店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会(第4回)議事録

平成30年4月13日
 
 

【池尾座長】  
 それでは、松井メンバーはちょっと到着が遅れておられるようですが、定刻になりましたので、ただいまより店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会第4回会合を開催いたしたいと思います。皆様にはご多用中のところご参集いただきまして、まことにありがとうございます。
 初めに、今回の会合に参考人としてご参加いただく方を事務局よりご紹介していただきます。お願いします。
 
【御友市場業務監理官】  
 それでは、私からご紹介を申し上げます。メンバーの皆様方の右側にお座りいただいております、学習院大学大学院法務研究科教授の神田秀樹様です。
 
【神田参考人】  
 よろしくお願いいたします。
 
【御友市場業務監理官】  
 また、今回メンバーやオブザーバーの中に所属や社名の変更があった方がいらっしゃいますので、資料の中に資料1として、メンバー等名簿をお配りしておりますので、ご確認いただければと思います。
 以上でございます。
 
【池尾座長】  
 どうもありがとうございました。私自身も所属が変わっております。それでは議事に移らせていただきます。
 本日は、引き続き、関係者からのヒアリングを行いたいと思いますが、前回、前々回に比べたらヒアリング時間は短目にして、その分、議論、討論のほうに時間を取りたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、まず時間の都合から、神田教授よりご説明いただいて、その内容についての質疑を先に行わせていただきたいと思います。その後、これまでのヒアリングの際にいただいたご質問に対するご回答を金融先物取引業協会の山﨑オブザーバー、それからセントラル短資FXの松田オブザーバー、東京金融取引所伊藤オブザーバー、それから三菱UFJ銀行星野オブザーバーからそれぞれ補足いただいて、その後、先ほど言いましたように、まとめて討論をしたいと思います。なお、討論に当たりましては、今回の分だけということではなくて、今回に限らず前回までのヒアリングの内容も踏まえて、できるだけ幅広く議論していただければと思っております。
 それでは、早速ではございますが、神田教授よりご説明をよろしくお願いいたします。
 
【神田参考人】  
 本日はこのような場にお招きいただきまして、どうもありがとうございます。お手元に資料2として、私の意見の骨子というのでしょうか、レジュメを用意させていただきましたので、それに沿って、この分野で皆様方がご検討しておられると私が理解しているところに関する私の意見めいたものを申し上げたいと思います。皆様方の今後のご審議の参考にしていただければ大変光栄です。
 資料2をご覧いただきますと、最初に「問題があるとした場合におけるそれに対する処方箋」と書かせていただきました。時間の関係もあると思いますので、私はこの店頭FX取引について、仮に問題があるとした場合に、どういう制度的あるいはルール等による対応が考えられるかということをお話しさせていただきたいと思います。
 最初の項目ですけれども、システミックリスクという問題です。これを私が最初の項目に挙げさせていただきましたのは、この検討会の名称が「店頭FX業者の決済リスクへの対応」となっておりますので、おそらくこの観点が、少なくとも検討会が設置されたときには重要な観点だと考えられていたのではないかと思うからであります。
 このシステミックリスクの問題ですけれども、置かれている状況を一言で申しますと、現在の日本の店頭FX取引の市場規模等に鑑みますと、店頭FX取引が決済不能を起こしますとシステミックな問題を惹起する可能性を否定できないということではないかと思います。
 ではどういう対応が考えられるかということですけれども、処方箋の例といたしましては、業者に対する財務規制を強化する、そしてまたストレステストの頻度その他を強化するということで臨むということが考えられると思います。また、取引データ等の情報の協会や当局への報告義務を強化して、いわば早期是正措置というのでしょうか、必要な場合の措置等が発動されることを期待することが考えられるかと思います。
 3番目に、スワップ取引などのいわゆる店頭デリバティブ取引につきましては、G20やFSBにおける提言を踏まえて、日本でも金融商品取引法の改正が既に行われてきたところであります。そこでの処方箋を一部または全部、参考になる部分があれば、こちらにも適用するというか、採用するということが考えられると思います。詳細は省略させていただきますけれども、そこに書かせていただきましたように、電子取引基盤を利用する、それから取引情報の保存と当局への報告を求める、そして、CCPというのでしょうか、中央清算機関を通すか、あるいは通さないものについては証拠金を強化するということであります。
 具体的に最後の点について申しますと、FX取引の場合で言えば、例えばということですけれども、カバー取引についてCCPを通すということを求めるといったことが考えられるのではないかと思います。
 なお、システミックリスクの問題ですけれども、守るべきものは言うまでもなく金融システムであります。決して個々の業者ではないということは強調しておきたいと思います。
 次に、2番目の「ありうる問題」ですけれども、システミックな問題までは惹起しない場合であっても、仮に業者が破綻いたしますと、問題が生じ得るわけです。もちろん、業者さんには破綻していただきたくはないわけですけれども、この場合にも守るべきものは、これから申し上げますけれども、取引の履行の確保でありまして、個々の業者ではないということは、そこには書いていないですけれども、前提として申し上げておきたいと思います。
 よくこういう店頭取引は自己責任だということが言われます。ただ、一般に、自己責任という場合には、2つのことが区別されてしかるべきものと思います。第1は、その締結した契約が履行された場合における相場変動による損失であります。これが本来のいわゆる投資家の自己責任などと呼ばれているときのものだと思います。それとは別に、そこに②と書かせていただきましたけれども、締結した契約が履行されないことによる損失ということも起き得るわけです。すなわち、業者が破綻すれば、約束した取引は行われないわけですから、この2つは別でありまして、①のほうの損失は仮に自己責任と言えるとしましても、②のほうも自己責任だということになりますと、要するに「業者を選んだのもあなただから、その業者が破綻したら、あなたの自己責任です」と、簡単に言うと、こういうことになるわけです。そこにちょっと書かせていただきましたように、業者としては、「当社が締結する契約は履行されないかもしれません。そのことによる損害も当社が破綻したらとれません」というように、業者さんも一般にはこういう説明はされていると理解していますけれども、説明義務みたいなものを業者に負わせたとしても、ちょっとそれだけでは不親切ではないかというか、ルールということで言うと、やや不十分なような気がいたします。
 それで、どうしたらいいかということです。処方箋ですけれども、証拠金の保全ということはあるわけですけれども、それに加えて何らかの措置が必要なような気がいたします。
 2つ目の「・」に書かせていただきましたが、セーフティネット――補償基金制度みたいなものは、おそらく実現しないというか、現実的ではないと考えられますので、業者が破綻した場合であっても何事もなかったかのごとく取引が履行されるような仕組み、ポジションの移管とか、その他の方法で契約の履行が確保されるような制度の整備をご検討いただくのがいいように思います。
 なお、レジュメに書いていないのですけれども、ちょっと分別というか、証拠金の保全ということについて一言だけ補足させていただきます。証拠金が保全されていれば何か起きたときにそれが返ってくるという話ですが、ちょっと取引の履行とはイコールではなく、分野は異なりますが、リーマンのときの経験で2つのことが明らかになっております。釈迦に説法かとは思いますので、そうだったらお許しいただきたいですけれども、1つは、業者が司法上の倒産処理手続を開始した場合、例えば破産手続で言いますと、この分別管理をしていても、顧客の資産を顧客に返すという業務というか、行為をする人がいないという問題が生じます。破産の場合で言いますと、破産しますと、破産管財人が業者の経営管理権、財産管理権と言ってもいいのですけれども、を取得することになるのですけれども、破産管財人は通常、破産財団に属する財産について責任を持つので、分別されている顧客の資産はそれに属しない資産ですので、それを顧客に返すという仕事はなかなかやっていただけないというのがリーマンのときに起こったことで、リーマンのときは民事再生手続だったのですけれども、そういう問題があります。
 それから2番目に、この破産手続のようなものが開始した後に、店頭FXの場合はイコールではないのですけれど、リーマンの場合で言えば、例えば、デリバティブ取引が行われていて、その清算金みたいなものがリーマンに入ってきます。これが顧客の資産なのか、よくわからないという問題があります。より具体的に言うと、分別管理義務は倒産処理手続が始まった後も存続しているのか、すべきなのか、誰がそこの分別の業務をするのかという問題になります。やや細かくて恐縮ですけれども、ご参考までに、業者が破綻すると、いろいろ難しい問題が出てくるということであります。したがいまして、何事もなかったかのごとく、既に締結された契約あるいはその取引の履行を確保するということは、言うはやすく、実際にはあまり簡単ではないとは思うのですけれども、しかしお考えいただく一つの論点にはなるのではないかと思います。
 2ページ目に行かせていただきます。3番目ですが、段々とより基本的な話になっていって恐縮ですけれども、3番目の「ありうる問題」というのは、私もこの検討会の過去の資料とか議事録のうち公表されているもの等を拝見したのですけれども、個人顧客にとっての取引の不透明性ということがあると思います。状況を2つに分けてそこに書かせていただきました。1つは、業界の言葉ではマリーとかスリッページとかという言葉が使われているかと思いますが、より一般的な概念で言えば、バケットショップという概念がいいかと私は思っているのですが、要は顧客を相手方として自分が取引することが自由だというのがこの分野であります。そのためいろいろな懸念が生じているのではないかというのが私の理解です。
 それからまた非対称性が業者と顧客の間にありますので、その結果として不公正な取引が行われやすいという問題があろうかと思います。
 少し非対称性のところを具体的に、状況その2としてそこに書かせていただきました。1つは、取引価格は業者側が提示しますので、リアルタイムで、しかも顧客側の取引に応じて変動できるようなプログラムを自ら構築して取引を実行することができます。しかし、顧客側は、今の顧客側というのは個人顧客の話を想定していますけれども、そのようなプログラムの詳細な内容を知ることはできません。
 それから、2つ目の「・」ですけれども、業者側は顧客の全ての注文状況を把握できるため、顧客側には業者側の提示する仕組みや業者のポジションがわからないようなプログラムを使って取引を実行することができます。
 3つ目の「・」ですけれども、そもそも業者と顧客間の取引を実行するネットやコンピューター上のプログラムは業者がつくったものでありまして、それが透明で公正なものであるかどうかというのは、当局であってもなかなか把握しにくいということではないかと思います。
 ではどう対応するかということですけれども、もちろん、バケットショップを原則禁止するというアプローチもあり得るかとは思います。
 それから、2つ目の「・」ですけれども、プログラムや取引データ等の情報を協会や当局へ報告することを強化することにして、不公正取引のチェック体制を強化するということが考えられると思います。
 3つ目ですが、情報開示を強化するということが抽象的には考えられるのですけれども、個別の取引から業者が上げる利益の額を開示していただくというのが一番いいと思うのですけれども、ただ原価不明というか、これはなかなか実際問題としては業者さんには受け入れてはいただけないのではないかと思います。
 そういう中で、証拠金の強化ということは、多分理屈の上ではファーストベストにはならないのですけれども、やむを得ない規制として、この3番目の問題に対する対応としてもあり得ると言うことができると思います。
 大体以上ですけれども、4番目に、その他の「ありうる問題」として、1行だけ書かせていただきました。この種の取引は、射幸性というのでしょうか、そこに参照と書かせていただいた刑法の条文は賭博罪の条文です。抽象的に言えば、賭博ではないかという、根本論と言うとやや言い過ぎですけれども、論点は諸外国でも昔から、この分野だけではありませんけれども、金融分野の取引について指摘されてきたわけでして、この分野のルールのあり方を考える際にも基本的にこの取引の社会的有用性というのでしょうか、射幸性、賭博ではないのか、というあたりについては、ある程度共通の認識を持った上でご議論いただくことが必要ではないかと考えています。
 簡単ですけれども、以上、私の意見を述べさせていただきました。どうもありがとうございました。
 
