金融審議会「資金決済制度等に関するワーキング・グループ」(第5回)議事録
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1.日時:
令和6年11月21日(木曜日)13時00分~15時00分
2.場所:
中央合同庁舎第7号館 9階 905B会議室 ※オンライン併用
金融審議会「資金決済制度等に関するワーキング・グループ」(第5回)
【森下座長】
それでは、定刻になりましたので、ただいまより資金決済制度等に関するワーキング・グループの第5回会合を開催します。皆様、御多忙のところ御参加を頂きありがとうございます。
本日の会合も、前回に引き続き、オンライン会議を併用した開催とし、会議の模様はウェブ上でライブ中継させて頂いております。
また、議事録は、通常どおり作成の上、金融庁のホームページにて後日公開させて頂く予定ですので、よろしくお願い申し上げます。
ただいまより議事に移ります。本日は、事務局より御説明を頂き、そしてヒアリングの後、全体について、まとめて委員の皆様より御意見や御質問を頂くという流れで進めさせて頂きます。
それでは、まず事務局より御説明をお願いします。
【久永デジタル・分散型金融企画室長】
事務局から資料の御説明をさせて頂きます。今回は、暗号資産、電子決済手段関連のトピックを取り上げさせて頂きます。
1ページ目は目次でございます。
3ページ、これまでどおり、第1回で頂いた主な御意見をまとめております。詳細は割愛させて頂きます。
4ページ、政府の閣議決定文書の抜粋でございます。金融審議会でも御紹介した内容でございます。詳細は割愛させて頂きます。
5ページからが1つ目のトピックでございます。
6ページ。事業者の間で暗号資産等の媒介のみを行いたいというニーズがあると聞いております。具体的には、幅広い顧客基盤を有するゲーム会社や通信会社等が、自らが提供するゲームアプリやアンホステッド・ウォレット等において、暗号資産交換業者、電子決済手段等取引業者とユーザーの間で暗号資産、電子決済手段の取引の仲介を行うニーズがあると聞いております。下の図でそのイメージをお示ししております。こうした仲介行為は、その態様によっては媒介に該当いたします。媒介を行う場合は、暗号資産交換業等の登録が必要となります。
※1、媒介の定義ですが、過去のワーキング・グループ報告からの抜粋でございますが、他人の間に立って、他人を当事者とする法律行為の成立に尽力する事実行為とされております。
※2でございます。実務上、ゲームアプリやアンホステッド・ウォレット等の中で取引が行われるのか、暗号資産交換業者等のアプリ等に切り替わって取引が行われるのかによって媒介の該当性が判断されると誤認されている向きがあるように聞いております。仲介者が取引の画面を自ら提供するか否かというのは、媒介該当性を判断する際の一要素ではあるものの、当該要素をもって媒介該当性が一義的に導かれるものではございません。例えば、仲介を営む事業者のアプリ等の上において取引の画面が提供されず、暗号資産交換業者等のアプリに遷移した後に取引が行われる場合であっても、媒介に該当する場合があり得ると考えております。
7ページは参考資料でございます。現行の暗号資産交換業、電子決済手段等取引業に関する規制の概要でございます。詳細は割愛させて頂きます。
8ページ、こうした状況をどう考えるかということでございます。事業者のビジネスが暗号資産、電子決済手段の媒介に限定されている場合、当該事業者は暗号資産等の取引の当事者となるものではなく、利用者の資産の預託も受けないため、利用者に生じるリスクは限定的と考えられます。また、取引当事者となる暗号資産交換業者等が適切にAML/CFTの対応を行うことを前提にしますと、媒介を行う者に対してAML/CFT規制を改めて課す必要性は低いと考えられます。
このように、事業のリスクが限定されるにもかかわらず、交換業者等と同一の規制を課すことは、イノベーションの阻害につながるおそれもございます。また、利用者保護の観点からも、リスクに対し必要十分な規制の枠組みを設けることで、当局の監督を受け入れやすくし、明確なルールにのっとった業務運営へいざなうほうが望ましいと考えられます。したがって、媒介のみを行う者に対しては、暗号資産交換業等とは異なる新たな業を創設し、リスクに応じた規制・監督を行っていくことを御提案しております。
9ページでございます。具体的な規制案として、他の金融業法における仲介業の規制を参考に、利用者資産の受託を認めないこととし、利用者保護や広告規制等を中心とする規制をかけてはどうかと考えております。仲介業者と、取引をつなぐ先である暗号資産交換業者との関係、また財務要件については次のページで検討しております。
10ページでございます。まず、取引をつなぐ先である暗号資産交換業者等と仲介業者の関係でございます。既存の仲介業は、特定の金融機関等への所属を求める所属制と、そうでないものがございます。所属制を採用している仲介業では、所属先の金融機関等は、仲介業者を指導・監督する義務や、利用者に加えた損害を賠償する責任を負うものとされております。他方、所属制を採用していない金融サービス仲介業では、取扱可能なサービスを制限し、かつ、保証金の供託等の義務を課すことによって利用者保護を図っております。
今回新たに創設する仲介業についてですが、仲介の対象が暗号資産、電子決済手段に限られる、逆に申し上げると、金融サービス仲介業のように幅広い業態の幅広い商品を扱うということではないことが想定されますので、所属制を採用し、所属先の暗号資産交換業者等に対して指導・監督の実施を求めてはどうかと考えております。この場合、利用者に損害が生じたときは、所属先の暗号資産交換業者等が原則として損害賠償責任を負います。仲介業者による利用者資産の受託が禁止されていることを併せて考えますと、財務要件を課す必要性はないと考えられます。
11ページからが電子決済手段、ステーブルコイン関連のトピックでございます。まずは預金取扱金融機関、「預取」と呼ばせて頂きますが、預取による電子決済手段の発行です。
12ページでございます。電子決済手段、主に2種類ございます。1つ目が1号と言われるもので、下に2つ点線の四角の上のほうの青い太字で定義が書かれております。暗号資産と類似の定義でございますが、通貨建資産であるかないか等が異なります。もう一つが信託スキームを使った特定信託受益権で、3号電子決済手段と呼ばれております。
1号電子決済手段の発行者についてでございますが、右上の※印のところでございますが、電子決済手段を発行・償還する行為が為替取引に該当するという整理の下で、為替取引を業として営むことのできる預取や資金移動業者が発行者として想定されております。ただし、一番下の四角にあるとおり、預取が電子決済手段を発行することについては慎重な検討が必要という立場を当庁はパブリックコメントへの回答でお示ししております。
13ページでございます。預取や資金移動業者は、電子決済手段に限らず、より広いデジタルマネーの発行者でもあります。それぞれのケースにおける利用者財産の保全方法を整理したのが下の表でございます。縦軸は、本人確認済みの者にのみ移転可能で、移転に発行者が関与するものと、そうでないものに分けております。前者は、預取であれば銀行預金の枠組み、薄い青のところでございます。資金移動業者であれば供託等による資産保全の枠組み――黄色のところでございます――という従来の枠組みで発行が可能となっております。銀行が発行する場合に慎重な検討が必要としているのは下段の、この表でいうDのところでございます。この発行を許容するのか否か、許容する場合の規制の枠組みについては、次のページで御紹介するように、様々な論点があると考えております。
14ページでございます。基本的な考え方のところでございますが、預金が1号電子決済手段に該当しないといたしますと、1号電子決済手段の発行を認めることは、要求払い性の負債でありながら預金ではないものの発行を預取に認めることになります。それが預取の適切な業務運営に資するのか、利用者保護、預取の健全性や金融システムの安定を確保できるのかといった点を慎重に検討する必要がございます。
敷衍いたしますと、下の関連論点①というところですが、利用者保護に関連して、利用者財産をどう保全するかという点があります。預金とは異なる負債ですので、預金保険制度を適用することは困難です。この場合、裏付け資産の保有など、別の方法で利用者財産の保全を図る必要がございます。その方法も様々なオプションがあるところでございます。また、関連論点②のところですが、預取の健全性や金融システムの安定について、例えば、預取の負債が預金から電子決済手段に大規模に振り替わった場合における流動性リスクや金融仲介機能への影響も考える必要がございます。また、次のページで御紹介するように、銀行発行ステーブルコインについては、国際的にも慎重な議論がされているところでございます。
基本的な考え方の小さいポツの2つ目のところに戻って頂きまして、仮に預取による1号電子決済手段の発行を認めることとなった場合も、例えば資金移動業者が発行する場合の枠組みを踏まえつつ、どのような規制を及ぼすかも検討する必要がございます。このように様々な論点がある中で、国際的にもほとんど発行実績がなく、我が国でもニーズが乏しく具体的な発行計画がないことを踏まえますと、当面は内外の情勢を見極めつつ、中長期的観点から検討することが適切と考えております。
15ページ、参考資料で国際的な動向や議論をまとめたものでございます。EUでは、法制上、銀行による発行は可能でございます。英国では当局のガイダンスにより、銀行は発行を認められておりません。アメリカでは、ステーブルコインの法制自体が未整備でございます。こうした中、バーゼル銀行監督委員会や英米の金融当局からは、銀行がステーブルコインを発行する場合のリスクについて様々な指摘がなされております。詳細は割愛いたしますが、ガバナンス面のリスク、テクノロジーのリスク、法律・コンプライアンスのリスク、その他オペレーションのリスクなど、様々な観点からリスクが指摘されております。
16ページ、こちらも参考資料でございます。電子決済手段の発行に関する主な規制をまとめております。詳細は割愛させて頂きます。
17ページ以降、特定信託受益権型電子決済手段の発行見合い金の管理・運用のあり方でございます。
18ページ1.でございます。特定信託受益権では、発行者は信託財産に属する財産のみをもって償還請求に応じるため、信託財産の減少が、保有者が償還を受ける金額の減少に直結いたします。こうした性質を踏まえて、発行見合い金については全額、一定の健全性基準を満たす銀行等への要求払預貯金での管理を求めております。
2.でございます。この制度整備は2022年に行われましたが、その後、他の法域でステーブルコインに関する規制が整備されました。他の法域を見ますと、ステーブルコインの裏付け資産として国債等、預金以外での運用が認められているところでございます。こうした中で、他法域とのイコールフッティングを考慮し、発行見合い金の管理・運用方法を柔軟化することが考えられます。一方で、過度な柔軟化は、電子決済手段の価格安定性、償還確実性の観点から適切とは言えません。信用リスク、価格変動リスク、流動性リスクの低い資産とし、かつ運用割合に上限を設けることが適切と考えられます。あわせて、信託財産の減少を防ぐ手当ても行うことが利用者保護につながると考えられます。
具体的な運用対象資産としては2つございます。まずは、信用リスクがなく、価格変動リスク及び流動性リスクも限定的な国債。次に、定期預金、一定の健全性基準を満たす銀行等を対象とし、かつ中途解約が常時認められるものであれば、現行の要求払預貯金と同程度に安全と考えられます。
19ページでございます。参考資料で、海外の状況でございます。運用方法の欄ですが、各法域とも国債を含めた運用が認められているところでございます。詳細な要件はいろいろございまして、ニューヨーク州やシンガポールでは残存期間3か月以内の国債が認められております。欧州のステーブルコイン規制では、重要なトークンとそうでないトークンがございますが、重要でないトークンについては預金で30%以上、重要なトークンは60%以上を持つことが求められております。
20ページでございます。国債・定期預金での運用を認める場合の論点でございます。
まず、国債の満期及び残存期間です。円建ての特定信託受益権については、最も価格変動リスク・流動性リスクが低い満期3か月の短期国債を認めることが考えられます。また、満期は3か月超であっても、取得時点における残存期間が3か月以内であれば、同様に認めてはどうかと考えております。特定信託受益権は外貨建ての発行も可能でございます。ただ、当面はドル建てのニーズが想定されること、米国債であれば日本国債と同等以上の流動性が認められることから、当面は米国債に限って認めてはどうかと考えております。その際の満期・残存期間についても、日本国債と同様、3か月以内としてはどうかと考えております。
