここに付け加えるとすると、例えば、サービスの目的、経済的効果といったものを判断する中で、債権債務関係の発生を前提とした立替えであることということが必要な要素になってくるのかなと思っております。もちろん立替サービスについてと書いてあるので、そういうのを前提にはなっていると思うのですけども、何ら債権債務関係の解消に向けた行為ではないような、真水の資金を拠出しているということになりますと、貸付けに近くなってくるのだろうと思います。

 また、もしガイドラインをつくって頂くなら、別の業態として除かれるものはそちらで見られるということも明らかにして頂けると、事業者としては判断がしやすいのではないかと思います。例えば、ファクタリングや保証など、自己の債権債務として履行される、行使されるというようなものは除くべきであると思いますし、もちろんこれは立替えと言いながらも、債権債務関係を一瞬だけ引き受けるようなものというのは、これは潜脱行為になるわけですけれども、貸付けと債権譲渡のメルクマールというのは別途、貸金業法の解釈の中でも示して頂いているような真正譲渡性なども大事になってくると承知しておりまして、そうした、きちんとリスクを引き受けているようなものというのは、また、別の議論として、サービスとして認めて頂けるものだと承知しております。

 また、資金移動業の中でも、送金資金が後払いで支払われていくというようなケースもありまして、これは横浜地裁の判示にあるように、こうした資金移動の類型もサービスとして認められるというような考え方だと思います。こうしたものについても、立替サービスで議論になっているものとはまた違うのだという解釈をお示し頂くというのはあり得るのではないかと思っております。

 以上が立替サービスでございまして、外国銀行等のシンジケートローン参加について、もともと個人消費者向けの貸金業法の規制が、なかなか法人向けの融資についてワークしないというような声がある中で、今回御提示頂いたもの、外国の金融機関等のシローン参加という場面においても、そうなのだろうと思います。必要な改正は、法人向けの貸付けということに関して、現状の貸金業法の中で不要と思われる規制があるとすれば、柔構造化の観点から見直して頂くのが適当と考えます。

 この場合、外国の金融機関だけではなくて、日本国内における事業者においても法人融資をしたいという企業はおりますので、こうしたところも含めて、併せて認めて頂けるとすれば、例えば、取立て規制であるとか、書面交付義務であるとか帳簿作成義務の内容、人的要件の緩和というのは等しく要望としてあると理解しておりますので、こうした規制が、果たして法人融資については不要な部分もあるのではないかという観点から見直して頂くのは適当と考えております。

 なお、外国銀行等が日本国内でシンジケートローンに参加する場合、営業所などが不要だということで、御要望として理解しておりますけれども、例えば、国内登記は求めるべきではないかであるとか、そうした場合の税務上の取扱いも含めて、論点はあろうかと思っております。貸金業法だけの問題ではないと思っておりますけれども、そうした問題意識も踏まえつつ、他の法令とも整合的な内容として頂ければ、御指摘のとおり、御検討を進めて頂くことには賛成でございます。

 以上です。

【森下座長】 
 ありがとうございました。それでは、永沢委員、お願いします。

【永沢委員】 
 ありがとうございます。永沢でございます。本日は、貸金業法の柔構造化という観点から、立替サービスと、それから外国銀行等のシンジケートローン参加の問題が対象となっているという理解でおります。

 まず、立替サービスにつきましては、多くの委員がおっしゃっていましたように、新たに登場しているサービスについて、すぐに新たな規制をつくるよりも、既存の法律をどう適用していくかを考えるという対応に賛成いたします。また、利用者保護と事業者の予見可能性の観点から、判断枠組みを示していくことから始めるという考え方にも賛成をいたします。事務局から新たに登場しているサービスについて一覧にして整理をして頂き、これは大変参考になりました。

 その上で、私は消費者の立場で参加しておりますので、他の委員からも様々な御意見が出ておりましたが、特にBNPLについて意見を述べさせて頂きます。まず、事務局に対して、審議の時間が全体的に限られている中で、BNPLの問題を取り上げて頂きましたことに御礼を申し上げます。

 事前に皆様にも事務局を通じて全国消費生活相談員協会が9月19日に金融庁長官宛に提出された意見書を共有させて頂きました。全国の消費者センターにBNPLに関する相談が多数寄せられています。利用者の過剰債務問題に加えて、日本固有の問題として、割賦販売法のマンスリークリアの部分に規制がかかっていないことから、悪質な事業者が詐欺的な取引の決済にBNPLを利用するということが起きており、悪質なビジネスモデルがはびこっている状況にあり、しかも、金融リテラシーが高くない消費者がトラブルに巻き込まれており、看過できない状況になっています。

