金融仲介の改善に向けた検討会議(第21回)議事要旨

議事要旨

1.日時:

令和2年2月18日(火曜日)午前14時00分~16時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室

3.議題:

・地域金融機関の人材マッチングについて

4.議事内容:

神田内閣府大臣政務官の挨拶

  •  ○ 金融庁では、「地域金融機関の持続可能なビジネスモデルの構築に向けたパッケージ策」を公表し、各種施策を策定してきた。そうした中で、経営トップや取締役会等が、自らの経営とガバナンスの現状を振り返るに当たって、参考となる主要な論点を整理した「地域金融機関の経営とガバナンスの向上に資する主要論点(コア・イシュー)」の策定に向けて、現在パブリック・コメントを行っている。当該コア・イシューによって、経営トップや取締役会等が、経営やガバナンスの向上に向けた「気づき」を得られることを期待するとともに、金融庁も「探究型対話」を通じて、各行の経営理念・経営戦略等について、一層理解を深めていきたいと考えている。
  •  ○ 小規模な金融機関では経営人材・幹部人材が枯渇しており、能力のある人材を経営陣に据えることで、経営が改善するであろう金融機関も相当数ある。コア・イシューを活用するなどして、各金融機関に足りない人材を対話によって浮き彫りにし、適切な人材を供給していくことが必要。
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神田内閣府大臣政務官の挨拶後、小城委員(資料1)及び家森委員(資料2)からの発表及び、事務局による説明が行われ、以下のような議論が行われた。(○:メンバーの発言、●:当庁の発言、◎銀行の発言)