次に、信託財産減少リスクへの対応でございます。1.の図にあるとおり、国債は価格が下落するリスクがあり、価格が下落して信託財産が減少した場合、その分を補塡させる仕組みを措置してはどうかと考えております。具体的には、減少分に相当する追加信託財産の拠出義務を信託委託者に課してはどうかと考えております。定期預金も、契約内容次第では、例えば中途解約時に解約手数料が発生する場合等に元本割れするリスクがございます。定期預金による運用は、中途解約時に信託財産が減少しない場合に限定してはどうかと考えております。
21ページ、その他の論点でございます。
まず、国債・定期預金以外での運用ですが、例えば政府保証債、地方債等が考えられますが、3か月物の発行は極めて限定的であること等を踏まえますと、対象外とすることが適当と考えられます。
次に、国債・定期預金の組入比率の上限でございます。国債については価格変動リスク、流動性リスクがあること、定期預金は中途解約して現金化するために時間を要する可能性があることを踏まえますと、これらの資産の組入比率には上限を設けるべきと考えられます。具体的には、投信法上、国債を50%超組み入れるためには投資信託として組成することが必要とされており、そうなるとステーブルコインとしては発行できないこと。欧州の規制において重要と判断されたトークンについて、預金以外の資産の組入比率が40%以内、重要と判断されたトークン以外は70%以内とされていることを考慮して、上限を50%としてはどうかと考えております。
22ページ、最後の論点、特定信託受益権型電子決済手段の移転時の送付人等情報の把握についてでございます。
23ページ1.でございます。2022年の犯罪収益移転防止法改正において、電子決済手段の取引経路を追跡することを可能にするため、電子決済手段等取引業者に対し、電子決済手段の移転時に送付人及び受取人の情報を通知する義務、トラベルルールが新設されました。その当時、特定信託受益権に関しては、既存の受益証券発行信託の仕組みを利用し、受益権原簿の書換えが行われると想定されておりました。この場合、受益権原簿により受益権者の氏名や住所等を把握できることから、特定信託受益権についてはトラベルルールの適用が除外されました。
2.でございます。改正後、国内の実務において、受益証券発行信託でないスキームでの電子決済手段の発行を検討する動きが見られます。この場合、受益権原簿が存在しないことから、送付人及び受取人の情報が把握できないことになります。
3.でございます。電子決済手段は匿名性が高く、転々流通するもので、AML/CFT上のリスクが高いと考えられます。受益証券発行信託によらない特定信託受益権について、受託者、仲介者に送付人及び受取人の情報を把握させた上で、適切に監督を行っていってはどうかと考えております。
24ページ、25ページがご議論頂きたい事項でございます。
まず、暗号資産等の売買・交換の媒介のみを行う者を想定し、利用者の資産の預託を受けないこととして、リスクを限定した上で、暗号資産・電子決済手段仲介業を創設することについてどう考えるか。利用者保護の観点から、これを所属制とすることについてどう考えるか。
電子決済手段関連でございます。まず、預取による1号電子決済手段の発行、これについては利用者保護、銀行の健全性や金融システムの安定といった観点から、慎重な検討が必要と考えられます。国際的にも銀行によるステーブルコイン発行について様々なリスクが指摘されている中、どのように考えるか。
特定信託受益権の発行見合い金。国際的な動向等を踏まえ、満期・残存期間3か月以内の国債と定期預金による運用を認めることについてどう考えるか。国債での運用を認める場合、委託者に信託財産減少時の追加信託財産拠出義務を負わせることについてどう考えるか。要求払預貯金以外の資産の組入比率を50%を上限とすることについてどう考えるか。
特定信託受益権の移転時の送付人等の情報の把握。受益証券発行信託スキームでないものについて、受託者、仲介者に送付人及び受取人の情報を把握させた上で、適切に監督を行っていくことについてどう考えるか。
以上です。
【森下座長】
ありがとうございました。
次に、信託協会より御説明をお願いいたします。
【信託協会】
では、資料2の特定信託受益権の信託財産運用追加というレジュメを御覧ください。
ただいま御紹介にあずかりました、信託協会の副会長会社を務めております三菱UFJ信託銀行の田中と申します。本日は貴重なお時間を頂きまして誠にありがとうございます。私からは、特定信託受益権における発行見合い金の管理及び運用のあり方について、実務の観点から見たリスク、あとはその対応方法について御説明をさせて頂きます。
まず、資料の2ページ目を御覧ください。こちらはサマリーのページです。現状、普通預金に限定されております特定信託受益権の発行見合い金の運用方法について、定期預金と3か月以内の短期国債を追加することが本日の議題の1つということになっております。この点、実務面から検証を行いましたので、御報告をさせて頂きます。
定期預金、あと短期国債を運用方法に追加した場合、顧客からの償還請求に速やかに対応できなくなる償還の長期化リスク、あとは短期国債で運用を行う場合に、価格下落による価値毀損リスクというものが想定されております。しかしながら、下の図に記載のあるとおり、定期預金、短期国債、このいずれにおいても、これらのリスクは一定程度の対応により低減可能かと考えております。次ページ以降で、この償還長期化リスク及び価値毀損リスクへの具体的な対応策について御説明をします。
資料の3ページ目を御覧ください。まず、償還の長期化リスクについて御説明いたします。現状、普通預金のみの運用が認められている状況下においては、顧客から償還請求があった場合、支払いまでに3もしくは4営業日程度かかると想定しています。残高から利用者への償還金の支払いを行うために償還金額が普通預金残高で充当できれば、この償還の日数は変わらないです。一方、普通預金の残高を超えた償還請求があった場合には、定期預金だとか短期国債の残高から償還を行うことになります。この場合、定期預金については中途解約、短期国債については売却手続が発生するため、普通預金残高から償還金の支払いより数営業日程度、支払日数が後ずれすることになります。したがって、定期預金や短期国債の運用方法の割合は一定程度に抑えて、普通預金残高を確保することで、原則として償還日数を維持するという想定になります。
続いて、4ページ目を御覧ください。このページでは、価値毀損リスク及びその対応方法について御説明いたします。短期国債を保有していた場合、国債価格の下落により、特定信託受益権の価格が毀損する可能性があって、その場合、1ステーブルコイン=1円という価値が維持できなくなってしまいます。そこで、この価値毀損リスクを低減するために2つの対応策が考えられています。
1つ目としては、償還年限、残存期間の制限が考えられます。償還年限が長いと価格変動リスクが高くなりますが、短くすることで価格変動リスクを抑えることができます。先ほどの金融庁資料にもございますとおり、償還年限が3か月程度の短期国債とすることを我々としても考えております。
2つ目として、短期国債の価格下落時には委託者が追加の拠出を行うことを、あらかじめ信託契約において定めることを想定しております。委託者が価格下落分を追加拠出することで、特定信託受益権の価値を維持することが可能であると考えております。下の図は、短期国債の価格下落から追加拠出までの一連の流れ及びそれに要する日数を示しております。価格下落の認識から数営業日程度で追加の拠出が行われるものと想定しております。
最後、5ページ目を御覧ください。利用者の安全確保が図られるということを前提とした上で運用収益が見込まれると、この運用収益を発行コストに充当することが可能となるため、運用の対象拡大というのは制度の普及に資するものと考えております。
以上、私からの説明は終わらせて頂きます。ありがとうございます。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明を踏まえまして、委員の皆様に御討議を頂きたいと思います。御発言を希望される際には、対面で御出席されている方におかれましては机上の名札を縦にして頂き、オンラインで御参加されている方におかれましては、オンライン会議システムのチャット上にて、全員宛てに発言がある旨御入力を頂ければ、それを確認して私が指名させて頂きます。
なお、限られた時間の中で、可能な限り多くの方に御発言を頂きたいと考えております。本日全員御出席頂いていますし、オブザーバーの方あるいは2回目の御発言ということもあり得るかと思いますので、お一人当たり最大5分厳守ということで御協力を頂きたいと思っております。
それでは、岩下委員、お願いします。
【岩下委員】
どうもありがとうございます。私、京都にいる関係で、リモートでの参加が多かったです。今回が多分最初で最後の対面の会合だと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。また、前回、前々回と、講義の時間と重なってしまいましたので、欠席をさせて頂きました。これまでの議論につきましては内容を承知しておりまして、特に異論等ございませんので、本日は本日の議題に即してコメントさせて頂きたいと思います。
まず、御検討頂きたい事項第1点目、交換の媒介を規制するための新たな業態をつくってはどうかという御提案でございます。こちらについては基本的に、このような業態をつくることに私は賛成であります。ただ当然、リスクというか、メリット、デメリット両方あると考えています。メリットというのは、多分今のまま放置しておくと、私も市場の実態等よく見ておりますが、それこそNFT関係のゲーム業者の人たちがメタマスクをユーザーにインストールさせて、そこでNFTを買ってくださいみたいなことをやっているわけです。それは媒介に事実上当たるんだと私は思いますし、まさにこの事務局資料でも、そういう行為が頻発しているということが指摘されていたと思います。それをそのままにしておくと、言ってみれば、違法行為が常態化してしまうという形になりますので、これは何とかしなければいけない。かといって、例えば、全てのゲーム業者に暗号資産交換業者になってくれと言うべきかというと、それはハードルが高過ぎるのも事実だと思います。そうなると、中間的な業態をつくるのは、一つ妥当な提案であると私は考えています。
一方で、リスクもあります。第1のリスクは、そういう現在のゲーム業者の方々は、現在は半分違法ではないかということを懸念しつつやっているので、あんまり派手にはやっていないわけですが、新しい業態をつくると、金融庁公認の立派な暗号資産のプラットフォームを我々は提供していますと積極的に言うようになるかもしれません。ただ、決してこういう業態をつくったからといって、金融庁がそういう行為を大いに慫慂しているであるとか、暗号資産を使ってNFTを売買することをぜひ積極的にやってほしいという意味でやっているものではないと私は理解しています。そこの部分の誤解がくれぐれもないように、上手に取り運ぶ必要があるだろうと思います。
第2のリスクは、所属制を採用することは妥当だと思いますが、そもそも今、所属元であるところの暗号資産交換業者が、こういう媒介業者さんを監督できるのかという問題です。現在も銀行が銀行代理業者を監督していますが、その実務を見ると、かなり負担が重いです。自分の代理先が不正なことを行わないかということをしっかり監督するというのは、特に規制業種においては重要な役割だと思いますし、まさに所属制というのは、そこの人たちに責任を持ってもらうということだと思います。現在の暗号資産交換業者に、そういう責任が本当に取れるのでしょうか。2018年のコインチェック事件以降、暗号資産交換業者に対して対面の検査等を行った際の記録を見ると、当時かなり多くの指摘事項が出ていたことを記憶しています。それから6年ほどたちまして、状況は改善しているとは思いますけれども、彼らが自らも含めてきちんとした規制業種としての行動が取れるのかということが大きな問題になると思います。実際、今年DMMビットコインの大量資金流出という事件があったばかりです。そういう意味において、自らも含めてしっかり律するように業界の中に徹底することが非常に大事です。そのための機能をしっかり果たしてもらいたいのですが、それができるか心配があるというのが第2のリスクです。
第3のリスクは、利用者側の変化とその社会的な影響です。この媒介業となる人たちが宣伝しているのは主にアンホステッド・ウォレットです。アンホステッド・ウォレットというのは、実は極めてリスクの高い、個人が取り扱うのは非常に危ないツールでありまして、実際アンホステッド・ウォレットを使って、そこから秘密鍵が流出して、自分の暗号資産が大きく毀損してしまった、盗まれてしまった事例というのは、私が知る限りでも本当に数多くございます。DMMビットコインやコインチェック事件などで起こったことは、まさにそういうことだったわけです。DMMビットコインにしてもコインチェックにしても、各社それなりにセキュリティの専門家がいるはずで、その人たちがしっかりやっていたにもかかわらず500億円の規模で盗難が発生してしまいました。一般の個人の人が、自分のPCの中に持っているものにそんなに高いセキュリティが設定できるだろうかという問題は当然あるので、アンホステッド・ウォレットを使わせることの拡大につながるというのはいろいろ問題があると考えます。