 悪質な事業者による詐欺的な取引の問題は、消費者庁でも議論をしていただいており、ダークパターンに対する広告規制等で対応して頂いているところですが、トラブルや被害が止まる兆しがないので、相談員協会が金融庁長官宛に、決済のところで何とか止めることはできないかということで意見書を出してこられたという事情は、ぜひ御理解頂きたいと思います。私どもも割賦販売法での解決を期待しているのですが、なかなか難しいようで、動きがないものですから、行為の経済的効果に着目して、貸金業法の柔構造化の議論に乗せることができるかもと期待したわけですが、本日の皆様の議論をお聞きしながら、それはかなり難しいということを改めて理解いたしました。特に、井上委員には、この問題の解決の方向性について、丁寧に分かりやすく整理して頂き、ありがとうございました。先生でも難しい問題だとおっしゃるわけですから、なかなか簡単にいかないということも理解いたしました。また、堀委員からの御指摘のように、割賦販売法で対応すべきであり、経済産業省様に動いて頂くようお願いすべきであることを改めて理解いたしましたが、金融庁におかれましても、これは他省庁の案件であるとして傍観するのではなく、キャッシュレスという国の施策の中で、この問題は起きているとも言えるわけですから、金融庁も他省庁と協力してこの問題に厳しく対処していただきたいと思いますし、対応方針を明確に示して頂くことを期待します。

 続いて、外国銀行等のシンジケートローンの参加の問題につきましては、私も消費者で素人ですので、軽々に発言はできないのですが、本日のプレゼンテーションをお聞きして、ニーズがあることに分かりましたし、貸金業法の柔構造化が必要であることも理解いたしました。1点申し上げたいことは、改正貸金業法がつくられてきた立法趣旨というものがありますので、保護すべき利用者の保護が緩くなるようなことはあってはいけないということを申し上げます。その上で、同じような経済効果を有する事業活動には同様の法規制をという考え方で進んでおると認識しておりますので、貸金業法を適用するということにはなるのでしょうけれども、保護すべき利用者や、保護法益が異なるようにも思いますので、他の委員からの届出制という御提案は検討に値するのではないかと思います。

 私からは以上でございます。

【森下座長】 
 ありがとうございました。これで今日御出席の委員の皆様から一通り御発言を頂いたと思いますけれども、少しだけ時間がありますので、委員の方、あるいはオブザーバーの方も含めて、御発言があればお願いしたいと思いますが、では、国際銀行協会さん、お願いします。

【国際銀行協会】 
 ありがとうございます。国際銀行協会から参りました鳥海です。

 私からはシンジケートローンにつきまして、都銀懇さんに御質問、それから委員の皆様も含めて意見を、それから最後に金融庁様に要望を申したいと思います。

 まずは、都銀懇様への御質問なんですけれども、先ほど長内委員、それから松元委員もおっしゃっていたかと思うんですが、拠点がない外国銀行がシンジケートローンに参加することが認められるとして、何割ぐらいが適正なレベルなのかといったイメージはございますでしょうか。

 借入企業さんが承諾して、かつ参加希望の外銀が手を挙げる限りは、幾らでも、太宗を占めても特段問題ないとお考えなのかどうか。その問題の背景としましては、今回は日本企業に対峙した場面での要望だと思うんですけども、当然、邦銀さんは海外でもビジネスをなさっておられまして、外貨建てのビジネスをなさっていると。ここは潤滑に維持しておられると思うんですけれども、その一方で、国内の企業には外国の銀行のお金を充当すると。こういう構図にも見えるわけなんですけれども、果たして適正レベル感、何かイメージがあるのであれば教えて頂きたいなと思っております。

 それから、これは皆様への意見になりますが、従来、外国銀行に対しては、規制監督の着眼点として、ローカルガバナンスの確立、徹底ということを金融庁さんからきつくおっしゃられておられまして、私どもも態勢整備に努めてきた次第であります。これは杉浦委員もおっしゃってくださっておりましたけども、今回、貸金業法の見直しというお話なんですけれども、そこだけをとらまえると、やや単線的というか、直線的に御議論が進んできているのかなという印象を受けております。もう少し、私どもから見ると、複眼的にこの問題をとらまえて頂いてもよろしいのかなと思っております。

 一つはもちろん、井上委員をはじめ、皆さんおっしゃられたように、貸金業法を柔構造化してはどうかと。実は、私どもも借入人が一定規模以上の企業であるとか、貸付人が銀行などである場合に、柔構造化の余地があると考えております。

