店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会(第2回)議事録

平成30年3月12日
 
 

【池尾座長】  
 それでは、永沢メンバーが到着遅れられているようですが、定刻になりましたので、ただいまより、店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会の第2回会合を開催いたしたいと思います。皆様にはご多用中のところご参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、店頭FX取引に係る関係者からのヒアリングを行いたいと考えています。
 オブザーバーとして参加いただいております金融先物取引業協会、並びにGMOクリック証券、SBI証券、及びセントラル短資FXの各社、また、東京金融取引所からそれぞれご説明をいただき、その後、まとめて討議とさせていただきます。ただ、会合全体の時間が限られていますので、十分な説明時間を必ずしもとれませんが、資料は事前にメンバーに配られていますので、要点だけご説明いただければと思います。
 なお、SBI証券の髙村オブザーバーは、本日所用によりご欠席ということで、代理で小川取締役経営企画部長にご出席いただいております。
 それでは、早速でございますが、金融先物取引業協会の山﨑オブザーバーからご説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
 
【山﨑オブザーバー】  
 山﨑でございます。それでは始めさせていただきます。
 店頭FX取引の現状とそのリスク管理について説明いたします。資料1をご覧ください。2ページ目の目次にて、今回のプレゼンの概要をご説明します。まず、FX取引とはどのようなものがあるか、また、その現状はどのようになっているか等を説明いたします。次に、現在行われているリスク管理について説明します。この中に、第1回検討会でいただいた質問のうち、協会が回答させていただくものも盛り込ませていただきました。
 3ページをご覧ください。FX取引をご理解いただくために重要な5つの柱と、これから説明させていただくポイントをお示ししております。この番号に沿って説明を進めてまいります。
 4ページです。この表は、取引高で見た上位20通貨ペア別のシェアです。取引のメインはドル円です。近年は約7割を占めております。黄色の部分をご覧いただくと、上位5通貨ペアで約95%超を占めております。多少のシェア内の変動はありますが、ドル円、ユーロ円、ユーロドル、英ポンド円、豪州ドル円で変わってはおりません。
 5ページをごらんください。前回質問にございました、単純平均ではない、取引高を勘案した加重平均を算出したものを加えさせていただきました。色を塗った部分でございます。単純平均11.4%から加重平均7.3%と、4%強低くなっております。
 6ページをご覧ください。このグラフは、投資家がどのような通貨を売買しているかを見たものです。価格が下がると益が出る売り建てを下段に、また、逆に価格が上がると益が出る買い建てを上段としております。一貫して円は売り建てられているのがお分かりいただけるかと思います。これを見る限りでは、日本の投資家は円の売り建てを好み、高金利通貨を買い建てる傾向があるように見えます。
 7ページをご覧ください。ここからは2つ目の、業者の観点でFX取引を説明してまいります。この表は、業態毎に見たFX取扱業者の変遷をまとめたものです。業者数は減少しており、2008年度末と2017年12月末を比較しますと、おおよそ半分となっております。特に、先物専門会社は3分の1程度まで減少しています。ただ、その中には証券会社へと業態変更した業者もいらっしゃいます。GMOクリック証券もその1社です。業者数の減少は、競争激化や管理コストの上昇などにより自主的にFX取引業をやめたことが主な原因で、いわゆる破綻及び登録取消処分により退会した会員は、2008年度から2012年度の間に7社、以降はゼロ社で、また、相場急変を原因とした損失の発生により破綻した業者は、金商法施行以降はおりません。
 8ページをご覧ください。この表は、取引高、預かり証拠金、建玉残高について、店頭取引上位10社への集中度を見ていただくために作成したものでございます。上位の会社への集中度が高いのが店頭FX業界の特徴でもあります。
 9ページをご覧ください。このチャートはFX取引を専門に行っている先物専門会社の業績推移を示しています。1社当たりの営業収益と当期純利益であらわしています。参考に、各年度の全店頭FX業者1社当たりの取引高を表にまとめております。2009年度と2016年度を比較しますと、取引高では4.07倍増加しておりますが、先物専門会社1社当たりの営業収益では18.7%、当期純利益では18.4%の伸びにとどまっております。取引高の増加に比べて営業収益が増加しない理由の1つは、ビッド・オファー・スプレッドが縮小したためではないかと考えております。
 10ページをご覧ください。前回質問にありましたが、店頭FX業者は第一種金融商品取引業者でございます。そのため、自己資本規制比率における諸規則の遵守が求められております。しかし、業者は画一的に業務を行っているわけではありません。業務の規模の大小もあります。また、この分類にお示ししたような6種類のビジネスモデルのいずれかを採用しております。具体的には、左から、顧客取引の約定判断を誰が行うか、顧客同士の取引を相殺する、いわゆるマリー取引の有無、顧客やカバー先との売買成立のタイミング、そして配信価格の生成方法などにより、6種類のビジネスモデルに分類されます。日本では多くの大手FX業者がモデルⅠを採用し、中小の業者はⅤやⅥの採用が多いようでございます。
 11ページをご覧ください。証拠金の管理実務について説明いたします。まず、FX業者は証拠金規制により、顧客から4%以上の証拠金を預かる必要があります。業者は顧客から注文を受けると同時に、証拠金を受託し、注文を約定します。受け取った証拠金は2営業日以内に信託銀行等へ金銭信託し、区分管理されます。また、証拠金規制により、顧客の証拠金口座で残高不足となった場合は、追加証拠金という形で合理的な期間内に不足額を預託させます。協会では毎週、前週分の信託銀行等が発行した残高証明書と区分管理必要額の算出資料を業者から提出いただき、全社分の内容をチェックしております。
 続いて12ページをご覧ください。店頭FX業者の中には、FX取引業務をベースに外貨決済等の新たなサービスを顧客に提供している業者も出てきております。
 苦情の状況でございます。各種法規制、自主規制や各社の取り組みの結果、投資家からの苦情件数は着実に減少しており、2009年度と比べ2016年度では3分の1以下に減少しております。なお、2015年度に苦情が増加した要因は、2015年8月のチャイナショック、同年12月と2016年1月の南アランドの急変の影響と考えております。
 続きまして、13ページのチャートでございます。ここからは3つ目の、投資者の観点からFX取引を説明してまいります。
 これは個人と法人の取引状況です。2010年にレバレッジ規制が個人取引に導入されたことから、法人取引が増加しております。2012年度後半からは、円安を背景として個人投資が急拡大しましたが、一方で法人取引は比較的穏やかな伸びとなり、その後も安定的な取引状況でした。ただ、2017年2月にボラティリティーをベースとした法人取引のレバ規制が導入され、また、その数カ月前から各社が法人取引のレバレッジを自主的に低下させたことから、取引量が減少しております。
 14ページをご覧ください。個人投資家の属性でございます。協会では昨年、「金融先物取引に関する個人投資家の意識調査」を行い、FX取引を行っている135のサンプルを得ております。その結果、個人投資家は決してミセス・ワタナベではなく、男女別では30代男性、職業別では常勤雇用の非管理職、世帯年収は400から700万円の投資家が多いことがわかりました。今年度はFX投資家に的を絞った意識調査を実施しております。集計結果は次年度前期中に、本年度と同様、協会のホームページに公表したいと考えております。
 また、個人投資家は中長期展望の投資手法や相場のサヤをとるような短期の売買など、さまざまな方法で通貨取引を行っているようです。その一例をここに掲載させていただきました。後ほど業者からも説明があると思いますが、投資手法によってレバレッジなどの投資条件を変えているのではないでしょうか。
 15ページをご覧ください。主要会員18社に協力を要請して集計した実効倍率ごとの顧客分布状況、いわゆるレバレッジの分布状況です。レバレッジが10倍未満の顧客数の割合は合わせて64%、建玉残高では51%となっております。これは、クローズ時点の状況であり、前ページにありますスイングやロングの投資手法を採用している投資家がメインとなっているのではないかと考えております。データはありませんが、資金効率を考えれば、投資家はこのような合理的な投資判断をしていると考えられます。日中のレバレッジと分布状況は、後ほど業者より説明いたします。
 ページ16、17は、4つ目の柱、海外の観点からの説明でございます。これは店頭FX業者の決済リスクにかかわる海外の規制動向をまとめたものでございます。
 レバレッジに関しましては、米国では主要通貨は50倍、その他の通貨は20倍となっており、欧州では、原資産のボラティリティーに応じて、主要通貨が30倍、その他の通貨が20倍となっております。ただし、これはESMAによって提示されている新規制案です。ここには記載がございませんが、日本の規制を比較のために申し上げますと、法人取引は130週、26週のボラティリティーをもとに、毎週、通貨ペアごとにレバレッジを計算しております。個人取引はご存じのように、全通貨ペア25倍となっております。
 また、米国ではリスク管理として、ストレステストは半月に1回以上の頻度で求められており、リスク管理プログラムを作成し、独立した部門のチェックを受けることが求められております。
 一方で、ESMAの新規制案では、本邦では既に導入されておりますロスカット制度を標準化したルールとしての導入が検討されております。
 また、未収金の発生に関しては、顧客の預託した証拠金を上回る損失を発生させない仕組みの義務づけが検討されております。
 その他、米国では全データの報告制度、ESMAや英国では四半期での損益口座割合の公表を業者に義務づけることが検討されております。
 18ページをご覧ください。最後の柱、金先協の観点からの説明でございます。本協会は、金融商品取引法第78条に基づく「認定金融商品取引業協会」であり、設立当初には金融先物取引などがメインでした。現在はそれに加え、FX取引や通貨オプション取引など、店頭、通貨、デリバティブ取引を含む金融先物取引を所掌する自主規制機関となっております。
 この表は、FX取引に関する法規制を一覧にしたものです。2009年8月のロスカット規制の欄をご覧ください。金商業府令とありますが、当協会では自主規制で具体的な執行方法等を定め、法規制を補完しております。FX取引は、金融商品として適正な商慣行を確立するために、さまざまな規制が追加されてきました。FX取引の3規制と言われている、証拠金の信託会社への金銭信託の一本化、ロスカット規制、そしてレバレッジ規制です。この3規制を柱として、近年では業界全体の成熟化を図ることを目標に、FX取引業者の業務体制について、ストレステストなど、自主規制による取り組みを進めております。なお、FX取引業者の本協会への加入は強制ではありませんが、100%加入している状況になっています。
 19、20ページに協会の活動を紹介させていただいております。自主規制団体としての本協会は、ルールメーキングのほかに、外務員登録も国からの委任事務として行っており、特にFX取引に従事する外務員には資格試験を実施しております。
 監査業務につきましては、実地監査はFX取引会員を中心に年間20社程度、モニタリング監査は自主規制対象会員全社に行っております。このモニタリング結果を踏まえ、オンサイトの特別調査を行っております。
 協会処分の実施状況は、規律委員会にて、会員及び外務員処分を検討していただいており、これまでの処分実績は、会員処分が40件、外務員処分が26件でございます。また、処分に対する不服申立制度を新設し、不服審査会が設置されております。