加えて、アンホステッド・ウォレットに一旦落としてしまうと、そこから先は全くトレースできませんので、犯罪に使われたりマネロンに使われたりということになったとしても、捜査当局などがフォローを全くできなくなってくる。まさにそのためにアンホステッド・ウォレットとかビットコインというのはつくられたわけですが、そういうものがどんどん拡大してしまうのは、望ましくないと私は思います。NFTゲームをやるためにはメタマスクが必要なので、そういうことをやらざるを得ないという実態があるんだと思いますが、それによって同時に暗号資産の負の面というのが大きく出てきてしまうということを我々認識すべきだと思います。ただ、放置しておいてもどうせ進むので、その意味では何かの形で規制したほうが、何がしか手が打てるだろうという意味で、仲介業を設けることに全体として賛成であります。
御検討頂きたい事項の2点目の暗号資産に関する規制の再点検の部分について述べます。ステーブルコインの話だと思いますけれども、全体として見ると、とりわけ問題となっている銀行によるステーブルコインの発行についてどう考えるかという議論です。この議論は、実は普通の銀行法や、あるいは資金決済法の枠組みの中から見ると逆立ちしている議論だと私は思っています。銀行は、例えば今、資金決済法の資金移動業者がやるようなことは基本的にできるという建て付けですよね。電子マネーを発行しようと思えば発行できるはずです。それはなぜかというと、銀行はきちんと業として監督を受けていて、しっかりとしたオンサイト、オフサイトの監督・規制がなされているから大丈夫ですよというのがロジックだったはずです。預金者保護とか消費者保護に問題が起こることはないだろうとか、失敗して資産を毀損してしまうこともないだろうとか、もし万一の場合は自己資金が十分にあるだろうとか、そういうことによって問題ないと考えるわけです。例えば、電子マネー事業が危ないから銀行はやってはいけませんなんていうルールにはなっていないわけです。
ところが、ステーブルコイン、特に暗号資産に近似した形でのステーブルコインというのは、銀行が取り扱うと銀行が危なくなるからやらないほうがいいですよという話なので、それ以外の考え方と違うなと思います。違うんですが、ただ私も実はそのとおりだと思っていまして、銀行が本体で取り組むというか、銀行自身がステーブルコインの発行元になるというのは、あまり適切なことではないだろうと思っています。
ステーブルコインと言いましたが、もともとこの議論が2022年の法改正の前の審議会で議論されたときには、実は当時、ステーブルコインといっても、テザーであるとかUSDCのようなステーブルコインではなくて、フェイスブックのリブラを念頭に置いた形での議論がなされていたのを記憶しています。その意味では、当時ステーブルコイン、あるいはここでいう電子決済手段というものは、どちらかというと人々が一般的な決済のために使う、フェイスブックのアプリの中で使えるみたいなものを想定して議論していた気がするんですね。
ところが、その後、実態が変わりました。とりわけテザーの発行金額は、今日また増発しましたので130ビリオンドル、日本円にして20兆円あります。メガバンクの約10分の1の資金量があるわけです。この資金が暗号資産市場で、何の規制・監督もない中で使われている。普通に考えると、こういったステーブルコインはもうからないので、ビジネスとして取り組むのは事実上非常に難しいと思います。ただ、テザーはもうかったわけです。なぜもうかったかというと、これは2018年のグリフィン、シャムズの論文に詳しく書かれていますけれども、最初の発行時にビットコインへの大規模な投機を行って、キャピタルゲインを得たからです。そういうことが背景にないと、暗号資産型のステーブルコインを大規模に利用して、かつ実質的にDeFiの中で高い金利を提供するとか、そういうことはできないはずです。事実上、裏でそういうことが行われているというのが今の暗号資産市場におけるステーブルコインの実態だと私は思っています。
そうすると、今回議論されているような、非常にきれいな、普通の金融事業者が提供して信託等を使って安全に提供するステーブルコインというものができたとしても、多分それはビジネスとしてもなかなか成立しづらいだろうし、一般の利用者も、なぜそれを使うんだ、銀行預金でいいじゃないかという議論に当然なるでしょう。こういうものをぜひともつくらなくてはいけないというシチュエーションがもしあるとしても、国際決済等のためといった極めて限定的な用途だろうと思います。今の時点で銀行が本体で発行するものとして、特に暗号資産に近しいステーブルコインを想定して議論するのであれば、今のテザーにしろUSDCにしろ、あるいはなくなってしまったバイナンスUSDにしろ、いろいろな規制に反する、あるいはAMLに反する行為が実際に観察されて、その結果、今の状態になっているということを考えるべきです。したがって、そういう分野にあまり伝統的な金融機関が手を出すというのは私は望ましいことだと思いませんので、銀行が発行するか否かは中長期的に検討するという結論で問題ないと思います。その上で、最後に書かれているような、きちんとしたトラベルルールのようなものが課せるといいわけですが、これは、実際はテザーとか、その辺にきっちり課されないと実はあまり意味がなくて、それは多分国際的に非常に難しいということで、今後の国際情勢を見守っていかなければいけないということだと思います。
私からは以上です。
【森下座長】
ありがとうございました。
松元委員、お願いします。
【松元委員】
発言の機会を頂きましてありがとうございます。慶應義塾大学の松元でございます。私からは、信託協会様から今日頂いたプレゼンテーションに対しまして、1点だけ御質問させて頂きたいと思っています。
今日のプレゼンテーションの中で、特定信託受益権の発行見合い金を国債であるとか定期預金に広げた場合に懸念されるリスクの内容ということと、リスクが低減できる、ある程度低減することができますということの内容についてはとてもよく理解ができたのですけれども、他方で、発行見合い金について、国債とか定期預金での運用を認めることに対するそもそもニーズがどのぐらいあるのかというところがいまいちよく理解ができておりません。というのは、リスクを減らすためにいろんなことを考えた今の現状の御提案だと、満期が3か月以内の、あるいは残存期間が3か月以内の国債、しかも同じ通貨建てでなければいけないということなので、日本の通貨建てのものについては日本国債で3か月以内の国債で、あるいは定期預金ということになると、現状、利率自体はそんなに高くないような気もしていまして、しかも委託者に追加信託財産拠出義務を負わせるということなので、委託者の負担としても、少なくとも手続面とか多少出てくると思うので、そもそもこういうふうに制度を変えるニーズがどのぐらいあるのかということについて、お分かりの範囲で御教示を頂ければ大変ありがたいと思いました。
私からは以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
【森下座長】
では、よろしくお願いします。
【信託協会】
信託協会から回答申し上げます。確かにおっしゃるとおり、定期預金の利率、あとは短期国債の利率は、足元で高い水準にあるという状況では基本的にはありません。ただ、今後の金利の環境変化の可能性などを考えると、国債での運用や定期預金での運用ができる状態にしておくことが望ましいのではないかと考えております。
先ほど岩下委員からもありましたとおり、ステーブルコインというのは、現在時間がかかったりコストがかかっているところで、どうやってそのペインポイントを解消できるかというところがニーズの源になってきます。ステーブルコインの発行は、裏付け資産を提供して頂いた上で行う流れになりますが、現在その提供頂く裏付け資産は国債や定期預金で運用されていると思われます。そこで得られている運用収益の変化とペインポイントを解消することのメリットを比較考量した上で組成が検討されると思われますので、現行と比べて流動性や価値毀損リスクが出ない範囲で、一定程度の利回りが確保できるような規定となっていることが望ましいと考えて発言させて頂きました。
以上になります。
【森下座長】
ありがとうございます。よろしいですか。ありがとうございます。
私、順番がよく分からなかった部分もあるのですけれども、井上委員、小川委員、長内委員、坂委員、そしてその後、加藤委員という順番で御発言頂くことでよろしいでしょうか。
では、井上委員、お願いします。
【井上委員】
ありがとうございます。井上です。
事務局資料の25ページのご議論いただきたい事項のうち、「暗号資産等に係る実態を踏まえた規制のあり方」の1つ目の「どう考えるか」については、利用者の負担するリスクが違うところに着目して、このような柔構造化を導入することに賛成いたします。
2つ目の「所属制」についても、現在のニーズを考えると基本的に適切であろうと思います。ただ、岩下委員からもありましたけれど、暗号資産交換業者等の側に指導・監督能力あるいは指導・監督体制が十分あるかが、より重要な問題だろうと認識しております。
次に、「電子決済手段に関する規制の再点検」の1つ目の「預金取扱金融機関による1号電子決済手段の発行」について、資料の14ページの基本的な考え方には賛成いたします。当面は内外の情勢を見極めつつ、中長期的観点から検討しておくということだろうと思っております。ただ、それに関連する関連論点として挙げてある2点について、簡単にコメント差し上げたいと思います。
1つ目は、裏付け資産の保有などの利用者財産の保全を図る必要があるという点ですが、これも岩下委員から先ほど御指摘がありましたけれども、そもそも、預金取扱金融機関が為替取引を業として行うことができるのに、資金移動業者のような預かり資産の保全規制がないのは、預金保険があるからだけではなくて、自己資本比率規制とか業務範囲規制があって、銀行全体として健全性が保たれているからだろうと思います。ですので、預金保険の対象外の、例えば譲渡性預金あるいは外貨預金についても、預金相当額について信託保全等は要求されないわけですので、将来、1号電子決済手段を預取に解禁することになるとしても、必ずしもその条件として資産保全規制がマストだとは思われません。この点、銀行が付随業務として前払式支払手段を発行するについて、法律上の資産保全義務はないですけれども、監督指針の中で、「発行見合資産の管理等、利用者保護に十分配慮した対応となっていることについて」体制整備をする必要があるという留意点が述べられているのが参考になると思います。いずれにしろ、将来、具体的ニーズに即して、あるいは発行額に照らして、預取の一般的な自己資本比率規制や健全性規制で足りるのか、あるいは、そうではなくて発行見合資産の保全規制を導入するのか、あるいはその中間として、監督上の留意点として位置づけるのかを、その時点で検討すればよいと思います。
ただ、2つ目の関連論点に関わりますけれども、金融システムへの影響をむしろ考えておく必要があると思います。預取の負債が預金から電子決済手段に大規模に振り替わるシナリオに即してリスク分析をする際に、利用者の選好によってじわじわと預金からステーブルコインに順次大きな変動が起こっていく場合もあると思いますし、そうではなくて、金融環境の変化、例えば金融危機などにおいて、急激に預金からの振り替わりが起こる場合もあり、この2つは想定しておくべき対処が相当違うと思いますので、その双方を考えておく必要があろうかと思います。
先ほどの論点に関わりますけれども、ここで例えば1号電子決済手段について発行見合資産の保全規制を設けるとすると、預金との乖離が相当大きくなり、預取の金融仲介機能に対する影響も全然異なるものになり得るので、利用者保護はもちろん重要ですけれども、システムに与える影響という観点で別途の考慮も必要になろうかと思います。
以上が1号電子決済手段についてのコメントです。
資料の25ページに戻って、「特定信託受益権の発行見合い金」について挙げられている3点にコメントいたします。満期・残存期間3か月以内の国債あるいは定期預金による運用について認める方向性に賛成いたします。また、委託者に信託財産減少時の追加信託財産拠出義務を負わせる点についても賛成です。あと、要求払預貯金以外の資産の上限について、50%という数字がよいかどうかは、私には必ずしも判断できないところですが、何らかの上限を設けることにも賛成です。
ただ、こういった緩和の一方で、現在、要求払預貯金で保全することについて、預金先には一定の健全性基準以外の要件はなかったと思いますが、将来、もし特定信託受益権の発行額が非常に大きくなった場合には、要求払いも含めて、預金先を分散しなくて本当によいのかも、将来の課題としては検討すべきではないかと思います。
最後の「特定信託受益権の移転時の送付人等情報の把握」(トラベルルール)については、いわゆるパーミッションレス型についてのご提案であると理解しました。そのように、暗号資産と同様にトラベルルールの適用が求められるのは、バランス上よいといいますか、必要なことだろうと思います。しかし、これも岩下委員がおっしゃっていましたけれども、業者を通じた移転についてはそういったルールを導入することで把握できるのですが、むしろ悪い人は業者を通さずに移転することになるので、その意味では、きれいなところで行われる取引をしっかり把握するという限度で意味があるという範囲でトラベルルールの導入に賛成ですけれども、それに加えて、その他の方法、例えばブロックチェーン分析のスキルを向上させるなどして、表ではないところの動きを追い詰めていくことも併せてやらないと、問題は解決しないのかなと思います。
