金融仲介の改善に向けた検討会議(第19回)議事要旨

議事要旨

1.日時:

令和元年7月2日(火曜日)午前9時30分~11時30分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室

3.議題:

・「地域銀行に対する競争政策の在り方」について
・「金融仲介機能の発揮に向けたプログレスレポート(案)」について

4.議事内容:

事務局による説明に続いて、以下のような議論が行われた。(〇:メンバーの発言、●:当庁の発言)

  •  ○ 限られた銀行しか見ていないが、銀行が本気で生産性の向上に取り組んだら、イメージで言うと今から半分から3分の2ぐらいの人員で仕事は回ると感じている。
  •  ○ 地銀再編論について誤解してはいけないのは、地銀については、単にプレーヤーが多過ぎて過当競争が生じているために、統合してプレーヤーの数を減らせば問題が解決するということではないということだ。金融機関の問題は、そもそも、伝統的に行ってきた銀行のビジネスがなくなってしまってきているということであり、抜本的にビジネスのあり方を変えない限り、統合によって解決できるとしても一時的なものに過ぎないということである。また、コストメリットについても、システム面のコストを削減することが難しいという点を抜きにして考えれば、統合よりも、おそらく単体で人件費・物件費のコスト削減を本気でやったほうが効率が良いと思っている。
  •  ○ 経営理念に関する対話によって、銀行員に対し、理念を持つ意義や、社会・経済・金融の状況などを深く考えさせるところから進めないと、形だけの統合では一時的な改善にしかならず、むしろ先送りさせてしまう分、本質的な問題を突きつけるのが遅くなってしまうおそれがあると思っている。
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  •  ○ 「利用者の利益」について企業の声を聞く際に、合併して銀行が1つになっても銀行から不利益をこうむることがない地域における中堅中核企業の意見は聞くことができるが、僻地の企業や都市圏でも分類債権になるような企業の声はなかなか拾うことができない。こういう企業の経営者が意見を言いたくても、言って銀行が1つになってしまったら、銀行から不利益な扱いをされるのではないかという感覚もあるのではないか。銀行がなくても信用金庫・信用組合がたくさんあるところでは、零細企業の声も拾えたことから、統合によって受け皿の金融機関がなくなってしまうことは非常に問題と考えている。利用者の意見を拾うのは非常に難しいと思う。
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  •  ○ 成長戦略の44ページ、「今後、県域を超えた地域金融の金融行政の在り方については、将来的に、独占禁止法との関係も含めて、検討を行うこととする」という観点がこれから重要になると考えている。市町村は行政区域を合併で変えることができたが、県というのは変わらないと思う。現在では、県域(という括り)では経済がもたないので、都市圏や経済圏は自由に変わっているが、行政区域としての県域は変わらない。したがって、これから金融機関が県域を越えて存在することが増えてくると思うので、その際にそういう地域での金融行政をどうするかというのは、これから必ず直面する問題として意識しておかなければいけない。
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  •  ○ 成長戦略実行計画について、43ページのⅴにある「経営統合が利用者の利益に資するかどうか」がポイントだと思う。今後、特例法を作成する過程でこの部分の文言を具体的にどんなふうに定義していくのかという話になるのではないかと思うが、おそらく幾ら具体化しても定性的な表現にとどまらざるを得ず、ⅰからⅳについて金融庁側で経営統合を認めるべきではないかという判断をしたところで、ⅴのところがジャッジメンタルな議論になってしまい、将来問題が生じるのではと危惧している。(そうした危惧はあるものの)結局のところ、特例法の「経営統合が利用者の利益に資するかどうか」が円滑に運用できるかどうかというのは、現在、経営統合を進めている銀行が実際、経営統合を行うことによって生まれるゆとりをどういう形で地域に還元するのか、地域経済にどう貢献していくのかという具体的な事例を持って、公正取引委員会も判断するのではないか。(よって、)金融育成庁というような立場で考えるならば、実際に経営統合を進めている銀行がどんな新しい事業モデルをクリエートして地域のためになるのかというところをガイドするなり、支援するなりということが大きな課題になっていくのではないかと考える。
