金融審議会「資金決済制度等に関するワーキング・グループ」(第6回)議事録

  • 1.日時:

    令和6年12月9日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所:

 中央合同庁舎第7号館 9階 905B会議室 ※オンライン併用
 

金融審議会「資金決済制度等に関するワーキング・グループ」(第6回)
 

【森下座長】 
 では、定刻になりましたので、ただいまより資金決済制度等に関するワーキング・グループの第6回会合を開催いたします。

 皆様、御多忙のところ、御参加頂きありがとうございます。

 本日の会合も、前回に引き続き、オンライン会議を併用した開催とし、会議の模様はウェブ上でライブ中継をさせて頂いております。

 また、議事録は、通常どおり作成の上、金融庁のホームページにて後日公開させて頂く予定ですので、よろしくお願いいたします。

 それでは、ただいまより議事に移ります。本日は、まず、第5回までの議論の中で、委員の皆様方の御指摘を踏まえ、さらに検討が必要と考えられた論点、具体的には、第一種資金移動業の滞留規制の緩和、そして、クロスボーダー収納代行への規制のあり方について、資料1としてまとめております。

 次に、本ワーキング・グループにおける議論の取りまとめを見据え、報告書の骨子となる内容を資料2としてまとめております。委員の皆様におかれましては、資料2につきましては、方向性に違和感がないかといった観点から御確認を頂ければと思います。

 全体の取り進めですけれども、まず、事務局より資料1及び資料2について続けて説明し、その後、全体についてまとめて御議論頂きたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、まずは、事務局より資料1について御説明をお願いいたします。

【久永デジタル・分散型金融企画室長】 
 資料1の御説明をさせて頂きます。

 まず、1ページ、目次でございます。これまでの会合で方向性の一致が見られなかった第一種資金移動業の滞留規制とクロスボーダー収納代行の2点について掘り下げたものでございます。

 3ページ、4ページは、従来どおり、これまでの会議での委員の主な御意見をまとめております。詳細は割愛させて頂きます。

 5ページ以降が第一種資金移動業の滞留規制についてでございます。

 6ページは、第2回の資料に若干加筆したものでございます。滞留規制の中で、特にオレンジで囲まれている部分、新たな資産保全方法を採用する資金移動業者に滞留期間の延長を1か月程度まで認めることについて、多くの委員から御意見を頂戴いたしました。

 7ページでございます。こちらは参考資料でございまして、先ほど新たな資産保全方法と申し上げましたが、それは具体的には、赤字の部分、資金移動業者の破綻時等に、保証機関や信託会社等から直接利用者の資金を返還する方法を指しております。

 8ページ、論点・見直しの方向性でございます。第2回の会合でどのような御意見があったかというところですが、大きく2つの観点から御意見があったと受け止めております。

 1点目は、資金移動業者の破綻時等に利用者資金を迅速かつ確実に返還することが必要であるということ。特に、保全額の算定と実際の保全までに2営業日のタイムラグがあるため、その間に保全金額に不足が生じる可能性があり、そこで破綻したときに重大な影響が及ぶという点。

 2点目が、具体的な滞留期間について、マンスリークリアの商慣習を考慮すると、2か月程度が必要であるという点でございます。

 対応案でございます。こちらも2点ございます。

 まず、1点目、第一種資金移動業者が滞留期間を延長する際には、新しい資産保全方法を採用することに加え、以下①、②を求めてはどうか。

 ①、資金移動業者が、後ほど御説明しますが、②で資金移動業者に体制整備を求めることとしており、その体制を踏まえた破綻時の損失等のリスクを利用者に説明すること。②、資金移動業者が破綻等したときに、早期にかつ高い確実性をもって利用者に資金を返還するための体制整備を行うこと。

 AとBで、「早期に」と「高い確実性」について詳しく御説明しております。A、早期に返還する体制として、債権者情報の管理と利用者の連絡先や口座情報の把握等を求めること。B、高い確実性。ここは100%確実な体制は不可能であるという前提の下で幾つかのオプションを示した上で、事業者による選択制としてはどうか。オプションとして3つ挙げております。

 1つ目、受け入れた資金について、その時点での保全額を超える場合、資産保全されるまでの間、その超える部分について預貯金等により分別管理をする。併せて、当局への報告など適切な管理を行っているか確認する仕組みを設ける。2つ目、信託の場合を想定しておりますが、タイムラグを2日から1日以下にする。3つ目、利用者から受け入れることが想定される資金以上の額、ここでは「想定上限額」と呼んでおりますが、を保証や信託により保全させる。想定上限額は、事業者のビジネスモデルによって異なると思いますので、申請時の事業計画や利用開始後の実績等を踏まえて決定してはどうかと考えております。

 対応案の2点目でございます。こうした措置を採ることを前提に、延長後の滞留期間を1~2か月程度としてはどうかと考えております。

 9ページ以降がクロスボーダー収納代行についてでございます。

 10ページ、第4回の資料をそのまま掲載しております。詳細は割愛させて頂きます。

 11ページからは、新しい資料でございます。まず、クロスボーダー収納代行にどのような場合に該当するかを議論しております。クロスボーダー収納代行は、収納代行のうち国内と国外の間で資金移動を行うもの。これは第4回でも御説明した内容でございますが、その該当性については、原則として、収納代行業者と利用者の間の合意事項等を踏まえて判断してはどうかと考えております。

 1ポツのところでございます。例えば、収納代行業者、ここでは、事業者Aと受取人Yの間で、Aは支払人Xから商品等の代金を受領し、その代金をYに支払うという合意がある場合、AはXとYの間の収納代行をしていると評価できます。その上で、XとYの地理的な範囲を確認し、クロスボーダーである場合には、クロスボーダー収納代行に該当すると考えられます。ここで、Aは国内にいる場合も海外にいる場合もあると考えられます。また、AがXからの資金の回収を別の事業者Bに委託する場合もあると考えられます。

 2ポツでございます。XからAへの支払いにおいて、別の決済事業者Cが収納代行を行っている場合もございます。これはAが行う収納代行とは別の行為と考えられるため、このCの行為もクロスボーダーである場合には、クロスボーダー収納代行に該当し得ると考えられます。

 こういった者の関係を下の図でお示ししております。

 12ページでございます。ただ、クロスボーダーの収納代行に該当したからといって、全て為替取引規制の対象とすべきということではないという点は、多くの委員から御指摘を頂いたところでございます。対象外と考えられる行為をここで列挙しております。

 まず、オンライン・マーケットプレイスや委託販売等のうち、商品売買契約等、金銭債権の発生原因の成立に関与しているものについては、受取人の資金回収の確実性向上等に寄与していると考えられます。銀行や資金移動業者等の行うクロスボーダー送金と同等の行為とは言えず、直ちに為替取引規制を適用する必要性は必ずしも高くないと考えられます。

 また、仮に金銭債権の発生原因の成立に関与していないとしても、全て規制対象とすべきということでなく、一定の行為は為替取引規制を適用する必要性は必ずしも高くないと考えられます。

 (1)、(2)、(3)とございます。(1)、エスクローサービスであれば、債務の同時履行を図ることによるトラブルを未然に防止するという機能があると考えられます。(2)、経済的一体性等が認められる者が行う収納代行であれば、利用者保護等の必要性は必ずしも高くないと考えられます。(3)、他法令が規律する分野で一定のリスク軽減措置が既に図られている場合も、別途為替取引規制を課す必要性は必ずしも高くないと考えられます。

 3ポツのところでございますが、ただし、今回規制対象外とする行為についても、国内外の利用者被害の状況や規制の潜脱の有無等を注視し、要すれば、為替取引規制の必要性について改めて議論してはどうかと考えております。

 13ページでございます。では、規制対象とすべきものは何かということでございます。クロスボーダー収納代行のうち金銭債権の発生原因の成立に関与しない者が行うものは、基本的には銀行や資金移動業者が行うクロスボーダー送金と同じ機能を果たしていると考えられます。したがって、国際基準設定主体、FSBにおける議論を踏まえ、一定の金融規制下に置くべきと考えられます。こうした取引は、海外オンラインカジノへの送金や投資詐欺等、不正利用やマネー・ローンダリング等に使われるリスクも存在します。

 したがって、クロスボーダー収納代行のうち、金銭債権の発生原因の成立に関与しない者が行うものについて、先ほど議論した規制対象外とされるものを除いた上で、為替取引規制を適用してはどうかと考えております。

 具体的には、下の絵にあるとおり、例えば、海外EC取引の決済だけに関わる収納代行、オンラインカジノの収納代行、海外投資事案の収納代行、インバウンド旅行者向けの収納代行といったものが考えられるところでございます。

 なお、オンラインカジノや金融商品取引業の登録なしに投資事案を行う場合は、原因取引が適法な行為とは言えないため、そのために登録を求める者がいるときに、その登録を認めるということでなく、警察とも協力し、刑事的な措置も含めた対応を取っていくということになると考えられます。

 14ページは参考資料でございます。先ほど言及したFSBの勧告でございます。第4回でも少し御紹介しましたので、詳細は割愛いたします。

 16ページ、御議論頂きたい事項でございます。

 第一種資金移動業の滞留規制について。滞留期間の延長を認めるための要件として、以下①、②を求めることについてどう考えるか。①破綻時の損失等のリスクの利用者への説明。②体制整備として、破綻時等に早期に返還するため、債権者情報の管理、利用者の連絡先、口座情報の把握等を求める。また、高い確実性を持って返還するため、分別管理、タイムラグの短縮、想定上限額までの保全といったオプションの中で事業者が選択することについてどう考えるか。

 また、延長後の滞留期間は、マンスリークリアの商慣習を考慮し、1~2か月程度とすることをどう考えるか。
 クロスボーダー収納代行について。金銭債権の発生原因の成立に関与せずに行われるものについて、原則として為替取引規制を適用することについてどう考えるか。

 金銭債権の発生原因の成立に関与する者が行う場合、また、関与しない場合でも、エスクロー、経済的一体性が認められる者が行う収納代行、他法令が規律する分野で実施される収納代行については当面は規制の対象としないことについてどう考えるか。他に除外すべきものがあるか。

 以上が資料1の御説明でございます。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 続けて、事務局より資料2について御説明をお願いいたします。

【三浦信用制度参事官】 
 それでは、続きまして、資料2について御説明させて頂きます。

 資料2は、冒頭、座長からありましたとおり、今後、本ワーキング・グループの議論の取りまとめに向けて、これまでの御議論の中で委員の皆様の大体、おおむねコンセンサスがこのぐらいまで得られたかなというところにつきましてまとめてございますので、御説明させて頂きます。

 今御覧になっているスライド1は、全体像ということで、大きく3つに分けられます。1、送金・決済サービス、2、暗号資産・電子決済手段(ステーブルコイン)、3、その他とさせて頂いております。各論につきましては、次のスライド2以降に移ります。

 次のスライド2をお願いします。まず、Ⅰ-1、資金移動業者の利用者資金の返還方法の多様化です。こちらは、現在、資金移動業者が仮に破綻してしまった場合には、国への供託を経由して利用者資金の返還を行うというようなことですので、最低170日はどうしてもかかってしまうということです。したがって、資金返還の確実性・安全性を担保しつつ、迅速な資金返還を実現するという観点から、供託を経由せずに、以下(1)(2)の方法により返還する選択肢を設けたらどうかということで御議論を頂きました。(1)が銀行等の保証機関による直接返還、(2)が信託会社等による直接返還ということでございます。

 2つ目の四角は、優先弁済権についてでございます。供託を経由する返還方法と保証機関により直接返還する方法を併用した資金移動業者が破綻した場合には、保証機関が弁済による代位を行った後、供託されている履行保証金について優先弁済権を行使すると利用者に不利益が生じるということから、当該保証機関を資金決済法の優先弁済権の帰属主体から除くということでございます。

 最後、前払式支払手段については、高額の前払式支払手段でない限りは本人確認義務が課されていないことから、引き続き現行制度、すなわち供託による還付手続を実施するということで、新しい選択肢を設けるということはしないというようなことでございました。