私からは以上です。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは、小川委員、お願いします。
【小川委員】
ありがとうございます。では、私も25ページの上から順番に発言したいと思います。
最初に、暗号資産等の売買・交換の媒介のみを行う者への規制の見直しについてですが、既に委員の方々がおっしゃられているとおり、私もこれについては賛同しております。昨今、例えば先ほどゲームとありましたが、そのほか音楽、映画といったデジタルアセット、これらは日本国にとっても非常に重要な資産であり、こういったものがNFTなど含めて発展を遂げるというのは、日本経済発展のためにも非常に重要だと考えています。
基本的にここに書かれているとおりだと思いますが、1点申すのであれば、8ページにリスクは限定的とする要因として掲げられている2点の2点目についてです。一番上のポチのセンテンスに記載がある「また~」のくだりです。「取引当事者となる暗号資産交換業者・電子決済手段等取引業者が適切にAML/CFTの対応を行う限り」といった一定の前提が記載されています。ここは重要と考えています。その能力も含めてですが、例えばこういった媒介業を通す場合、媒介業者は、自社の顧客をそのまま送客するといった形態が想定されます。当然そのときに一番顧客側に近い、最初の顧客情報を取るのがこの媒介業者になる。一義的には交換業者が全責任を負うというのは大前提とはいえ、媒介業者に顧客情報の提供を依頼するようなことが今後実務上にあり得る場合、あるいは変更事象に関する情報についても取引業者が媒体をとおすことでタイムラグが生じうるような、様々なケースが考えられるのではないかと考えています。単純に交換業者が全責任を負うから大丈夫だと割り切れるかどうかは、実務上のいろんなケースを見極め、要件を設計していくことが重要だと感じております。
25ページの次のテーマである「電子決済手段に関する規制の再点検」の1点目、「預金取扱金融機関による1号電子決済手段の発行」の妥当性について述べさせていただきます。皆様御存じの通り、バーゼル銀行監督委員会の銀行による暗号資産に対する規制の枠組みの一部改定、市中協議書の中にも書かれているとおり、このパーミッションレス型のブロックチェーンについて、AML/CFTや、ファイナリティーに関するリスク等について、これらは現時点では十分低減できないという記載があるかと思っておりまして、それは私も同感に思っております。なので、現段階では今回の案には賛同しております。
また、こうしたリスクの観点以外にも、ベネフィットといったところにおきましても、実務上、既に銀行はパーミッションド型の預金のトークン化の検討がかなり進んでいると考えています。資金が流通する際コンピュータープログラマビリティーといった決済システムの機能拡張に期待されるプログラム制御は、一定程度実現されていくものと思っています。また、スマートコントラクト等々も活用して、24時間365日対応といった期待も実現され得ると考えています。
パーミッションド型の預金のトークン化は、パーミッションドということですので、KYCが済んでいるものへの権利移転といったところで、リスク低減が期待されます。また先ほどからお話がありましたように、あくまでトークン化された預金ということですので、現行法の預金保険制度手段等で一定程度親和性をもって保全リスクもカバーできるものと考えています。
こうした状況下にいて、実際銀行が、預金取扱金融機関による1号電子決済手段の発行について、裏付け資産を確保してまで実施するビジネス上のうまみはどうなのかなという点もあり、現時点では、当該案に賛同しております。
次の特定資産受益権の発行見合い金について、これも賛同でございます。少し定期預金と国債についてコメントいたします。
まず、定期預金についてですが、一定の健全性ある銀行の定期預金であればという記載がありますが、実務上どのようなクライテリアを置き、評価をするか。例えば、一定の格付以上とすることが考えられますが、格付けが下落に向けて変動した場合に、当該定期預金で担保されている部分をどのような形で補塡していくのか、といった課題もあるのではないかと考えます。また、先ほど井上委員からもありましたけれども、預金の預け先の集中制限、これも一定程度ルール化していくのも必要なのではないかと考えています。
次に、国債についてです。先ほど、今、金利が低いので国債で運用してもうまみが低いという御発言もありました。一つ議論として、国債を認めた場合、それを担保にした証券運用を認めるのか。リバースレポのようなものを認めていくのかどうかという議論が次に出てくると考えます。今日の案の中にはないですけれども、定期預金、国債といったものを持ったときに、その運用をどこまで認めるのか否かといった議論も一つあるのではないかと考えます。
次に、償還請求に応じて追加で担保を差し入れていくといった点ですが、これについても実際にフィージビリティーを見極めた議論が必要と考えます。個社の問題だけではなくて、例えば、市況が極めて悪い中連鎖で起きた場合に、市場の流動性が極めて低い状況下で、追加担保差し入れが現実的に実現可能なのかといったところも含めて考えていくことも重要と考えます。バーゼルの中にもありましたけれども、適宜一定程度の償還ストレステストのような枠組みも取り入れてもいいのではないのかなと感じました。
私からは以上になります。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは、長内委員、お願いします。
【長内委員】
大和総研の長内でございます。
まず、「暗号資産等に係る実態を踏まえた規制のあり方」の案については、実態や利用者のリスクを考慮した上で必要十分な規制の枠組みを設けるという今回の方針、つまり仲介業の創設及び所属制の採用に賛同します。なお、1点だけ金融庁に確認したいんですけれども、今回参照された所属制である金融商品仲介業者については、法人だけでなく、個人も登録可能だと思いますが、今回は基本的に法人のみなのか、それとも法人・個人を問わないのかという点を確認させて頂きたいと思います。つまり、もし将来、非常に人気の高い個人開発のゲームが登場して、その開発者が媒介をしたいといった場合に仲介業者になれるかという点につながってきます。ただ、現実的には、こうしたケースは想定しにくいので、法人のみでもいいのかなとは考えております。
続きまして、「預金取扱金融機関による1号電子決済手段の発行」に関しては、個人的には金融システムの安定性という観点などから、そのリスクについて引き続き慎重に検討していくほうがよいという考えでいます。こちらに関しては、他の方とも少し重なるところがあるかもしれないのですが、金融ビジネス上のニーズの観点から、追加で1点コメントします。
具体的には、預取単体で考えるのか、それとも金融グループ全体で捉えるかという点になります。今回、規制を整備した場合、預取で発行ができるけれども、本当にその金融グループの中で預取が発行するのか、それとも他の違うグループ会社が発行するかということを考えると、預取の発行メリットがあまりないのではないかと考えられます。具体的には、例えば、預取に発行を認める場合には、今回の説明にありましたように、何らかリスクを抑えるための様々な条件や規制が追加で設けられるということが考えられます。さらに、可能性は相当低いとは思うのですが、預取については、1号電子決済手段の発行に関連して非常に大規模なシステム障害が発生した場合、過去にも大規模なシステム障害があったと思いますが、経営責任が追及されるリスクもあります。
そうした場合に、預取の立場からすると、各種コストや事務負担、あと潜在的なリスクもあります。こうした点を踏まえると、今回規制を整備したとしても、結果として、その金融グループの中で預取でないところが発行し、預取が発行することはないということも考えられます。こちらに関しては、事務方説明資料の14ページ目の「我が国でもニーズが乏しく」というところにつながってくると思います。規制を整備する場合、それによって本当に預取が発行することが想定されるかというような検討も必要になってくるのではないかということです。
「特定信託受益権の発行見合い金」については、国際的な動向を踏まえ、リスクを抑えるための対策を講じること、さらにその実行性をしっかり担保することを大前提に、個人的には賛同したいと考えています。ただ、こちらに関しては、ややマーケット的な内容になるのですが、その実行性に関して気になる点がありますので、コメントさせて頂きます。小川委員と少し似たような指摘になると思います。
まず、そもそもこの議論というのは、総論として、金利水準と、あと金利の動向に依存しやすいという点に注意が必要ということです。金利水準についてはそもそも、もし要求払預貯金の金利水準が十分高ければ、事業者もマネタイズできるので、運用方法の追加は必要ないといった議論もあり得ると思います。日本の場合、金利が低いのでマネタイズできなくて、ビジネス展開のためには何らかリスクを抑えた上で対応しようという流れですけども、そのように金利水準によって議論が展開されてしまう可能性があるということです。
金利の動向に関しては、信託財産の減少分を補塡させる仕組みに影響するということです。比較的短期の国債価格に関しては金融政策の影響を受けやすいということになります。そうした場合、利上げの実施とか、利上げ期待が高まる場合、国債価格というのはトレンドとして下落傾向になるということが想定されます。その場合、国債価格が下がって、減少分を補塡する、また翌日国債価格が下がって減少分を補塡するという、いたちごっこみたいな形になることが想定されます。
実はこれは逆もあって、もし組入比率の上限まで短期国債を持っていた場合、利下げの実施とか利下げ期待が高まると国債価格が上昇するので、国債価格が上昇するたびに短期国債を逆に売却して上限以下にする必要が出てくるということになります。さらに厄介なのが、短期国債価格がそもそも大きく上下に変動するような場合も逐次対応が求められるということになります。そのため、実務的に金利動向に対して適切に信託財産の減少分を補塡できる体制になっているか、それが自動的にできる必要があるかもしれませんが、そういった点を確認する必要があると考えています。
最後の「特定信託受益権の移転時の送付人等情報の把握」については、AML/CFTに関する規制の穴を埋めるものであり、賛成いたします。
以上です。
【森下座長】
ありがとうございました。
1点御質問があったと思いますけど、お願いいたします。
【久永デジタル・分散型金融企画室長】
今回、仲介業の登録主体を何か制限するのかという御質問ですが、9ページで表を載せさせて頂いておりますが、今回の御提案は、他の仲介業の規制を参考にしたいと思っておりまして、金融商品仲介業者と同じく、登録主体については制限を設けない方向で提案させて頂いております。
【長内委員】
ありがとうございます。
【森下座長】
ありがとうございます。
それでは、坂委員、お願いします。
【坂委員】
ありがとうございます。論点について、順番に発言をしたいと思います。
まず、暗号資産取引の論点について3点です。第1に、総論的意見ですが、リスクが限定された仲介業者について緩和された制度を設けるという考え方は理解できますし、事業者に受け入れられやすい枠組みをつくるという点も理解できるところです。もっとも、リスクが限定されるかは実態に即して慎重に検討する必要があると考えます。この点、暗号資産については、マネロンのリスクは決して軽視されるべきではありません。犯罪件数の減少にもかかわらず、体感治安が悪化しているのは、犯罪の質的変化、加害側が高度なノウハウを持つ組織、集団となっていることや、一般の市民が被害だけではなく、加害側に巻き込まれる事態が生じていることなどによると考えられますが、かかる状況の背景には組織、集団への資金の流れが存するものと考えられます。
そこで、第2に、ゲームアプリやアンホステッド・ウォレット間の取引におけるマネロン対策についてですけども、ゲームアプリにおいては、暗号資産によりNFT等が取引をされ得ます。新たな制度がかかる取引をより促進することも考えられますが、他方、ここでは暗号資産取引の間にNFTを挟むことなどによって、マネー・ローンダリングに利用されるリスクもあります。本来的にはNFT等をマネロン規制の対象にすべきと考えますが、直ちにそれが難しければ、仲介業者にNFT等を介したマネロンを抑止するための体制整備を求めることを検討すべきように思われます。
重要なことは、資金の流れを的確に把握するということであって、そのためには仲介業者に協力を求めることは不可欠と考えます。もっとも仲介業者に求める体制整備において、対策の実効を確保する観点から、その負担に配慮することや、暗号資産交換業者への対応を考慮するということは考えられるところと思います。