 以上で、FX取引とその現状についての説明は終わります。ここからは、現在行われているリスク管理について説明してまいります。
 21ページをご覧ください。リスク管理の基本的な考え方は、損失の発生を想定内にコントロールし、最悪でも店頭FX業者が破綻しないことを基本としております。そこで、リスクの範囲を信頼水準99%の期待損失と、それを超える1%をテールリスクとして捉えて管理が行われています。それをイメージしていただくために作成したのがこちらの図です。つまり、想定される市場の変動に対して、証拠金が見合っているか、想定を超える急激な相場変動により業者に損失が発生しても、資本金でカバーできるかを管理することでございます。前者をレバレッジ規制とロスカット規制、後者をストレステストによって管理しております。また、業者のリスク管理全般は、監督指針、自主規制に沿って行われております。
 22ページをご覧ください。99%の信頼水準は、FMI原則及び金融庁告示にて定められております。告示で規定されている方法で法人レバレッジを計算したものがこの表でございます。上の表は、平成30年1月の最高と最低のレバレッジを示しており、下は昨年1年間のレバレッジでございます。99%の期待損失範囲のレバレッジを実際の為替市場のボラティリティーで計算すると、最も取引量の多いドル円では67.56倍となります。これを考えますと、個人のレバレッジである25倍という数字は、かなり保守的な管理となっております。前回会合で金融庁が配付したFMI原則に対する対応状況表において、証拠金の原則においても、店頭FX業者に○がついているのも、この点によるものと考えています。
 23ページをご覧ください。99%の期待損失を管理するもう一つのツールであるロスカット規制は、内閣府令や監督指針によりさまざまなルールが定められております。
 続きまして、24ページをご覧ください。ロスカットに関する自主規制として、協会ではロスカットを発動する基準値であるロスカット水準や、ロスカットの執行を判定するモニタリング間隔を定める最低基準を会員に明確にしております。一例を申し上げれば、レバレッジが25倍の場合、ロスカット監視間隔が1分以内であれば、乗数の0.6を25倍に乗じた15%まで証拠金が減少した場合にロスカットを執行いたします。
 25ページをご覧ください。このように、ロスカット制度は法規制を補完する形で、自主規制による最低基準を設け、その上に各社のロスカットルールを定めております。協会は実地監査等で体制整備状況やロスカットが適切に行われているかをチェックしております。各業者のロスカット執行状況は、後ほど業者の方より説明されると思います。
 26ページをご覧ください。これは契約締結前交付書面の記載例です。ロスカット水準が50%を下回った場合に、反対売買の手続を行うことを説明しており、相場の状況によっては、いわゆる未収金が発生する可能性があることを明記しております。ちなみに、昨年3月に書類監査を実施したところ、業者の半数程度が記載例では50%となっている水準を100%としておりました。また、ロスカット方式では、現状ほぼ全社が口座全体方式を採用しております。
 27ページでは、未収金の発生メカニズムを簡単に説明いたします。未収金の発生は、ロスカット水準と乖離した価格で約定される場合に起こります。ここでは、発生原因別に3つのケースを説明します。
 1のケースは、外為市場の休場や、取引所の価格配信停止のように、店頭市場や取引所市場に価格がない状態が理由によるものです。2つ目の例は、カバー市場である外為市場の相場急変により、いわゆる一時的な流動性の枯渇が起きたことによるものです。最後は、ロスカット監視間隔のすき間でロスカット水準に達してしまった場合です。この場合、次回のロスカット監視時にロスカットがおくれて執行されます。
 次の28ページをご覧ください。このグラフは、ロスカットによる未収金の発生状況をお示ししております。通常、未収金の発生は非常に少ないのですが、ひとたびフラッシュ・イベントが起こると、未収金も発生します。
 具体的な状況を表にしましたのが、次の29ページでございます。未収金の発生市場を、店頭と取引所取引に分け、1件当たりの金額を代表的な8個のフラッシュ・イベントケースとともに記載しております。
 取引量が最も多いドル円取引の急変動は、東日本大震災直後の2011年3月17日の未明でした。このときは、店頭、取引所合わせて1万2,403件、金額で17億2,400万円の未収金が発生しております。ただし、これも1件当たりで見ますと、13万9,000円と少額ですので、業者の未収金回収も比較的進んだのではないかと考えております。
 また、2015年1月15日に発生しました、いわゆるスイスフランショックでは、発生件数は1,229件と、先ほどの例の10分の1程度でございましたが、未収金は33億8,800万円と約2倍の金額となっております。また、1件当たりの金額ですと、個人は171万3,000円、法人は1,565万2,000円となっております。
 これ以外の事例では、先ほどの2例を上回る例はなく、1件当たりの金額もさほど大きくはありません。いずれにしましても、実際に発生した未収金金額は、業者の資本と比較しても、システミックリスクの発生につながるような巨額な数字ではないようでございます。
 30ページをご覧ください。ストレステストについてご説明します。ストレステストの対象リスクは、先ほどご紹介した、前回の金融庁配付ペーパーに記載してあるとおり、未カバーポジションに対するリスク、未収金発生のテールリスク、カバー取引先の破綻リスクです。取引所取引では、未収金発生のテールリスクに対して清算預託金等がありますが、店頭FX業者には、これに対応するものは自社の資本ということになります。そのため、ストレステストによってストレス時の資本の水準をチェックすることは重要です。
 店頭FX業者に対するストレステストは、2年前、協会の自主規制の中で共通ストレステストとして導入され、ようやく2回実施したところです。導入に当たっては、金融庁と詳細な調整を行っています。また、大小さまざまな業者がいるため、簡素かつ極端で非現実的な想定となっており、金融庁のペーパーでも問題点は指摘されていますが、業者の方々からもご指摘を受けています。このため、協会では金融庁の了解のもと、ストレステストの検討会を開催しています。
 31ページをご覧ください。協会では、ストレステストを店頭FX取引において有効な管理ツールにするために、ストレステストワーキンググループを設け、ストレステスト高度化の検討を進めております。また、今回の検討会にあわせて、FMI原則を採用している取引所の清算預託金算定のためのストレステストシナリオを参考に、擬似的なヒストリカルシミュレーション法であるヒストリカルシナリオによる試算を16社に実施していただきました。残念ながら、時間的な制約や技術的な制約により、完全なヒストリカルシミュレーションはできず、擬似的な方法を実施しております。
 32ページをご覧ください。この表は、共通ストレステストとヒストリカルシナリオによる試算を項目ごとに対比させたものでございます。表の下、欄外をご覧ください。ストレスをかけるポジションは、共通テストでは基準日の1日でしたが、今回は基準日に加え、3日に増やしております。
 価格変動率の計算方法は、共通では2008年以降の通貨ペアごとの最大変動、変動幅も日中の高安か、前日と当日のクローズ・デート差のどちらか大きいほうを使用しており、完全無相関です。一方、ヒストリカルは1985年以降の毎日のデータではありませんが、相場が大きく変動した4日分の実データを使用しております。
 対象リスクは、共通テストでは未収金発生リスクをクローズ時点の顧客ごと建玉としておりましたが、ヒストリカルではクローズ時の顧客建玉をネットいたしました。また、預かり証拠金額も、当日クローズ時の顧客ごとの残高から前日クローズ時の必要証拠金に変えております。
 カバー取引先破綻リスクでは、ヒストリカルではG-SIFIsも含む場合も計算しております。
 33ページの表で、共通ストレステストとヒストリカルシナリオによる試算の結果を比較しております。2段書きになっておりますヒストリカルシナリオによる試算の結果欄は、上段が第2回目のテストで、自己資本規制比率が120%割れであった会社が、ヒストリカルシナリオでテストをして、その結果、120%割れとなった社数です。下段は上段の会社以外の業者が120%割れしている社数です。上段と下段の数字を足していただくと、16社のテスト結果となります。
 表中の括弧内の数字は、共通テストによって自己資本規制比率が120%を割れた会員のうち、今回の試算を行った会員数です。比較結果を見ますと、第2回目のテストで、未カバーリスク、未収金発生リスクとも、120%割れの会員数は、ヒストリカルシナリオによる試算ではゼロとなっております。
 また、カバー取引先破綻リスクは、G-SIFIsを除いた場合も、含めた場合も、第2回目のテストで120%を割れた3会員は、ヒストリカルシナリオによる試算では120%を割れませんでした。
 同様に、統合リスクでも、5会員が第2回テストで120%を割り込んでおりましたが、今回のテストでは、G-SIFIsを含む場合、含まない場合も、120%割れする会員は3社、4社と減少しております。
 34ページは、今回実施しましたヒストリカルシナリオによる試算結果をまとめたものです。通貨の相関が反映された影響などにより、未カバーリスク、未収金リスクが減少した会員は多いものの、共通テストの基準日を3日としたため、偶然基準日のポジションが小さかったり、大きかったりする要因から増加した会員も見られました。また、G-SIFIsを含めたことで、カバー先をG-SIFIsに集中していた会員は最大損失額が増加する結果となっており、このような原因から5社が120%割れとなったと考えられます。信用度の高いG-SIFIsを最大カバー策として取引を集中させていることで、120%割れを起こすというストレステストシナリオとしては悩ましい問題です。前ページの説明にありましたとおり、今回は第2回共通テストを実施した全会員にヒストリカルシナリオによる試算を実施していただいたわけではありません。そのため、単純に比較することはできませんが、この結果を踏まえ、ストレステストワーキンググループでもシナリオ、手法等の高度化、精緻化に向けた検討をお願いしたいと考えております。
 35ページをご覧ください。協会では会員にストレステストを使用した為替リスクの管理を定着させるために、規則を改正し、昨年10月より施行しております。また、監査部はストレステストの結果、自己資本規制比率が120%割れとなった会員に対し、リスク認識や対応の予定をヒアリングし、当局と情報共有を行っております。このように過度に保守的なシナリオ下でも未収金発生、未カバーポジションに対する資本確保は相応に対処できている状況ではございますが、カバー取引先リスクのシナリオなど、今後も引き続き検討が必要と考えております。
 次に、36ページをご覧ください。未カバーポジションの状況についてのご質問に対して、主要会員18社から回答を得たものでございます。1.は2017年3月9日を基準日とし、日中とクローズ時点のネットオープンポジションを比較しています。ご存じのとおり、FX業者はさまざまなビジネスモデルがあり、クローズ時点のポジションをスクエアにする業者や、ポジションリミットを設けてオーバーナイトリスクをキャリーする業者もおります。ピーク時のポジションでは、1%の変動で約22億円損益が変化することになります。
 また、2.は、取引シェアの多いドル円について、基準日の日中未カバーポジションが最大になった時点のカバー取引の状況です。90%以上のカバー率の業者が18社中11社、90%未満から50%以上が2社、そして50%未満が5社となっております。
 最後の37ページをご覧ください。カバー取引額と決済額の関係を描いたものです。通常、店頭FX業者は多数のカバー取引を2営業日後に決済をするスポット取引で行っています。ただし、最終的な決済額は取引をネッティングすることでぐっと圧縮され、通常は1つのカバー先で1個の決済取引となります。前回の金融庁配布の資料にありましたように、多額のカバー取引を店頭FX業者が行っておりますが、このように決済金額は圧縮されております。
 以上で説明を終わります。
 