 Ⅰ-2の滞留規制の緩和とⅠ-3のクロスボーダー収納代行への規制のあり方につきましては、本日の議論を踏まえてということですので、このような記載ぶりになっております。

 次のスライド3をお願いします。Ⅰ-4、前払式支払手段の寄附への利用でございます。こちらにつきましては、例えば、寄附文化の推進等の観点から、おおむね寄附自体に利用すること自体はよいのではないかというようなところで御議論頂きました。

 一方、為替取引規制の潜脱防止の観点や、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与防止対策や詐欺のリスクにも留意し、寄附金事業者や金額に一定の制限を課した上で認めるということで御議論頂きました。具体的には、寄附金事業者について、国・地方公共団体や認可法人等に限定する、更に、上限額としては1回当たり1万円から2万円とするというところでございます。

 2つ目のポツです。今後、金融庁においてこうした枠組みについてより詳細を検討していくのですが、ギフトカード等を用いた詐欺の事案等を踏まえると、番号通知型の前払式支払手段を用いた寄附を認めることは適切ではないというような御意見がありました。また、何者かが寄附金事業者に成り済まして寄附金を募るリスクというのもございます。そういったものについて十分な対策が講じられるべきであるというような御議論を頂きました。

 最後に、寄附を含め、前払式支払手段の利用範囲については、利用者にとって分かりやすい形で周知していくことが重要であるとしております。

 次、スライド4をお願いします。ここから先は、暗号資産と電子決済手段(ステーブルコイン)でございます。

 Ⅱ-1については、暗号資産交換業者等の破綻時の資産の国外流出防止でございます。こちらFTX事案の際に、暗号資産のデリバティブ取引をやっていたので金商法上の国内保有命令を発出できたのですが、仮に現物しかやっていなかったらそういったことができたのかどうか、というようなところからの議論でございました。

 グローバルに活動する暗号資産交換業者等が破綻したときに、国内利用者への資産の返還を担保するため、金商業者に対する資産の国内保有命令の規定を参考に、現行、暗号資産交換業者等を規定している資金決済法においても、金商法を参考にこうした利用者に対する資産の国内保有命令の規定を設けてはどうかというようなことでございます。

 次、Ⅱ-2が、暗号資産等に係る事業実態を踏まえた規制のあり方になります。こちらについては、暗号資産交換業者等と利用者の間に立ち、いわゆる売買・交換の媒介のみを業として行う者に対しては、暗号資産交換業者等の規制をフルパッケージでかけるのではなく、暗号資産・電子決済手段仲介業というまた別のカテゴリーを創設し、適切な規制・監督を行うというようなものでございます。

 具体的な枠組みについては、以下3つの矢羽根にございます。

 まず、所属制。こちらにつきましては、この新しい仲介業者は、金融サービス仲介業のように銀行、証券、保険といった多種多様な商品を取り扱うというようなこともないので、他の金融分野における仲介業と同様に、所属制を採用するというところで御議論頂きました。

 2つ目は財務要件です。こちら新たな仲介業者は利用者財産の受託を行わないということですので、利用者財産の管理等の不備によって利用者に損害を与えることが想定されないため、賠償責任を負う事態も限定されるであろう、したがって、財産的基礎に係る参入規制は課さないということで御議論頂きました。

 最後に、AML/CFTについてでございます。こちらにつきましては、こちらで仲介業者が行う媒介行為につきましては、当事者の片方に必ず暗号資産交換業者等がおり、当該業者はAML/CFTについてはしっかりと対応しているという前提で、仲介業者に犯収法に基づくAML/CFTの履行義務は課さないというようなことで整理してございます。

 次、スライド5をお願いします。Ⅱ-3、特定信託受益権、いわゆる3号電子決済手段の発行見合い金の管理・運用方法の柔軟化でございます。現在の制度では、こういった発行見合い金については、要求払預貯金による管理のみを認めていますが、国際的な動向を踏まえ、これを柔軟化するということでございます。

 ただ、価格安定性・償還確実性をしっかり担保するという観点から、信用リスク、価格変動リスク、流動性リスクの低い資産の保有に限ることとし、また、一定の組入比率の上限を設けるということでございます。

 具体的には下の矢羽根4つでございます。

 まず、運用対象資産については、信用リスクが無く、価格変動リスク及び流動性リスクも限定的と考えられる国債による運用を認める。一定の健全性基準を満たす銀行等を預入先とし、かつ、満期前の中途解約が常時認められる定期預金による運用を認めるというものでございます。

 2つ目としては、満期及び残存期間は、国債の場合はそれぞれ3か月以内というようなことで御議論頂きました。

 3つ目、信託財産減少リスクへの対応です。国債で運用を認める場合には、委託者に価格変動により信託財産が減少した場合には、追加で信託財産を拠出する義務を課す。定期預金による運用については、信託財産の減少が生じない場合に限定して認めるとさせて頂いております。

 組入比率の上限につきましては、投信法等との関係も踏まえつつ、まずは50%を上限とすることで御議論頂きました。

 次、スライド6をお願いいたします。Ⅱ-4、同じく3号電子決済手段におけるトラベルルールの適用についてでございます。もともとこちらトラベルルール適用は除外されていましたが、これは移転があった場合、受益権原簿の書換えが行われて、受益者の情報をちゃんと把握できるという想定の下でした。

 しかし、その後、検討が進んだ受益証券発行信託によらない特定信託受益権は、こういった受益権原簿がないので、そういった状況下での移転については、マネロンやテロ資金供与のリスクが高いというふうに考えられます。したがって、トラベルルールの適用等を通じて、受託者・仲介者に送付人及び受取人の情報を把握させることとし、私どもも適切に監督を行っていくというようなことで御議論頂きました。

 次、Ⅱ-5、預金取扱金融機関による1号電子決済手段の発行でございます。こちらについては慎重な意見が大勢だったというふうに理解しています。実際、現在、国際的にもほとんど発行実績がなく、マネー・ローンダリングや不正利用等に係る様々なリスクも指摘されています。こうした中、我が国でもニーズが乏しく、具体的な発行計画の策定に向けた取組もないということを踏まえると、当面は内外の情勢を見極めつつ、中長期的観点から検討することが適切であるとしてございます。もちろん未来永劫検討しないというものではなくて、当面はこのように位置づけるということでございます。

 なお、預金取扱金融機関による将来における1号電子決済手段の発行の検討に当たっては、例えば、利用者財産の保全方法や金融システム等への影響等を踏まえながら、しっかり検討していくというふうに整理してございます。

 最後、7ページをお願いいたします。こちらはその他の論点ということで、立替サービスの検討、外国の金融機関によるシンジケートローン参加について取り上げてございます。

 まず、立替サービスにつきましては、様々な御意見を頂きました。ただ、その中で、こちらに記載しておりますとおり、我々の目線を明確化するということにつきましては、おおむねコンセンサスだったのかなというふうに理解しています。

 具体的には、立替サービスの貸付けの該当性について、それぞれのサービスの実態に照らして、①どの程度資金需要者の支払能力を補完しているか、②どの程度資金需要者の信用力を考慮しているかなどに注目して、貸付けと同等の経済的効果を有するかを個別に判断することになります。

 その際には、例えば、手数料の設定方法、立替期間及び資金需要者の属性・利用態様等の内容を総合的に勘案することを明確化するといったものでございます。

 次は外国銀行等によるシンジケートローン参加でございます。こちらについては、免許等を持っていない外国の金融機関が日本の国内で組成される外貨建てのシンジケートローンに参加する際には、貸金業登録を行い、日本に事務所を置いて、専門人材も配置するということになっておりました。こちらについて規制が重すぎるのではないかというような論点でございました。

 こちらについても様々な意見を頂戴したところでございますが、そもそも貸金業法が柔構造化されていないということが問題であるといったほか、例えば、こちらは銀行法の立てつけの中で考えることも重要なんじゃないかという御意見もありました。そういった様々な御意見があったことを踏まえて、引き続き検討を行っていくということで整理いたしました。

 また、貸金業法の柔構造化そのものにつきましては、非常に大きな論点でございます。こちらにつきましては、今後、中長期的に検討を深めていくということにさせて頂いております。

 資料2の説明は以上です。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの事務局の御説明を踏まえまして、委員の皆様方から御意見を頂きたいと思います。御発言を希望される際には、対面で御出席されている方におかれましては、机上の名札を縦にして頂き、オンラインで御参加されている方におかれましては、オンライン会議システムのチャット上にて全員宛てに発言がある旨御入力頂ければ、それを確認して私が指名いたします。

 なお、毎度のお願いで大変恐縮なのでございますけれども、限られた時間の中で可能な限り多くの方に御発言を頂きたいと考えておりますので、お一人当たり最大5分というところを厳守で御発言頂ければと思います。

 それでは、どなたからでも結構ですので、御発言をお願いいたします。それでは、岩下委員、お願いいたします。

【岩下委員】
 ありがとうございます。資料1の16ページ、本日の御議論頂きたい内容および資料2の全体について、コメントを申し上げたいと思います。

 まず、第一種資金移動業の規制については、これまでの議論の中で、とりわけ保全に2営業日のタイムラグがある点に着目します。従来の銀行取引の歴史をみても、1974年のヘルシュタット銀行事件のような決済リスク顕現化事例は多数発生しています。その対策を各国の金融機関が一生懸命講じてきたため、現在では、国際的な合意の下に問題が相当部分解消されました。例えば、CLS銀行がその好例でしょう。今後、第一種資金移動業で高額・大量の資金移動を取り扱うようになるのであれば、そういう問題に適切に対処していかなければならないと思います。

 これまで、資金決済法の改正等に伴って、とりわけリテール決済の領域はかなり改革が進められてきたと思います。しかし、企業間あるいは国際的な決済については、あまり新規参入がなかったこともあって、従来型の金融が続いています。もしそれが顧客サービスが十分に向上しないという問題につながっているとすると、この分野についてもイノベーションが当然求められます。しかし、イノベーションと同時に、この分野は非常にリスクの高い領域なので、そこについてきっちりとした対応が必要であると考えます。

 その意味で、今回の議論の対象になった滞留期間の延長という話と、その滞留期間の延長と一体となる保全措置の改善という両方の点について検討が必要です。まず、マンスリークリア等のビジネスニーズがあるのであれば、これまでの議論で1か月とされていた滞留期間を2か月に延ばすことについては、これは理由がある話だと思うので、そういう変更を加えることは適当だと思います。そうであればなおさら、きちんとした保全が必要ということになるでしょう。

 銀行等の伝統的な金融機関の場合は、その金融機関そのものを規制するという形でリスクを低減する対策が講じられています。これに対し、資金移動業は、個別の取引について保全を行うという発想になっていると思うので、その部分がもし仮に片手落ちになっているとすると、それはイノベーションのつもりが、リスクを大きくしてしまったというふうになりかねないわけです。

 その点を考えると、今回、事務局が提案したディスクロージャー及び利用者、業者の自らの創意工夫によってリスクを低減するための方法を事業者自らが選んで頂いて、それを利用者がきちんとした理解の上で採用するという方向に持っていけるとすれば、制度の建て付けとしては非常によいのではないかと思います。現在の事務局提案に賛成です。

 次に、クロスボーダー収納代行の規制についてでございますが、基本的に、資金決済法で何でもかんでもこの種の金融取引的なものを取り込んでいくということについて、私は必ずしも積極的ではありません。取り込むべきものとそうでないものがあると思います。

 クロスボーダー収納代行については、実際にいろいろな問題が発生しているやに聞いておりますし、問題への対応策を考えるにつけても、何がしかの手がかりのようなものはきちんと整備しておく必要があると考えます。実際に業者がどのような活動をしているのかを調査したり、あるいは、仮に不正なことをやっていた場合、それに対してきちんと検査を行うための手がかりのようなものがぜひ必要だと思います。その意味では、このクロスボーダー収納代行、基本的には規制の対象とするという前提とした上で、ただし、そうはいっても、現に円滑に行われている通常の国際的なEC取引等を全て規制の下に置くというのは適当だとは思いませんので、それらについて必要に応じて範囲を設定していくということが適当だと思います。