 もう一方の側面は、これは外国銀行に対する規制監督、あるいは外国銀行による媒介をどう規制・監督すべきかと、こういったお話であるはずでありまして、ここの部分の側面があまり俎上に上らずに、御議論されないまま、シローンの緩和だけが話として進んでしまうのではないかなという印象を持っております。釈迦に説法でございますけれども、初回にも少し御紹介申し上げましたけれども、外国銀行に対する規制の実態、あるいは代理・媒介に対する規制・監督の在り方として、当然日本の銀行免許を取得しなければいけませんし、支店も開設しなければいけないと。さらに、2008年に外国銀行代理業務という制度が導入されておりまして、外国銀行の海外拠点、これはすなわち本店とか支店とか兄弟銀行ですけども、これの商品・サービスを国内顧客に提供する際には、在日支店が代理・媒介することが必須とされております。海外拠点を特定した上で、外銀代理の認可を取得しなければいけない必要がありまして、しかも資本関係は50%を超えていないといけないと、そうしたところしか適格でないということです。

 9月10日時点で、金融庁さんのホームページにデータが載っておりますけれども、外銀支店は、全ての拠点について認可が必要です。施行以来、15年かけて39行が114拠点に対する認可を取っておりまして、最大の銀行は19件取得しています。19件といっても、彼らはグローバルに何十拠点もありますので、15年かけてやっと19件取っていると。

 具体的な実務としては、海外拠点の役職員が来日して、国内顧客と接触する際には、単独で訪問することはできなくて、在日支店のスタッフが随行するなど、きちんと管理・監督する責任があります。あくまでも、代理・媒介を行う在日支店のスタッフが前面に出て、海外拠点の者はそれのサポート役に徹すると、こういった建て付けです。

 対しまして、邦銀さんの場合は、海外支店というのは本店と同一の法人格ですので、認可とか届出は必要ないと。海外に設けた現地法人のみが届出の必要があって、6行さんが31件の届出をしておりますが、これはほぼ、2008年の施行時に届出は済ませておられます。かように、実感として外銀代理制度の規制の負担感というのは、かなり格差があるというのが正直なところでございます。

 こういった制度の下で、私ども外銀支店は媒介しているところに、今回は拠点がない外銀であっても、シローンに限れば、日本企業向けに貸付けをすることを認めていいと、こういったお話になっているわけなんですけども、この彼我の差をどうやって整合性を取って頂けるのか、銀行法の見直しも不可避だと拝察いたしますので、ぜひ御検討を深めて頂きたいと思っております。

 次に、金融庁さんへの要望になりますけれども、シローンに関する見直しが成案となると仮定した場合の要望を申し述べて締めくくらせて頂きたいと思います。

 シローンへの外銀の関与の仕方としては主に2つのパターンございまして、これは先ほどの加藤委員の質問にもお答えできる部分があるかと思うんですが、一つのパターンは、シローンの組成よりも参加するのがメインなパターンで、この場合に拠点がないのに参加できる外銀が増えるというのは、端的に申して競合相手が増えますので、外銀在日支店に対する規制を軽減して頂かないとバランスが取れない。

 具体的には、資本関係が50%超えていないといけないといった制約は撤廃されるものと存じますし、シローンに参加するだけであれば、私どものような在日支店が現状は媒介していますけども、こういった媒介を必ずしも必要とせずに、私どもの海外拠点がシローンに参加しても差し支えないと、こういったことになろうかと理解しております。もし違うようであれば御教示頂ければと思います。

 シローンへの関与のもう一つのパターンは、組成がメインということであります。組成してなんぼだと、こういった銀行もございます。その場合、まず、1点目に、通貨建ての問題がございまして、今、諮問の内容としては、外貨建てということで話が始まっているんですけども、円建ても排除しないで頂きたいと思います。シローンの契約の中にはマルチカレンシーというものもございまして、例えば、米ドルと日本円の両建てとか、もう少し多くの通貨が入っているものもございます。当然、借入企業さんの利便性にお応えするものですので、円建ても排除しないで頂きたいと思います。

 2点目として、組成とは何かと、どこで組成するもの、誰が組成するものなのかというポイントがございます。事務局の資料では、国内で組成とか、国内銀行が組成というくくりになっているんですけれども、御留意頂きたいのは、邦銀さんが組成する場合と、外銀支店が組成する場合では初期条件が異なるということです。すなわち、邦銀さんの組成チームは国内に所在して完結しているものだと存じますけれども、外銀の場合は、組成チームの中心は海外拠点にございまして、これと在日支店が連携・協働して組成しております。これは全て銀行法の建て付けに則って営んでいる業務でございます。