【池尾座長】  
 どうもありがとうございました。
 それでは、引き続き、オブザーバー3社提出資料につきましてご説明いただきますが、まずは、セントラル短資FXの松田オブザーバーから資料2の説明をお願いいたします。
 
【松田オブザーバー】  
 資料2に基づきまして、当業界の本件に関する基本認識をお伝えします。これは、大手業者全てを含む店頭業者約20社の意向を、今回の検討会に向けて集約したものです。
 第1に、先ほどの説明のとおり、店頭業者はこれまで協会を通じて、当局とも密接に連携しながら、決済リスクを含むさまざまなリスクを顕現化させないための相当高度な手法を整備してきました。
 第2に、とかく店頭FX市場の大きさが強調されますけれども、これと業者が負っているリスクの規模とは同義ではありません。リスクの大きさはさまざまな取引をネットアウトして、圧縮されたポジションの大きさと基本的に相関します。しかも、これイコールリスクですらなく、リスクにさらされる対象は、これをはるかに下回ります。市場が拡大しましたのは、むしろルールの整備やリスク管理の向上、サービスの改善に関係者が努めた結果、利便性や安心感が高まったことで投資家に好まれたからという面も大きいと思います。
 第3に、多彩な通貨を機動的かつ低いコストで投資できる手段、また、為替リスクをヘッジする手段としてのFX取引の効用は広く認知されています。
 第4に、前回検討会で問題提起がありました、社会的、経済的効果としましては、外国為替市場に高い流動性を提供することで、東京国際金融市場の発展に寄与していると考えています。
 第5に、経済の実態を反映しない形で相場が一方的に振れる、いわゆるオーバーシュートに歯止めをかけて、市場を安定させることもよく知られています。
 最後に、業界から本席の皆様へのお願いでございます。前回資料にもございましたFMI原則の中には、個別の金融業者が考慮すべき点ももちろん含まれております。しかし、本来は、清算機関や取引所といった多数の業者の取引を1カ所にまとめて取り扱うインフラを担う主体を対象にしたものだと認識しています。
 また、システミックリスクにつきまして、預金取扱金融機関の破綻なり支払不能が、いわば金詰まりを起こして、連鎖的に決済が滞ってしまうといった古典的なパターンだけをそう呼ぶべきと申し上げるつもりはございません。しかし、外為市場のような24時間無数の主体が取引している巨大で奥行きの深い市場で、仮に1つ、あるいは複数の店頭FX業者が破綻したときに、システミックと呼ぶべきリスクの拡散が生じる事態というのは、正直なところ、当業界や外為関係者にはなかなか想像しがたいところです。
 僣越ではございますけれども、どんなリスクを懸念するのか、今、そのために何が不足しているのか、いないのかといった見極めを出発点としていただきまして、他の業界や、ある程度性格を一にする金融商品等に対する規制とバランスをとる形での議論をお願いしたいと思います。
 以上です。
 
【池尾座長】  
 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、GMOクリック証券、鬼頭オブザーバーよりご説明をお願いいたします。
 
【鬼頭オブザーバー】  
 GMOクリック証券の鬼頭でございます。今回はご説明の機会をいただき、まことにありがとうございます。資料3に沿ってご説明いたしますが、内容が多岐にわたりますので、ポイントを絞ってご説明させていただきます。なお、当社は業界最大手であり、顧客取引が非常に活発である点、事業の中で未カバーポジションリスクを負っている点、店頭、取引所の双方で大きなシェアを頂戴している点が特色でございます。
 前回、挙がっていた3つのリスクに関し、当社の対応状況をご説明いたします。未収金リスクの対応について、6ページをご覧ください。なお、7ページ、8ページに参考資料を添付しております。まず、未収金抑制につながる自動ロスカットにつきましては、2016年に店頭FXシステムを全面リニューアルし、高速化するなど、システム性能の改善に注力しております。建玉上限の引き下げにつきましては、昨年末にくりっく365で新興国通貨ペアの建玉上限を引き下げました。また、ブレグジットの際には、ポンドの価格が大幅に変動することが想定されたため、店頭、取引所ともにポンド系の通貨ペアで一時的に建玉上限の引き下げを実施いたしました。証拠金率の引き上げにつきましては、店頭の法人取引において、法令上の証拠金率が1%を下回る場合は、一律で1%を適用しております。未収金リスクにつきましては、店頭、取引所共通課題のため、対策も店頭、取引所双方のものを取り上げております。
 次に、当社のカバー先破綻リスクの対応策をご説明いたします。9ページをご覧ください。まず、カバー取引における決済先の対象は、他の金融機関よりも厳しい規制が適用されるG-SIFIsに限定しております。G-SIFIsであれば、破綻リスクが極めて低いものと考えております。カバー先の格付をモニターし、投資適格を満たさなくなった場合等、他のPBに付けかえるかを判断することとしております。また、PBの破綻時に、現金担保が返還されないリスクへの対応として、LGの活用により、PBへの現金預託を最小化するよう努めております。
 続きまして、未カバーポジションリスクの抑制策をご説明いたします。11ページをご覧ください。①ですが、日中最大ポジションは、自己資本規制比率が200%を割らない値の範囲内で設定しております。日中ポジションの上限値は毎月の取締役会で決議を行っております。
 ②ですが、カバー取引は全てシステムで自動化しております。システムで設定する実際の保有ポジションの上限値は①で決議する上限値よりも相当、保守的な値を設定しております。この上限値も過去の取引データ、相場データをもとに、データ解析をした上で決定しており、リスク管理の定量化に努めております。
 ③ですが、担当部署が24時間体制でシステム稼働状況を監視し、トラブル発生時には早期に解決できるように努めております。また、担当部署に対する牽制として、リスク管理部門によるモニタリング結果を毎月の取締役会に報告しております。
 なお、万が一、各リスクが顕在化した場合の対策として10ページに記載のとおり、資金調達額の確保、拡充に努めております。また、12ページのとおり、金先協会主催のストレステストを毎月実施し、結果を毎月の取締役会に報告し、必要な措置を適宜講じることとしております。このような一連の枠組みにより、未カバーポジション管理について、PDCAをきちんと回し、また、会社としてガバナンスが機能するよう体制を構築しております。
 続きまして、顧客のレバレッジについてご説明いたします。4ページから5ページをご覧ください。4ページは当社の店頭FXにおけるレバレッジの状況です。日中では、レバレッジ10倍を超える取引が全体の85%以上というのが顧客取引の実態でございます。仮に、レバレッジ10倍となった場合は、強制決済も相当数発生することとなり、顧客影響やマーケットのインパクトも極めて大きいと考えております。
 5ページは、当社のくりっく365のグラフとなります。くりっく365は、レバレッジが全体的に店頭FXよりも低い状況でございます。このように、店頭と取引所でレバレッジ分布が大きく異なるのは、顧客の通貨選好によるところが大きいと考えております。
 14ページと15ページをご覧ください。14ページに店頭、15ページに取引所、それぞれ当社顧客における通貨ペア別の取引金額の割合を示しております。店頭はドル円が圧倒的で、一方、取引所は南アフリカランドやトルコリラの割合がかなり高い状況でございます。
 メジャー通貨への選好が強いかわりにレバレッジの高い店頭に対し、リスクが高い新興国通貨への選好が強いかわりにレバレッジの低い取引所という対照的な状況ですが、いわば、顧客が通貨固有のリスクとレバレッジの間でバランスをとっていると言えるのではないかと考えております。
 なお、顧客属性については、16ページから17ページに記載しておりますが、店頭と取引所で大きな違いはございません。
 時間が迫っておりますので、ご説明は以上とさせていただきますが、前回の検討会で挙がった委員の皆様からのご質問について、当社から答えられる部分を各ページに記載しております。あわせてご覧ください。
 以上でございます。
 