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  •  ○ 競争政策の件については、日本では諸外国に比べてその競争当局(公正取引委員会)と、それから監督当局(金融庁)の関係が不明瞭というか、あるいは、(共管部分について)どういう協議をするのかということが不明確であったと思うので、一歩踏み出したのではという形で評価したいと思っているが、各委員が指摘する問題点も残っているので、それについては十分配慮してほしい。
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  •  ○ プログレスレポートの内容について総じて違和感はないが、現在の延長線上に未来はないはずなので、銀行に対して変革の必要性をもう少し強く出した方が良い。
  •  ○ 異業種の参入が今後見込まれ、かつ行政当局もそういう競争促進をしていこうという中で、おそらく地域金融機関の事業環境、特に競争環境というのは今後かなり厳しくなってくるはずであり、特にこれまで競合と思っていなかった事業体の市場への参入が想定される中で、そういったことも含めた経営をしていくことが必要なので、これから地銀の経営陣の経営力がまさに試される時代がいよいよ来るぞというような厳しいメッセージがあった方が良い。具体的には、経営陣の強いリーダーシップ、マネジメントではなくて変革のリーダーシップと、あとやはり競争環境を踏まえた戦略の立案能力というところがおそらく大きな差異を生んでくるような時代になると考えているので、表現はお任せするが、メッセージとして織り込んでいただきたい。
  •    ○   今回新たに経営理念についての記述がかなりウエートを持って書かれているのは大変良いこと。経営理念は1度つくると数十年は変えないような性質のものなので、抽象度が大変高くなる。そうすると、どうしても現状追認的な解釈も可能になるような大変幅広いものになるので、経営理念を実行する上で具体的に何をどうするかというところの具体策まで対話の中でぜひ突っ込んで、抽象的な議論だけで逃げられないように深い深度ある対話をお願いしたい。
  •    ○   経営理念と人事制度、特に人事制度の運用がちゃんとリンクしているかどうか、これは実務的にとても大事。立派な経営理念を掲げているが全然浸透してない会社というのは、(経営理念はお題目みたいなもので)実際の人事評価は別物と現場は思っている。これがしっかり紐づかないと心理的安全性は生まれてこないので、具体的に掲げた経営理念がどのように一人一人の人材の評価、もしくは登用に結びついているかというところをぜひ対話の中でテーマとしてあげて欲しい。
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  •    ○   対話を重視することについては大賛成。ただし、対話をすると、最初は理解したような反応をするが、掘り下げていくと反発や拒否になっていくだろうと思っている。表面的なやり取りを超えて、何段階もある、そういう壁を乗り越えて対話をしていかないと、なかなか実が深まっていかない。この対話を進めるに当たっては、どうやって、ゲインを得ていくのか、ゲインをしたところから後退しないで頑張れるのか、目指すべきゴールまでたどり着くのかということを、対話する財務局や金融庁の側でも、相当の胆力を持って、あくなき意欲をもって前進しないと、壁が3つも4つも出てくるということをぜひ頭に置いていただきたい。
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  •    ○   地方においてはどの地域もヒト・モノ・カネが円滑に移動して最適に配分される仕組みができていない。地域ではもはや金が回ってないということが課題ではなくて、情報と人が回っていないということが課題であり、ますますテクノロジートランスフォーメーションの重要性が増してきているなど、金融仲介と我々が従来イメージしてきたものとの業界整理も曖昧なものとなってきている。このため、地域金融機関が行う金融仲介を高度化するに当たっては、従来の金融、すなわち金の仲介、しかもデットレベルといった狭い範囲にとらわれず、広く経営資源の仲介の観点から、知恵の仲介、人の仲介といった機能も含めて幅広く本業と考えていく必要があるのではないか。
  •    ○   個々の金融機関との探求的対話においては、付加価値提供に関するイノベーションも重要であるけれども、それに加えて、既存資源のコストサイドに関するリストラクチャリングも必要なことだと考えている。既存のヒト・モノ等のリソースのコストサイドをどうするかについては、どうしても目をそむけて、付加価値サイドをどうするかということに逃げ込みがちであるが、両者はコインの表裏であり、例えば人や店舗について既存の資源をリストラクチャリングすることで、初めて新たな付加価値を生むサービスが提供できる経営体制が構築できる点を重視すべきである。