【池尾座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、ただいまのご説明に関連して質疑を行いたいと思いますので、ただいまのご説明にかかわる形でご質問、ご意見等ございましたら、どなたからでも結構ですので、よろしくお願いいたします。では、上柳さんから。
 
【上柳メンバー】  
 ありがとうございました。うまく質問できるかどうかはちょっと自信がないですけれども、1から4まで「ありうる問題」ということで、この規制目的というのか、立法事実というのか、分類して整理されております。この相互の関係といいますか、私がぱっと見るところ、後のほうの問題に対処すれば、前のほうの問題の対処に役に立つというか、1番のことだけ考えるのか、2番まで考えるのか、3番まで考えるのかと、何かそのように大小があるのかなと。逆に言うと、神田先生は、この会合のタイトルに決済リスクと挙がっているから、主にシステムリスクの話が対象になるという趣旨に受けとめたとおっしゃったのですけれども、この3番についても、個別の消費者なり顧客にとっては、自分の取引についての支払いのリスクの問題ですので、私などはここまで入るのかなと思うのですけれども、今の社会状況なり、あるいは、また話が飛んでしまいますけれども、世界的なG20などでも議論されているような問題意識との関係で、この3番のところまで射程に入るのか。あるいは、日本の状況を見て、ここについても考えるべきと先生が思っておられるのかどうか。あくまでもこういう問題があればこのように対処するという仮定の問題としておっしゃっているのか。その立法事実があるというところまで踏み込んでおられるのか。そういう質問です。
 
【池尾座長】  
 よろしいですか。
 
【神田参考人】  
 ありがとうございました。私も、よくわからないところはあるのですけれども、今言っていただいたところでちょっと幾つかお答えさせていただきます。1つは、問題を4つに分類したのは、それぞれ違う観点なので、それぞれの問題が全てあるかもしれないし、全てないかもしれないということで、問題があるとしたら、「ありうる問題」と書かせていただいたのは、何らかの法的・制度的な対応を必要とするかという、あるいは、問題が仮にあったとしても、市場メカニズムの中で解決される、あるいは私的自治の中で解決されるということであれば、法的・制度的対応は不要なわけです。その辺の見極めは、この検討会のメンバーの皆様がここで議論して、方向を出していただくことだと思っていますので、そういう意味では「ありうる問題」と書かせていただきました。これらは、それぞれ性質が違うというか、着眼点が違うので、そういう意味では、繰り返しになりますけれども、重畳的にありうる。ただ、それに対する処方箋は、ある処方箋をとった場合には複数の問題に対する対応にもなり得る。程度問題であるかもしれませんけれども、そういうものかとは思います。
 それで、私の理解は、この順番に並べさせていただいたのは、特に何か理由があるわけではなくて、冒頭申し上げましたように、この第1回目の検討会の議事録と資料等は全部公開されていて、その後も資料は公開されているのですけれども、それらを拝見すると、1から入っているように見えたということです。しかし、メンバーの先生方のその後の資料等を拝見しますと、3の問題が大きいという認識を持っておられるメンバーの方もいらっしゃるのではないかということで、システミックなところから入ってそれ以外のありうる問題も並べたということにしました。
 それからもう1点ですけれども、グローバルな議論に合わせるかどうかというのは、日本の金融商品取引法のこの十数年ぐらいの歴史を見ても、グローバルな合意というか、特定の問題に対してグローバルな場で合意された、G20とかFSBその他で合意されたものを国内法化というのですか、日本で実施するという話と、それから日本固有と言うとちょっと言い過ぎですけれども、日本において生じている話に対応する制度的な体制整備と、両方が行われてきていると思うのです。ですから、この分野においても両方の観点が多分必要で、グローバルなほうで何か日本だけ勝手なことをやるわけにはいきませんし、そこの整合性をとると同時に、日本で生じている問題があるということであれば、それへの対応はそれとは別にといいますか、行われてしかるべきと思います。
 ですから、グローバルなほうで、例えば、やや突飛な例かもしれませんけれども、取引所取引については、FMI原則というものを適用していきましょうという話があるのですけれども、何がFMIかと言えば、日本の実態で言えば、店頭取引もFMIそのものかもしれない。インフラストラクチャーなので、ヨーロッパの単語で言えば、それは取引所または取引所に類似するものをいうと普通は定義するわけですけれども、そういった議論はぜひ皆様方の中で今後詰められるのかと、あるいは既にされていたら申しわけありませんけれども、思いますので、そういうことを含めて、2つの視点というのですか、グローバルな視点と日本の問題があるとして、法的対応が必要だ、あるいは自主規制による対応が必要だというものであれば、それはそれとして別にご議論いただくのがいいのではないかと思います。
 
【池尾座長】  
 ありがとうございました。勝尾さん。
 
【勝尾メンバー】  
 ご報告、ありがとうございました。2つ質問させていただきます。
 まず1つ目が、1、システミックリスクの状況のところで、店頭FX取引が決済不能を起こすとシステミックな問題を惹起する可能性を否定できないというご見解が示されているわけですが、なぜそのように神田先生はお考えになるのかということを教えていただきたいというのが1点目です。
 続きまして2点目は、証拠金の倍率規制の強化に関しまして、1のシステミックリスクに関する問題の処方箋として幾つか対応策が挙げられていますが、証拠金の倍率規制の強化が、ここで挙げられている処方箋の中でどれほどの優先度を有すると考えていらっしゃるのかということを教えていただきたいと思います。
 それに関しまして、同じく証拠金倍率規制の強化に関して、3の個人顧客にとっての取引の不透明性の節のところで、処方箋の最後に、ファーストベストではないがやむを得ない規制としてはあり得るというお考えが示されているわけですけれども、この証拠金倍率規制の強化が一体どのような理由でその取引の不透明性や不公正性を排除することができるのか、そのプロセスといいますか、それを教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
【池尾座長】  
 お願いできますか。なかなか難しい、大変な質問ですが。
 
【神田参考人】  
 ありがとうございます。今日、ご参考として、第1回目に事務局から説明資料として配付された資料を手元にいただいていまして、2月13日付の事務局説明資料というものです。皆様方のお手元にあるかどうかは存じませんが、今日は配付されていますか。
 
【御友市場業務監理官】  
 ございます。
 
【神田参考人】  
 ありがとうございます。その7ページをご覧いただきますと、店頭FX取引の市場規模として、時間をとって申しわけありませんが読み上げさせていただきますけれども、「足元の店頭FX取引の年間取引規模はレバレッジ規制を導入した2010年との2,000兆円程度から5,000兆円程度まで拡大。店頭FX業者の決済リスク管理を不十分なままにしておけば、顧客やカバー取引先に大きな影響があるほか、外国為替市場や金融システムにも影響を及ぼす可能性がある」。この文章が正しいかどうかは、これは検討しなければいけないと思うのですけれども、そういう関心でこの検討会は、ご議論が始まったと言うと言い過ぎかもしれませんが、議論をしておられるというのが私の認識です。スワップ取引などの店頭デリバティブ取引というのがなぜG20やFSBでシステミックな観点からこういうことになっていったかというのは、リーマンショックあるいはもうちょっと広い意味での世界金融危機というのが一つの契機ではあります。しかし、その想定元本額がすごい金額になっていて、店頭FXはここにありますように、5,000兆円というのが想定元本に当たると私は思っていますけれども、こうした規模の取引になっている。こういうときに、例えばスワップ取引の例で言いますと、Aという業者がBという金融機関と大量のスワップ取引をしている。ここでの言葉でいうと、カバー取引が念頭に置かれることになると思いますけれども、そこで履行不能が起きると、今度は同様の取引をBは他のCという者とも行っていますので、BとCとの間でもまた履行不能が起きるという意味で、コンテージョンというか、伝染していって、それが個々の業者の決済部門を超えて金融システム自体に悪影響を及ぼすというのがシステミックリスクの一つの典型的なパターンですけれども、この店頭FX取引について、この市場規模感から言いますと、どのぐらいがカバー取引を伴うものかという資料は別途これまでこの検討会で提示されていると思いますけれども、やはりその可能性は否定できないのではないかというのがその理由です。
 それから、2つ目のご質問だと思いますけれども、証拠金というか、倍率規制と言ってもいいのですけれども、これはなかなか難しくて、ある意味、証拠金規制をかけるということは、倍率が規制されますので、5%なら20倍となるわけです。ですから、これは、事前禁止規制と言うとちょっと強過ぎるかもしれませんけれども、やれる取引の範囲を限定しましょうということになるわけです。ですから、いただいたご質問を私の言葉で言いかえると、どういう場合にそういう、形式的というのですか、事前のルールというものが正当化されるかという話だと思います。これは、ひどい取引が仮に世の中にどこかにあるとすれば、それは禁止というのもあると思いますけれども、ではどのような取引を限定するということが可能かと言えば、これを正当化するのは理論的にはあまり簡単ではないと思います。ただ、私がそれもあり得ると書かせていただいた理由としては、どの問題についても、多少観点は違うのですけれども、まず一つは、レバレッジというものを限定することによって、できる取引の範囲を決めることにより、協会や監督当局も不公正な取引を監視しやすくなります。決まった範囲の取引を見ればいいということになりますので、そういう効果はある。私は、理屈を言うとすれば、レギュラトリーなエンフォースメントコストの低下と言っております。そういう意味から、ファーストベストではないと思いますけれども、あり得ると思います。
 それから2番目に、実際に諸外国においてもいろいろな場面で証拠金の規制というのは行われているわけでありまして、諸外国との整合性ということからいっても、もちろんその証拠金率をどの水準に設定するかという問題はきちんとデータを分析しないと出てこないと思いますし、現にこの分野で言えば、既に導入されている規制があるわけですから、それをさらに強化すべきかどうかというのは、きちんとデータを見ないとわからないし、そのほかの処方箋でどこまでやれるかということとの代替的な検討といいますか、あるいは補完的な関係にあるかもしれませんので、それを検討しなければわからないですけれども、いずれにしましても、証拠金の規制はいろいろなところで使われているやり方であるので、それだけで正当化できるかどうかという点はあるかもしれませんけれども、日本にも既に存在していますし、十分あり得る考え方だと思います。
 ほかにもあるのですけれども、差し当たりということでお答えとさせていただきます。
 