【池尾座長】  
 大変どうもありがとうございました。
 続きまして、SBI証券小川取締役経営企画部長よりご説明お願いします。
 
【小川代理オブザーバー】  
 SBI証券の小川でございます。資料4をご覧ください。
 弊社は現在、インターネットで日本株、外国株、FX、投資信託、債券とさまざまな金融商品を取り扱うとともに、事業法人、金融法人等の取引、いわゆるホールセールビジネスも展開している証券会社でございます。手前どものインターネット証券ビジネスは、おかげさまで口座数410万口座を超えまして、インターネット証券の中では、最も多くのお客様にご支持いただいております。本日は、取扱商品の1つであり、全口座の実に約20%が口座開設しております、店頭FXについて、当社のリスク管理やお客様の状況などについてお話しさせていただきます。
 頂戴しております5分というお時間では全てご説明できませんが、ポイントを絞ってお話しさせていただきます。
 右下のスライド番号2ページ目をごらんください。(1)から(3)のリスクについて、ご説明をさせていただきます。(1)の顧客未収金リスクの管理につきましては、ご覧のとおりの内容で、日次にてお客様のモニタリングを実施しております。その全てをシステム化しておりまして、正確性を担保しております。また、為替相場の変動を常時モニタリングしておりまして、変動時にお客様の損益状況を精査しております。
 (2)、(3)のご説明の前に、5ページ目をごらんください。こちらは弊社のFX事業のビジネススキームの図でございます。弊社、SBI証券の中のFXサービスでございますが、顧客に提供する取引システムやカバー取引等を、弊社100%子会社であります、SBIリクイディティ・マーケット社に担ってもらっております。よって、お客様からの取引は、即時にシステムによって――以後、LM社と言わせていただきますが、LM社にフルカバーしており、弊社に自己ポジション、未カバーポジションは発生しない仕組みとなっております。
 一方、右にございます、LM社でございますが、カバー取引、レート生成、システム運用全般を担っております。そうすることで、お客様との利益相反を排除できる体制が整っていると認識しております。例えば、SBI証券の利益のために、無理な自己ポジションの保有であったり、顧客不利なレート配信などができない体制となっております。また、その先にございます、一番右のLM社のカバー先でございますが、現在、30行以上ございまして、内G-SIFIsが10行以上となっております。
 このLM社とカウンターパーティーとのカバー取引につきましては、ポジション上限ルール、モニタリングルール、ポジション解消ルールなどを整備し、運用を行っております。さらに、そちらにカバー取引のところに吹き出しがございますが、東京、ロンドン、ニューヨーククローズの1日3回、ポジションをスクエアにすることで未カバーポジション、いわゆるネットオープンポジションを最小化しております。
 お戻りいただいて、2ページ目をご覧ください。2ページ目の(2)、カウンターパーティーリスクにつきましては、ご説明のとおり、直接的にはLM社がリスクとなるわけでございますが、弊社の子会社でもあり、SBIホールディングスを含むグループ全体で債務の履行、信用力を補完し、顧客取引を保全しております。仮に、LM社に何かあったとしましても、弊社、もしくはグループが履行主体となりまして、相手先銀行と決済を行うことで、弊社グループ起因での外為市場におけるシステミックリスク顕在化を回避できると考えております。
 (3)、未カバーポジションリスクでございます。こちらも先ほどご説明のとおりでございますが、LM社につきましては、1日3回のポジションスクエアなどにより、リスクの最小化を行っております。一方、弊社では、日次でネットオープンポジションを入手しまして、他の為替リスクとあわせまして、バリューアットリスクを算出し、下の矢印にありますとおり、経営報告を行っているという管理をしております。
 おめくりいただきまして、3スライド目をご覧ください。こちらはFX及びデリバティブ商品のレバレッジの推移でございます。カラーの方は見えると思いますが、赤いグラフがFXのレバレッジ、青い線が日経平均先物のレバレッジ、緑の点線がくりっく株365、CFDのレバレッジでございます。他のデリバティブ商品と比較しましても、FXのレバレッジが現時点においては、最も低いというのが見てとれるかと思います。
 おめくりいただきまして、4スライド目をご覧ください。こちらは、弊社の未収金口座数、金額推移のグラフでございます。真ん中にあります紫の折れ線グラフですが、こちらは、3カ月超回収できていない先物オプションの未収金額でございます。一番右を見ていただきますと、2月末で約13億円となっております。一方、赤の折れ線グラフが一番下に出ておりますが、こちらがFXの未収金額でございますが、2月時点で120万円となっております。FXの未収金は先物オプションと比較しましても、件数ベースで10分の1、金額ベースで300分の1にとどまっております。したがいまして、複数の金融商品を取り扱っております弊社としましては、店頭FXにおけるリスク、特にフィデューシャリー・デューティー上も重要となります、顧客未収金リスク、その他関連リスクは相応にマネジメントできており、店頭FXを取り立てて、過大なリスクがあるという認識は、当社では客観的な数字を見ましても実感がないというのが正直なところでございます。
 私からのご説明は以上でございます。
 
【池尾座長】  
 どうもありがとうございました。
 それでは、再びセントラル短資FXの松田オブザーバーからお願いします。
 
【松田オブザーバー】  
 当社はさきに説明された2社と比べますと、取引高は数十分の1にとどまります一方、顧客の口座数や預かり資産では大きく見劣りするものではございません。これは当社の場合、中長期で投資される顧客の比重がかなり高いためです。当社は資本関係などの面で、伝統的な金融のイメージに一番近いと思われている会社ではないかと思います。以下、当社に特徴な点を中心にご説明します。
 2ページのとおり、当社の親会社は、金融機関同士の日々の膨大な資金のやりとりの仲介をしております短資会社です。そういうこともございまして、当社の顧客の特徴は、中長期的な視点での外貨投資の対象として利用される方が多いことと、ヘッジや現実の外貨調達といった実需に基づく取引をされる方が多いことです。これは、他社と比べまして、顧客の建玉の保有期間が長く、また、レバレッジが低いということに典型的にあらわれております。
 次の3ページのグラフでございますけれども、縦の線が平均の4.6ですが、これでご覧いただきますと、当社の場合、右の大体7倍を超えるレバレッジで取引されておられる方というのは、かなり少なくなっております。
 次に、業者が抱える3つのリスク管理方法です。4ページをご覧ください。未カバーポジションの管理につきましては、ソフトリミット、ハードリミットなど、他の2社と異なった言葉を使っておりますけれども、やっておりますことは基本的に同じです。当社では、日中の上限を保守的に設定しておりますだけでなくて、ディーラーが日中、3交代しますときには、当社の抱えるポジションはゼロにしております。
 それから、次の5ページですけれども、未収金リスクとの関係で申しますと、当社では、未収金リスクの発生の原因となりがちな追加証拠金制度は採用しておりません。顧客が建てられるポジションの上限を保守的に設定しまして、ロスカットを厳格に実施する形で発生を防いでおります。
 次の6ページでございますけれども、具体的には顧客の口座を、その時点で清算した場合の価値が取引を継続するのに必要な証拠金額を割り込んでいないかということを、その余裕度がどれだけ下がったかに応じまして、つまりロスカットが行われることになるレベルにどれぐらい近づいたかということに応じまして、一層短い間隔で監視しております。最短は右の表のとおり、1秒になっております。
 次に7ページですけれども、カウンターパーティーリスクに関してですが、こちらを回避すべく、当社がポジションを持つ先は、G-SIFIsに当たる3つの外銀に限定しておりまして、かつ、これらの3先にポジションを分散することで、万が一の場合のバックアップとしております。
 次に8ページでございますが、過去のリスクイベント時はどうだったかということですけれども、これまでのところ、業務の継続に大きな影響を与えるような事態は避けられております。ただ、今後とも、さまざまな事態を想定しつつ、リスク管理の高度化に努める所存であることは言うまでもございません。
 最後に、参考までに、取引高との対比で、どのぐらいの額が実際の決済につながるか、これは資料には用意しておりませんが、参考計数を口頭で申し上げますと、例えば、ある1日ということで、先ほど来出ています、約1年前の3月9日の当社のドル円の取引高は780億円でした。このうち、決済の対象となりましたのは、売り買いの取引を全て差し引きした後のネットのドル買いポジション62億円です。780億円に対して、62億円です。実際に受け払いされたのは、そのポジションの価値が決済時点までの市場の価格変動によって増減した分、これは当日で言いますと、2,400万円でした。ですから、取引高との対比でいうと、約3,000分の1だったという計算になります。
 以上でございます。
 
【池尾座長】  
 どうもありがとうございました。
 それでは、最後に東京金融取引所の伊藤オブザーバーからお願いいたします。
 
【伊藤オブザーバー】  
 東京金融取引所の伊藤でございます。それでは、取引所のほうからは、為替証拠金取引の特に今回問題となっております、信用リスクの管理の現状について、ご説明いたします。
 2ページをご覧ください。取引所の為替証拠金取引は、2005年7月に上場いたしました当初から、信用リスク管理体制を構築しております。主立ったところでは、清算参加者の破綻に備え、証拠金のほかに、清算預託金及び違約損失積立金を整備しております。また、清算預託金は、当時では、基準日から過去1年間の相場変動をもとに算出するということで対応してまいりました。
 その後、世界的な金融危機、いわゆるリーマンショックがございまして、金融市場インフラのための原則、いわゆるFMI原則が策定され、その上で監督指針が制定されたということです。この監督指針において、取引所、清算機関については、参加者に対する信用エクスポージャーを的確に管理し、証拠金制度、その他の制度、手法を組み合わせ、参加者の決済不履行等から生じる潜在的な損失を制限し、極小化することが求められたということでございます。
 このFMI原則、あるいは、監督指針に従いまして、従来のリスク管理体制を見直し、さらに強固な体制にしたということでございます。
 3ページでございますが、こちらは監督指針による信用リスク管理の主な着眼点ということで6つほど書いてございます。そのまま書いてきたものでございますが、その中で、特に下線を引いた部分がこれから説明するところになりますので、読ませていただきます。証拠金などの事前拠出型の財務資源を用いて、各参加者に対する信用エクスポージャーを高い信頼水準でカバーしていること。次に、極端であるが、現実に起こり得る市場環境を念頭に置き、事前拠出型の財務資源に限らない追加的な財務資源も含めて、ストレスシナリオを十分にカバーするだけの財務資源を保持していること。上記の必要財務資源について、厳格なストレステスト等により、その十分性を定期的に検証することとされております。
 4ページを見ていただきまして、先ほど監督指針で書いてございました信用エクスポージャー、それから、これから説明する想定損失額の概念について、簡単にまとめております。
 信用エクスポージャーとは、極端だが現実に起こり得る市場環境として想定する価格変動、いわゆるストレスシナリオにおいて参加者が破綻した場合に発生すると想定される損失をいうということで定義されます。
 私ども取引所では、この信用エクスポージャーの算出におきまして、2つのシナリオを用いております。
 一つが、一定のサンプル期間における過去最大の相場変動を用いるということで、これはいわゆるヒストリカルシナリオと呼んでおります。
 2つ目が、フォワードルッキングな仮想シナリオを適用したストレスシナリオ。
 1番目の一定のサンプル期間ということでは、1985年1月2日以降、毎営業日の価格変動を使用しております。したがいまして、ブラックマンデー、湾岸戦争、アジア通貨危機等これらを全て含むことになります。
 また、仮想シナリオにおきましては、価格変動のデータより得られたリスク特性、いわゆる主成分の数値を増減し、組み合わせることで仮想シナリオを作成しております。
 このヒストリカルシナリオ、そして仮想シナリオ、おのおののストレスシナリオに基づいて、各清算参加者の建玉残高から発生し得る損失額を算出いたします。そして、この損失額の最大1社プラス純資産額下位2社、これは財務基盤の脆弱な先というようなことで考えております。これらを想定破綻参加者と呼んでおりますが、この破綻に伴い発生すると想定される損失額が最大となるシナリオを採用し、想定損失額としております。
 5ページ目がその具体的な絵という形になります。まず、黄色の棒線で書いてありますところが、先ほど申し上げました極端ではあるが現実に起こり得る市場環境を想定するということで、ストレスシナリオに基づいて、この想定損失額を算出いたします。
 そして、事前拠出型の財務資源、これは証拠金、違約損失積立金、清算預託金、これらによりまして、この想定損失額を100%カバーする体制ということになります。
 ちなみに清算預託金というのは、清算参加者が清算機関に預託する金銭といったことで、実際に決済不履行等で損失が発生した場合に充当することを目的としています。
 また、違約損失積立金は、私どもの準備金ということで、自己資本になります。
 実際に、日次で私どもはこのストレステストを行ってまいりまして、想定損失額を算出しております。ここ2年半ほど新たなFMI原則に基づいて、日々算出した中での過去最大の想定損失出額ということでいいますと、568億円でした。
 これに対しまして、カバーの金額ですが、証拠金、これはあくまで所要額ということになります。こちらが90億円、私どもの自己資本である違約損失積立金が28億円、そして、清算参加者の方から預託していただいた金額が450億円というようなことで、こちらをカバーしたというようなことでございます。
 逆に言いますと、証拠金額というのは、この想定損失額の中では約16%ということになります。また、私ども取引所、あるいは清算機関は、この清算預託金制度を持っているがゆえに、こういった対応ができるというようなことで、仮にこの清算預託金がなければ自己資本もしくは証拠金でこれをカバーしなければいけないという形になります。
 次に、極端ではあるが現実に起こり得る市場環境を想定しても、なお不足が生じた場合には、他の清算参加者からさらに追加の預託金を徴求するというようなことになっております。
 次に、6ページに移っていただきまして、信用リスク管理ということでは、先ほど申し上げましたように、想定損失額につきましては、日々のストレステストに基づいて算出しております。
 そして、事前拠出型財務資源が想定損失額を上回るということを日々確認しております。
 仮にこの等号が逆になった場合には、ストレステストの見直しを実施するとともに、臨時で清算参加者に追加負担を求めることとしており、実際に2015年7月以降、3回ほど臨時見直しを行い、追加負担を求めたという実績がございます。
 最後に、8ページになりますが、これは取引所FX取引の流れということを簡単にお示ししています。マーケットメーカー6社のレートから、取引所のほうでお客様にとって最もいいレートを選別いたしまして、それを取引参加業者様のほうにレートと金額をお送りする、そのレート、金額をそのまま取引参加業者の方は投資家に送るというような形で、逆に約定となった場合は、この流れが逆になるというようなことです。
 こちらでは、マーケットメーカーと取引参加業者というのを別々のような形にしておりますが、これはあくまで役割が異なるということであって、いずれも取引所の取引参加者という位置付けで変わりはございません。すなわちマーケットメーカーからも証拠金と清算預託金を預かっているというような状況でございます。
 ご説明は以上です。
 
