金融審議会「資金決済制度等に関するワーキング・グループ」(第7回)議事録

  • 1.日時:

    令和6年12月24日(火曜日)15時00分~17時00分

2.場所:

 中央合同庁舎第7号館 9階 905B会議室 ※オンライン併用
 

金融審議会「資金決済制度等に関するワーキング・グループ」(第7回)
 

【森下座長】 
 定刻になりましたので、ただいまより資金決済制度等に関するワーキング・グループの第7回会合を開催します。

 皆様、御多忙のところ、御参加頂きありがとうございます。

 本日の会合も、前回に引き続き、オンライン会議を併用した開催とし、会議の模様はウェブ上でライブ中継させて頂いております。

 また、議事録は、通常どおり作成の上、金融庁のホームページにて後日公開させて頂く予定ですので、よろしくお願いいたします。

 それでは、ただいまより議事に移ります。本日は、本ワーキング・グループの最終的な取りまとめを見据え、事務局にて資料1のとおり報告書案を準備頂いております。報告書案について事務局より御説明を頂いた後、メンバーの皆様に御討議頂くという流れで進めさせて頂きたいと思います。

 また、本日御欠席の永沢委員からは資料2のとおり、オブザーバーの新経済連盟様及びFintech協会様よりそれぞれ資料3、4のとおり意見書が提出されておりますところ、本日のワーキング・グループの資料として配付させて頂いております。

 それでは、まずは事務局より、報告書案について御説明をお願いいたします。

【三浦信用制度参事官】 
 信用制度参事官の三浦でございます。それでは、資料1、資金決済制度等に関するワーキング・グループ報告書案につきまして御説明させて頂きます。

 こちらの報告書案については、これまでの6回にわたるワーキング・グループでの議論を取りまとめたものとなります。本文に記載されているのは、委員の皆様で御議論頂いた結果のコンセンサス、及び、政策案に盛り込まれた御意見を中心に記載してございます。そのほか頂いた個別の意見に関しましては、可能な限り脚注に記載するという形で編集しております。

 それでは、時間も限られているので、前回のワーキング・グループでの資料2として骨子の部分で御説明したところにつきましては、説明を簡略化する形で進めたいと思います。

 それでは、1ページ目の「はじめに」でございます。こちらにつきましては、ワーキング・グループ立ち上げの背景と経緯について書かれてございます。

 具体的な施策の中身については、2ページ目からスタートいたします。送金・決済サービスというところで、まずは「資金移動業者の破綻時における利用者資金の返還方法の多様化」になります。こちらにつきましては、第2回のワーキング・グループで、資金移動業者が破綻した際は、利用者への還付手続が最低でも170日を要するところ、少しでも迅速に、かつ確実にできないかというところで御議論頂きました。また、こちらの記載の中で、ちょうど12行目から19行目には、ペイロールとの関係についても記載させて頂いております。こちらについては、資金移動業者が、いわゆる賃金のデジタル払いをする際には、仮に破綻してしまった場合は6営業日以内に利用者に直接ちゃんとお金を返さなくてはならないということになっていて、資金決済法上の170日というような縛りと両立し得ないというようなところについても記載してございます。

 これらを踏まえまして、26行目以下、見直しの内容というところで、ちょうど28行目から、資金決済法において、資金移動業者の破綻時に供託を経由することなく、利用者に対して資金を直接返還することを可能とする方法を導入する、としております。

 具体的には、次の3ページ目になります。直接返還の具体的な枠組みとして、11行目の(1)保証機関による直接返還、27行目の(2)信託の受託者による直接返還について記載させて頂いております。

 次に4ページ目に行きまして、ちょうど8行目から17行目につきましては、優先弁済権について記載してございます。18行目から25行目については、前払式支払手段につきましては、こうした新しい選択肢というものを設けないこと、その理由としては、高額電子移転可能型前払式支払手段でない限りは、本人確認義務が課されておらず、前払式支払手段の保有者を正確に把握できないおそれがあるということでございます。

 では次のページ、5ページ目をお願いします。こちらは第一種資金移動業の滞留規制の緩和でございます。こちらにつきましては、第2回及び前回の第6回ワーキング・グループで御議論頂いた内容をまとめてございます。

 現在、いわゆる第一種資金移動業者については、利用者資金の滞留についてかなり厳格な規制が設けられており、こうした規制については、利用者の利便性等の観点から以下のような課題が指摘されているとして、制度の概要と課題を9行目以下に記載してございます。

 1つが資金の滞留期間でございまして、運用・技術上必要となる期間を超えて利用者の資金を保持することが禁止されているというところから、例えば、企業間送金を定期的に実施するといったサービスはやりにくいこと、(2)具体的な送金指図の必要性について、ということで、移動する資金の額、日付かつ移動先というものを事前にしっかり指図することになっておりますので、例えば、利用者が外国為替相場等を見つつ、自ら有利なタイミングで送金指図を行うようなサービスが提供できないとか、逆為替・取立為替型の資金サービスといったものがなかなか提供しにくいといった課題がございます。(3)第一種・第二種資金移動業を併営する場合に受け入れた資金の取扱いについて、というところで、併営する場合においては、規制の潜脱防止の観点から、第二種資金移動業に関して受け入れた資金をそのまま第一種に係る資金として用いることが禁止されているというようなところがございまして、振り替えるというか口座を移す場合には、1回利用者に払い出して、またその利用者が第一種のほうに入れるということが必要であるというようなところで、幾分手間がかかっているという論点がございます。

 そうしたことを踏まえて、次のページ、6ページ目の見直しの内容に進みます。まず6行目以下、一定程度の滞留期間の延長の容認というところです。結論といたしましては、9行目以下にございますとおり、事業者ごとのビジネスモデルに照らし、最長2か月の滞留を認めることが考えられるというふうにしております。ただし、というところで、11行目以下、いわゆる2営業日のタイムラグというものがありますので、このリスクについて一定程度の手当てが必要という御議論がありました。したがって、14行目以下、まず、資金移動業者は、破綻時の損失等のリスクやこれを減じるための体制について利用者に説明し、理解を得ることが必要であること、破綻時に速やかに利用者資金を直接返還できるよう、新しい資金返還方法を採用すること、その上で、早期に返還する体制、高い確実性をもって返還する体制というのをしっかり整備していきましょうというような議論でございました。

 特に23行目の(イ)につきましては、その上で、例えば、当局に報告等を行った上で、以下のいずれかの措置を取ることを求めることということで、信託であればタイムラグを2日から1日以下にする措置、また、想定上限額というものを決めて、それ以上の額を保証ないし信託により保全させるとか、あと預貯金等による分別管理をちゃんと当局に報告等をした上でしっかり行っていくというようなところを例示してございます。

 次に、7ページ目の(2)に移ります。受任可能な送金依頼の具体性の程度の緩和というところで、ここでは資金を移動する日だけではなく、資金を移動する期限というものも認めてはどうかというようなことがございました。何月何日というだけではなく、何月何日までというようなところも許容するというものです。ただし、移動する資金の額や移動先についてちゃんと指定するというところは従前と同様ということにしております。

 (3)第一種と第二種を併営する場合の資金移動業者による資金の振替えの許容というところで、第二種資金移動業に係るものとして受け入れた資金について、第一種資金移動業に係る資金への振替えを認めることが考えられるというふうにしてございます。

 次、21行目から、クロスボーダー収納代行への規制のあり方でございます。こちらについても第6回、前回のワーキング・グループで御議論頂いたところでございます。

 7ページ目の23行目から8ページ目の3行目までは、2019年のときのワーキング・グループの経緯について記載してございます。4行目から6行目につきましては、特に足下、問題となっている事例として、海外オンラインカジノや海外出資金詐欺等の事案について触れてございます。

 8ページ目、7行目から12行目まではFSB(金融安定理事会)における勧告について紹介してございます。

 こちらを踏まえまして、見直しの内容、2ポツ目でございます。結論といたしましては、基本的な考え方としては、19行目から22行目にありますとおり、「クロスボーダー収納代行のうち、為替取引に関する規制に服する銀行や資金移動業者が行うクロスボーダー送金と同機能を果たしていると考えられるものについては、リスクに比例的な規制として為替取引に関する規制を適用することが考えられる」としており、次の9ページ目より、具体的な規制の適用範囲について記載してございます。

 9ページ目の(1)、まずは金銭債権の発生原因の成立に関与する者についてでございます。こちらにつきましては、いわゆるプラットフォーマーや委託販売者等が想定されますが、こちらについては物品の提供等と資金の移動が一体的に行われるということが一般的であり、そのため行為者によって取引内容の真正等を確認することが可能であり、マネー・ローンダリングや詐欺等の不正利用の防止が図られているという御指摘もございました。また、こうした仲介者の存在が受取人の資金回収の確実性を高めているとの指摘もございました。

 また、こうしたサービスについては、現時点で国内においてこれまで社会的・経済的に重大な問題となるような被害は発生していないということも踏まえれば、結論としては、こういった金銭債権者から収納代行の行為者に対して代理受領権が適切に付与されていること、事業者において、いわゆるAML/CFTが適切になされていることを前提に、直ちに規制の対象とはせず、引き続き検討課題とするというような形でまとめてございます。

 15行目から18行目につきましては、ただし、こういった金銭債権の発生原因の成立に関与する者が行う行為であったとしても、オンラインカジノや出資金詐欺等の違法行為に主体的に関与していくことが疑われる場合には、上記のAML/CFTに関する前提が満たされているとはいえず、為替取引規制を及ぼす必要があることは言うまでもないという記載にしてございます。

 注の30に書きましたとおり、こうした者が資金移動業登録を申請したとしても認められず、無登録で為替取引を営む者として取締りの対象になるということが想定されます。

 20行目は、(2)エスクローサービスでございます。こちらのエスクローサービスにつきましては、次のページ、10ページ目の3行目から結論ですけれども、現時点においてエスクローサービスへの為替取引規制適用の必要性については共通した認識を得られておらず、国内において社会的・経済的に重大な問題とされるような被害は発生していないことを踏まえれば、代理受領権が適切に付与されていることを前提に、直ちに規制の対象とせず、引き続き検討課題とすることが考えられるという記載にしてございます。

 9行目、(3)金銭債権の発生原因の成立に関与しない者についてになります。12行目にございますとおり、基本的には為替取引規制を適用すべきであると考えられるという記載にしております。ただし、(ア)資本関係がある場合等、受取人との経済的一体性が認められる者が行うクロスボーダー収納代行等については、オペレーションリスクやAML/CFT上のリスク等が必ずしも高くないこと、(イ)他法令が規律する分野における主体や行為でクロスボーダー収納代行を実施することが想定されているものについては、他法令で一定のリスク軽減措置が図られていると考えられることから、直ちに為替取引規制を適用する必要性は高くないと考えられるとしております。

 そうしますと22行目以下にあります通り、現時点で為替取引規制が適用されるべきクロスボーダー収納代行の典型例としては、例えば①から④、海外オンラインカジノ、海外投資事案、海外EC取引業者からの委託を受けて行っている収納代行、インバウンド旅行者の国内での決済のための収納代行というふうに区分けしております。①・②と③・④は全く違った性質のものであるという御指摘を受けました。そちらを踏まえまして、29行目以下から、なお、上記①及び②については、海外オンラインカジノや無登録金融商品取引業者のために収納代行を営む者が資金移動登録を申請したとしても認められず、無登録で為替取引を営む者として取締りの対象になる旨を記載してございます。

 次のページ、11ページ目の1行目については、③及び④について記載してございます。③・④についても、上記の各適用除外に該当する場合もあり得ると考えております。この点、例えば上記③については、形式的には金銭債権の発生原因に関与していないが、海外EC取引業者の指導監督の下で委託を受けて収納代行を行い、ビジネスモデル全体として金銭債権の発生原因に関与していると考えられる場合もあり得ますが、具体的なサービスについての規制の要否は、上記の考え方のもと、機能やリスクの観点から、個別の取引対応やビジネスモデルに応じて判断されるべきものと考えられるとしております。

 さらに上記④については、インバウンド旅行者の国内における決済がクレジットカードで行われる場合には、他法令によるリスク軽減措置等も踏まえて規制の要否が判断されるものと考えられるというふうにしております。

 11行目から14行目につきましては、2019年の報告書も似たような表現を使いましたけれども、今回規制の対象外とされた行為についても、今後よくよく状況を見て、必要があれば規制の範囲について改めて議論すべきであると考えられる、と記載しております。

 16行目以下、前払式支払手段の寄附への利用でございます。その具体的な内容は26行目以下というところで、前払式支払手段を通じた寄附については、公益増進の観点から政策的意義が認められる一方で、誰にいくらでも、というようなものになってしまいますと、為替取引規制の潜脱防止の観点のほか、こういった寄附資金を悪用したマネー・ローンダリングや詐欺等のリスクもありますので、寄附金受領者やその金額に一定の制限を課すというふうにしております。

 寄附金受領者の制限につきましては、11ページ目の35行目から12ページ目の4行目にありますとおり、国・地方公共団体や認可法人等に限定するというようなことで記載してございます。

 限度額につきましては、5行目から7行目にありますとおり、1回当たり1~2万円とすることが考えられるとしております。

 8行目以下については、今後の詳細な制度については、私ども金融庁のほうで検討していきますが、ギフトカードを用いた詐欺の事案等が多発している状況を踏まえれば、番号通知型前払式支払手段を用いた寄附を認めることは適切ではないと考えております。また、何者かが寄附金事業者になりすまして寄附金を募るリスクというのもございます。こちらについては十分な対策を講じるべきであるということで、本ワーキング・グループの結論としております。