次に、アンホステッド・ウォレット間の取引への影響や、求めるべき体制整備についても実態に即した検討が必要と考えます。すでに御意見もありましたが、こうしたアンホステッド・ウォレット間の取引が拡大しないように配慮するということが重要と思います。この点に関しては、仲介業者が自ら暗号資産交換業の登録を得ることなく、我が国の登録業者ではない暗号資産交換業者の仲介を行うということがないよう、確保する必要もあります。なお、アンホステッド・ウォレット間の取引を仲介する無登録業者の捕捉も課題であります。この点はサイバーパトロールの強化や、規制機関の国際連携等の強化についても期待したいと思います。
第3に、仲介業者への監督の実効を高める観点から、所属制を採用し、暗号資産交換業者による監督や両者の協働を促すということは必要と考えます。また、財務要件について不要とするということであれば、仲介業者の行為について暗号資産交換業者が損害賠償責任を負うということは、これは不可欠だと考えます。
全体として、対象となるサービスがいかなるものか、ここでも実態をよく見る必要があります。利便性や需要のあるサービスでも、これに伴い重大なリスクを伴う場合には、事業者にはリスクの認識、対応を確実に行って頂く必要がございます。これを行わないサービス提供により、利用者や一般社会に不利益が及ぼされることがないよう、官民挙げて積極的かつイノベーティブな対応が求められていると思います。
次に、預金取扱機関によるステーブルコインの取扱いですけども、パーミッションレス型ブロックチェーンについては、暗号資産の実情を見ても、AML対策を十分に行うことは、少なくとも現状では不可能と思われます。この点について実効的な対策が確保できない限り、預金取扱機関による発行は認めるべきではないと考えます。
次に、特定信託受益権の裏付け資産についてですが、国債を裏付け資産と認めることは考えられますが、国債の減額リスクについては的確に対処できる必要がございます。そうでないと、法定通貨と同等の価値を有すると認識して利用する者の利益が害され、普及の規模や在り方によっては社会経済の脅威となり得ます。かかる観点から、国債の下落リスクを最小にするため、満期や残存期間を3か月とすることには賛成しますが、組入比率の上限設定は、客観的データに基づいて慎重に検討すべきと考えます。いずれにせよ、国債の下落分を確実に補塡し得る仕組みが必要です。この点、信託委託者の追加拠出義務は一案ではありますけども、信託委託者の支払い能力頼みとなることになりますので、これで十分かは要検討であって、想定され得る下落リスクの状況によっては保証契約等を求めることを検討すべきと考えます。
最後に、特定信託受益権移転時の送付人等情報の把握ですけども、送付人や受取人が把握できないステーブルコインの発行がされるということは、極めて問題です。この点については提案の措置を確実に取ってほしいと考えます。
以上です。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは次に、加藤委員、お願いします。
【加藤委員】
加藤でございます。私は、事務局説明資料25ページの御議論頂きたい事項に沿って意見を述べます。
まず、「暗号資産等に係る実態を踏まえた規制のあり方」について、御提案は、金融商品取引法における金融商品仲介業者の規制に倣ったものであると理解しております。そのため、類似の仕組みを暗号資産交換業及び電子決済手段等取引業に導入することに賛成いたします。
ただ、暗号資産等の媒介の範囲について、1点気になる点がございます。現在、暗号資産交換業者の中には、自らが暗号資産の売買や交換の当事者となるだけではなく、利用者を当事者とする暗号資産の売買や交換を仲介するサービス、板取引または取引所サービスと呼ばれるものを提供しているものが存在するように思われます。今回の御提案は、暗号資産交換業者及び電子決済手段等取引業者が一方当事者となる取引の媒介を対象とするものであり、利用者同士の取引の媒介は対象外であると理解しております。特に暗号資産の取引は、金融商品取引法の不公正取引規制の対象となっていることも考えますと、利用者同士の取引の媒介については現在の規制枠組みを維持するべきであると思います。
もう1点、委員の御発言の中で、NFTの取引の媒介が既に行われていることへの言及があったかと思います。ただし、坂先生の御指摘とも関係いたしますが、NFTの中には資金決済法の暗号資産に該当しないものがございます。これは新設される仲介業の問題ではなく、暗号資産交換業にも共通する問題なのかもしれませんが、業者が取り扱うデジタル資産の中に資金決済法の暗号資産に該当しないものと該当するものがあり、規制上の取扱い及び利用者保護のレベルが異なる点について、利用者の誤解を招かないような措置が必要であると考えます。
次に、「電子決済手段に関する規制の再点検」について、順に意見を述べます。
第1に、「預金取扱金融機関による1号電子決済手段の発行」について、事務局説明資料13ページから14ページにおいて整理されているとおり、1号電子決済手段は預金とは異なるという整理を前提にしますと、御提案のとおり、預金取扱金融機関が1号電子決済手段を発行することに対して慎重な態度を継続することが望ましいと考えます。また、銀行がパーミッションレス型分散台帳で取引可能な決済手段を発行することと、これまで銀行がAMLやCFTにおいて果たしてきたゲートキーパーの役割を調和できるかも問題であると考えます。
第2に、「特定信託受益権の発行見合い金」について、国際的にも様々な異なる方向性が示されている中で、見直しをすること自体に異論はございません。1点、信託財産減少リスクへの対応として、減少分に相当する追加信託財産の拠出義務を信託委託者に課すことが御提案されていますが、同様の義務を受託者に課すことが信託業法などに違反するという、若干消極的な理由で基礎付けられているように思われます。むしろ特定信託受益権の組成、発行において委託者が果たす役割に着目することが適切であると考えます。
現在の資金決済法では、特定信託受益権の発行者が主たる規制の対象となっておりますが、最初に特定信託受益権を発行する際に、委託者、多くの場合は電子決済手段等取引業者となる場合が多いと思われますが、この委託者の意向に従って特定信託受益権の仕様などが決定されるという点を考慮する必要があると思います。
第3に、「特定信託受益権の移転時の送付人等情報の把握」について、御提案に異存ありません。1点、今回の御提案は、受益証券発行信託によらない特定信託受益権の移転に関するものですが、償還手続における本人確認手続のあり方などについても検討を深める必要があると考えます。
私からは以上です。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは次に、河野委員、お願いします。
【河野委員】
説明ありがとうございました。日本消費者協会の河野でございます。今回の検討課題である暗号資産は、デジタル技術が社会インフラとして効果的に機能した実例であり、事件絡みの報道が多いからか、投資対象と思いがちですけれども、既に送金や価値の保管としての利用実態も広がっていると認識しています。私のようなアナログ世代にとっては、日常でストレスなく利用するというところには至っていませんけれども、デジタルネイティブ世代や、この分野に知見がある方々にとってはもちろんのこと、今後様々な場面で広く利用されていくと考えております。その上で、十分な知見がございませんが、今回の御提案、論点について受け止めを申し上げたいと思います。
まず、暗号資産等の売買・交換の媒介のみを行う者への規制の見直しについては、事務局御提案のとおり、暗号資産、電子決済手段仲介業の創設と所属制の採用に賛成いたします。今回の例示にあるように、オンラインゲームやマーケットプレイスなど、ネット上で暗号資産の利用機会が増えていくことで、暗号資産に特有の背後にあるリスクを認識せずに利用してしまうケースや、思いもよらない被害が生じる可能性があることを想定しますと、今後に向けてのリスクヘッジとして、また暗号資産を安全に安心して利用できる環境整備として、御提案の対策を進めて頂きたいと思います。加えて、特に若年層の利用者に対するリスク等に関する啓発も行って頂けると幸いです。
次に、電子決済手段に関する規制の再点検についてですが、再点検という言葉から分かるように、既に一定の規制等が存在するところ、国際動向や利用実態などを鑑みて、現状で何かトラブルや不具合は起きていないか、また、この分野のビジネスを阻害するような状況は起きていないかについて、現時点での棚卸しを行い、必要に応じた改善、修正、調整をすると理解いたしました。
そこで、事務局から提案された電子決済手段についての3つの視点での考え方と今後の方向性については、私のレベルですけれども十分理解しましたし、御提案内容は妥当だと思っております。暗号資産とステーブルコインに対する社会全体のリテラシーが十分かというと、まだまだそうは言えない中で、この分野の規制を一気に緩和することには躊躇がありますので、今回の御提案のように、より安全策に寄った形で対応することが望ましいと受け止めました。
私からは以上でございます。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは次に、神作委員、お願いいたします。
【神作委員】
神作でございます。御指名ありがとうございます。私もスライドの25ページに沿ってコメントさせて頂きます。
暗号資産及び電子決済手段の仲介業を新たに創設し、リスクに応じた規制・監督を行うことに賛成いたします。暗号資産や電子決済手段の売買の媒介や交換の媒介のみを行う場合には、定型的にリスクは小さいと考えられ、特に業者が利用者の資産の預託を受けないという制度設計をする場合には、利用者に生じるリスクはさらに限定的になります。またAML/CFT規制についても、取引当事者になる業者の方が適切に対応すれば、二重に行う必要性はなく、かえって非効率になると思われます。
それに加え、事務局説明資料では、暗号資産・電子決済手段仲介業に財務要件は課さないこととし、もしも利用者に損害が生じた場合には、所属先の暗号資産交換業者等が原則として損害賠償責任を負うものとし、所属先が暗号資産または電子決済手段仲介業者に対し適正かつ確実な業務執行を確保するための指導・監督義務を課すことが提案されています。もっとも、所属制の採用につきましては若干疑問もないではありません。これまでの御発言にもありましたように、所属先が実効的な指導・監督を行うことができるのか、それを常に期待できるのかという問題がありますし、他方、仲介業者も独立した金融事業者である以上、自ら適正かつ確実な業務執行を行うよう自己の責任で確保すべきであり、仲介を委託する業者は、仲介事業者が適切かつ確実な業務執行をしているかどうかというのを監督するというよりも適切に選別する、そのような立場に置くべきではないかとも思われます。むしろ方向性としては、金融サービス仲介業のように、所属制を採用しない方向が将来向かうべき方向のようにも思うところでございます。
なお、所属制を採用しない場合には、利用者保護は金融サービス仲介業者に対する規制のように、保証金の供託義務を課すなど、別途工夫をする必要があるということになると思います。現時点では、所属制を採用するほうが採用しない場合に比べて優れているかどうか、必ずしも私には明らかでないように思われ、さらに検討する必要があるように思います。
続きまして、電子決済手段に関する規制につきまして、これも1つずつ順番にコメントさせて頂きます。
まず、「預金取扱金融機関による1号電子決済手段の発行」については、これも多くの委員が言われましたように、私も消極的に考えています。預金取扱金融機関がパーミッションレス型の1号電子決済手段を発行する場合には、事務局説明資料においても指摘されておりますように、利用者保護や金融システムへの影響、さらに発行銀行自身のリスク管理上の問題、AML/CFT規制の遵守の困難性、預金保険法上の取扱いの不明確さなど、様々な問題が生じると思います。
他方、預金取扱金融機関は、預金マネーをデジタル化することによって、パーミッションド型のステーブルコインを既に現行規制の下で発行することができます。国際的にも銀行等によるパーミッションレス型のステーブルコインの発行に対しては懐疑的な目が向けられていると思います。そのような状況の下、現時点において日本で預金取扱金融機関に1号電子決済手段の発行を認める必要はなく、かえって発行を認めることによって、先ほど申し上げたような様々な未解決な問題が惹起される可能性が高く、この論点については中長期的な課題として検討することが適当と思います。
次に、「特定信託受益権の発行見合い金」についてでございます。1回目の本ワーキング・グループで、私はこの点について消極的な発言をいたしました。その理由は、ステーブルコインの安定性をできる限り確実にすることが、ステーブルコインがステーブルコインたる所以であり、要求払いの預貯金以外での運用にはどうしても価値の安定性を損なうリスクが生じてしまうと考えたからでございました。しかし、本日、事務局説明資料及び信託協会から御説明頂きましたように、信用リスク、価格変動リスク、流動性リスクが低いと評価される残存期間3か月以内の国債と定期預金による運用を認めるとともに、それでも信託財産が減少した場合には、信託財産の追加出資義務を課すこととし、さらに償還長期化リスク等に対応するために、全体に占めるこれらの資産の割合についても規制するならば、ステーブルコインの安定性を高度に確保することができるように私も理解いたしました。したがいまして、このような規制とともに特定信託受益権の運用先を拡張するということに賛成いたします。