【池尾座長】  
 どうもありがとうございました。時間的制約が厳しい中でご協力いただきまして、まことにありがとうございました。
 それでは、討議に移りたいと思いますので、まずはメンバーの方々で、どなたからでも結構ですので、ご質問あるいはご意見等ございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 じゃあ、上柳さん。
 
【上柳メンバー】  
 ありがとうございました。いろいろ伺いたいのですが、なるべく絞ります。協会の山﨑様にお伺いしたいのが2点ございまして、1つは17ページのところで、諸外国の規制、案も含めてご紹介いただいておりますけれども、特に私が興味を持ちましたのが、17ページの下のほうの④のESMA、損失を生じさせない仕組みを義務づけるというものですけれども、これが具体的にどのような仕組みなのか、それについて協会のほうとしてどのように評価されているのか伺えればと思います。
 さらに、アメリカの取引データを全部提出させるというのも興味深いと思いましたけれども、いずれにしても、このように総合的な取り組みをしているというところは大変注目できるところではないかと思いました。
 もう一つは、35ページのストレステストを新たにやっていただいて、それを、本文上から3行目ですが、経営に反映していくことを求めておりと書かれておりますけれども、具体的にはどのようなことなのか、フォローアップはどのようにされているのか、あるいはされようとしているのか伺えればと思います。
 協会についての質問だけにします。
 
【池尾座長】  
 じゃあ、山﨑さん、お願いします。
 
【山﨑オブザーバー】  
 それでは、簡単にご説明させていただきます。
 まず、17ページの未収金発生のところで説明させていただきましたESMAによる、ネガティブ・バランス・プロテクションという仕組みでございますが、私どもが理解している範囲で、ESMAの市中協議文を簡単にご説明させていただきますと、要は、証拠金取引の中で当然ながら損が発生していきます。それがどんどんと証拠金が評価損という形で減っていきます。
 評価損が減ってきた場合に、ESMAにはポジションごとと口座全体、2つの選択肢がありますが、ポジションごとでするのは少し業者の業務負担が大き過ぎるということで、口座全体として、最終的に口座に残っていた証拠金の範囲内で損失を確定させる。言いかえてしまいますと、証拠金がゼロになった時点でリスクが投資家から業者のほうに移転すると、そのような仕組みでございます。
 ただ、これはあくまでもまだ提案というところでございますので、これが実際に採用されるかどうかというのはわかりません。
 あと、取引データのところでも、先生からご指摘いただいておりますが、アメリカのNFA、これは先物取引を所掌する自主規制機関でございます。もともと取引所のデータチェックをこの機関はしておりました。その仕組みの中に新たに店頭FXのデータを徴求してチェックをするというような発想があり、これが実施されたと理解しております。
 ちなみに本邦のルールでは、私どもは自主規制機関として、データの徴求はしていないのですが、データの保存を業者に義務づけております。3年間のデータ保存を、自主規制規則で義務づけております。何かあれば、私どもはその時点でデータ提供を受けてチェックをするというような体制をとっております。
 あと、ご質問ありましたストレステストの結果の対応というところでございますが、35ページのところでございます。経営に反映していくことを求めておりというところでございますが、これは先ほどの私の説明の中で申し上げましたように、まだテストの実施が2回で、2年間の実績しかございません。
 この規則を施行しましたのは昨年の10月でございます。当然ながらストレステストは、先ほどもご説明しましたように、業者の資本金とリスクをチェックしていくということは非常に重要なポイントだと理解しております。
 ただ、業者の方々は大きいところから小さいところまであり、こちらにご出席いただいています方は非常に大手の方でございますが、逆に小さいところもございますので、ルールとしまして一律にやっていかなきゃいけないというところでございますので、適用に対してより厳しいものを求めていくというのは、今後、検討していかなければならない部分と思っています。
 また、施行させていただきまして、私どもの監査のほうで120%割れの業者に対してはモニタリングをし、それをご当局と情報を共有させていただくという過程の中では、今後、新たに実効的にどのようにガバナンスを高めていくべきかというような課題が出てまいります。それをまたブラッシュアップしていくというような段階だということで、ご理解をいただきたいと思っております。
 以上でございます。
 
【池尾座長】  
 じゃあ、黒沼さん、お願いします。
 
【黒沼メンバー】 
 未カバーポジションのリスク管理とロスカットについてお伺いしたいと思います。
 まず、協会の資料の24ページにロスカット制度が説明されていますが、基準を下回らないようにロスカット水準を定めることを求めている一方、ただし書きで例外を設けているんですが、これはロスカット基準を下回ってもよいということを意味しているのかということを伺いたいと思います。
 そして、次のページで協会の規則よりも厳格な水準でロスカットルールを運用している業者が多いということですが、これは、例外が認められていると、それを下回る基準でやっているところもあるということなのかをお伺いしたいと思います。
 そして、GMOクリック証券さんにお伺いしたいのですが、11ページのところで、社内規則によって未カバーポジションの管理体制を設定していると、これは自己資本規制比率を保てる範囲で設定するということですが、この未カバーポジションは最小化するのではなくて、それ以外の基準で上限額を設定するというやり方をとられているのかなと思ったのですが、もしそうだとしたら、その場合の判断基準というのはどういうところに求めておられるのかということをお教えいただければと思います。
 
【池尾座長】  
 じゃあ、お願いできますか。
 
【山﨑オブザーバー】  
 黒沼先生、ありがとうございます。ご質問にお答えさせていただきます。
 例外というのは、もちろん私どもの協会の最低水準ということでございますので、この基準を満たすような例外、先ほどもいろいろ申し上げましたが、価格配信とか約定の仕方でいろいろとやり方が業者ごとに異なっているというのが、一つ大きな特徴でございます。そのために私どもが最低基準というのを提示させていただいても、その基準をクリアするような別のやり方があれば例外として構わないとの考えでございます。ここで一つ例として出させていただいておりますのは、逆指値でございます。逆指値というのは、あらかじめ投資家が、この水準でロスカットをしてくれと、そのような約定注文を業者との間でするというところでございます。
 業者は強制ロスカットに代わって、お客様の意思で置かれた指値注文、要するにロスカットをしてくれという指値注文でロスカットをしている、その水準が最低基準を下回らなければ、例外としてそれを認めていいよということでございます。
 あともう一つは、ロスカットの監視間隔が1分以内の場合と書いてあるのですが、これについては、仮にほぼリアルタイムというような状況が技術の進歩で実現できるという場合は、ほぼリアルタイムでございますので、水準以上に証拠金の額というのは把握できます。そのため、むしろこの水準を守ると後退してしまいますので、このような場合には例外として認めても構わないというような趣旨でございます。
 この規則ができたときと今の状況では、業者様の管理体制の能力は大分変わりまして、先ほどもちょっと申し上げました、証拠金の水準を100%でやっている業者さんが半数以上いるとお話しさせていただきました。多分、その部分で管理制度というのはかなり高まっているのだろうなと思っております。
 先生へのお答え、こちらでよろしいでございましょうか。
 
【黒沼メンバー】  
 そうすると、最低基準を下回っている業者はいないということですね。
 
【山﨑オブザーバー】  
 はい。私どもはそのように理解しております。
 
【黒沼メンバー】  
 わかりました。
 
【池尾座長】  
 鬼頭さん、お願いします。
 
【鬼頭オブザーバー】  
 まず、自己資本規制比率200%を割らない値の範囲内の考え方ですけれども、自己資本自体、または毎月発生する経費の状況によって、未カバーポジションリスク以外の要素は毎月変動しているので、そこを勘案した上で、この未カバーポジションに対して、どれだけのポジション割合が設定できるかといったところを決定しているので、基本的には、未カバーポジションリスク以外の要素というと、そこの部分だけを検討しているということでございます。
 
