金融仲介の改善に向けた検討会議(第7回)議事要旨

議事要旨

1.日時:

平成29年2月8日(水曜日)13時00分~14時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館 12階 共用第2特別会議室

3.議題:

(1)企業アンケート調査の実施について
(2)金融仲介の取組みに関する実態把握について

4.議事内容:

事務局から、「企業アンケート調査の実施内容」及び「金融仲介の取組みに関する実態把握の進め方」について説明した後、以下のような議論が行われた。

  • ○ 金融庁が金融行政方針において「『共通価値の創造』を目指したビジネスモデルの転換」を掲げているとおり、金融機関が顧客本位の良質なサービスを提供すれば、地域の企業が発展し、ひいては金融機関自身が対価を享受できると思う。従って、企業アンケート調査では、金融機関が現在提供していないサービスのうち、企業がどのようなサービスを期待しているかについて、企業の潜在的な事業ニーズを聞くと、地域の企業の生産性が向上し、金融機関も対価が取れるようになるという意味で有益だと思う。
  • ○ 我が国においては、金融マネジメント人材が不足している。また、そのようなマーケットも存在しないため、地域の発展に尽くそうと意欲・能力のある者がいても、各地域の銀行で人事が閉じていて、その力を発揮できる仕事に就くことができない。こうした状況を打破する必要がある。従って、地域横断的に、金融庁や地域金融機関の人材が相互に流動化するような仕組みを作ることが政策課題の一つと考えている。

  • ○ 地域金融機関の金融仲介機能を向上させるためには、経営理念・目標と実際の現場の取組みのギャップの原因を把握することがとても重要であると考えている。経営理念・目標には立派なものを掲げているが、実際の営業戦略や店舗戦略を考える段階では、シェア拡大やノルマ達成という目標にすり替わり、業績評価もこうした数字で判断するから、現場はノルマや数字の達成に追われて辟易していると聞く。また、経営理念・目標が個々の事業戦略にどのように反映されているのかを経営陣が検証していないところも多いと思う。
  • ○ 銀行経営は、サステナブルなビジネスモデルを追求する経営陣の下で、経営理念・目標に沿って現場がしっかりと働ける体制を作っていくことが重要だと思う。従って、経営戦略・計画、収益管理、顧客対応、融資審査基準、業績目標・評価、ノルマ、人材育成の実態や、取締役会の議論を把握し、経営理念・目標と整合的な意思決定や行動がなされているかを確認すると良いと思う。
  • ○ 地域銀行には、コーポレートガバナンス・コードが求めていることを十分理解できていない経営陣もいると感じている。ガバナンスがしっかり機能していなければ、ビジネスは中長期的に継続できないし、従業員や株主などのステークホルダーも幸せになれない。経営陣との深度ある対話を通じて、こうした基本的なことをしっかりと理解してもらえるように取り組んで欲しい。
  • ○ 地域銀行の職員に自行の時価総額を聞いても、株主を意識していないためか、答えられない人が多く、深刻な問題であると感じている。

  • ○ 取締役会での議論や個々の施策の取組み状況など、金融機関によって相当な濃淡があると思うが、事前にファクトを集めて分析することで、経営陣とも本質を突いた深度ある対話ができると思う。
  • ○ 企業アンケート調査について、昨年度は、金融仲介の取組みが進んでいない金融機関ほど、アンケート調査の質問内容を確認していないにもかかわらず、結論を誘導しているのではないか、対象先に偏りがあるのではないかといった話をしていた。今年度は、どのような内容を企業に聞いているのかについて、ある程度公表することを検討しても良いと思う。
  • ○ 現在のモニタリング体制は、金融庁が地域銀行を、財務局が協同組織金融機関を監督しているが、預金規模が大きい信用金庫は、地域銀行と同じようなビジネスを遂行しているところもあり、今後、モニタリング体制を考えていく必要があると感じている。また、協同組織金融機関については、中央機関の役割も大きく、同機関の強化に向けた取組みも進めていただきたい。

  • ○ アンケート調査については、中身の話より、対象先がはっきりしない中で、特に、金融庁が調査を実施する対象先は、銀行との関係があまり良くない先なのではないかという意識が、金融機関側にかなりの程度あると聞く。
  • ○ 地域金融機関の取組みの実態把握に際しては、融資の謝絶状況に関して調べた方が良いと思う。特に、支店の専決権限で処理した融資謝絶先について、金融機関側でどの程度把握できているか分からないが、営業担当で処理したのか、融資担当まで話が上がったのか、支店長まで話が上がったのかなど、どの担当レベルで断っているのかも確認すべきである。
  • ○ 地域金融機関の経営陣と面談すれば、経営理念・目標はしっかり持っておられると感じるが、それを組織に浸透させて遂行していくことが重要である。地域金融機関の取組みの実態把握や金融仲介機能の向上に向けた深度ある対話を通して、経営理念・目標と現場の取組みとのギャップをなくすことが重要であり、金融庁には、経営理念・目標を組織内に浸透させていくことが重要であるということに気付きを与えるような対話をお願いしたい。