ただし1点、信託財産の追加拠出義務について留意すべき点があると思います。これも既に御指摘があったと思いますけれども、追加拠出義務の具体的な設計、例えば追加拠出が必要かどうかを、いつ、どれくらいの期間を空けて計算するのか、例えば日次で計算するのか、週次で計算するのか等々、具体的な制度設計についてさらに詰める必要があるとともに、さらにその実効性についてチェックをし、きちんと規制あるいは約定どおりに追加拠出義務が履行されているかを厳格にチェックする必要があるように思われます。追加拠出義務とその確実な履行によってステーブルコインの価値の安定性を高度に確保し、特定信託受益権に対する信頼を確保することが望ましいと思います。
最後に、特定信託受益権は、受益証券発行信託以外の信託を用いて発行することも可能であり、現にそのような検討も進んでいると承知しております。そのような状況の下、受益証券発行信託以外の信託で発行された特定信託受益権の移転の際にトラベルルールを適用し、受託者または委託者に送付人及び受取人の情報を把握するよう義務づけることは、犯収法の実効性を確保するためにぜひとも必要だと思われます。そして、この点についても、きちんと移転に係る情報がルールどおりに把握されているかどうかということについて実効性を確保すべく、適切に監督して頂くことが必要だと思います。
私からは以上でございます。ありがとうございました。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは、永沢委員、お願いいたします。
【永沢委員】
御指名ありがとうございます。私は、検討いただきたい項目の2番目のステーブルコインについては、このステーブルコインというものがどのように利用されており、私どもの生活に影響をどのように及ぼしてくるのかが、少しどころか、全くイメージできておらず、知見もございませんので、最初の項目の暗号資産等の売買・交換の媒介のみを行う者への規制の見直しという論点についてのみ意見を述べさせて頂きたいと存じます。
結論から申しますと、事務局案に賛成いたします。理由ですが、まず一般論、総論的なことになりますけれども、暗号資産が一般消費者の生活の中に深く浸透してきていることを日々実感しております。例えば、若い人の間で利用されている、中古品を個人間で売買するデジタルプラットフォームがございますけども、そのアプリの画面に「暗号資産を始める」とあり、一般消費者がすぐに暗号資産の取引に参加できるようになっているということを実感しております。また、今朝のことでございますけれども、テレビを見ておりましたら、暗号資産の交換事業者の広告が流れておりました。暗号資産の利用者が広がっているということを実感しております。
毎回申し上げていることでございますけれども、決済の分野は、様々な業が規定されてきている一方、イノベーションによって決済方法が進化しております。その結果、規制がかからない領域が発生しており、そこに残念なことに悪質な事業者が入り込んで詐欺的な行為をするということで被害が生じるという状況にございます。
本日の事務局資料の6ページにお示し頂いたサービスは、これも暗号資産に関連する新しいサービスなのでしょうか、このようなサービスがゲーム業者や通信業者などで提供されるようになってきているということですが、こうしたサービスが現行の規制の下では仲介業に該当する可能性があるところ、登録要件のハードルが高過ぎることから、該当しないと解釈して、無登録でサービス提供を行うということも起きてしまうことも想像に難くないように思います。このように解釈が曖昧なままになっているところが悪用されるというようなことが起きてしまうと、被害者救済も難しくなりますし、業者も処分できないという事態が生じることを、消費者側の立場としては懸念いたします。
暗号資産を積極的に支持しているわけではありませんけれども、既にこのように浸透してきている状況に鑑みますと、消費者としては、暗号資産に関わる事業者を当局がきっちりと把握しておいて頂きたいと思います。決済は日々の生活に欠かせない、必要な手段ですので、利用者保護のための規制に漏れがないような環境整備が不可欠であろうと思います。以上が、新しい業として設けることに賛成する理由となります。
また、事務局提案やほかの先生方のご意見にもありましたように、あまりに厳しい登録要件にしてしまうと、無登録で事業を行うということが生じやすくなってしまう恐れがあり、広く登録して頂くことを優先するという考えは合理的であり、リスクに応じた規制と監督ということでいいと考えます。また、原則所属制を併せて導入することで財務要件を不要とするという案も、リスクに応じて規制をという考え方と整合しており、合理的であるように思って本日のワーキング・グループには臨みましたが、神作先生の御意見を伺い、所属制を採用するほうが採用しない場合に比べて優れているかどうかの比較衡量が十分と言えるかどうか、そこの検討が必要ではないかという御意見には賛成です。
また、これも岩下先生、井上先生、坂先生が御懸念をお示しになりました点となりますが、暗号資産事業者に対する監督体制が本当に十分なのかというところは私も同感です。この種の新しい事業者をどう監督していくのか、マネロンの問題などもありますので、金融庁だけでは足りないように思います、本日の論点とは離れてしまいますが、省庁の枠を超えた監督体制の強化も大きな課題であろうと思います。
以上となります。ありがとうございました。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは次に、伊藤委員、お願いします。
【伊藤委員】
ありがとうございます。弁護士の伊藤でございます。私からも各論点について簡単に、順にコメントさせて頂きます。
25ページの1点目、暗号資産等の媒介のみを行う業態について新たな規制を設けるという御提案に賛同いたします。気になっていることを2点ほど申し上げます。1点目は形式的な観点ですけれども、本ワーキング1回目から申し上げていますとおり、資金決済法関連の法制度がとても複雑になり、業規制が増えている実態がございます。今回、電子決済手段についても媒介のみを行う業を新たに創設することになりますが、電子決済手段等取引業は、そもそも仲介を行う業態を想定した規制内容と理解しております。そこで、今回新たに創設する仲介業との関係で、規制の内容や範囲が明確に区別できて、過不足なく理解しやすいような形になるよう御検討をお願いしたいと思います。
2点目は実質的な観点です。今回、暗号資産の媒介のみを行う事業者を広く規制していこうということですが、これまでは、一般消費者が暗号資産を保有しようとする場合には、基本的には暗号資産交換業者と相対する必要があったため、意識的、能動的に暗号資産に自らアプローチしているという認識が持ちやすかった状態と思っています。ところが、今回新たに仲介業になると想定されているのは、資料によりますと、ゲーム会社や通信事業者といった、必ずしもこれまで暗号資産に親しみを持っていない消費者も顧客基盤として持っている事業者が広く入ってくる可能性が出てきたということです。
これは、顧客基盤が広がり、業界の活性化という意味ではよい側面もある一方で、経験のない消費者に道を開くという意味合いにもなるわけですので、例えば、消費者の問合せ対応や説明、トラブル対応などを、仲介業者と暗号資産交換業者が連携して、暗号資産交換業者が主体的に取り組めるようにすべきと考えています。よって、所属制の採用には賛同する次第でございます。
続きまして、電子決済手段に関する規制についてですが、1点目の銀行による1号電子決済手段の発行につきましては、事務局の御説明のとおり、数々のリスクがございますので、現時点では慎重に考えるという方向性に異論ございません。
次に、特定信託受益権の発行見合い金につきましても、基本的な方向性は賛同いたします。この案を最初に拝見したときには、資金移動業者が電子決済手段を発行する場合の裏付け資産と比べて、かなり限定的なものになるのだなという印象を受けました。ただ、その違いについては、18ページの注で事務局の資料でも示して頂いておりますとおり、資金移動業者については自身の固有財産においても償還義務を負うのに対して、信託の場合には固有財産での償還義務がないというところで、ここは大きな違いであり、その点でかなり限定的な案になっている点は妥当な線かと思うに至りました。
そして、この償還義務の有無にかかる差分を補うために、委託者が国債による運用の信託財産減少リスクについて補塡義務を負うという点についてですが、ここがどのようにワークするのかによって、今の資金移動業者がやる場合との差分がどこまで補填されるのか、また、信託受益権による電子決済手段の安定性にも影響を与えることになりますので、ここの仕組みの設定、いつ誰が評価をして、どういった形で委託者が追加信託をタイムリーにできるのかといったところについては丁寧に御検討頂きたいなと思います。この点の設計がスムーズにいくということであれば、将来的に、発行見合い金の運用資産について、更なる検討の可能性もあろうかと考えております。
最後の信託受益権の移転時のトラベルルールにつきましては、これまでの規制の穴を埋めるというところかと思いますので、異論ございません。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは、杉浦委員、お願いいたします。
【杉浦委員】
御発言の機会を頂きましてありがとうございます。それでは、皆様方と同じように、25ページに沿って、私の意見というか、感想も含めてですけども、申し上げたいと思います。
まず最初の部分のところで、仲介業というか、媒介に関する部分のところでございますけれども、基本的な設定をされること自体には賛成です。ただ、様々委員の皆様がおっしゃるように、幾つかの点で更なる検討を進めて頂きたいと思います。
まず1つは、まさに伊藤委員がおっしゃった部分と部分的に重なりますが、今回この御提案が出てきたときに、改めて、どんな形で媒介っぽく見えるんだろうと、媒介しているんだろうということを実際、業者のサイトを自分で見にいってみたところ、これは単純に紹介だけなのでは、とか、宣伝はしているけど積極的な媒介行為とは必ずしも言えないのではないかというようなものもあったりとかして、どういうことをやったら媒介なのかが分かりにくい。媒介についての定義は、既に金融庁で提示したものもあるわけですけども、ここに至って様々な業者が入ってくることを仮定すると、結果的に意図せず媒介的な行為をやっていたという業者も出ているのかもしれない。また、そうみなされるものがあるのかも、というところは、具体的な事例を挙げて、実際的な規制を設定するときにおいては丁寧に示していくことが必要なのではと思います。
そして、所属制も含めた部分というところですけども、確かに所属制をつくってやることによって、最終的な賠償の話とか、そういうことが完結するというようなことは、それはそうなのかもしれませんが、私は、違う業種というか、部分のところで現在行われている議論と少し重ねた不安を持っていないわけではありません。
というのは、今まさにこの決済ワーキングと同時並行的に開催されている保険業のワーキング・グループがあるわけですけども、そこで議論されている中で明らかになってきている問題、つまり、保険会社が必ずしも代理店をちゃんと把握できていたのかという問題と絡めて考えてみると、所属制は、単に単一所属ではなくて、複数の所属だったりするわけですよね。そのときに、例えば、Aという保険会社はちゃんと監督しているんだけども、Bという保険会社と監督の手法が違う等の理由で、どちらかというとAより緩めの指導・監督になるというケースがあるかもしれません。
となったときに、この指導・監督するというのは具体的にどんなことをしなければいけないのかということが不明確だと、そもそも機能しませんし、また実際に、媒介・仲介業者に何かの不祥事等によるロスが発生した場合、この業者さんというのが本当に財務要件が不要なのかと。ある程度、指導・監督していても、仲介業者に負う部分が多くなってきた場合に、交換業者側のほうが実態的に、きちんと監督とかそういう形ができるのかということに関しては、今の移動業の世界の中では、各委員からもお話がありましたけども、現状ではかなり厳しい状況の業者の数も多いのではないでしょうか。神作委員からまさに所属制ではない場合という想定もあり得るのではないかというお話もありましたけども、所属制が当初の間だったとしても、仲介業者さんが本当に財務要件不要と言い切っていいのかどうかというのは、もう少しビジネス上の実態的な部分と併せて議論を詰めていったほうがいいのではないでしょうか。そこの部分が「暗号資産等に係る実態を踏まえた規制のあり方」についてのところでございます。