【黒沼メンバー】  
 なかなか難しくてよくわからないところもあるのですけれども、業者のご説明を聞いていて、SBI証券とセントラル短資FXのご説明では、自分たちは未カバーポジションリスクをできるだけ最小化しているというご説明だったのですが、それと違う政策をとっておられるのかなと感じたものですから。
 
【鬼頭オブザーバー】  
 いえいえ、発想は全く一緒でございます。
 
【黒沼メンバー】  
 わかりました。ありがとうございます。
 
【池尾座長】  
 ほかいかがでしょうか。弥永さんから坂さん。先、弥永さん、どうぞ。
 
【弥永メンバー】  
 ありがとうございます。非常に興味深いご教示をいただきましてありがとうございました。
 幾つか質問させていただければと思います。一つは業者の2社さんにお聞きしたいのですが、GMOクリック証券資料の3ページを拝見すると、プライムブローカーを利用されていると書かれているのですけれども、このプライムブローカーに非常に大きなポジションが形成されるということになると問題はないのかということです。かりに、たとえば、GMOクリック証券さん自身はそれほどポジションを持っておられなくとも、他の業者さんがここに集中してしまうという可能性はどのように考慮されるのかという点をちょっと教えていただきたいと思いました。
 他方、SBI証券資料の5ページでは、プライムブローカーを利用しているということは書かれていないのですけど、こちらは、一旦LM、この子会社さんは30社の中から適切なところをカバー取引として選んで、その先はG-SIFIs以外のところでもプライムブローカーのようなものは使っていらっしゃらないのかという点を教えていただければということです。
 あと、金先協のご報告について、非常に幼稚な質問で申しわけないのですけど、2つほどお聞きしたいのです。35ページで示されている、ストレステストが適切に行われているかどうかという点については、現時点では、すでに、業者さんがストレステストをなさったということは把握されているものの、まだ監査などでは確認している状態ではないのか、それとも既に監査等で、ストレステストを会員企業がなさっているのかということまでチェックされているのかという点をお伺いできればと思います。
 もう1つは、36ページで挙げられている対象会員は非常に大きな企業なので、それでほぼカバーされていると思うのですけれども、対象会員ではない業者においては未カバーポジションリスクへの対応はどのようになっていると協会としては理解されているのでしょうか。モデルⅤ、Ⅵを小規模な業者さんは選ばれていると最初ご紹介されていたので、そうのような小さいところについては、未カバーポジションリスクはあまりないという理解でよいのかというあたりを教えていただければと思います。
 
【池尾座長】  
 では、質問いただいた順ということで、まず、鬼頭さんからお願いします。
 
【鬼頭オブザーバー】  
 まず、プライムブローカーの効果でございますけれども、これはカウンターパーティー各社と取引をしておりますので、そのカウンターパーティー自体のリスクを軽減することを狙っております。
 今度逆に、プライムブローカーに集中するというリスクについては、プライムブローカーについてはG-SIFIs、先ほどちょっとご説明させていただきましたけれども、もともと安全性が高いというか、厳しい基準にのっとって運用されている金融機関に限定することでリスクを極小化しています。かつ、これはまたプライムブローカーが1社ですとリスクが高まりますので、プライムブローカーを複数契約することで、プライムブローカーのリスクも低減しているということでやらせていただいております。
 以上でございます。
 
【池尾座長】  
 では、小川さん、お願いします。
 
【小川代理オブザーバー】  
 資料の5ページ目に、説明不足で恐縮ですが、弊社としましては、ご指摘のとおりLiquidity Market社でございますが、その先につきましては、現在プライムブローカー2社と契約しておりまして、その下にスポークバンクがつながっているという形になっております。
 ちなみにG-SIFIsとの実際取引ですが、約9割がG-SIFIsとの取引となっております。また、銀行のリスクということではCDS、クレジット・デフォルト・スワップの確認をLM社のディーラーで行っておりまして、過去にもCDSが高まった銀行のポジションを減らすなどの調整を随時行っております。
 以上でございます。
 
【池尾座長】  
 それでは、山﨑さん、お願いします。
 
【山﨑オブザーバー】  
 弥永先生、ありがとうございます。まず、ストレステストの実施状況ということでよろしいでしょうか。
 
【弥永メンバー】  
 はい。
 
【山﨑オブザーバー】  
 ストレステストの実施状況を協会はどのように確認しているのかというところでございますが、私ども実地監査というのを定期的に行っております。FX会員では、大体サイクルとして4年に一度程度ということになってくるのですが、昨年10月1日の施行以降、実地監査では、ストレステストの状況をチェックしております。いわゆる協会規則に沿っているかどうかというところをチェックしております。
 また、一方で、モニタリングでも、ストレステストは行っているかということはモニタリングをしております。ただし、先ほどもちょっと申し上げましたけど、まだ10月から開始してから短期間ですので、中小の特に小さいところでは自社で行うというものはなく、共通ストレステストを今のところはそれに代えているという業者がやはり中小では多いという状況でございます。
 あと、先生のご質問にありました36ページの、こちらの18社以外はどういうことなのかというお話をいただきました。業者の中は、中小業者は、いわゆるSTPといいますか、配信元から出てきたレートをそのまま配信しているホワイトラベルという言い方がございますが、そういう業者が中小のほうには多いところでございます。そのため、そもそもポジション自身を持っていないというのが中小でございます。今回の18社を選ばせていただきましたのは、今回の検討会のテーマでございますいわゆる決済リスクに影響があるような大手を集め、そして未カバーポジションを持っているところを集めて、このような結果をご報告させていただいたという次第でございます。
 以上でございます。
 
【池尾座長】  
 どうもありがとうございました。
 それでは、坂メンバー、お願いします。
 
【坂メンバー】  
 ありがとうございました。私のほうからは、ご報告の中身の趣旨を理解する観点から幾つかご質問させていただければと思います。
 主には協会の報告についてなんですが、まず1つ目は、10ページのところで、ここには業者の業態についてご説明いただいているかと思うのですが、10ページの約定判断という欄の意味についてです。ここでは業者が顧客取引の約定を判断するというものと、それから、業者では顧客取引の約定を判断しないという2つの区分けがされているんですが、この意味をもう少し教えていただければということが1つ。それから、先ほどご報告の中でお話があったかと思うんですけれども、全部で6業態の中で、比較的規模の大きな業者さんは、要するに一番上のモデルが比較的多いということで、中小の業者が下の2つのモデルが比較的多いというご報告だったかと思うんですが、そういう理解でよろしいかどうかということが1つ。
 
【山﨑オブザーバー】  
 左様でございます。
 
【坂メンバー】  
 それから次に、ご報告の中のストレステストについてのところですが、ペーパーの中では30ページです。このストレステストの枠組みについての理解は非常に重要だと思っておりますので、少し中身を確認させていただければと思うのですが、30ページの表の中で、顧客不利方向という記述と、それから自社不利方向という記述があります。この言葉の意味ですけれども、顧客不利方向というのが、顧客に不利に価格が動いた建玉について発生するリスク、自社不利方向というのが、自社に不利に価格が動いた建玉について発生するリスクという理解でいいのかということを確認させていただければと思います。
 ここに書かれているリスクの中身というのは、価格の変動の方向性によって、比較的大きく現実化するものと、それから比較的小さくしか現実化しないものがあり、価格動向によってリスクの現実化の在り方が違ってくるのではないかという気がしております。今日でなくて結構ですけれども、例えば具体例をもしできれば示して、どういった形でリスクが現実化していくかをどこかの機会に教えていただけるとありがたいと思っております。
 それからもう一点、ちょっと細かくて申しわけないですが、32ページのところに、ヒストリカルシナリオによる試算ということが書かれておるんですけれども、この中で、Ⅳのストレステストの対象リスクという項目の中に、(2)のヒストリカルシナリオによる試算の①に、ストレスをかけるポジションとしてクローズ時のNet顧客建玉とあるんですが、このNet建玉という言葉は売りと買いの建玉を相殺した後の差額についてのことを意味しているのかどうかということを確認したいと思います。
 あと最後にもう一点ですけれども、36ページになります。36ページの1のところで、未カバーポジションの状況ということで、日中最大、クローズ時点の2つの数字が出ているのですけれども、この数字を拝見しますと、クローズ時点と比べて、日中、最大倍ぐらいのリスクが存在することになるという理解でいいのかどうかを確認させていただければと思います。
 以上です。
 
【池尾座長】  
 それでは、よろしいですか。手短にというか、概念の確認ですから。
 
【山﨑オブザーバー】  
 それでは、お答えさせていただきます。まず初めの、私どもの資料の10ページのところでございます。先生のご確認いただいた約定判断というところでございますが、これは一般的な言い方をするところといわゆるエージェントモデルとプリンシパルモデルというようにご理解いただいてよろしいかと思っております。ほんとうは約定判断のところで、ポジションを持っているのがプリンシパルモデル、持たないのがエージェントモデルという言い方をするのですが、今回ここでは約定判断と使わせていただきましたのは、そういう意味のところでございます。
 業者が顧客取引の約定を判断するというのは、最終的にはプリンシパルモデルになるようなところでございます。これは業者さんが約定を判断できるということは、どこからかレートを持ってきて、そこからのものを流していることではなく、みずからがディーラーとしてポジションを持っていて、約定を判断できるという認識でございます。逆に、下のほうはそうではない業者ですので、レートを持ってきた配信元のほうに結局返していかなければみずからの判断はできないというところの意味合いで使っております。
 次でございますが、30ページの顧客不利、自社不利というところでございますが、これはストレステストでございますので、最大損失額を算定しなければいけないわけで、損失を出す方向の説明でございます。未収金発生の場合は、お客様が損されると未収金が発生しますので、お客様の損の方向にかけていると。カバー取引先破綻リスクというのは、自社が最大損失をする、要するに再構築コストが一番高くなるような方向にかけているということでございます。
 続いてのご確認のところですが、32ページのストレステストの対象リスクのところで、Net顧客建玉という言葉を使わせていただきました。これはまさしく先生がおっしゃいましたように、買い建てと売り建てをネットした数字という意味でございます。
 次の、36ページの金額が倍になっているというところでございますが、これは業者様の中においては、いろいろなリスク管理をされているところがいらっしゃいます。私どもの理解としては、日中のポジションは持っていても、クローズ時にポジションをクローズされる業者の方が多いのではないかと理解しております。ただ、多くはないですが、クローズ時点でも、いわゆるオーバーナイトのリスクをキャリーされているという業者もいらっしゃいます。この数字がどういうことなのか、大きいのか小さいのか、もしくは半分になるのが妥当なのかという判断は、私どもではしかねますが、ただ、先ほど言いましたように、1%変動で最大でも22億円、これが仮にドル円で全部ポジションを持っていると仮定すれば、1%の変動というと大体1円ですので、1円で22億円の損益が変動するということになります、資本金と比較しましてもそんなに大きくはないような気はしております。
 あと、ストレステストの実際の数字でございますが、よろしければ次回の検討会のときに回答させていただきたいと思っております。
 以上でございます。
 