 16行目、17行目につきましては、こうした前払式支払手段の利用範囲については、分かりやすい形で周知していくことが重要としております。

 それでは、次のページ、13ページ目からは、暗号資産と電子決済手段(ステーブルコイン)についてです。まずは暗号資産交換業者等の破綻時等における資産の国外流出防止ということで、FTX事案について記載をしています。ポイントとしては、金融商品取引法には規定しております、いわゆる資産の国内保有命令について、資金決済法においては措置されていないというようなところがございますので、いざ暗号資産の現物だけを取り扱う暗号資産交換業者等が破綻してしまった場合には、事業者の資産が国外に流出するおそれがある場合に有効な対応ができないというようなことがございます。こちらについては、電子決済手段等取引業者についても同様の懸念があるということで、資金決済法においても国内保有命令の規定を導入したらどうかということで結論づけております。

 14ページ目の4行目からが、暗号資産等に係る事業実態を踏まえた規制のあり方ということで、いわゆる仲介業について記載してございます。足下、暗号資産等のいわゆる媒介、仲介のみを行うビジネスというのも考えられていますが、そうしたことを行う場合には、暗号資産交換業者として登録を受けて、交換業者としての規制をフルパッケージで受けるというようなことになっております。ただ一方、事業内容が媒介にとどまる場合は、直接暗号資産の売買等の当事者となるものではなく、利用者の財産の預託も受けませんということがございますので、例えば、利用者財産の保全等の観点から設けられている規制が課されるのは過度な負担ではないかという御指摘もございます。

 また、売買の片方は必ず暗号資産交換業者等で、いわゆるAML/CFTをしっかりやっているということが前提であれば、媒介のみを行う業者に対しては、AML/CFTの履行義務を課すというのも規制としては重いのではないかというような御指摘がございました。

 こうした点を踏まえまして、24行目以下、見直しの内容というところでは、新しく暗号資産の仲介業というようなカテゴリーを設けて、その中で別途、交換業者等とは別の枠組みで規制監督を適切に行っていくこととしておりまして、具体的には15ページ目の(1)、(2)、(3)で記載されているとおり、まず、所属制を採るということ、(2)参入規制における財産的基礎の要件を課さないということ、さらには(3)売買当事者の片方がちゃんとAML/CFTの義務を履行しているという前提の下、仲介業者自身にAML/CFTの履行義務を課さないということについて記載してございます。

 次のページ、16ページ目が、特定信託受益権(3号電子決済手段)の発行見合い金の管理・運用方法の柔軟化についてです。現在の法制度の下では、法定通貨との価値の連動及び額面での償還を確実なものとするため、その全額を健全性に係る基準を満たす銀行等への要求払預貯金で管理することが求められております。

 こちらについては、11行目以下にありますとおり、日本がこうした規制を先駆けて導入したというようなところがございまして、米国やEUが後でより柔軟な規制を導入してきたという経緯もございました。

 15行目以下は見直しの内容というところで、国際的な動向を踏まえ、特定信託受益権の発行見合い金の管理・運用方法を要求払預貯金以外に柔軟化することが考えられる、というふうにしております。ただし、要求払預貯金以外の管理・運用方法としては、信用リスク、価格変動リスク及び流動性リスクの低い資産の保有に限ることとし、かつ組入比率にも一定の上限を設けることとしております。また、為替リスク回避の観点からも、電子決済手段と運用対象資産が同じ通貨建てである場合に限ることが考えられるとしております。

 具体的には、次の17ページ下の(1)から(4)にまとめてございます。17ページ1行目、(1)運用対象資産ということでは、国債または定期預金としております。

 (2)満期及び残存期間ということでは、3か月以内ということで整理してございます。また、16行目以下では、外貨建ての特定信託受益権について触れてございます。こちらについては、当面は米ドル建て特定信託受益権の発行ニーズが想定されることや、米国債には日本国債以上の流動性が認められるということから、当面は米国債に限って認めることが考えられるというふうにしております。

 (3)信託財産減少リスクへの対応というところで、こちらは利用者保護の観点から、例えば、市況により国債価格が下落し、信託財産が減少したときには、減少分に相当する追加信託財産の拠出義務を課すということにしております。定期預金についても同様、例えば、中途解約手数料が発生する場合にも当該解約手数料を考慮しても元本割れが生じない商品等、信託財産の減少が生じない場合に限定して認めることが考えられるとしてございます。

 次、18ページ目の(4)では、組入比率について記載してございます。結論としては、上限を50%とすることが考えられるとしていますが、その背景、理由としては、6行目から、まず投信法との関係、あと9行目以下では、EUにおけるMiCAの規制を紹介してございます。こちらについては、重要(significant)と判断されたトークンについては、預金以外の資産の組入比率が40%以内と、重要と判断されたトークン以外については70%に限定されているということにつきましても参考として記載しております。

 15行目からは、特定信託受益権(3号電子決済手段)におけるトラベルルールの適用でございます。こちら、現行ではトラベルルールは、こうした電子決済手段については適用されていないということですが、この理由としては、譲渡の際には受益権原簿の書換えが行われて、しっかりトレースができるという前提でございました。ただ一方、今後、こうした仕組みによらない特定信託受益権の発行を検討する動きが見られるということですので、そうした状況を踏まえて御議論頂き、19ページ2行目から記載してありますとおりに、ワーキング・グループの結論としても、しっかりとトラベルルールを適用して、当局も適切に監督を行っていくべきということで御議論頂いたところでございます。

 11行目が預金取扱金融機関による1号電子決済手段の発行というところでございます。こちらについて、これまで私ども金融庁は、こういった1号電子決済手段を預金取扱金融機関が発行することについては、慎重な検討が必要というふうにしてきたところでございます。改めてワーキング・グループで御議論頂きましたが、基本的には慎重な御意見が多かったものというふうに理解してございます。

 それを踏まえまして、20ページ、2ポツ目の基本的な考え方でございますとおり、預取に1号電子決済手段の発行を認めて、預取がその発行見合い金を受け入れることは、預取に要求払い性の負債でありながら預金ではないものの受入れを認めることになるというようなことで、これらが預取の適切な業務運営、利用者保護、金融システムへ与える影響等々について、多角的な視点からの慎重な検討が求められるというふうにしてございます。

 また、7行目以下で、さらに国際的にも預取によるステーブルコインの発行実績がほとんどないこと、また、我が国でもニーズが乏しく、具体的な発行計画の策定に向けた取組も見られないこと等々から、当面は内外の情勢を見極めつつ、中長期的観点から検討することが適切と考えられるという記載にしてございます。

 次、21ページ目からはその他の論点ということで、立替サービス及び外国の金融機関によるシローン参加について記載してございます。こちらは第3回のワーキング・グループで御議論頂きました。

 まず、立替サービスについては、様々な御意見を頂いたところでございます。コンセンサスといたしましては、10行目後段からありますとおり、「適切な利用者保護を図りつつ、サービスを提供する事業者にとっての予測可能性を確保し、サービスの健全な発展を促す観点からは、貸付け該当性について一定の判断枠組みを示した上で、各立替サービスの個別具体的な事情を総合的に考慮して実質的に判断することが適切である」という記載にしてございます。

 具体的な目線としては、15行目から20行目に書いてあるとおり、大前提としては、資金需要者等の利益の保護という貸金業法の趣旨を前提とした上で、各サービスの実態に照らし、①どの程度資金需要者の支払能力を補完しているか、②どの程度資金需要者の信用力を考慮しているか等に着目して個別に判断することとし、その際には、例えば、手数料の設定方法、立替期間及び資金需要者の属性・利用態様等を総合的に勘案することが考えられるとしております。

 (2)外国の金融機関等によるシローン参加についてです。23行目から29行目におきましては、日本で免許等を持っていない外国の金融機関が国内で組成される外貨建てのシローンに参加しようとする場合、日本に営業所を置いて専門人材を配置することが貸金業法上義務付けられているところ、それらが過剰な規制ではないかというような御指摘について記載してございます。

 22ページ以下では、それに関する御意見として、こういった貸金業の規制を緩和したらどうかというような御意見もあれば、緩和を行った場合のリスクを精査し、そのリスクについて適切な対応ができるように制度設計を行う必要があるとの御意見も頂きました。また、そもそも貸金業法が柔構造化されてないことに起因しているという、より根本的な問題についての御指摘もありましたし、脚注に記載させて頂きましたが、銀行法のあり方とか、そのあたりも含めてちゃんと検討すべきではないかというような御意見もございました。結論としては、9行目以下、このような様々な意見があったことも踏まえて、本件については引き続き検討を行っていくというようなことで結論としております。また、貸金業法の柔構造化そのものについては、今後、中長期的に検討を深めていくことが望ましいとしてございます。

 23ページ目以降は「おわりに」ということですので、説明を割愛させて頂きます。

 私からの説明は以上です。

【森下座長】 
 ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局の御説明を踏まえまして、委員の皆様方から御発言を頂ければと思います。御発言を希望される際には、対面で御出席されている方におかれましては机上の名札を縦にして頂き、オンラインで参加されている方におかれましては、オンライン会議システムのチャットにて全員宛てに発言がある旨を御入力頂きましたら、それを確認して私のほうで指名させて頂きます。なお、限られた時間の中で可能な限り多くの方に御発言を頂きたいと考えておりますので、お一人当たり最大5分程度で御発言を頂ければと思います。いつものことで恐縮ですが、御協力をお願いいたします。

 それでは、どなたからでも結構ですので、御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。それでは、加藤委員、お願いします。

【加藤委員】 
 加藤です。御提示頂いた報告書案の方向性に賛同いたします。その上で、今後、クロスボーダー収納代行に関する規制の詳細を検討して頂く際に、考慮することが望ましいと考える事項について意見を述べます。

 第1に、2019年に公表された決済仲介法制ワーキング報告では、国内で完結する収納代行について、「①債権者が事業者や国・地方公共団体であり、かつ、②債務者が収納代行業者に支払いをした時点で債務の弁済が終了し、債務者に二重支払の危険がないことが契約上明らかである場合には、既に一定の利用者保護は図られていると考えることが可能である。したがって、こういった収納代行について、為替取引に関する規制を適用する必要性は必ずしも高くないと考えられる。」と整理されましたが、今回のクロスボーダー収納代行に関する規制の整備は、決済仲介法制ワーキングのこの整理を変更するものではないと考えております。

 決済仲介法制ワーキングの整理では、国内の債権者、すなわち受取人と、債務者、すなわち支払人の双方について、利用者保護の観点から為替取引に関する規制を適用する必要性があるか否かが基準となっているため、受取人と支払人のいずれかが海外にあるクロスボーダー収納代行にそのまま当てはめることはできません。しかし、クロスボーダー収納代行に関する規制の対象として想定されている類型の中には、決済仲介法制ワーキングの整理に従えば、為替取引に関する規制を適用する必要性が必ずしも高くないと評価できるものも含まれており、クロスボーダーであるがゆえに、為替取引に関する規制を適用する必要性が高まることを基礎付ける要素を明確にし、そのような要素に対応するように、クロスボーダー収納代行に関する規制を構築していくことが望ましいと考えます。そのような要素としては、報告書案にも言及があるとおり、AML/CFTのほかに決済サービスの不正利用の抑止、消費者保護などが考えられます。

 第2に、本ワーキングの検討において、クロスボーダー収納代行に関する規制の対象として想定されている類型の中で、報告書案10ページの①と②を規制すべき点について異論はなかったとの印象を持っております。ただ、①や②の類型を実効的に抑止するためには、報告書案10ページの③と④を対象範囲に含むような規制を構築する必要があるのではないかと考えます。例えば、③の類型の事業者に対しては、その提供するサービスが①や②の類型と同じ目的で利用されることを防止するための体制整備を求めることに一定の合理性が認められると思います。ただし、③の類型の支払人が二重払いのリスクを負っていないと評価できる場合、決済仲介法制ワーキングの整理に従えば、資金移動業に関する規制の中で少なくとも支払人の保護を目的とするものについては過剰ではないかとの評価も成り立ちます。確かに③の類型の支払人に二重払いのリスクが存在しない場合であっても、購入した物品が無事に届かないなどのリスクは残るわけですが、このようなリスクは少なくとも現在の資金移動業の規制で対応することが望ましいものであるか懸念があります。このような懸念を払拭できるような工夫が、具体的な制度設計の中で行われることが望ましいと考えます。

 第3に、報告書案10ページの④の類型については、決済仲介法制ワーキングの整理に従えば、受取人が事業者であるから、資金移動業に関する規制の中で、少なくとも受取人の保護を目的とするものについては過剰ではないかと評価が成り立ちます。④の類型では、受取人がインバウンド旅行業者に提供済みの財・サービスの代金がインバウンド旅行業者から複数の事業者を介して送金されるという関係が存在しますが、類似の関係は国内で完結する収納代行にも存在すると考えます。

 これに対して、クロスボーダー収納代行では、資金の流れの中に海外の事業者が含まれるため、国内の受取人が引き受けなければならないリスクが、国内で完結する収納代行よりも高くなる可能性はあると考えます。しかし、厳密に考えますと、このようなリスクの大きさは、受取人と収納代行を行う国内の事業者との契約によって異なるように思われます。例えば、海外の支払人や事業者からの不払いのリスクへの対処が収納代行を行う国内の事業者と国内の受取人との間の契約によって行われている場合、国内の受取人が負担するリスクはクロスボーダーであるがゆえに高まってはいないと評価できるようにも思われます。

 決済サービスの不正利用の抑止について、④の類型においても、国内の受取人がインバウンド旅行者に提供する財・サービスが公序良俗に反するようなものであれば、①と②の類型と同じく④の類型において決済サービスが不正利用されていると評価できます。ただ、このようなリスクについては、例えば、④の類型において既に資金移動業登録を受けている国内の事業者が他業として収納代行を行っている場合には、現行法の枠組みの中で前払式支払手段の発行者に求められているものに類似の加盟店管理を求めることなどにより対応することも可能であると考えます。

 具体的には、他に行う事業が公益に反すると認められる法人であるということは、資金移動業登録の登録拒否事由に該当していることなどを根拠として、一定の体制整備を資金移動業者に義務付けるといった対応も考えられるのではないかということです。