 したがいまして、国内で組成とか国内銀行で組成という条件が課されてしまいますと、外銀の業務実態を踏まえておらず、外銀支店から見ますと、現状の否定・後退に映ってしまいます。それを避けるべく、要望としましては、海外拠点のチームが組成するシローンであっても、今回の見直しの対象として適格であると、こういった扱いを要望いたしたいと思います。

 これに関連して、3点目ですけども、日本企業の海外事業では、借入主体が日本国内ではなくて、海外に設けられた現地法人であるケースもあります。これは都銀懇さんのヒアリング内容にも、その旨の記載があったとおりでございまして、この場合、組成は海外において、しかも海外の、外銀の海外拠点が組成すると、こういったケースもございますので、こういったパターンも今回の拠点がない外国銀行が参加する対象として是認して頂きたいと思います。

 最後、4点目になりますけども、レシプロの観点から申せば、外国銀行の海外拠点、例えば米国の銀行の本店が外国企業、米国企業のために組成する、海外で組成するシローンというのも当然ありまして、その場合、借入人として、グローバルな企業でございますので、日本法人が含まれるという場合もあります。かような場合にも、国内に拠点がない外国銀行がそのシローンに参加していても是認して頂くということを要望したいと思います。

 長くなりましたが、以上でございます。

【森下座長】 
 ありがとうございました。都銀懇さん、御質問がありましたけれども、特にありますか。

【都銀懇話会】 
 現時点で、外国銀行と貸金業法の外国銀行等の割合ってどうなのという話ですけども、ここは実際に動いてみないと分からないというお答えでございます。

 当然、海外の金融機関とかグローバルプラクティスとして、アレンジャーがテイクする、つまりアレンジャーが案件組成時に自らも自行で貸付けを行うということがグローバルプラクティスではありますので、我々アレンジ行為をする人たちが入って、それに対して資金を供給してくださる方を呼ぶということですので、その割合がどれぐらいであるかと、どれぐらいでなきゃいけないのかというのは、今後細目を詰めればいいかと思うんですが、目線を出すか、出さないかも含めて、そこは御議論かなと思っています。

【森下座長】 
 予定の時間を過ぎておりますけども、あと少し、オンラインで御発言の希望がありますので、少しだけ延ばさせて頂きたいと思います。全国銀行協会さん、お願いします。

【全国銀行協会】 
 安地でございます。ありがとうございます。クイックにそれぞれの点について、コメントさせて頂きます。

 まず、立替サービスについて、実態を踏まえて御判断頂くという方向で違和感ございません。ただし、その基準を定めるに当たっては、実務を踏まえて頂きたいなと考えております。あまり単純な基準にはならないと思いますが、例えば利用者の信用力を見ているかという点について、ビジネスの戦略上、ポートフォリオ与信というものがあるので、要はプライス一本でいくという判断は十分にあり得ると思います。単純に与信の取り方だけで判断されないと思いますが、そのような実態なども踏まえて頂けますと助かります。

 もう1点も立替サービスについてで、複合的なサービスについてです。例えば、前回議論頂いた資金移動業で滞留規制が緩和されて、その資産保全を銀行保証にしますと、滞留している資金を用いて運用できて、立替サービスを貸金業すれすれのところで止めれば、貸金に近いものを資金移動業者ができることになります。これは、両方のルールを満たしていれば問題ないと思いますが、総合的に見て潜脱的な行為がないかという観点でも、将来見ていく必要があるのではないかと感じました。

 2点目のシンジケーションについては、当行自身が都銀懇話会のメンバーですので、本日、御説明があった内容はそのとおりなのですが、一点だけ補足しますと、アレンジャーの責任が大きくなることから、しっかりと対応しなければならないと思います。もし将来これをお認め頂けるのであれば、しっかりと務めて参りたいということと、現在、3メガなどは、シンジケーションのネットワークはグローバルに築いておりますので、そのような能力・実務については、懸念はないのではないかと思っております。

 以上でございます。

【森下座長】 
 ありがとうございました。それでは、新経済連盟さん、お願いします。

【新経済連盟】 
 新経済連盟です。私からは立替サービスについて、3点ほど申し上げたいと思います。

 まず、今表示して頂いている18ページにあるところで、判断の要素と判断基準を、総合判断ではあるものの、ある程度、明確化するということだと理解しました。気になっているのは、明確化の手法として、どういうものを考えていらっしゃるのか。先ほどの皆さん、委員の発言を見ると、ガイドライン等を想定しているのかなと思いましたけど、手法として何を考えているのかを教えて頂きたいというのが1点。