  •  〇 そもそも人材の流動化は日本における長年の課題である。先導的人材マッチング事業等を通じて、都市圏人材が地方に流れるなど、人材の流動化が進むことに期待したい。
  •  〇 日本では、事務処理を得意とする人材はいるものの、中長期的な視点でものを考えることができる人材が枯渇している。経営人材については育成が重要な課題であり、国レベルで議論していただきたい。
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  •  ○ 小規模な金融機関では経営人材・幹部人材が枯渇しており、能力のある人材を経営陣に据えることで、経営が改善するであろう金融機関も相当数ある。コア・イシューを活用するなどして、各金融機関に足りない人材を対話によって浮き彫りにし、適切な人材を供給していくことが必要。
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  •  ○ 中小企業の経営トップが欲しい経営人材・幹部人材の典型は、経理・財務の金融のノウハウのある人材。これまでは親族中心に経理・財務をやってきているが、金融のノウハウがなく成長や事業継続に限界があるため、メイン金融機関からの人材に依存していた。ただ、金融機関が中小企業に人材を送り込んできた結果、多くのケースで、融資の在り方が、運転資金を長期で証書貸付する等、銀行本位となってしまった。金融機関においては、若いうちから顧客本位の人材育成を行うべきで、経営トップもそれを意識する必要。
  •  〇 中小企業と大企業の関係としては、中小企業の販売先は大手企業の調達部門であって、人事部門ではないため、中小企業側からも大企業側からも人材マッチングの機会は基本的にない。地域金融機関や支援機関、自治体が連携することで、普段は接点のない中小企業と大企業の人材マッチングが可能になる仕組みを作ることが重要ではないか。
  •  〇 働き方改革の推進もあるので、フルタイムだけではなく非常勤・副業の人材マッチングも重要。中小企業にとっては、フルタイムより安価に必要に応じて専門家の助言を得られるため有益。こうした人材マッチングも先導的人材マッチング事業とすることが重要。
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  •  ◎ 人材マッチングに関して収益目標を営業店に配付することはしていない。企業への長期的な対応の結果として最終的な銀行全体としての収益向上があるという考えであり、営業店毎に目標を設定する予定は今後ともない。
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  •  ○ 中小企業から銀行へのOB人材の需要は高いものの、実務的な役割が求められて紹介する場合には上手くいく割合が高い一方で、経営人材として紹介する場合には社長が送り込まれた人材に指摘を受けることを好まないなどの理由で2割程度は失敗する印象。事業承継ファンドが株を一定期間引き受ける際の経営人材の選考に首都圏の多くの人から応募があることを考慮すると、銀行外から連れてくるというやり方が一番良いと感じる。
  •  ○ 地域金融機関が規制緩和を活用して中小企業の普通株の相当割合を持って4~5%の配当を受取る「出口のないファンド」としての役割を担うべき。地方の中小企業を成長させ、地域に根付かせることに繋がる。
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  •  ○ 経営人材のマッチング、これは非常に(地銀がやる)意義のあることであるが、一方で、人材紹介会社の収益源になっているのは20代から30代のいわゆる中間層の転職であるというデータがあり、他方で従業員150人くらいの企業のニーズは30代から40代のいわゆる中間管理職が不足しているという指摘もある。つまり、既存の人材紹介業者がターゲットとしている経営人材より現場に近い層を(地銀がビジネスとして取り組むのか)どうするかといったことについても考えていく必要があるのではないか。
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  •  ○ 地方に限らず、日本の経済の1つの大きな課題としては、いわゆる人・物・金、それぞれの分野、市場が非常に硬直的になっていることがあり、なかなかここの流動性が高まってこなかった。これまでの官民あげた取組みで、少なくとも物と金の分野については一定の流動性を増してきたのではないかと思う。
  •  ○ 最後にずっと残っていたのが、人材市場の流動性が高まらないことであるが、ようやく動きつつあるのではないかという思いを今日改めて持った。1つ大きな原因としては、サプライサイドの変化ではないか。東京に限らず、大手企業、特にグローバル企業を中心に人事制度の変化、あるいは人材ニーズの変化というのがある中で、40代、遅くとも50代では大企業を何らかの形で離れていくというのが一般的になってきている。20代30代においてもかなり流動性が高まってきていて、実際、20代30代の大企業勤務者の多くがいわゆる人材サーチ会社に登録するなどして独自に職を探せるネットワークとかスキルとかノウハウを持っている。しかしながら、それ以上の世代ではなかなかそうもいかないので、この層を動かしていこうとすると、やっぱり何らかのプラットフォーム、新しい仕組みが必要である。
  •  ○ 問題は地銀が、あるいは地銀の経営陣がどのようにこれを担うのか。これはそんなに簡単ではないと思う。やはり人、物、金の中で、人の部分が一番難しい。一方で、企業の規模に関係なく、企業価値を高めていく上での人・物・金の要素の中で一番効果が大きいのは人である。適切な経営人材を見つける、あるいは育てることができれば、物とかお金の要素よりもさらに大きな効果が出るというのは経験上あるが、これが一番難しい。
  •  ○ 地銀に期待したいのは、こうした人材をある意味流動化させていくということを、一時的なサービスや流行的なものと捉えないで、これを非常に本質的、顧客の企業価値を高めていくという意味で、戦略的に、かつ中長期の目線で捉えてやっていただけるような、そういう経営努力である。また、そういう目線で金融庁としても対応を考えていただくのがいいのではないかと思う。
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  •  ○ 人材マッチングの話で、一番欠如している視点は、首都圏から人材が地方に行くというときに、その生活をどうするかということ。家族がすんなり同行してくれれば良いが、例えば、都内に残しておく住宅をどうするかという問題がある。これがボトルネックになるケースも結構ある。国が地方創生で、地方で起業したら助成金を出す事業等を行っているが、なかなかうまくいかないというのは(住宅の問題の)側面があるのではないか。
  •  ○ これは国交省の政策なのかもしれないが、移住者に対して賃貸した自宅の家賃保証をするという「移住・住みかえ支援機構」が行っている施策がある。
       地方に行くときにネックになるのは、配偶者が地方に完全に移住することには反対することも多いので、例えば5年地方に行って戻る場合の家賃保証の付いた定期借地借家契約などをしてやれば人材はもっと動きやすくなるだろうと思う。
  •  ○ こうした制度があることを地域金融機関が承知していて、人材マッチングを行うときにあわせて紹介できれば、もっと人材マッチングの成約率が上昇するのではないかと思う。
  •  ○ 現在、移住・住みかえ支援機構には、地銀も含め多数の協賛事業者いるが、1,000件ぐらい(住みかえの)事例があり、都内から地方に行く事例というのも1~2割ある。本日の議論の中でも、首都圏人材の平均年齢が49歳という話があったが、そうした現役世代の人に積極的に地方に行ってもらうには、非常にニーズが強いものだろうと思う。
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宮下内閣府副大臣の挨拶

  •  ○ まさに経営改善や事業再生、そして経営者不足等の支援が必要な企業が数多く存在している中で、人材マッチングや事業承継など、金融仲介機能の発揮をさらに深めるための取り組みを金融機関が実施することは大変重要。また、金融機関自身にとっても持続可能なビジネスモデルを構築することにつながるものと考えている。
  •  ○ 本日、事務局から紹介した地域金融機関等が地域企業の経営課題を分析し、職業紹介事業者等と連携して行う先導的人材マッチングに対しての財政支援や、事業承継時に焦点を当てた経営者保証に関するガイドラインの特則の策定については昨年12月に閣議決定された「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」に盛り込まれている。
  •  ○ また、その他にも金融庁における取り組みとして、地域金融機関の持続可能なビジネスモデル構築に向けて、全国の多様な関係者が一堂に会して議論するリージョナルバンキングサミットの開催も予定している。
  •  ○ 金融庁としては、モニタリングを中心とした従来の金融行政の枠組みにとらわれることなく金融機関による金融仲介機能の改善に向けて、こうした新たな角度からの施策に取り組んでいるところであり、引き続き、本検討会議を通じて、こうした金融庁の取り組みに対してご意見を頂きたい。

以上

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お問い合わせ先

監督局銀行第二課地域金融企画室

 Tel 03-3506-6000(代表) Fax 03-3506-6174 (内線2209、2542)

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