 最後に、これまで、クロスボーダー収納代行を含む収納代行に関する規制は、為替取引に該当するか否かに焦点が当たり、どのような規制が望ましいかについての議論は活発ではなかったように思われます。為替取引に該当するか否かは、規制の適用範囲、すなわち入り口の問題です。しかし、為替取引に関する規制の実質的な内容が決済送金サービスの進展に対応できる内容となっていないのであれば、入り口を広げることについて慎重な意見が述べられることもやむを得ないと考えます。今後も決済送金サービスの進展に応じて為替取引に関する規制を適用する必要性が認められる範囲を継続的に評価していくことになると考えますが、規制の実質的な内容がそのような評価の妨げにならないよう、この点についても見直しを進めていく必要があると考えます。

 私からは以上です。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 同時に札を上げて頂きましたので、順番が前後するかもしれませんがお許しください。

 それでは、坂委員、お願いいたします。

【坂委員】 
 報告書案につきましては、前回までの議論を踏まえ、制度提案の基本的骨格を整理して頂いています。事業者団体から資料が出ておりますが、サービスの具体例を述べるものであって、この点は参考とすべきというふうに思います。他方で御意見部分があくまでも事業者の立場からのものであるということについては留意が必要と受け止めております。この点を前置いた上で、事業者団体の資料も踏まえてクロスボーダー収納代行について、7点、述べさせて頂ければと思います。

 第1に、制度整備の意義ですけれども、クロスボーダー収納代行は、マネロン対策及び利用者保護の点で、国内の収納代行とは質的に異なるリスクがあります。マネロン対策については、昨年11月公表のFATF、インターポール及びエグモント・グループのサイバー関連詐欺の資金移転に関する報告、先月公表の我が国の国家公安委員会の犯罪収益移転危険度調査書が注目されます。報告では、デジタル技術を背景に、マネー・ローンダリング・グループが高度に専門化していること、実際に外国との取引を通じたマネロン事案が発生していることなどが報告されております。デジタル化によって、マネー・ローンダリングが容易になっている実態があります。実際、海外投資詐欺の被害事例においても、海外送金に際し、我が国に登録を有しない送金サービスにおいて、EC決済をよそおったと見られる事案も発生しております。利用者保護については、代理受領の法的安定性等に課題があることは、第4回ワーキングでも報告のあったとおりです。

 第2に、収納代行に該当しない行為についてです。収納代行は、代理受領権の付与などによって支払人に二重払いの危険がないことから、通常の資金移動とは異なる規制対応がされているものです。代理受領権の付与などが的確に行われておらず、支払人に二重払いの危険があるサービスは、収納代行ではなく典型的な資金移動として為替取引規制の対象となります。他方、収納代行と言えば何でも許されるかの誤った認識が一部にあり、極めて問題と感じております。収納代行の意義・範囲は、今回の制度整備において改めて確認と周知が必要と考えます。

 この点に関して若干心配しておりますのが、現在のクロスボーダー収納代行の中に、現行法上規制対象であるものが存在しないかどうか、です。この点については、当局及び事業者において再点検をお願いしたいと考えます。

 第3に、収納代行サービスの捉え方ですけれども、収納代行として実際に提供されているサービスは、複数の契約関係が並立して、または複数の契約関係が連続して、全体として決済サービスが提供されていると見られます。この場合、前提となる債権債務関係を適切に把握して、規制対応を図る必要があります。例えば、プラットフォーマーが顧客に対して決済サービスを提供する場合、プラットフォーマーは、売主、買主双方と契約関係があり、かつ提供する決済サービスは、売主と買主の間の代金債権に関するものです。かかる関係において収納代行が成立するには、プラットフォーマーが売主からの代理受領権に基づいて買主から代金を受領し、買主に二重払いの危険がない関係が成立する必要があります。

 上記の関係の中で、さらにプラットフォーマーと売主との間に決済代行業者が介在し、決済代行業者がプラットフォーマーの売主への支払いについて代理受領権を付与される場合があります。これはプラットフォーマー、決済代行業者、売主の間の契約関係に基づくものです。

 このような関係においては、1つの支払いに関して複数の決済サービスが介在していると見られます。契約当事者、提供されるサービスの範囲が異なる以上、原則としてそれぞれに対し為替取引規制、収納代行の成否が検討される必要があります。この点は、第6回ワーキングの資料1の11ページのとおりです。なお、このような場合において、法適用に際して調整すべき点がないかは、制度の具体化の際に留意すべき点と考えます。

 第4に、実質的なリスク把握の重要性についてです。当面、規制対象と扱う範囲については、債権の発生原因の関与の有無によって差を設けるということが提案されていますが、これは実質的にはリスクの程度が異なることによるものと考えられます。全体として当面規制対象と扱わないものは、リスクの程度が低いと考えるものが想定されます。マネロン対策との関係においては、決済業者の業務の適正確保の期待可能性と、資金の流れの透明性の確保という点が重要と考えます。かかる観点から、例えば、規制対象とは扱われない事業者から委託を受ける者は、そもそも送金サービスを行う者であることに加え、現実の経済活動との関係も薄く、リスクが高いと考えざるを得ません。資本関係や法令を背景とするガバナンスが期待できない限り、規制対象とすべきと考えます。

 また、法令による規律がある場合も、クレジットでは海外加盟店の把握に脆弱な面があります。加盟店との関係を規制対象と扱わないためには、アクワイアラによる海外加盟店の管理の実効性が確保される必要があります。

 第5に、商品を扱うプラットフォーマーとデジタルサービスを扱うプラットフォーマーの違いについてです。後者は前者に比べて比較的容易に形をつくることができ、取引の偽装も比較的容易です。実際、デジタル詐欺の類型にプラットフォームを装うものがあり、オンラインカジノのプラットフォームも拡大しています。今後の制度の具体化に当たっては、商品を扱うものと比べ、デジタルサービスを提供するものはリスクが高いことを十分に勘案すべきです。

 第6に、インバウンドの旅行者向けの収納代行ですけれども、これについては零細業者も多いと思われる加盟店における代金回収を確保するという観点から、資金移動業として規制する必要性は高いと考えます。

 第7に、2019年の報告では、債権者が事業者であるものについては、当面規制対象としないという整理がされておりますが、現在問題となっているクロスボーダー収納代行に関しては、債権者が事業者であるものも、当然規制対象になるべきものですので、この点については確認をしておきたいと思います。

 最後に、クロスボーダーの収納代行に関しては、事業者の皆さんにおかれましても、ぜひこういった特有のリスクに対しての自主的な取組も期待したいと考えます。

 以上です。ありがとうございました。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 それでは、神作委員、お願いします。

【神作委員】 
 学習院大学の神作でございます。御指名ありがとうございます。

 本日、御提案頂きました本ワーキング・グループの報告案ですけれども、広範で非常に複雑な論点について、短い期間であったのに本ワーキングのコンセンサスを的確にまとめて頂いたものと承知しております。その内容に全面的に賛成いたします。

 また、傾聴に値するような考え方や意見等につきましては、少数意見であっても、場合によっては本文に、場合によっては注で触れて頂いており、メンバーの意見に非常に御配慮頂いた内容になっていると感じます。

 また、今回の報告案をまとめるに当たっても、事前に詳細な御説明を頂き、私、何点か意見を申し上げたのですけれども、その点についても全て、本日拝見いたしますと反映して頂いており、誠にありがとうございます。本報告案に対して申し上げることはないのですけれども、後ほど御説明があると思いますが、配布されているオブザーバーからの意見等を拝見しますと、クロスボーターの収納代行サービスについてはいろいろな御意見があるようですので、その点について少しコメントさせて頂ければと思います。

 経済的にも社会的にも、クロスボーダーの収納代行サービスというのは、国民生活、経済生活にかなり浸透してきており、健全かつ確実な機能の確実な履行を確保すべきであるという要請は非常に高まっていると思います。マネー・ローンダリング等の対応についてもそうですけれども、いずれにしてもそのような環境の変化があって、そのことが規制の大きな根拠になると考えております。特に将来どのような事業者が参入するか不透明な中で、また中間に様々な業者が複雑に介在するようになってきており、適切な規制が必要であるというのが、私は本ワーキング・グループのコンセンサスであったと思います。ただし、ワーキング・グループの中でも私自身も発言しておりますし、他のメンバーからも御発言がございましたけれども、適用が除外されるべき場合ですとか、あるいは実効性確保の観点等から絵に描いた餅に終わるような場合には、規制はむしろ望ましくないと考えられますので、過剰規制ですとか無意味な規制にならないように、特に事業者の方々との意見交換等を綿密にして頂いて、適切な規制を構築して頂くことが大事だと思います。

 具体的な各論として2点申し上げさせて頂きたいと思いますけれども、第1点は、代理受領権について、確かに二重払いの危険という点では、代理受領権の有無というのがポイントになっているのですけれども、代理受領権というのはちょっとはっきりしないところがありまして、例えば、代理受領権で一旦支払った後、何かトラブルが起きたときに、その苦情や支払った代金を戻してくれというふうに代理受領権者に言えるのかどうか等々、代理受領権だけを与えるというのは、私は中途半端な気がしておりまして、代理権を与えるならもうちょっと包括的に与えるというのが筋ではないかと思います。代理受領権だけは与えて、二重払いのリスクはありませんというふうに言い切れるのかどうかという点は、従来から気になっていたところです。

 それから、第2点は、これだけ決済サービスが多様化して複雑化してきますと、先ほど加藤委員が言われたことと共通するかもしれませんけれども、為替取引とか資金移動業についてもうちょっと類型化をして、それぞれの具体的類型に応じた、より適切な規制というのを将来的には考えていくべきではないかと思います。しかし、そのことは本ワーキング・グループの結論に反対とか否定するものではなくて、徐々に規制の精度を上げていくという方向でさらに議論をしていくべきものではないかと思います。この分野は、まさに実務が非常に早く進展して、技術の進歩等に応じて変化しておりますので、それを柔軟にちゃんとキャッチアップをして、適切な規制を不断に追い求めていくというのが大事かと思います。逆に言うと、今の段階で100点満点の規制というのはもともと望むべくもなく、だからといって何もしないというわけにはいかない分野ではないかと考えております。

 私からは以上でございます。どうもありがとうございます。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 それでは、長内委員、お願いします。

【長内委員】 
 大和総研の長内でございます。このたびは、これまでのワーキング・グループの議論をしっかり反映した報告案を取りまとめて頂き、ありがとうございます。

 まず、報告案で示された3つの大項目の全体感に関して、「暗号資産・電子決済手段(ステーブルコイン)」と「その他の論点」に関しては、今後、中長期的な検討が必要な論点が残されたものの、内容についてはおおむね合意が得られたと考えています。他方、「送金・決済サービス」については、第6回のワーキング・グループで再び議論を行うなど、多様な意見が出た項目もありました。こうした中で、私からは3点ほど意見を述べさせて頂きます。

 1つ目は、第1回のワーキング・グループにおける発言と重複する面があるのですけれども、送金・決済サービスへの規制全体に対する個人的な基本的な考えになります。まず、フィンテックは多様なビジネス領域に展開されていますが、その中でも特に決済・送金分野が大きく成長してきており、今後さらなる成長が見込まれると考えています。そして、こうした成長分野において適切な規制を設けることは、必ずしも民間のビジネスやイノベーションを阻害するものではなく、利用者が安心・安全と考えて利用を増やす効果などによって、事業者にとってもプラスに働く面があるというのが個人的な立場です。ただし、当然ながら過度な規制や不要な規制は回避すべきでありますし、さらに公平な競争環境の整備、つまりレベル・プレイング・フィールド(Level Playing Field)という視点が重要ということも言うまでもありません。こうした観点から、今回の報告案について、基本的に賛同したいと考えております。

 2つ目は、送金・決済サービスに関して多様な意見が出た「クロスボーダー収納代行への規制のあり方」についてです。こちらも越境ECの市場拡大という潮流であったり、インバウンドの動向を踏まえると、フィンテックの決済・送金分野の収益機会というのは、むしろ今後さらに拡大していくと見ています。そうした中で、利用者保護や安心・安全の環境整備という観点、あと報告案にもありましたように、同じ活動、同じリスクには同じ規制を適用するという原則、さらには金融ビジネスの実態を踏まえた上で適切な規制を設けること自体は重要だと考えています。

 ただ、過去のワーキング・グループの議論を振り返った際に、個人的に気になった点がありますので、そちらについても少し触れさせて頂きます。それは海外事業者に対する過度な規制が、インバウンドに悪影響を及ぼすのではないかという指摘だったと思います。これまで政府のキャッシュレス推進策では、訪日外国人旅行者が国内でスムーズな支払いを行える環境整備をするという点も重視されていました。いわゆる過度な海外事業者に対する規制が、政府のキャッシュレス推進策であったりインバウンド政策と大きな齟齬が生じるのであれば問題だと考えているということです。ただ、こちらの論点、多分事業者側も関心がある論点だと思うんですけれども、第6回の事務局資料の13ページ目の図と、今回の報告案の事務局説明で触れられたかはちょっと覚えてないですけど、報告案の10ページ目の脚注34から分かるように、原則、今回の規制の対象になるのは国内事業者であって、いわゆる海外事業者に対する過度な規制というのは、基本的に問題ないというのが私の理解です。

 また、原則として海外事業者が規制の対象にならないということが今回明確になったことによって、むしろ国内事業者が海外事業者と積極的に連携して、事業展開を行いやすくなった面もあるのではないかと考えております。

 最後に3つ目ですけれども、報告書案の「おわりに」で言及して頂いているように、金融ビジネスは絶え間なく変化しており、さらにその変化のスピードは非常に速いというのが個人的な見解です。他方、少し長い目で見た場合に、個人的に注目している構造変化もあります。これまでちょっと触れたこともあるんですけれども、キャッシュレス決済サービスを利用する高齢者が着実に増えているなど、いわゆる高齢者金融の問題というのが、今後も様々な金融ビジネスにおいて一層重要になってくるというのが私の立場です。