2番目の「電子決済手段に関する規制の再点検」の部分ですけども、今後、「預金取扱金融機関による1号電子決済手段の発行」という部分について、ここは各委員の皆さん方からもあったように、もちろん様々な懸念材料といったもの、例えば預金との関連性とか預金保険との関連性とか、そういったものもありますけども、実際にニーズとして、例えば、金融機関側がやりたいのかというニーズが本当に存在するのかということを踏まえて、また海外でそういったニーズが実際的に多くあるのかということも検討されるべきなのではないかと思いました。私自身、今回この回をめぐって、その前に多少ながらもグローバルなニーズを自分なりに調べてみましたけども、そこまでないわけであり、なにか、あえて日本が先行して行わなければいけないのか。議論することには意味があるわけですけども、先行してこういったことを積極的に行う必要があるのかとは思いますので、消極的であるということを表明します。
その上で、発行見合い金の点でございます。発行見合い金について、この方向性については賛成ですけども、ただ、19ページのところに海外の規制状況というのがあります。私もこの内容に関連して一応調べたわけですけども、今回事務局からの提案は基本的に、50%という数字を除けば、あとは格別異論ないのですが、たしか諸外国でこれを決める際には、この裏付け資産の関連する部分は相当な時間をかけた議論が行われていると承知をしています。実際のリスクとか、いろんな要素を考えた場合に、果たしてこの国債と定期預金だけでいいのかという問題と併せて、やや単純に過ぎる感じもいたしますので、この裏付けに関連する部分はもう少し議論を詰めていって頂いたほうがよろしいのではないかと思わないではありません。
そして最後の部分のところですが、特定信託受益権の移転等の送付人等の情報の把握については、これは基本的には、先ほどまさに伊藤委員が言われた表現と同じになりますけども、穴を埋める形にはなりますので、基本的にここは賛成と。
以上、私の意見を申し上げさせて頂きました。ありがとうございました。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは、堀委員、お願いします。
【堀委員】
御説明ありがとうございました。「暗号資産等に係る実態を踏まえた規制のあり方」について、また、「電子決済手段に関する規制の再点検」について、それぞれ御意見を申し上げます。
まず1つ目の「暗号資産等に係る実態を踏まえた規制のあり方」についてですが、意見の前提として質問が3点ございます。6ページ目に、このような場合に媒介ができるといいというような観点から、アプリ上の操作のイメージを頂いているかと思いますけれども、実務上、媒介したいというような形で意見が来ているのはアカウントの開設についての導線です。今回の制度により、暗号資産を購入するというのみならず、例えば暗号資産交換業者にアカウントを開設する、電子決済手段等取引業者にアカウントを開設するといったことの媒介もできるということでよろしいでしょうかというのが1点目です。
また、今回媒介のみということで、代理はできない、代理を行うことをあえて外されているかと思うのですけれども、この点もそのような理解でよいかどうかということについてお尋ねをしたいと思います。
3点目は、対面、非対面と、いずれもあると思うのですけれども、Web3の積極推進の観点から御要望があるのは、主には非対面の取引での媒介行為だと認識しております。今回の制度の対象は、対面もということなのか、非対面に限定したということなのか、この点をお尋ねしたいと思っております。
【森下座長】
では、今後の議論次第ということでもよいと思うのですけど、今のところで事務局がイメージされているものはどんなことかについて、よろしいですか。
【久永デジタル・分散型金融企画室長】
まず1点目、アカウントの開設の行為ということですけれども、今、暗号資産交換業の対象行為でアカウント開設自体は入っておりません。仲介業の媒介というのは、売買・交換の媒介を行うものを想定しております。今我々が想定している仲介業の対象行為にはアカウント開設の媒介というものは入らないですけれども、その前提として、交換業の行為としてそれが規制されていないということと思います。
【若原参事官】
今の久永に追加いたしますと、要は、暗号資産の売買の媒介は当然登録がなければできないわけですけれども、アカウント開設自体はそうではないので、逆に言うと、それは現状、何の規制もないというか、そもそもできる話です。ただそれが、仮に交換業者が自分のところのアカウントの開設の事務を委託しているときに、それがちゃんとした委託になっているかという点。例えば、受託側のフォームがすごく管理がいいかげんで、変な情報を送っちゃって、変なアカウントできますということだったら、当然そんな外部委託をしている交換業者の問題ということになります。そういうことを含めて、例えばアカウントの開設だけを媒介するとすれば、そこだけ切り出せば別に登録も何も要らないわけですけれど、それを委託する側の交換業者がちゃんとそれをコントロールしているかどうか、それが利用者保護上問題がないかとい意味で、全体を見ると規制はかかっているわけですけれども、今回のこの仲介業を認めるか認めないかに関していうと、別にそれはそもそも交換業者からのそういった事務委託が適正に行われているかの文脈であって、たまたまその委託先が仲介業であったとしても、今回の仲介業者の登録制をつくるつくらないという話とは独立した話といいますか、たまたま委託先が仲介業者になることもあり得るでしょうし、ただ、そこは仲介業者がアカウント開設の事務を担おうと、そうでない者が担おうと、そういう意味では本件の制度の是非とは独立した別のルールというか、別の文脈で規制がされていて、それは今後ともちゃんと規制がされなければいけないということだと理解しています。
お尋ねのお答えになっているかどうかわかりませんが、私の質問の受け止めはそういうことでお返しできるのかなと思いました。
【堀委員】
実務的に、例えばゲームの中で暗号資産が必要で、暗号資産交換業者のほうで買う必要性がある、それをウォレットに紐づけて頂いて、あるいは暗号資産を移転してといった形でスタートしていく。その最初の行為が、アカウントを持っている人がいれば紐づけるだけでいいと思うのですけれども、アカウントがない人は、暗号資産交換業者において口座開設してくださいねというような形で連携し、口座開設してもらったものを紐づけてスタートするものですから、この仲介規制がどの範囲の行為を想定したものなのかであるとか、新しいライセンスを取得することによって何ができるのか、あるいは、今まで何ができて、これから何ができるのかみたいなことが明らかになると、よりよいのかなと思っておりまして、そういう意味で御意見の1点目は、6ページ目でもありましたが、媒介に該当するかどうかという観点について、取引遷移、アプリ等に遷移した後に取引が行われても媒介に該当する場合があり得るという記載にとどまっておりますけれども、実際に運用して頂く際には何が媒介行為に当たるのか当たらないのかを明らかにする必要があると感じました。
今、アフィリエイト広告も行われている部分がありますので、クリックして暗号資産交換業者のサイトに飛んで取引が始まるようなケースでも特段媒介に該当しないと言われているものもありますし、そうではなく、今回のような仲介ライセンスを基にできる行為というものが増えるということであるとするならば、銀行業ガイドラインのように、例えば、媒介の中身やできる行為等を具体的に明記して頂くと、特に銀行業と違って、最初の契約の締結がライセンス行為ではなかったりするというところで違いがあったりしますので、そこは明確にして頂くとよいのではないかと思いました。
また、先ほど御質問した対面、非対面、どちらを想定されていますかという点については、いかがでしょうか。
【久永デジタル・分散型金融企画室長】
暗号資産、電子決済手段ですので非対面が想定されておりますが、対面を法律の中で除外するかというと、それはほかの金融商品仲介業と同様に、法律行為として対面を除外することはしない、ただ実際に想定されるのは非対面ということかと考えております。
【堀委員】
なるほど。制度設計の仕方として、例えば、もともと暗号資産、電子決済手段を売買する、交換するというのもネット上の行為なのだから、非対面だけですと、媒介も基本的には非対面です、電子で行われますという制度であれば、ということを想定するならば、制度上も、例えば、金融商品仲介業のような標識掲示義務みたいなものは要らないでしょうとか、でも代わりに情報提供義務は必要ではないかとか、電子を前提とした行為規制みたいなものが必要になってくると思っています。
一方で、対面を認めると、誤りの温床になりやすく、説明内容等が口頭になってしまいますので、こうした行為をどの程度監督できるのかというような、皆さん御懸念の声につながっていくと思いますので、そうした行為も認めるということであれば、必要な行為規制が違ってくる。対面だけなのか、非対面だけなのか、場合によって非対面だということに舵を切れば、Web3のためにもっと連携させていくのだという方針とも合うような形、例えば電代ライセンスのようなライトな形、電代は電子決済等代行業ですが、そのライセンスのような形も考えられるのかどうか。既存の金融商品仲介業をそのまま横に展開するというのではなくて、基本的には私も所属制も賛成ですし、基本的には賛成ですけども、あるべき規制というのはそれぞれの業態に応じて、必要なものをリスクに応じてつくって頂きたいと思いました。
それから、ちなみに外務員登録とか顧客カードが二重に必要だとか、金融商品仲介業の中でも事務手間が多い制度もありますので、そういうところはあまり参照されずにというところも希望として申し上げたいと思います。また、兼業規制はかからないと思いますけども、他業が制限されないことも前提としてお願いしたいと思っております。
「電子決済手段に関する規制の再点検」につきましては、基本的に頂いている方向性にいずれも賛成なのですけれども、あえて申し上げますと、「預金取扱金融機関による1号電子決済手段の発行」でございます。こちらは、銀行が預金債権として発行するステーブルコインについては今検討が進められているところですけれども、1号電子決済手段というものがもし発行できるようになれば、違いというのはパーミッションレスのステーブルコインも発行できるかどうかということであると承知しております。このときパーミッションレスだから危険だ、危ないというような観点もあるのですけども、パーミッションレスであるからできることとしては、取引の仲介業者のほうにアカウントの開設であったりKYCを行って頂き、トラベルルールを課してというような形で流通させるということについて、銀行のみではなくて、他者の力も借りながら普及させることができるというメリットがあると承知しております。
今のように預金債権型でやりますと、全てを預金取扱金融機関で口座開設をするという建前になりますので、それをある程度、分業制の下で電子決済手段を流通に置くことができるのかどうかというメリットがあることは、銀行であっても同じだと承知しております。今ニーズがないと、ニーズが乏しいであるとか発行計画がないというのは、できないからないというだけであって、必ずしも検討していないということではなくて、具体的にできるようになるとすれば、ニーズは皆さん検討されていくという面はあるんだろうと思いますので、はなからシャットダウンはなくて、意見を申し上げるとすれば、銀行としても何ができるのかということを考えて頂くというのは必要だろうと思います。
そのときに、14ページでいろいろとリスクの点についても挙げて頂いていると思うのですけども、基本的に預金と1号電子決済手段は異なるものだという前提に立つとすると、預金と違うということが明確になっているとするならば、この違いというものを利用者が受け入れる限りにおいて違う取扱いとすることも認められることもできるのではないかと思いますし、逆に預金と同じように預保の対象にするのだという場合には、決済債務として保護するとか、何かの方策があり得るのかどうか。もちろん預保との協議が必要になってくると思いますけれども、全て預金と同じである必要性があるのか、そうではないのか、いずれの設計もあり得ると思っております。
また、もし預保の対象にならないということであれば、信託と同じように裏付け資産を求めていくというような法制度もあり得ると思っておりまして、また発行量や流通量などによりますので、リスク管理というものは大前提として必須ですけれども、それが全体の勘定に対して僅少であるような場合に、あえてリスクだという必要性もないのではないかと思いますので、個別判断ではないかと思っております。
例えば、銀行さんでも定額小為替のような形で、預金とは違うような決済手段を提供しているケースもあると思います。例外はないわけではない。そういう意味では、預金と全く同じようにする必要性というものの前提から考える必要性はあるものの、預金とは異なる電子決済手段を発行すること自体、理論的に否定されるものではないだろうと思いますし、個別事案に応じるべきだろうと思いますので、今のような一律不可ということから一歩進めるときが来れば、そういう検討もして頂きたいと思っています。
