「気候変動リスク・機会の評価等に向けたシナリオ・データ関係機関懇談会」(第3回)議事要旨

1.開催日時及び場所
日時: 令和5年3月9日(木曜日)10時00分~12時00分

場所: 中央合同庁舎7号館 9階 905B会議室 及び オンライン

2.出席者
民間企業(敬称略・五十音順)
天沼 弘光  明治ホールディングス株式会社 サステナビリティ推進部 サプライチェーングループ グループ長
大金 義明  東京海上ホールディングス株式会社 リスク管理部 グローバルリスク管理グループ マネージャー
木部 翔平  日本生命保険相互会社 リスク管理統括部 運用リスク管理室 担当課長
古賀 喜郎  東急不動産ホールディングス株式会社 グループサステナビリティ推進部 企画推進室 室長
谷 賢治    株式会社三菱UFJ銀行 融資企画部 調査役
中井 義雄  農林中央金庫 統合リスク管理部 部長代理
深谷 哲也  株式会社栃木銀行 リスク統括部 副調査役
藤本 泰介  株式会社横浜銀行 リスク管理部 ビジネスリーダー
三木 誠    株式会社日本取引所グループ サステナビリティ推進本部 事務局長
矢野 順一  東日本旅客鉄道株式会社 グループ経営戦略本部 経営企画部門 ESG・政策調査ユニット マネージャー
 

関係省庁等
金融庁
文部科学省
経済産業省
国土交通省
環境省
国立環境研究所
日本銀行

3.議事
【議題1】参加機関・企業の取組について
●日本生命保険、東急不動産ホールディングス、日本取引所グループから、資料1~3に沿って、気候変動リスク評価における現在の取組・課題・要望について説明した。