 いずれにしろ、このように短期的に対応すべき金融環境の変化や、長期的な構造変化も見据えて、金融ビジネスのみならず制度も絶え間なく見直していくことが大切になると考えています。

 以上です。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 それでは、小川委員、お願いします。

【小川委員】 
 ありがとうございます。非常に多岐にわたる今までの審議の内容をまとめて頂き、本当にありがとうございます。賛同いたします。今後さらに期待される規制の柔軟化、それと併せてしっかり規制をかけていくという判断の礎になるリスクベース・アプローチについて、最後に少しコメントさせて頂ければ幸いです。

 皆様、委員からも既に御発言ありましたように、資金決済関連のテクノロジーの進化とサービスのアイデアは、今後も加速的に進んでいくと考えています。利用者は今後とも、さらに便利で、安価で、素早いサービスの恩恵を受ける。これは非常に私どもも期待しているところでございます。

 一方で、こうしたサービスはさらにボーダーレスに分散化し、大量、それから処理の高速化によりリスクエクスプロージャーはすごく大きく、スピードをもって膨らんでいく。こうしたリスクへの理解の浸透ということも、併せて非常に重要と考えます。両者のバランスを取ってスピード感を持って前進させていく、これが鍵になります。が一方で、容易ではないというふうに考えています。

 今回、報告書という形で一度通して拝見いたしましたところ、感じるところは、例えば、これは丸、これはバツといったようなルールベース、もしくはチェックリスト方式と言われる規制のあり方、これは既に限界を迎えていると考えています。よりリスクベース・アプローチを礎に、プリンシパルベースの考えを明確にした規制、これが今求められていると強く感じました。

 今日、仮に規制対象となるビジネスを定義付けたとしても、明日はもはや新たな機能、もしくはサービスが加わり、その限りではないといった、これが現状だということをやはり理解する必要があると考えています。規制当局としては、規制の対象とするリスクを明確に定義し続ける、継続的にそれをし続けるということが重要と考えます。例えば、利用者が被る損害、詐欺、不正、マネー・ローンダリング、個人情報保護の逸脱など一定の想定されるリスク、これをリスクカタログなどで、まず明確にする。これが重要かと思っています。また、個々の事象の特性、例えばサービス、取引、それから顧客のセクターの性質、関連するエンティティー、ターゲットとする市場や顧客といったもの、もしくは送金経路のチェーンの長さですとか、参画するデジタルプラットフォームの複数化、ブラックボックス化など、諸要素について1つずつリスクに照らして、定量的・定性的に指差し確認をし、それを可視化する形でリスクヒートマップ等としてその重要性を見せていくということが極めて重要だと考えています。

 その上で、他の法規制等でリスクが既に低減されているか否か勘案し、残存するリスクの重要性に鑑み、過度な規制を避けて、必要かつ十分な規制を定めていく。そういったプロセスの確立をぜひお願いしたいというふうに考えています。

 さらに考えますのは、こうしたプロセスがビジネスのスピードを阻害してはならないというふうに考えています。現在のデジタルのスピード、これは非常に速い。それは本当に皆様御理解のとおりですが、規制当局が真のビジネスをタイムリーに本当に理解し得るのか、そこには当然限界があるという実態を、やはり理解する必要があると思っています。

 先ほど御意見もありましたけれども、やはりビジネスの当事者側としても、こうしたリスク意識と説明責任を果たしていくという社会的意義、役割、期待ということも、一方でしっかり求めることも示していく必要があるのではないかというふうに思っています。これらにより、同じ活動、同じリスクに対する同じ規制といった、一貫性と公平な競争条件が確立していくものと考えています。

 今後、具体化のフェーズではこうした点をぜひとも期待しておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 それでは、ここでオンラインのほうで、岩下委員、お願いいたします。

【岩下委員】 
 ありがとうございます。ではまず、今回の報告書案全体について申し上げます。

 本ワーキング・グループの趣旨は、私なりの理解ですが、伝統的金融の周辺分野で行われている新しい取組、フィンテックを排除したり否定したりするのではなくて、自由な創意工夫をできる限り生かしつつ、金融のより大きな枠組みの中に包摂、つまりインクルードしていくというものであると考えています。今回の報告書案は、そうした新領域において、やみくもに既存の規制の範囲を拡大して同じ規制を課すということではなくて、その業務の内容やリスクを慎重に検討した上で、新たな金融の枠組みに組み入れるべき部分と、なお見極めを続けるべき部分とに分け、組み入れる部分についてもどのような規制を課すべきかということについて、慎重な検討をしています。その分類及び対応策に関する報告書の内容につきまして、賛同いたします。

 また、暗号資産関連についての報告書の後半の内容でございますが、これは伝統的金融とはかなり本質的に異なるものです。これを言わば古い金融に対する新しい金融と位置付けて、古いものを控え、新しいものをどんどん推進していこうという、そういう御意見は、私がお聞きした中でも聞かれなかったと思います。報告書もそういうふうには書かれていないと思います。

 ただ一方で、では、なぜこの分野についての記述を行うのかというと、現状を放置すればより深刻な問題が発生しかねず、それを回避するためには予防的措置が必要であるという視点があると思います。例えば、暗号資産仲介業の新設、こちらは所属制が有効に機能するか等いろいろ隘路はあるわけですが、さっき述べたような趣旨で取り組むべき課題であると考えます。この点で報告書案に示す方針を支持するものです。ステーブルコインに関する記述についても同様だと考えています。

 さて次に、今回特に論点となっているクロスボーダー収納代行の規制に関して述べさせて頂きます。私どもは新経連さんやFintech協会さんの御協力を得て、規制改革に取り組んだ経験がございます。このため今回の報告書案が過剰な規制となっていないかという視点で、改めて読ませて頂きました。しかし、この領域を原則自由とすべきであるというような御意見等を承りましたが、それについて私は若干異なる見解を持っております。国境を越えた取引というのは複数の国にまたがるため、問題が発生した場合の法的対応が複雑でございまして、単一の域内で完結する取引とは本質的に異なるものです。特に被害者が迅速かつ公平に補償を受けられるかどうかということについての視点は重要かと思います。

 これまでクロスボーダー収納代行が長年にわたり大きな問題を起こすことなく根づいてきたという御主張もございました。それは事実だと思いますが、実際には、例えば詐欺や二重払い、送金遅延といった問題が表面化してないだけなのかもしれませんし、また今後、取引規模がより拡大する中で、より深刻なトラブルが起こる可能性もございます。既存の仕組みの信頼性を過信してはいけないと思います。金融取引というものは規制によって信頼性を担保されて初めて市場参加者に受け入れられるものです。規制がなければ市場は不安定で不透明になります。特にクロスボーダー取引では不確実性が一層高まってしまいます。

 古い話ですが、戦後の国際金融システムが資金移動を厳格に管理してきたというのはよく知られていることですが、その背景には、急激な資本移動が国際金融の不安定を招くという、不安定化を招くということを防ぐという目的がありました。と同時に、犯罪や紛争への悪用防止といった目的も存在しました。特に冷戦終結後に9・11等とありましたので、その重要性が増したと考えられます。

 1980年代以降ということで、これまた古いですが、先進国において資本移動の規制の自由化が進みました。今、あたかも国際的な資金の移動というのは自由で当たり前という形になっていると思いますが、ただここで見逃してはいけないのは、それを担っている先進各国の伝統的金融機関は、AMLやCFTといった対応をかなり充実させているということです。特に最近、我が国の伝統的金融機関がAMLの対応をするに当たっては非常に大きなコストをかけていますが、それでも国際金融取引における信頼を確保するために必要なことと皆が認識してコストを負担しているわけです。これに対してクロスボーダー収納代行は、こうした信頼を構築する制度的基盤を欠いています。伝統的金融機関に課されている規制を考慮すれば、そういう基盤を欠いている者に無条件に高額な取引を認めるべきだというのは、やや不公平なのではないかと思います。

 もちろん規制は過剰であってはなりません。安全性とイノベーションのバランスを取ることが大事です。そのためには当然事業規模やリスクに応じた段階的な規制のアプローチが必要で、例えばリスクの低い取引には柔軟性を持たせつつ、リスクの高い取引には厳格な管理を適用するといった、そういう仕組みが大事です。取引の内容次第で、特に資金決済法を直接適用しなくても、AMLや消費者保護が図られるということであれば、そのような場合には適用を除外する仕組みを設けることで、過剰な規制を抑えることもできますし、今回そのような提案が報告書の中に書かれています。

 ただ、そういった仕組みが機能するためには、まず原則として、こういったクロスボーダーの収納代行が規制の対象となる、その結果、万一の場合に規制がある場合に迅速に対応できる手がかりをつくるとかということが前提となるわけであります。この原則的な規制の枠組みがあってこそ適用除外が合理的に機能して、市場の健全な発展と利用者保護のバランスを取ることができると考えておりますので、私は現在の報告書の内容で十分なのではないかと考えます。

 私からは以上です。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 それでは、杉浦委員、お願いします。杉浦委員、お話し頂けますでしょうか。ちょっと杉浦委員、うまくつながらないようですのでまた後にしまして、堀委員、お願いします。

【堀委員】 
 今回、報告書を大部にわたりお取りまとめ頂きまして、ありがとうございます。各委員からの発言につきましても非常に丁寧に取り入れて頂き、大変感謝申し上げます。私からは、3点申し上げたいというふうに思います。

 まず、7ページ目でございます。第一種資金移動業の滞留規制の緩和に関して丁寧におまとめ頂きました。基本的に異存がないところですが、7ページ目の6行目、7行目になりますが、「資金を移動する日」というのは「資金を移動する期限」の指定を認めることが考えられるという記載がございます。その後、なお書きで、「移動する資金の額」や「資金の移動先」については今までどおり具体的な指図がなされる必要があることに変わりはないという記載がございます。今回、クロスボーダーの収納代行のうち、一部が資金移動業、第一種資金移動業で営まれる可能性があることを踏まえると、代金取立てや、取立為替といった形態での為替取引が営まれる可能性が高いというふうに考えます。その場合、例えば、資金を移動する日は「受領した日から1か月」とするなど、確定日の記載を求めないというふうにすることも必要ではないかというふうに思います。また、受領金額はプラットフォーム等の手数料が差し引かれたり、為替レートによって確定金額がずれる可能性もあるというふうに思いますので、こちらの8行目から9行目の記載につきましては、ビジネスモデルに応じてどのような特定を行うかについて、認可審査の中で検討していくべきというような柔軟性を持った書き方のほうがよろしいのではないかと考えます。

 続いて2点目、クロスボーダーの収納代行についてでございます。10ページから11ページの記載の中で、「(3)金銭債権の発生原因の成立に関与しない者が行うクロスボーダー収納代行」というものを上げて頂きまして、現時点で為替取引規制が適用されるべきクロスボーダーの収納代行の類型としては、例えば、①から④というような形で例示を頂いております。私の認識するところ、実務においては、事後的に代理受領権の付与を受けた事業者が発行する銀行口座等の番号を受取人に伝え、受取人が支払人に伝えて、ここに代金を受領するというようなケースでございまして、そうした場合には、確かにどういうものが売られているのかということについて、事業者も確認ができないケースもありますし、支払人が受取人との関係で、何かリスクのあるものを支払ってしまったというケースがあると認識しております。

 しかしながら、例えば、EC決済の場面やQRコード決済の場面というのは、こうした悪用事例とは全く異なりまして、例えばカートに入ってから決済画面に遷移し、決済事業者の承認を経た上で決済が完了していくというようなフローや、また、インバウンドで旅行者の方が来るようなケースの場合には、端末の中でQRを読み取ったり、あるいは利用者側が持っている端末のほうのQRコードを読み取ってもらったりすることによって、決済事業者が売買契約の成立に不可欠な関与をしているケースだというふうに思いますので、悪用事例とは少し差があるのではないかというふうに考えております。

 また、③、④の幾つかガイダンスを書いて頂いているページですが、11ページ目の7行目から9行目、④について、「インバウンド旅行者の国内における決済がクレジットカードで行われる場合は」というふうに、リスク等の観点も踏まえて規制の要否が判断されるというふうに記載頂いておりますが、例えば中国系QRコード決済事業者の提供するQR決済を、日本国内でも加盟店に対して提供しているような事業者につきましては、決済代行会社のほうで、これはクレジットカード番号等取扱契約締結事業者の登録を経て、割賦販売法の下でこの業務を行っている。これは本国でクレジットカードが決済手段として紐づいているからということなんですけれども、こうした割販法の下でクレジットカード等の利用と同様に加盟店調査や加盟店管理が行われていたり、クレジットカード番号や個人情報の管理が行われたりしているということで、消費者保護上のリスクやオペレーション上のリスクなどに対して対峙しているといえると考えます。

 そうしたことで、11ページの8行目、クレジットカードで行われる場合と限定されているように読めるのですけれども、ここは必ずしも、国内での決済はクレジットカードとは別のコードで発行されているものが使われるというケースがございますけれども、そうしたものも含めまして、他法令による軽減措置も踏まえて規制の要否を判断頂くという形がよいのではないかというふうに考えます。

 いずれにしても、8ページ目で言及されておりますFSBの2024年12月の「クロスボーダー送金サービスを提供する銀行・ノンバンクの規制・監督に係る勧告:最終報告書」というのは、公表されたばかりというふうに認識しております。FSBの報告書の中でも決済エコシステムへのノンバンクの関与が増大し、有益なサービスを提供しているということは事実関係として言及されておりますし、PSPに不必要な規制、または監督の負担がかからないように注意する必要性があるというような言及もございます。こうしたFSBの報告も踏まえて、各国がどのような行為についてクロスボーダーの規制について、リスクに応じた検討をしていくのかどうかは様子を見る必要があり、また、国内で普及しているクロスボーダー収納代行の業務の内容や実態に照らして、今後検討していかれることを強く期待しているところでございます。