3点目の特定信託受益権の発行見合い金の制度につきましては、詳細な検討を頂きまして、私としても制度に賛成でございます。最後の特定信託受益権の移転時の送付人等の情報の把握に関しては、トラベルルールを特定信託受益権にもかけるということだと思います。私も『ジュリスト』で、この点の制度間の差について指摘をさせて頂きましたので、今回、特定信託受益権の移転時のトラベルルールをかけることについては賛成でございます。
以上です。
【森下座長】
どうもありがとうございました。
これで委員の方々から一通り御発言頂いたと思いますけれども、あと六、七分残っておりますので、委員の方、2回目あるいはオブザーバーの方で御発言があるようでしたらお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
では、岩下委員。
【岩下委員】
どうもありがとうございます。今ちょうど堀委員が御発言されたので、それについて若干コメントしたいと思いますけども、銀行が電子決済手段を発行してもよいのではないか、その場合、外部の力が借りられるのではないかということがメリットであるというお話があったと思いますけれども、既に今、銀行のビジネスというのは、インターネットを介して様々な業者に対して提供される仕組みができています。預金の開設であるとか、様々な金融サービスを当該業者のサイトからアクセスする形で提供するBaaSというビジネスが日本の国内でも広く使われておりますので、そういった取組は伝統的預金のスキームの中で既に実現しています。ですから、それを達成するために電子決済手段を使わないといけないということではないかなと思ったので、その点について違和感を感じましたので、1点コメントさせて頂きます。
それからもう一つ、若干付け加えさせて頂くと、我々この種の暗号資産関係の議論をするときに考えなくてはいけないのは、暗号資産がある世界とない世界というのは、実は相当大きな違いがある。特に暗号資産が様々なところで大きく人々の生活に介在してきてしまう社会においては、いろいろな不都合が起こるということです。具体的に言うと、例えば税務署、警察、裁判所といったところの、これまで様々な規制側に立って、具体的な犯罪の取締りであるとか税金の取立てであるとか、あるいは、もし何か事情があれば差押えであるとか、そういういろんなことをやってきた人たちが、暗号資産というものが入った途端に、かなり機能しなくなってしまう部分があります。
これについては先ほど井上委員から、今日最初の議論にあったアンホステッド・ウォレットにどう対応するかということについて、しっかりブロックチェーンをトレースしてはという御意見もあったところですけれども、実際やってみると分かるんですけど、それはすごく難しいので、多分今の規制当局がそういう形でアプローチして、何がしかAMLなり、あるいはもっと具体に脱税であるとか、ランサムウェアの取締りであるとか、そういうことに成功するというのは極めて難しいし、それを前提とした仕組みというのは、まだ今のところ世の中にあまりできていないんですね。
資産を隠して保有したいという動機で暗号資産をアンホステッド・ウォレットで大量に持つ人たちが増えてしまうのは、社会秩序の維持という観点からも極めて深刻な現象だと考えます。そうはいっても、そういうニーズがあって世の中に広まっている以上、野放しにはできないということで、幾つか規制をすることになったわけですが、暗号資産が制度的に組み込まれてしまった世の中というのは、規制側に非常に重い負担と責任とがかかってくる。これは金融庁だけではなくて、様々なこれまでの既成の権威の側が、これに伴う今後の対応を強いられるものであるということを認識しておく必要があると考えています。
私からは以上です。
【森下座長】
ありがとうございます。
あとお三方から御依頼頂いています。簡潔にお願いします。
全国銀行協会さん、お願いします。
【全国銀行協会】
ありがとうございます。三井住友銀行の安地でございます。基本、違和感ないと思っておりまして、論点ごとに簡単に補足的なコメントだけさせて頂ければと思います。
仲介業者について、所属制で良いのではないかと思っていますが、現状の例えば金融商品仲介業者が証券の仲介を行う場合における所属制の実態を見ますと、複数の証券会社に所属することはほとんどなく、コンプライアンスのルール等も異なるので、基本は1社に所属というケースが多いと思います。同様のことが、暗号資産等においても起きるとすると、個別のユースケースは想定していないですが、顧客本位の観点等から、複数担いだほうが良いというようなケースがあった場合に、もしかしたら少しやりにくいかもしれないと思います。これは規制の問題というよりも、民間の事業者側でルールを揃えるといった努力が必要になってくるのではないかと感じました。これが1点目です。
2点目は、預金取扱金融機関による1号電子決済手段の発行について、業界の中でヒアリングをいたしました。イノベーションの観点では若干寂しい気もしますが、現時点においてはあまりニーズがないということでございました。ただ、事務局説明や、複数の委員の先生からもございましたように、将来大きな環境変化がある場合もございますので、その場合には、また機動的な議論をお願いしたいと思います。
最後、ステーブルコインのトラベルルールについては感想になりますが、信託のパーミッションレスのステーブルコインにAML/CFT等の観点で、様々な対策を講じていくのは大事なことだと思っております。しかし、将来、より一層この観点を厳格化していくと、パーミッションレスとパーミッションドの差がなくなっていくような印象を持っています。せっかくこのような信託を用いた方法を手当して頂いたにもかかわらず、私が言うのも変ですが、銀行のデポジット・トークンとほとんど変わらないようなことになるのは、せっかく制度として存在するのにもったいないとも感じました。
以上でございます。
【森下座長】
ありがとうございました。
Fintech協会さん、お願いします。
【Fintech協会】
Fintech協会の落合と申します。手短に申し上げます。
暗号資産・電子決済手段の売買・交換の媒介については、Fintech協会でも要望に接することがあり、ニーズがある取組と感じております。一方で所属制については何点か、金融サービス仲介業に関する自主規制などに関わった観点から視点を述べさせて頂きます。
所属制がない代理・媒介制度というのがもともと例外的でありまして、保険仲立人の後、金融サービス仲介業について定められている事例がございます。しかしながら、代理ではなく媒介行為の場合には、基本的にはあくまでも金融機関等の委託側の判断があることが前提となっておりまして、基本的にはそういった点も含めて、全体としてどういった行為義務を配置するかなど、制度が設計されており、所属制があるような場合に、それが若干変更されているという状況があると思います。
一方で、所属制がある場合の指導・監督の手法が議論になっていたかと思いますが、適切なガイドラインやチェックリスト等のひな形を設定して、リソースが限定されるであろう媒介等を行う事業者に対しては、実施すべき実務をあらかじめ整備するという方法で監督を図っているという例が、金融商品仲介業や、そのほかの業態でも行われている場合があると思っております。こういった基本的な準備になるような項目をしっかり整備した上で、また金融庁が交換業者等の指導に当たられる際に重点意見交換項目として、暗号資産交換業者が媒介業務を行っている場合に中心的に監督するといった方法を併用することによって、一定の強度の監督を実現する方法となし得るのではないかと考えております。
一方で、金融機関等の責任追及に当たって、今回は暗号資産交換業者ということになるかと思いますが、法的な賠償責任が明定されるということについては意義があるのではないかと思われます。これは一般的には、心配されるような媒介業者というのは中小規模の場合や、十分なコンプライアンス人員が所属していないような事業者が想定されると思いますが、賠償資力の担保の観点で申しますと、むしろこういった場合には暗号資産交換業者等の一定の資産要件、十分な体制整備要件を求められている本業者の事業者を直接責任追及できるようにするという形のほうが、最終的には賠償資力という意味で顧客保護に資する視点があるのではないかと思います。
本日の議論を踏まえて申しますと、媒介における説明として、あくまで媒介は代理ではなく、あるタイミングからは直接、暗号資産交換業者との取引となることをよく顧客に理解して頂けるように注意をして説明をしていくことを求めるということが、取引所取引やゲームからの遷移といった場合でも、顧客に必要な注意を払って頂けることになると思います。
意見は以上でございます。
【森下座長】
ありがとうございました。
次に、日本暗号資産ビジネス協会さん、お願いします。
【日本暗号資産ビジネス協会】
ありがとうございます。日本暗号資産ビジネス協会の河合でございます。手短に2点だけ申し上げます。
まず1点目、仲介制度ですけれども、いろんな意見が出たのを拝聴しておりまして、監督するほうの交換業者に対する不安というものの御発言が多かったと考えております。この点ですけれども、制度設計としての法律の在り方という問題と、実際の監督の問題は少し区別して考えるべきではないかと考えております。というのは、所属制における在り方として、例えばどういう風な監督を行うべきかということを考えるべきですけれども、今の実態として、仮に交換業者で体制整備が足りない業者がいたとしても、その実態だけをもって仲介業者の義務を重くするというのは、それは法の体系としては必ずしも望ましいものではなくて、むしろその場合であれば、現行の業者の中で体制整備が足りない、つまり、実務的に利用者保護の体制整備が足りない業者や、AML/CFTの体制整備について足りない業者についての監督を強化していくと考えるのが筋道としてはあるべきではないかとJCBAとしては考えております。ただ、先ほどFintech協会からありましたように、どの監督手法を取るべきかなどというのはきちんと決めていって、その枠組みの中で監督サイドの業者が監督権限を行使できるように定めて頂くのがよいのではないかと考えております。これが1点目でございます。
2点目ですけれども、全体としては非常によくお考え頂いたということで、JCBAとしては大変すばらしい案を頂いていると思っております。もっとも、銀行発行の1号ステーブルコインの件については、結論としては中長期的課題というところで違和感はないのですが、皆さんの発言の中で「パーミッションレスは」という言葉がたくさん出てきたんですけれども、ここ、1つだけはっきりしたいなと思っております。というのは、パーミッションレスブロックチェーンであっても、移転先をスマートコントラクトで制限したりして、実質的にパーミッションドと同じような働きをすることができるというような機能もございます。パーミッションドでも使い方によってはかなり広い範囲のユーザーを取り込むということもできますので、むしろその言葉にとらわれず、例えば、移転先を全て把握できているかとか、発行体による監督ができているかというような視点から、現時点で発行可能な電子マネーなのか、それとも今は待つべき1号ステーブルコインなのかというところを判断して頂けると大変ありがたいと思っております。
以上でございます。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは、預金保険機構さん、お願いします。
【預金保険機構】
預金保険機構預金保険部長の林と申します。ありがとうございます。
1号電子決済手段につきまして、仮に金融機関が1号電子決済手段を発行することになった場合でございますけれども、それを預金保険の保護対象とするのかという点のほか、預金保険機構といたしましては、金融機関破綻時には倒産法制が適用され、裁判所による監督がなされる下で、金融整理管財人として破綻処理を円滑に遂行すべき立場にもあることなどから、仮に金融機関が1号電子決済手段を発行することになった場合には、そのような電子決済手段の発行、移転、償還などに係る倒産法などの私法上の位置づけ、性格などが明確化されることが重要と考えておりまして、その点、必要な議論が行われていくということも期待しているところでございます。
以上です。
【森下座長】
ありがとうございました。
それでは、時間にもなりましたので、本日はここまでとさせて頂きたいと思います。活発な御議論ありがとうございました。本日頂きました御説明や御意見を踏まえ、今後さらに議論を深めていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
最後に、事務局から連絡事項などありましたらお願いいたします。
【久永デジタル・分散型金融企画室長】
次回のワーキング・グループの日時につきましては、皆様の御都合を踏まえた上で、後日、事務局より御案内させて頂きます。よろしくお願いします。
【森下座長】
それでは、以上をもちまして本日のワーキング・グループを終了いたします。ありがとうございました。
―― 了 ――
(参考)開催実績
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