【池尾座長】  
 いかがでしょうか。では、どうぞ、弥永さん。
 
【弥永メンバー】  
 ありがとうございました。2つほど質問させていただきたいのですけれども、1つは、この「ありうる問題」で1と2というものを示していただいたのですけれども、1で示されているような処方箋は、おそらく2の問題を予防するためにも非常に役に立つと申しますか、実際に機能するのではないかと思われます。神田先生におかれましては、2に挙げられている処方箋は、1に挙げられている処方箋に比べると、よりコストが少なく、かつあまり業者等に負担をかけないでできる処方箋という点で、1の処方箋は2の論点にも実際には機能するとお考えということでよいかというのが1点目です。
 2点目は、1点目と少し関係するのですけれども、1の処方箋の中で、カバー取引先との取引についてはCCPを通すという方策も考えられるのではないかとのご指摘でした。それは、やはり、カバー先がどんなに優良な金融機関、財務状態が健全ということで一般的に強固と考えられるようなものであっても、スワップ取引などについてはこのG20/FSBの処方箋の中で当然のこととして示されているように、店頭FXとの関係でもカバー先取引をCCPを通させるということには非常に合理性がある、説得力があるとお考えでしょうか。
 
【池尾座長】  
 お願いします。
 
【神田参考人】  
 ありがとうございました。最初のほうのご質問で、1点目と2点目は確かに重なり得る、処方箋としては「も」と言うべきかもしれませんけれども、1も2の問題も解決するという処方箋は当然出てくると思います。ただ、問題の観点が違うので、イメージで言いますと、釈迦に説法で恐縮ですけれども、システミックリスクというのは、世界金融危機のときで言いますと、大手の金融機関がいて、相互依存でいろいろな取引をしている。ですから、一つおかしくなると、どんどんそれが伝染して、先ほどの言葉を使わせていただきますと、金融システムそれ自体が麻痺するおそれがあるというイメージであるのに対して、2のほうは、個々の業者さんの話なので、例えば金融商品取引業者のひとつが経営破綻したというときにどうするかという問題であって、それ自体がシステミックな問題は惹起しない。しかし繰り返しになりますけれども、業者自体は守る必要はないのですけれども、顧客のした取引はきちんと守っていかなければならない、という問題です。ですから、観点が違うということが、そういう意味ではありますので、どういう問題に対応するかということを明確にする必要があると思います。
 それで、2番目の話ですけれども、財務が健全であれば、システミックリスクは生じないかどうかはややクエスチョンマークです。と言いますのは、例えば伝統的な大手の金融機関の例で言うと、Bという金融機関は、何をもって健全と言うかですけれども、一般的な財務は健全であったとしても、昔ヘルシュタットリスクと呼ばれた懐かしい話があるのですけれども、Aからお金が入ってくることを想定してCに払うという相互依存というか、そういう取引をしているときに、何かの事故でAからお金が入ってこないと、Cへ払えなくなる。それが連鎖して、今度はCがDに払えなくなって、DはEに払えなくなるということです。それをきちんとリスク管理すれば、つまり、入ってこなくなる確率が、例えば自然災害とか、そういうリスクも含めて全部100%リスク管理されていればよいのですが、現実は違うので、実際に我々はシステミックリスクあるいはそれに近いような経験をし、そのためにG20/FSBで議論してルールをつくっているわけだと思います。
 カバー取引については、私は一例として申し上げただけなので、そんなに深く考えていただく必要は全然ないですけれども、およそ店頭FX取引にはこのG20/FSBのスワップ取引などの取引についての枠組みは向かないと考えるのは早計で、もう少し考えてみる必要があるのではないかと感じます。システミックな点に対応するという観点に立つのであれば、そこで挙げられているような処方箋の一部であっても、参考になるものはあるのではないかと感じます。
 ですから、システミックリスクという観点から言えば、今のスワップ取引などもそうですけれども、一部CCPを通すか、または証拠金、当初証拠金及び変動証拠金をこれまで以上に強化する、今、段階的に強化している途上にあると思いますけれども、そういうアプローチもあるかとは思います。
 十分なお答えになっていないかもしれませんけれども、私の感じは以上のとおりです。
 
【池尾座長】  
 ほかにいかがでしょうか。では、どうぞ。
 
【永沢メンバー】  
 神田先生にご質問差し上げるような問題ではなく、大変初歩的な質問で恐縮なんですけれども、先生の資料のシステミックリスクのところでご紹介のあったG20/FSBの処方箋ですが、店頭デリバティブ取引にはこの処方箋が用いられているのに対して、なぜ店頭FX取引では検討されないのでしょうか。
 それから、先生の資料の①の電子取引基盤というのは、例えば店頭デリバティブ取引では具体的にどういうものに当たるのでしょうか。事務局からご説明いただけないでしょうか。
 
【中島審議官】  
 国際規制がどうしてこうなっているかという話ですので、事務局のほうでまたいずれきちんと説明したいと思いますけれども、実際には、例えば店頭FXについて言うと、まさに先ほどの9ページにありますように、最近の規模になってきたというのはリーマンよりももっと後の2013年ごろであって、当時、リーマンショックのときに、国際的に日本の今の店頭FXが問題のある状況にはなかったということで、あえて抜いたとか、あえて入れたということではなく、しかも日本ではある意味特有のFX取引市場が形成されてきたという背景もありますので、そういう意味では、まさに神田先生からお話しになったように、当時の議論というのは非常に参考になると思います。
 それから、電子取引基盤のようなものが店頭FX取引で使われているかというのは、取引実態の話ですので、協会のほうで何かありますか。
 
【山﨑オブザーバー】  
 これは、いわゆる店頭デリバティブに該当しますお客様と業者間の証拠金取引は、もう電子取引でほぼ全てやられているはずでございます。また、業者のカバー取引も、基本的にeトレードでございますので、いわゆる電子取引というプラットフォームにほぼ100%乗っているということでよろしいのかと思います。
 当時のスワップ取引というのは電子取引にのっていなかった部分、あとCDSもそうですが、多分そのようなことで規制がされたのではないかと理解しております。
 以上です。
 
【永沢メンバー】  
 今のご説明をそのまま受け入れていいのでしょうか。
 
【池尾座長】  
 金融庁のほうでもう一回精査してお答えをされるということですので。
 
【永沢メンバー】  
 よろしくお願いいたします。
 
【池尾座長】  
 よろしいでしょうか。では、上柳さん。
 
【上柳メンバー】  
 いいですか。すみません。これはちょっと聞くべきことではないのかもわかりませんが、この3番の処方箋の1つ目の「・」ですけれども、私もそのとおりだと思うのですが、バケットショップを原則禁止するというのは難しいから、ファーストベストではないけれども、証拠金でもいいのではないかと、そのように先生のご趣旨を理解してしまったのですけれども、このバケットショップを原則禁止するというのはできないことですかね。何か、過剰規制ということになるのでしょうか。もし理由があれば、教えてください。
 
【池尾座長】  
 どうぞ。
 
【神田参考人】  
 もちろんできないことではないわけですけれども、あまりに現状を変えるものですので、そこは皆さんのご議論かなと思うということがあります。それで、歴史的な経緯で申し上げますと、アメリカで証券の分野、狭い意味での証券の分野、昔の証券の分野の規制あるいは商品先物取引の分野の規制というのは、もともとバケットショップを禁止するところから始まっているわけです。日本のこの分野というのは、どのように言ったらいいのかよくわからないですけれども、やや不正確かもしれませんけれども、ざくっとした言い方をしますと、当時というか、1980年代は、銀行は銀行間で通貨に関連する取引を行う、それをスワップ取引と呼ぶか、FXと呼ぶかはともかく、要は通貨を扱うのは銀行業でありました。取引所取引を整備しましょうという法律が88年につくった金融先物取引法ですが、そのときの前提は、そういうものを扱うのは金融機関だという前提で、取引所取引を整備しましょうというルールづくりでしたので、当然、相対とか店頭とかというものは自由であるという前提でした。そこが証券や商品先物と違います。証券や商品先物のほうは、逆に取引所集中という議論とか、それから店頭をやっていい場合には今の言葉で言えば最良執行義務というものを業者が負うとか。そういうことを前提にした上で一定の範囲でバケットショップを外すとか、そういう歴史的展開が真逆になっていました。その後、日本の場合で言いますと、店頭自由というところはある意味前提だったところに銀行規制が緩和されて通貨関連取引にいろいろな業者さんが入ってこられるようになり、実際に取引規模が拡大していった。そういう歴史があるものですから、金融の分野は全てバケットショップ禁止にはなっていないというのがそういう意味では重要な差を生んでいるのです。
 ですから、そこは私もよくわかりませんけれども、バケットショップは原則禁止し、一定の条件で、例えば最良執行義務とか、何かそういうものを整備した上で、一定の範囲ではいいよということにするというアプローチもあると思うのですけれども、私はメンバーでないので、ちょっと細かい詰めの議論はぜひメンバーの先生方にやっていただいて、また業界の方にもいろいろご意見があると思いますので、皆さんで知恵を出していただければと思います。
 