 今回、下に3つの事例が書かれています。様々な、例えばそれこそGAFAのように大きな主体が行っている取引は、一種のクロスボーダーの収納代行に当たるものが存在するような気がいたしますので、そういうものについてこの資金決済規制が必要かどうかということについては、多分今後の議論になると思います。十分に信用できる者が自ら業務の一環としてやっていることなので、それは問題ないと判断できるわけですが、実際には実体がないのに資金決済の規制を逃れる取引を行っている者がいるとすれば問題です。それについては、事前にどういう現象が起こっているかを正確に把握できるような、そういう仕組みが必要だと思います。

 最後に、資料2のほうに書かれた全体の議論については、これまでのワーキングの議論がかなり、特に大きな議論が分かれるということなく、事務局の提案について賛成する意見がこれまで多かったと思いますし、内容等についても特に大きな問題はないと思います。

 一言申し添えるならば、これまでよく、金融規制というのは原則禁止の事前規制であって、それがイノベーションを起こすのだということをよく言われてきたわけですが、今回のこの様々な議論を見ていますと、結構違ってきたな、もう既に実態があって、その実態をどう追認するかみたいな議論というのが結構今回も多かったような気がいたします。これは金融規制が従来言われていたネガティブな方向からよりイノベーションを推進する方向に変わってきたということであって、良かったと思います。

 金融の世界では、金額の桁が一気に増えてしまうような現象が起こりがちです。暗号資産の市場は特に動きが激しく、前回と今回のワーキングの間で、暗号資産の流通総額は1割ぐらい増えて、日本のGDPに匹敵する金額になっています。そういう変化を前提とすると、議論もいろいろ変わってくると思います。大きな変化が起きた時に、その内容をしっかりウオッチする仕組みが必要ですし、マーケットに問題があれば是正が必要ですが、そのときに技術的にかなり難しい課題が最近多くなっています。法律だけではなくて、情報技術的に非常に難しい議論が多いので、それらをきちんとトレースできるようなスキルの向上を規制監督機関側がやっていくことが必要ではないかと思います。

 私からは以上です。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 それでは、小川委員、お願いします。

【小川委員】 
 よろしくお願いいたします。私も、頂いた16ページに沿って、コメントを述べさせて頂ければと思います。

 まず、Ⅰ-2の①について。第一種資金移動業者が滞留期間を延長した際、破綻時の損失等のリスク、これを開示し説明義務を果たすべき点については賛同します。リスクとして残存する点はきっちりとリスク開示していくといったところが、極めて重要だと思っています。

 一方で、どのように開示をするかといったところかと思います。最大のリスクとして、最悪の場合、預かりの部分全額になり得るという点、ただ、それだけですと非常に過度な不安を煽ると思いますので、併せて、保全の仕組み、整備されている体制といったところも利用者に明確に分かりやすく開示すべきだと考えます。利用者に対し明確なディスクローズ義務を果たすことの重要性を示すべきと考えています。

 それから、Ⅰ-2の②の1つ目ですが、早期に返還する体制として、利用者の債権者情報等の管理、これと利用者の連絡先や口座情報の把握について、返還の申し出なくしてその時点で返還することとなりますから、この口座情報等の正確な把握は極めて重要だと考えます。

 一方で、重要なポイントは、実際に返還するタイミングでそれら適時正確に把握できるかといったところになってきます。したがって、一度把握すれば済むといった問題ではなく、適時適切に、継続的にそういった情報を把握することを求めていくことになろうかと思います。継続的把握には、当然コストもかかってくると思います。法趣旨を踏まえて、適時性についても明記するべきだろうと考えております。

 Ⅰ―2②の2つ目については、いずれも賛同します。

 次の、延長後の滞留期間として、マンスリークリアの商慣習を考慮し「1~2か月程度」とすることについてですが、現在非常にビジネスが多様化し、いろいろなサービスがでてきていますので、システム対応、それからオペレーションといった観点から、2か月程度といった期間は、より新たなビジネスの推進といったところにも合理性があるのではないかと考えます。

 次に、クロスボーダー収納代行規制でございますが、クロスボーダーの収納代行のうち、金銭債権の発生原因の成立に関与せずに行われるものについて、原則として為替取引規制を適用する。これについては、前回、多くのリスクが識別されている中、当然必要と考え賛同いたします。

 次に、除外するものについてですが、基本的な考えといたしましては、適切なリスクをきっちりと識別し切ることと、それに対して整合性の取れた比例性のある規制対応が必要かと思っておりますので、この取引がマル、この取引はバツというよりも、やはりリスクアプローチで規制していくべきものと考えております。

 例えば、グローバルの企業等について、グローバルグループ内の送金需要、これは今後も加速していくものと考えております。そういった需要に対し、そこで想定されるグループ内での取引といった観点でのリスク、これは非常に限定的なものになると考えられますので、リスクアプローチの観点で除外とすることもあり得ると考えます。

 ここに記載の「経済的一体性等が認められる」という言葉については法趣旨とそれにともなう定義を明記していくべきものと考えます。

 また、エスクローサービスといったところで、昨今、非常に注目を浴びておりますが、中立的な第三者による代金決済等の取引の安全性を確保する取引安全サービスと認識しております。したがって、当該サービスによって債務の不履行といったリスクは一定程度カバーできる、そういったメリットがある取引と認識しています。

 一方、前回からも議論されているとおり、このクロスボーダー取引により、国境を越えるがために発生する特有のリスクがあります。例えば、利用者情報保護、それからマネー・ローンダリングといったリスクはある。個人情報保護法等の越境の情報移転の規制、マネー・ローンダリング規制など他の法規制でそうしたリスクをどこまでカバーできているのかといったところもきっちりと整理した上で、どういった残存リスクがあるのか。せっかく制定する為替取引規制の逸脱行為にならないことも重要な観点かと思います。

 頂いた16ページについての私からの御意見は以上です。

 また、全体として、きっちりときれいにまとめて頂いて、ありがとうございます。ビジネスがどんどん越境し、分散化し、スピードが速くなっていく。また明日、新たなビジネスが生まれてきます。ですので、変化に可能な限り耐えうるよう、リスクアプローチであるとする基本的な法規制の趣旨、これを必ず明確にした規制のあり方になって頂ければありがたいと思っております。

 私からは以上です。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 それでは、長内委員、お願いします。

【長内委員】 
 大和総研の長内でございます。

 私からは、大変恐縮なんですけれども、まず、事務局資料2の「前払式支払手段の寄附への利用」について、私の担当分野にも関連する高齢者の金融リスクについて、追加でコメントをさせて頂ければと考えております。

 具体的には、現在、日本では特殊詐欺が社会問題化しており、被害者のうち高齢者の比率がかなり高くなっています。また、超高齢社会の日本では、金融商品について高齢者向けの勧誘・販売ルールが設けられているのは御案内のとおりです。

 前払式支払手段の寄附への利用に関しては、認知・判断能力が低下した高齢者、特に単身の高齢者が、例えば、他人から勧められて十分に理解せずに寄附をしてしまうといった問題が生じる可能性が考えられます。1回当たりの金額は少なくても、何度も繰り返し寄附を促されて、家族や親族が気づいたときには、結構な額を寄附してしまっている可能性も想定されます。

 もっとも、現在予定されている寄附先の団体等を踏まえると、実際にこうした問題が顕在化することはないかもしれませんが、超高齢社会の日本における潜在的な金融リスクとして消費者保護の観点から1点、少しコメントさせて頂きました。

 今回の16ページの内容になりますけれども、第一種資金移動業者の滞留規制の緩和に関しては、滞留規制の主な理由が、破綻時の利用者資金の返還に時間を要する点という事務局資料の6ページ目の説明を前提とすると、新たな資産保全の方法等、追加の説明や措置によっておおむね対応できるのではないかと私も考えております。

 なお、1点こちらに関して確認したいことがあるんですけれども、具体的な措置を講じた資金移動業者は、金融庁の指定や認可を受ける必要があるのかという点です。例えば、資金移動業者の口座への賃金の支払い、つまり、賃金のデジタル払いについては、厚生労働大臣の指定を事前に受けることになっています。それによって、しっかり監督庁が指定をしてリスクをコントロールするという形になっています。それと同じような形になるのかというのが問題意識にあります。

 こちらも御案内のとおりですが、賃金のデジタル払いに関しては、指定に相当時間がかかって事業者がかなり大変という実態もありますので、そのバランス感が問題になってくると思います。

 延長後の滞留期間に関しては、規制をどんどん緩めるというものではなくて、あくまでも実務面を考慮したという対応ですので、賛同いたします。

 こちらも細かいのですが、1点確認したいことがあります。今回、滞留期間の上限を定めるのではなくて、レンジかつ程度という文言がついています。例えば、一般的には、2か月程度の場合には2か月とプラス2日とかも全然可能なように感じます。そういうレンジの形にせず、例えば2か月以内とか、場合によっては幅を考慮して、長めの時間がかかるのであれば65日以内とか、上限を示したほうが一般には分かりやすいような気がします。実務面で、レンジかつ程度という幅を持った表記にした理由があるのかというのが個人的な疑問点となります。

 2つ目のクロスボーダー収納代行への規制のあり方に関しては、現状、海外EC等において消費者保護が難しくなっているという問題が存在しておりますので、そこに適切な規制を設けていくということについては、私も原則として賛成します。

 他方、この論点というのは、サービスの実態を踏まえて、規制の対象となるもの、対象とならないものについて、線引きをいかにするかという点が大きな課題になっていると私のほうでは理解しています。

 今回提示された案は、第4回の議論を踏まえて、為替取引規制の適用範囲を定め、かつ規制の対象となるもの、対象とならないものを整理して頂いたということは、個人的に前向きに捉えています。また、今回の取りまとめ頂いたものについて、個人的には特段の違和感はないと考えております。

 ただ、第4回の議論であったように、この分野というのは実態がかなり多様ということを聞いておりますので、今後、必要に応じて柔軟に調整することになってもいいのではないかというのが個人的な感想です。例えば、企業に追加でヒアリングをしたり、場合によっては、いずれ行うことになると思われるパブコメ等を参考にして微調整することも可能ではないかと考えております。

 私からは以上になります。

【森下座長】 
 ありがとうございました。2点御質問があったと思うんですけれども、指定ということを考えているのかということと、上限を示すのではなく幅を示すということについて、その理由があれば。お願いします。

【久永デジタル・分散型金融企画室長】 
 1点目につきましては、第一種資金移動業者ですので、事業計画を提出して頂き、認可するというプロセスが発生いたします。その事業計画の認可のプロセスの中で、ご指摘の部分を見ていくということになろうかと思います。

 2点目の1~2か月程度というところについてですけれども、ここは法令というよりはガイドライン等で細かく定めていくところだと考えております。

 その理由としては、この資金移動業者の事業ニーズも、多様なものが想定されるところでございますので、そのニーズを踏まえて、そこはある程度柔軟に考える必要があるかと思います。

 ただ、どこまででも延びるということではなくて、2か月を上限としては考えております。その上限の中で、事業者のニーズ等を踏まえながら、個別に見ていくというふうに考えております。

【森下座長】 
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。

【長内委員】 
 ありがとうございました。

【森下座長】 
 それでは、伊藤委員、お願いします。

【伊藤委員】 
 ありがとうございます。弁護士の伊藤でございます。私からは1点御質問をしまして、その後、コメントさせていただきます。

 御質問は、資料1の11ページ「クロスボーダー収納代行該当性の判断について」の下の図についてです。決済事業者Cが赤で囲まれており、御説明では、決済事業者Cが収納代行を行っている場合にはクロスボーダー収納代行に該当し得るとあります。この決済事業者Cは、クレジットや前払式支払手段といった既存の決済事業を行い、かつ、収納代行も同時に行っている場合として、決済事業者Cと記載されているのか、それとも、この場面では、収納代行のみを行っている事業者として決済事業者Cと書かれているのか、という御質問です。