 それから、要素と判断基準というのを考えたときに、今、5ページの右図に、過去に貸金業と判断したものの図があるんですけれども、これはかなりシンプルに単純化したものですので、18ページに載っている①から③の要素は、5ページの右図では判断できないかなと思っていますので、たとえ、今既存のサービスで、右側の図に当てはまりそうだなと思っても、それだけでは必ずしも貸金業に当たるとは考えていないということを明確にして頂きたいと思います。

 いずれにしましても、手法がどうなるかにもよるんですけれども、立替スキームを含む既存サービスで問題なく行われてきたものを阻害しないように、実態把握をしっかりきめ細かに行った上でやって頂きたいと思いますし、今まで他の委員の方からあった、他の判断基準、あるいは要素としてこんなものがあるんじゃないかというものをしっかり整理して、既存の問題なく行われているものに影響が出ないようにして頂きたいなと思いました。以上です。

【森下座長】 
 ありがとうございました。今の明確化の点については、今後、検討ということですよね。

【宮部信用法制企画調整官】 
 明確化については、法制化みたいなところにこだわっているわけではございません。監督指針なり、ガイドラインなり、今回のワーキングの取りまとめといったところで明らかにできれば、その手法自体にこだわっているわけではないということでございます。

【森下座長】 
 ありがとうございました。それでは、日本貸金業協会さん、お願いします。

【日本貸金業協会】 
 日本貸金業協会、常務執行役の土井でございます。発言の機会を頂きまして、ありがとうございます。私からは貸金業法の柔構造化などに関して、意見を申し上げます。これまでの皆様の御意見と重複する部分もございますけれども、御容赦頂きたいと存じます。

 まず、こうした新しい課題について、現行の貸金業法下で適切な規制のあり方を検討することというのは限界があると考えております。平成18年、改正後の現行貸金業法は、御存じのとおり、重要な制度である総量規制、上限金利規制をはじめとして、多重債務問題に対処することが主たる目的となっておりまして、かつ、20年近く法の見直しは行われておりません。

 そこで、今回のように新しい課題を議論するに際しては、現行貸金業法の見直しについて、幅広に御検討頂きたいと考えております。その際には、現在の多重債務問題ですとか、登録貸金業者数の推移ですとか、加えて、IT技術の発展による生活様式の変化などを踏まえまして、時代に沿った新しい制度を御検討頂けたらと考えます。

 次に、規制の画一性という問題もあると思っておりまして、すなわち、貸金業法では、資金需要者等が法人か個人か、貸付期間が長期か短期か、有担保か無担保などに関わらず、いずれも貸金業者として、同一の登録制度が設けられ、同一の詳細かつ厳格な規制がなされています。

 この点について、資金決済法や金融商品取引法などが第一種事業者、第二種事業者のような形で、事業内容に応じた規制の強弱を設けていることを踏まえまして、貸金事業においては、与信額、与信期間、個人、法人の別、法人については規模等も考慮した資金需要者の属性などで、過剰貸付け等のリスクが大きく変わることを前提にいたしまして、登録制度及び業者規制の多様化、柔軟化を検討することが必要だと考えております。

 以上のような点を踏まえ、種々の資金需要者が適正に保護されて、かつ利用者の利便性を担保すべく、貸金業法を抜本的に見直すことについて御議論頂きたく、切に希望いたします。

 発言は以上です。ありがとうございました。

【森下座長】 
 ありがとうございました。それでは、フィンテック協会さんお願いします。

【Fintech協会】 
 どうもありがとうございます。Fintech協会副会長の落合です。今回、丁寧に御整理頂きまして、立替サービスについても類型を御整理頂いたと思っております。

 我々から1点申し上げたい点としましては、今後、判断を明確化して頂くに当たり、よく事業実態を見つつ、割賦販売法であったり、そういった他法との関係性、また、与信の実質があるかといったような点も踏まえて、当協会とも議論をしながら丁寧に御整理を頂ければと思っております。以上でございます。

【森下座長】 
 ありがとうございました。あとはよろしいでしょうか。

 それでは、本日頂きました御説明ですとか、あるいは御意見を踏まえまして、今後さらに議論を深めて頂きたいと考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 それでは、最後に事務局から連絡事項などありましたら、よろしくお願いします。

【宮部信用法制企画調整官】 
 次回の日程につきましては、皆様方の御都合を踏まえた上で、後日事務局より御案内させて頂きます。よろしくお願いいたします。

【森下座長】 
 それでは、以上をもちまして、本日のワーキング・グループを終了します。どうもありがとうございました。
 

―― 了 ――

お問い合わせ先

金融庁 03-3506-6000(代表)

企画市場局総務課信用制度参事官室(内線:3572、3556)

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