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- NISAに関する有識者会議
- 「NISAに関する有識者会議」(第1回)議事要旨
「NISAに関する有識者会議」(第1回)議事要旨
- 日時:令和7年4月3日(木曜日)16時00分~17時00分
- 場所:中央合同庁舎第7号館 14階 1414会議室
- 議事概要:
座長から会議の目的を説明後、事務局から資料3に基づいてNISAの政策目的を踏まえた効果検証について説明。その後、各メンバーから以下の意見が聞かれた。
(効果検証)
- 効果検証の出発点としては事務局資料の3つの検証項目に違和感はない。NISAが幅広い層の家計に利用され、また、個人のライフステージに応じて使い分けられていることは好印象。ただし、まだ制度が開始して1年であるため何らかの評価は難しい。拙速に評価、結論めいたことを行うのではなく、複数のデータセットを継続的に見ていくことが大事。
- 多方面からの効果検証が行われることが望ましく、データを研究者にも提供してほしい。また、マーケットが大きく変動した局面における個人投資家の売買動向を検証していくことも必要ではないか。
- 長期トレンドを見ていくうえで、買付額だけでなく、残高やNISAを通じての個人投資家の増加についても分析できるとよい。また、口座数についても、ただ増えさえすればよいというものではなく、どれくらいの水準まで増えることがあるべき姿か、稼働率はどのくらいかという目線も必要。また、NISAの利用目的について、例えば世代別で分析することも考えられるほか、NISA非利用者の利用していない理由を把握することも有用ではないか。
- 家計金融資産の変化は市況による影響が大きいため長期の分析が必要。また、ストックの変化だけでなく、家計から株式や投資信託にどれだけ資金が流入したか、フローの分析も必要なのではないか。インフレ耐性の観点からみれば、現預金に比べて相対的にインフレ耐性のある株式・投資信託の残高が増えていくことが重要。
(制度・運用上の改善点等)
- グローバルの水準との相対比較の観点から、日本が目指すべき政策として中間層を底上げして分厚い中間層の育成を目指すことは重要。投資に参加している幅広いタイプの家計が何らかの形で成果を出せるよう、計画的に環境を整えていくことが分厚い中間層の育成に資するのではないか。
- 成長投資枠における商品の購入理由をみると、中長期的な株価上昇に加え、配当金、企業業績、株主優待、成長性への期待、企業応援、商品・サービスを利用しているからといった回答もみられている。これは、家計自身が企業をよく見て、自らの判断で投資先を決めて中長期的な意識で投資をしていることを示している。自分が気に入ったところに投資を通じて長期的な関係を持つことが長期投資の本来の姿であり、そのような長期投資を家計が実践していると言えよう。家計の特徴として、長期投資との親和性が高いという点があるので、政策的に家計の長期的な株式保有を優遇することの費用対効果は大きいと思われる。
- 一方、つみたて投資枠における商品の購入理由をみると、海外の成長性への期待が高いのは興味深い点。日本に投資しやすい環境を整えるため、国内の魅力あるインデックスを加えていくことが課題なのではないか。
- NISAの更なる普及・促進にはチャネルやユースケースの拡大も必要。例えば、チャネルの拡大としては、職場つみたてNISA等の活用を通じて職域での展開も考えられるほか、地方へのリーチ方法も検討していくべきではないか。また、ユースケースの拡大としては、ライフプラン・ライフステージによって、資産を管理・運用しながら取り崩していく使い方もNISAではできることを打ち出すことはできないだろうか。インフレへの対応が喫緊の課題の中で、資産寿命の延伸といった観点から高齢世代も上手にNISAを使い続けていけるようにしてほしい。
- 英国のNEST(National Employment Savings Trust)は、行動経済学に基づき、運用開始当初にはリターンは小さくてもリスクを抑え、継続的に資産を積み上げていくことを重視し、運用初期にはローリスクでの運用ができる制度設計となっている。NISAでも同様に、リスクをよりコントロールできる商品が入っていてもよいのではないかと考える。
- 英国のISAは、非課税枠を費消しないままスイッチング(保有する商品から異なる商品への乗換)が可能な制度となっている。高齢者が、NISAで積立てた資産をよりリスクが低い商品に切り替えることができるよう、NISA口座内でのスイッチングについて検討することは出来ないか。
- 自分の子供や孫に早くから資産形成を始めさせたいといったニーズも聞かれている。つみたてNISA枠のみでもよいので、対象年齢の引下げを検討できないか。
以上
※座長、メンバー各位による率直かつ自由な意見交換を確保するため、議事録は非公開とします。
(参考)開催実績