【坂メンバー】  
 ありがとうございます。
 
【池尾座長】  
 じゃ、永沢さん、お願いします。
 
【永沢メンバー】  
 ありがとうございます。山﨑様をはじめ、皆様、本日は具体的なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。FX業界についてわかっておりませんでしたけれども、ずいぶん理解が進みました。本日は追加的な質問と、お話を伺っての印象、それから要望をお話しさせていただきたいと思います。
 まず、金融先物取引業協会の山﨑様に質問というよりも要望になるかと思いますけれども、16、17ページで、海外の規制動向をお示しいただきました。リスクに関する規制のあり方について、さまざまな方法があるようであり、期待されている効果もまた異なるもののようですが、国別に示していただき、どういう規制を導入しているのか比較しやすいようにお示しいただけないでしょうか。倍率だけの比較は一面的であるので、他の方法とどう組み合わせて、どういう効果を目指しているのかを見させていただきたいと思います。
 それから、資料によりますと、欧米は規制を強化する方向に動いているように思います。既にお話しいただいている部分もあるとは思いますが、業界の自主規制団体として、どのぐらいのスピードでこれから規制を強化されていくのかにもお聞きしたいと思っております。規制を強化するというよりも、リスク管理を徹底する体制を各事業者に対してより一層求めていかれる方向を目指しておられると思いますが、そのスピード感を次回以降で結構ですので、お聞きしたいと思います。
 次に、本日お話しいただきました3社様に質問です。3社様のリスク管理の体制は、整備されているという印象を持ちましたが、御社方のような体制整備には人とシステムへの投資に相当のお金をかけていらっしゃるように思いました。人についても、専門的な人材をかなり確保された上で業務に当たっていらっしゃると思いますが、リスク管理をはじめとする様々な業務をきちっとやるにはどれぐらいの人員と、それから、資本金と一言で言っていいのかわかりませんけど資本が必要でしょうか。今の規制では最低資本金は5,000万となっていますが、これで足りるのだろうかというのが素朴な疑問として感じているところです。3社の方に業界を代表してお答えいただくのは難しいかもしれませんが、業界全体をご覧になって、大丈夫ですか、問題はありませんかというところをお聞きしてみたいと思いました。
 それから、他の先生からもご質問等が出ているストレステストのところです。ストレステストをなさってはいるということですが、欧米では相当の回数を、もっと高頻度に実施することを求めているということでした。日本では、実際のところは、大手はともかく、中小の事業ではではあまりできていないところもあるのではないかという印象を持ちました。
 また、今回の議論とは直接的な関係はないかもしれませんけれども、ストレステストをどの程度行っているのかという情報は、一般の投資家にとっても利用する事業者の選択において非常に重要な情報と思います。こういった情報の開示というのは業界として、あるいは個社として行われているのかどうかも教えていただきたいと思いました。
 次に、取引所取引についてお話をいただきましたが、取引所のストレステストと、今回、金先協会からお話があった共通テストやヒストリカルテストというのは同じものなのかどうかが、私はわかりませんでした。この2つは同じようなものなのかと教えてください。それから、最後に確認ですが、ご出席いただいている3社様は取引所取引もなさっているのでしょうか。それとも専業でいらっしゃいますか。
 
【山﨑オブザーバー】  
 GMOクリック証券が取引所、くりっく365と店頭をやっておりまして、あとの2社は店頭のみでございます。
 
【永沢メンバー】  
 ありがとうございます。店頭と取引所の両方を提供されている業者はともかく、専業の事業者の方に、取引所でなさっているようなストレステストと同じレベルのことをされているのかを、お聞きしたいと思いました。
 最後になりますけれども、事務局にお願いがございます。この検討会は、今日は第2回目でございますけれども、大体6月ぐらいまで検討を続けられるようなお話を初めにお聞きしたように思いすが、全体のスケジュールを再度お伺いできないでしょうか。この検討会は投資家の方々からも注視されているようでして、どのように検討が続けられるのか、全体のスケジュール感について改めてお知らせいただきたいと思います。それから、仮に規制の見直し、強化が行われる場合には通常はパブコメ募集が行われると思いますけれども、今回も予定されているのか、そのあたりも事務局からお話いただけたらと思います。 以上でございます。
 
【池尾座長】  
 どうもありがとうございました。今のご意見の中で、海外の規制動向について取りまとめるのは協会のほうでやっていただくというのもありますが、当然金融庁のほうで資料を用意していただければありがたいなと思います。
 それから、これは私自身も前回申し上げたのですが、業界の中でリスク管理についてばらつきがあるのではないかと。だから、今回来られている3社は先導的でしっかりしたことをやられているとは思うのですけれども、業界全部がそういう水準でやられているなら安心できるんですが、中小業者だけじゃなくて、大手業者の中にもやっぱりリスク管理の面でやや見劣りする業者等がいないと言い切れるのかどうかという、そのあたりのことを感覚として把握できるようにお願いしたい。これは協会にお願いするしかないのかもしれませんが、と思います。
 それでは、よろしいですよね。今日の段階でお答えは、特にございますか。
 
【御友市場業務監理官】  
 事務局へのご要望というか、おっしゃっていただいたと思うのですけれども、大体のスケジュールは第1回に申し上げたとおりというか、記者レクとかで申し上げているように、ご議論次第ではありますが、この夏ぐらいまでには何らかの取りまとめになるように検討していければと考えているところでございます。
 もう1つ、永沢先生にご指摘いただいたパブコメの話は、確かに府令改正などになる場合、金融庁といたしましては当然ルールとしてパブコメをいたしますし、先生ご指摘の個人投資家の皆様を含めた、広く国民一般の皆様のご意見を、そこで全て十分包摂して規制制度が決定されるものと思っておりますし、そこはまた協会ルールとなれば、協会のほうでパブリックコメントをされるとかいったことになっていくのではないかと考えてございます。
 
【永沢メンバー】  
 ありがとうございます。
 
【池尾座長】  
 それでは、お待たせしました。松井メンバー、お願いします。
 
【松井メンバー】  
 ありがとうございます。協会さん、各社さんのご説明をいただきまして、お考えや状況等がよくわかり、参考になりました。
 最初に少しコメントをして、幾つかご質問させていただければと思います。まず、今行っている議論というのは、現状の規制を前提にして、おそらく協会さんの自主規制などを踏まえて最大限の対応をしておられるということでしょうし、さらにそれらを踏まえて各社さんが最大限取り組んでいるという状況をお知らせいただいた、というところかと思います。そして、それを踏まえて、なお何らかの対応をする必要があるのかどうか。そのような必要性について、今、確認をする作業なのかなと理解をいたしました。
 先ほど池尾先生がおっしゃったことに尽きているので、私が申し上げるまでもないのですけれども、今日来てくださっている3社のお話を聞く限りは、もう対応が出来ているので、おそらく規制は要らない。なので、今後新たに何らかの規制等を設ける必要があるかどうかという議論をする際には、やはり中規模、あるいは小規模の業者の状況等がどうなのか、要するに各社の取り組みが実際どうなのかというのがかなり重要な事実関係になるかと思います。そのあたりを今後さらに知ることができたらよいなと思っている次第です。これが私のコメントでございます。
 それを踏まえて2点ほど質問させていただければと思いますけれども、まず協会に対して、実際に中小業者の状況がどうか、今の規制を前提にした個社の対応の満足度はどうなのかというところを、やはりお伺いしたい。もちろん協会として十分ではありませんというお答えはないと思うのですけれども、そのあたりのばらつきとか、実際の取り組み状況の進捗度について、先ほどのこれまでの議論にも出ていますけれども、少し改めてお伺いしたいというのが1つです。それに付随しまして、この検討会は、そういった業界なり個社の取り組みが、果たしてシステムにどういう影響を与えるか、あるいは市場に対してどういう影響を与えるかというのが視点になっていますので、実際に中小業者がどれぐらいマーケットやシステムにインパクトを与えるのかというのが私はわからないものですから、そのあたりのご感触をちょっと伺いたいのが1点です。
 それから、2点目ですけれども、資料2ということで、議論にあたっての業界認識というペーパーをいただきました。これも非常に興味深く拝見いたしました。これは、松田さんにお伺いしたいのですが、今、中小との絡みでシステムへの影響のお話を伺ったのですけれども、資料2では、6番目に、そもそも今回の店頭FX業者の決済リスクとシステミックリスクとの関係が一般的に書かれておりまして、ここを少しお伺いしたいというのがございます。
 つまり、先ほど松田さんのセントラル短資さんのお話のところにも少しありましたが、取引高がどんなに大きくても、動くお金はもっと小さくなるのが実際であります。そうであるとすると、そもそも店頭FX業者が今取り組んでおられる取引等は、システムへの影響は全くないということはないにしても、実際問題として、およそあり得る可能性が低い話なのか。あるいは、ある程度リスクは影響する可能性はあるのだけれども、現在の業界なり個社の取り組みを前提にすれば、やはりマーケットやシステムに与えるリスクは低いということなのか。ここの店頭FX業者の決済リスクと、それからシステムやマーケットとの関係について、もう少しお考えをお知らせいただけたらと思います。
 以上でございます。
 