【池尾座長】  
 どうもありがとうございました。
 それでは、そろそろ神田先生からのお話に関連した質疑は以上ということにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。これで、ちょっと神田先生はご所用がありますので失礼されます。どうもありがとうございました。
 それでは続きまして、これまでの、前回までの質疑に関連した補足の説明を順次お願いしたいと思いますが、まずは金融先物取引業協会の山﨑オブザーバーからお話をお願いいたします。
 
【山﨑オブザーバー】  
 それでは、資料3をご覧いただきたいと思います。前回の検討会で申し上げました店頭FX業者のリスク管理に関するアンケート、その結果がまとまりましたので、要点をご説明させていただきます。
 2ページをご覧ください。今回のアンケートには、店頭FX業務を取り扱っていらっしゃいます53社のうち48社より回答をいただいております。調査項目は、こちらに記載の6項目となっております。
 3ページをご覧いただけますでしょうか。3ページでは、市場リスクに携わる役職員数をお答えいただいております。やはり、FX業者の規模により、専担の職員数がかなり異なっているというところでございます。取引高が大きいFX業者ほど専担の人数も多いということでございます。
 4ページからは、業者が未カバーポジションをどのように管理しているかについて質問しております。問2でおわかりいただけますように、未カバーポジションを有する全ての業者が上限額を設定しております。一方、未カバーポジションが発生していない業者は、設定しておりません。
 また、問3で、設定している上限額を質問したところ、上位と11位以下の業者では大きな開きがあるようでございます。特に上位10社の中でも最高金額を設定している業者の上限額は、大きな金額となっております。
 また、問4では、11位以下の上限額の考え方について、一例をお示ししております。いずれも、自己資本規制比率、収益力、市場の変動率、このようなものをファクターとして上限額を決定していただいているようでございます。
 5ページをご覧いただきたいと思います。5ページでは、上限額の見直しについて質問しております。対象のほぼ全ての業者が、上限額見直しの仕組みを持っております。問4と同様に、11位以下の例を見ますと、そのトリガーは、期待収益と想定損失のバランスが崩れた、もしくは崩れるであろうと予想した場合、変動率の上昇が予想されるイベントリスクが発生した、もしくは発生が予想される場合などと整理ができると思います。
 6ページをご覧いただきたいと思います。未カバーポジションのモニタリング体制について質問しております。問7は、4ページ目の問2で、上限額を設定していると回答した業者のうち、取引高11位以下の15社に対して行いました。この15社はいずれもeトレーディングを行っている業者でございます。設定した上限額どおりに稼働しているかをモニタリングしている。eトレーディングの中にいろいろなポジションの設定等をしておりますので、それが設定どおりに稼働しているかということをモニタリングしているようでございます。ただ、回答例を見ますと、トレーディングとしてモニタリングをしているのか、もしくはリスク管理としてのモニタリングはしているのかというところが若干混在されている、そういう業者もいるようでございます。
 7ページをご覧ください。7ページは、顧客の建玉管理について質問しております。建玉に上限を設けているかとの問いに対しては、取引高上位10社、また11位以下の業者とも、3分の2程度が建玉制限のルールを持っているようでございます。さらに、重大な政治・経済イベントの前など、異常相場となる可能性がある場合に、実際に発動したかについて、問9で質問しております。「このルールを持っている」と回答した業者のうち、取引高上位の業者では約66%が、11位以下の業者でも約33%が「実際に発動したことがある」と回答しております。
 続きまして8ページでございます。8ページでは、レバレッジの引き下げについて質問しております。レバレッジの引き下げをする仕組みをお持ちの業者数と、先ほどの建玉制限のルールを持っている業者数とはほぼ同程度でございました。
 問11と12は、建玉制限、またレバレッジ引き下げを実際に行ったトリガーがどのようなイベントだったかについて回答を得たものでございます。
 9ページをご覧くださいませ。問13、14は、未収金の回収状況について質問しております。2年間で未収金が一度も発生していない業者が、取引高11位以下の38社中15社あることにもご注目いただきたいと思います。また、私が第2回の検討会で未収金にかかわる業者のリスクについてご説明しましたときに、回収率が高く、かつ比較的短時間で回収できていると思われると申し上げました。この仮説は、今回のアンケート結果により、正しいことが確認できたというところでございます。
 10ページをご覧いただきたいと思います。問15では、カバー取引先の数を質問しております。取引高上位10社では平均13社、11位以下の38社でも平均5社のカバー取引先を持っております。また、グループ会社1社とカバー取引を行っている業者14社において、そのカバー先の1社が何社のカバー取引先を持っているかを確認したところ、平均で12社となっておりました。これを見る限りでは、業者はカウンターパーティーリスクを分散し、複数のカバー取引先から自社のクレジット枠を付与されているように見られます。
 また、問16では、カバー取引先の信用状況の確認手段を質問しております。結果はこちらに記載しているとおりでございます。
 11ページをご覧いただきたいと思います。11ページの問17では、プライム・ブローカーとの契約実態を質問しております。取引高11位以下の38社で、プライム・ブローカーと契約している業者数が11社と少なくなっております。これは一つには、ホワイトラベル等、複数のカバー取引先を必要としない業者がいるため、また2つ目には、プライム・ブローカーと契約が難しいという業者がいるためと考えております。
 また、問18のLGの利用状況でございます。LGというのは、これはあくまで個々の業者とカバー取引先金融機関との関係でございますので、LGの利用が多ければ問題はない、もしくは利用が少ないと問題があるとのような整理では、なかなかできないかと考えております。
 また、問19で、LGの担保に占める割合を質問しております。LGの利用率は高く、平均で70%台を示しております。
 12ページをご覧ください。ストレステストにかかわる協会規則の遵守状況を質問しております。これは残念でございますが、5社が社内規則をまだ定めていただいておりません。今後は、協会より要請・指導を行っていきたいと考えております。
 また、問21で、ストレステストの実施状況を質問しております。取引高上位10社では、年間予定回数が最高で毎営業日の240回、平均で51.3回、取引高11位以下の業者では、最高で毎月1度の12回、平均で3.8回となっており、差異が大きく出ております。取引高上位10社の実施予定回数上位社の方にちょっとお伺いしましたところ、テストシナリオを固定し、システムで自動算出する方式を採用しているようでございます。これは、いわゆるシンプルなストレステストであるセンシティビティー・ストレステストを毎営業日行っているため、回数が240回と多くなっていると理解しております。
 13ページをご覧いただきたいと思います。13ページでは、ストレステストの開示について質問しております。開示を実施している業者は1社のみでございました。開示内容も、具体的な数値を開示しているのではなく、点検内容及びその結果でございました。ただ、これは、銀行等の金融機関の開示でも同様であり、ストレステストを行っていること、そしてその結果、資本と比較して問題がないことを開示しているようでございます。
 最後に14ページをご覧いただきたいと思います。ロスカット水準について質問しております。ロスカット水準は、取引高上位10社で、10社中5社が50%以上となっております。一方で、取引高11位以下の業者の場合、半数以上の22社が100%としております。上位10社では水準が低く見えておりますが、問24にありますように、監視間隔が非常に短時間であり、さらに秒単位の監視もなされていると認識しており、有効なロスカット管理がなされていると認識しております。
 私のほうの説明は以上でございます。
 
【池尾座長】  
 どうもありがとうございました。
 次は、引き続きましてセントラル短資FXの松田オブザーバーからお願いいたします。
 
【松田オブザーバー】  
 では、私から資料4に基づきまして、前回、店頭FX業者における過去の問題事例として荒井弁護士が取り上げられました諸点に対する業界の考え方をご説明します。資料は3社連名となっておりますが、これからのご説明は今般主要な店頭FX業者約20社の見解を集約したものです。
 2ページをご覧いただきますと、確かにかつては店頭FX取引の不透明性が問題となる事例も見られました。しかし、その後、関係者がそうした事例を防ぐための枠組みの強化に鋭意取り組んできたこともありまして、店頭FX取引への苦情も大きく減っています。残念ながらそれでも根絶はされない不適切な事例を防ぐためには、整備が進められてきました枠組みの実効性を高めるべく、自主規制の向上、協会からの注意喚起、監査の厳格化などに努めていくことが肝要だと考えています。
 次に、ロスカットの運用につきまして前回ご指摘がございましたが、3ページの冒頭に示しておりますように、業者は内閣府令でロスカットのルールを定めて体制を整備して、ルールどおりに運用するよう義務づけられています。また、金融庁の監督指針で、ロスカット取引の内容やリスクを顧客に適切に説明するよう求められておりますほか、協会の規則で、監視間隔ごとに実預託額に応じたロスカットの水準を定めるよう求められています。各業者は、契約締結前交付書面などにルールを明記して、これを厳格に運用しています。そして、運用の状況は協会に報告され、協会監査等の対象にもなっています。
 次に、4ページです。前回、レート配信システムが不合理であるとする例が紹介されましたけれども、この4ページの冒頭に記しましたとおり、店頭FX業者の配信価格の生成方法は、各社のビジネスモデルによって異なっております。そうした中で、どの会社でも、その生成方法を契約締結前交付書面などで明示して、社内で検証もしています。また、協会監査等の対象でもあります。
 さらに、Non Dealing Desk(NDD)と呼ばれる商品につきましても、市場に直結させる方式だとはうたっていても、市場のレートとイコールであるとの誤認は避ける説明がなされております。
 次の5ページですけれども、こちらは当社がウェブサイトで価格配信の適切性の確保をうたっております部分です。読み上げることはいたしませんけれども、価格生成方法についてだけでなく、データの保存、検証状況、カバー先のことなどについても触れています。
 次に、前回スリッページの偏りの問題について言及がありました。6ページですが、この冒頭に記しておりますとおり、通信速度やシステムの処理速度の関係で、店頭取引、取引所取引を問わず、顧客の注文時に提示されていた価格と実際の約定価格に差が生じる現象は、今の通信処理技術を前提にしますと、一定程度発生することは避けられないと認識されています。ただ、業者としましては、取引の透明性を確保し、顧客を保護するという観点から、契約締結前交付書面等においてスリッページが発生する理由を明記して、実際の発生状況も検証しています。協会も、スリッページが顧客不利に偏らないよう、取扱規則を定めていて、業者の運用状況は、協会監査等の対象にもなります。
 最後に7ページですが、前回、決済リスクとの関係で、預かり金の管理が不適切だったため、顧客が預託金の返還を受けられなかったという事例について言及されましたけれども、こうしたことを防ぐために、証拠金の区分管理方法の信託一本化と区分管理状況の週次報告が義務づけられました。
 最後に、こちらは荒井弁護士のご意見に沿うことになるかと思いますけれども、海外無登録業者による問題取引事例が後を絶たないという現在の状況で、仮にレバレッジを一段引き下げるといったことが行われれば、レバレッジの高い取引がさらに海外に流出することになって、顧客保護や市場全体のリスク抑制の観点からは逆効果となってしまう可能性が高いと考えられます。
 私からは以上です。
 
