「NISAに関する有識者会議」(第2回)議事要旨

  1. 日時:令和7年4月22日(火曜日)13時00分~14時30分
  2. 場所:中央合同庁舎第7号館 13階 1320会議室
  3. 議事内容:
    事務局から資料2~4に基づいて、つみたて投資枠における対象株式指数の考え方や市況急変時の対応について説明。各テーマについて、メンバーからは以下の意見が聞かれた。

(つみたて投資枠における対象株式指数の考え方)

  • 対象指数の算出・公表の継続性が長期投資の実現の観点から大変重要なことは言うまでもなく、ガバナンスの観点を含めた指数プロバイダーの信頼性や、算出方法の透明性、構成銘柄の選定基準やリバランス手法が利用者に分かりやすいといった要素も重要と考える。このほか、運用会社が使い続けられる指数であるか否か、例えば、指数の使用料が過度に引き上げられていないかといった目線での検討も必要ではないか。
  • つみたて投資枠の対象指数に「マーケット全体を広くカバーしている」ことが求められている点について、「マーケット」が具体的に何を指すかはよく検討する必要があるが、その大本の趣旨としては、投資初心者にとって値動きの理由が分かりやすいことが挙げられる。また、投資初心者を含む幅広い層の長期投資においては、売買のタイミングを見極めることが困難である点を踏まえつつ、市場の変調に流されない投資スタイルを対象指数に期待した制度設計となっているものと理解している。
  • 特定のセクターに偏重している指数について、経済全体の動きとして市場構造が変わった結果起こった偏重なのか、もしくは指数の設計上意図された偏重なのかは区別して議論する必要がある。区別なく議論すると、市場構造の変遷をも否定してしまうことになりかねない。時間の経過によるセクターの比重の変化は、産業構造の変化などに応じて必然的に生じるものであり、セクター分散の観点から問題ではないと考える。他方、マーケットを広くカバーしているようにみえても、少数の銘柄が影響を与えていないかはよく見る必要がある。
  • つみたて投資枠の対象指数に「既に市場関係者に広く浸透している」ことが求められている点については、「市場関係者」が具体的に何を指すかはよく検討する必要があるが、その基本的な考え方としては、少なくとも機関投資家等が用いる指数でなければ一般投資家に利用されにくいと考えられるためであり、その上で、実際にその指数が投資初心者向けか否かは、その指数に連動する商品のプロバイダー等が初心者向けと捉えているかどうかが重要と考えられる。また、そのメルクマールとしては、当該指数を参照するファンド数やその純資産額、資金流入額といった定量的な指標だけではなくて、指数が公共財的インフラとして安定しているかといった観点や、投資家教育等に貢献しているかという目線も考えられるのではないか。
  • 対象指数の追加については、投資の選択肢の幅の拡大や指数間の健全な競争を促進するという観点を含め、検討の余地はあると考える。その際、初心者向けにある程度慎重に考える必要がある点と、新たな投資機会の提供という観点のバランスをとりながら検討する必要があるが、例えば、ESG要素を含む新興指数なども将来的には視野に入れる余地も考えられないか。他方、利便性の高い指数が導入されても、その指数を使った商品への資金流入が進まない限りは指数間の競争が起きない可能性については留意が必要である。いずれにしても、つみたて投資枠は特に初心者を対象として長期・積立・分散投資を実現するための枠、つまり値動きがわかりやすいインデックスタイプやよくリスクコントロールされたバランスタイプが主な対象となる枠ということが大前提であり、対象指数の追加の要否については、その点によく留意して検討をすべき。
  • つみたて投資枠の利用者も様々であって、時間の経過とともに初心者も経験者になりうるし、既に経験者も利用している。この点、複数の商品を組み合わせて理想のポートフォリオをつくることができる個人にとっては、商品単体の分散が限定的であったとしても、組み合わせることを前提としてそうした商品をポートフォリオの1パーツに組み込めるようにする意義はあるかと思われ、こうした利用者の目線を踏まえた検討も必要なのではないか。ただし、つみたて投資枠は、投資初心者が仮に1つだけ商品を購入したとしても分散投資の趣旨を達成できるよう、その対象商品が限定されている点を十分に尊重すべきであり、成長投資枠との兼ね合いも含め、投資初心者向けの枠という制度趣旨を重んじるべきである。この点、今後制度が成熟し求められる内容が変化していく中で、バランスのとれた制度運営が望まれる。
  • 対象商品を選定する際に、過度に分散に配慮しなくても、長期・積立投資による時間分散効果によって中長期ではある程度安定的な資産形成ができるのではないかとの指摘も考えられるが、つみたて投資枠は、初心者が投資の第一歩を踏み出すというための枠であることを踏まえると、初心者が投資を始めたばかりの段階で、リスクに耐えられずに投資を中断してしまう可能性はできるだけ制度設計の段階で排除しておく必要があると考えられる。
  • インデックスファンドの中には、トラッキングエラーが大きく、指数連動型とは言い難い商品もある。指数だけでなく、商品設計に問題がないか確認していく必要はないか。
  • 地域別の株式指数は初心者にとっても選びやすいため、例えばアジアやヨーロッパ地域の指数など、選択できる地域を増やしても良いのではないか。また、少数銘柄による影響を抑える観点からも、地域別指数に係る議論は有効と考える。
  • 対象指数の検討にあたっては、単一指数だけでなく、複数の指数を組み合わせた商品の特性等を踏まえた検討も必要と考える。また、NISAの非課税枠が拡充されたことを踏まえ、ポートフォリオ構築に資するような株式指数以外の指数の取扱いに係る議論があってもよいのではないか。さらに、対象指数に連動しない商品の考え方、及び、成長投資枠の商品の制約に関する考え方についても、議論があってもよいのではないか。

(市況急変時の対応)

  • 今回の市況急変において、投資家の行動は冷静であったと受け止めており、金融経済教育などを通じ、長期・積立・分散投資の考えが広まっていると感じている。引き続き、金融経済教育の推進や適切な情報発信を行っていく必要がある。
  • 仮に株式市場の低迷が長く続くようなことがあった場合に、個人投資家に対してどのようなメッセージを発信していくかはよく検討する必要がある。ただし、あくまで株式市場は実物経済の鏡であることから、実物経済の低迷を個人投資家の投資によって株式市場からどうにかしようということではなく、経済全体の動きを所与としたうえで、個人投資家がとるべき行動を検討し発信していくことが重要である。
以上

※座長、メンバー各位による率直かつ自由な意見交換を確保するため、議事録は非公開とします。

(参考)開催実績

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