【議題2】意見交換

●日本生命保険、東急不動産ホールディングス、日本取引所グループからの発表を受けて、質疑・意見交換を行った。

●出席者からの主な質疑・意見は以下のとおり。

(日本生命保険の取組について)
  • 猛暑により具体的にどのような影響が生じるのか教えてほしい。
    ⇒MSCIのメソドロジーで開示されているレベルの情報であるが、酷暑の日数が増えることで労働生産性が下がる影響を試算。例えば、屋外での作業時間や工場の稼働時間の短縮や、暑さ対策による空調システムのコストによる影響などがある。
  • いろいろなリスク分析をされているが、その後、ポートフォリオに関して、どういったアクションを考えているか教えてほしい。
    ⇒まず、分析により、ポートフォリオの特性や課題をしっかり把握したうえで、企業には対話を通じて我々の課題・意識を伝え、気候変動等に対する前向きなアクションを促すことが、第一義的にある。投融資で実際にポートフォリオを変換する段階では、CVaR(Climate Value at Risk)がどこまで正しいものなのか考慮する必要がある。CVaRは、あくまで気候変動を評価する数多あるツールの中の一つなので、必ずしもCVaRだけで売買判断まで進めるわけではない。投融資ではESGの要素を加味して判断しているので、ポートフォリオの在り方は結果を総合的に勘案しながら検討する。
  • データを提供するだけでなく、ボトムラインのところまで出せるパッケージを提供するベンダーも何社かおり、そのうちの1つが今回ご紹介頂いたものであると思うが、最近出てきている論文の1つで、あるベンダーの提供しているデータについて、企業の開示データをもとに作っているが、実際の企業の開示データ自体はそのデータセットの3割くらいで、7割くらいはベンダーが推計しているデータを加えており、3割のデータだけ使うとほとんど統計的には棄却されるという結果が出てきている。我々も昨年金融庁と共に銀行・損保とシナリオ分析を実施した際に、出てきたデータが期待していた結果と違う結果が出てきたことがあった一方で、発表頂いた結果をみると綺麗に出てきている。データの信頼性について、MSCIのものに限らず、一般論として何か見解があれば教えてほしい。
    ⇒MSCI以外では、例えばNGFSが提供しているマクロデータに基づいた検討もしたが、ネットゼロシナリオで株価が低迷する結果が出るなど解釈が難しい。何が正解か分からないものの、色々なアプローチで分析して総合的に勘案することが必要。
  • 全体として日本生命様の気候変動に関するリスクの影響は大きいと判断されたのか、それとも大したものではないと判断されたのか教えてほしい。影響が大きいとなった場合、①政策リスク②技術機会③物理リスク(機会)の中でどのあたりが、ポートフォリオの試算に関して影響が大きくなっているのか教えてほしい。
    ⇒CVaRでは、例えばネットゼロ2050のような円滑にGHG排出量の削減が進むシナリオにおいては、影響は限定的という試算結果になった。ただし、このシナリオは気候変動対策が円滑に進む前提であり、気候変動リスクにおけるアップサイドを見ている面がある②技術機会では、一定の収益を得られる前提、特に株価においては脱炭素技術を持っている企業は、その分企業価値が大きく上がるという前提でCVaRを試算。一方で、収益機会を特許だけで本当に算出できるのかという課題意識はある。難しいのは一定の前提を置いて計算している点であり、その前提の中では、影響が限定的だとしても、引き続き対応は進めなければならない。①政策リスクに関しては影響が大きく出る可能性がある。GHG排出量が多い先については、将来、排出抑制が促されることによって発生するコストも大きくなると考えているため、しっかりと対話を重ねていくことが必要。
  • ①政策リスクだと、ある期間を経て徐々にカーボンプライスが上がっていくとか、そういうものに基づいてやっていると思うが、③物理リスクのように来るか来ないかわからない、来たら影響が大きいリスクの扱いについて、日本生命様の中でどのように考えているか教えてほしい。
    ⇒エンゲージメントの担当ではないため詳細を把握できていないが、政策リスクに関しては、企業と脱炭素に係る対話をしているものの、物理リスクに対する備えとして企業にどこまでアプローチできるのか難しい。
  • P4の機会の中で資源効率という項目があるが、具体的にどういうことを示されているか教えてほしい。
    ⇒担当が別であるため明確な回答はできないが、GHG排出量の抑制に向けて省エネ化を進めることで、コストの削減や、生産性が向上すると推察。
  • P10に不動産業のリスクを記載頂いているが、大きく違和感はなく、沿岸洪水だとか湾岸エリアだとか川沿いだとか、不動産業としてはわかりやすい。猛暑とか台風とかも不動産業、特にホテルとか商業施設とかは極地的な気候変動の影響を受けるので、ここに記載の内容は違和感ない。
  • P5について、物理的リスクについて損失をメインに記載されているが、機会もあるかと思う。物理的リスクにおいても機会や適応ビジネスを評価する計画があるか教えてほしい。機関投資家との対話の中で、リスクと機会の両方の比較が重要になるのではないか。
    ⇒CVaRでも物理リスクにはアップサイドの側面も加味されているため、物理リスクのマイナスのインパクトだけでなく、プラスのインパクトも評価すべき。気候変動リスクにおいても、マイナスの面とともにプラスの面からも、どのような影響が出るのか見ることが重要。ただし、プラスの面の分析・評価はマイナスの面の分析・評価よりも難しい。現時点では、どのように分析・評価していくのか明確な答えを持っていないため考えたい。

