「気候変動リスク・機会の評価等に向けたシナリオ・データ関係機関懇談会」(第1回)議事要旨

1.開催日時及び場所
日時: 令和4年12月22日(木曜日)15時00分~17時00分

場所: 中央合同庁舎7号館11階1114会議室 及び オンライン

2.出席者
民間企業(敬称略・五十音順)
大金 義明  東京海上ホールディングス株式会社 リスク管理部 グローバルリスク管理グループ マネージャー
木部 翔平  日本生命保険相互会社 リスク管理統括部 運用リスク管理室 担当課長
古賀 喜郎  東急不動産ホールディングス株式会社 グループサステナビリティ推進部 企画推進室 室長
谷 賢治     株式会社三菱UFJ銀行 融資企画部 調査役
     (代理:村松 美名子  経営企画部会長行室)
中井 義雄  農林中央金庫 統合リスク管理部 部長代理
深谷 哲也  株式会社栃木銀行 リスク統括部 副調査役
藤本 泰介  株式会社横浜銀行 リスク管理部 ビジネスリーダー
三木 誠     株式会社日本取引所グループ サステナビリティ推進本部 事務局長
矢野 順一  東日本旅客鉄道株式会社 グループ経営戦略本部 経営企画部門 ESG・政策調査ユニット マネージャー

関係省庁等
金融庁
文部科学省
経済産業省
国土交通省
環境省
土木研究所
国立環境研究所
日本銀行

3.議事

【議題1】懇談会の趣旨について

●文部科学省から、資料1~3に沿って、気候変動リスク・機会の評価等に向けたシナリオ・データ関係機関懇談会の設置趣旨、懇談会の運営について説明した。

【議題2】関係省庁の取組について

●金融庁、文部科学省、環境省、国土交通省から、資料4~7に沿って、気候変動等に関する取組について説明した。

●出席者からの主な意見は以下のとおり。

(文部科学省の取組について)
  • d4PDFの高解像度化について、研究開発にはそこまで年数がかからない見込みだが、一般提供に向けた検証にある程度年数を要すると考えられる。
  • 解像度が例えば5kmから2kmに上がることで台風被害の評価精度が上がるとは一概に言えず、どの程度の解像度が効果的であるかは関係者間で検討が必要。
(環境省の取組について)
  • 金融機関ではTCFDに係るリスク分析にあたり、例えばコメ収量のデータなど、国立環境研究所が公開する気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)のデータを利用しており、A-PLAT上のデータは大変充実していると感じている。海洋資源情報へのニーズもあるので、今後入手できればと考えている。
  • 国立環境研究所では海洋資源分野を専門としていないが、環境省の環境研究総合推進費において水産業を対象とした気候変動影響予測と適応策の評価も実施している。
 
【議題3】意見交換
  • カーボンニュートラルの取組が今後さらに進んでいくに当たり、太陽光発電や風力発電設置のための土地利用が課題。土地利用の方法によっては水害が増加してしまうことも想定される。経済全体のリスクを正しく評価するためには、多面的なエネルギーシステムの検証が求められる。
  • 各省庁の取組を聞いて、色々な気候変動関連データがあることが分かった。このようなデータを活用しきれない方たちがデータに手が届くように、解説書等のツールを提供することが必要。民間の気候変動関連データの提供者から、データ提供の取組について話を伺うことも一案。
  • 企業は、例えば、洪水、内水、高潮、日射量など、各種気候関連データ1つ1つをそれぞれのデータ提供元から入手している状態。いかに効率よくデータを収集できるかが課題であり、コンサル業者の協力も得ているところ。また、例えば日射は良いが土砂災害リスクはある、といった複合的な観点が求められる。各省庁で様々なデータを開示されており、マップ上に重ねて表示されるなど、統合的な開示があるとよい。
  • TCFD開示にあたり、気候変動に伴う財務影響の開示が求められているが、算定方法自体が十分に理解されているものではなく、例えば、国交省の気候変動シナリオ(2度・4度など)に応じた、洪水時の家屋被害額概算データといった理論上の金額データ開示があれば、企業はそれを参考にできるし、当該データを使用した企業間での開示情報の比較も可能となる。
  • 物理的リスク評価を実施している多くの企業は洪水を対象にリスク評価を実施しており、国土交通省では、洪水に関するリスク評価をサポートするための手引きを作成予定。日本のリスク評価の取組を海外でも評価できるように、英語版の作成も検討している。気候変動の将来予測は不確実性が高く、まだ学術レベルという認識である。今後、将来予測のデータ提供も充実させる上で、企業からもそのニーズを伺っていきたい。
  • 水災における物理的リスク評価を行う際、河川の整備状況も考慮する必要があるが、それをどのようにリスク評価に取り入れるかが企業内でまだ明確ではないと認識している。堤防の整備等の状況とそれが洪水リスクに与える影響をどのように定量的に評価するかが課題。
  • 国は今後30年間に整備する具体的な目標を定めて計画として公表しているが、内容は専門的。国が整備を行うのは数百年に1度ぐらいのレベルの災害までであるため、物理的リスクは0にはならない。それらを踏まえて保険会社が物理的リスクをどのように見積もるかということになる。
  • 物理的リスク評価は、銀行単体で実施するのが難しく、子会社等の協力も得ているのが現状。各省庁で提供されているデータを横串でアクセスできる、例えばデータ一覧のようなものがあると助かる。
  • 従来の災害情報提供の文脈等で想定しているデータの質と、リスク分析や開示などの気候変動対応の文脈で想定しているデータの質は必ずしも一致しないかもしれない。例えば、金融機関が大まかに投融資先のリスク度合いを把握する上では、精緻な個別データよりも最低限の質は担保された上でなるべく幅広いデータが得られた方が有益、といったことも考えられる。是非、そういった観点でもご意見頂きたい。
  • 国立環境研究所はA-PLATで、関係機関の協力を得つつ、植生データや土砂災害・浸水推定区域等のデータも公開しているところ。引き続き、どのようなデータが必要であるかを伺っていきたい。


―― 了 ―― 

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総合政策局総合政策課サステナブルファイナンス推進室(内線 2920、2893)

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