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  •    ○   30年度の取り組みの中で地域生産性向上支援については非常に評価したい。いろんな角度から地域の企業、地域経済の実態が金融庁や財務局の目に入ってきたというところは大きいと思う。
  •    ○   「地域経済のエコシステム」の部分というのはもうちょっと深く書き込んでもらっても良い。全ての金融機関が同じことやっているからオーバーバンキングであるわけで、地域金融機関のある意味、役割分担というのをしっかりと示していく必要があるのではないか。もちろん金融機関の経営の独自性があるわけだけども、やはり方向性というのはある程度示す必要があるのではないか。
  •    ○   エコシステムであるべき役割分担をそれぞれ具体的に述べると、地域のトップ地銀の目的は地域全体を俯瞰した金融包摂。トップ地銀は、メガバンクが撤退している地域の大手・中堅企業をしっかりとグローバル戦略等も含めて責任を持って支えるということを考えていただきたい。その他の地銀、第二地銀については、地元の中小零細企業のいわゆる事業性評価型の取引を徹底。最近よく金融庁のほうからも発信されているが、非上場のようなことも踏まえて、いろんな形のコスト削減、大胆なコスト削減、場合によっては協同組織金融機関へのダウンサイズ、なかなかこれは上場会社がやるというのは難しいと思うが、そういうトライアル。いわゆるトップバンク以外の地域銀行というのは、むしろダウンサイズ、地元により深く入っていくという方向性ではないかと思う。
  •    ○   協同組織金融機関の強みはバックヤードが1本、効率性という意味では申し分ない。営業コミュニティー内の小規模、零細企業、個人事業主に対してしっかりと踏み込んでコミットしていく。協同組織金融機関が存在しない空白地域については、場合によって新設していかなければいけない。新設は難しいと思われるかもしれないが、代理貸しの形態をとったナローバンキングとかいろんな方法をとることもできる。その中で中央組織、全信組連ですとか信金中金とかとの連携の中で、ナローバンキングの形態をとりながら空白地帯を埋めていくというような形で、我が町の金融機関をやはりつくっていかないと金融包摂は進まない。
  •    ○   特に協同組織金融機関のような小さいところ、それからトップ地銀以外の地域銀行もよりダウンサイズしていく場合、ポイントは何かというと経営者。いい経営者がつけば、規模の小さい金融機関は格段にレベルアップする。協同組織金融機関で、非常に特徴的な良い経営をされているところがあるが、こういうことは経営者を変えればできるというのはもう証明されている。こうした論点で地域のエコシステムというのを示し、発信していく必要がある。ただし、決済等のインフラや簡単なトランザクションバンキングなどはAI、フィンテックを駆使した異業種ネット系にどんどん侵食されることはもう自明の理なので、そうした前提の中でどのように役割分担をしていくかということを踏み込んで書き込んでもいい。
  •    ○   地域金融機関の経営者はルールベース・形式主義・ものまねの三拍子が揃っている。こうした悪しき体質を監督・検査における深度ある対話の中で切り崩して、それぞれの地域金融機関が本来の役割を果たすように促していただきたい。そのために金融庁や財務局の職員のさらなる意識改革・スキルアップに加えて脱ルールベースの人材としての外部人材の活用。今までの外部人材というのはどちらかというルールベースのところを着実にこなせるようなタイプの人が多かったと思うが、プリンシプルベースの金融機関経営というものを対話で議論できるような外部人材を積極的に導入していただきたい。
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  •    ○   プログレスレポートの前半、金融機関と当局との対話の仕方が丁寧に記載されているが、ここまで踏み込んで書いているというのは、逆に今までいかに地銀の経営陣が(自身の問題として)考えていなかったのかということの裏返しではないかとも思う。金融庁から様々な指摘をされれば、それに従ったほうが容易であるといった考えもあったのではないかとも思える。
  •    ○   (丁寧に対話の仕方を記載することも良いことだがレポートでは)もっと強く変わらなければいけないということを記載しても良いと思う。金融機関が自ら気づいていかに変わるのか。変わることの難しさから逃げるのではなく、これからも(地域に存続し生き残り)続けていくために、いかに変わらなければいけないのか、変革をおそれてはだめだということを感じとってもらうということ、そして、みずから、自分たちで総力挙げて考えるということが一番重要だというメッセージをこのレポートや対話の中でいかに相手に伝えていくかという点に尽きる。