【池尾座長】  
 どうもありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、東京金融取引所の伊藤オブザーバーからお願いします。
 
【伊藤オブザーバー】  
 それでは、決済リスクへの対応についてご説明いたします。前回の検討会におきまして勝尾先生から、取引所のストレステストと金融先物取引業協会主導のもとで実施しているストレステストについて、その頻度あるいは内容等、整合性をもう少し議論すべきであるといった趣旨のご発言がございました。本日の説明は、そのようなことからお時間を頂戴したということでございます。
 なお、資料内容につきましては、取引所で実施しているストレステストを中心にまとめております。協会実施のストレステストの内容につきましては、詳細に説明できる立場ではございませんので、第2回検討会における協会作成の資料から枠組み等を中心に転記しております。
 それでは、お手元の資料2ページをご覧ください。こちらは第1回の会議における金融庁の資料から抜粋したものです。取引所では、FMI原則を受けて、財務資源を確保するためのセーフティネットの強化が行われているということで、リスクの種類、まず相場変動による未収金の発生リスクについては、証拠金について、これは取引所、店頭とも同じ規定ということが記載されています。テールリスクについては、取引所のほうが清算預託金等々で全てをカバーしているということで、これは後ほどまたご説明させていただきます。店頭業者につきましては、ストレステストの結果に応じた自己資本の確保等が十分に行われているか、また1日の取引終了時点のポジションからリスクを算出することで十分かといった記載がございました。
 また、取引所は、負っていないリスクにつきまして、②、カバー取引先の破綻リスク、それから③、未カバーポジションに対するリスク、この2つがございます。いずれも、自己資本等の確保が十分に行われているかということと、それからカバー取引先の破綻リスクについては、G-SIFIsに関するリスク量が考慮されていないのではないかといった記載がございました。
 3ページをご覧ください。こちらのほうでは、取引所で行っておりますストレステストの説明を書いております。先ほど申し上げましたように、未収金の発生リスクしか負っておりませんので、ストレステストの説明も当該リスクの対応ということになります。
 まず1点目ですが、監督指針では、極端であるが現実に起こり得る市場環境を念頭に置き、ストレスシナリオを十分にカバーするだけの証拠金を含めた事前拠出型財務資源を保持していることということが記載されております。監督指針によって事前拠出型財務資源の保持ということが義務づけられているということです。
 ストレステストの実施頻度ですが、こちらは2015年7月より毎営業日行っております。店頭FXにおける共通ストレステストということでは、右に記載のとおり、年に1回、特定日に算出されているということのようでございます。
 価格データ、ヒストリカルシナリオにつきましては、1985年1月2日以降の価格変動を使用しております。共通ストレステストのほうでは、2008年1月以降となっております。
 次に、ストレステストの対象リスクということですが、損失から控除する額ということで、取引所のほうでは、顧客の証拠金基準額としております。個人であれば、4%の証拠金率を適用するということになります。他方、共通ストレステストのほうでは、顧客の預かり証拠金残高、預かっている証拠金全てが控除できるということになっているようです。
 次に、ストレスをかけるポジションにつきましては、想定損失額は、クローズ時の建玉としております。なお、ストレステスト導入に当たりましては、建玉数量に従いまして損失額というのは変動いたしますので、定点観測を行いました。その結果、1日の間でほとんど建玉数量に変動がないということを確認しております。
 また、下の表ですが、FX取引のポジション保有期間ということで、前回、神戸大学の岩壷教授から、上にお示しのスキャル、デイトレ以下、こういった取引手法に基づいてどれぐらいの保有期間があるかというご説明がございました。1日以内ということで、この56%と29%を合わせると、86%ということになります。これに対しまして、ほぼ同様の手法で私どもが今回調べたところ、取引所の1日以内の取引というのは17.7%にすぎないということで、1日の間での建玉数量の変動が少ないというのは、こういった短期取引の割合が低いことによるものだと思われます。
 右の共通ストレステストですが、未収金発生リスクについて、店頭FX取引はクローズ時とされております。他方、未カバーポジションリスクについては日中最大値、またカバー取引先リスクについてはクローズ時とされています。なお、カバー先のところでG-SIFIsは含まないという記載がございました。
 次に、ページをめくっていただきまして4ページ、想定損失額をカバーする財務資源ということでは、事前拠出型の財務資源、すなわち証拠金と違約損失積立金、そして清算預託金により、想定損失額を100%カバーすることとしております。
 ここで違約損失積立金について少々ご説明いたします。FMI原則では、事前拠出型の財務資源における清算機関の自己資本については、清算機関自身の財務資源のある特定部分としており、その財務資源総額について利用可能であることを求めております。
 自己資本は、他の業務やオフィス・システムの投資等にも使用されております。当取引所の場合には、金利先物取引といった証拠金取引とは全く異なる業務分野も手がけており、そのための資金の準備も必要ということから、自己資本額全てを取引所FX取引に使用することはできません。このようなことから、参加者破綻時に使用する目的ということで、自己資本の中から証拠金取引に係る違約損失積立金として別途管理しているということでございます。検証と対応につきましては、この事前拠出型財務資源が想定損失額よりも大ということを日々確認し、これが小になった場合には、清算参加者に追加預託を求めることとしております。
 共通ストレステストで、協会の資料からは、協会は各会員に対しストレステストの結果を取締役等に報告し、経営に反映していくことを求めているということでございました。
 ロスシェアルールについては、記載のとおりでございます。仮に参加者が破綻した場合に、事前拠出型の財務資源を充てても不足があるといった場合には、さらに清算参加者から追加の預託金を徴求するということでセーフティネットを整備しているということです。
 次のページ、流動性リスク管理について。こちらは、今まではいわゆる信用リスク管理について申し上げましたが、流動性リスク管理についても、私どもは管理をしております。監督指針における主な着眼点ということでは、これは読み上げはいたしませんが、信用リスク管理とほぼ同じような着眼点というのが求められております。それに対するものといたしまして、私どもでは、2015年7月より毎営業日、流動性資源のストレステストを行い、流動性必要額に対し流動性資源額が上回っているということを確認しております。店頭のほうでも、共通ストレステストの対象となる3つのリスクを合算して、手元流動性、資金繰り等、財務基盤への影響を確認しているということでございます。
 最後、6ページ、取引所FX取引におけるテールリスクへの対応ということでまとめました。監督指針では、証拠金については、「想定損失額の分布の少なくとも片側99%信頼水準をカバーするもの」とされておりますが、これは1%のテールリスクが清算預託金や違約損失積立金等の事前拠出型財務資源によってカバーされるということが前提になっております。
 左下にイメージ図を記載しておりますが、FMI原則によれば、事前拠出型の財務資源を用いて想定損失額を100%カバーすべきという大きな原則がまずあります。その上で、証拠金は事前拠出型の財務資源の構成部分であって、少なくとも片側信頼水準の99%をカバーすべきであるとされているということです。
 2番目、取引所では、ストレステスト導入の2015年7月から約2年半ストレステストを行ってまいりましたが、この2年半の間の最大想定損失額は568億円、うち証拠金は基準額で90億円ということでございました。右下のほうで、この2年半を調べてみましたが、最小値は71億円ということで、最大値と最小値では8倍の差があります。取引所のほうでは、想定損失額が大幅に増えても、清算参加者に清算預託金の負担をお願いするということで、テールリスクをカバーすることが可能となっているということです。
 ご説明は以上です。
 
