「気候変動リスク・機会の評価等に向けたシナリオ・データ関係機関懇談会」(第6回)議事要旨

1.開催日時及び場所
日時: 令和5年6月14日(水曜日)10時00分~12時00分

場所: 文部科学省18階局1会議室 及び オンライン

2.出席者
民間企業(敬称略・五十音順)

天沼 弘光 明治ホールディングス株式会社
大金 義明 東京海上ホールディングス株式会社 リスク管理部 グローバルリスク管理グループ マネージャー
木部 翔平 日本生命保険相互会社 リスク管理統括部 運用リスク管理室 担当課長
藤本 泰介 株式会社横浜銀行 リスク統括部 ビジネスリーダー
宮下 裕美  株式会社みずほフィナンシャルグループ リスク統括部 サステナビリティリスク管理室 室長補佐
中井 義雄  農林中央金庫 統合リスク管理部 部長代理
三木 誠     株式会社日本取引所グループ サステナビリティ推進本部 事務局長

関係省庁等
金融庁
文部科学省
経済産業省
国土交通省
環境省
国立環境研究所
日本銀行

3.議事
【議題1】論点整理案について
●文部科学省から、資料1に沿って、論点整理案(修正箇所)について説明した。
●金融庁から、論点整理案「データを活用した気候変動・対応の検討」について詳細な説明をした。

【議題1】意見交換
●文部科学省、金融庁からの論点整理案の説明を受けて、質疑・意見交換を行った
●出席者からの主な質疑・意見は以下のとおり。

  • 金融庁からの説明について確認したい。今後のこの取組を広げていくことと、評価する側から一律に評価できることが大事だと思っている。その時に最終的なイメージとしては、平易なやり方の実践ガイドラインみたいなものをつくるのか。先進的な取組を紹介するとの記載もあるが、各社の対応が難しい。最終的なアウトプットがあるのか教えていただきたい。
⇒この会議で何を目指すかについて、関係省庁の中でもまだ完全に理解が揃っていないという理解。皆様からご意見をいただければ、それに沿って考えていくべきことと理解している。
一般的には、データには専門的な面もあるので、分かり易く特性をまとめ、大きくデータの特徴を捉えて活用に向けたアイディアなどを集めていくことが考えられるのではないか。方が建設的だと思う。関係省庁も含めて皆様のご意見をいただきながらそれを合わせて考えていくべきと考えている。
  • 言っていただいたようにアイディアを出しながら、実際にやる企業としてはこういうやり方があるのだということが分かっていくと広がっていくのかと思う。
  • 他の話になるが、各省庁で考えられているカーボンフットプリントの推進などもガイドラインができて、こういうやり方が良いというようなものが見えると企業としても やりやすいので、そういうものを目指していただくのが良いと思う。
  • この論点整理案が表に出るのだと思うが、この文書に別添の形で各種データの一覧がついても良いと思う。 
    ⇒ 出し方、時期の問題もあると思っている。この文書とデータ一覧については一緒にした方が良いのではないか、掲載はどこにしたら良いという議論を今具体的に進めているところ。6月末という期限もあり、それまでに皆様にお示しできればと思っている。
  • 我々からの色々なお願いをさせていただいたことも盛り込まれていて、あとはどうやって実現していくかと言う段階にきている。
  • 6月末に期限を設定いただいたこともスピード感があって良いと個人的に思っている。
  • ここからは先、本当に使えるようなものに、どうやってしていくのかという議論が今後行われると思う。そうなれば、是非参加させていただければと思う。
  • 先般の懇談会で我々が要望させていただいたGICS、日銀業種、日本標準産業分類との対応表について、環境省ホームページで公開されていることを確認した。感謝申し上げる。
  • 6月末までという期限で公表していただけることは大変スピーディ―な対応ではないかと思っており、我々も、金融庁様から話があったように農林水産業分野での物理的リスクの分析の深堀りを、これまでは農業に着目していたが、それ以外のところも含めて拡大していきたいと考えている。是非、こういうデータを利活用して他の企業様の参考になるような開示等をしていければと思っており、是非とも利活用させていただきたい。
  •  また懇談会の場でも、取組の中で課題が出てくるかと思うので、そういったものも共有させていただきながら我が国全体としてTCFDの取組の進展に繋がる一助になればと思っている。
  • 実際に移行リスクと物理的リスクの作業をしていて、答えややり方がきっちりとしたものがない中で果たしてこれが正解なのかと思いながら作業をしていることが多々あったので、データ一覧を開示いただき、また、データの共有、追加された表の中にも記載されているようなアイディアの共有を懇談会の場で行っていただければ、他社様との比較もやりやすく、間違った方向に進んで進んでいないということが分かると思うので、是非情報共有を広げていっていただければと思う。
  • (論点整理案中の表について)データ収集から経営判断までの流れというところ等が分かり易く、初心者であればあるほど入りやすい、また今後の課題に関して分かり易く整理頂いたと思っている。
  • 6月末までという形で対応いただくという件に関しても、スピーディ―でありがたいと思っている。
  • 弊社として現在対応しているフレームワークはあるが、それにとらわれずいただいた情報を活用していきたいと考えている。
  • 経営判断のところの手前の段階が、とりわけデータ利活用という点で重要だということ で赤く囲まれているところもまさにその通りだと思う。
  • データの網羅性や信憑性という点について、まさに今後データを高度化していかないと、経営判断へ繋がるところまで行きつかないと思う。
  • 今後もこういった場で色々と意見交換をさせていただきながら、話ができればありがたいと思う。
  • 論点整理案につきましては、今回提示の案でフィックスさせていただく。ペンディングになっている、データの一覧を整理して公表するところについては、ご意見をいただいたように、この文書との関係性、どこに掲載をするかなど継続して省庁間で議論をしまして、確定、公表させていただきたいと思っている。