 御質問の趣旨は、資料の中で、他の法令で規制されているものという適用除外の類型が出てきますので、決済事業者Cが同時に収納代行を行っている場合には適用除外になるようにも読めることから、そことの関係で、ここで、クロスボーダー収納代行に該当するとされる決済事業者Cは、いずれの場面を想定しているのかということです。

 次に、コメントを順に申し上げます。

 まず、資料1の16ページの論点でございますが、1点目の第一種資金移動業の滞留規制の緩和について、その方向性、それから、マンスリークリアの商慣習を考慮して1、2か月程度の緩和という方向は賛成です。ただ、要件について2点ほどコメントをさせて頂きます。

 まず、1点目ですが、新たな資産保全方法を採用することが緩和の必須の条件となっているように資料で見受けられますが、前回の議論を踏まえますと、新たな保全方法、例えば、信託会社から直接返還する方法が確実に早くなるかというと、それは受益者代理人や当該信託会社の対応いかんによるところが大きいのかなという理解をしておりました。

 そして、資金決済法上の前払式支払手段等の廃止の手続を何度か経験しておりますところ、その経験からいたしますと、返金の早さは、債権者と債権の額と返金先の銀行口座をどれだけ把握しているかによるところが非常に大きいと思っています。

 そこで、今回、新たな資産保全方法も1つの選択肢としつつも、供託であっても、例えば、利用者と金額、銀行口座をあらかじめ把握している場合には、現行の債権者申出期間を短縮できるようにするとか、もう少し、新たな資産保全方法だけに絞るのではなくて、迅速化の方法として柔軟な制度が検討されてもよいのではないかと考えます。

 2点目です。滞留規制の緩和を検討するに際しまして、破綻時の返還の迅速さにいささか焦点が当たっているように思います。迅速さと同様に、資料16ページの②の下のチェックのところで書いて頂いているとおり、平常時にどのような体制を取っているかも極めて重要なところだと理解しております。

 16ページの1つ目の四角にあるとおり、保全資産の分別管理や、タイムラグを短くする体制、平常時にどのようなリスクヘッジを取っているか、それから、リスクとこれをヘッジした体制を利用者が把握しているかということは大変重要だと考えています。

 よって、緩和の要件については、固定するのではなく、第一種資金移動業のビジネスモデルに応じて、あらゆるリスクヘッジの方法を組み合わせて工夫できるように、登録時の審査で柔軟に運用できるような制度設計が望ましいのではないかと考える次第でございます。

 次に、クロスボーダー収納代行の規制のあり方について申し上げます。まず、前回の議論で、クロスボーダー収納代行の規制すべき範囲が、保護法益に比してかなり広くなり過ぎるのではなかろうか、丁寧な議論が必要なのではないかと申し上げましたが、今回、規制の必要のある業態と必ずしも現在では規制の必要が高くない業態というのを、大分整理して頂いたなという印象を受けました。規制が必要なところと必要でないところを実態を踏まえて個別に検討していくという基本的な姿勢については異論ございません。その上で2点申し上げたいと思います。

 1点目は形式的な点でございます。収納代行は、現行資金決済法2条の2で、収納代行のうち、受取人が個人であって、かつ内閣府令で定める要件を満たすものは、為替取引に該当するものとするという定めになっております。つまり、収納代行のうち為替取引に該当するものを列挙するという形を取っているわけです。

 今回の資料16ページ、1つ目の四角では、「クロスボーダー収納代行のうち金銭債権の発生原因の成立に関与せずに行われるものについて、原則として、為替取引規制を適用する」というふうに記載がありまして、例外的にこういったものは適用除外にしましょうと、資料ですとそういう記載になっております。

 これは今の資金決済法2条の2が、為替取引規制の適用があるものを列挙するという形を取っているのとは異なる方式かと理解しております。もし同じ資金決済法上の同じ収納代行の規制の範囲の定め方が、原則と例外が逆になると非常に分かりづらくなりますので、規制の範囲が分かりやすくなるよう工夫をお願いしたいと思います。

 続きまして、クロスボーダーについて2点目でございます。16ページの2つ目の四角で、適用除外とすべきものを列挙頂いております。これらのうち金銭債権の発生原因の成立に関与するものや、エスクローサービスについては、その利点があることであるとか、保護すべき法益との関係で規制すべきではないというような議論が、2020年改正の前にも、今回と同様にあったように記憶しております。

 2020年の改正のときは、受取人が法人事業者の場合には、そもそも保護の必要性が一般消費者と比べて高くないということで、個人の場合に限るという要件が法律上設けられたと理解しております。

 今回は、資料に同様の記載がないのですが、1つの観点として、そもそも法人である事業者が受取人の場合には、為替取引規制の適用除外としてもいいような業態もあるのではないかと考えました。

 また、あと一点だけ、適用除外の中で、他の法令が規律する分野における主体や行為については適用除外という例が書いてありますが、これは国際ブランドのクレジットカードネットワークの中で行われる収納代行が想定されているかと思います。この点、国際ブランドは、今、クレジットカードだけでなく、プリペイド、デビットというのも、同じ契約やシステムで区別されることなく行われているという実態を踏まえまして、クレジットだけに限ったような規制にならないような整備をお願いしたいと思います。

 資料1について以上でございます。

 資料2につきましては、きれいにまとめて頂きまして、ありがとうございます。私からは異存はございません。

【森下座長】 
 ありがとうございました。御質問が1点あったと思いますけれども、11ページの決済事業者と書いてあることの趣旨。お願いします。

【久永デジタル・分散型金融企画室長】 
 伊藤委員の御質問の中で申し上げると前者でございまして、クレジットカード等の決済手段において収納代行を行っている事業者をこの決済事業者Cとして念頭に置いております。

【森下座長】 
 よろしいですか。

【伊藤委員】 
 更問で1つだけよろしいですか。

【森下座長】 
 そう限定する必要もないのではないかというのが御趣旨だったわけですよね。

【伊藤委員】 
 はい。クレジットカード会社であったり前払式であったり、他の規制がかかる事業者の収納代行とすると、この資料上では適用除外になる事業者なのかなと思ったものですから、ここで赤丸がついていると規制対象なのかなと誤解してしまいました。

【久永デジタル・分散型金融企画室長】 
 資料は、12ページ以降で規制の適用除外について議論しておりますが、その議論の前提として、どのような事業者がクロスボーダーの収納代行に該当し得るかというところをまず11ページで整理した上で、12ページ以降で規制の必要性が高くないとされているものについて除いていくという議論の進め方でございました。冒頭説明不足で失礼しました。

【伊藤委員】 
 ありがとうございました。

【森下座長】 
 ありがとうございます。

 それでは、神作委員、お願いします。

【神作委員】
 神作でございます。御説明ありがとうございます。3点述べさせて頂きます。

 初めは、資料1の資金移動業者の利用者資金に係る保全措置と滞留規制の緩和の論点でございます。資料2の2ページにございますように、利用者資金の返還方法を多様化すること、およびその内容について、資料2の2ページに書かれていることに賛成いたします。

 そのことを前提として、資料1に戻りまして、資料1の8ページにありますような方向、すなわち、第一種資金移動業者が新方式、すなわち保証機関利用方式と信託方式を採用し、かつ、破綻時の損失等のリスクを利用者に説明する、また、早期かつ確実に利用者資金を返還できるようなそういう体制を整備する場合には、滞留期間の規制を緩和する方向に、ここも賛成いたします。

 ただし、1点、スライドの8ページに書いてある点で、御確認をさせて頂ければと思います。それは受け入れた資金がその時点における保全額を超える場合、その超過額については預貯金等により分別管理するという記載がございます。預貯金等によって確実に分別管理をするというのは、実はかなり難しいのではないかと感じておりまして、預貯金等々により分別管理を図るというのは具体的にどのような方法を想定しているかということがもし現時点でありましたら、御教示を頂きたいということでございます。

 それから、2点目は、クロスボーダー収納代行への規制のあり方についてでございます。資料1のスライドの12ページの適用除外について、コメントを申し上げます。

 前提として、私個人は、収納代行は、クロスボーダーかどうかに関わらず為替取引に一般的には該当し得る。しかし、リスクベースアプローチによりクロスボーダーのみを規制の対象とするということは、これは1つの立場であり、理解できるところです。

 スライド12ページの適用除外につきましては、その根拠がそれぞればらばらといいますか、まちまちであるということをきちんと認識して、今後、適用除外の範囲を確定するに当たって、その違いを踏まえて検討して頂きたいという要望でございます。

 特にエスクローサービスでございますけれども、エスクローサービスにつきましては、スライドの理由づけですと、当事者間のトラブルの未然防止機能があるということが指摘されていると思いますけれども、しかし、このことは、為替取引についての一般的な規制を定型的、類型的に除外するような特徴ではないように思います。

 エスクローサービスにつきましても、実態に応じて、必要に応じて規制をすべき場合が出てくると思いますし、むしろ当事者間トラブルの未然防止機能という非常に重要な機能を営んでいるとすれば、そのことに基づいて適切な規制をするというのは十分にあり得ることかと思います。

 それに対して、経済的一体性等が認められる場合には、資本関係がある場合をはじめとして、さらにいろいろなバリエーションがあると思いますので、適切に適用除外の範囲を画して頂ければと思います。また、他の法令等で規律がなされているという場合についても、当然、規制の適用を除外する十分な根拠になると思われます。

 一番難しいと思うのは、一番上のオンライン・マーケットプレイスや委託販売のうち、金銭債権の発生原因の成立に関与しているという場合でございます。金銭債権の発生元の成立に関与しているというのが必ずしも明確でない可能性があると思います。その点について明確化した上で、適用除外の範囲を指定頂ければと思います。

 典型的には、決済の対象となっている金銭債権の発生原因である契約の交渉とか、あるいは契約の締結に関与している場合というのが典型的な場合だと思いますけれども、恐らくここの記載は、それよりもちょっと広がりがあることを想定しているのではないかと思って拝読させて頂きました。金銭債権の発生原因の成立に関与しているというのがどのような場合かということについて、さらに類型化等をして頂ければと思います。

 しかし、基本的には、スライド12ページにございます規制の対象とならないものについての考え方には賛同いたします。その上で、先ほどのような適用除外の根拠に照らした適切な適用除外の設定について申し上げさせて頂いた次第です。

 それから、最後に、資料2のⅢ、7ページについてコメントさせて頂きます。まず、一番上の黒四角の立替サービスについての規制のあり方、それから、2番目のシンジケートローンに外国の金融機関が参加するという場合についてでありますけれども、これらはⅠ、Ⅱの決済機能とは異なり、機能からすれば、むしろ資金供与機能とか信用供与の機能に関わる話だと思います。

 特に、一番上の黒四角にございますように、貸付け等に該当する場合について明確化を図るというのは非常に結構なことで、ぜひそうして頂きたいと思うのですけれども、私の希望は、現行法の貸付け等に当たらない場合であっても、将来的には規制の対象とすべき領域があるのではないか、そのことについてはさらに検討いただき、規制の必要性、もし規制が必要だとしたらどのように規制するかということは、貸付け等の概念の明確化とは別に、より広く信用供与という観点から別途検討を進めるべき重要なテーマであると思います。

 また、シンジケートローンの論点につきましても、まさに本ワーキング・グループで議論がございましたように、貸金業法の柔構造化や、あるいは、さらには銀行法のあり方にもつながる非常に深い問題であると思います。いずれにしても、資金供与ないしは信用供与という機能を直視して、リスクに応じた適切な規制が課されるよう、これらの論点については、さらに中長期的な観点から検討を続けて頂ければと期待します。

 私からは以上でございます。

【森下座長】 
 ありがとうございました。1点御質問があったかと思いますけれども、預貯金での分別管理について、可能な範囲でお願いします。

【久永デジタル・分散型金融企画室長】 
 預貯金等の分別管理の具体的な方法は、今後詳細を詰めていくということではございますが、その際の参考になるものとしては、第三種資金移動業に認められている預貯金等による分別管理があろうかと思います。