【池尾座長】  
 ありがとうございました。
 それでは最後に、三菱UFJ銀行の星野オブザーバーからお願いします。
 
【星野オブザーバー】  
 それでは、私のほうから、先週いただいたご質問に対して、口頭で回答させていただきます。お手元、資料6、「店頭FX取引の東京外為市場における影響について」の7ページをご覧ください。
 まず最初のご質問ですが、PBとの取引に関して、これが現物なのか、デリバティブなのかについては、現物です。
 2つ目ですが、このページ7の図表1のB、このうちどの金額が店頭FX取引のカバー取引額として計上されるのかというご質問ですが、1の部分になります。したがって、PBでない取引と同じということでございます。
 またFX業者の日中の取引が膨らんだ場合、店頭FX取引のカバー取引額に反映されるのかというご質問ですが、厳密に言うと、店頭の業者と個人が行った取引というのはそのままカバーに出てくるものではありませんので、膨らんだ全てではないのですが、店頭業者の中で売りと買いがマッチしない部分が金融機関に流れてきますので、取引全体の増加要因になるとお考えください。
 引き続きまして、3つ目のご質問ですが、図表2においてPBが何社ぐらい対応しているのかというご質問ですが、これは5社程度であります。
 次にPB取引の集中がどの程度生じているのかというご質問ですが、この表にありますとおり、全体のカバー取引におけるPBの割合は、去年の数字で36%ぐらいです。前回もご説明申し上げたかもしれませんが、スイスフランのショック以降、一部のPBが撤退もしくはその与信を絞ったということで、直接取引が増えている状況です。
 それから、PBの中で寡占が起こっているのかということに関しては、若干勝ち負けはあるのですが、それほど大きな寡占は進んでいないとは伺っております。
 さらに、このPBが外資なのか、日本の銀行なのかということでございますが、外資がかなり多い、一部邦銀もやっているとご認識ください。
 次に8ページ目ですが、この記載の中で、PBの業者がFX業者からどの程度情報を得ることができるのかというご質問ですが、PBとして与信の設定をするのに必要な情報、例えばバランスシートの情報とか、PLの状況とか、資金調達力とか、こういったところは当然情報を獲得できるのですが、これ以外にもきめ細やかに情報の把握に努めており、例えば相場の変動が予想されるイベントの前に、FX業者のポジションカバー方法とか顧客取引の運営方針等といったものを確認して対応しています。
 引き続きまして、同じくページ8で、FX業者のリスク管理に問題が生じた場合に、PBが一定額以上のPB処理の受け入れを拒否できるのかというご質問ですが、これに関しては、回答としてはできますということです。但しPBが勝手に受入を拒否すると、カバー先の銀行も困りますので、ここにきちんと通知した上で、PBの取引をやめるということになります。
 また、FX業者の損失が一定額を上回った場合に、PBが取引を一方的に終了することができるのかですが、先ほどのご質問についても同様ですが、実際には強制的にPBの取引を終了するというのは、PBとしての信用の問題もあって、機械的な運営を行うことは難しいと考えます。但し、できるか、できないかということでいくと、できますということです。
 また、実際に損失がリミットを上回る前にマージンコールを行い証拠金の積み増しをお願いすることになります。さらには夜間にはお金を動かせませんので、そういったリスクがある場合には、日中の間に多目に証拠金を積んでいただくようにお願いしているといった対応をしています。
 以上です。
 
【池尾座長】  
 どうもありがとうございました。
 それでは、討議に移りたいと思います。これまであまりまとまって発言していただく機会を確保できなかったので申しわけなかったのですが、今日はその分も含めて、冒頭に申し上げましたように、今日の話だけではなくて、前回までの分も含めて、できるだけ幅広くご意見を頂戴できればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、どなたからでも結構です。では、坂メンバー、お願いします。
 
【坂メンバー】  
 ありがとうございます。全体的なことを踏まえて、現状認識について3点と、それから規制の検討の方向性について4点ほど意見を述べさせていただければと思います。
 まず現状認識の1点目ですけれども、FXの社会経済的な意義についてです。顧客が基本的に外貨買いを行っているという状況を踏まえますと、2つの意義があるのだろうと思います。一つは金融市場への流動性の提供という点で、顧客がネットで外貨買いの流動性を提供し、金融機関等の為替リスクを引き受けている、またいわゆる逆張りによって市場の変動を緩和しているという点は、確かにあろうかと思います。もっとも、ロスカットがむしろ急激な相場変動を拡大する面があるという点には留意が必要かと思います。
 それから、いま一つは国民の資産形成への寄与という点ですけれども、これは投資の方法による面があると思います。この点、高倍率・短期の売買によって投機的利益を目指す方法は、基本的にゼロサムの傾向が強く、マクロ的には国民相互の資産移転が生じるということであり、資産形成に資する面というのは限定的なのではないかと思います。これに対して、中長期・低倍率のポジションを持つことによってスワップポイントを得る方法は、海外の成長の成果を取り込む面があって、全体として国民の資産形成に資する面が相応にあり得るかと思います。
 個人的には、後者の投資が促進されることが望ましいように思いますし、それが資金やリスクの移転によって経済活動や経済成長を促し、その成果をリターンとして得るという金融の役割にも沿うところがあるのではないかと思います。
 それから、現状認識の2点目ですけれども、決済リスクのあらわれ方についてです。未カバーリスク、未収金リスク、カバー先破綻リスクという3つのリスクが指摘されていますけれども、顧客がネットで外貨買いのポジションを持つということに鑑みますと、急激な円高・外貨安の場合と、それから急激な円安・外貨高の場合とでは、リスクのあらわれ方は異なると思います。急激な円高・外貨安の場合、FX業者は顧客に対しネットで利益を計上する状況になるのだろうと思います。この場合、未カバーリスクはネットではあまり問題とならないでしょうし、またカバー先破綻リスクも、基本的にカバー先に入れた証拠金が戻ってこないという問題にとどまるのではないかと思います。顧客との関係では、証拠金を超える勝ち分が回収できないという問題は生じることにはなろうかと思います。
 他方で、急激な円安・外貨高の場合には、FX業者はネットで損失を計上するということになると思います。この場合、ネットでの未カバー部分は、そのまま業者の損失となります。カバー分も、カバー先が破綻すれば、顧客に対する負けがそのまま業者の損失になるのだろうと思います。それから、カバー先に入れた証拠金も戻ってこないという問題が生じると思います。さらに、顧客との関係では、証拠金を超える勝ち分が回収できないという結果、マリー等の損失の一部を相殺処理できず、そうした点については実質的にその損失を負担しなければならないという問題が生じるのではないかと思います。このように、為替の変動方向によってリスクのあらわれ方が異なるのであって、業者の業態にもよりますけれども、急激な円安局面のほうがリスクは大きいように思われます。
 それから現状認識の3つ目ですけれども、利益相反の点についてです。決済リスクを検討するに当たって、利益相反問題は底流にある問題であろうと思います。前回の議論もお聞きしまして、協会さんの処分例なども拝見させていただきましたが、コンピューターシステムで非対称のスリッページの設定がされていたなどという事案が複数あるようですし、またこういう設定が比較的長期にわたっていた事案もあるようです。こうした問題の背景にFXの利益相反の構造があるということは否定できないように思います。そもそも事業者と契約者との間の情報、組織力、交渉力の格差のもとで、相対によって相場の変動に賭ける状態が続くということは、それ自体かなり利益相反の度合いが大きいものと言えると思います。もっとも、業者が適切にマリーやカバー取引を行えば、実質的な利益相反の関係は相当程度緩和されるとは思います。しかしながら、業者が未カバーポジションを多額に抱え、しかもネットで偏りがある場合、おそらく顧客の取引傾向からは、業者はネットで外貨売りのポジションを持つことになると思いますけれども、こうした場合には、顧客の利益が業者の損失となり、顧客の損失が業者の利益となる利益相反関係が極めて先鋭になると思われます。これは、非対称のスリッページをはじめとして、取引の公正をゆがめる重大な要因になり得ると思います。
 こういった未カバーポジションの問題は、決済リスクの面でも極めて先鋭となると思います。偏りのある未カバーポジションを多く抱えて業務を継続することは、自己資本を時々刻々投機リスクにさらしつつ事業を継続するということであり、事業体としては極めて特異ではないかと思います。事業の安定性という観点からも、重大な論点を提示するのではないかと思っております。
 以上を踏まえまして、規制検討の方向性についてですけれども、今日ご報告のアンケートの結果を拝見しましても、各社の取組みにかなりばらつきがあります。全体の底上げという観点からも、規制の整備が必要と感じております。
 4点ほど、できるだけ手短に申し上げたいと思います。1つ目、ストレステストについてですけれども、ストレステストについては、取引所のテスト結果で、約2年半の最大損失額が568億円、最大値と最小値に8倍の差があるということにされていることに鑑みますと、現行の協会の共通テストによるリスク把握には相応に限界があるのではないかという印象は否めないと思います。これは精度を上げる必要があると思いますし、また若干個別的なところを言わせていただきますと、先ほど申し上げましたように、円高・円安双方向の状況でリスクのあらわれ方が変わってきますので、双方向のリスクを適切に計測できているかということについては留意が必要ではないかと思います。
 また、現行の共通テストは、やや現実離れした程度がちょっと大きいかなという印象がありますので、条件設定は、起こり得る事態を適切に把握するということに留意しつつも、いま少し現実性のあるものにする必要があるのではないかと思います。
 それから、日中の取引量がかなり大きくなることに鑑みますと、リスク計測は取引終了時点のポジションだけではなくて、全項目について日中最大値をとるべきではないかと思います。
 また、リーマンブラザーズの破綻例や、ほかのリスクへの伝播を防ぐという観点あるいはPB契約による実質的なリスク集中への対応という観点からは、G-SIFIsの破綻リスクも、これは当然考慮すべきではないかと思います。
 それから、ストレステストがリスク管理上極めて重要と考えられることから、業界団体のチェックとともに、行政監督が適切かつ機動的に行われるように、規制枠組みを整備するということも課題かと思います。
 次に、2つ目ですけれども、協会や当局への報告についてです。リスク管理という観点からも、業者の取引データについて、協会や当局への報告体制を整えていただくことは、今後是非とも必要ではないかと思います。これは、価格の適正性確保の観点からも重要だと思います。ITの発展等によって技術的にいろいろ工夫の余地もあり得ると思いますので、ぜひここは具体的な検討をお願いできればと思います。
 それから、3つ目ですけれども、未カバーポジションに関する問題です。FX業者が抱えるリスクの中でも、未カバーリスクは極めて重大な問題を提起していると思います。この点、取引終了時点に未カバーポジションを持たないということを原則にすることを含めて、未カバーポジションの抑制施策といったものを検討すべきではないかと思います。
 また、リスク管理の観点から、未カバーポジションのモニタリングというのは極めて重要であると思われまして、これはおそらくカバー先金融機関あるいはPBにとっても重要なのではないかと思うのですが、その体制整備が求められるように思います。
 4つ目ですけれども、証拠金倍率規制について若干意見を申し上げたいと思います。証拠金倍率規制については、決済リスクにおける位置づけを一応踏まえる必要があると思います。証拠金倍率規制は、3つのリスクのうち未収金リスクのみに基本的には対応できるものと思われます。また、この未収金リスクに対応する場合に、ネットというよりもむしろマリー分も含めたグロスのポジションを検討する必要があるのではないかという印象を持っております。
 検討の視点として4点申し上げたいと思います。1つは、証拠金倍率規制は1%よりも小さいリスクに対応するという説明ですけれども、約7年半の間に8回未収金が発生しているということに鑑みますと、このリスクは中長期のうちにはしばしば現実化すると見ざるを得ないと思います。そうすると、中長期的に見ますと、リスク管理というのは、いま少し強化といいますか、対応力を強める必要があるのではないかと思います。
 2つ目ですけれども、3つのリスクのうち未カバーリスクとカバー先破綻リスクは、現行の枠組みを前提としますと、自己資本で受けなければならないということになります。できるだけリスク負担の仕組みを分散するという観点からは、未収金リスクはできるだけ証拠金倍率規制で対応するということが望ましいように思います。
 3つ目ですけれども、個人的にはこの点は重要ではないかと思っているのですが、ロスカットの執行によって急激な円高が増幅されるという点が指摘されております。予想されるイベントの前には対応があるという報告もありましたが、予想されないイベントにはおそらく対応できないのだろうと思います。急激な円高が実体経済に及ぼす影響が大きいであろうということに鑑みますと、できるだけロスカットが生じないように、十分な証拠金を確保しておくことが求められるように思います。
 それから4つ目ですが、顧客保護の観点と関連しますが、ドイツ、フランスで導入されているネガティブバランスプロテクションについては、導入を検討すべきではないかと思います。その場合、スリッページ分の損失は業者が負うことになりますので、そのリスクを減らすという観点からも、証拠金倍率規制の強化が求められるのではないかと思います。
 以上ですけれども、あともう1点だけ、今日の神田先生のお話の中で、カバー取引をCCPに集中させるという点については、これはぜひ検討するべきではないかと思いました。
 以上です。長くなってすみません。
 