 最後に3点目なのですけれども、21ページ目のその他の論点のところで、「立替サービス」の貸付け該当性について言及頂いています。こちらについて9行目から14行目まで、また、15行目から20行目まで具体的に記載を頂いております。こちらについて、やはりこれだけの記載ですと、サービスを提供する事業者にとっての予測可能性を確保するとか、どのようなサービスが規制の下で営まなければいけないのか否かということが分かりづらいというふうに思います。こちらについても事業実態やサービス利用状況、利用者の不利益の存否等を把握した上でさらなる検討を進めて頂き、実際に監督を行っていくという視点についても、何らかの形で業界とよく御協議頂きながら進めて頂くということが必要だろうと思います。

 なお、22ページ目の脚注84に、たしか前回発言をさせて頂いた、貸金業法のみならず銀行法のあり方も含めた検討が必要であるという意見を載せて頂いたかと思いますが、もし可能であれば、ここは銀行法全体のあり方というふうに申し上げた趣旨ではなく、外国銀行支店の業務もアンバンドリング化されることがあるということから、外国銀行支店のうち貸付けのみを営む者、貸付けを営まず為替取引のみを営む者もいるということから、外国銀行支店のあり方について検討をお願いしたいという趣旨でございました。もし補足を頂ければ大変ありがたく存じます。

 また、脚注85につきましては、本文と照らし合わせてみますと、与信に係る規制のあり方について、「事業者から見た予見可能性が低下している状況に鑑み」というふうに書いて頂いている後にこの記載がございますけれども、貸金業法の規制が課されていない範囲についても将来的な、これは脱字でしょうか、規制の必要性を検討する必要があるとの意見だというふうに思うのですけれども、ここはちょっとこうした規制強化はあまり限定なく記載頂くと、事業者もどういうようなことが想定されているのかというのが分かりづらく、やや臆測を呼ぶところかなというふうに思いますので、もし、具体的な想定があれば記載頂くのはやむを得ないかと思うのですが、本ワーキングで規制が課されていない範囲についての規制の必要性ということについて論議が行われたという認識はあまりございませんでしたので、少し記載ぶりを御留意頂きたいと思いました。

 以上でございます。

【森下座長】 
 ありがとうございました。注の85は明らかに「規」が抜けていますので、ここは御修正頂ければと思います。ありがとうございます。

 それでは、杉浦委員、今度は大丈夫でしょうか。

【杉浦委員】 
 ありがとうございます。すみません、先ほどは失礼しました。

 まず、今回、短期間の間にこれだけの報告書をおまとめ頂きまして、どうもありがとうございました。また、どうも御苦労さまでした。

 今回、取り上げるテーマのかなりの部分が、一定のコンセンサスが皆様方の議論を通じて得られたのではないかというふうに考えております。1つ大きな局面からの感触を申し上げますと、これまで資金決済をめぐる法制度とか規制に関しては、どちらかというと新しいいろんなものが、イノベーションという言葉でよく語られたりしますけれども、登場してきたときにそれに追いつくために法制度整備が行われてきたという局面がありますけれども、その流れの中ではどちらかというと、規制緩和という流れで構成されてきたものが、いよいよいろんなタイプのものが登場してくることによって、少しずつ規制強化というか、規制のあり方についての議論、つまり緩和していくだけではなくて、むしろいろんな局面の中で規制を加えていかなきゃいけないという流れの方向に少し変わってきているという1つのステージの変化を体験、体感したのかなというふうに私は考えています。

 先ほどからいろいろと各委員の中から出てこられたお話の中で、とりわけクロスボーダーの収納代行の部分が話題になっているわけですけれども、法律面の側面では、神作委員や加藤委員、またリスクベースの部分では小川委員、また規制の考え方、つくり方については岩下委員が、それぞれ私が申し上げたかった部分の大半をもう語って頂いているので、そこを繰り返すのはやめたいというふうに思いますけれども、今回いろんな意見が出てきている中で、私自身もいろんな各業者の皆さん方とお話をする機会を得ることができました。その中でいうと、恐らく多くの業者の皆さん方が、報告書上、いろんな類型化されている中で、なかなかその類型にはまるのかはまらないのかという問題はもちろんありますけれども、現段階でも紹介いただいた仕組みのもの全て何も規制もなく、全て安全だというわけでは必ずしもなさそうだということだけはお話を通じて分かりました。ただ、多くの業者の皆さんが、逆にトラブルが比較的少ないないしはないというのは、実際のところ業者の皆さん方が、自主的に多くの努力をされているからということが実際的にはあり、実際そういう事例も教えて頂きました。

 そうなってくると、先ほど堀委員のお話にもありましたように、そこまでやっているのに、さらに今度新たな規制が一元的に登場してくるという形になれば、それに対するさらなるリーガルコストの上昇など、様々なものについて考えなければいけないということがやはり大きな脅威になっているんじゃないかというふうに考えるわけです。

 したがいまして、このワーキング・グループの中でも、既に幾度か議論されているわけですけれども、なかなかどれが丸でどれがバツかということについては、より深く議論がされていかなければいけないという部分かと思いますので、今回、方向性としては私はこの報告書の方向性に賛成でありますけれども、やはり丁寧な、そしてより実態の調査を踏まえた形での丸・バツの方向性をはっきりとつけていくというための丁寧なプロセスが必要なんじゃないかというふうに考えております。

 そしてあともう一つ、あまり問題にする部分ではありませんけれども、暗号資産に関連する事業実態を踏まえた規制のあり方の部分のところ、一方的には仲介業を開設して、そして所属制とかそういったものをつくることによって一定の規制を設け、そういった形の参入を認めるということ自体は私自身も賛成するところなんですけれども、私、今、韓国のソウル大学で研究しているわけですけれども、こちらなんかでそういった調査をしてると、やはり時々御意見としてというか感想として承ったりする部分があるのは、こういった形で事業者さんが入ってくることにより、よりこういった暗号資産とかそういったものが活発に使われる可能性はもちろんあって、そのこと自体が悪いことじゃないかもしれない。ただし、これまでの投機的な色彩を持ったものではなくて、より決済的なものに使われていくというのも1つの新しい利用の方向となっていくのかもしれない。

 しかし反面、やっぱり逆にこういったゲームアプリとかそういうところと関連することによって、利用者サイドからいうと、大きな被害が発生する原因になることも考えられ、実際、そのような事態が、韓国で過去に発生したこともあったようです。

 なので、私は今回この制度が出来上がることによって、しっかりしたモニタリングシステムを構築され、正しく暗号資産自体が使われる、むしろよいきっかけになるという形につながっていってほしいなということを強く希望しています。

 以上です。どうもありがとうございました。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 それでは、井上委員、お願いします。

【井上委員】 
 弁護士の井上です。発言の機会を頂きましてありがとうございます。

 今回、報告案の作成に当たり、議論の結果を適切にまとめてくださいまして、ありがとうございます。様々な意見に配慮頂いており、結論として、この案に賛成したいと思います。

 その上で、クロスボーダー収納代行と貸金業規制について1点ずつコメントしたいと思います。

 収納代行については、以前にも申し上げましたとおり、二重払いリスクが排除されているという意味における受領代理構成が準拠法上あるいは契約上明確であって、受領当事者が事業者である場合においては、国内収納代行であれクロスボーダー収納代行であれ、為替取引規制の全てを及ぼす必要性は乏しいと、なおも考えております。AML/CFTの観点からは、確かに国内の収納代行のリスクと違ってクロスボーダーについては放置できないところがあると思うのですけれども、クロスボーダー収納代行を扱っている事業者を犯収法上の特定事業者と指定するというやり方で規制すればよいのではないかと考えます。犯収法上の特定事業者として指定するだけでは、AML/CFTを守る体制を整備できないという御指摘も確かにあったのですけれども、そうだとすれば、それはまさに犯収法の不備であって、本来犯収法の改正によって対処すべきことであり、現在、金融業者以外の特定事業者による犯収法の遵守が穴になっているということだと思います。

 ただ、ここでの議論を通じまして、クロスボーダー収納代行について為替取引規制を広く及ぼすという立場を取りつつも、適切に適用除外を設けることとあわせて意見がまとまるのであれば、私としてはそれも1つのアプローチであって、賛成したいと思います。

 ただ、これも今回の議論を通じて再認識したことなのですけれども、為替取引という用語は、規制範囲を画する概念としてはもはや機能を失っていると言ってもいいように思います。今回の報告書のアプローチによりますと、結局、何を適用除外とするかというところで規制の範囲が決まることになりますから、今後、新しい支払いサービスを始めようとする企業を萎縮させずに、イノベーションを阻害しないようにするため、あるいは広く利用されている既存のサービスであって利用者保護あるいはAML/CFTの観点から問題ないものが立ち行かなくならないようにするために、この適用除外対象をできるだけ明確に類型化することにより予測可能性を確保するとともに、中にはそうはいっても該当性判断が悩ましい支払いサービスもあると思いますので、そういうサービスについて、当局がコンサルティング機能あるいはアドバイザリー機能を発揮してほしいと考えます。

 報告書案に即して申しますと、10ページの脚注の32、33のような観点、あるいは10ページ本文の③、④についての11ページ冒頭のような観点から、弊害を回避できると言えるものについては、規制の対象から外すことをある程度広く認めていくべきではないかと考えます。

 最後に、貸金業規制については、改正は先送りになりそうですけれども、与信ビジネスが高度化、多様化、デジタル化していることを踏まえますと、販売信用規制あるいは外国銀行規制と併せてビジネス実態を把握した上でオーバーレギュレーションあるいはアンダーレギュレーションが起こらないように、柔構造化をぜひ近い将来、目指して頂きたいと考えます。

 私からは以上です。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 それでは、伊藤委員、お願いします。

【伊藤委員】 
 ありがとうございます。弁護士の伊藤でございます。まずは報告書案全体につきまして、非常に多岐にわたる論点について、脚注含めて丁寧に意見を拾って頂きました。ありがとうございます。全体の方向性については、賛成でございます。

 私からは、2点、クロスボーダー収納代行と、立替サービスの点についてコメントを申し上げたいと思います。

 1点目、クロスボーダー収納代行についてです。クロスボーダー収納代行のうち、規制すべき理由があるものとそうでないもの、適用除外になり得るものというのを分けて線引きをしていくという方向性については、以前から賛成と申し上げているところで、また、報告書にも議論の経緯を丁寧に反映頂いていると思います。

 ただ、その議論の経緯についてですが、8ページ以降で、クロスボーダー収納代行全体の課題をまず挙げた上で、その後、様々な、それぞれ異なる理由による適用除外を個別に設定していったという経緯を丁寧に書いて頂き、その結果、規制の対象として残った部分が、10ページの①から④というような形になっています。規制の必要のあるところに規制を当てていくという議論の経緯からやむを得ない部分はあるのですけれども、対象の類型化がなかなか難しい、分かりづらいように思っております。

 この点、脚注の33でいろいろな委員の先生方の御意見を記載頂いているとおり、特に③、④について、また適用除外については様々な意見があったと記憶しております。特に③、④については、必ずしも③、④が、適用除外を除いた結果、こういう類型が例としてありますよというところまでは共通認識が得られていると思いますが、細かいところ、③、④のうちどのような業態、行為が適用対象なのかというところについては、まだ完全な共通認識が得られていないと思っています。この点、脚注の34で、④について事例を挙げて頂きましたが、もう少し細かい論点として、海外の決済手段の場合に、海外の決済手段発行者から、国内の店舗に至るまで、間に複数者が入っているケースにおいて、そのいずれかの者に他の法令の適用がある場合にどうなるのかといったような詳細については、まだ、この場では具体的な結論には至ってないのかなと感じております。

 そうした議論の経緯を踏まえて11ページの1行目、「また」以降で適用除外については、今後こういう例も含めて個別の取引対応や、ビジネスモデルに応じて判断されるべきものと考えられるという記載をして頂いたものと理解しております。

 初回から何度も申し上げているとおり、このように規制の対象が不明確になり、個別具体的な事例ごとに判断しなければならないような改正は、予測可能性の観点から、なるべく避けたいと考えておりますので、今後、特に③、④および適用除外になるのかならないのかという点については、具体的な事例も含めてできる限り対象の明確化をするような議論を丁寧にして頂いて、仮に個別事例の総合判断とならざるを得ない場合は、その判断要素を示して頂くなど、何らかの形でできるだけ具体化するような議論を今後、進めて頂ければと思っております。

 それを前提に、今回の報告書につきましては、1点だけ堀委員の御発言と同じ部分ですが、11ページの7行目から、「さらに上記④については、インバウンド…クレジットカードで行われる場合は、他法令によるリスク軽減措置等も踏まえて」というところについて、他法令によってカバーされる部分があるというのは、必ずしもクレジットカードで行われる場合だけではないかと思いますので、「クレジットカード等」とされるか、もしくはこの部分は削除頂くような形の修正を御検討頂けないかと思います。

 2点目は、21ページの立替サービスについてです。この論点は幅広く立替サービスといわれる業態を挙げて頂き、いろいろな議論をしたと記憶しております。その中で、いわゆるBNPLであるとか、BPSPと呼ばれる、売買契約とかなり密接に関連するような取引については、割賦販売法も含めた販売信用の領域で検討するのがなじむのではないかという意見が複数あったと記憶しております。そこで、報告書の中でも、そのような意見が複数あったという点、言及頂いたほうが、議論が正確に反映されるのではないかと思いました。御検討のほどお願いいたします。

 私からは以上です。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 それでは、河野委員、お待たせしました。お願いします。

【河野委員】 
 日本消費者協会の河野です。本ワーキングの取りまとめ案に関しまして特段の異論はなく、この内容での対応を進めて頂きたいと考えています。

 デジタル技術を活用した各種金融サービスの諸課題に対して、委員の皆様や参考人の方々からの専門的な御知見、御意見等を勘案した結果として、万全の策とは言えないまでも、現時点での最善の策だと受け止めています。