【池尾座長】  
 じゃ、お願いします。
 
【山﨑オブザーバー】  
 松井先生、ありがとうございます。中小、いわゆるこちらにご参加いただいている業者以外の方はどうかというご質問だと思っております。
 まず、私の説明の中にも申し上げましたように、中小であっても大手であっても定期的な実地監査を行っております。実地監査は、私どもの監査部がその業者にまさしく入って、調査をして、そして監査の結果を還元していくというところでございます。その中の項目に、まさしくリスク管理の項目も入っております。リスク管理のところは、例えば監督指針でもリスク管理がうたわれております。顧客及びカバー取引相手方との取引に係るリスク管理態勢の規定という、監督指針Ⅳ-3-3-5(1)というものだと思いますが、これですとか、私どもの協会の業務取扱規則においてもリスク管理の規定を入れております。基本的には業者はリスク管理に関してはその規定、監督指針に沿った運用をしていて、それを監査がチェックしているということでございますので、私どもはまさしく中小だからできないということはありません。ただし中小の方というのは非常にビジネスモデルがシンプルでございます。先ほども申し上げましたように、価格の配信を受けて、それをそのままお客様に流すというモデルも多くございます。もちろん自社でリスクをお持ちになっているところもございますので、そういう自社でお持ちになっているところは、こちらの大手業者と基本的には同じ、そして私どもの自主規制規則に沿った管理体制というのをやっていただいているはずでございます。私どもも一応監査でチェックをしております。
 あと、中小の影響度でございますが、先ほどの私どもの資料で、集中度というところでお見せしたかと思います。8ページでございます。これは上位10社への集中が多いと申し上げましたが、ご覧いただけますように、取引高でも84%、預かり証拠金では70%、未収金リスクはここにかかわってくると思いますが建玉残高、いわゆるお客様のポジションも73%が上位10社に集中しております。リスク、要するにご質問の趣旨は、市場にインパクトを与えるようなものが中小にあるのかというお問いかけかと思いますが、この数字から見ますと、大きな影響は多分ないだろうと考えております。
 それも個社数が、店頭の業者が全部で53社ございます。その前の7ページのところでも書きましたが、表の一番右をご覧いただきますと、2017年12月末のところで、FX業者全体で、ピンクのところでございます。66社おります。うち店頭FXを扱っているのが53社。ちなみに、この内訳に書いてありますように一番上がくりっくのみ、真ん中がくりっくと店頭、そして最後が店頭のみというところでございます。43社は53社引く上位10社ですから、残りの43社でそれぞれリスクをかなり分散して持っていると考えられるので、インパクトは小さいのではないと考えております。
 それと、先ほど永沢メンバーからご質問がありました店頭と取引所のストレステストの相違でございますが、これは取引所のほうからご説明があるかと思いますが、全く基本的に違うと思っております。もちろん私どもはFMI原則に示されているような管理の高度化を目指してやっておりますが、やはりどうしても店頭FXという業者は先ほど示しました6個のビジネスモデルがある一方で、取引所は、清算機関としてのリスク管理というところでもございます。例えば一例を申し上げますと、カバー取引のときには、こちらの業者の方は現金担保をカバー先に積みます。今回のストレスシナリオでは、もしカバー先がデフォルトを起こした場合その現金担保は返ってこないということでやりなさいよと言いました。間違っていましたら申しわけないのですが、清算機関は清算会員から清算預託金を受けとっておりますので、何かデフォルトイベントが起き、損失が発生した場合は、それと多分相殺ができるのではないかと思います。根本的にやはりちょっと違うようでございます。そのためストレスシナリオはおのずと変わってくるということでございます。
 以上でございます。
 
【池尾座長】  
 では、松田さん、お願いします。
 
【松田オブザーバー】  
 業界への質問ですので、私からお答えします。
 システムに与えるリスク、あるいはシステミックなリスクを店頭業者の破綻が招くことはないのか、という意識は、我々も金融業界の一端を担う者として強く意識はしております。そうすると、システムへの影響とは何かというところが問題になるわけですけれども、例えば日銀の定義を借りますと、システミックリスクというのは、「個別の金融機関の支払不能等や、特定の市場または決済システム等の機能不全が、他の金融機関、他の市場、または金融システム全体に波及するリスク」という言い方をしています。今はもう少し広く解釈しようという考え方もあろうかと思いますが、基本的には先ほど私が申し上げたように、やはり連鎖的に起きていく、しかも決済、金融システム全体に及ぶというイメージからしますと、正直なところ、店頭業者、仮に極めて小さい業者でなくても、店頭業者の破綻がそういったシステミックリスクを起こすのだろうかという疑問はございます。なかなか想像しがたいところだと申し上げたとおりです。
 ただ、「起こしません」と言い切ってしまうと、それは思考停止になりますし、我々はやるべきことではないと思っております。やはり海外の規制の流れが一体どういう考え方を背景にしているのだろうか、あるいは我々のストレステストが果たして本当に十分な状況を勘案したものになっているだろうか、ということを不断に検討しながら、今後もリスク管理能力を向上させていくことが業界に求められていると認識しています。
 
【池尾座長】  
 ほとんど時間がなくなってきましたが、いかがでしょうか。
 
【勝尾メンバー】  
 ご報告ありがとうございました。もう時間がないということですので、ごく手短にコメントと質問をさせていただきます。
 まずコメントは1点ですが、レバレッジ規制だけではなく、他の規制との組み合わせで全体の枠組みを考えるべきだという考えを強くいたしました。
 質問は3点ございます。手短に申し上げます。取引所の資料の5ページ目を参考にさせていただいて、取引所への質問ではございませんが、こちらのような信用エクスポージャーの算定を取引所ではなさっていて、それをカバーする仕組みを綿密に組み立てられていらっしゃるわけで、一方、店頭FXではこのような信用エクスポージャーをどのように計算し、どのようにカバーする仕組みをとっているのかということを具体的に教えていただきたい。想定するに、ストレステスト等によりカバーされているとお考えかもしれませんが、ストレステストによって自己資本比率を満たしていれば信用エクスポージャーをカバーできると考えるという根拠を具体的にお示しいただければと思います。
 例えば取引所は、金額を実際に計算した上でパーセンテージを可能性から逆算していって、預託金ですとか積立金を計算した結果としてカバーできるという考え方を示されています。これに対して店頭FXでは、どのような仕組みで信用エクスポージャーをカバーできると考えていらっしゃるのかというのが1点目です。
 2点目が、プライムブローカーに関してなんですけれども、プライムブローカーにリスクが集まることになりますので、実際にどの程度リスク分散できているのかというのは非常に重要になると思いますが、先ほどのご説明ですと、プライムブローカーもG-SIFIsであるという追加説明がございました。そうしますと、この仕組みを見ますと、ネットした上で互いに保証し合う仕組みになっているので、リスク分散が本当にできているのかという点が疑問です。リスク分散ではなくリスクが集約されることによって、むしろ、リスクを増大させるような方向になっている仕組みかもしれないという点を懸念しております。
 また同様に、さらにLGに活用するということも書かれているのですけれども、そうすると再保証ということになりますので、さらにLGにリスクが集中している仕組みになっているので、果たしてこれはリスク分散の仕組みになっているのかという点を危惧しております。
 3点目、こちらはストレステストに関して、協会の33ページになりますけれども、ヒストリカルシナリオにおいてG-SIFIsをカバー先に含める場合に、自己資本比率を割り込んでしまう企業が増えたという結果が示されているわけですけれども、共通ストレステストにおいてG-SIFIsを含めた場合と除いた場合の試算結果についても、次回で結構ですので教えていただければと思います。
 以上です。
 
【池尾座長】  
 どうしましょうか。
 
【勝尾メンバー】  
 次回で、もちろん構いません。
 
【山﨑オブザーバー】  
 簡単に言いますと、まず一番初めの信用エクスポージャーの件でございますが、第一種金融商品取引業者でありますFX業者は、やはり自己資本規制比率というのが最後の砦でございますので、これのみをもってリスク管理をするかどうかということは、今後まさしくストレステストワーキングで検討していただくことかと思っております。基本的に協会が関与しております信用エクスポージャーのメジャーというのは、ストレステストと考えております。
 2つ目のPBの件でございますが、これは次回にお話しさせていただければよろしいのかなと思っております。
 33ページのところも、ちょっと時間の関係で、次回またご説明させていただくのがよろしいのかなと思いますので、それでいかがでございましょうか。
 
【池尾座長】  
 そうしましたら、私はG-SIFIsが破綻したときにFX業者が無事であっても、あまり日本の金融システムにとって意味があるとは思わないというのが正直なところですけれども、今の点も含めて、補足は次回にしていただくということで、もう時間が来てしまいましたので、本日の会合は以上ということにさせていただきたいと思います。引き続き3回以降議論を続けていくということで、今日は以上とさせていただきます。
 それでは、事務局より連絡等ございましたらお願いしたいと思います。
 
【御友市場業務監理官】  
 ありがとうございます。次回の検討会につきましては、今回に続きまして関係者からのヒアリングを実施することを予定しております。日程につきましては、皆様のご都合を踏まえた上で、後日事務局より案内させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
 
【池尾座長】  
 それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。
 

――了――

サイトマップ

金融庁についてページ一覧を開きます
大臣・副大臣・政務官
金融庁について
所管の法人
予算・決算
採用情報
お知らせ・広報ページ一覧を開きます
報道発表資料
記者会見
講演等
広報誌アクセスFSA
パンフレット
談話等
白書・年次報告
アクセス数の多いページ
更新履歴
車座ふるさとトーク
新着情報メール配信サービス
金融庁twitter新しいウィンドウで開きます
政策・審議会等ページ一覧を開きます
全庁を挙げた取り組み
金融制度等
金融研究センター新しいウィンドウで開きます
取引所関連
企業開示関連
国際関係
銀行等預金取扱金融機関関係
証券会社関係
保険会社関係
金融会社関係
法令関係
その他
法令・指針等ページ一覧を開きます
法令等
金融関連法等の英訳
金融検査マニュアル関係
監督指針・事務ガイドライン
Q&A
金融上の行政処分について
公表物ページ一覧を開きます
審議会・研究会等
委託調査・研究等
政策評価
白書・年次報告
金融機関情報ページ一覧を開きます
全金融機関共通
銀行等預金取扱機関
保険会社関連
金融会社関連
店頭デリバティブ取引規制関連
日本版スチュワードシップ・コード関連
国際関係ページ一覧を開きます
国際関係事務の基本的な方針等
グローバル金融連携センター(GLOPAC)
職員による英文講演新しいウィンドウで開きます
職員が務めた国際会議議長等
日本にある金融関係国際機関
金融安定理事会(FSB)
バーゼル銀行監督委員会(BCBS)
証券監督者国際機構(IOSCO)
保険監督者国際機構(IAIS)
その他

ページの先頭に戻る