  • ○ 人口減少や高齢化など地域金融機関を取り巻く環境は大きく変化しており、横並びで単純な量的拡大競争に集中するような銀行のビジネスモデルでは、いつか立ち行かなくなる日が到来する。現経営陣の間にある、自分達の在任中にそのような日が到来することはないという危機感の無さから、経営理念・目標と現場の取組みとのギャップが生じ、本質的な構造改革が進んでいないのではないかと思う。金融危機を起こさないよう、金融庁は、地域金融機関と繰り返し対話を行い、サステナブルなビジネスモデルに転換する必要性を認識させる必要がある。
  • ○ ビジネスモデルの転換にあわせて、それを担っていく人材の能力や組織力の向上が必要であり、今の行員が持っている能力や人材育成も改めていく必要がある。10年後に金融機関の中核的な人材になっている20代から30代半ばの行員が、どのように成長していく必要があるのかを議論することが非常に重要である。地域金融機関の取組みの実態把握や経営陣との深度ある対話を実施する過程で、地域金融機関の考え方を聞いて欲しい。
  • ○ 地域金融機関のガバナンスは、結局、トップ人事が要である。もし、銀行のトップ人事が従来の慣行でなされるとすると、大きなビジネスモデルの転換は望めない。金融機関の取組みの実態把握に当たっては、トップ人事をどのように決めているのかについて確認すると良いと思うし、金融庁がそのような点を見ているというだけでガバナンスへの牽制機能が働くと思う。
  • ○ また、金融機関は、預金者・株主の両方にフィデューシャリー・デューティーを負っていることから、一般の企業より厳しく問われなければいけない企業体であり、ガバナンスは金融機関の取組みの実態把握の重要な切り口であると思う。

  • ○ アイデアは沢山あるが、資金がつかず事業化しない状況を金融機関がどのように補っていくのかが重要であり、メインバンクにはその点を伝えていく必要がある。地域金融機関の取組みの実態把握に際しては、企業に対する先入観を排除して、事業を見た融資に結び付けていけるよう、課題を適切にあぶり出して頂きたい。
  • ○ 企業アンケート調査では、企業ニーズについての質問項目を立て、その結果を還元すれば、地域金融機関に気付きを与えることができるとともに、目利き力の強化にもつながると思う。
  • ○ 地域金融機関の取組みの実態把握について、地域金融機関は、金融庁がそうしたことを把握する趣旨を考えると思う。従って、金融庁がガバナンスや株主との関係について聞くことは、地域金融機関に対する良いメッセージや気付きになると思う。

  • ○ 企業アンケート調査について、取引金融機関の名前だけではなく、取引シェアを聞いておくと分析に役立つと思う。
  • ○ 地域金融機関の取組みの実態把握に際しては、リレバン型のビジネスモデルがワークすれば、地域金融機関の収益向上にもつながるということを示す必要がある。従って、地元外や地元新規貸出先での金利ダンピングの状況や、地元重視の姿勢がどうなっているか、担保・保証、特に信用保証に過度に依存し、顧客の事業を見ていない状況になっていないか、更には、経営陣が経営計画にコミットしているかどうかというところまでを分析して頂けると有難いと思う。

  • ○ 貸出金と預金の金利差で稼ぐビジネスモデルでは持続可能性がないため、どのようなビジネスモデルに転換していくのかを地域金融機関に真剣に検討させる必要があるが、ポイントは「目利き力」という言葉に集約されると思う。「目利き力」を使って、誰からどういったビジネスでお金をいただくのか、そのビジネスモデルを実行するための人材をどう育てていくのかを地域金融機関と議論できるようなプロセスにする必要がある。
  • ○ 「目利き力」については色々な考え方があると思うが、顧客が抱えている課題、経営課題、顧客が気付いていない課題を捉えて、それに対し何らかの支援・サービスを提供することであると思う。企業アンケート調査については、顧客の方で困っている経営課題は何かといったように、広い聞き方の質問を入れた方が良いと思う。
  • ○ 「目利き力」の課題として、系列親会社の構造変化など、金融機関の顧客の経営環境に何らかの不連続が生じると、今まで親会社の暗黙の保証に基づいて融資していた系列会社に対する取組み姿勢が後ろ向きになるといったケースがある。アンケート調査では、企業側に起きている構造変化まではなかなか確認できないが、地域金融機関とは、企業側に構造変化が起こった時に融資の取組み姿勢がどうなるのか、しっかりと対話していく必要があると思う。

以上

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総務企画局地域金融企画室

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