 確かに各検討課題の粒度が違っていて、既に問題が顕在化して対処が急がれるものなのか、サービス拡大の障害を取り除く提案なのか、グローバルでの整合性を担保するためなのかなど、課題の緊急性や重要度が一様ではなく、私のような一消費者としては、議論の本質について十分な理解ができているかどうか現在でも大変不安なところでございますけれども、当局が法改正や運用、解釈の整理を通して、情報技術の進化やフィンテック企業を含む異業種の金融参入などの環境変化に対して、利用者保護を含めて前向きであるということは十分理解し、納得できる議論だったというふうに思っています。

 クロスボーダー収納代行規制に対しては、事業者の皆様から、立法事実や根拠の提示等が不足していると御指摘頂いているわけですけれども、先進的で成長が見込めるビジネスに対する規制の判断というのは、トラブルの発生を待つことで遅きに失することがないようにという点が、消費者としては一番関心があるところです。今回の検討は、具体的なトラブル等がないとされるところでの整理であり、その効果を正しく予測することは難しいとは思いますが、こうした先見性を持って拡大するビジネスの動向をフォローして変化を捉える状況をつくっておくことで、不測の事態を回避できるのではないかと期待を持っています。

 また、今回の取りまとめは個別最適化にとどまっていますが、今後Web3などの社会実装が進む中で、多くの委員の方から御指摘のあったような貸金業法をはじめ、様々な法律の柔構造化や、関係する各種法律の法益の整理など、アナログからデジタルへの移行に伴う検討も開始して頂きたいというふうに思っているところです。

 最後、消費者はこうした利便性に着目したデジタル金融サービスをメリットとして享受していますが、同時に、背後に潜むリスクも引き受けざるを得ない状況にもあるため、安心して便利な金融サービスを利用できるように、利用者への適宜適切な情報提供や、時代に即した金融教育等に一層力を入れて頂き、社会全体の金融リテラシー向上への取組を着実に進めて頂ければと思っているところでございます。

 私からは以上です。ありがとうございました。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 これで委員の皆様からは、一通り御意見を頂いたかと思います。

 それでは、ここでオブザーバーの方から御意見をお伺いしたいと思いますけれども、もし御発言御希望でしたら、チャットでお伝えください。それでは、新経済連盟様、お願いいたします。

【新経済連盟】 
 新経済連盟の片岡です。発言の機会を頂きありがとうございます。私は資料3として掲載頂いております意見書を基に意見を申し上げたいと思います。少し長くなってしまうかもしれないんですけれども、なるべく早く話したいと思います。

 今回、報告書案はいろいろな論点が含まれておりますけれども、特にクロスボーダー収納代行について大きな懸念を抱いております。今の報告書案のままでは、今まで問題なく運用されて経済活動を支えてきた決済関連、例えば、コンビニ、飲食店、デパート、百貨店、スーパー、商業施設等でのインバウンド向け○○ペイ決済といったものや、国内ECにおける海外ユーザーによる決済、あるいは海外ECでの日本のユーザーのお買物というものが事実上できなくなってしまう可能性があるという、とても大きな影響を及ぼすものであるということで危惧を抱いております。

 「はじめに」というところで書いてあるのは、世の中の決済は、eコマース分野も店頭決済の分野も、クレジットカードに限らず複数の支払方法について、取引や決済に関わる多くの事業者の創意工夫によって、より便利に、より効率的に、より安全に、より低コストでデジタルを活用しつつ行われるようになっているということです。これは今、経済活動を支える重要な役割を果たしておりまして、先ほど委員の先生からもありましたけれども、自主的な取組ですとか創意工夫によって、今まで大きな問題を起こすことなく運用されてきています。これは、売主と買主が国内で完結していても、どちらかが海外にいても基本的に同じ仕組みであるとともに、これまで長年にわたって大きな問題を起こすことなく決済のエコシステムとして根づいている仕組みです。

 2番目の本規制の必要性を裏づける根拠や実態把握・影響把握の不足という点についてです。クロスボーダー決済が国内決済と同様の仕組みで運用されていると今申し上げましたが、これらEC決済やコード決済について、売主か買主のどちらかが海外にいるというだけの理由で、今決済のエコシステムの中に複数存在する事業者の既存のビジネスを、新たに現行法上の資金移動業に無理やり当てはめて規制するという案については、立法事実も具体的根拠も示されておりませんし、対処すべきリスクの把握や実態把握もまだまだ不足しております。この考え方に基づいて、3番目に今回の報告書案に関する意見を書いております。

 まずは拙速に結論を出すべきではないと思っております。対処すべきリスクの明確化、それから実務実態の調査も影響把握も今のところ不十分なので、これらをしっかりした上で、定義や具体的な実務に照らした考え方を、今の曖昧なまま決めるのではなく、改めてきちんと考える必要があると思います。今の曖昧な状態で、海外EC決済とかインバウンド向けコード決済を規制する方向性を記載することには強く反対いたします。

 例えば、細かいことは後で決めますということで、大ざっぱに規制の方向性だけを決めて、先に法律改正をして、詳細は後からというやり方も、当然ながら強く反対します。後ほど具体的な修文案をまとめたいと思います。

 4番目に、検討に当たっての疑問点ということで、すごく細かい質問を出しています。細かいのですけれども、考え方を示すのに結構重要なことが含まれています。特に先ほど申し上げたeコマースとか店頭決済というのは、基本的に加盟店、そして決済代行事業者、あるいはPSP、あるいは収納代行業者とアクワイアラに該当するような事業者、その先に決済サービスを提供する事業者、その間にまた収納代行業者が入っていたりして、海外が関わる場合には、その1セットみたいなものがまた海外にあるというような感じで運用されています。そのところ、今回の規制対象となるクロスボーダー収納代行業者がどの事業者を指すのかが不明確です。どの事業者が規制対象なのかがはっきりしていないのはかなり重大な問題だと思います。

 除外要件でいろいろ書いていただいていますが、例えば、イシュアとアクワイアラ間の清算を除くとか、ECプラットフォームが債権の発生原因の成立に関与しているから除くといっても、同じEC取引の決済の中で、ほかに収納代行業者が存在しているケースが多いです。このため、イシュアやアクワイアラやECプラットフォームから加盟店までの間、イシュアやアクワイアラやECプラットフォームの先にいるPSPや収納代行業者の規制対象の適否をどう判断するのか、これが分からないと影響も分かりませんので、かなり重要な問題だと思っております。

 それから、今申し上げたのは契約関係に関するQ2の点ですが、それ以外にも、例えばQ7に書いてあるように、金銭債権の発生原因の成立に関与しているということがどのような観点でリスクが少ないと評価されるのか。基本的な観点がわからないと、これが関与しているのかしてないのか、という判断ができないので、そこをまずしっかり考える必要があると思います。

 それから、Q13に、仮に資金移動業に該当した場合の具体的な義務内容というのが書いてあります。後払い決済に限らず、最終的にユーザーから支払われるよりも、立替によって加盟店に支払われるほうが早いという場合も多いですが、このときの未達債務の発生と消滅をどう考えるのか、履行保証というのはどう考えるか。決済手段によってこれらの点は変わってくるはずですが、はっきりしません。このように実務への影響が計り知れない上によく分からないという状態になっております。

 この観点で、具体的に報告書案をこう直すべきだというところで申し上げたいと思います。報告書案の10ページの(3)の「金銭債権の発生原因の成立に関与しない者が行うクロスボーダー収納代行については」の後に、「銀行や資金移動業者が行うクロスボーダー送金と同様の機能を果たしていると考えられ、基本的には、為替取引規制を適用すべきであると考えられる」とありますが、これについては反対です。先ほどいろいろな先生方からもありましたけれども、ここに規制適用に関する観点を書くべきだと思っています。具体的には、「金銭債権の債権者から収納代行の行為者に対して代理受領権が適切に付与されているか、マネロンやテロ資金供与対策が適切になされているか、仲介者の存在は受取人の資金回収の確実性やセキュリティ等の安全性に寄与しているか、国内においてこれまでに社会的・経済的に重要な問題とされるような被害が発生しているか、といった観点から、既存の事業者などステークホルダーの協力を得て実態把握を行い、リスク評価をした上で、現行の為替取引規制を適用すべきかどうか慎重に検討」として頂きたいと思います。

 それから、その下、(ア)、(イ)とありますけれども、ここも他の先生方からもありましたが、(イ)の他法令が規律する分野のところで、括弧内に「クレジットカードのイシュア・アクワイアラ間の清算業務等」とありますが、ここは「イシュア・アクワイアラ・加盟店間の清算」として頂きたいのと、それから、クレジットカードに限らないと思いますので、例えば、「電子マネーの発行業者、加盟店獲得業者、加盟店間の清算業務等」という、今、広く普通に問題なく行われているものについて、かつ他法令が規律するものについては入るようにして頂きたいと思います。

 それから、その下に①から④まで書いて頂いていますが、③と④をここに書くことについては明確に反対いたします。削除すべきだと思っています。もしくは、例えば③、④を一緒にして、「EC取引や店頭取引において売主である加盟店とのEC取引や店頭取引に関連する契約関係がなく、データ連携も伴わずに資金の収受だけに関わる収納代行」といったような、①、②類似のものが該当するようなものにして頂きたいと思っています。

 それから、その下に脚注で34がありますけれども、こちらについても広過ぎる概念が書かれておりますので削除すべきだと思います。

 最後に、経産省さんが本日、出席されていると思います。これまで、経産省さん含めた省庁と民間事業者が、できるだけ手数料を抑えてなおかつ安全にということでインバウンドの決済、キャッシュレス推進をしてきました。ところが、このクロスボーダー収納代行規制によって、このままだと本当にインバウンド向けの○○ペイ決済が事実上できなくなる恐れがあると思っています。このことについて経産省様はどう受けとめていらっしゃるのか伺えればと思っております。

 以上です。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 一通りオブザーバーの方の御意見をお伺いしたいと思いますので、次に、それでは、Fintech協会様、お願いします。

【Fintech協会】 
 ありがとうございます。そうしましたら、Fintech協会の落合のほうから説明をさせて頂きます。Fintech協会のほうからも意見書を出させて頂いておりますので、投影を頂ければと思っております。ありがとうございます。詳細については、意見書を出させて頂いておりますので、詳細をそのまま読み上げるというよりかはその内容を踏まえながら発言をさせて頂きたいと思っております。

 まず、1つ目が、本日も多く議論になっておりますクロスボーダー収納代行についてです。こちらにつきましては、やはりまずリスクに関する整理というのが一番重要なポイントではないかと考えてございます。第4回の事務局説明資料や、第6回の説明資料に加えて、今回、報告書案において、オンラインカジノ、出資詐欺等の違法行為への言及がされていることについては、対処すべきリスクの観点として非常に重要と思っております。

 また、今回の報告書案の中で申しますと、リスクに関する記載が「見直しの内容」、8ページの2番のところに記載をして頂いております。ここではクロスボーダーの資金移動が収納代行の形で行われることで、違法行為につながる取引がされるおそれや、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与のおそれ、国内の支払人、受取人が保護されないおそれがあることを踏まえるということを書いて頂いております。その前の部分でもリスクについては触れて頂いていますが、今回の議論の経緯を踏まえると、まさしくこの箇所等の部分がより重要なリスクを示しており、資金移動業の適用か否かについては、この点を主に捉えて議論をして頂くことが重要なのではないかと思っております。

 bのほうで書かせて頂いているのは、それ以外の個人情報であったりですとか、そういったところセットとして、そういったリスクに対応していくことも重要ではございますが、主たる規制の適用のトリガーになる部分は、cでも書かせて頂いたような、やはりオンラインカジノ、出資詐欺等の分野であったりですとか、場合によって、利用者保護は図られない可能性があるということにあると考えます。それと、得られる利益と比較した場合に、リスクへの対応方法としても比例性があることが必要ではないかと思います。

 ただ、一方で、国内の収納代行について議論されたところもございますが、リスクの低減や、エスクロー機能等による詐欺防止が果たされるといったメリットが生じる場面も少なくないことを比較考量することは、重要ではないかと思っております。

 次のページをお願いいたします。2の項目では、国内と海外の収納代行に関するイコールフッティングについて述べさせて頂いております。この部分については、金融安定理事会(FSB)のクロスボーダー送金に関する議論の中でも、同じ活動、同じリスクには同じ規制を適用するという原則が示されていたと認識しております。また、FSBでの勧告につきましては、必ずしも先進国だけではなくて様々な国も含めて議論をしている中で、日本がもともと一定のリスクに対応できないような国内法制を採っていたのかというと、必ずしもそうではない部分が大きかったとは思いますので、そういった点も考慮して頂くことは重要ではないかと思っております。

 この点、遡って前回の議論に戻りました2019年12月の金融審議会報告書の中では、本日も触れて頂いた先生もおられましたが、債権者が国・地方公共団体または事業者であって、債務者に二重支払いの危険がないことが契約上明らかである場合については必ずしも規制をしないということになっております。仮にクロスボーダーに関する部分であるということで二重支払いの部分を、どう危険がないとできるのかという論点はあるかもしれませんが、この点が確認できるような措置が取られていれば、国内外の同一リスクということで、特に債権者が事業者であるような場合について、また別途考慮する余地があるとも考えられます。少なくともここは、二重支払いリスクが論点であり、国内での議論との整合性を取るという意味では、1つ報告書の中でも御検討頂きたい項目だと考えております。