(東急不動産ホールディングスの取組について)
  • 金融機関はたくさんポートフォリオを持っていてなるべく手間をかけないような評価をされているが、金融機関に評価される立場の方は、ビジネスに沿った精緻な評価をされていると思うが、そのギャップについてどのようにお考えか教えてほしい。
    ⇒弊社も気候変動リスクを大きくとらえているだけではなくて、個別の事業の中で取組と開示を行っている。ここで挙げられているようなマーケット全体を分析するというやり方もありだと思う。個別の企業を見に来るアクティブな投資家とは直接対話をして、エンゲージメントして、建物の環境認証がどれくらい進んでいるかとか細かい話をする方もいるし、一方でMSCIの我々のESG外部評価とかCDPの評価を見て判断する方もいる。両方に合わせて対応している。
  • マテリアリティーを考慮して最初に分析をする事業を絞っているかと思うが、どういう観点で判断して事業を決めたか教えてほしい。
    ⇒主には物理リスクが大きいものが対象になっているので、都市開発や住宅事業といった事業が対象になっている。気候変動に対する機会ではないかと思われた再生可能エネルギー事業も分析している。売買仲介とかも影響としてはかかってくるかもしれないが、不動産のリスクを見ていれば、売買仲介の影響も類推できるので、ほぼ同じという考え方である。
  • LCPというのは何のことか教えてほしい。
    ⇒建物のライフサイクルがあり、適切な修繕や質を良くするような工事を的確にやっていこうというものがある。それをBCPというようなリスク管理と共に既存の建物を長持ちさせるという考え方で強化していくことが必要であるという考え方である。
  • 最近の住宅などはかなり長寿命になっていると言われていて、それによってカーボンが減っていたりということがあるが、そういうことか。
    ⇒長寿命化は管理事業にとってはプラスになるはずで、出来るだけ管理がしやすい建物であったり、出来るだけ体力が強い建物を作ったりというところで、ニーズがあると思い、長寿命な建物、長寿命な管理を心がけてやっている。
  • 物理リスクに対する耐性ということも含まれているという認識であるか。
    ⇒気候変動に対する物理的リスクの対応としては、長寿命にするといったところもあり、シナリオ分析の中ではほぼトントンになるのだという考え方がほとんどのところで含まれている。
  • 多角的な事業を展開されているということで、TCFDの分析も非常に充実されていてここに至るまで苦労があったと思う。物理リスクの観点から、津波や水害は想定しやすいが他の災害だと発想が難しかった等、初期の頃のリスク特定や機会の特定において、苦労があれば教えてほしい。
    ⇒リスクの特定にあたって、自社だけでなく保険会社の系列のコンサルティング会社と一緒に進めている。コンサルティング会社とサステナビリティ推進部の所管部門が各事業部の担当者と年に数回やり取りをしており、具体的にこのような気候変動リスクがあった場合、その事業にどのような影響があるかといった個別の事業部門に対するヒアリングを一生懸命やっている。その中で例えば、リゾート事業だと雪が降らないとスキーが出来ないとか、暑すぎるとゴルフが出来ないとかいったところで、リスクを特定して、どういった影響があるか、財務影響のところまで出していけると良いのだが、思い付きのところは出てくるが、その後、財務影響や戦略のところにどのように紐づけていくかといったところが大変であった。
  • データの標準化が重要だという話があったが、TCFDやISSBのための開示情報を具体的にまとめる際や、色々な研究を行うという場合、物理リスクのデータでこの辺りが充実すると助かるものがあれば教えてほしい。
    ⇒財務影響を出しやすくなるデータがあると、これに基づいて算出した影響額がこれであると言えるので良い。
  • 今回プレゼンいただいた情報に対して、投資家からどのような質問が来ているか教えてほしい。
    ⇒投資家が一番気になるはずのところは財務影響であると思うが、弊社はまだ数字自体を開示できずにいるところが一つの課題であり、結局金額がいくらであるかというところをよく聞かれる。どういったデータを使っているとかシナリオだとか変数がたくさんあるので、その変数を全部出しきれない中で、投資家は前提を付けて金額を出してくれれば良いとよく言うが、前提が多すぎて、もしくは抽象的であり、時代とともに前提は変わっていくものだが、2018年や2019年に分析したものがそのままになっているので、そういったところで中々具体的な数字を出せずにいるところが課題であると思っている。