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  •    ○   プログレスレポートについて、「金融育成庁」と「探求型対話を通じた生産性向上」がキーワードになっており、全体の印象としてとても良い。銀行法の第1条の目的が、国民経済の健全な発展に資するとあるが、地域金融機関の場合、国民を地域に置きかえると、地域経済の健全な発展に資するのが目的となる。これがこの数十年間忘れ去られていたというような印象がある中で、プログレスレポートでは、この銀行法の第1条を実践するという意味で、金融庁として「金融育成庁」を打ち出し、そのツールとしての探求型対話によって生産性向上を目指すと、まさに一気通貫が打ち出されているという意味で良いと考える。
  •    ○   地域金融機関同士のプラスサムの競争という表現があるが、今、ほとんどの金融機関がマイナスサムの競争しかやっていない。その競争の相手はあくまで金融機関同士であって、中小企業に向き合っていない。中小企業の営業キャッシュフローの持続的な改善に取り組むプラスサムの競争こそ「共通価値の創造」を生み出し、中小企業経営者に交渉相手ではなく相談相手として認識されるもの。マイナスサムじゃなくて、プラスサムに取り組んでいくビジネスモデルがサスティナブルであり、それに向けた抜本的な改革が必要という強いメッセージをもっと書き込んで欲しい。
  •    ○   上場地域銀行の頭取と話をしていた際に、東証の市場構造の見直し案が話題になった。その頭取は、一部に踏みとどまるための条件クリアーのことで頭が一杯の様子であった。経営理念とか顧客本位という発想が無い経営者が少なくないと感じるので、確固たる経営理念が現場でしっかり実践されるような抜本的なメッセージを強く出してほしい。
  •    ○   ある事業再生案件で、2期連続赤字の企業に、メイン行が本業支援をせず証貸を追加したため、メインに追随して政府系金融機関が証貸を同額投入した結果、借入残が倍になり、年商を上回る過剰債務になってしまったという事例がある。これに似た事例を全国でよく見かける。(このようなケースは)金融機関としては低金利競争の結果の貸出競争。(金融機関にとっては)低収益の貸出残をつくり、結果として全行リスケとなり引当も当然積まなくてはならなくなったという意味で、まさに持続可能なビジネスモデルの真逆を行っているというマイナスサムの状況。金融行政方針には105行のうち半分が本業で赤字とか、5期連続赤字が23行とか出ていたが、おそらくもっとひどい状況になっている可能性がある。こうした状況は全国で(金融機関同士の)つば競り合い(のような低金利競争の結果の貸出競争)が蔓延しており、(不芳先への本業支援はおろそかになっている)のでもっと抜本改革を迫るようなトーンを強めて欲しい。しっかりと本業支援までやることこそが、営業キャッシュフロー改善という生産性向上につながっていき、ランクアップに伴う引当の戻りに加え、増加運転資金・設備資金の需資を新たに生み出すことにつながるとのメッセージが不可欠である。
  •    ○   「個々の金融機関のビジネスモデル構築に当たって、地域金融機関は自らのありたい・あるべき姿について、改めて社外役員も含めて率直な議論を行い、それを経営理念として掲げるべきであり、そうした確固たる経営理念等が存在し、金融機関内にくまなく浸透することで役職員共通の価値観が醸成され、職場における心理的安全性が確保される」と記載されている。つまり、「率直な議論を行って経営理念を掲げ、その確固たる経営理念が存在、浸透すると、結果として、心理的安全性が確保される」というような流れに読めるが、私は心理的安全性というのは「場」づくりであって、これが全てのスタートラインの土台だと認識している。心理的安全性が土台であるというような書き方にすべきではないか。
  •    ○   検査・監督基本方針に「金融システムの安定、利用者の保護、市場の公正性・透明性の確保という3つの任務は今後も極めて重要だが、これらは金融行政の究極的な目標を実現するための手段」とはっきり明記してある。まさに究極の目標を達成するための手段で、その手段としての位置づけである金融システムの安定と金融仲介機能を両立させるという流れだと思うので、(プログレスレポートなど)行政文書をつくられる際に、原案を書く段階のときから、究極の目標のためにそれをうまく使っていかないといけないという意識をぜひ持って欲しい。
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  •    ○   (プログレスレポートの全体の印象として)自分の問題だと銀行がとらえるか疑問もある。どこかにパンチラインが必要。赤字が云々と書いてあるが、過去に金融行政方針の中で、やるべきことが全然できていない金融機関があると記載していたように、金融庁として厳しい現状認識をしているということが冒頭にあってもいい。
  •    ○   頭取と対話した際のリアルな声を記載した方がよりインパクトがあって良いと思う。