 続きまして、2番の少し下にまいりまして、クロスボーダー収納代行に関する規制対象者や行為の特定についてです。全般的にまず申しますと、やはり規制に関する柔構造化、これは与信に関する部分は今後検討されるということが報告書案にも示されてございますが、一方で、様々な分野でこれまで金融審議会の中で議論がされてきたと思っております。例えば、電子決済等代行事業者などは、実際は高額の送金もできるような、そういう行為が認められておりますが、これは銀行が多くの役割を担う中で、必ずしも資金移動業よりも厳しくない規制の中で事業ができる形になっており、こういった事例も既に存在するところと思っております。翻って、収納代行事業者というのも、本来的に資金移動業者としての規制をフルセットで受ける必要があるのかどうか、これ自体考えていく余地はあるのではないかと思います。いわゆる割販法であれば加盟店管理、一般的な金融法制であれば外部委託先管理などをしっかり強化をしていくとか、その中の要件を定めていく中でできることもあるのではないかということは、全体的に法制度の中でモニタリングや、行為の禁止を定めたり、また、ライセンスを有する事業者を経由することによって、一定の制裁を受けるような仕組みにすることもできるだろうと思っております。そういった意味では、必ずしもゼロか1のリスク評価だけではなく、そういった見方で対応していけるような場合もあるのではないか、と考えております。その中で、国内外ともにそもそも銀行や、資金移動業に類するような主体がスキームに参加しており、その規制対象事業者により委託先管理等が行われるような場合については、必ずしも規制対象にする必要がないように考えられます。

 また、こういった規制事業者が関与している場合については、その事業者を通じて、AML、もしくはオンラインカジノ、詐欺等の行為に関するスクリーニングを行うことも可能になるかと思いますので、そういった点も考慮して頂くことが重要ではないかと思います。

 下のエスクロー機能の評価についてで申しますと、こちらについては国内での収納代行との議論の比較となるかと思っております。この中では、オンライン・プラットフォームや委託販売だけに限らず、様々なサービスの提供や、マッチングプラットフォーム、こういったことを行っている場合についても含まれるように、考慮して頂くことが重要ではないかと思っております。次のページをお願いいたします。

 インバウンド旅行者向けの収納代行につきましては、特に本日も議論になっていた部分ではございますが、必ずしもインバウンド旅行者による海外のQR決済の利用等について、マネー・ローンダリングや、詐欺等の不正リスクが高まっているという点については、必ずしも事実としては示されていないように思っております。こういった国内の収納代行業者に対して支払いを行う頻度というのは、国内のQR決済事業者が国内の収納代行事業者に支払いを行う頻度よりも大きい場合もあり、送金遅延のリスクというのも軽減されているようにも思われます。また、国内の消費にも大きく寄与している部分もございますし、実務上の大きい問題は生じていないのではないかとも思います。

 特に海外における、規制事業主の送金規制等の対応をされている事業者が、決済手段の発行事業者であるような場合などには、そういったことを考慮して、資金移動業の規制対応コストは非常に大きいと捉えられるところもございますので、そういった中で、決済サービスの取扱いを継続される事例を残していくことや、決済手数料の転嫁といったようなことに、加盟店側への転嫁にもつながらないように御検討頂きたいと思っております。

 その下のその他の部分でございますが、その他の部分として書かせて頂いているのは、本報告書案の中で、他法令が規律するような分野における主体や行為で、クロスボーダー収納代行を実施することが想定されているものについて、為替取引規制を適用する必要性が高くないとするものについては、法令において一定の体制整備や行為義務等が課されることでリスク低減がされていて、規制対象とする必要がないためだと思われます。この例示として、クレジットカードのイシュア・アクワイアラ間の清算業務が挙げられておりますが、クレジットカード取引に関する海外から国内への資金移動業に関しては、国内のアクワイアラは割販法上のクレジットカード番号等取扱契約締結事業者として規制も受けているということで、規制の対象外になるべきということは、報告書案でも認めて頂いているように考えております。次のページをお願いいたします。

 幾つか条文を示させて頂きましたが、そういった根拠に基づいて国内のアクワイアラが規定対象外になるということでしたら、実質的に同一の法令によって、その内容が規制されていると評価できるようなインバウンドの旅行者向けの国内収納代行事業者についても、規制対象外とされるべきとも思われます。これは2つほど述べている観点とはまた別ではあるとは思っておりまして、一部のインバウンド旅行者向けのQR決済については、国内の収納代行事業者が国内のアクワイアラとして、割賦販売法にクレジットカード番号等取扱契約締結事業者として登録して規制に服している、という点がございます。このスキームについては、海外の利用者のファンドニーズか、クレジットカードかそれ以外であるかの違いを取引的に峻別することが困難であるということがあるので、実質的に全ての業務について、割賦販売法の規制を遵守する方向で対応されているとも見受けられます。こういった決済スキームのような場合は、クレジットカードをファンドソースとするような場合と同様に、クロスボーダー収納代行に関するリスクについての手当てがなされている、と評価するべきではないかと考えております。

 続きまして、その他の論点についてです。資金移動業の見直しについては、これは特に破綻時における利用者資金の返還方法を多様化して頂いた点については、特にこの方針に賛成をするものです。選択的に認めて頂いたことが非常によい方針だと思っております。

 しかしながら、既に審議会でも何度も議論されてきておりましたが、やはり実務的に関係者が無理なく参加できるような仕組みをつくっていって頂くことが、より重要ではないかと思います。また、新しい手法を導入する際には、報告書の中でも一部触れて頂いた部分もありますが、デジタル払い規制との関係に当たっても、デジタル賃金払いの規制の関係においても、二重の保証要件が生じないよう、厚労省にもぜひ御説明をお願いしたいと思っております。

 高額移転型前払式支払手段についても、本人確認義務が課されているということからすると、特に新しい手法が認められないとする理由はないように思われます。次のページをお願いいたします。

 滞留規制の緩和についてです。滞留規制の緩和については、最長2か月という程度が示されたことや、具体性の程度について、資金を移動する期限の指定を認める方向性が示されたことについて反映させて頂きたいと思っております。資金の滞留期間の延長の条件となる早期返還の体制、高い確実性をもって返還する体制については、必要性は理解するところがございますが、利用者の口座情報の把握であったり最新性を保つためには、利用者の協力が不可欠でして、特に資金移動業者が規約等で利用者に協力を求めるといった義務を整備する等、情報の把握や管理の範囲は合理的なものにとどめて頂くことが重要と考えております。高い確実性をもって返還する体制については、事業内容やリスクに応じたスキームを資金移動業者や保証機関等において工夫するべき余地を残すべきように思いますので、例えばというような記載を字義通りに捉えて、今回示された3つの措置以外の方法についても、許容される余地を残しておいて頂きたいと考えております。

 前払式支払手段の寄附の利用については、寄附を行っている方の個人での平均値は2万9,449円、1世帯での平均値は4万2,880円ですので、こういった点を踏まえて年間5万円以下という設定についても御検討頂きたいと思っております。

 最後にその他の論点ですが、立替サービスについて述べさせて頂いています。一律の基準で判断することは困難ということで、一定の判断枠組みを示した上で、各立替サービスの個別具体的な事情を総合的に考慮して、実質的に判断することが適切であると結論づけられたことは適切であると考えております。

 他方で、今後、立替サービスを個別具体的に判断する際には、割販法等の他法令での取扱いの整備の状況や立替の枠組み全体を評価して、とりわけ中小・零細企業の資金繰りや業務効率化に資するサービスの芽を摘むことがないように、貸金業のみならず資金決済法、金融庁所管法令に関する該当性について、総合的に判断して頂くことが重要と考えます。

 こういった様々な種類の立替サービスの実態を踏まえて、実質的判断を行うためには事業の実態把握が重要であり、今後も当協会、他の関係業界と十分な議論で整備を進めて頂きたいと思っております。

 最後に、貸金業法の柔構造化については、今後議論を実施される場合には事業者に与える影響が大きいと想定されるので、協会としても強い関心を持っておりますが、利用者保護とイノベーションのバランスを取った議論をお願いしたいと考えております。

 以上でございます。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 予定の時間にはなっております。クリスマスイブなのに大変恐縮なのですが、多少延長させて頂きまして、それでは、全国銀行協会様、よろしくお願いします。

【全国銀行協会】 
 ありがとうございます。三井住友銀行の安地ございます。広範な論点に亘って、取りまとめ頂きありがとうございました。敬意を表したいと思います。今後、関連の法改正や施行規則の策定があると思いますので、引き続き議論させて頂ければと思います。

 1点だけ気になっている箇所があり、11ページの7行目あたりについてでしたが、複数の先生からコメントがあったものと全く同じ意見でございます。

 私からは以上でございます。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 今、オブザーバーの方々から御意見を頂きました。その中で御質問、御意見などもあったかと思いますので、可能な範囲で事務局よりお答えを頂けますでしょうか。その後、もしよろしければ委員の皆さんから、全体を踏まえて、オブザーバーの御意見なども踏まえて御発言があればお伺いしたいと思います。

【久永デジタル・分散型金融企画室長】  新経済連盟様とFintech協会様から、特にクロスボーダーの収納代行の部分について御意見を頂いておりまして、新経済連盟様からは御質問も頂いていると承知をしております。全ての質問について御回答するのは、時間の関係もあり差し控えさせて頂きますが、主な御質問について御回答させて頂きます。

 まず、御質問中で、Q15は今回の規制の御提案の背景を御質問頂いていると理解をしております。具体的な問題となった事例を教えてくださいという御質問でございますが、国内で重大な消費者被害等の問題が生じたために、今回の規制を検討しているということではございません。実態として、銀行や資金移動業者が行う為替取引と同等の行為を行っているか否か、そういった行為がFSBによる勧告でも指摘されているリスク等に適切に対応する形で行われているか否かといった点を総合的に勘案して、規制の必要性について、フォワードルッキングな形で御議論頂いていると考えております。この点は、今日の御議論でも多くの委員から御指摘頂いたところと思っております。

 Q6、誰が対象となるのかという御質問がございました。①から⑥まで列挙頂きまして、この中で誰が規制対象となるかという御質問を頂いております。具体的なスキームの内容や行為者間の合意事項、行為態様によって結論は異なり得るものでございますが、例えばこの中で、③の国内コード決済サービス提供業者が、①の店舗(加盟店)から代理受領権限を付与されて、④の海外決済代行業者から売上代金を回収した後に、②の決済代行業者(アクワイアラ)を通じて①の店舗に移動させるような場合には、基本的には③の事業者が規制対象になると考えられます。このときのベースとなる考え方は、第6回の資料の11ページにお示ししたとおりでございます。

 それに関連するところとして、Q3がございます。複数いるケースで誰が規制の対象となるかは、今申し上げたとおりでございます。1つの売買契約に関する決済で2以上の資金移動業者たるクロスボーダー収納代行業者が存在するケースはありますかということでございます。理論上は、そういった規制対象となるクロスボーダー収納代行業者が2以上存在する場合も考えられるところではございます。ただ、無用な規制の重複を排除するという考え方の下で、国内において主要な役割を果たす者がいるのであれば、その者にのみ規制が及ぶように、必要に応じて今後、府令等の検討をしていきたいと考えております。

 Fintech協会様の御意見の中で、前払式支払手段の寄附での利用というところで、5ページのcのⅱというところですけれども、平均値が2万9,449円とか4万2,880円と御指摘頂いておりますが、中央値で見ますと同じデータソースから、個人は4,500円、世帯が7,000円というデータが出てまいります。平均値ですと、どうしても高額の寄附をされる方に引っ張られる部分もあると思いますので、中央値で見るのが妥当ではないかと考えているところでございます。

 以上でございます。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 いかがでしょうか。委員の皆様のほうから、何か今のやり取りも踏まえて御発言の御希望がありますでしょうか。小川委員、お願いします。

【小川委員】 
 どうもありがとうございます。貴重な御意見だと思っております。先ほど報告書に対して少し私のほうからもコメントさせて頂きましたけれども、リスクを明確にして、十分かつ必要な規制を整備していくといった点については、意見は一致しているのかと思っています。

 また、先ほどFintech協会落合先生からもお話し頂戴しましたように、今回の報告書の8ページに記載の基本的な見直しの内容・方針、それから、今、久永室長からもお話がありました、報告書の11ページの規制の要否の判断といったところに、国としての基本的な枠組み、そういったことが明記されたということは、非常に意義があると考えています。

 1点最後に、リスクとは何かといったところを少し補足したいと考えています。私も監査実務の経験を通し、詐欺、不正、犯罪、そういったものというのが起きるとき、限りなく正当な取引に偽装されています。さらにこうした犯罪は、特にデジタルの進化で、国際的に確実に分業化が進んでいる。分業化により、個々の事象が大丈夫だからといった判断では、全体が判断し切れないといったことが起きています。

 過去の事例で、ロマンス詐欺の事象を少しお話ししたいと思いますが、被害者は、加害者の要請に従って、洋服の生地を高額で、当該代金を海外に複数送金され、さらにその先に送金が繰り返される。結果的に被害総額は1億近く達したケースもありました。そのほか、海外の絵画を高額で買い取り、その代金を海外に送金する。その後、海外の売買が繰り返され、最終的にロンダリングされた資金が目的国まで越境し資金が移動される、そういったような実態が起きている。なので、今回クロスボーダーといったところでは、やはり国内だけで考えているだけでは想定できないような、想像を絶するようなリスクがやはり潜在的にあるということです。

 性善説、性悪説という言葉があります。今まで、どちらかというと性善説で、一定程度の経済合理性という名の下で判断してきました。が、現在、それ以上のことが実際に起こっており、性悪説でのリスク識別が必要となってきているといった実態、これを理解する必要があると思っています。

 また、リスクベース・アプローチについてですが、顕在化された過去にすでに起こったリスクだけではなくて、むしろ氷山の海の下に潜っている潜在的なリスクを、いかに識別し、評価するかということが、極めて重要になります。

 さらに、リスクの重要性に関する評価のプロセスについてですが、どの程度起こる可能性があるのかといった確率性と、起きた場合のインパクトで考えますが、そんなに起きないだろうから大丈夫といった話だけではなく、起きた場合に甚大な損害を被るケースや市場全体の信頼を損なうケースなど、やはり定性的要素としてしっかり評価する必要がある。なので、やはりそういったところを1個ずつきっちりと分析していくということは重要かと思っています。

 これらを実現するために、最も重要なのは、いくらこうしたリスクベース・アプローチを構築したとしても、情報の把握に根本的に大きな穴がある場合には、そもそもリスクベース・アプローチのテーブルに乗らないという点です。しっかり可能な限り状況を把握する機能が非常に重要だと考えています。