 ガイドラインの文章ではございますが、自己の固有財産である金銭と利用者の資金が明確に区分され、かつ、個々の利用者の資金の残高について直ちに判別できることとしているかというところを着眼点として挙げております。こういったところを参考にしながら、第一種資金移動業者が滞留期間を延長する場合の分別管理についても検討して参ります。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

【神作委員】 
 どうもありがとうございます。

【森下座長】 
 それでは、次に、加藤委員、お願いします。

【加藤委員】 
 加藤でございます。それでは、まず、事務局説明資料1の16ページに挙げられております御議論頂きたい事項に沿って、意見を述べます。

 第1に、第一種資金移動業の滞留規制の緩和について、資金移動業者について破綻手続開始の申立て等があったときに、早期にかつ高い確実性をもって利用者の資金の返還をできるようにするための体制の整備が実現するためには、資金移動業者による体制の整備に加えて、新たな資産保全方法の担い手となって頂く保証機関や信託銀行等の御協力が重要であると思います。

 特に早期に返還する体制については、資金移動業者について破産手続開始の申立て等がなされる前の時点からの資金移動業者と信託銀行等との連携が重要であると考えます。

 第2に、クロスボーダー収納代行への規制のあり方について、事務局説明資料13ページの御提案は、2019年の決済仲介法制ワーキング・グループ報告で示された考え方に基づき、クロスボーダー収納代行の中で、為替取引に関する規制を適用する必要性がある類型を括り出す試みであると理解しております。

 2019年の決済仲介法制ワーキング報告では、いわゆる収納代行が資金移動業に関する規制の対象になるか否かについて、為替取引に関する規制を適用する必要性があるか否かという点が重視されていました。前述の試みの是非を評価するためには、現在の資金決済法に基づく規制の内容を前提とした上で、為替取引に関する規制を適用する必要性を可能な限り具体化していく必要があると考えます。別の言い方をすれば、為替取引に関する規制、すなわち、資金移動業に関する規制によって対処することが適切なリスクを具体化する必要があるということです。

 クロスボーダー収納代行については、サービスを提供する事業者の信用リスクというよりも、オペレーショナルリスク、その中でもサイバーリスクや決済サービスの不正利用のリスクに対処する必要性に着目して、為替取引に関する規制を適用する必要性を基礎づけていくことが可能であるように思われます。そして、このようなリスクへの対処という点では、事業者に一定の体制を整備することを義務づけ、それを監督していくという規制施行による対応が適切であると考えます。

 次に、事務局説明資料2について、全体的な方向性について、違和感はありません。1点、7ページに挙げられているその他の論点について、シンジケートローンに参加することのみを目的とする外国の金融機関等に対して課される貸金業の登録要件を緩和することの検討を継続的な課題とするという点に異存はありません。

 ただ、ワーキング・グループの審議を通じて、制度の見直しに際しては、貸金業の柔構造化のほか、外国金融機関が日本の資本市場において活動することに対する規制のあり方等、幅広い視点からの検討が必要であることが明らかになったと思います。これらの点を今後の検討に生かしていくことが望ましいと考えます。

 私からは以上です。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 それでは、永沢委員、お願いします。

【永沢委員】 
 永沢でございます。

 私は、決済の分野は、実務経験もなく、法律についても十分な見識を持たないので、意見を申し上げられる立場にあるのか甚だ疑問があるところですが、事務局からの説明や他の委員の先生方からの御意見をお伺いし、感想めいたことになりますが、意見を申し述べさせていただきます。

 まず、資料1について意見を述べさせて頂きます。

 第1に、資金移動業については、これまでのところ、事業者が破綻するようなことはなかったという事実と、そして、今回、破綻時の資産保全についても、実務的な課題等も検討して対応を進めてきたという経緯を踏まえて、滞留期間の制限を緩和する案に賛成したいと思います。期間についても、マンスリークリアでは1か月を超えることがありますので、最長2か月とするという考え方も妥当であると思います。

 滞留期間の制限を緩和するに当たって、事業者に対し、利用者に破綻時の損失等のリスクを説明することを義務づけることはとても大事だと思います。資産保全の方法等が多様化することになりますので、利用する消費者の側も事業者がどのような資産保全の方法を採用しているかを確認して事業者を選んでいくということも必要になってくると思います。リテールの利用者に対する、資産保全の仕組みやリスクの説明方法に関しては、法律で定める必要はありませんが、別途、どのような説明が望ましいのかを検討し、説明すべき項目等を定めて頂くことも必要であろうと思っております。

 次に、クロスボーダー収納代行への規制のあり方についてです。まず、ECマーケットについては、その利便性から高い成長が続いていますが、悪質な事業者による消費者被害やトラブルの発生件数が増えています。ECマーケットの発展には、消費者が安全・安心に取引できる環境の整備が必須であり、消費者としては、政府が事業者を把握し適切に監督・指導していただける体制の整備が望ましいという持論に変わりはないのですが、先日、DPF事業者の方と意見交換をする機会があり、その方から、今回の議論の基礎になっている収納代行の実態の解明が十分とは言えないのではないかというご指摘をいただきました。この点は他の先生方からもご指摘のあったところです。

 時間の制約もありますので、指摘事項を詳しくここで紹介することは致しませんが、規制が足りない分野もあれば、それから過剰に過ぎるところもあるとのご指摘でした。また、収納代行ビジネスはグローバルに見ると成長領域であり、国内の事業者にもっと育って頂く必要があるところ、過剰な規制がかかると、撤退せざるを得なくなるということも懸念されるというご指摘をいただきました。

 このご指摘には、私もなるほどと思いました。過剰な規制とまでは言えなくても、コンプライアンスのためのコストがかかり過ぎるようですと、その分が手数料に転嫁され、消費者の負担増につながる可能性もあるということも頭に入れておかなくてはいけないので、できる限りコスト負担が発生しないような規制のあり方というのも考えていく必要があると思います。他の委員の先生方からご意見が出ていましたし、事務局も当初よりおっしゃっていることですが、リスクベースで規制を考えていくことが必要であると思います。

 リスクに合わせた新しい規制区分の新設の提案や、柔構造化という言葉も使われていましたけれども、こういったことを進めていくということが、このワーキング・グループの総意であると思いますが、その点が、事業者の皆様にきちんと伝わっていないようにも思います。事業者の皆様が不要なご懸念を抱かれないように、金融庁のご説明の工夫も必要であろうと思います。

 続きまして、資料2の報告書の取りまとめに向けての全体像でございますが、私も皆様と同様、これまで審議してきた内容が反映されており、違和感はございませんでした。私としては、BNPL、Buy Now Pay Laterと呼ばれる決済方法について、この度のワーキング・グループで取り上げて頂き、今後も検討の可能性を残して頂きましたことに感謝を申し上げます。後払いであり、信用調査もないことから、返済能力を超えて買い物を続けてしまうということで、若年者を中心に過剰債務の問題の再燃が懸念されています。返済できないほどの債務を抱えてしまう人が増えてしまうような事態が予見できる今の段階で未然防止をしていくことが必要ではないでしょうか。

 また、岩下先生もおっしゃいましたけれども、決済の分野は、他の金融の分野とは異なり、何かが起きた時には手の打ちようがないほど大規模になってしまうのではないでしょうか。立法事実が起きてからでは信頼・信用を失うことになりますので、政府・金融庁におかれては、リスクが予見される段階でプロアクティブに早めに動いて頂くことが不可欠なように思うということを、私としては申し上げたいと思います。

 最後になりますけれども、BNPLのところで発生している悪質な加盟店の問題は資金決済法制で扱っていただくことが難しいことを理解いたしましたが、1回払いの場合は割賦販売法で解決できないことから、消費者の立場からしますと、密接に関連している決済のところでなんとか解決方法を検討いただけないものかと考えた次第です。将来的に、この問題への対応をご検討頂けるような場を設けていただくことを期待しております。

 私からは以上でございます。ありがとうございました。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 それでは、井上委員、お願いします。

【井上委員】 
 井上です。ありがとうございます。事務局の説明資料1の16ページの事項に沿ってコメント差し上げたいと思います。

 1つ目、第一種資金移動業の滞留規制の緩和については、新たな資産保全方法を採用することに加えて、利用者に対するリスク説明と、業者の倒産時に早期かつ確実な資金返還を可能とする体制整備を求めること、それから、許容する滞留期間を1~2か月程度とすることについて、いずれも賛成いたします。

 ただ、この体制整備のための措置として挙げられている3点、すなわち、預貯金による分別管理の措置、信託のタイムラグを1日以下とする措置、想定上限額以上の保全措置のうち、1つ目の預貯金による分別管理は、分別すればタイムラグを短縮しなくてもよいという措置だと理解しましたけれども、そうだとすると、他の2つよりも措置としてやや弱いのかなという印象を持ちました。つまり、業者が預金口座を分別したとしても、業者が倒産したら、原則として利用者にはお金が戻ってこないと理解しています。

 例外的に、最高裁が平成14年1月17日の判決で示したように、信託の認定によって利用者が保護される可能性はあると思いますけれども、その事例では、分別預金からの払出しについて第三者による厳正な監査が行われているなどといった事実関係の下で、信託の成立が認められて保護されたということですし、また、他の裁判例の中には、単なる金銭の分別によっては信託の認定がなされなかった事例もあります。

 ですので、ここに挙げられている3つのうち1つ目については、果たしてタイムラグを短縮するに十分かという点について、やや懸念があると思います。

 次に、クロスボーダー収納代行への規制のあり方ですが、これについては、10ページのトップボックスの2つ目にありますように、今回の御提案においても、クロスボーダー収納代行が非常に広範に捉えられていることが気になりました。もっとも、為替取引の概念自体はもともと広いものという前提に立って、今回、金銭債権の発生原因の成立に関与しているものその他一定の範囲の行為について適用除外を設け、結果として適用範囲を限定するという形でアプローチすることについては賛成いたします。

 ただ、既に御発言がございましたけれども、この適用除外が十分なのか、あるいは、逆に適用を除外して大丈夫なのかについて、もう少し確認が必要ではないかなと思います。

 例えば、伊藤委員もおっしゃっていましたけれども、事業会社が資金受取人である場合であって、自ら選んだ受領代理人に代理受領権を与えていることが準拠法上明らかな場合のように、資金移動業規制を及ぼす必要性が、あるいは、規制の全てを及ぼす必要性が高くないビジネスがあるかもしれず、それについて不必要な悪影響がないかどうかを含めて、適用除外の広過ぎあるいは狭過ぎについては、さらに確認して頂きたいと思いました。

 最後に、資料2についてですが、基本的に異論ございませんけれども、最後のページの貸金業法について、リスクに応じた適切な規制が課されるよう、貸金業法の柔構造化については中長期的に検討ということですが、これも既に御発言がございましたけれども、銀行法に基づく外国銀行規制あるいは割賦販売法との関係等と併せて、ぜひ、中長期的と言わず、次の課題として御検討頂ければと思います。

 以上です。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 それでは、坂委員、お願いします。

【坂委員】 
 ありがとうございました。私のほうから、クロスボーダー収納代行について6点、それから、立替サービスについて若干発言させて頂ければと思います。

 まず、クロスボーダー収納代行についてです。

 第1に、クロスボーダー収納代行については、代理受領の法的安定性に疑義も指摘されていますが、他方で、二重払いのリスクがないものがあるということも指摘されています。収納代行の議論は、支払人に二重払いの危険がないことが前提となっておりますので、クロスボーダー収納代行においても、この点の確実な確保は必要でありますし、また、そのことを法的に明確にしておく必要があると考えます。

 第2に、マーケットプレイスやエスクローサービスについて、これらは現行法制においても、個人を債権者とする収納代行において規制対象と扱われておりません。これらは2019年当時、これらのサービスにおいて大きな問題が生じていないとの評価を背景としております。