  •    ○   ベンチマークについては共通5の平均値を提示しているが、優れている金融機関もあるが、他方、淀んでいるところが結構あるので、それを見るために平均値だけではなくて、25%の水準や散らばりも勘案し、金融庁としても危機感を感じているような(表現が)あっても良いと思う。
  •    ○   金融庁や国の地域金融や中小企業行政の中で経営者保証というのは非常に大きな問題だった割にはあっさりと書かれている印象があるので、もっと重要施策という(書きぶりを)打ち出しても良いと思う。
  •    ○   「経営理念等の確立と浸透」については、浸透しているかを見るだけではなくて、そもそも浸透させていっているかどうかも重要なので、ここでは浸透度合いを調べた結果だけでなく、浸透していくプロセスについても記載してはどうか。例えば、浸透しているような金融機関のベストプラクティスみたいなものを紹介したほうが示唆的になるのではないか。
  •    ○   (金融庁が行った業務範囲規制の緩和等の)環境整備策の実施により、金融機関にはカネのみならず、ヒト、モノ、情報の仲介も総合的に行う新たなビジネスモデルの展開の道も開かれつつあると記載されている。こうした環境整備策を活用し、新たなビジネスを行っている事例の記載はされているが、他方で、活用していない金融機関がどの程度あるかという分析もあっても良いのではないか。こうした環境整備を行って数年経っているが、取組体制が全く整っていない先がある。やらないという選択肢はあってもいいとは思うが、(資金需要の減少が懸念される中、地域金融機関には、顧客の様々なニーズや真の経営課題等を的確に把握し、適切なサービスを提供する必要性がさらに高まっている中、最初から検討もしないようでは)本当にそれで大丈夫かということをメッセージとして伝えられるような提示の仕方ができないか。
  •    ○   究極の目的は地域の経済を良くすることなので、地域の中小企業への施策としては、中小企業庁の信用補完制度などは非常に重要。信用保証制度の浸透に関しては金融庁も中小企業庁と連携して様々な取り組みを行っておりうまくいっているし、昨年新たに制度が始まったので、金融庁としても対応したことを記載しても良いのではないか。
  •    ○   専門家との連携は金融庁が継続している取組であるが、税理士との連携を強化していくというのも重要では。特に事業性評価は、(金融庁が)税理士を使って銀行のほうのコスト削減(をすることで取り組み易くなる)というのは、非常に私は有望だと思っている。金融庁の取組として専門家との連携を行っていることも記載してはどうか。
  •    ○   (経営統合等に関しての特例的な措置)が始まりつつあるので、今後、金融庁として、フォローアップしているということがわかるように、今後のプログレスレポートなどに記載していくことが必要ではないか。
  •    ○   去年の地域金融の大きな話題であった(不動産の不正融資の)問題について、あのビジネスモデルは最初のところまではよかったと思うが、ニッチなマーケットに無理をして行ったところに問題があるのではないかと思う。こうした地域金融における大きな問題についても、(プログレスレポートの)どこかで金融仲介の機能と(照らし合わせて)総括することも必要ではないか。
  •    ○   REVICと地域金融機関でファンドをつくっていろんなことをしているが、かなり金融機関によって取組が違っていると感じる。(当局の行ってきた規制緩和により)地域金融機関はいろいろなことができるようになっているので、そういうものをちゃんと活用できているのかというような点も、今後も見ていってもらいたい。
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  •    ○   プログレスレポートについては、全く違和感はないというふうに感じている。ただ、いくつかの地域銀行と3年中計の議論をする中で、利回りの低下傾向が改善できないとすれば、0.1%、利回りが下がっても、1兆円あれば10億円と、それだけトップラインが下がってくるので、全体ではウン十億円の業務純利益が下がってくる(という話も出ている)。そういう状況で地域金融機関がこのレポートを受けとめているとすれば、事業性評価は顧客にとって非常にいいことではあるが、どういう形で銀行経営に活かされていくのかということを更に突き詰めて(私たちが議論して)いく余地が残されていると感じる。
  •    ○   10億円単位の業務純益の減少を考えると、(預貸)の分野だけで全部打ち返すというのは現実的ではないというふうにも感じ、いろいろな分野で総合的な新しい時代の事業モデルを議論する必要があるかと思う。預かり資産のところも、顧客本位の業務運営って一体どういうことなのかということと、それに基づいてどんな事業機会が銀行にとってはあり得るのかということかと思うし、フィンテック分野でも、決済系についてはいろいろな動きはあるかと思うが、キャッシュレス化の方向に進むことはまず間違いなく、現金が流通しなくなる分のハンドリングコストが大きく減少することになるので、(この部分についても)また新しい地域銀行(の事業の)モデルということになっていくのではないか。