【議題2】その他
● 今後の懇談会の在り方、進め方について、意見交換を行った。

● 出席者からの主な意見は以下のとおり。

  • 今後も懇談会を継続することは、関係省庁間では一致している。
  • 貴重な場を活用して、さらによい取組にして行きたい。
  • 次の懇談会について、どこを目指して、いつ頃までに何をしていくかについて検討を始めたところ、皆様のご意見をいただきながらしっかり進めていきたいと考えている。
懇談会の進め方、こういったところを目指したらどうか、こういった話を聞いてみたいなどの要望、意見があればいただきたい。
  • 他の業界の方に対してデータの活用方法について再度ヒアリングを行うのか、もしくはアイディアを言っていただく方法と、逆にデータを作っていただいている方々から、こういう組合せだとこんな活用ができるという、データ利用側がインプットいただく、その両方向での進め方があるとよりアウトプットに近づくと思って聞いていた。
  • これまでの懇談会は、資料は原則公開であるため、弊社もそうであったが、各社から出していただいた事例は公になっているものがほとんどであったかと思う。
  • 一方、弊社もそうであるが、各社様の中ではこれ以外にも色々な検討を表には出していないが行っていると思っている。
そういった情報を、公開の場では言いにくいので一部非公開として関係者会議のような形で意見交換ができると良いと個人的には思っている。
⇒ 社内でどのようなことを率直に検討されてきたのかとか、その結果どうなってきたのかというところの情報は大変重要だと思っている。そういった情報をどういう形でいただくことにすれば、企業の方のご迷惑にならないかの工夫が必要と思っている。
官庁の立場で見えない部分も多いため、企業様の方から今後教えていただきながら進めて行きたいと考えている。
  • 入門者向けのガイドライン的なものを提供するのか、先進的な取組を紹介するのかという点については、自分も手を動かした立場であるという趣旨でいうと、ご指摘の通り2つのレイヤーがあるのはその通りと思う一方で、この分野に関していうと実はまだその差がないのではないかと思う。まだ皆さん、開拓の最中なので、あらたに入ってきた方からするとすごく先を行っているように見える可能性があることは承知しているが、実はそこにはあまり差がないように感じている。そこは、2つのコースを並列で走らせるとか、運営の仕方としてはあるのかと思う。
 