 他方、現在のクロスボーダーの収納代行では、2019年当時の前提とは異なる事態が存在します。まず、韓国の大手ECモールサイトの経営難の中で、顧客への返金が停止されたという事態が生じています。次に、海外のプラットフォームには様々なものがあり得ますところ、法制度が異なり、我が国の規制が十分に及ばない面もあります。オンラインカジノや海外投資詐欺に関する違法なものもあり得るものと思います。

 さらに、クロスボーダーでは、先に触れたとおり、代理受領という構成自体が、準拠法や裁判管轄等の問題から必ずしも法的安定性を有しないということも指摘されております。

 これらを踏まえますと、当面、規制対象と扱わないものを認めるときには、最低限、1、利用者資金の分別管理が分別管理預金等により確保されていること、2、違法な取引を扱わないこと、3、支払人に二重払いの危険がないことが確保されていること、これらを必要とすべきというふうに考えますし、この限りにおいて当面規制の対象と扱わないとすべきと考えます。

 第3ですが、マーケットプレイスや委託販売において決済サービスを提供する事業者は、マーケットプレイス等々決済サービスを兼業しているにすぎず、債権の発生原因に関与するものも、決済サービスを提供していることには変わりありません。例外的に当面規制対象と扱わない範囲があり得るとしても、金銭債権の発生原因に関与するものも含め、原則として為替取引規制の対象であることを明確化する必要があります。

 例えば、13ページのオンラインカジノや海外投資事案において、収納代行業者を債権発生原因に何らか関与しているというだけで為替取引規制の外に置くことは、違法行為を助長することにもなりかねず、極めて不適切と考えます。

 第4に、クレジットについては、資金の流れが把握できる限りにおいて、為替取引規制の対象から外すことは考えられます。ただし、現状、必ずしも十分とは言えない加盟店管理の実効を、海外加盟店も含め実効的に確保することが不可欠でありますし、また、加盟店を犯罪収益移転防止法上の取引時確認等の対象とすべきと考えます。

 第5に、犯罪収益移転防止法との関係ですけれども、当面為替取引規制の対象とされないものについても、マネロン対策の観点から必要な行為については、別途、犯罪収益移転防止法の規制対象とすることを検討すべきと考えます。

 第6に、12ページの3点目に関連しますが、この間も警察庁等においてマネロンの実態解明が進められております。今後の制度の具体化の過程では、警察庁等とも十分な連携をして、さらに実態把握を進め、現在進行形で展開しておりますマネロン手口に迅速かつ確実に対応できる制度とすべきと考えます。

 次に、立替払いサービスについてです。立替サービスについては、貸金業該当性検討の視点として、資金需要者の支払能力の補完、それから資金需要者の信用力の考慮という視点が示されていますが、第3回の事務局提案にあったとおり、資金需要者の保護の必要性という視点を明確にすべきと考えます。

 これまでの金融庁の見解の中でも、例えば、支払代行サービスでは、個人事業主やフリーランス等の資金需要者の保護の必要性が判断の重要な要素となっておりますし、また、給与前払サービスにおいても、回答の本文では、本来の資金需要者である労働者の保護に配慮した記述がされております。

 もとより、資金需要者等の利益の保護は、貸金業法1条において目的の1つとして明記をされているところでもあります。この点については議論の中でも特段異論がなかったところでもありますので、この点はぜひ要素として明示して頂きたいと考えます。

 以上です。ありがとうございました。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 それでは、次、松元委員、お願いします。

【松元委員】 
 発言の機会を頂きまして、ありがとうございます。私からは、クロスボーダー収納代行該当性の部分について1点コメントをさせて頂ければと思います。

 資料で言うと12ページですけれども、今回の事務局の結論というか、方向性自体に必ずしも反対するという趣旨ではないのですが、理論的にこれできちんと整理し尽くされているのだろうかということで、今後もまだいろいろな制度が変わっていくということを考えると、今回の案で果たしてきちんと理論上整理ができているかというところが不安な点がございますので、その点コメントさせて頂ければと思います。

 それはどこかと申しますと、既に何人かの先生から出てきていますが、1つ目の黒い四角で、「金銭債権の発生原因の成立に関与しているものについては……直ちに為替取引規制を適用する必要性は必ずしも高くないと考えられる」ということなんですけれども、なぜ金銭債権の発生原因の成立に関与していると為替取引規制を適用する必要性が高くないのかというところの説明というか、理論づけが必ずしも明確でないように思います。

 資料を拝見すると、受取人の資金回収の確実性の向上に寄与していることという理由が書かれているので、例えば、ECサイトなんかに規制をかけてしまうと、例えば、コンプライアンスコストとかですごくビジネスがやりにくくなって、ECサイトというのは受取人にとってすごく価値のあるサービスを提供しているところ、価値あるサービスが提供しづらくなるからという理由なのかなというふうに推察したんですけれども。そうだとすると、それは、為替取引規制を適用する「必要性が高くない」という話ではないんじゃないかなと。

 「為替取引規制を適用する必要性」というのは、恐らく、支払人がお金を払ったのだけれども、その真ん中のところでお金が、そこが倒産してしまった場合に、支払人に二重払いの危険性が発生するし、あるいは受取人は受け取れないというところで、支払人と受取人のリスクが問題になるのだと思います。そうすると、金銭債権の発生原因の成立に関与しているか否かによっては、そこのリスクがあるということ自体は恐らく変わらず、規制の必要性はあるんだけれども、それ以上に、規制を課してしまうことによるデメリットが大きいという話なのかなというふうに御説明を聞いて拝察しています。果たしてそうなのか。あるいは、規制をする必要がないという理由が他にあるのか。

 他の理由があるとすると、例えば、こういう業態だと、ECサイトなんかだと、資金を預かっている時間がそもそも通常短いからリスクが低いだとか、あるいは、実務上、支払いが行われたらその時点で利用者の債務が消滅するという仕組みを通常は採用しているからリスクが低いということなのか、あるいは、他の法令で既に規制されているからなのか、あるいは、事業者が自主規制をしていて、多くの事業者が自主規制に従っているからということなのか、その辺りの理屈をより明確にしていくことが、今後との関係でも必要なのかなと思いました。

 他の先生からのコメントで、十分に信用できる者が行っているものについて規制を課さなくてもいいかもしれないというような発言があったように思いますが、それはそのとおりだなと思うんですけれども、今後、十分に信用できない者が新規参入してくる可能性だってあるわけで、その場合に為替取引規制が必要になるようなリスクが発生するということはあり得ない話ではないので、今回、直ちに規制をかけないという結論自体には全く異論はないですけれども、もう少しそこの理屈を詰めて頂ければ。あるいは、もし、すいません、私の認識自体がそもそも間違っているかもしれないのですが、何か御説明を頂けるようであれば、頂ければ大変ありがたいと思います。

 その他のポイントにつきましては、資料2を含めまして、これまでの議論を反映して頂きまして、特に違和感ございません。どうぞよろしくお願いいたします。

【森下座長】 
 ありがとうございました。何か事務局のほうからありますか。よろしいですか。

 それでは、先に進めさせて頂きまして、杉浦委員、お願いします。

【杉浦委員】 
 杉浦です。それでは、私からも、やはり16ページに沿ってコメントできればと思います。

 まず、全体の感想めいたことをコメントさせて頂くことをお許しください。今回の最終的なまとめの方向を見ると、資金決済取引等の中で、様々な被害がそれなりにあり、血が出ているんだけれども、それに対して、取りあえず最低限必要な部分は絆創膏というか、何かを貼ってある程度止めるということを目指した結論なるのかなというふうに感じています。しかしながら、各委員の皆様方からお話がありましたように、しかし、血を完全に止められないとも理解しています。

 そこで、まず1つには、Ⅰ-2の第一種資金移動業の滞留規制の緩和の問題にしても、様々な滞留の方法や、資産保全の方法が出来上がること自体は是とするわけですけれども、根本的な問題である為替取引の法的性格について十分に突っ込んでいるわけではないし、また、銀行における送金業務との違いはそもそも何なのかとか、さらに、そもそも預金とはどうなのか、そして口座とは何なのかというところについては議論されておらず、むしろ今回の緩和の方向性というのは、ある意味、以前から開いていたパンドラの箱を余計に大きく開ける可能性があると考えることもできるわけです。最終的に出てきた結論について、大きな異議があるわけではありませんが、やはり、どこかの段階でこれらの問題は必ず議論すべきではと感じています。

 次に、Ⅰ-3の部分のクロスボーダーの収納代行への規制のあり方について、ここはまさに神作委員がおっしゃって頂いた部分、法的な部分については、まさにそのとおりだというふうに思っています。この定義が明確にしっかりなっていないがために、そもそも何をどういう形で規制しなければいけないのかというところがはっきりしていないのではないかというふうに思います。

 クロスボーダーなのかクロスボーダーでなくても、どちらにせよ、今回、適用除外のところで書かれたことによって、よりはっきりしたと思うんですけれども、不正な取引が行われたものについて、とにかく規制をしていくというふうにするのであれば、そもそもクロスボーダーであるかないかということは、それほど大きな問題ではない。何か、公序良俗という言葉は大まか過ぎますけれども、何か違法・被害が生ずるものがあれば、何らかの規制がなされるべきということなんだと思います。

 今回、委員の皆様方からもお話がありましたけれども、どういう被害が発生したかという把握も含め、深い議論が今後もさらに必要なんじゃないかと思います。取りあえずこの結論ということに異議を申し上げるわけではありません。

 これと関連して申し上げると、1つ要望としてお伝えしたいことが全体の取りまとめのところにございます。それは何かといいますと、あまり私以外からは委員の皆さんからご発言がなかったことのように思いますけれども、今回のこのワーキング・グループの中で出てきた課題のいくつかは、単に日本だけでできることではないことも多かったように思います。

 少なくとも、今回のこの資料なんかについても、FSBの市中協議文書をわざわざ参考に出して、そして、だからこそこういった規制とかそういったことを考えなきゃいけないんだということならば、海外の監督当局等への働きかけ等をどうしていくのか、また積極的にやるべきではないかという意見があったということは報告書の中に残しておいて頂いて、今後の中で、日本としての積極性を発揮していくきっかけになればと思った次第でございます。

 以上です。ありがとうございました。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 それでは、河野委員、お願いします。

【河野委員】 
 日本消費者協会の河野です。簡単に受け止めを申し上げたいと思います。

 資料1の2つの論点については、他の委員の皆様から専門的な御指摘も多くあり、今後、実効性を高める際に留意すべきということは理解しましたけれども、私のような一般消費者のレベルとしては、事務局の御提案に対して大きく異論はございません。

 それから、資料2の取りまとめについては、この会合の委員の皆様からも専門的かつ実情に応じた現実的な御意見が出され、丁寧な議論が行われたその結果だというふうに受け止めております。

 デジタル取引の拡大において心配すべきは、顕在化している懸念点はもちろんのこと、ビジネスの広がりに伴う潜在的なリスクへの備えだと思っています。今回は道の半ばにおける検討であり、さらに実態把握を進めてブラッシュアップして頂ければと思いますし、今回の実態に即した整理に基づいて、取るべき対策ができるだけ早く機能するように、100点は望めないし、満点を望むことはとても難しいと思いますけれども、現状でこれは重要だという今回の取りまとめをできるだけ早く法改正等に落とし込んで進めて頂くと同時に、適切にビジネスが行われるように、情報提供等も含めて、当局の関与をしっかり行ってほしいと考えています。

 また、主に事業者側に対する規制当局の判断が示されているわけですけれども、利用者に対してもやはり何らかのアクションが必要ではないかと思っておりまして、デジタルを活用した便利な仕組みの背景にあるリスクをある程度まで認識することで、それに基づいて利用者側としての適切な自己防衛策につなげるということも含めて、今後、周知・広報に知恵を絞って頂ければというふうに願っております。