  •    ○   地域銀行と話をすると、事業性評価であったり、顧客本位であったり、フィンテックであったりと、どんなふうにしていこうかという個別の議論をする傾向が強いので、(金融育成庁として)総体としてどんな地域銀行になっていくのかという議論をガイドしていくということも、その育成をするという立場では重要なことではないかと思う。
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  •    ○   プログレスレポートの位置づけについては最初に示しておいた方が良いのでは。
  •    ○   他の委員の発言にあったように、エコシステムとして地域金融全体を考えるというのも1つのテーマになると思う。その際には、地域金融機関の業態では地域銀行、協同組織、それ以外の規模の大きな銀行も存在するので、(地域金融機関がサスティナブルであるための地域全体の)絵柄を整理する必要がある。
  •    ○   (プログレスレポートの中で、)健全性と、リスクテイクの仲介機能ということを相互依存関係とかいう表現であらわしているが、そういう形でいろいろな問題をある種工夫をして整理している点が大変評価できる。
  •    ○   レポートをどういう形で受けとめてもらうかということは大事なので、単に書いたものとならないことを望む。例えば、(先進的な)財務局の取り組みについていくつか紹介しているが、こうしたものは全財務局で共有し、同じようなトーンで地域金融の監督が回っていくことが望ましい。
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  •    ●   プログレスレポートは仲介機能というものについて焦点を当てて、初めて作成したもの。この1年間、生産性向上支援チーム等が中心になって、いろいろ地域に入り込んで活動するなど新しい試みがあったので、「実践と方針」に盛り切れないと判断した。我々の金融行政の中間目標は、あくまで健全性の維持と、それから金融仲介の円滑な発揮。これらの目標についていかに行政を展開してきたかとそれに基づいて次の年度をどういうことをやっていくのかということに関しては、今事務年度の(これから公表する)実践と方針で書いていきたいと考えている。先ほどメンバーから、ご指摘のあった不足している部分については、できるだけ「実践と方針」で拾っていきたいと考えている。あくまでこのプログレスレポートは、新しい試みとして各地域金融機関の仲介機能について試行錯誤を行った活動報告書という位置づけ(ととらえてもらいたい)。
  •    ●   多数のメンバーから、プログレスレポートの(トーンが)ちょっと弱いのではないのかという指摘があった。(受け止め、)書くべきところはきちんと書きたい。(一方で、)今まで、実践と方針や行政方針等でかなり強いことを書いてきたが、果たしてそれで(金融庁の伝えたいことが)金融機関に刺さってきたのかというと、懐疑的な部分がある。今の経営環境を踏まえ、今後どういう形でビジネスを展開してくのか、地域というものに関して自分たちはどういう位置づけにあるのかということを(地域金融機関の)経営トップに自分ごととして考えてもらうためには、やっぱり対話をしていかなくてはいけないのではないか。つまり、金融庁が押しつけてはいけない。金融庁(と)はあくまで対話であって、自分で考えて自分で築いてもらいたい。そのために我々は議論のキャッチボールの相手になりますというつもりで書いており、そういう気持ちがかなり全面に出た結果、過去のような強いトーンではなくなっている(が、指摘を踏まえ、表現を工夫する)。
  •    ○   規制業種であるがゆえに、経営理念を道具にして職員が自分で考えるような(職員)教育や経営を地域金融機関は今まであまりやってきておらず、外形的になりがちなのではないか、いきなり「戦略から収益」を考えるのではなく、経営理念に基づいた戦略、(経営理念が達成できるような)組織体制をきちんと見ていきたい。我々も外形をなぞるほうが簡単だからとして、外形的なモニタリングにとどまってしまうのではなく、(自分ごととして)大切なものを変えてもらう議論に踏み込めるような対話を行うために心理的安全性というものは一体いかにあるべきかということを考えながら、取り組んでいきたい。

以上

お問い合わせ先

監督局銀行第二課地域金融企画室

 Tel 03-3506-6000(代表) Fax 03-3506-6174 (内線2209、2542)

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