【池尾座長】  
 どうもありがとうございました。
 それでは、ほかはいかがでしょうか。では、永沢さん、お願いします。
 
【永沢メンバー】  
 まとまった意見ではないのですが、これまでの議論を伺いながら感じていることを思ったままに述べさせていただきたいと思います。
 まず、これまで、今回の検討会では、システミックリスクが具体化するのかどうかが繰り返し問われているように思うのですが、私は、これまでのお話を伺いながら、システミックリスクが具体化したときに国民生活に迷惑がかかるわけですけれども、それが起こらない、一般国民に迷惑をかけないということをお示しになるべきなのは、この取引で利益を得ておられる事業者の側なのではないかと思っておりまして、5,000兆円の規模で取引が行われているということですが、システミックリスクが起こらないということを自信を持って言っていただければよろしいのではないか、それがないから問題なのではないかと思うわけです。
 本日、取引所から、取引所FXのリスク対応をご説明いただきましたが、取引所FXが導入された経緯については、その当時、公正かつ健全な取引を確保するという目的で取引所FXというものは創設されたとの説明をホームページなどで拝見いたしました。先ほど神田先生がお話しされたような事情も背景としてあったのだろうと思います。取引所取引では、システミックリスクが起きないようにするためにさまざまなストレステストを日々実施しており、また、さまざまな制度整備も行われているということを説明されたわけですが、そういう対応にはそれなりのコストがかかっているのではないかと思うわけで、その分、投資家が負担するコストは割高にならざるを得ないのではないでしょうか。店頭FXのほうがスプレッドというコストが割安で投資家には魅力的だからということもあって投資家が店頭FXに流れているということですが、店頭FXは、本来ならば負うべきものをその市場参加者及び事業者が負っていないことによって魅力的な取引コストになっているのではないかと、お話を伺って感じた次第です。FX取引の経験のない素人の感想ですので、私の理解が違うなら違うということをご指摘いただき、後で結構ですのでご説明いただきたいと思っています。
 それから、私は、本日神田先生からお示しいただきました4つの論点のうちの特に2と3と4について同じような感想を持っております。特に2につきましては、業者の選択も自己責任としていいのかという先生の問題提起に関連して、投資家に本来開示されるべき情報が開示されていないのではないかという感想を持っております。スリッページも含めていろいろな意味でトラブルがあるということですが、店頭FXの投資家の方々は、本来開示されるべき情報が開示されていないという点についてももっと改善を求めていかれるべきなのではないかと思います。
 また、情報開示では解消できない問題というのが神田先生の資料の3番のところになるかと思いますけれども、私は証券取引の分野で育ってきたので、バケットショップは原則禁止すべきという立場です。顧客と相対取引するという取引形態は、インターバンクのように、機関投資家や金融機関のようなプロの方々同士の間の取引ならともかく、事業者が個人を相手に相対取引をしていいのだろうかと疑問に感じておりまして、その点から、店頭取引のほうだけ倍率規制を強化するということもありうるのではないか、本来原則禁止すべきバゲットショップを行う条件として、店頭と取引所とは差をつけてもいいのかもしれないと思い始めているところです。
 それから、最後になりますけれども、本日、協会から前回の私の質問に対して丁寧に答えていただきました。ありがとうございます。坂先生と同様に、各社の間にリスク管理の体制整備にばらつきがあるという現状に不安を覚えました。特に未カバーポジションについて、資料の5ページですが、「いいえ」と回答した事業者があるという、この現実にまず驚きました。それから12ページのストレステストに関する社内規定がない事業者があるという調査結果に関しても、今後指導しますというご説明でしたけれども、なぜまだ社内規定が用意できていないのかとも思いますし、指導しても本当に備えることができるのだろうかと疑問に思いました。このような自主規制が定められてから長い時間が経っており、それでも対応しようとしない事業者が未だにあるということは大変危惧されるところで、「頑張ります」では済まないのではないかと思いました。なお、その一方で、今日ご説明いただきました3社については、対応は進んでいるようであるということは確認させていただきました。
 以上です。
 
【池尾座長】  
 どうもありがとうございました。
 いかがでしょうか。では、勝尾さん。
 
【勝尾メンバー】  
 ご報告、ありがとうございました。全体的なお話ということで、方向性がよくわからないということを申し上げたいと思いますが、要するに、システミックリスクにどのように対応していくのかという議論と、そもそもの店頭FX取引における公正性をどのように確保するのかという、ある程度重なりがあるけれども、次元がややずれている論点もあり、そこを整理して、これからどこに重点を置くのかということを、我々が多分議論しながらだと思いますけれども、一旦、事務局のほうで整理いただきますとよろしいかと思います。
 システミックリスクに関しましては、今回神田先生が出してくださいました対応策というのが大変参考になると個人的には思いました。とりわけ、倍率規制のみを取り上げて決済リスクへの対応に取り組むということではなくて、全体としての制度設計を行うべきだということが明らかになったのではないかと思います。具体的には、財務規制や、またストレステストの統一化あるいは強化という点です。加えて、協会や金融庁への報告制度の整備、監査制度の強化といった、全体としての制度設計の中で倍率規制を位置づけていくというのが、システミックリスクに対応する本来のあり方であると考えます。
 もう1点の取引の公正性の確保に関しては、これは非常に難しいとは思います。ただ、システミックリスクも重要ですけれども、取引の公正性の確保というのは、金融取引に限らず、取引における必要最低限満たされなければならない、取引の公正性というのはそういったものだと思いますので、これが満たされていない以上、次のステップに話を進めるというのは、何か順番が違うのではないかと思っております。ですので、そもそも利益相反関係にあるというビジネスモデルである以上は、そういった、しかも情報の非対称性が存在する状況ですので、どうしても顧客側、情報の少ない側に損失が押しつけられてしまう可能性を排除できない構造である以上、そういったものを全て禁止するのかとか、あるいはある程度規制を設けながら続けるのかといった、バケットショップを原則禁止するのかということも含めて、取引の透明性をどのように確保し、取引の不公正性を排除するのかと、そこの議論を一度しっかりとする必要があると強く感じております。
 以上です。
 
【池尾座長】  
 では、上柳さん。
 
【上柳メンバー】  
 ありがとうございます。私は、坂メンバーがおっしゃった現状認識、それから対処法に全面的に賛同ですので、それだけ申し上げればいいのかもわかりませんが、少しだけ意見を申し上げます。
 最低限、いわゆる取引データの報告の問題への対応、アメリカが先行しているようですけれども、これは必須だろうと思います。私が誤解していれば修正していただきたいのですけれども、今日追加のご報告をいただきました中で、資料4、セントラル短資さんからご報告いただいた中でも、例えば5ページに、提示価格と約定価格の保存が社内にされていると、それから6ページに、スリッページについての検証もされている、発生状況も含めてと。これは多分、私の理解では、個別の取引についての具体的なデータがないとこのように言えないはずですので、それを私にすぐ見せろというわけではないですけれども、当局なり、あるいは訴訟等で必要な場合には開示していただくということは、今でもできると思い、お願いしたいというのが1点です。
 それから、2つ目がストレステストの問題です。これもぜひお願いしたいということに尽きるのですけれども、資料5の6ページのところに、取引所のストレステストの実績として、最大想定損失額が2016年4月に568億円になったということが書いてありますけれども、これも取引所だけではなくて、店頭取引についても同じように、常時というのですか、それから坂メンバーが指摘されましたように、日中の最高値を含めて検証されることが必要ではないかと思います。この取引所の6ページの568億円という数字は、かなり大きいような気がします。誤解をしているかわかりませんけれども、店頭取引と、それから取引所取引の、少なくとも取引高の規模は全く違います。単純に取引高の比率を掛ければ店頭取引の最大損失額が推計できるということではないかもしれませんが、ぞっとする数字だと認識いたしました。
 それから3つ目ですけれども、今日、神田先生からご指摘がありましたように、あるいはそのときの問答でも申しましたように、バケットショップがいわゆる金融商品取引についてはむしろ原則禁止ではないかということは、出発点として確認したほうがいいと思います。確かに、銀行が扱っておられた外為についてはそうではなかったという歴史があると先生からはお話がありましたけれども、現在、少なくともこのFXは金融商品取引的に社会から受けとめられているのではないかと思いますので、そちらに近づけて規制なりルールづくりとしては考えるべきではないかと。それをかなり譲れば、これまた神田先生からご指摘がありましたように、ファーストベストではないけれども、倍率規制をということにはなるのかもしれませんし、前回荒井弁護士から指摘がいろいろありましたけれども、そういう問題も、倍率規制で全体の市場規模が抑制的になれば、ある程度抑制されるところもあるのではないかと思い、例えば今、数字としては10倍という数字が出ておりますけれども、十分考慮に値する。ぜひ実現していただきたいと思います。
 さらに、最後に補足的な話かもしれませんけれども、店頭取引と取引所取引との均衡の問題です。永沢メンバーからは若干差異を認めてもいいのではないかといったご趣旨もありましたけれども、基本的にはイコールフッティングでということではないかと思います。少なくとも倍率の問題とか、あるいはストレステスト、データ保存の問題については共通にして、そこでコストがかかる部分もあるかもわかりませんけれども、それは取引に付随するコストだということで、内部化していくということが必要ではないかと思いますし、そういう意味では、いろいろ経緯があって、取引所取引については、いわゆる不招請勧誘の禁止を緩和というか、制限を外したわけですけれども、私は、これはもとに戻してもいいのかなという意味で、店頭取引と取引所取引がある意味で均衡化されるというのが基本的視点ではないかと考えております。
 以上です。
 