 私からは以上です。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 それでは、堀委員、お願いします。

【堀委員】 
 御説明ありがとうございます。

 まず、資料1について御意見申し上げます。1つ目の滞留期間の緩和を認める場合の要件に関しまして、頂いている内容で私としては異存はございません。

 Bの1つ目の預貯金等による分別管理につきましては、いろいろな御意見もありましたけれども、私としては、現在、第三種資金移動業者に求められている分別管理を行い、当局への報告まで行われているということであれば、最判平成14年のケースとも照らし合わせましても信託契約の成立が認められるのではないかというふうに思われますし、また、2営業日というタイムラグの間隙を埋める制度ということですので、このような方法も認められてしかるべきではないかと思っております。

 なお、超える部分について分別管理するというふうにあえて書かれているのか、それは全体が口座設定として分別管理されているのか、それでもよいということであれば、わざわざ超えた部分を計算して別のところに取り分けてというのは実務上困難ではないかと思いますので、超える部分を含めて分別管理されていればそういう方法でもいいし、取り分けてもいいという趣旨であるとよろしいのかなと思いました。

 また、破綻時の損失等のリスクを利用者に説明することということではありますけれども、3つ目のような例えば想定上限額を想定して保全をするというようなケースの場合において、想定上限額を外に向けて公表するみたいなことまで求められてしまうと、なかなか、かえってリスクが増大してしまうこともあるのかなというふうに思いますので、当局に報告することは当然だと思いますが、説明内容につきましては、現実的なもので、また、レピュテーショナルリスクを含めて、何が本当に必要なのかということを御議論頂ければと思います。個人と法人ではまた利用者の性質も違ってくるかと思いました。この説明内容については、引き続き、運用までの間によく決めて頂く必要性があるのかと思いました。

 続いて、クロスボーダー収納代行に関しまして、基本的に異存はないのですが、12ページ目で(1)(2)(3)というようなものをお示し頂いております。また、オンライン・マーケットプレイスや委託販売の場合については、為替取引規制を適用する必要性は必ずしも高くないのではないかという御指摘がございました。今適法に行われているもので実需があり、かつ何を売っているのか、自らもしくはマーケットプレイス上で公正な取引が行われていることを運営者の側で確認しているようなケースにおいては、こうしたリスクが高くないという御判断だと思っており、私としては異存はないところでございます。

 (2)、(3)、それから主体について、3点御意見を申し上げたいと思います。13ページ目の図と併せて拝見しておりますと、例えば、①のケースで海外のECサイト等がおり、国内の事業者がいるというような場合なのですけれども、国内の収納代行でもマーケットプレイス等から委託を受けて収納代行に入っていくようなケースの場合には、あくまでもマーケットプレイスの手足として代金を受領するというようなサービスを行っており、海外ECサイトに関しても同様に、委託をするというケースにおいては、このマーケットプレイスにおいてきちんと何が売られているのかということを確認しているという前提であれば、国内事業者においてもこの収納代行として関与できる余地があると思います。

 つまり、委託や再委託についても、受け取りのプラットフォーマー、契約の成立に関与した者からの委託ということであれば、これは認められるという理解をしているのですけれども、そのような理解でよろしいかどうかということについて、今後、条文化のタイミングで確認されていくのかもしれませんけれども、そのようなことを明確化して頂いたほうがいいのではないかと思います。

 また、それは(2)の経済的一体性等がある者について、資本関係がある者が行う収納代行等に限るということではなくて、「等」の中に入ってくるのかなというふうに思ったのですけれども、自らがマーケットプレイスで売っているものの代金を回収する、グループの資本関係がある会社に任せるということも認められれば、国際的に決済サービス事業者を活用していて、その事業者経由で受け取りたいというような、プロを活用したいというケースももちろんあると思います。マーケットプレイス側からの委託を受けて収納代行に入っていくというような事業者については、同じく適用除外ということでいいのではないかと思いますが、(2)につきましては、それが明確化されるとよいと思いました。

 また、(3)につきましては、クレジットカードのイシュア・アクワイアラ間の清算業務等ということで、他法令の分野における主体行為でクロスボーダー収納代行を実施することが想定されているものということの例示が記載されております。

 ④のようなケースの中でも、例えば、海外の決済事業者が発行するもの、例えば、QRコード決済事業者で、当該アカウントにクレジットカードがひもづいているようなものについては、現状、それを国内事業者がアクワイアラ等の登録を取って行っているケースがございます。具体的には、クレジットカード番号等取扱契約締結事業者の形で、日本国内で規制の下で行われているケースがあります。これも含めて、割販法の下で登録をしている主体が加盟店での決済代金を受領していると見るということでよろしいのかどうかということを確認したいと思っております。

 そして、こうして考えていきますと、きちんとした信頼が置ける主体から委託を請けるということができるのであれば、それは収納代行業者として入っていくということについて、原因となる取引が適法であるという一定の推定を働かせることができるというケースだと思いますので、例えば、(4)のような形で、国や地方公共団体、あるいは各国で登録されている金融機関や決済事業者の委託先として受領するというようなケースも同様に、保護の必要性が必ずしも高くないということで、適用除外とすべきではないかと考えます。

 クロスボーダー収納代行について、②、③のような事例があるのですけれども、オンラインカジノの収納代行や海外投資事案で日本にライセンスがないような無登録の業態であるとすると、金銭債権の発生原因の成立に関与しているか否かに関わらず、こうしたものは許容すべきではないというふうに考えております。発生に関与しているかどうかだけではなくて、一定の確認を必要として、違法なものの受け取りは不可とすべきだということを何らか行為規制の中で書いて頂いたほうがいいのではないかと思っております。

 また、一方で、適切に確認をして契約したとしても、例えば、銀行口座が当初の内容と異なり、悪用されてしまうというケースもあるわけでありまして、決済事業者であっても絶対に確認できるというものでもない。確認をしたとしても悪用されてしまうということがないわけではない。悪用されているということが分かった段階では、速やかに凍結をしたり、契約解除をしたり、あるいは届出をさせるなどのことは必要だと思うのですけれども、最初から違法なものに関与したので、為替取引違反だと、銀行法違反だということになるのは、非常に制裁としては重いような気がしております。

 したがって、悪用された事例が確認されたからといって、いきなり違反というのではなくて、速やかに解消を行っていく義務を課すとか、そういうようなことができるといいのではないかと思います。法律的に規制対象の事業者の行為規制とそうではない事業者の行為規制はどう定めるのかというのは難しい面もあるのかもしれませんが、少なくとも報告書では、こういうような行為というのは、違法なものに関しての収納代行を許容する趣旨ではないということを書きつつ、適切な形で解消の措置を求めることは必要なのではないかというふうに感じました。

 最後に、資料2についてですけれども、私からは、その他の論点の2点目で書いて頂いているシンジケートローンに関して、今回様々な御意見があったことを踏まえて、引き続き検討ということでございました。前回の会議以降に、貸金業登録の状況を確認しまして、外国銀行で貸金業登録をされているケースは、間違っていたらすいません、ないというふうに理解しまして、なかなか今、シローンの形で貸金業登録をしてというのは、事例としてないのではないかと感じました。そのため、この要望にもつながっているのかなとも思っておるのですけれども。

 一方で、外国銀行支店がシローンに参加するということはできるわけで、シローンにしか参加しない外国銀行支店というのがいるのかいないのか分からないのですが、貸金業のほうを柔軟化して頂くということと併せて、外国銀行支店のあり方も御検討頂くのがいいのかなと思いました。

 今、様々な銀行業務がアンバンドルされている中で、預金をしないで、例えば貸付けだけに参加したいというような、今回のようなシローンの参加のようなケースもあれば、為替取引のみを営むというような、決済のみを想定するような外国銀行支店というのもニーズとしてはあると承知しています。ただ、銀行法は、実際に一部の業務のみを取り扱う支店形態というものを想定した規定にはなっていないと思いましたので、そちらについても引き続き検討を深めて頂くのがいいのではないかというふうに感じました。

 以上です。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 以上で一通り委員の皆様から御意見を頂いたと思いますが、委員の方あるいはオブザーバーの方から御意見があればお伺いしたいと思いますけれども。それでは、新経済連盟様のほうから御意見の御希望を頂いていますので、お願いします。

【新経済連盟】 
 新経済連盟の片岡です。御説明ありがとうございました。

 新経済連盟から、まず、資料1について、主にクロスボーダー収納代行について意見を申し上げます。新経済連盟としては、現在のBtoBの収納代行の取引、世の中たくさんあるわけですけれども、それを一旦、全体を規制対象と捉えた上で、適用除外で対応していくというような方向性には反対をしております。今、幾つか区分するというか、基準案を出して頂いていますけれども、これではまだ不十分だと思っていまして、もう少ししっかり実態を把握して頂きたいなと思っています。

 まず、そもそもの対処すべき具体的リスクがどこにあるのか、何から誰を保護する必要があるのかというところがまだ明確になっていないと思いますので、そこをしっかりまず確認した上で、実態把握、影響分析、リスク評価、そういったものを十分議論した上で、ターゲットを絞って慎重な議論をして頂きたいと思っております。

 前回の対Cへの収納代行については、ターゲットとなるものがある程度明確に皆さんで共通認識がありましたので、分かりやすかったんですが、今回はまだそこは不明瞭ですので、そこをまずしっかり、はっきりして頂きたいというところです。

 13ページに例を出して頂いているんですが、1番、4番と2番、3番とは全くタイプの異なる取引だと思っていますので、もし2番、3番というものを問題視するのであれば、もっと細かくちゃんと区別しないといけないかなと思っております。

 実際、1番とか4番において、まず、そもそも金銭債権の発生原因の成立に関与するしないというメルクマールがどうやって判断されるのかが今の段階では不明瞭なんですけれども、基本的に実態的に行われているのは、BtoBの精算を一本化することで効率化したり、あるいは、対消費者との関係で、セキュリティの対応とかそういったものを任せたほうがより安全に効率よく決済ができるからという理由で行われているものが多いですので、そういった場合に、実際どういうリスクに対処するのかということはしっかり考えて頂きたいと思います。

 その上で、金銭債権の発生原因の成立に関与しているかどうかというのは、かなり広く捉えて頂く必要があるなと思っております。例えば、この13ページの④インバウンドは、○○ペイというので、海外の決済サービス事業者が海外での支払いに対して提供している決済サービスと、国内の○○ペイというものをうまくがっちゃんこして、より安い手数料で効率よくインバウンドの決済ができるようにということで、間に必ず事業者が入っていることが多いんです。

 前も言いましたけれども、こんなにシンプルじゃなくて、実際、この国内事業者と決済手段の発行者等の間にまた事業者が入って、そこをうまくつなげる役割を果たしていたりするんです。その場合に一体どこが収納代行業者なのか、どこが委託なのかということも整理しなければいけないですし、仮にそこに入っている事業者やその手前の国内事業者が為替取引をやっているということになってしまうと、受取人である加盟店の確認なんかは通常されていますけれども、海外の支払人に対して取引時確認をするとなると不可能ですので、実際今行われているものができなくなってしまうということも考えられます。

 ですので、ここはかなり慎重に考えて頂きたいですし、基本的に2番、3番と1番、4番との違いは、データ連携とかも含めて、どういった取引が行われていて、どういったものに幾ら支払われているのかというのが分かるというところは大きいと思うんですけれども、そういったことに着目するのであれば、そもそも1番とか4番を規制対象として考える必要はないんじゃないかなと思っております。

 あと、この点に関しては、金融庁さんに質問したいのですが、今のこの案で、何者ぐらい登録が必要になって、何件ぐらい取引時確認が必要になると思われるのか、社会的な影響がどのぐらいあるのかという観点で、今どのぐらいに見積もっているのか教えて頂きたいと思います。

 あと、資料2について少しだけコメントしますと、寄附について前向きに御検討頂いて結論を出して頂いているんですけれども、今、1回当たり1、2万円となっているところは、実態を踏まえて、もう少し寄附を促進する観点でも、例えば、3万円から5万円程度ということも検討してもいいんじゃないかなと思っております。

 それから、立替サービスについては、いろいろな委員の先生から、今書かれているもの以外にも観点が幾つか示されていた気がしますので、本当にこれでいいのか、これで足りるのかというところは、いま一度慎重に検討頂きたいなと思っております。