  • 非公開情報の共有について、特にTCFD開示を中心に各社様の開示で出されているものがあるので、外に開示しているものがあって、それ以外を話すとなると単純に非公開にすれば出せるのかどうかはなかなか難しいところもあると思う。
  • 具体的に何か結果が出ているというよりは、検討の方向性、検討している状況について意見交換していくと、資料や情報を出すというよりは、既に開示された、組織としての公式見解に至っていないレベルのものを、個人の見解レベルとしてやり取りする場があると良いと思った。
  • 物理的リスクに関する情報を研究の中で出していくところが我々のメインのミッションとなっている。
  • TCFD分析など、実際に使っていただく方の目線でデータを出していくことがますます重要になってきていると感じている。
  • 各社様のニーズにはお答えすることは難しいが、本懇談会を、実際の現場でどういった課題を持っているか、ざっくばらんに共有できる場として続けていくことは我々も非常に重要かと考えている。
  • 我々は、物理的リスクに関する情報を出すことはできるが、その先の財務指標のシナリオ分析までどうつなげていくか、この間にまだ色々とギャップがあると思っている。いかにして使っていただけるのか、どういう情報を出せば財務指標の影響にもつながるかというところをご相談させていただきながら、A-PLATの改良にもつなげていきたいと考えている。
⇒本懇談会を大切にしている理由として、色々な立場、省庁、金融機関、企業の皆様とざっくばらんに課題を共有して話ができる点がある。
公開、非公開の問題もあるが、引き続き、切り分けをしっかりして話ができる場を継続させていただきたいと考えている。
  • GICSと日銀業種区分の読み替え表を環境省から提供いただいき、かつ5月末に若干リバイスをかけていただいた。
  • データそのものを提供しているが、データの使い勝手を良くするためにあともう少し情報を出すことで使い勝手が良くなると思っている。
    ご指摘をいただく、情報交換させていただくことでデータの付加価値、利用価値を高めていくことができると考えている。
  • 冒頭挙げたような検討段階ごとのイメージに沿って、データを実際に活用できるような知見を共有できれば有益ではないかと思っている。
  • 先ほどの話があった通り、様々な気候変動関連データをどう使うかということについては、各社試行錯誤、トライアルをされている段階。トライアル段階でこうしていますという発表は少し難しい面があると思うが、各社の中で検討されていることを上手く、情報の取り扱いにも気を付けながら検討の状況・課題感について情報共有ができれば有益だろう。
  • 具体的なアクションとしては、関係省庁の皆様とご検討したい。
  • 国交省としては、例えば気候変動においてその洪水分野への適応にゴールがある。
  • 例えば水害リスクなど、どういうリスクがあるかを理解してもらう必要があり、前年度ガイドラインを作成した。
  • 平易で先進的なところをどうブレンドしていくのかがガイドライン作成の上でも苦労した。それを実際どう使ってもらっているかをキャッチアップしていくが現状のフェーズと考えている。
  • そのような背景を踏まえて、業界 スペシフィック、実証スペシフィックの形で、課題別に議論していく方が、より具体的に困っていることなどを共有できると考えている。
     
  • 文科省としては、国環研と同じく主に物理的リスクに資するような情報を創出していくことが主なミッションであり、今回の論点整理案の図の一番左側部分になると考えている。
  • 文科省では、20年以上気候変動に関するプログラムを続けており、引き続きデータの高度化、網羅性、信憑性を高められるように続けている。ユーザーに分かり易いというものも目指してプログラムを進めているところで、このような現場側のニーズを把握するというところが非常に重要だと考えている。
  • 懇談会を通じて、こういった議論を引き続き双方向で続けていければと思っている。
    やり方については、関係省庁と議論になると考えている。 
  • 環境省としては、関係省庁連携による民間セクターによる適応を中心とした取組は、一昨年に開始した気候変動リスク産官学連携ネットワークという別の取組とこの懇談会を始めて、その活動の幅が広がってきており、関係省庁間連携、民間セクターの皆様との連携も深まってきている。
  • 今後の方向性については、これまで議論もあったように、我々としても続けていきたいと思っている。論点整理で最後に示しているようなことも踏まえつつ進めていきたい。
  • データの開示の流れについては、毎年、毎月、毎日ベースで目まぐるしく変わってきているところもあり、それを踏まえなければいけないという意味で柔軟性が必要だと思っている。
  • 懇談会の資料を公開していくベースは残しつつも、別途ワーキングなど名称を含めて検討が必要だが、公開を前提とせず本音ベースでの議論ができる場を作っていければ良いと思っている。
  • 環境省及び関係省庁では独自の取組を進めているところ、環境省の取組についてもこの場でインプットしたり、皆様のご意見をいただくようなことができれば良いと思う。今年度から環境省としては、民間セクターの気候変動影響評価手法検討事業について、予算を確保し実施することとしている。国内外の先進事例の調査やヒアリングを実施したり、それを踏まえつつ物理的リスク評価手法の開発試行なども行うこととしている。ヒアリングなどで関係の皆様にお世話になることもあると思うし、リスク評価手法の開発試行の状況などについても適宜インプットさせていただいて、皆様からの意見を踏まえながら進めて行きたいと考えている。
  • 夏には関係省庁側も体制が変更になることが見込まれるが、新しい体制になったところでまた皆様と連携させていただければと思う。
  • 関係省庁間で毎週打ち合わせを実施している。
    省庁側でもこのような場を大切にしたいということで、本懇談会については、4省庁異論なく、継続しようということになった。皆様にも継続的な協力をお願いしたい。
    具体的な日程までいっていないが、夏頃の再開に向け、今後1年くらいの間で、どういった議題、どういう話題で皆様と議論させていただくかを検討し、次回に示したいと考えている。また、改めてお声がけさせていただくので、その際はご協力いただきたい。

―― 了 ―― 
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総合政策局総合政策課サステナブルファイナンス推進室(内線 2920、2893)

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