【池尾座長】  
 どうぞ。
 
【勝尾メンバー】  
 すみません。今の上柳メンバーのご意見の中で、イコールフッティングでというご意見がございました。恐れ入りますが、例えばリスクへの対応手段の違い、リスクの種類というものを見ていただければすぐに確認いただけるとおり、①の要するに未収金リスクは両方負っていますけれども、カバー取引先の破綻リスクあるいは未カバーポジションに対するリスクというものは、取引所は負っていないのに対して、店頭のほうは負っているということで、負っているリスクの種類が違う、むしろ店頭のほうが多いということですので、単純に同じような規制あるいは同じような程度のレベルの規制でいいということではないと理解しております。
 
【池尾座長】  
 どうぞ。
 
【永沢メンバー】  
 検討会の最後の回のときに申し上げようと思っていたことですが、取引所FXについても、店頭取引との平仄を合わせて不招請勧誘はしてはならないとすべきであると私は思っております。この類いのデリバティブ取引に関しては、ブルベア型の上場ETFも含めてリスクが大きい取引です。先ほど上柳委員から不招請勧誘の話が出ましたので、今回の議論とは関係のないことではありますが、意見を追加させていただきたいと思います。
 
【池尾座長】  
 どうぞ、弥永さん。
 
【弥永メンバー】  
 ありがとうございます。私も他の委員の先生方と共通する意見を持っている部分があるのです。けれども、今日、神田教授のお話を伺って、この2のような業者の破綻の点については、これまであまり想定しないで議論してきたと思ったわけです。これはさておいて、そもそも業者が破綻することを予防するということは非常に重要なわけで、そのために、システミックリスクとの関連では、神田教授が指摘くださったような処方箋は、やはり適切なのではないかと私は思っています。
 そして、坂メンバーなどは、証拠金倍率規制で少し役割分担したほうがよいというご意見だと承りました。けれども、私は、いけないとは思いませんが、証拠金倍率規制は、決済リスクという局面においてはあまりにも大ざっぱ、少なくとも過剰にもなるし、過小にもなり、かつあまり理論的に裏づけることが難しいように思います。決済リスクという局面に着目するのであれば、神田教授がご指摘になられている、そして他の委員の先生方もご支持なさっている財務規制の強化、ストレステストの強化とか、あるいは、今日神田教授のお話を伺って、場合によればこのCCPを一定の範囲でカバー取引については要求するとか、そういうことを考えられてもいいのかなといった印象は受けました。
 そして、現在、金融先物取引業協会さんがなさっておられる、ストレステストは、ご説明を伺っていると、かなり過剰な面があるかもしれない、保守主義的な想定でストレステストをなさっている面があるように思われました。けれども、他方では神田教授のお話を伺っている中でも、G-SIFIsなどをいわば考慮に入れないということの合理的な根拠というのはなかなか見つけられないような気がいたしました。これらの点から、ストレステストの見直しというのが、店頭FXについて、少なくとも必要なのでないかという感想を抱いております。
 仮に、財務規制の強化やストレステストの強化を緻密に行うことができない、あるいは適切に行うことができない、あるいはその次に挙がっているような協会や当局への報告義務を強化して早期是正措置を期待するということが、協会や当局の資源を必ずしも注ぐことができず難しいというのであれば、非常に大ざっぱではあるけれども、証拠金倍率規制で少なくとも未収金リスクのところだけは小さくするというのはあると思います。けれども、あくまでも決済リスクとの関係で言えば、証拠金倍率規制というのは、非常に限られた範囲でしか有効性はないということはよく認識して話を進めたほうがよいのではないかなという印象は受けました。
 最後に、このタイプの取引の不透明性というような問題との関連で証拠金倍率規制が何らかの実効性を有するかどうかというのは、それはまた別途に検討したほうがいいと思います。店頭FX取引の不透明性は、坂メンバーも指摘されていたと思いますが、仮に顧客の行動に何らかの影響、例えばこの取引がひょっとすると業者にとって不当に有利な方向に働くのではないか、あるいは相場が変動するときに価格づけが適切に行われないのではないかなどと、仮に投資家、顧客が考えてしまうと、顧客の合理的でない不適切な行動を引き起こしてしまうというおそれはあり、こうした点は決済リスクとの関係でも検討したほうがいいのかもしれないという印象を受けました。
 以上です。
 
【池尾座長】  
 どうもありがとうございました。
 ちょっと座長としては逸脱した発言になるかもしれませんが、規制強化ありきではないと思っているのです。現状のシステミックリスクの大きさをまず評価するということをやらなければいけないわけで、現状、許容できない規模のシステミックリスクを我々は抱えているということであれば、規制強化という話になりますが、現状、存在しているシステミックリスクというのが許容範囲を超えたものだという現状認識は正しいということなのかという問題をまず詰めないことには、こういう方策を強化すべきだという議論はちょっと論理的には問題があるような気がするのですが、そこら辺はいかがなんでしょうか。
 
【弥永メンバー】  
 よろしいですか。私には、許容できない状況にあるのかどうかがわからないというのが実態です。許容範囲に入っているのかということにも確信が持てないので、神田先生のご意見にちょっと乗りたくなったというのが正直なところです。何か起きたときにほんとうに耐えられるか、流動性などが確保されるのかなどということに確信が持てないという状況です。
 
【池尾座長】  
 どうぞ。
 
【永沢メンバー】  
 池尾先生がおっしゃることは私もわかる気はしますが、冒頭にも申し上げましたように、また、今、弥永先生がおっしゃったように、ほんとうにシステミックリスクがあるのかどうか、あるとしてどの程度あるのかということがよく分からないのです。5,000兆円という規模とか、25倍だったらどうなのかというところが、実のところよくわからないというのが正直なところです。相対取引については、神田先生のご指摘の2以降の問題について先生と同様の問題意識を持っておりますが、1のシステミックリスクに関してのみということになると、わからないというのが正直なところです。システミックリスクがあるのかないのかという現状把握の問題については、誰がこれを説明する立場にあるのか、誰が説明できるのかというところをお聞きしたいぐらいです。
 
【池尾座長】  
 どうぞ。
 
【坂メンバー】  
 確かに、わからないという面があることはあるかとは思うのですけれども、幾つか気になる数字があるのは、取引所の計測の結果で、568億円という数字が出ていたり、最大・最小と8倍の差があるという数字が出ていますので、こういったこととか、あともう一つ数字で気になるのは、協会の出されている資料の4ページですけれども、未カバーポジションの上限額の最高値というのが、取引高上位10社の最高が1,580億円で、11位以下が100億円となっていて、これはちょっと大丈夫だろうかと率直に言ってちょっと驚く数字です。なので、リスクがどの程度あるのかということを、先日のヒストリカルデータに基づくリスクの計測のあり方の検討も含めて、きちんと議論していく必要があろうかと思いますけれども、やはりこのままにしておいていいのかという状況にあるのではないかという印象を持っております。
 それから、もう1点だけですけれども、リスクとの関係で言いますと、先ほど取引所のリスクと店頭FX業者のリスクは異なるというお話があったのですが、その中でカバー取引先の破綻リスクについては、これは先ほどの発言の補足ではありますけれども、CCPにカバーを集中することにすれば、かなりこのリスクは低減できるのではないかと感じております。なので、そういったことも含めて検討いただければと思います。
 以上です。
 
【池尾座長】  
 どうもありがとうございました。
 それでは、ちょっともう手短にお願いします。
 
【上柳メンバー】  
 システミックリスクがあるのかどうかについては、考え方としては、それは大丈夫だよと説明いただきたいなと思っているのですが、ただ、先ほどの繰り返しになるかもわかりませんけれども、取引所のストレステストに基づき、例えばブレグジットのときに店頭FXと取引所FXで、どこかの時点での残高がどの程度の差があったのかということを考えると、店頭FXの損失額の推計ができるように思います。ちょっと自信がありませんが、そのように私は思っていて、推計すればすごい数字になるのではないかなと恐れたということです。
 以上です。
 
【池尾座長】  
 どうもありがとうございました。まだまだ議論すべき点があるということがわかってきたのですけれども、そろそろ時間がまいりましたので、本日の討議はこれぐらいにさせていただきたいと思います。
 それでは、いただいたご意見等を踏まえまして、事務局で整理していただいて、考え得る論点を提示する形で引き続き議論を進めていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 システミックリスクの可能性等について、また見解等がありましたら教えていただきたいということで、よろしくお願いいたします。
 それでは、あと事務局より連絡事項等ございましたら、お願いします。
 
【御友市場業務監理官】  
 次回の検討会の日程につきましては、また皆様のご都合を踏まえた上で、後日事務局よりご案内させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
 
【池尾座長】  
 それでは、どうもありがとうございました。以上で本日の会合は終了ということにさせていただきたいと思います。それでは、どうもありがとうございました。散会といたします。
 

――了――

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