(日本取引所グループの取組について)
  • ESG情報WEBについて、キーワード入れるだけでTCFDに関する情報が出てくるのは非常に便利なツールであると思った。是非A-PLATにリンクを貼らせて頂きたい。
  • ESG情報WEBについて、商用利用を禁止された理由や考えがあれば教えてほしい。
    ⇒有償サービスを用意しているので二次利用者からはフィーをいただく、という理由である。
  • 具体的にどうチェックしているのか。商業利用禁止の記載をするだけで、あとはユーザーの善意に任せるという形になるのか。
    ⇒一義的には善意に任せるが、大体無断でやっていると情報が入ってくるので、ビジネスするならば有償サービスを案内する流れになるのかと思っている。
  • Green Track Bondウェブサイトにおいて、リアルタイムの情報を掲載されていることに驚いた。ESGに関する投資は長期の投資が多いイメージであったが、短期的な投資家の情報ニーズあるのか。
    ⇒ESG投資は中長期の投資家が多い。ESG情報開示をする上場会社のインセンティブとしても中長期的な投資家に響くからこそESG情報を開示するのかと思っている。日々情報が更新されると話したが、必ずしも機関投資家が毎日見に来るわけではなく、見たいタイミングで最新の情報があることが重要だと思っている。統合報告書の場合、3月末で締めたものについて、多くの企業が8月か9月に公表している。9月に3月末のものが公表されてそれが最新となると、少し古いという声があり、見たいタイミングで最新の情報を、というニーズがあった。
  • ESG債情報プラットフォームについて、どのくらい、どういったところからアクセスがあるのか分かれば教えてほしい。
    ⇒コンスタントに1日300PVくらいである。土日はほぼなく平日にアクセスがあるのが特徴。機関投資家なのか個人なのかといった属性はわからないが、スマホで見ているのかPCで見ているのかはOS別で分析結果がわかり、85%くらいがPCで見ており、10%~15%くらいがスマホから見ている。
  • P4にブロックチェーン技術の特性として、グリーンウォッシュ対策に有効とあるが、投資家はどういったところをグリーンウォッシュかもしれないと懸念していて、どういった対策を取られているのか教えてほしい。
    ⇒グリーンウォッシュというと大げさに聞こえたかもしれないが、そもそも発電量の計算や係数にミスがあったりすると、意図せず削減量が違ってしまったりすることがあるが、そういうことがなく自動的にスマートメーターで計算するので改ざんのしようがない、間違いようがないという意味である。
  • ESG債情報プラットフォームの立ち上げに際しては、我々も一緒に会議の運営をさせて頂いていた。三木様からも「せっかく立派なデータベースを作ってもデータを入れる人がしっかり入れてくれないと困る」という話があったが、立ち上げの際に金融庁からクラウドや項目に関する要望をお伝えさせて頂いたうえで落ち着くところに落ち着いた。元々色々なやり方を議論しており、リンクから飛ばすやり方であったり、全てをクラウド上にまとめてしまうやり方であったり、また、項目ごとにも違ったりと、データの作り方は色々と方法があるのだと学んだ。また、我々が今回議論する出口感でいうと、良いものを作らなければという一定の野心的な想いも必要であるが、関係府省庁や色々な方のものを集約することになるので、バランス感が重要であると、JPX様との経験を通じて感じた。
  • P4の補足で、ESG投資は中長期的であるのになぜリアルタイムの情報が必要なのかということに関しては、不要そうに思えるが、すごく画期的であり、元々グリーンへの投資は、どの時間軸でどれくらいで発言するかが、投資家としては、非常に不信感がある。1年なのか5年なのか10年なのか。10年となるとフォローアップをどうするかわからないし、5年といってもCO2の測り方もブレが出る。環境関係に興味を持って投資するといっても、投資家としても預かったお金を投資しているので、その効果について投資家から外に対して説明が必要であるが、そのあたりに課題があり、欧州はグレーゾーンが多く、元々プロジェクトに投資する予定であったが、そのプロジェクトが政治的な理由でなくなってしまった場合、誰のせいであるかということもあるので、つかみ方が難しい。その点、Green Track Bondウェブサイトは、リアルタイムに自動で入ってくるので、投資家としても情報をつかみやすいのではと思った。我々の検討としても企業や金融機関がどういう粒度のデータを必要としているのかは、背景として重要な点であると感じた。
 