 先ほども申しましたが、今回の報告書をベースに、今後具体化されていくと思います。国として守るべき利益と国民の安全、同時に国として一定程度リスクを享受してでも成長を促そうといった判断も合わせて、是非、明確に進めていただきたいと願っています。他の法律でカバーされておりリスクが低減されている点もしっかり考慮していただき、一貫性を持った公平な競争条件の確立をお願いできたらと思います。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 河野委員、お願いします。

【河野委員】 
 ありがとうございます。今、事業者の皆様から、ビジネスの現場の声として、問題点について御指摘頂いたわけですけれども、消費者の認識としては、今回の整備に関しては迅速に対処するということにこそ意義があると受け止めていますので、まずは着手することを優先して頂ければと思います。フィンテックというフィールドでの技術進化と、それを活用した各種サービスの広がりは目を見張るものがあり、関係者間で自主的に健全な取組を進めているということを否定するわけでは全くございませんが、他方、複雑化・重層化している事業実態に対処するためには、既存の規制のやり方では後手に回ってしまう状況にあることも認識しています。

 2024年度の金融行政方針に、「国内外の経済社会の構造上の変化や不確実性の高まりを展望し、金融行政の施策・手法を不断に見直し、改革を迅速に進める」という記述がありましたけれども、まずは今回の整理等取りまとめによって、当局の目の届く範囲が広がって、この分野の事業実態を把握できるという点を尊重して頂き、併せて当然のことながら、ビジネス自体の、ビジネスの動向にも配慮した仕組みとなるように、事業者団体の皆様ともコミュニケーションを取って頂いて、この制度をブラッシュアップしていって頂ければというふうに思っています。

 以上です。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 岩下委員、お願いします。

【岩下委員】 
 ありがとうございます。新経連さん及びFintech協会さんの御説明を改めてお聞きした上で、コメント申し上げたいと思います。

 新経連さんがおっしゃる問題の本質というのは、現代の各種のいわゆるキャッシュレスペイメントシステムを、クロスボーダーで利用できる仕組みというのが様々な事業者の工夫によって実現されていると。それらは、そうした取引が資金決済法の規制の対象になることを想定しておらず、基本的に自由な取引が行われるという前提で進められて、これまでビジネスが構築されてきたと。そこに新たな規制が入るということに伴って、これまでサービスされてきたものが提供されなくなってしまうのが大きな問題ではないかという御指摘であるというふうに理解しました。

 基本的に利用者が店頭、例えばコンビニで様々なキャッシュレス決済システムやクレジットカードシステムを利用するという事例は多々あるわけです。取引した後でその後どうなるか、いわゆるアフター・ザ・トレードとよく言いますけど、そこの部分については、実は多くの人たちは知らないというか、ブラックボックス化されているので、これが例えば銀行の取引であれば、全銀ネットで送金されて云々というところについての知識はありますけれども、キャッシュレスペイメントのバックオフィスの仕組みというのは、かなり複雑になっていて、その実態がそれほど詳しく知られてはいない。私も関係図書等読んで勉強はしておりますけれども、かなり複雑な仕組みになっているということは了知しています。

 ただ、根底は多分クレジットカード取引がこの種のビジネスのモデルになっていて、クレジットカードの仕組みというものが、特に銀行の取引のような形には規制されていない。まさに今日の議論にあった割販法が、特にマンスリークリアのところを規制しているとは私は全然読めませんが、いずれにせよクレジットカード業界は経産省の所管であるというふうに、どうも1984年ぐらいに決まったらしいので、その結果として、今そういうルールになっているわけです。ただこれ、クロスボーダーでなぜクレジットカードが40年にわたって無事使えてきたかといえば、それは国際クレジットカードブランドが機能してきたからです。国際クレジットカードブランドというのは、基本的にアメリカ東海岸の銀行がつくったものであって、世界的に見るとクレジットカードのイシュアもアクワイアラも、どちらも多くの場合、銀行なんです。ですから、日本の国内でクレジットカード会社が存在して、クレジットカードがあたかも銀行とは関係ないように見えていても、クロスボーダーになると相手は銀行なので、基本的には国際的に大きな問題が発生してこなかったのであろうと、そのように理解をしております。

 方々、いわゆる◯◯ペイと先ほどおっしゃったキャッシュレス決済というのは、中国などでは2013年ぐらいから拡大し、日本の国内では多分2017年ぐらいからようやく始まった。今では多分ペイペイが寡占になっていると思いますけれども、新しい決済システムです。これらのバックオフィスにおいて、特にクロスボーダーで使う場合については、クレジットカード国際ブランドの仕組みと同じものが働いてはいないように私には見えます。このバックオフィスが民間業者の創意工夫によってこれまで立派に行われてきたという、それは分かるんですけれども、そこについて何がしかの制度的な根拠というのは要らないんですかということでしょう。

 現在は立派に運営されているとして、何がしかの形で規制のラインを置くとか、適用を除外するとか、そもそもどういうルールの形での規制をするかというのをこれから議論していきましょうという話だと私は思います。ただそうはいっても、もし万が一問題があった場合のことを考えれば、今現在、他のルールで満たされていない部分については、新しいルールで律することができるような足がかりをつくるということは決して悪いことではないし、それによって直ちに業務が止まってしまうかどうか、それは事業者さんの考え方次第だと思います。

 ちなみに、国際的なキャッシュレス決済で有名な企業としてペイパルが挙げられます。ペイパルは日本で資金決済法が適用されることとなった直後に日本を撤退しました。では、その結果、日本のキャッシュレス決済なり、インターネット決済が、大きく遅延したかというと私はそうは思えませんし、現に今、ペイパルは日本に戻ってきています。どのようなルールで国際的な取引、あるいは越境クロスボーダー取引を律するかというのは、おっしゃるように難しいものがいろいろあるので、それはこれから議論していきましょう。ただ議論するにしてもやっぱり全てが自由だという前提ではなくて、当然国内で同じような業務をやっている人が規制されているのであれば、そこにも規制のルールは一旦課しましょうと。その上で、これこれこうだから、こういうルールを適用しましょうという議論をするべきなのではないかと私は考えます。

 私からは以上です。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 長内委員、お願いします。

【長内委員】 
 事業者の懸念というのは個人的にも改めて分かったということで、1点だけ、私のコメントでも触れたインバウンド旅行のコード決済のところです。事業者の方からすると、これまでインバウンドで利用されている、何とかペイが使いにくくなるんじゃないかという話だったと思います。しかし、金融庁の説明によると、これは資料3の3ページ目のQ6への回答ですけれども、むしろ比較的シンプルな形となっています。ただ個人的に問題と考えているのが、こちらのQ6では海外の事業者側も規制対象になるんじゃないかという設問になっており、いわゆる実態の認識にミスマッチ的な状況があります。そのため、やっぱりもう少し事業者側と金融庁の間でコミュニケーションをしっかり取っておく必要があると考えます。具体的には、本来、これまでの議論であれば、Q6の回答候補に「④海外決済代行業者」と「⑤海外決済サービス提供事業者」はそもそも入ってこないというのが分かるのですが、事業者側は④と⑤が入るのではないかと質問しています。今後、もう少し事業者側とコミュニケーションをしていって、あと実態把握をすれば、もしかしたらスムーズにうまくまとまっていくんじゃないかと考えています。

 以上です。

【森下座長】 
 ありがとうございました。堀委員、お願いします。

【堀委員】 
 すみません、1点だけ。先ほどの岩下先生の御議論を聞いていて、諸外国で銀行がカード発行しているというのはイシュアのライセンスの問題であり、今回問題になっているのは加盟店がどうやって代金を受領するかというアクワイアラ側の問題だと思いました。そういう意味ではPSPが国際的に規制されているかというと、一律に銀行として規制されているかというとそうではないのかなというふうに思いました。

 いずれにいたしましても、よく実態を見て頂いて、必要なところに必要な範囲で規制をかけて頂くということであって、業界もちょっと疑心暗鬼しているところがあるのかと思いました。2019年から2020年の改正のとき、国内の収納代行について、どの範囲で規制対象になるのかどうかということは非常によく御丁寧に議論をして頂いたというふうに承知しております。今回も法律をつくっていく、あるいは施行までの間によく調整をされるということが望ましいのではないかと考えました。

 以上です。

【森下座長】 
 あとは新経済連盟様、発言の御希望頂いていますけれども、いかがですか。

【新経済連盟】 
 今、皆様のお話を伺っていて、まず申し上げたいのは、自由であって何の規制も要らないと言っているのではなくて、基本的にリスクと果たしている機能、それから、それに対して今、どういうことが行われているかということをちゃんと実態を踏まえていくべきである、ということです。そうでなければ机上の空論になってしまいますので、事業者の話をよく聞いて頂きたいと思います。

 先ほどお答え頂いたQ6で、③という答えを頂いて、実は驚きました。金融庁さんの考え方が分かりません。同じ機能を果たすものには同じリスクというのですけれども、今の決済システムは、いろいろな機能それぞれが役割分担をしながら手数料などを相殺して、効率的にまとめてやることで成り立っているところがあります。それを銀行が果たしている機能かというと違うと思います。機能面で違うところが結構多いです。何をリスクと考えて、どう対応するかということから考えるのであれば分かるのですけれども、全然違うものに対して、既存の資金移動業を無理矢理当てはめるということになるとどうしても無理が生じます。もう少しちゃんと実態把握した上で建設的な話をしたいですし、オンラインカジノとかが問題なのであればもちろん対応すべきだと思うのですけれども、であればそこを出発点にするべきで、他のものを巻き込み過ぎではないかなという気がしております。

 いずれにしましても、きちんと実態把握をして影響分析をした上で、必要なリスクに必要な対応をするという、長期的な視点を持って考えて頂きたいと思います。本当にビジネスを潰す可能性が極めて高いという意識を持った上で、丁寧にやって頂きたいということでございます。2019年のときはその辺りすごく丁寧にやって頂いたなということもありますし、対処すべき具体的なビジネスモデルが明確でした。一方、今回は規制対象になるのではないかと思われる大手企業が、ヒアリングさえされてないという実態もあります。そのうえ、規制されるかもしれないということ自体も認識していない企業もありますので、本当にこのまま進めてしまうのか、プロセスとしても大きな懸念を持っているところです。

 あと、先ほどの経産省さんへの質問につきましても、もし可能であればご回答をお願いしたいと思います。

 以上です。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 経済産業省様は、私のところからは参加されているかどうかも見えないのですけれども、御発言を御希望されますか。

【経済産業省】 
 経済産業省のキャッシュレス推進室の長谷川と申します。

 我々は、キャッシュレス推進を推奨する立場でして、この内容につきましては、当然これから議論されていくところだと思いますけれども、インバウンド、アウトバウンドのクレジットなりQRというところが規制の対象になり得るということで認識しております。規制がかかると、事業者の対応コストがかかる、場合によっては一部の加盟店さんで決済を取りやめるといった事態も発生し得ると認識しておりますので、他の委員さんやオブザーバーの方がおっしゃっていたとおり、実態をきちんと調査して頂いた上で本当に必要なのかどうか、特に割賦販売法ですとか、国際ブランドのところでどういったところがカバーできていて、どういったリスクが残っているのかというところをきちんと確認頂いた上で議論を進めて頂きたいと考えております。

 以上です。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 他はよろしいでしょうか。

 オブザーバーの方から一部具体的な修文の御提案もありましたけれども、私の見ていたところ、お話をお伺いした限りでは、委員の皆様からは部分的な修文の提案などはありましたけれども、報告書の内容については御賛同頂いたのではないかと考えております。それとともに、今後具体的に政省令、あるいはガイドラインなどをつくっていくプロセスで、対立するというのではなくて、一層知恵を出し合って、よりよいものをつくっていくことが望まれているというのが、恐らくこれは全員一致の意見だったと思いますので、そのような方向で、報告書を基礎に進めていこうということを確認しまして、本日のこの辺りでこのワーキング・グループの取りまとめとさせて頂ければと思いますが、よろしいでしょうか。

 そうしましたら、今日頂きました御意見や表現の平仄などの精査につきましては、私、座長に御一任を頂き、取りまとめとさせて頂きたいと思います。また、報告書の公表の取扱いにつきましても、御一任を頂けますと幸いです。御異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)


【森下座長】 
 ありがとうございます。御異議ございませんでしたので、そのようにさせて頂きたいと思います。

 それでは、最後に、油布企画市場局長より一言お願いいたします。

【油布企画市場局長】 
 企画市場局長の油布でございます。音声の関係がありますので、座ってお話しさせて頂きます。

 本ワーキングで7回にわたりまして御議論頂きまして、座長をはじめ、大変精力的な御検討を頂きましたことを厚く御礼申し上げます。

 私も審議会のワーキングの議論、何回も参加しておりますけれども、最も難易度が高い議論だったかというふうに思っております。その中で、委員の方々には非常に建設的で、かつ示唆に富む御意見たくさん賜りまして、本日も法律論のみならず、例えば規制というもののあり方でありますとか、あるいはリスク、スピードといった点についても、大変示唆に富む御意見を頂きまして、審議会にふさわしい御議論を頂けたと思っております。今後、報告に示された内容に従いまして、制度整備に取り組んでまいりたいと思っております。

 委員の方、御発言ございましたけれども、事業者の方が持っておられる懸念に対しましては、施行までの間に丁寧にしっかりと議論を進めていくということかと思っております。

 今後とも御指導頂くこともあろうかと思いますけれども、よろしくお願いいたしたいと思います。ありがとうございました。

【森下座長】 
 ありがとうございました。

 大分時間を超過してしまいまして、クリスマスイブにもかかわらず、本当に申し訳ございませんでした。座長の不手際で、おわび申し上げます。

 それでは、以上をもちまして、本日のワーキング・グループを終了させて頂きます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

(参考)開催実績

お問い合わせ先

金融庁 03-3506-6000(代表)

企画市場局総務課信用制度参事官室(内線:3572、3556)

サイトマップ

ページの先頭に戻る