 新経連からは以上です。

【森下座長】 
 ありがとうございました。いかがですか。

【久永デジタル・分散型金融企画室長】 
 どのくらいの者が対象になるかという点ですが、まず、④について御懸念が多く示されたかと思いますが、ここで言う国内事業者のようなスキームをやっていらっしゃる事業者は、10以上はあるというふうには承知をしております。それぞれの事業者が、先ほど堀委員からもご指摘ありましたが、如何なるスキームでやっていらっしゃるか、そこは様々だと思いますので、具体的には個別に見ていく必要があろうかと思っております。

 ②、③はまさに今後の話で、特に②は複雑なスキームだということもここで書かせて頂いておりますので、今、何者と申し上げることは困難かと思っております。

 ①は我々も今、調査させて頂いているところですが、そこまで多くない数なのではないかと思っているところではございます。具体的な会社の数はここで申し上げることできませんが。

 以上でございます。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 それでは、日本資金決済業協会様、お願いします。

【日本資金決済業協会】 
 日本資金決済業協会の長楽と申します。本日は発言の機会を頂き、誠にありがとうございます。

 資金移動業者の利用者資金の還付手続の迅速化への対応と第一種資金移動業の滞留規制の見直しについて意見・要望を申し上げます。

 還付手続の迅速化への対応ですが、供託による返還手続や供託命令は残しつつ、信託会社等や銀行等から直接返還する方法についても認めることについては、資金移動業者による選択肢を増やし、利用者の利便性確保及び利用者保護に資するものであることから、賛成いたします。

 なお、実際に新たな資産保全の方法が多くの資金移動業者に利用されることで、還付手続が迅速化され、利用者保護に資することになるよう、コスト・事務負担の両面で資金移動業者が選択しうる制度となるような柔軟な工夫が行われることを期待いたします。

 次に、第一種資金移動業の厳格な滞留規制の見直しについて申し上げます。協会において、会員に対し厳格な滞留規制の見直しについてアンケートを実施したところ、見直しの要望が寄せられているところであり、顧客の利便性向上と利用者保護のバランスに配意しつつ、イノベーションを促進する観点からも、厳格な滞留規制の緩和について検討を行うことは有用と考えており、前向きな検討をお願いいたします。

 特に第二種資金移動業の資金の第一種資金移動業に係る資金への振替えについては、利用者保護に資する新たな保全方法が検討されていることに併せ、利用者利便についても一層配慮した、実用的な制度が立案されることを期待いたします。

 以上でございます。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 予定の時間にはなりましたが、あとまだ少しオブザーバーの方から御意見を頂いておりますので、少し続けさせて頂きまして。全国銀行協会様、お願いします。

【全国銀行協会】 
 ありがとうございます。安地でございます。資料1の2つの論点について、少し簡単にコメントさせて頂きます。

 滞留規制の緩和のところは、保全の強化とセットでの滞留規制の緩和ということなので、適切な内容と考えております。

 滞留そのものについても、BtoB市場を想定すると良いと思うのですが、融資機能を持たない前提ですと、滞留があった方が資金ショートの可能性が低くなりますので、金融の安定性の観点からも望ましいのではないかと思います。

 しかし、一方で、マンスリークリアの場合等に、本当にお客様が滞留させてくれるかというビジネス上の論点は残ると思います。45日先に支払えば良いものを先に入金するとなると、通常ではディスカウントを求められることもあると思いますので、どのようにインセンティブ付けしていくかは、事業者がこれからイノベーションや工夫をしていく必要があるだろうと感じました。

 2点目のクロスボーダー収納代行については、規制から除外される例が載っていたと思うのですが、エスクローサービスは、クロスボーダー収納代行に限ったことではなく、国内サービスも同様の取扱いになっていると思いますので、もし将来、国内サービスにおいてもエスクローサービスの取扱いを変更するということがある場合は、併せて見直しが必要になるのではないかと思いました。

 以上です。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 それでは、Fintech協会様、お願いします。

【Fintech協会】 
 ありがとうございます。Fintech協会の落合からコメントさせて頂きます。

 資料1の論点のほうを御投映頂ければと思いますが、まず、第一種資金移動業の滞留規制の点については、検討を進めて頂きまして、ありがとうございます。そういった中で、特にこの利用者情報の把握については、特に顧客が事業者になるような場合については、変更が早めに生じるような場合も多く出てまいりますので、そういった場合に、やはり利用者側の、利用者企業等の協力も必要になってくるところがございますので、そういった点も考慮しながら整備を進めていって頂ければと思います。

 また、企業間の取引という意味では、マンスリークリアの点、御考慮頂いて、2か月程度まで含めてということを考えて頂けることは大変ありがたいと思っております。

 続きまして、クロスボーダー収納代行についてコメントさせて頂きます。まず、クロスボーダーの収納代行につきましては、前回の説明に加えて、今回、リスクとしてオンラインカジノについて言及を明確にして頂いたということは、リスクの特定の観点で意義があったように思っております。

 しかし、前回の第4回の際にも発言をさせて頂きましたが、リスクの特定と、どういった規制を行うかということは、それを併せて考えていくことが必要になるかと思いますので、十分なリスクの特定は必要なのではないかと思います。

 特に、オンラインカジノ等について、詐欺事案であったりその辺りを対応していくことに関して、マネー・ローンダリング等と類似した対策でリスク低減を図っていくということは理解できる部分がございますが、そうであるとすると、逆に銀行や資金移動業者におけるAMLの実施がされているような場合には、リスクの対応がなされているといったようなことについて考慮して頂くことが必要ではないかと思っております。

 改めて報告書の中では、クロスボーダー収納代行の特有のリスクについて合理的に整理をして頂いて、さらに、その対策に比例性があって、かつ、海外事業者等にも実効性があるような規制を整備して頂ければと思います。

 特に、国内のCtoCの収納代行について既に議論されたこともございますが、収納代行業務が行われることによって、不払いリスクの低減や、エスクロー機能等による詐欺防止が果たせるような場面等、メリットが生じる場面もありますので、そういった点と比較考量についてもぜひお願いできればと思っております。

 また、国内と海外での収納代行に関するイコールフッティングも御検討頂ければと思っております。第4回の事務局説明資料に記載されておりました、FSBのクロスボーダー送金に関しては、同じ活動、同じリスクについては、同レベルの規制・監督が適用されるべきという点は重要ではないかと思っております。

 国内の収納代行につきましては、前回も指摘させて頂きました、2019年12月の報告書の中で、債権者が国・地公体や事業者であって、債務者に二重払いの危険性がないことが契約上明らかである場合は指摘されておりましたので、今回も、どういった場面に指摘する余地があるのかはぜひ御検討を頂きたいと思っております。

 実質的に、商品売買や役務取引に付随する資金の移動の場合には、支払人が支払いを行った時点で債務が消滅することも多く、国内と同様の整理が妥当する場合もあると思われます。

 収納代行により取引基盤へのアクセスが可能になり、結果として支払いの円滑化や不払い防止があり得るという点は考慮をして頂ければと思いますし、また、関係事業者の中からヒアリングをしている中では、日本において広範な資金移動業規制が適用される場合には、海外の事業者の収納代行機能からの撤退につながってくる可能性がございまして、外需との関係では、日本の産業界にも悪影響を及ぼす可能性がないのか、この点も含めて御検討頂きたいと思っております。

 また、規制対象者・行為の特定についてです。銀行・資金移動業者等の送金業務規制との関係整理は重要ではないかと思っております。特に国内で銀行・資金等業者等がスキームに関与している場合、海外事業者に資金移動業を取得させる意義が必ずしも不明確ではないかと思っております。実効性や、収納代行に関するメリットの点も含めて御検討頂きたいと思います。

 また、エスクロー機能の評価についてですが、2019年の議論を踏まえますと、オンライン・マーケットプレイスや委託販売だけではなく、サービスの提供やマッチングプラットフォーム等の場の提供を行っているような場合にも、同様の機能が提供される場合があるということも御確認頂ければと思っております。

 また、事務局資料の12ページのほうで、特定デジタルプラットフォームの透明性・公正性の向上に関する法律も考慮して頂き、オンライン・マーケットプレイスとして頂いている点については、オンラインデジタルプラットフォーム等と整理を少し調整して頂ければと思っております。

 また、インバウンドの旅行者向けの収納代行につきましてです。こちらについては、規制対象の案として、資料の13ページの④のほうに記載をして頂いていたかと思います。しかしながら、インバウンド旅行者が日本国内で決済をする際の受入れにつきましては、決済手段の発行業者が、海外において銀行・資金移動業、もしくは、海外においてこれらに相当するような規制の対象となっている限り、こういったサービスがインバウンド旅行者の利便性や国内消費にも多く寄与しているということや、実務上の大きな問題が発生していないということも考慮し、規制対象とすべきではないようにも思われます。

 日本における資金移動業の規制対応コストは一定程度大きいことから、その負担に耐えられるかどうかがございますし、サービスの取りやめだけではなく、決済手数料の引上げであったりだとか、インバウンドの国内消費に関する影響だけではなくて、加盟店等の事業者の負担ということもありますので、キャッシュレス社会の実現に向けて、よくバランスを検討して頂ければと思っております。

 最後に、他の法令が規律する分野における主体や行為についてです。この部分については、法令において規制の対象とされている主体であれば、法令において一定の体制整備義務や行為義務が課されているということで、リスク低減がされていると思っております。このため、現時点では、ただちに規制対象とする必要がないということを、議論の大きい意味で整理するために、一応の論点として出されているように思っております。

 この点、クレジットカードのイシュア・アクワイアラ間の清算業務が挙げられておりますが、クレジットカード取引における海外から国内への資金移動に関しましては、国内の他法令で規制されている主体というのは、国内加盟店と加盟店契約を締結している国内のアクワイアラであって、これを業として規制している法令というのは、割賦販売法上のクレジットカード番号等取扱契約締結事業者の規制ということになるかと思いますので、そういった中では、事務局説明資料の想定されるクロスボーダー収納代行に関するリスクについても一定手当てがされているように思います。

 特に割賦販売法の規制の範囲については、クレジットカードスキームの評価であったりだとか弊害防止のための規制が整備され、その上で規制の対象範囲が確定されているということも考慮して頂くことが重要であろうと思っております。

 本論点については、BNPLの文脈以上に割賦販売法の整理にも大きな影響を与える可能性があるように思っておりますので、法令上の整理のコンフリクトを避けるためにも、上記の根拠に基づいて、国内のアクワイアラが規制対象外となるのであれば、同じ法令によって同じ内容の規制がされているインバウンド旅行者向けの国内収納代行事業者についても、規制対象外となってくるはず、ということになるかと思います。

 この点については、インバウンド旅行者向けの収納代行全般が規制対象外になるかどうかという点とは別の観点から明確化される必要があるというふうに思いますが、万が一、資金移動業者として規制を受けることになった場合に、対象とされたものの資金移動業者登録に関する判断やマネー・ローンダリング規制に対応するシステムの改修に莫大な費用が発生するなどの理由から、サービスとしてはなかなか、取りやめやコスト転嫁につながる可能性があることも踏まえて、御検討頂きたいと思っております。

 長くなりましたが、以上です。

【森下座長】 
 ありがとうございました。あとはよろしいでしょうか。

 それでは、すいません、多少時間を超過してしまいましたけれども、本日頂いた御意見を踏まえ、事務局におきまして、報告書の取りまとめに向けて検討を深めてまいります。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

 最後に、事務局から連絡事項等ありましたら、お願いいたします。

【三浦信用制度参事官】 
 次回ワーキング・グループの日時につきましては、皆様方の御都合を踏まえた上で、後日、事務局より正式に御案内させて頂きます。よろしくお願いします。

【森下座長】 
 それでは、以上をもちまして、本日のワーキング・グループを終了させて頂きます。ありがとうございました。
 

―― 了 ――

(参考)開催実績

お問い合わせ先

金融庁 03-3506-6000(代表)

企画市場局総務課信用制度参事官室(内線:3572、3556)

サイトマップ

ページの先頭に戻る