(全体を通して)
  • 皆様から色々と課題をご提示頂いた中で、共通しているのはデータが足りないということと、分析手法についてブラックボックスとなっていて課題となっているが、TCFDへの対応が第一の使命なので取り組んでいるという状況に感じた。その中で質と量を充実していくというときに、どう進めていいのか私も見えていない。質と量の充実に関して、これからやろうと思っていることや課題が具体的にあれば、教えてほしい。
    ⇒CVaRを利用することで、将来与える影響を現在価値に戻したときの現在の影響を分析できる。ただし、気候変動の影響は長期に渡って少しずつ次元化していくものなので、精緻に分析するためには、10年後、20年後、30年後にどのくらいの影響が出るのか、それに対して我々はどのようなアプローチをとるべきなのか考えなければならないと課題意識はある。難しいことではあるが、時間軸を踏まえ、中長期的な視点でより精緻な分析をしたいと考えている。
    ⇒不動産・建設業界のデベロッパーとしての業界標準があっても良いと思っている。気候変動のシナリオは、会社によって受ける影響はシナリオが複数あるから複数できているわけで、本来共通なのではと思っており、全体でほぼ同じようなシナリオがあって、その場合に我々のスキー事業がどうなるといったような、国なり業界なりで全体に一つのシナリオがあったうえでの取り組みが出来ると良いと思う。それが取り掛かりやすさにもつながると思う。
  • 日本生命様のお話で、色々な評価手法がある中でどれが正しいかわからないという発言もあったが、どのように選定しているのか教えてほしい。
    ⇒明確な判断軸が決まっているわけではないが、本社にとって影響の大きい市場リスクを幅広く気候変動的に評価することができる分析手法という意味では現実的にはあまり選択肢はない。リソースに限りがある中で、気候変動の他にも生物多様性や、S(社会)・G(ガバナンス)の領域も同等の分析を目指したいと考えているため、活用のしやすさ、解釈の容易さは重要と考えている。
  • 投資家と企業で違うシナリオで違う評価をしている状況が往々にしてあると思っているので、ある程度共通の基盤が出来ると良いのかなと思っている。
  • 我々のようなデータを提供する立場から思うこととしては、気候変動に関する影響等について、ある程度提供させて頂いたとして、その後財務影響に関しては、個社の中で管理している情報を使って出すかと思うが、財務影響を出すにあたっての共通項、きっと他社もこうであろうというところで、こちらから手法をお示しする余地があるかどうか教えてほしい。
    ⇒個社別は難しいと思うので、セクター別に株価がどう動いているのか示して頂けると、弊社のポートフォリオがどう動くのか分析しやすい。
    ⇒個社別に最後落とし込まないといけないというところは仰る通りだと思っている。事業の特性によって変わってくるところがあると思うが、その前の段階の一般論として、シナリオによってこのくらいの被害額が出るといったことをベースに弊社の事業に落とし込んだ影響が出せるのであれば、(シナリオ分析はかなり専門的なのでコンサルティング会社と一緒にやらないとできないし、自力で理解して発信するのも難しいので、)国で作っているデータのこのシナリオのこの金額が最初の基になっているという説明ができて、信憑性も説得力も増す。弊社の場合は財務影響をほとんど出せていないが、出しても前提を上手く説明できないので、伝わらない気がしている。ある程度、一般論やベースがあるとそこに紐付けているという言い方が出来るので、少しは投資家も見てみようという感じになると思う。
  • 気候変動による物理的リスクに関するシナリオ分析は、まだまだ科学的な情報も少なく、その手法もまだ確立されていないので難しいというところは日々感じている。視点を移し、日本における災害かつ確率的要素の高い現象として地震を挙げることができる。地震における被害等の分析はどの程度の粒度で行っているのか、その分析とTCFDでのシナリオ分析と類似性があれば教えてほしい。
    ⇒地震は気候変動の中に入っていないが、地震は起こると言われているので、具体的な活動としてはBCPをやったり、建物を建設する際や買収する際に耐震性について検討したりということはあるが、それがリスク分析や指標や目標といったところには落とし込まれておらず、身近な危機として扱われている。
    ⇒弊社も気候変動の枠組みの中に地震は入れていない。別途、南海トラフ地震の被害想定をベースとしたストレステストで実際に発生した場合の財務影響を確認している。ポートフォリオへの影響は、被害が発生するような地震が起きた際のマーケットの変動をベースに確認。どのくらい市場が変動してポートフォリオに影響が出るのか見るという意味では気候変動と地震には似た部分は多いが、時間軸という意味では、発生時点が最低で徐々に回復する地震と比べて、気候変動は少し違うだろう。

―― 了 ―― 
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